JP5914081B2 - 圧電材料、圧電材料の製造方法 - Google Patents

圧電材料、圧電材料の製造方法 Download PDF

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本発明は圧電材料とその圧電材料の製造方法に関する。具体的には、鉛を含まない2成分系圧電材料に関する。
圧電材料としては、PZT(PbTiO−PbZrO)組成系セラミックスがよく知られている。PZTは、電気機械結合係数や圧電定数などの圧電特性に優れ、このPZTは、センサー、超音波モーター、フィルターなどの圧電素子に広く使用されている。
ところで、近年では、環境に対する要請から工業製品の「鉛フリー」化が急務となっている。当然、PZTも最終的に工業製品に使用されるため、圧電材料も、鉛(Pb)が含まれているPZTから、鉛を含まない他の圧電材料に置換していく必要がある。
そして、鉛を含まない圧電材料(非鉛圧電材料)としては、圧電特性に優れ、かつ安価であるチタン酸バリウム(BaTiO、以下BT)がよく知られているが、BTはキューリー温度(Tc)が約120℃と低い。そこで、そのTcを高めるため、BTは、BiO0.5Na0.5TiOの組成で知られる圧電材料(以下、BNT)との2成分系(BT−BNT系)にして使用されるのが一般的である。なお、BT−BNT系圧電材料については、例えば、以下の特許文献1に記載されている。また、圧電材料に関する一般的な技術については、以下の非特許文献1に詳しく記載されている。
特開2010−241615号公報
FDK株式会社、"圧電セラミックス(技術資料)"、[online]、[平成24年2月9日検索]、インターネット<URL:http://www.fdk.co.jp/cyber-j/pdf/BZ-TEJ001.pdf>
BT−BNT系圧電材料は、環境に優しい非鉛系圧電材料として期待されているものの、BTは1300℃以上の焼成で緻密化し、焼成温度が高いほど良い圧電特性が得られる。一方、BNTは、焼成中のBiの揮発が緻密化の阻害と分極時のリークを引き起こし、Biの揮発を抑えるために1100℃以下の温度での焼成が必要である。つまり、BTとBNTの焼結温度は約200℃以上の差がある。そして、BT−BNT系圧電材料のように2成分系の圧電材料では、主成分の焼結温度で焼成を行う。BTを主成分とした場合、焼結温度は1300℃以上となり、BNTの焼結温度に対し200℃以上も高くなる。これにより、先に焼結し始めるBNT中のBi成分が1100℃以上の温度域で揮発し、緻密化の阻害と分極時のリークを引き起こす。その結果、2成分系の圧電材料として均一な緻密化を達成することができない。そして、分極させることができず、圧電材料として機能しない。
そこで本発明は、BTを主成分として環境に優しく、圧電特性に優れた2成分系圧電材料を提供することを目的としている。また、その優れた特性を、再現性よく、より効果的に発現させるための製造方法を提供することも目的としている。
そして、上記目的を達成するための本発明は、一般式(1−x)BaTiO−x(Bi0.5Na0.5)(Ti(1−y))Oで表される化合物に、焼結助剤として少なくともMnCOとCoのいずれかが添加されているとともに、前記一般式中のMがTaであって、0.05≦x≦0.15、0.06≦y≦0.14であることを特徴とする圧電材料としている。
あるいは、一般式(1−x)BaTiO −x(Bi 0.5 Na 0.5 )(Ti (1−y) )O で表される化合物に、焼結助剤として少なくともMnCO とCo のいずれかが添加されているとともに、前記一般式中のMがZrであって、0.05≦x≦0.15、0.04≦y≦0.07であることを特徴とする圧電材料としている。
また、上記いずれかの圧電材料において、前記化合物中の組成であるBaTiOに、少なくともBiとLiCOのいずれかが添加されている圧電材料としてもよい。
本発明は、圧電材料の製造方法にも及んでおり、当該製造方法は、
BaTiOで表される化合物の原材料を混合する第1物質混合ステップと、
