JP2009096668A - 圧電セラミックス - Google Patents

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Koichi Kikuta
浩一 菊田
Shinichi Hirano
眞一 平野
Keiki Watanabe
慶樹 渡辺
Kenichi Sumita
健一 住田
Sumuto Sago
澄人 左合
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Abstract

【課題】 従来よりも低温で焼成でき且つ高い特性を有する非鉛系の圧電セラミックスを提供する。
【解決手段】 圧電セラミック素子は、ペロブスカイト化合物のAサイトの元素(KxNa1-x)よりもBサイトの元素(Nb1-zTaz)が過剰となるように調合されると共に、その調合時にCuOが添加されることによって、焼成温度がアルカリ成分の揮発やKNbO3の溶融等の不都合が抑制され延いては焼結性を高めた組成において、更に、MnOおよび希土類酸化物がそれぞれ2.0(mol%)以下の範囲で仮焼粉末に混合されることから、従来に比較して圧電定数等の電気的特性が向上させられる。しかも、希土類が含まれることによって電気的特性の経時的な低下が抑制されるので、実用上の電気的特性が一層高いものとなる。
【選択図】図3

Description

本発明は、非鉛系の圧電セラミックスの改良に関する。
圧電体は、電気エネルギーを直接的に機械エネルギーに変換可能な材料として、フィルターやアクチュエーターなどの様々な分野で応用されている。現在、圧電材料の主流は、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3;以下、PZTという)を中心とした鉛系ペロブスカイト化合物であるが、鉛(特にPbO)が有害であることから製造時や廃棄時における環境負荷の高い欠点が指摘されている。そこで、これに代わる材料として、例えばニオブ酸カリウムナトリウム((K,Na)NbO3)等の組成式ANbO3(Aはアルカリ金属)で表される非鉛系の圧電セラミックスが提案されている。
また、上記ANbO3系非鉛系圧電材料において、Cu、Li、Ta等を添加することにより、焼結性を改善し延いては圧電特性を改善することが行われている(例えば特許文献1を参照。)。更に、(K,Na)NbO3系組成(Aサイトの一部およびBサイトの一部または全部を他の元素で置換した組成を含む)をAサイト原子がBサイト原子に対して少ない非化学量論組成に構成すると共にCuを添加することにより、その焼結性を改善して緻密で圧電特性の高い圧電体を得ることも提案されている(例えば特許文献2を参照。)。また、一般式{Lix(K1-yNay)1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3(但し、0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2)で表されるペロブスカイト化合物において、Ag,Al,Au,B,Ba,Bi,Ca,Ce,Co,Cs,Cu,Dy,Er,Eu,Fe,Ga,Gd,Ge,Hf,Ho,In,Ir,La,Lu,Mg,Mn,Nd,Ni,Pd,Pr,Pt,Rb,Re,Ru,Sc,Si,Sm,Sn,Sr,Tb,Ti,Tm,V,Y,Yb,Zn,Zrから選ばれる何れかの金属元素を微量添加することにより、焼結性を改善することも提案されている(例えば特許文献3を参照。)。
特に、上記特許文献2に記載された技術によれば、ANbO3系材料にCuを添加した場合の比誘電率εの低下や、LiおよびTaを添加した場合の電気機械結合係数kpおよびキュリー温度の低下等の特性低下を伴うことなく焼結性が高められる。なお、(K,Na)NbO3系組成はANbO3系の中でも比較的高特性を有する一方で特に難焼結である。焼結性の劣る理由は、アルカリ金属成分(K,Na)が揮発し易く且つ成分中のKNbO3が低融点であるため、焼結完了前に主成分が溶融し、異常粒成長が生じ易いので十分に緻密化する程度まで焼成温度を高くすることができない点にあるものと考えられる。
