JP6438755B2 - 圧電磁器組成物および圧電磁器組成物の製造方法 - Google Patents

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本発明は圧電磁器組成物とその製造方法に関する。
圧電磁器組成物は焼結体であり、粉体からなる原材料を型に入れて目的とする形状に成形するとともにその成形体を焼成することで形成される。圧電磁器組成物(以下、圧電材料とも言う)としてはPZTがよく知られており、このPZTあるいはPZTを主成分とした圧電材料(以下、PZT系圧電材料とも言う)は、圧電フィルター、超音波振動子、圧電アクチュエータ、圧電ブザーなどの種々の圧電素子に広く使用されている。
ところで圧電材料の特性として、電気機械結合係数K(以下、K定数とも言う)、比誘電率(ε)、機械的品質係数(Qm)がある。そして圧電材料はQmが300以上のHighQ材とQmが300未満のLowQ材とがあり、HighQ材に分類されるPZT系圧電材料ではK定数が若干低く、LowQ材のPZT系圧電材料では高いK定数を示すことが知られている。なお以下の非特許文献1には、圧電材料に関する一般的な技術説明、各種特性についての説明、および特性の評価方法などについて詳しく記載されている。また非特許文献2には本発明に関連する技術について記載されている。
FDK株式会社、"圧電セラミックス(技術資料)"、[online]、[平成26年11月27日検索]、インターネット<URL:http://www.fdk.co.jp/cyber-j/pdf/BZ-TEJ001.pdf> T. Nagai, H. J. Hwang, M. Yasuoka, M. Sando and K. Niihara, J. Kor. Phys. Soc., 32, S1271-73 (1998).
現時点で最も広く使用されている圧電材料であるPZT系圧電材料には、HighQ材に属しつつかつ高いK定数を備えたものがない。周知のごとくQmは圧電体が固有振動を起こしたときの共振周波数付近における機械的な振動の鋭さを示す定数でHighQ材に属する圧電材料は低損失である。K定数は圧電材料に加えた電気エネルギーを機械的エネルギーに変換する効率を表す定数であり、このKの値が高ければ高いほど高効率の圧電材料となる。そして現在の圧電素子にはさらなる高性能化が求められており、その要求に応えるためにはHighQ材に属しながら高いK定数を備えた圧電材料が必要となる。そこで本発明はHighQ材でかつK定数の高い圧電磁器組成物およびその製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、
一般式A[Pb1−xSr(Zr1−yTi)] +(1−A)[Pb{Mn1/3(Sb1−zNb2/3}O]で表される母材に1種類の添加剤が0.25wt%以下の割合で含まれており、
前記一般式における前記A、x、y、zが、それぞれ
0.9≦A<1.0
0.02≦x≦0.10
0.45≦y≦0.53
0.00≦z≦1.00
を満たすとともに、
前記添加剤がMgOである、
ことを特徴とする圧電磁器組成物としている。
またラインインターセプト法で測定した平均粒子径が、前記母材の組成が同じでMgOを含まない圧電磁器組成物の平均粒子径以上である圧電磁器組成物としてもよい。
本発明は圧電磁器組成物の製造方法にも及んでおり、当該製造方法は、
一般式A[Pb1−xSr(Zr1−yTi ]+(1−A)[Pb{Mn1/3(Sb1−zNb2/3}O]で表される母材に1種類の添加剤が含まれている圧電磁器組成物の製造方法であって、
前記母材の原材料を0.9≦A<1.0、0.02≦x≦0.10、0.45≦y≦0.53、0.00≦z≦1.00となるように混合する第1混合ステップと、
前記第1混合ステップにより混合された前記母材の原材料を仮焼成する仮焼成ステップと、
前記仮焼成ステップにより得られた前記原材料の粉体と、前記添加剤としてMgOを0.25wt%以下の割合で混合する第2混合ステップと、
前記第2混合ステップにより得た混合されたものにバインダーを添加して造粒したものを所定の形状に成形した上で焼成する焼成ステップと、
を含むことを特徴としている。
本発明に係る圧電磁器組成物によれば、HighQ材でかつK定数の高いPZT圧電材料とすることができる。また本発明に係る圧電磁器材料の製造方法によればHighQ材でかつK定数の高いPZT圧電材料を効率よく製造することができる。なおその他の効果については以下の記載で明らかにする。
