JP4569062B2 - 圧電磁器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクチュエータ、センサーまたはレゾネータなどの分野において広く利用される圧電磁器に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電材料は、外部から電界が印加されることにより歪みを発生する(電気エネルギーの機械エネルギーへの変換)効果と、外部から応力を受けることにより表面に電荷が発生する(機械エネルギーの電気エネルギーへの変換)効果とを有するものであり、近年、各種分野で幅広く利用されている。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3 ;PZT)などの圧電材料は、印加電圧に対して1×10-10 m/Vのオーダーでほぼ比例した歪みを発生することから、微少な位置調整などに優れており、光学系の微調整などにも利用されている。また、それとは逆に、圧電材料は加えられた応力あるいはそれによる自身の変形量に比例した大きさの電荷が発生することから、微少な力や変形を読み取るためのセンサーとしても利用されている。更に、圧電材料は優れた応答性を有することから、交流電界を印加することで、圧電材料自身あるいは圧電材料と接合関係にある弾性体を励振して共振を起こさせることも可能であり、圧電トランス、超音波モータなどとしても利用されている。
【0003】
現在実用化されている圧電材料の大部分は、PbZrO3 (PZ)−PbTiO3 (PT)からなる固溶体系(PZT系)である。その理由は、菱面晶系のPZと正方晶系のPTの結晶学的な相境界(M.P.B.)付近の組成を用いることで、優れた圧電特性を得ることができるからである。このPZT系圧電材料には、様々な副成分あるいは添加物を加えることにより、多種多様なニーズに応えるものが幅広く開発されている。例えば、機械的品質係数(Qm)が小さいかわりに圧電定数(d33)が大きく、直流的な使い方で大きな変位量が求められる位置調整用のアクチュエータなどに用いられるものから、圧電定数(d33)が小さいかわりに機械的品質係数(Qm)が大きく、超音波モータなどの超音波発生素子のような交流的な使い方をする用途に向いているものまで様々なものがある。
【0004】
また、PZT系以外にも圧電材料として実用化されているものはあるが、それもマグネシウム酸ニオブ酸鉛(Pb(Mg,Nb)O3 ;PMN)などの鉛系ペロブスカイト組成を主成分とする固溶体がほとんどである。
【0005】
ところが、これらの鉛系圧電材料は、主成分として低温でも揮発性の極めて高い酸化鉛(PbO)を60質量%〜70質量%程度と多量に含んでいる。例えば、PZTまたはPMNでは、質量比で約2/3が酸化鉛である。よって、これらの圧電材料を製造する際には、磁器であれば焼成工程、単結晶品であれば溶融工程などの熱処理工程において、工業レベルで極めて多量の酸化鉛が大気中に揮発し拡散してしまう。また、製造段階で放出される酸化鉛については回収することも可能であるが、工業製品として市場に出された圧電製品に含有される酸化鉛については現状では回収が難しく、これらが広く環境中に放出されると、酸性雨による鉛の溶出などが心配される。従って、今後圧電磁器および単結晶の応用分野が広がり、使用量が増大すると、無鉛化の問題が極めて重要な課題となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
鉛を全く含有しない圧電材料としては、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3 )あるいはビスマス層状強誘電体などが知られている。しかし、チタン酸バリウムはキュリー点が120℃と低く、その温度以上では圧電性が消失してしまうので、はんだによる接合または車載用などの用途を考えると実用的でない。また、チタン酸バリウム以外にも、鉛を全く含有しない圧電材料として、ビスマス層状強誘電体あるいはチタン酸ビスマスナトリウムなどが報告されているが、これらの圧電材料でも、鉛系圧電材料に比べると未だ十分といえる圧電特性が得られていない。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、キュリー温度を高くし、使用温度範囲を広げることができると共に、優れた圧電特性を得ることができる圧電磁器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の圧電磁器は、主成分としてチタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとからなる組成物と、副成分として酸化マンガンとを含むものであって、組成物中におけるチタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとの組成比は、モル比で化1に示した範囲内であり、酸化マンガンの含有量は、組成物に対して0.031質量%よりも多く0.12質量%以下である。
【0009】
本発明による第2の圧電磁器は、主成分としてチタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとからなる組成物と、副成分として酸化マンガンとを含む固溶体を含有するものであって、組成物中におけるチタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとの組成比は、モル比で化2に示した範囲内であり、酸化マンガンの含有量は、組成物に対して0.031質量%よりも多く0.12質量%以下である。
【0010】