特開2000−313664号公報 特開2004−115293号公報 特開2004−244300号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載されるように非化学量論組成の(K,Na)NbO3系材料にCuを添加した圧電セラミックスにおいても、PZTに比較すると未だ圧電特性が低く、更に向上させることが望まれていた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、従来よりも一層高い特性を有する非鉛系の圧電セラミックスを提供することにある。
斯かる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、組成式(KxA1-x)y(Nb1-zBz)O3(但し、AはNaおよびBiの少なくとも一方の元素、BはTaおよびTiの少なくとも一方の元素、0<x≦1、0.9<y<1、0≦z≦0.4)で表される非化学量論組成(以下、非化学量論組成Cn或いは組成Cnという。)のペロブスカイト化合物と所定量のCuとを含む非鉛系の圧電セラミックスであって、(a)Mnを2.0(mol%)以下の範囲で、希土類を2.0(mol%)以下の範囲でそれぞれ含むことにある。
このようにすれば、(KxA1-x)(Nb1-zBz)O3で表される化学量論組成(以下、化学量論組成Csまたは組成Csという。)のペロブスカイト化合物のAサイトの元素(KxA1-x)よりもBサイトの元素(Nb1-zBz)を過剰とすると共に、Cuを含むことによって、その焼成温度をアルカリ成分の揮発が問題とならない程度まで低下させた組成において、更に、Mnおよび希土類が2.0(mol%)以下の範囲で含まれることから、電気的特性が向上させられる。そのため、従来に比較して一層高い電気的特性を有する非鉛系の圧電セラミックスが得られる。
なお、Mnおよび希土類は、僅かな添加量でもその添加量に応じた電気的特性の向上が認められるため、添加量の下限値は特に定めることができない。一方、添加量が過剰になると、却って電気的特性が低下する傾向があり、2.0(mol%)を超えると、これらを添加しない場合に比較して特性が低くなる。また、これらのうち一方だけを添加しても、希土類を欠く場合には、初期的には高い電気的特性が得られるものの、経時的な変化(低下)が著しく、電気的特性を向上させることができるとは言えない。また、Mnを欠く場合には初期的な電気的特性を十分に向上させることができない。なお、Mnを添加することによって電気的特性が向上するのは、例えば、添加されたMnが焼成中に価数変化を生ずることで安定性に寄与するためと考えられる。また、希土類は、Aサイトの元素とイオン半径が略同程度で、専らAサイトを置換するものと考えられるが、Aサイト元素よりも高価数であるからドナー的な作用を有し、圧電定数を高め、安定させるものと考えられる。
また、前記yの値が0.9未満では、Bサイトの元素(Nb,Ta,Ti)の過剰量すなわち化学量論比からのずれが大きくなり過ぎるため、副生成物の生成量が過剰になって却って圧電特性が低下する。
また、前記zの値が0.4を超えると、TaおよびTiが過剰になることに起因して電気機械結合係数kpや機械的品質係数Qm等の圧電特性が著しく低下する。すなわち、NbがTa、Tiで置換されると誘電率が向上するが、他の圧電特性は低下する傾向にある。これらを共に満足させるためには、zの値は前記範囲とすることが必須である。なお、特に、KTaO3が固溶した場合には、比誘電率の向上も認められるが、電気機械結合係数kpの低下が同時に起こることに起因して、圧電定数d33は、0≦z≦0.4の範囲内で極大値を持つことになる。すなわち、z=0の場合に比較して高い値を得ることができる。
また、Cu添加による焼成温度低下は、前記特許文献2に記載されているように、焼成時に過剰のBサイト元素とCuとが反応し、KaCubNbcOd、KeCufTagOh、およびKiCujTikOl(但し、a乃至lはそれぞれ任意の数)等の副生成物が生じ、延いては(KxA1-x)(Nb1-zBz)O3の溶融が抑制されると共に粒成長が抑制されて焼結が促進されるためと考えられる。特に、Nbの一部がTa等で置換される場合には、低融点である(KxA1-x)NbO3の割合が少なくなるので、系全体の融点が高められ延いては焼成温度をアルカリ成分の揮発が問題とならない範囲内において高めることができるため、ペロブスカイト化合物の焼結性を一層高めることができる。すなわち、ホットプレス等の特殊な成形・焼成方法を採る必要が無く常圧焼結が可能となる。また、焼結性が高められることにより緻密化すると共に、副生成物が存在する結果として、圧電特性も高められる。特に、Nbの一部がTa等で置換されている場合には、比誘電率が著しく向上する。