本発明の実施例に係る圧電磁器組成物の製造方法を説明するための工程図である。 圧電磁器組成物の焼成温度による結晶構造の違いを示す電子顕微鏡写真である。 圧電磁器組成物の焼成温度と平均粒子径の関係を示す図である。 圧電磁器組成物におけるMgOの添加量による結晶構造の違いを示す電子顕微鏡写真である。 圧電磁器組成物におけるMgOの添加量と平均粒子径との関係を示す図である。
===本発明に想到する過程===
本発明者はHighQ材でかつK定数の高いPZT系圧電材料を開発する過程で、A[Pb1−xSr(Zr1−yTi)]+(1−A)[Pb{Mn1/3(Sb1−zNb2/3}O]の一般式で記述される化合物(以下、母材とも言う)に着目したところ、HighQ材で、円板の広がり振動モードにおけるK定数(Kp)が50%程度の圧電材料を得ることができた。しかしこの母材の組成を調整してもHighQ材であることを維持しつつ、さらにK定数を向上させることが難しかった。とくにQmとしては充分に高いQm≧1000を維持しつつ、母材よりもKp定数を大きくすることが難しかった。そこで上記の母材に対して多種多様な添加剤について検討したところMgOを添加するとHighQ材に属しつつK定数を向上させることを知見した。そして本発明は、このような知見に基づいて鋭意研究を重ねた結果想到したものである。
===本発明に係る実施例===
本発明に係る実施例は、上記の母材にMgOが適量添加されており、それによって上記母材の優れた圧電性能を大きく損なうことなく十分なK定数を有するものとなっている。そして、本発明の実施例に係る圧電磁器組成物の特性を評価するために、上記母材の組成(A、x、y、zの値)とMgOの添加量を変えた各種圧電材料をサンプルとして作製し、各サンプルの圧電特性を評価した。
===サンプルの製造手順===
図1にサンプルの製造手順を具体的に示した。この図に示したように、まず、母材の原材料となる一般式A[Pb1−xSr(Zr1−yTi)]+(1−A)[Pb{Mn1/3(Sb1−zNb2/3}O]に含まれる各金属元素の酸化物を秤量する(s1)。このとき、各原材料の量や割合を変えると、上記一般式中のA、x、y、zの値が変わる。次に、母材の原材料をボールミル中で溶媒となる純水を入れて24時間(h)湿式混合する(s2)。それによって、母材の原材料の混合物が粉体状に粉砕される。そして、この粉体状の混合物を大気中にて800℃〜950℃の温度で3h仮焼成する(s3)。
さらに、サンプルに応じて添加剤であるMgOを秤量し、仮焼成によって得た粉体状の母材の原材料と秤量後のMgOをボールミルによって純水中で5h混合しながら粉砕する。(s4→s5、s6)。なおMgOを添加しないサンプルについてはこれらの混合工程(s5)と粉砕工程(s6)を省略する。
そして、仮焼成を経た母材の原材料と添加剤との混合物、あるいは仮焼成を経た母材の原材料にバインダーとなるPVA水溶液を加えて混合し、適宜な大きさの粒子径(例えば1μm)の粉末となるように造粒する(s7)。その後、この造粒された粉末を目的とする形状に成形する(s8)。圧電特性を評価するためのサンプルについては、250MPaの圧力で、直径Φ=17mm、厚さt=1.0mmとなる円板状に加工する。そして、その成形物を大気中で1130〜1310℃で3h焼成し、円板状の圧電磁器組成物とする(s9)。さらにこの円板状の圧電磁器組成物の両面にAg電極を形成した(s10)。Ag電極の形成は、Agペーストが塗布された圧電磁器組成物を680℃の温度中で1min保持することで行った。そして2.5Kv/mmの電界を120℃のシリコンオイル中で30min印加することで分極処理を施して圧電素子を完成した(s11)。そしてこの圧電素子を圧電磁器組成物(圧電材料)の特性を評価するためのサンプルとした。
===特性評価===
組成が異なる各種サンプルについて、周知のインピーダンスアナライザを用い、電気機械結合係数Kp(%)、比誘電率ε(=ε33 )、および機械的品質係数Qmを測定した。なお圧電特性の評価には全て同じ温度(1280℃)で焼成したサンプルを用いた。
ところで本発明の目的はHighQ材に属するPZT系圧電材料のK定数を向上させることにある。そこで作製した各サンプルの圧電特性について、HighQ材の条件であるQm≧300に対して必要充分なQm>1000であれば優れたQm特性を有している物として、このQm>1000を合格基準とした。また誘電率εにおいても実用上十分なε>1000を合格基準とした。
表1に各サンプルの組成と各種圧電特性の測定結果を示した。
<MgOの効果>