本発明による第1および第2の圧電磁器では、チタン酸カリウムビスマスによりキュリー温度の向上が図られる。また、酸化マンガンにより電気機械結合係数が高く保持される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明の一実施の形態に係る圧電磁器は、主成分として、チタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとを含む組成物を含有している。この組成物において、チタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとは、固溶していてもよく、完全に固溶していなくてもよい。このようにチタン酸バリウムに加えてチタン酸カリウムビスマスを含むことにより、この圧電磁器では、キュリー温度を高くすることができるようになっている。
【0014】
チタン酸バリウムは、正方晶系(Tetragonal)ペロブスカイト構造を有しており、バリウム(Ba)はペロブスカイト構造のAサイトに位置し、チタン(Ti)はペロブスカイト構造のBサイトに位置している。その組成は例えば化3により表される。
【0015】
【化3】
Bax TiO3
式中、xは化学量論組成であれば1であるが、化学量論組成からずれていてもよい。酸素の組成は化学量論組成から求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよい。
【0016】
チタン酸カリウムビスマスは、正方晶系ペロブスカイト構造を有しており、カリウム(K)およびビスマス(Bi)はペロブスカイト構造のAサイトに位置し、チタンはペロブスカイト構造のBサイトに位置している。その組成は例えば化4により表される。
【0017】
【化4】
(K0.5 Bi0.5 )y TiO3
式中、yは化学量論組成であれば1であるが、化学量論組成からずれていてもよく、1以下であれば焼結性を高めることができると共により高い圧電特性を得ることができるので好ましい。カリウムとビスマスとの組成、および酸素の組成は化学量論組成から求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよい。
【0018】
これらチタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとの組成比は、モル比で化5に示した範囲内であることが好ましい。または、組成物におけるチタン酸カリウムビスマスの含有量は10mol%以上30mol%以下であることが好ましい。チタン酸カリウムビスマスを含むことによりキュリー温度を高くできる一方で、電気抵抗率が低下してしまうからである。
【0019】
【化5】
(1−n)A+nB
式中、Aはチタン酸バリウム、Bはチタン酸カリウムビスマスをそれぞれ表し、nは0.10≦n≦0.30を満たす範囲内の値である。
【0020】
なお、この組成比というのは、固溶しているものも固溶していないものも含めた圧電磁器全体における値である。
【0021】
この圧電磁器は、また、副成分としてマンガンを含む酸化物を含有している。
すなわち酸化マンガンを含んでいる。この酸化マンガンは化学量論組成でなくてもよい。
【0022】
マンガンを含む酸化物は、電気抵抗率を高くし、電気機械結合係数を高くするためのものである。すなわち、この圧電磁器では、チタン酸カリウムビスマスにより電気機械結合係数が低下しても、マンガンを含む酸化物により、優れた電気結合係数を得ることができるようになっている。また、マンガンを含む酸化物は、キュリー温度をより高くする作用も有している。このマンガンを含む酸化物は、チタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとを含む組成物の粒界に存在していることもあるが、組成物の一部に拡散し固溶して存在していることもある。
【0023】
酸化マンガンの含有量は、主成分である上記組成物に対して、0.031質量%よりも多く0.12質量%以下であることが好ましい。または、チタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとの合計の質量に対して0.031質量%よりも多く0.12質量%以下であることが好ましい。これらの範囲内においてキュリー温度および電気機械結合係数共により高くすることができるからである。
【0024】
なお、この圧電磁器は鉛(Pb)を含んでいてもよいが、その含有量は1質量%以下であることが好ましく、鉛を全く含んでいなければより好ましい。焼成時における鉛の揮発、および圧電部品として市場に流通し廃棄された後における環境中への鉛の放出を最小限に抑制することができ、低公害化、対環境性および生態学的見地から好ましいからである。
【0025】
このような構成を有する圧電磁器は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0026】
まず、主成分の原料として、例えば、酸化ビスマス(Bi2 O3 ),炭酸カリウム(K2 CO3 ),炭酸バリウム(BaCO3 )および酸化チタン(TiO2 )などの粉末を必要に応じてそれぞれ用意する。また、副成分の原料として、例えば、炭酸マンガン(MnCO3 )を必要に応じて用意する。なお、これら主成分および副成分の原料には、酸化物でなく、炭酸塩あるいはシュウ酸塩のように焼成により酸化物となるものを用いてもよい。次いで、例えばこれら原料を十分に乾燥させ秤量する。
【0027】
秤量したのち、例えば、秤量した出発原料をボールミルなどにより有機溶媒中または水中で約10時間十分に混合し、十分に加熱乾燥したのち、乳鉢および乳棒を用いて約1時間混合して原料混合粉末を得る。原料混合粉末を得たのち、例えば、80MPaでプレス成型して、電気炉中において約800℃で2時間程度仮焼する。仮焼したのち、例えば、この仮焼物を乳鉢および乳棒を用いて約1時間粉砕すると共に混合し、この混合物をボールミルなどにより有機溶媒中または水中で約20時間粉砕し、再度乾燥して仮焼粉を得る。仮焼粉を得たのち、この仮焼粉を100MPa〜120MPaでプレス成型する。