前記第1物質混合ステップにより混合された原材料を仮焼成する第1物質仮焼成ステップと、
前記第1物質仮焼成ステップを経た前記原材料を粉砕して粉体を得る第1物質粉体生成ステップと、
MをTaとして、(Bi0.5Na0.5)(Ti(1−y))Oで表される化合物の原材料を混合する第2物質混合ステップと、
前記第2物質混合ステップにより混合された原材料を仮焼成する第2物質仮焼成ステップと、
前記第2物質仮焼成ステップを経た前記原材料を粉砕して粉体を得る第2物質粉体生成ステップと、
前記第1物質粉体生成ステップと前記第2物質粉体生成ステップのそれぞれによって得た粉体と、焼結助剤であるMnCOとCoの一方、あるいは両方とを混合する焼結助剤混合ステップと、
前記焼結助剤混合ステップにより得た混合されたものにバインダーを添加して造粒したものを所定の形状に成形した上で焼成する焼成ステップと、
を含み、
前記第2物質混合ステップでは0.05≦x≦0.15、0.06≦y≦0.14となるように前記化合物の原材料を混合する、
ことを特徴とする圧電材料の製造方法としている。
あるいは、BaTiO で表される化合物の原材料を混合する第1物質混合ステップと、
前記第1物質混合ステップにより混合された原材料を仮焼成する第1物質仮焼成ステップと、
前記第1物質仮焼成ステップを経た前記原材料を粉砕して粉体を得る第1物質粉体生成ステップと、
MをZrとして、(Bi 0.5 Na 0.5 )(Ti (1−y) )O で表される化合物の原材料を混合する第2物質混合ステップと、
前記第2物質混合ステップにより混合された原材料を仮焼成する第2物質仮焼成ステップと、
前記第2物質仮焼成ステップを経た前記原材料を粉砕して粉体を得る第2物質粉体生成ステップと、
前記第1物質粉体生成ステップと前記第2物質粉体生成ステップのそれぞれによって得た粉体と、焼結助剤であるMnCO とCo の一方、あるいは両方とを混合する焼結助剤混合ステップと、
前記焼結助剤混合ステップにより得た混合されたものにバインダーを添加して造粒したものを所定の形状に成形した上で焼成する焼成ステップと、
を含み、
前記第2物質混合ステップでは0.05≦x≦0.15、0.04≦y≦0.07となるように前記化合物の原材料を混合する、
ことを特徴とする圧電材料の製造方法とすることもできる。
そして前記製造方法において、前記第1物質混合ステップでは、前記BaTiOで表される化合物の原材料に、少なくともBiとLiCOいずれかを添加することとしてもよい。
本発明の圧電材料によれば、環境に優しく、圧電特性に優れた2成分系圧電材料とすることができる。また、本発明の製造方法によれば、圧電特性に優れた2成分系圧電材料を再現性よく製造することが可能となる。
本発明の実施例に係る圧電材料の製造方法を説明するための工程図である。
===本発明の基本概念===
本発明者は、BT−BNT系圧電材料における課題を解決し、圧電特性をさらに向上させるべく鋭意研究を重ねた。そして、その研究過程では、まず、BT−BNT系圧電材料の組成を基本にしつつ、MnやCoなどを含んだ焼結助剤を添加し、BTの焼結温度を低減させることを試みた。しかし、単純に焼結助剤を用いてBT−BNT系圧電材料を焼成した場合、焼成温度が上昇するのに従って焼結温度が低いBNTの方へ焼結助剤が流れ込み、2成分の双方の焼結成温度の差がさらに拡大し、期待した程、均一に緻密化させることができない、ということを知見した。また、BTの焼結温度が低下するため、BT本来の優れた特性も発現しにくい、ということも知見した。とくに比誘電率が低い、ということが知見された。そして、焼結助剤を用いつつ、BNTの焼結温度を高くすることができれば、BNTによりBTのキューリー温度を高めつつ、均一な緻密化とBNT中のBiの揮発を抑制して、圧電特性の向上も達成できるのではないかと、と考えた。そして、これらの知見や考察に基づいて本発明に想到した。
===圧電材料の基本的な組成===
本発明の実施例における圧電材料は、BT−BNT系圧電材料の組成を基本とし、当該組成中のBNT側の焼結温度を高めるための材料を添加している。概略的には、以下の一般式、