まず表1に示した各サンプルの特性測定結果に基づいてMgOの添加することによる効果について検討した。表1においてサンプル1、16、17はMgOが添加されていない母材のみからなる圧電材料であり、これらのサンプル1、16、17と同じ組成の母材に対してのMgOが添加されているサンプルの圧電特性について見てみる。
まずサンプル1と母材の組成が同じ圧電材料はサンプル19〜21である。サンプル19〜21の圧電特性を見ると、サンプル19、20、21はMgOの添加率が0.05wt%、0.25wt%、0.26wt%であり、MgOの添加率を0.26%としたサンプル21は、ε>1000、Qm>1000を満たすことができなかった。しかしMgOの添加率が0.05wt%のサンプル19と、添加量が0.25wt%のサンプル20では、ε>1000、Qm>1000の合格条件を満たしつつ、サンプル1よりもKpが高かった。したがってサンプル1、19〜21からMgOの添加量の上限を0.25wt%と規定することができる。
またサンプル16および17と母材の組成が同じでMgOが添加されているサンプルは、それぞれサンプル14およびサンプル18である。そしてサンプル14およびサンプル18はMgOが規定範囲の上限である0.25wt%添加されている。ここでサンプル16と14、およびサンプル17と18を比較すると、サンプル14およびサンプル18はMgOを添加することによって母材の組成が同じサンプル16および17に対してKpが増加していることが分かる。またサンプル14と18は母材の組成が異なるもののサンプル1に対してもKpが増加している。すなわち母材の組成に依らずMgOを添加することによってKpが増加することが確認できた。
さらに母材の組成が同じでMgOの添加量が異なるサンプル18と23、あるいはサンプル14と22を比較すると、母材の組成が同じ場合ではMgOの添加量が少なくなるのにしたがってKpが大きくなっていることがわかる。すなわちMgOは極微量含まれていることが望ましいといえる。したがってMgOの最適添加量は先に規定した上限値0.25wt%を超えなければ0wt%より多い割合で含まれていればよいと言える。このように母材に対してMgOが適量添加されている圧電材料は、母材の組成がどのようなものであってもεとQmが上記の合格基準を満たし、かつ母材のみの圧電材料よりも高いKpを示す。
<母材の組成について>
つぎに表1に示した結果に基づいて、母剤の組成を決定する上記一般式におけるA、x、y、zの各値の適正値について検討する。ここではまずzの適正値について検討する。母材の組成を表す上記一般式における第2項目の化学式で表される組成[Pb{Mn1/3(Sb1−zNb2/3}O](以下、Bサイトともいう、また第1項目{Pb1-xSr(Zr1-yTi)O}で表される組成をAサイトとも言う)に含まれるSbとNbは互いにzの値によって相補的に増減する。したがってz=0のサンプル1は母材の組成にNbが含まれていないことになる。そこでサンプル1と同様に母材のみからなるサンプル16と17の圧電特性について検討してみると、サンプル16はz=0.5、サンプル17はz=1であり、それぞれSbの半分あるいは全部がNbに置換されている。そしてサンプル16と17の圧電特性からNbの割合が増える(zが大きくなる)のに従ってεの値が徐々に減少し、Qmの値が徐々に増加していることがわかる。しかしサンプル16と17はいずれもε>1000、Qm>1000を満たしている。そしてKpについてはNbの増減に伴って大きな差異は見受けられなかった。すなわちBサイトにSbとNbの少なくとも一方が含まれていればよいことになり、zの適正値は0≦z≦1となる。
つぎに母材におけるAの値、すなわちAサイトとBサイトの割合については、サンプル11〜15の圧電特性を見ると、A=0.89のサンプル11ではεとQmについては合格条件を満たしていたが、Kp=47%でサンプル1におけるKp=52%に対して低下した。サンプル15はA=1.00であり母材がAサイトの成分のみで構成されている。すなわちBサイトが存在しない。したがって表1におけるサンプル15の組成のzの欄では、Bサイトに含まれるNbの割合を示すzの値そのものが無意味であるので「―」と記載している。そしてこのサンプル15ではεとQmが合格条件を満たしていたが、Kp=52%でサンプル1と同じであり、Kpの向上が認められなかった。したがってAの適正範囲は0.90≦A<1.00と規定できる。そしてxの値についてはサンプル2〜6より0.02≦x≦0.10と規定することができ、yの値についてはサンプル7〜10より0.45≦y≦0.53と規定することができる。