【0028】
プレス成型したのち、例えば、この成形体を電気炉中において約1200℃〜1300℃で2時間〜4時間程度本焼成する。本焼成の際の昇温速度および降温速度は、共に例えば100℃/時間程度とする。本焼成ののち、例えば、得られた焼結体を必要に応じて研磨し、電極を設ける。電極を設けたのち、例えば、シリコンオイル中で1kV/mm〜6kV/mmの電界を15分間〜1時間程度印加して分極処理を行う。これにより、上述した圧電磁器が得られる。
【0029】
このように本実施の形態によれば、主成分として、チタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとを含む組成物を含有し、副成分として、マンガンを含む酸化物を含有するようにしたので、電気機械結合係数を高く保持しつつ、キュリー温度を高くすることができ、使用温度範囲を広くすることができる。
【0030】
よって、鉛を含有しないまたは鉛の含有量が少ない圧電磁器についても、利用の可能性を高めることができる。すなわち、焼成時における鉛の揮発、および圧電部品として市場に流通し廃棄された後における環境中への鉛の放出を最小限に抑制することができる低公害化、対環境性および生態学的見地から極めて優れた圧電磁器の活用を図ることができる。
【0031】
特に、チタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとの組成比をモル比で化5に示した範囲内となるように、または酸化マンガンの含有量をチタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとの合計の質量に対して0.031質量%よりも多く0.12質量%以下とするようにすれば、優れた圧電特性を得ることができる。
【0032】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0033】
まず、主成分であるチタン酸バリウムおよびチタン酸カリウムビスマスの原料として、酸化ビスマス粉末,炭酸カリウム粉末,酸化バリウム粉末および酸化チタン粉末を用意した。また、副成分の原料として、炭酸マンガン粉末を用意した。次いで、これらの主成分および副成分の原料を十分に加熱乾燥したのち、それらを分析用電子天秤(JL−180)を用いて秤量した。
【0034】
その際、実施例1,2の原料混合粉末の配合比を調整し、主成分が化6に示した組成となるようにした。副成分の原料である炭酸マンガン粉末の混合量は、主成分の原料のうち炭酸塩をCO2 が解離した酸化物に換算し、その換算した主成分の原料の合計質量に対して表1に示したように0.10質量%または0.20質量%とした。すなわち、圧電磁器における酸化マンガンの含有量が主成分に対して0.062質量%または0.12質量%となるようにした。
【0035】
【化6】
0.8BaTiO3 +0.2(K0.5 Bi0.5 )TiO3
【0036】
【表1】
【0037】
次いで、秤量した出発原料をエタノールおよびジルコニアボールと共にポリエチレン製の容器に入れ、ボールミルにて約10時間混合した。続いて、混合物をトレイに取り出し、加熱乾燥したのち、乳鉢および乳棒を用いて約1時間混合し、原料混合粉末を得た。原料混合粉末を得たのち、直径30mmの金型を用いて約80MPaの加重を加えて仮成形し、電気炉中において800℃で2時間仮焼した。仮焼したのち、この仮焼物を乳鉢および乳棒を用いて約1時間粉砕すると共に混合し、この混合物をエタノールおよびジルコニアボールと共にポリエチレン製の容器に入れ、ボールミルにて約20時間粉砕した。次いで、再び乾燥したのち、100MPa〜120MPaの加重を加えて直径20mm、厚さ2mmの円盤状に成形し、電気炉中において1250℃で4時間本焼成した。本焼成したのち、得られた焼結体を平行平面研磨し、ダイヤモンドカッターを用いて圧電特性測定用に1mm×1mm×5mmの大きさに切断し、長手方向の両端面に銀ペーストを550℃で焼き付けて電極を形成した。電極を形成したのち、シリコンオイル中で5.5kV/mmの電界を15分間印加して分極処理を行った。これにより、実施例1,2の圧電磁器を得た。
【0038】
得られた実施例1,2の圧電磁器について、キュリー温度Tc,電気抵抗率ρ,電気機械結合係数k33を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0039】
また、本実施例に対する比較例1として、炭酸マンガンを添加しないことを除き、他は本実施例と同様にして圧電磁器を作製した。比較例1についても、本実施例と同様にして、キュリー温度Tc,電気抵抗率ρ,電気機械結合係数k33を測定した。それらの結果も表1に合わせて示す。
【0040】
表1に示したように、実施例1,2によれば、電気抵抗率ρが1.0×1012Ω・cm以上と高く、電気機械結合係数k33について30%程度と大きい値が得られた。これに対して、比較例1では、電気抵抗率ρが4.6×1010Ω・cmと低いために分極ができず、電気機械結合係数k33を測定することができなかった。また、実施例1,2によれば、比較例1よりもキュリー温度Tcについて高い値が得られた。すなわち、酸化マンガンを含有するようにすれば、電気抵抗率ρを高くすることができ、電気機械結合係数k33を大きくすることができると共に、キュリー温度Tcを高くすることができることが分かった。
【0041】