(1−x)BaTiO−x(Bi0.5Na0.5)(Ti(1−y))O
で表される化合物を圧電性の発現物質とし、当該化合物の原材料に焼結助剤を添加したものを焼結させることで最終的な圧電材料を得ている。概略的には、上記一般式中のMをBNTの焼結温度を高めるための難燃性の物質とし、そのMをTaまたはZrとした化合物を圧電性の発現物質としている。そして、その物質に焼結助剤を添加したものを焼結させたものを最終的な圧電材料としている。
===サンプル===
本発明の実施例に係る圧電材料の特性を評価するために、上記化合物の一般式におけるM(TaまたはZr)、xとyの値、焼結助剤を含む各種添加剤の種類などが異なる複数種類の圧電材料をサンプルとして作製した。また、従来のBT−BNT系圧電材料、すなわち、上記化合物の一般式において、Mが含まれない組成を有する圧電材料もサンプルとして作製した。
===第1の実施例===
本発明の第1の実施例に係る圧電材料として、(1−x)BaTiO−x(Bi0.5Na0.5)(Ti(1−y)Ta)Oで表される化合物に焼結助剤が添加されている圧電材料と、従来の圧電材料となるBT−BNT系圧電材料とをサンプルとして作製し、そのサンプルにおける圧電特性を評価した。
<製造方法>
圧電材料の一般的な製造方法は、全原材料を混合して焼成することを基本としているが、この方法では、同じ条件で製造した圧電材料であっても、圧電特性や密度などの物性にバラツキがあることが知見された。そこで、本発明の実施例に係る圧電材料の特性の信頼性を高めるため、2成分系圧電材料の製造方法について検討した。その結果、各成分の原材料を焼成温度より低い温度で個別に「仮焼成」し、その個別に仮焼成して得た粉体を混合して焼成すると、原材料の割合、焼成温度やその時間などの条件が同じであれば、圧電特性や密度などの物性にバラツキが少なく、高い再現性が得られる、とういことが判明した。そして、以下の従来例や各実施例に係る圧電材料は、このような方法に従って製造している。
図1に、第1の実施例および従来例に係る圧電材料からなるサンプルの製造手順を具体的に示した。この図に示したように、圧電材料を構成する主要な二つの成分であるBT(図中、第1成分)とBNT(第2成分)、あるいは第1成分であるBTとBNTと同様に第2成分となる(Bi0.5Na0.5)(Ti(1−y)Ta)Oで表される化合物(以下、BNTT)に対応する物質を仮焼成工程まで個別に行う(s1〜s4,s5〜s8)。まず、BTとBNT、あるいはBTとBNTTのそれぞれの原材料をサンプルに応じた割合で個別に秤量する(s1,s5)。なお、当該秤量工程(s1,s5)では、BTについては、原料としてBaCOとTiOを混合し、BNTについては、Bi、NaCO、TiOを混合している。また、BNTTについては、BNTの原材料にさらにTaを加えている。
次に、各成分の原材料をそれぞれボールミル中で溶媒となるアルコール(エタノールなど)を入れて24h湿式混合する(s2,s6)。それによって、各成分についての原材料の混合物が粉体状に粉砕される。そして、この粉体状の混合物を大気中にて800℃〜1000℃の温度で1時間(h)〜3h仮焼成する(s3,s7)。
さらに、仮焼成後の粉体状原材料を成分ごとに再度ボールミルによって24h混合しながら粉砕し(s47,s8)、その上で、両成分の原材料をボールミルを用いて24h混合する(s9)。このとき、サンプルに応じて焼結助剤も添加する。ここでは、MnCOを0.52wt%添加した。そして、仮焼成を経た各成分の原材料と焼結助剤との混合物にバインダーとなるPVA水溶液を加えて混合する。それによって、適宜な大きさの粒子径の粉末に造粒される(s10)。
その後、この造粒された粉末を目的とする形状に成形する。ここでは、3000kg/cmの圧力で、直径Φ≧20mm、厚さt=1.0mmとなる円板状に加工する(s11)。そして、その成形物を大気中で1250〜1350℃で2h焼成し(s12)、圧電セラミックスを得る。最後に、焼結した円板状の圧電セラミックスの両面にAg電極を焼き付け(s13)、4Kv/mmの電界を70℃の温度下で30min印加することで分極処理を施し、評価対象となる最終的な圧電材料(サンプル)とした(s14)。