<粒子径について>
上述したように母材にMgOが適量添加された圧電材料は、Qmが充分に大きなHighQ材(Qm>1000)で、かつ実用的なεr(>1000)を有しつつ同じ組成の母材のみからなる圧電材料に対して高いKpを示す。そこでMgOを添加することによってKpが増加するメカニズムについて、結晶構造の変化という観点から検討してみた。具体的には表1におけるサンプル1および19と同じ組成としつつ焼成温度が異なる各種圧電材料を作製し、その各種圧電材料の結晶構造を電子顕微鏡にて観察した。図2に作製した各種圧電材料のうち、1190℃、1250℃、および1310℃で焼成した圧電材料の電子顕微鏡写真を示した。図2(A)、(B)、および(C)は組成がサンプル1と同じでMgOを含まない圧電材料である。そして図(A)、(B)、および(C)はそれぞれ焼成温度を1190℃、1250℃、および1310℃としたときの圧電材料の結晶構造を示している。また図2(D)、(E)、および(F)は組成がサンプル19と同じでMgOを含む圧電材料であり、焼成温度がそれぞれ1190℃、1250℃、および1310℃のときの結晶構造を示している。
図2(A)と(D)、(B)と(E)、および(C)と(F)を比較すると、焼成温度が同じ場合ではMgOを添加することで結晶の粒子径が大きくなっていることが分かる。すなわち粒成長が促進されている。このことからMgOは焼結助剤あるいは粒成長促進剤として作用していると考えられる。言い換えればMgOを添加することによりKpが増加した原因は、粒成長が促進された結果によるものと考えることができる。
確かに図2(C)に示したように、1310℃の高温で焼成すればMgOを添加しなくても粒成長が促進される。しかしこの焼成温度では母在中のPbが揮発する可能性がある。Pbが揮発すれば、圧電材料を製造する際に混合した母材の原料混合比と実際に焼成された圧電材料における母材の組成比とがずれてしまう。もちろんPZT系圧電材料における主要な成分であるPbの割合が相対的に減少すれば圧電特性が大きく低下する。そこで各種圧電材料のそれぞれにおける焼成温度と粒子径との関係を調べてみた。図3にMgOを添加している圧電材料と添加していない圧電材料における焼成温度と粒子径の関係を示した。なお粒子径は周知のラインインターセプト法によって特定した平均粒子径としている。この図3に示したように、MgOを添加していない圧電材料では焼成温度が1300℃近辺から急激に粒子径が増加している。一方MgOを添加した圧電材料では焼成温度の上昇とともに粒子径も徐々に増加している。すなわちMgOを添加することでPbを揮発させることなく確実に粒成長を促進させることができることが確認された。
ところでMgOを添加することによりKpが増加した原因が粒成長の促進にあると考えると、母材の組成による圧電特性の差異が専ら元素自体の特性に左右されているのに対し、MgOを添加することによる圧電特性の差異は粒子径の大きさに左右されていると考えることができる。そこで母材の組成が同じでMgOの添加量が異なる各種圧電材料の粒子径を調べてみた。図4は表1におけるサンプル1と同じ組成の母材に対してMgOの添加量が異なる各種圧電材料の結晶構造を示す電子顕微鏡写真である。なお図4に示した各種圧電材料は全て1280℃で焼成したものであり、表1におけるサンプル1、19、20とMgOを0.20wt%添加した圧電材料である。図4(A)、(B)、(C)および(D)はそれぞれサンプル1、サンプル19、MgOを0.20wt%添加した圧電材料、およびサンプル20に対応している。また図5は図4に示した電子顕微鏡写真に基づいて特定したMgOの添加量と粒子径との関係を示す図である。図5における粒子径もラインインターセプト法に基づく平均粒子径である。図4(A)、(D)や図5に示したように母材にMgOを上限(0.25wt%)まで添加した圧電材料(サンプル20)と母材のみの圧電材料(サンプル1)とではほとんど粒子径が同じである。これは母材の組成が同じであれば、MgOを添加したときの粒子径がMgOを添加していないときの粒子径以上であれば母材のみの圧電材料よりも高いKpが得られることを示唆している。したがって母材の組成を規定した上で、その母材にMgOを0.25wt%以下の割合で添加した圧電材料の粒子径がその母材のみからなる圧電材料の粒子径以上であれば、そのMgOを添加した圧電材料はより確実にHighQ材に属しつつ高いK定数を有するものとなる。
===製造方法について===