また、実施例1と実施例2とを比較すると、実施例1の方が、キュリー温度Tc,電気抵抗率ρおよび電気機械結合係数k33のいずれについても優れていた。すなわち、酸化マンガンの含有量を、チタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとの合計の質量に対して0.12質量%以下とするようにすれば、圧電特性をより向上できることが分かった。
【0042】
更に、チタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとの組成比が圧電特性に及ぼす影響を調べるために、本実施例に対する比較例2〜6として、化7に示した組成物を主成分として含有し、副成分を含まない圧電磁器を本実施例と同様にして作製した。その際、原料混合粉末の配合比を調整し、主成分の組成のうちチタン酸カリウムビスマスの含有量、すなわち化7におけるnの値を比較例2〜6で表2に示したように変化させた。
【0043】
【化7】
(1−n)BaTiO3 +n(K0.5 Bi0.5 )TiO3
【0044】
【表2】
【0045】
得られた比較例2〜6について、キュリー温度Tcを測定した。その結果を表2に示す。
【0046】
表2に示したように、チタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとを含む比較例3〜6は、チタン酸バリウムのみを含む比較例2よりもキュリー温度Tcが高かった。すなわち、チタン酸カリウムビスマスを含むようにすれば、キュリー温度Tcを高くできることが分かった。
【0047】
また、比較例2〜6について、電気抵抗率ρを測定したところ、これはチタン酸カリウムビスマスの組成比nの値を大きくするにつれて小さくなり、nを0.3よりも大きくすると、急激に小さくなった。すなわち、チタン酸カリウムビスマスの組成比nの好ましい範囲は0.3以下であることが分かった。
【0048】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、主成分としてチタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとの組成物を含有し、副成分としてマンガンを含む酸化物を含有する場合について説明したが、これらに加えて、他の成分を含んでいてもよい。
【0049】
また、本発明は、チタン酸バリウム,チタン酸カリウムビスマスおよび酸化マンガンを構成する元素以外の元素を、不純物または他の化合物の構成元素として含んでいてもよい。そのような元素としては、例えば、ストロンチウム(Sr),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),リチウム(Li),ジルコニウム(Zr),ハフニウム(Hf),タンタル(Ta)および希土類元素が挙げられる。
【0050】
更に、上記実施の形態では、チタン酸バリウムおよびチタン酸カリウムビスマスの結晶構造についても説明したが、上述した組成を有する酸化物を含んでいれば、またはこれらを含む固溶体を含有していれば、これらの結晶構造について論じるまでもなく、本発明に含まれる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1または請求項2に記載の圧電磁器によれば、主成分としてチタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとからなる組成物と、副成分として酸化マンガンとを含み、チタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとの組成比をモル比で化1または化2に示した範囲内にすると共に酸化マンガンの含有量をチタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとの合計の質量に対して0.031質量%よりも多く0.12質量%以下とするようにしたので、電気機械結合係数を高く保持しつつ、キュリー温度を高くすることができ、使用温度範囲を広くすることができる。よって、鉛を含有しないまたは鉛の含有量が少ない圧電磁器についても、利用の可能性を高めることができる。すなわち、焼成時における鉛の揮発、および圧電部品として市場に流通し廃棄された後における環境中への鉛の放出を最小限に抑制することができる低公害化、対環境性および生態学的見地から極めて優れた圧電磁器の活用を図ることができる。
Claims (2)
- 主成分としてチタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとからなる組成物と、副成分として酸化マンガンと、を含み、
前記組成物中における前記チタン酸バリウムと前記チタン酸カリウムビスマスとの組成比は、モル比で化1に示した範囲内であり、
前記酸化マンガンの含有量は、前記組成物に対して0.031質量%よりも多く0.12質量%以下である
ことを特徴とする圧電磁器。
【化1】
(1−n)A+nB
(式中、Aはチタン酸バリウム、Bはチタン酸カリウムビスマスをそれぞれ表し、nは0.1≦n≦0.30を満たす範囲内の値である。) - 主成分としてチタン酸バリウムとチタン酸カリウムビスマスとからなる組成物と、副成分として酸化マンガンと、を含む固溶体を含有し、
前記組成物中における前記チタン酸バリウムと前記チタン酸カリウムビスマスとの組成比は、モル比で化2に示した範囲内であり、
前記酸化マンガンの含有量は、前記組成物に対して0.031質量%よりも多く0.12質量%以下である
ことを特徴とする圧電磁器。
【化2】
(1−n)A+nB
(式中、Aはチタン酸バリウム、Bはチタン酸カリウムビスマスをそれぞれ表し、nは0.1≦n≦0.30を満たす範囲内の値である。)
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