ここで、好適には、前記圧電セラミックスは、Znを2.0(mol%)以下の範囲で含むものである。このようにすれば、十分に低温で焼成することが可能となる。
また、好適には、前記所定量は、前記ペロブスカイト化合物全体に対して0.2〜1.0(mol%)の割合である。このようにすれば、Cuの含有量が0.2(mol%)以上であることから、副生成物の生成量が十分に多くなり延いてはペロブスカイト化合物の焼結性が十分に高められると共に、Cuの含有量が1.0(mol%)以下であることから、液相の生成量が適度に留められて高い焼結密度が得られる。一層好適には、Cuの含有量は、0.4(mol%)以上である。また、好適には、Cuの含有量は、0.8(mol%)以下である。本発明は、このようなCuの含有量の場合に、一層顕著な効果を得ることができる。
一層好適には、前記組成式のyの値は、0.99未満が好ましい。このような組成で、特に、Cuを0.2(mol%)以上添加した場合には、機械的品質係数Qmが著しく向上させられると共に、誘電損失tanδが低く抑制される。
また、好適には、前記組成Cnにおいてxの値は0.5である。すなわち、ペロブスカイト化合物は、(K0.5A0.5)y(Nb1-zBz)O3で表されるものが好適に用いられる。(K,Na,Bi)(Nb,Ta,Ti)O3においては、Kの割合が多くなると焼結性が低下する一方、Na或いはBiの割合が多くなると圧電性が低下する傾向にある。そのため、xの値はこれらの兼ね合いで適宜の値が選定されるものであるが、一般的には、0.5程度に設定すると、適度な焼結性および圧電性が得られる。
また、好適には、本発明の圧電セラミックスは、前記化学量論組成Csで表されるペロブスカイト化合物を生成するための主成分と、KaCubNbcOd、KeCufTagOh、およびKiCujTikOl(但し、a乃至lはそれぞれ任意の数)の少なくとも一つの化合物から成る第2成分と、Mnまたはその化合物から成る第3成分と、希土類元素またはその化合物から成る第4成分とを含む原料を所定形状に成形して焼成処理を施すことによって製造される。上記第3成分は、Mnの酸化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、或いは硝酸塩等であり、上記第4成分は、希土類の酸化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、或いは硝酸塩等である。また、圧電セラミックスの構成成分にZnが含まれる場合には、上記に加えて、Znまたはその化合物から成る第5成分をも含む原料が用いられる。Znは、Mnや希土類と同様な化合物の形態で含まれ得る。なお、上記第3成分および第4成分に代えて、或いはこれらに加えて、Mnと希土類元素との化合物を添加することもできる。このような化合物としては、例えば、LaMnO3、LaMn7O12等が挙げられる。また、Znが含まれる場合には、第3成分、第4成分および第5成分の少なくとも2つに代えて、或いはこれらに加えて、Mn、Zn、および希土類元素間の化合物を添加することもできる。
また、好適には、本発明の圧電セラミックスは、前記非化学量論組成Cnで表されるペロブスカイト化合物が生成されるように調合割合が定められた第1出発原料と、Cuの供給源となる第2出発原料とを混合する混合工程と、これを仮焼する仮焼工程と、その仮焼原料にMnの供給源となる第3出発原料と希土類の供給源となる第4出発原料とを混合して、成形後、焼成処理を施すことによって製造される。上記第2出発原料は、Cuまたはその化合物であれば特に限定されないが、例えばCuOであり、第3出発原料は、Mnの酸化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、或いは硝酸塩等であり、上記第4出発原料は、希土類の酸化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、或いは硝酸塩等である。圧電セラミックスの構成成分にZnが含まれる場合には、上記に加えて、Znの供給源となる第5出発原料が例えば上記第3出発原料および第4出発原料と同時に混合される。なお、これら第3、第4、第5出発原料は、添加しようとする元素間の化合物で一部或いは全てを置き換え得る。