表1に示した各サンプルは図1に示した手順によって作成されたものである。すなわちまず母材の原材料を混合したものを仮焼成し、その仮焼成によって得られた粉体に添加剤であるMgOを添加してから焼成していた。しかし圧電材料の製造手順としては最初に母材の原料と添加剤を混合しその混合物を成形して焼成するとう手順(以下、原料混合法とも言う)もある。そこで表1におけるサンプル19、20、22、23とおなじ組成としつつ製造手順に原料混合法を採用したサンプルを作製し、各サンプルの圧電特性を調べてみた。
表2に原料混合法で作製したサンプルの圧電特性を示した。
表2に示したサンプル24、25、26、27は、それぞれ表1に示したサンプル19、20、22、23と同じ組成である。しかし組成が同じであるにも拘わらず、原料混合法で作製したサンプルではKpとεが低下していた。MgOの添加量が上限(0.25wt%)であるサンプル25についてはεが合格基準を僅かに上回った程度である。しかも同じ組成のサンプルは一つではなく複数個作り、表1や表2に示した特性は同じ組成を有する複数の固体の特性を平均した値である。そしてサンプル25については合格基準を下回る固体も存在していた。したがって本発明の実施例に係る圧電材料は図1に示した手順で作製することが望ましい。
<仮焼成による作用と効果>
上述したように本発明の実施例に係る圧電材料では母材にMgOを適量添加することで高いK定数を有しているが、製造方法によって圧電特性に差異が生じることも事実である。そこで製造方法と圧電特性との関係について考察してみる。一般的にはPZTへMgOを添加するとMg2+がアクセプタイオンとして働き、Bサイトへの固溶により酸素空孔を生じる。その結果εが減少し、結晶構造におけるドメイン壁の動きが限定されてQmが増大する。その一方でモルフォロトピック層境界(MPB)近傍の組成に対してアクセプタイオンとなりうる酸化物を添加するとK定数が減少することが知られている。しかし本発明の実施例に係る圧電材料では、MgOをアクセプタイオンとして作用させずに母材中に導入することが容易になったものと思われる。すなわちPZT系の母材に対するMgOの反応性が乏しく、MgOがPZT系の母材に対して固溶し難い状態となり、その結果としてK定数が改善されたものと思われる。
さらに母材の原料を仮焼成した後にMgOを添加し、その上で焼成するという製造方法では、仮焼成により順安定状態となった母材へ適量のMgOを添加することであり、MgOをアクセプタイオンとして作用させずにより確実に母材中に導入することができると考えられる。
s1 母材原材料秤量工程、s2 混合粉砕工程、s3 仮焼成工程、s5 MgO混合工程、s7 造粒工程、s8 成形工程、s9 焼成工程、s11 分極工程

Claims (3)

  1. 一般式A[Pb1−xSr(Zr1−yTi)] +(1−A)[Pb{Mn1/3(Sb1−zNb2/3}O]で表される母材に1種類の添加剤が0.25wt%以下の割合で含まれており、
    前記一般式における前記A、x、y、zが、それぞれ
    0.9≦A<1.0
    0.02≦x≦0.10
    0.45≦y≦0.53
    0.00≦z≦1.00
    を満たすとともに、
    前記添加剤がMgOである、
    ことを特徴とする圧電磁器組成物。
  2. 請求項1において、ラインインターセプト法で測定した平均粒子径が、前記母材の組成が同じでMgOを含まない圧電磁器組成物の平均粒子径以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  3. 一般式A[Pb1−xSr(Zr1−yTi ]+(1−A)[Pb{Mn1/3(Sb1−zNb2/3}O]で表される母材に1種類の添加剤が含まれている圧電磁器組成物の製造方法であって、
    前記母材の原材料を0.9≦A<1.0、0.02≦x≦0.10、0.45≦y≦0.53、0.00≦z≦1.00となるように混合する第1混合ステップと、
    前記第1混合ステップにより混合された前記母材の原材料を仮焼成する仮焼成ステップと、
    前記仮焼成ステップにより得られた前記原材料の粉体と、前記添加剤としてMgOを0.25wt%以下の割合で混合する第2混合ステップと、
    前記第2混合ステップにより得た混合されたものにバインダーを添加して造粒したものを所定の形状に成形した上で焼成する焼成ステップと、
    を含み、
    ことを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法。
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