表1にサンプルの作製条件と各種物性とを示した。
Figure 0005914081
表1において、サンプルA1は、(1−x)BT−xBNTに焼結助剤としてMnCoを0.5wt%添加した従来の圧電材料であり、x=0.05としている。この従来の圧電材料に対し、サンプルB1〜B6は、(1−x)BT−xBNTT(以下、BT−BNTT圧電材料)であり、BTの割合を同じにするためにx=0.05としている。また、BNTTの組成(Bi0.5Na0.5)(Ti(1−y)Ta)O中のyの値については、y=0.05〜0.15とし、BNTにおけるTiの5〜15%をTaに置換している。なお、サンプルB1については、焼結助剤を添加していない。サンプルB2〜B6には、MnCoを0.5wt%添加している。また、表中の焼成温度については、焼結させるのに必要な温度であり、サンプルA1、B1〜B6は、BTが焼結する温度である1300℃となっている。
表1に示した結果より、BT−BNTT圧電材料であるサンプルB1〜B6のうち、焼結助剤を添加していないサンプルB1では、位相θがマイナス値となり、機械的品質係数Qmが従来例よりもかなり劣化した。したがって、BT−BNTT圧電材料であっても焼結助剤の添加は必須の条件となる。焼結助剤を添加したBT−BNTT圧電材料であるサンプルB2〜B6は、従来例となるサンプルA1と比較すると、キューリー温度が低下したものの、BTのキューリー温度である120℃よりは高くなっている。密度ρに関しては、yの値を0.15としたサンプルB6で若干低下したものの、総じて5.5g/cm以上を維持し、実用上問題ない程度の密度を確保し、y=0.05〜0.14の範囲では従来例よりも密度が高くなった。そして、サンプルB2〜B6では、圧電材料を実際に使用する際に重視される圧電特性である、比誘電率εの値が従来例A1に対して劇的に増加した。また、Qmについてもεとトレードオフの関係が見られるものの、絶対値としては、大幅に増加した。電気機械係数Krも増加した。
===第1の実施例の最適化===
上述したように、焼結助剤を添加したBT−BNTT圧電材料は、BT−BNT圧電材料よりもQmやεの特性を向上させることが確認できた。そこで、BT−NTT系圧電材料において、組成中のxやyの値に最適数値範囲があるかどうかを検討するために、組成中のxおよびyの値を変えた各種BT−BNTT系圧電材料をサンプルとして作製し、圧電特性を含む各種物性を評価した。
以下の表2にサンプルの作製条件と物性値とを示した。
Figure 0005914081
表2に示したように、BT−BNTT系圧電材料は、組成中のxやyの値によらず、表1に示した従来例のサンプルA1と比較するとεを増加させることが確認できた。また、xを増加させてBNTTの比率を上げると、焼結温度が低下する傾向があり(サンプルB11,B12,B16〜B18)、生産性を向上させることも期待できる。その一方で、BNTTの比率が0.16にまで増えると、Taの割合が減少するのに従ってθやQmが劣化する傾向があった(サンプルB16,B17)。一方、BNTTの比率を0.04と少なくすると、キューリー温度が低下する(サンプルB7〜B10)。しかし、Qmやεについては、従来例のサンプルA1よりも優れている。そして、ここで、従来例と比較して極めて優れた特性として、Tc≧120℃、θ≧50゜、ρ≧5.8g/cm、Qm≧500、ε≧500となる条件を規定すると、BT−BNTT系圧電材料では、0.05≦x≦0.15、0.06≦y≦0.14であることが望ましい。
===第2の実施例===
本発明の第2の実施例に係る圧電材料として、(1−x)BaTiO−x(Bi0.5Na0.5)(Ti(1−y)Zr)Oで表される化合物に焼結助剤としてMnCOが添加されている圧電材料(以下、BT−BNZT圧電材料)をサンプルとして作製し、そのサンプルにおける圧電特性を評価した。なお、製造方法については、図1に示した秤量工程s5で、BNTTの原材料の代わりに、BT−BNZT系圧電材料の組成で、(Bi0.5Na0.5)(Ti(1−y)Zr)Oで表される化合物(以下、BNZT)の原材料を秤量すればよい。具体的には、BNZTの原材料として、Bi、NaCO、TiO、ZrOの各材料を秤量する。