上記成形工程は、良く知られたセラミックスの種々の成形方法が適用されるが、例えば、湿式静水圧成形(CIP)によることが好適である。
なお、本願において、Cu、Mn、希土類、およびZnは適宜の態様でペロブスカイト化合物内に含まれ得る。具体的には、例えば、結晶中への固溶や、結晶粒界に存在するもの等が挙げられるが、単一の態様で含まれていても、複数の態様で含まれていても差し支えない。
また、本発明の圧電セラミックスは、用途に応じた種々の形態を成すものであり、その寸法および形状は特に限定されない。形状としては、例えば、円板状、角柱状や矩形板状等が挙げられる。
また、本発明の圧電セラミックスの用途は特に限定されないが、例えば、超音波アクチュエータ、センサ、フィルタ、振動子、超音波モータ等に好適に用いられる。
また、本発明の圧電セラミックスの主成分であるペロブスカイト化合物は、前記組成Cnに示される難焼結性のものであれば特に限定されないが、例えば、(K,Na)(Nb,Ta)O3系の他、(Bi1/2Na1/2)TiO3-KNbO3、(Bi1/2K1/2)TiO3-KNbO3等に好適に適用される。
以下、本発明の一実施例を詳細に説明する。本発明の圧電セラミック素子は、例えば超音波アクチュエータに適用される。圧電セラミック素子の形状および寸法は用途に応じて適宜定められるもので、特に限定されないが、例えば20(mm)程度の略一様な直径寸法と1(mm)程度の略一様な厚さ寸法とを有して円板状を成すものが一例である。
圧電セラミック素子は、(K,Na)(Nb,Ta)O3例えば(K0.5Na0.5)0.97(Nb0.67Ta0.33)O3等の非鉛系ペロブスカイト化合物から成るものであって、その(K,Na)(Nb,Ta)O3の粒界には、例えばK4CuNb8O23、K5Cu2Nb11O30、或いはK5.4Cu1.3Ta10O29等のKaCubNbcOd(a,b,c,dは任意の数)或いはKeCufTagOh(e,f,g,hは任意の数)等で表されるCuの化合物が存在している。また、このペロブスカイト化合物のAサイトおよびBサイトの元素の一部は、Mn、Zn、およびLaやCe等の希土類で置換され、或いはそれらの元素の酸化物が粒界に含まれている。Cu化合物はCuO換算で0.2〜1.0(mol%)の範囲内、例えば0.5(mol%)の割合で含まれ、Mn、Zn、希土類は、それぞれ2.0(mol%)以下の範囲で含まれている。
このような圧電セラミック素子は、その密度が例えば4.50(g/cm3)程度、相対密度で99(%)程度と緻密で、170(pC/N)以上、例えば174〜202(pC/N)程度の圧電定数d33と、0.4以上、例えば0.440〜0.487程度の電気機械結合係数kpと、400以上、例えば440〜580程度の機械的品質係数Qmと、800以上、例えば840〜895程度の比誘電率εとを有する高特性の圧電体である。
上記の圧電セラミック素子は、例えば、出発原料の調合仕様等の他は従来の圧電セラミック素子と同様にして製造されるものであり、以下、その製造方法の概略を図1を参照して説明する。
先ず、調合工程P1においては、出発原料として、KHCO3(或いはK2CO3)、NaHCO3(或いはNa2CO3)、Nb2O5、Ta2O5、CuO等を用意し、基本組成が(KxNa1-x)y(Nb1-zTaz)O3(但し、0<x≦1、0.9<y<1、0≦z≦0.4)で、CuOが0.1〜0.4(wt%)すなわち0.2〜1.0(mol%)となるように秤量する。すなわち、ABO3で表されるペロブスカイト化合物において、Aサイトイオンに対してBサイトイオンが過剰となるように調合組成を定めた。上記x,y,zの値およびCuOの量は、所望する特性に応じて適宜定められる。
次いで、混合工程P2において、上記原料をポット等に入れ、エタノールを分散媒として24時間程度、湿式混合する。次いで、仮焼工程P3では、混合した原料を大気雰囲気中にて、例えば950(℃)程度の最高保持温度で2時間程度保持して仮焼を施す。この仮焼工程P3においては、添加されたCuOと過剰のBサイトイオンとが反応し、例えばKaCubNbcOd(例えばK4CuNb8O23)との組成を有する副成物が生成する。