表3にサンプルの作製条件と各種物性とを示した。
Figure 0005914081
表3において、サンプルC1〜C5は、BT−BNZT圧電材料であり、BTとBNZTの割合を(1−x):xとして、x=0.05としている。すなわち、表1に示した従来例に係るサンプルA1におけるBTの割合と同じにしている。BNZTの組成(Bi0.5Na0.5)(Ti(1−y)Zr)O中のyの値については、y=0.03〜0.08として、BNTにおけるTiの3%〜8%ををTaに置換している。また、サンプルC1は、xとyの値をサンプルC2と同じとしながら、焼結助剤を添加していない圧電材料である。
表3に示した結果より、BT−BNZT圧電材料であるサンプルC1〜C5のうち、焼結助剤を添加していないサンプルC1では、θがマイナス値となり、Qmが従来例よりもかなり劣化した。したがって、BT−BNZT圧電材料も焼結助剤の添加は必須の条件となる。
焼結助剤を添加したBT−BNZT圧電材料であるサンプルC2〜C5は、従来例となるサンプルA1と比較すると、キューリー温度が同等かそれ以上となり、密度ρは、サンプルA1よりも大きくなった。また、Qmとεのうち、Qmについては、サンプルC3以外は、低下した。εについては焼結助剤を添加していないサンプルC1を含めて全てのサンプルで劇的に増加した。また、サンプルC2〜C5では、Krも増加した。
===第2の実施例の最適化===
焼結助剤を添加したBT−BNZT圧電材料は、εの特性を大幅に向上させることが確認できた。つぎに、BT−NTZT系圧電材料において、組成中のxやyの値に最適数値範囲があるかどうかを検討するために、組成中のxおよびyの値を変えた各種BT−BNZT系圧電材料をサンプルとして作製し、圧電特性を含む各種物性を評価した。
以下の表4にサンプルの作製条件と物性値とを示した。
Figure 0005914081
表4に示したように、BT−BNZT系圧電材料は、組成中のxやyの値によらず、表1に示した従来例のサンプルA1と比較するとεを増加させることが確認できた(サンプルC6〜C21)。そして、xを増加させてBNZTの比率を上げるとともに、BNZT中のZrの比率を下げると焼結温度が低下する傾向があった(サンプルC14,C15,C18〜C20)。また、xの値が0.11と大きい場合、yの値が同じであればQmが劣化する(サンプルC18〜C21)。一方、BNTTの比率を0.02と少なくすると、キューリー温度が低下することが確認された(サンプルC6〜C9)。そして、ここで、第1の実施例と同様に、Tc>120℃、θ>50゜、ρ>5.8g/cm、Qm>500、ε>500を条件として、第2の実施例に係る圧電材料におけるxやyの最適値を求めると、BT−BNZT系圧電材料では、0.03≦x≦0.10、0.04≦y≦0.07とすることがより望ましい。
===焼結助剤について===
上記第1、および第2の実施例では、焼結助剤としてMnCOをBT−BNTT圧電材料、およびBT−BNZT圧電材料に添加していた。そこで、つぎに、このMnCO以外の焼結助剤を添加したBT−BNTT圧電材料、およびBT−BNZT圧電材料について検討した。具体的には、MnCOを0.5wt%添加するのに代えてCoを1.0wt%添加したBT−BNTT圧電材料、およびBT−BNZT圧電材料をサンプルとして作製し、それらのサンプルの各種物性を測定した。
表5にCoを添加したBT−BNTT圧電材料の物性値を示した。
Figure 0005914081
表6にCoを添加したBT−BNZT圧電材料の物性値を示した。
Figure 0005914081
上記表5において、サンプルD1は、サンプルB4と同じ組成のBT−BNTT圧電材料にCoを添加したものであり、表6におけるサンプルD2は、サンプルC1と同じ組成のBT−BNTT圧電材料にCoを添加したものである。サンプルD1、およびサンプルD2は、サンプルB4、およびサンプルC1と比較すると、圧電特性がほぼ同様で、焼成温度が低下すること確認された。したがって、MnOとCoいずれも焼結助剤として採用することが可能である。もちろん、これら両方を焼結助剤として添加した場合では、それぞれを添加したときの特性を平均した特性が得られることが容易に想像できる。