次いで、添加・混合工程P4においては、この仮焼粉にMnO、ZnO、希土類酸化物を0.1〜5.0(mol%)の範囲で添加し、上記混合工程P2と同様にして組成の均一性を高める。次いで、乾燥・造粒工程P5においては、これを例えば100(℃)で24時間程度乾燥させた後、例えばPVA(ポリビニルアルコール)を加えて造粒する。これを例えば#60程度の目開きの篩を通して造粒粉末とした。
次いで、成形工程P6においては、上記の仮焼粉末を例えば150(MPa)程度の圧力でCIP(冷間静水圧プレス)にて成形する。なお、成形方法は製造しようとする圧電セラミック素子の寸法および形状、特性、或いは造粒粉末の性状等に応じて、金型プレス等の適宜の方法を採ればよい。或いは、金型プレスの後、CIPによって成形体の均一性を高めてもよい。次いで、焼成工程P7においては、例えば1000〜1100(℃)の範囲内で添加・混合工程P4で添加したMnO等の添加物の種類や添加量に応じて定めた最適焼成温度で成形体を本焼成する。最適焼成温度は、例えば、1050〜1090(℃)の範囲内、例えば1070(℃)程度である。なお、上記最適焼成温度は、例えば、合成しようとするペロブスカイト化合物の組成やCuOの添加量等、すなわち調合に応じて異なるものであって、各々について最も高い特性が得られるように定められる。
次いで、切削加工工程P8では、焼結体をダイヤモンドカッター等を用いて所望の寸法および形状となるように切削加工を施す。これにより、前記のような円板状の圧電セラミック素子が得られる。この後、必要に応じて、圧電セラミック素子の両面を互いに平行となるように研磨する研磨工程や、Agペーストを焼き付ける電極形成工程等が施され、圧電体として用いられる。
なお、上記の焼成工程P7では仮焼粉末からペロブスカイト化合物が生成されるが、仮焼段階で生成した副成物はペロブスカイト化合物の溶融を妨げ延いては粒成長(特に異常粒成長と称されるもの)を抑制する。すなわち、ペロブスカイト化合物の焼結は、結晶粒界にその粒成長を妨げる物質が存在する状態で進行することとなる。この結果、従来の(K,Na)NbO3に比較して緻密化が進むので、圧電セラミック素子は、前述したように高い圧電特性を有するものと考えられる。なお、Mnは、この焼成過程においてペロブスカイトのAサイト、Bサイト或いは粒界に入り、希土類はAサイトに入るものと推定される。
上記のように製造される本実施例の圧電セラミック素子は、ペロブスカイト化合物のAサイトの元素(KxNa1-x)よりもBサイトの元素(Nb1-zTaz)が過剰となるように調合されると共に、その調合時にCuOが添加されることによって、焼成温度がアルカリ成分の揮発やKNbO3の溶融等の不都合が抑制され延いては焼結性を高めた組成において、更に、MnOおよび希土類酸化物がそれぞれ2.0(mol%)以下の範囲で仮焼粉末に混合されることから、従来に比較して圧電定数等の電気的特性が向上させられた圧電セラミック素子が得られる。しかも、希土類が含まれることによって電気的特性の経時的な低下が抑制されるので、実用上の電気的特性が一層高いものとなる。
しかも、本実施例においては、添加物として更にZnが含まれていることから、焼成温度が十分に低い利点がある。
ここで、上記の製造方法によって得られた焼結体(圧電セラミック素子)の特性について、Mnの添加量と、希土類の種類および添加量を種々変更して評価した結果を説明する。希土類としては、La、Ce、Sm、Ndを用い、何れも酸化物の形態で添加した。以下の説明においては、これらの量を全て添加量で説明しているが、その値は、圧電セラミックスにおける含有量に一致するか、略一致すると考えてよい。なお、各評価結果において、特に示したものの他の条件は前述した製造方法と同一である。また、特性評価に際しては、前述したように研磨および電極形成処理を施した圧電セラミック素子を、例えば120(℃)のシリコーンオイル中で2.0〜3.5(kV/mm)の電界を30分印加して分極処理を施し、室温で24時間放置することによってエージングした後、日本電子材料工業会標準規格「圧電セラミックス振動子の電気的試験法(EMAS-6100)」に従い、インピーダンス・アナライザーを用いた共振反共振法によって電気的諸特性の評価を行った。また、圧電定数の測定は、d33メータを利用した。