===その他の実施例===
上記第1、および第2の実施例に係る圧電材料では、BT−BNT系圧電材料の組成中のBNTに含まれているTiの一部を難燃性のTaやZrに置換するとともに、焼結助剤を添加することで、BTが緻密化する1300℃以上の焼成温度でもBNT中のBiの揮発を防ぎ、とくにεの特性を向上させることができた。
その一方で、緻密度を確保した上で、焼成温度をさらに低下させることができれば、生産性を向上させることも期待できる。あるいは、同じ焼成温度でもより密度を高めることが期待できる。また、上記第1および第2の実施例に係る圧電材料では、実用上問題ない程度のQmの値は確保できたものの、このQmをさらに向上させる余地があった。そして、圧電材料では、特定の圧電特性が優れていることも重要であるが、各特性のバランスが良い、ということも重要である。
そこで、第1および第2の実施例に係る圧電材料のεが従来例と比較して極めて優れていることから、このεについては、ある程度の低下を許容する代わりに、上述した生産性、あるいは密度やQmを向上させることを検討した。概略的には、第1または第2の実施例に係る圧電材料に対し、BTの焼結温度を降下させるために、BiやLiCOなどの添加剤を加えることで、焼結温度を低下させたり、同じ焼結温度でも密度を増加させて結果的にQmを向上させたりする、という手法を検討した。なお、当該検討に際して採用した製造方法は、BTにおける高い焼結温度を降下させることを目的としていることから、図1に示した手順s1において、BTの原材料に、Bi、あるいはLiCOの各材料を秤量し、手順s2において、BTの原材料とBi、あるいはBTの原材料とLiCOを混合している。
表7にBi、LiCOのいずれかを添加したBT−BNTT圧電材料の物性値を示した。
Figure 0005914081
表8にBi、LiCOのいずれかを添加したBT−BNZT圧電材料の物性値を示した。
Figure 0005914081
上記の表7、8において、添加剤のBi、Liは、それぞれ、Bi、LiCOを表している。ここでまず、表7に示したサンプルE1、およびE2は、サンプルB6に対してBi、およびLiCOを添加した圧電材料であり、これらサンプルの各物性値を見てみると、双方ともに、従来例に係る圧電材料であるサンプルA1(表1参照)と比較して、密度ρが増加し、Qmとεも増加した。そして、好適とされるTc>120℃、θ>50゜、ρ>5.8g/cm、Qm>500、ε>500の条件も満足している。また、サンプルB6と比較すると、εの値が低下したものの、Qmの値が増加している。すなわち、従来例に係るサンプルA1に対し、密度が増加し、さらに圧電特性がバランス良く向上していることが分かる。なお、LiCOを添加したサンプルE2では、密度ρを増加させた上で、焼成温度を1250℃に低下させている。
次に表8に示したサンプルE3、E4の特性を見てみる。サンプルE3とE4は、それぞれ、サンプルC2に対してBi、およびLiCOを添加した圧電材料であり、これらも、サンプルA1と比較すると、密度ρが増加し、Qmとεがともに向上し、Tc>120℃、θ>50゜、ρ>5.8g/cm、Qm>500、ε>500の条件も満たしている。そして、第2の実施例におけるサンプルC1と比較すると、εの値が低下したものの、Qmの値が劇的に増加している。すなわち、従来例のサンプルA1に対しては、密度とともに圧電特性がバランス良く向上している。さらに、Biを添加したサンプルE3では、εの値がサンプルC2とほぼ同じで、高い値を維持した。また、LiCOを添加したサンプルE4では、焼成温度が1275℃に低下した。
なお、Bi、LiCOは、上述したサンプルE1〜E4のように、単体でBT−BNTT圧電材料やBT−BNZT圧電材料に添加してもよいし、両方とも添加してもよい。両方を添加した場合は、BiとLiCOの添加割合に応じた中間的な特性が得られることが予想される。