下記の表1に評価結果を示す。No.1は、Mnおよび希土類を何れも添加していない比較例である。また、No.2、6、7は、Mnまたは希土類の何れかを欠く比較例である。実施例および比較例の何れも、(K0.5Na0.5)0.97(Nb0.67Ta0.33)O3を基本組成とし、これにCuを0.5(mol%)添加したものがNo.1の組成である。No.2以下の組成は、そのNo.1の組成にZnやLa等を添加したものである。なお、Znを添加しない場合には、焼成温度を十分に低下させることが困難で、1100(℃)以上で焼成する必要があったため、No.2以下の比較例および実施例では、全てZnを0.5(mol%)添加した組成とした。また、評価に際しては、組成毎に焼成温度を種々変更して試験し、最も高い圧電定数d33が得られた焼成温度を最適焼成温度と決定し、その最適焼成温度で焼成した場合の各特性を示した。
Figure 2009096668
上記の表1に示されるように、Mnおよび希土類を何れも添加していない比較例のNo.1では、圧電定数d33が170(pC/N)に留まっており、特性向上が望まれる。
これに対して、Mnおよび希土類を共に添加した系では、Mnの添加量および希土類の種類によって差異はあるものの、No.1に比較して高い圧電定数d33が得られている。希土類としてLaが用いられたNo.3〜5では、圧電定数d33が192〜202(pC/N)まで向上している。また、希土類としてCeが用いられたNo.8でも、圧電定数d33が198(pC/N)まで向上している。また、希土類としてSmが用いられたNo.9,10では、圧電定数d33が180〜190(pC/N)まで向上している。また、希土類としてNdが用いられたNo.11,12では、圧電定数d33が174〜181(pC/N)まで向上している。
なお、No.11は、Ndを0.3(mol%)、Mnを0.3(mol%)添加したものであるが、圧電定数d33が174(pC/N)で、No.1に対して僅かな特性向上に留まっている。Mn量を0.6(mol%)としたNo.12では181(pC/N)まで向上するから、希土類としてNdを用いる場合には、Mn量が微量でも添加効果は得られるものの、添加量を比較的多くすることが好ましい。また、Mn量が0.6(mol%)の実施例相互を比較すると、No.12は圧電定数d33がNo.4、No.8、No.10よりも低い値である。したがって、高い圧電定数d33を得る観点からは、希土類はNdよりもLa、Ce、Smが好ましいと言える。
一方、希土類は添加されているがMnが添加されていないNo.2、No.7では、それぞれ圧電定数d33が178(pC/N)、180(pC/N)であるから、何れも添加されていないNo.1に比較すれば圧電定数d33の値が向上している。しかしながら、希土類としてLaが添加されている系では、No.2とNo.3〜5とを、Ceが添加されている系では、No.7とNo.8とを、それぞれ比較すれば、希土類のみを添加した場合よりもMnと希土類を併用した場合の方が高い特性が得られることが判る。すなわち、Mnと希土類とを併用する場合の優位性が明らかである。また、希土類を含まないNo.6では、190(pC/N)の比較的高い圧電定数d33が得られたが、これは分極処理を行った直後の値で、後述するように経時変化が著しい問題がある。
なお、上記表1に示す結果では、実施例の機械的品質係数QmがNo.1よりも低い結果となっている。しかしながら、必要な特性値は用途に応じて異なるもので、実施例のように400〜500程度の値でも何ら支障はない。
図2は、上記表1に示す組成のうち、No.2〜8について、1060(℃)〜1090(℃)の範囲で焼成温度を変更して、焼成温度毎に圧電定数d33を測定したものである。なお、図示は省略したが、No.1の組成の最適焼成温度は1140(℃)であり、No.2〜No.8のようにZnを添加すると最適焼成温度が1050〜1090(℃)の範囲に低下する。したがって、本実施例のようにZnを添加すると、材料作製コスト面で大きな利点がある。図示の温度範囲において、Mnを含まない比較例No.2、No.7では比較的低い特性に留まっているが、Mnを添加した実施例No.3〜5、No.8では十分に高い特性が得られている。但し、試験した温度範囲では、概ね高温で焼成するほど高い特性が得られており、可能な範囲で高い温度で焼成することが望ましいと言える。
図3は、実施例No.4、5、8および比較例No.6について、圧電定数d33の経時変化を確かめたものである。上記3実施例は何れもMnおよび希土類(La)を含むが、比較例No.6はMnを含み、希土類を含まない。No.6の圧電定数d33は、初期値が前述したように190(pC/N)程度で、30日経過後には177(pC/N)程度になる。低下率は6.8(%)程度である。これに対して、No.4は、初期値が198(pC/N)、30日経過後が193(pC/N)程度で、低下率は2.5(%)程度、No.5は、初期値が202(pC/N)、30日経過後が189(pC/N)程度で、低下率は6.4(%)程度、No.8は、初期値が198(pC/N)、20日経過後が195(pC/N)程度で、低下率は1.5(%)程度に留まる。
上記の評価結果によれば、希土類を添加した系では分極後の圧電定数の経時変化が抑制され、優れた特性を有することが明らかである。なお、上記のNo.8は、都合により試験を途中で打ち切ったもので、継続して評価すれば高い圧電定数が維持されるものと考えられる。
下記の表2は、前記表1に示す評価において添加した添加物のうち、Zn、Mn、Laについて、その添加量を種々変更して圧電定数d33を測定した結果をまとめたものである。図4に結果を図示した。この評価に際しては、前記表1のNo.1の組成を基本として、これにZn、Mn、Laの何れかのみを下記の範囲で添加して、圧電セラミック素子を作製した。
Figure 2009096668
上記の表2に示すように、Zn、Mn、Laの何れにおいても、0.1(mol%)程度の僅かな添加量で圧電定数の向上が認められる。また、添加量が多くなると、却って特性が低下する傾向も共通する。Znの場合には、0.5(mol%)を超えると低下傾向に転じ、2(mol%)を超えると無添加の場合よりも特性が低くなる。Mnの場合には、1.5(mol%)を超えると低下傾向に転じ、2(mol%)を超えると無添加の場合よりも特性が低くなる。Laの場合には、0.3(mol%)を超えると低下傾向に転じ、2(mol%)を超えると無添加の場合よりも特性が低くなる。図4には、無添加の場合の圧電定数170(pC/N)を破線で示した。
上記結果によれば、それぞれ単独で添加した場合には、Znは0.5(mol%)程度が最も好ましく、上限が2(mol%)程度である。Mnは0.6〜1.5(mol%)程度が最も好ましく、上限が2(mol%)程度である。Laは0.3(mol%)程度が最も好ましく、上限が2(mol%)程度である。前記表1に示す結果と照合すると、これらを同時に添加する場合でも同様な傾向が認められる。前記表1において、Znの添加量を0.5(mol%)、Laを含む希土類の添加量を0.3(mol%)、Mnの添加量を0.3〜0.9(mol%)としたのは、上記評価結果に基づくものである。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
例えば、実施例においては、(K0.5Na0.5)0.97(Nb0.67Ta0.33)O3にCuを添加すると共に、Mn、Zn、希土類を添加した場合について説明したが、Znの添加は必須ではなく、Cuの他、Mnおよび希土類の添加だけでも差し支えない。
また、実施例においては、希土類としてLa、Ce、Sm、Ndが添加された場合について説明したが、他の希土類が用いられても差し支えない。また、2種類以上の希土類が同時に添加されてもよい。
また、実施例においては、Cuを添加して仮焼した後にMn、Zn、希土類を添加したが、これらは仮焼前に添加しても差し支えない。
本発明の一実施例の圧電セラミック素子の製造方法を説明するための工程図である。 組成毎の焼成温度と圧電定数d33との関係を示す図である。 圧電定数d33の経時的変化を示す図である。 添加物の添加量と圧電定数d33との関係を示す図である。

Claims (2)

  1. 組成式(KxA1-x)y(Nb1-zBz)O3(但し、AはNaおよびBiの少なくとも一方の元素、BはTaおよびTiの少なくとも一方の元素、0<x≦1、0.9<y<1、0≦z≦0.4)で表される非化学量論組成のペロブスカイト化合物と所定量のCuとを含む非鉛系の圧電セラミックスであって、
    Mnを2.0(mol%)以下の範囲で、希土類を2.0(mol%)以下の範囲でそれぞれ含むことを特徴とする圧電セラミックス。
  2. Znを2.0(mol%)以下の範囲で含むものである請求項1の圧電セラミックス。
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