この発明は、圧電ブザーや超音波モーターなどの圧電性を利用した機器や素子に利用することができる。
s1、s5 原料配合工程
s2、s6 混合粉砕工程
s3、s7 仮焼成工程
s12 焼成工程

Claims (6)

  1. 一般式(1−x)BaTiO−x(Bi0.5Na0.5)(Ti(1−y))Oで表される化合物に、焼結助剤として少なくともMnCOとCoのいずれかが添加されているとともに、前記一般式中のMがTaであって、0.05≦x≦0.15、0.06≦y≦0.14であることを特徴とする圧電材料。
  2. 一般式(1−x)BaTiO −x(Bi 0.5 Na 0.5 )(Ti (1−y) )O で表される化合物に、焼結助剤として少なくともMnCO とCo のいずれかが添加されているとともに、前記一般式中のMがZrであって、0.05≦x≦0.15、0.04≦y≦0.07であることを特徴とする圧電材料。
  3. 請求項1または2において、前記化合物中の組成であるBaTiOに、少なくともBiとLiCOのいずれかが添加されていることを特徴とする圧電材料。
  4. 圧電材料の製造方法であって、
    BaTiOで表される化合物の原材料を混合する第1物質混合ステップと、
    前記第1物質混合ステップにより混合された原材料を仮焼成する第1物質仮焼成ステップと、
    前記第1物質仮焼成ステップを経た前記原材料を粉砕して粉体を得る第1物質粉体生成ステップと、
    MをTaとして、(Bi0.5Na0.5)(Ti(1−y))Oで表される化合物の原材料を混合する第2物質混合ステップと、
    前記第2物質混合ステップにより混合された原材料を仮焼成する第2物質仮焼成ステップと、
    前記第2物質仮焼成ステップを経た前記原材料を粉砕して粉体を得る第2物質粉体生成ステップと、
    前記第1物質粉体生成ステップと前記第2物質粉体生成ステップのそれぞれによって得た粉体と、焼結助剤であるMnCOとCoの一方、あるいは両方とを混合する焼結助剤混合ステップと、
    前記焼結助剤混合ステップにより得た混合されたものにバインダーを添加して造粒したものを所定の形状に成形した上で焼成する焼成ステップと、
    を含み、
    前記第2物質混合ステップでは0.05≦x≦0.15、0.06≦y≦0.14となるように前記化合物の原材料を混合する、
    ことを特徴とする圧電材料の製造方法。
  5. 圧電材料の製造方法であって、
    BaTiOで表される化合物の原材料を混合する第1物質混合ステップと、
    前記第1物質混合ステップにより混合された原材料を仮焼成する第1物質仮焼成ステップと、
    前記第1物質仮焼成ステップを経た前記原材料を粉砕して粉体を得る第1物質粉体生成ステップと、
    をZrとして、(Bi0.5Na0.5)(Ti(1−y))Oで表される化合物の原材料を混合する第2物質混合ステップと、
    前記第2物質混合ステップにより混合された原材料を仮焼成する第2物質仮焼成ステップと、
    前記第2物質仮焼成ステップを経た前記原材料を粉砕して粉体を得る第2物質粉体生成ステップと、
    前記第1物質粉体生成ステップと前記第2物質粉体生成ステップのそれぞれによって得た粉体と、焼結助剤であるMnCOとCoの一方、あるいは両方とを混合する焼結助剤混合ステップと、
    前記焼結助剤混合ステップにより得た混合されたものにバインダーを添加して造粒したものを所定の形状に成形した上で焼成する焼成ステップと、
    を含み、
    前記第2物質混合ステップでは0.05≦x≦0.15、0.04≦y≦0.07となるように前記化合物の原材料を混合する、
    ことを特徴とする圧電材料の製造方法。
  6. 請求項4または5において、前記第1物質混合ステップでは、前記BaTiOで表される化合物の原材料に、少なくともBiとLiCOいずれかを添加することを特徴とする圧電材料を製造方法。
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