JP6601151B2 - 圧電組成物および圧電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェットヘッド、圧電アクチュエータ、および薄膜センサ等の分野において広く利用される圧電組成物および圧電素子に関する。
圧電組成物を利用した圧電素子は、外部から電界が印加されることにより歪みを発生する効果と、外部から応力を受けることにより表面に電荷が発生する効果を有するものであり、各種分野で幅広く利用されている。例えば、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛からなるチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr0.5Ti0.5)O:PZT)などの鉛系圧電組成物を利用した圧電素子は、微小な印加電界に対しても印加電界に比例した歪みを発生し、その変位量は10−10m/Vのオーダーと小さく、かつ応答性にも優れるため、例えば、光学系の微調整など高精度な位置調整に利用されている。
一方、圧電組成物は加えられた応力、あるいは、この応力による変形量に比例した大きさの電荷が発生することから、微少な力や変形量を読み取るためのセンサとしても利用されている。更に、圧電組成物は優れた応答性を有することから、交流電界を印加することで、圧電組成物自身あるいは圧電組成物と接合関係にある弾性体を励振して共振させることも可能であり、圧電トランスや超音波モータなどとしても利用されている。
本発明では、圧電組成物は強誘電体組成物に分極処理を施したものを指す。分極処理とは、焼結後の圧電組成物に抗電界以上の直流電界を印加する工程であり、焼結後の圧電組成物は圧電特性を有していないが、分極処理を行うことで自発分極を一定の向きに揃え、圧電特性を付与することができる。
ペロブスカイト構造とは、一般的にABOで表記される複合金属酸化物が有する結晶構造であり、具体的には、イオン半径の大きなアルカリ金属イオン、またはアルカリ土類金属イオンはAサイト、イオン半径の小さな遷移金属イオンなどはBサイトに配置され、頂点共有したBO酸素八面体の三次元ネットワークの空隙にAサイトイオンが充填された構造である。
現在、実用化されている大半のペロブスカイト構造を有する圧電組成物は、PZTなどの鉛系圧電組成物に、様々な副成分あるいは添加物を加えることにより、多種多様なニーズに応えることが可能である。例えば、高い圧電定数(d33)を有する圧電組成物は、大きな変位量が求められる位置調整用のアクチュエータなどに用いられる。一方、高い機械的品質係数(Q)を有する圧電組成物は、超音波モータなどの用途に向いている。
また、PZT系以外にも、マグネシウム酸ニオブ酸鉛(Pb(Mg1/3Nb2/3)O)系などが圧電組成物として実用化されている。
ところが、これらの鉛系圧電組成物は、融点の低い酸化鉛が60〜70wt%程度含まれており、焼成時に酸化鉛が揮発しやすい。そのため、環境への配慮から、使用される酸化鉛の量を低減することが望まれる。また今後、圧電素子の応用分野が広がることにより、世界的な使用量増大が見込まれる。それら圧電素子に鉛系圧電組成物が使用されていて野外に廃棄された場合、酸性雨と鉛の化学反応によって生じる硫酸鉛が土壌へ多く溶出してしまうことにより、従来の生態系を脅かす恐れが生じる。そのため、圧電組成物の無鉛化が極めて重要な課題となる。
鉛を含有しない圧電組成物としては、例えばチタン酸バリウム(BaTiO:BT)あるいはビスマス層状強誘電体などが知られている。しかし、BTはキュリー点(T)が約120℃と低く、分極処理により自発分極の向きを揃えても、はんだによる高温接合時などに元のランダムな向きの状態に戻ってしまうので、実用的ではない。
一方、最近では鉛を全く含有しない圧電組成物の中でも、比較的高いTを有し、且つ得られるd33が良好であると期待される新たな圧電組成物として、チタン酸ナトリウムビスマス(Bi0.5Na0.5TiO:BNT)系の圧電組成物が挙げられている。例えば、特許文献1には、BNTにBTが添加された圧電組成物のd33が、非特許文献1には、BNTのd33が開示されている。
特開2001−48642号公報
Materials Chemistry and Physics 110 (2008) 311− 315
しかしながら、特許文献1および非特許文献1に開示されている圧電組成物は、実用材料として十分な圧電特性、とりわけ優れたd33が得られているとは言えず、更なるd33の向上が求められている。
そこで、本発明の目的は、優れたd33を備える環境配慮型の圧電組成物および圧電素子を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決するために、BNT系組成物で良好な圧電特性を示す、環境配慮型の圧電組成物を見出した。
すなわち本発明は、
[{Bi0.5Na0.5(1−X)Ba[Ti(1−Y){α1/3β2/3]O(1)
の上記式(1)(但し、α=Mg、Ca、Sr、V、Mn、Fe、Co、Ni、Pd、Ag、Geの少なくとも1種以上の元素かつ、β=V、Ta、Mo、W、Ruの少なくとも1種以上の元素)で表され、X、Y、mがモル比で0.06≦X≦0.10かつ、0.0025≦Y≦0.1000かつ、0.98≦m≦1.02で表されることを特徴とする。
上記組成範囲により、優れたd33を備える、環境配慮型の圧電組成物を得ることができる。
また、上記圧電組成物を用いることにより、例えばインクジェットヘッド、圧電アクチュエータ、薄膜センサなどの用途において、アクチュエータ変位やセンサ感度の高い圧電素子を提供することができる。
本発明によれば、優れたd33を備える環境配慮型の圧電組成物および圧電素子を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の一構成例を表す斜視図である。 本発明の一実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の他の一構成例を表す断面図である。
図1は、本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の一部構成例を表すものである。この圧電素子は、本実施形態の圧電組成物よりなる圧電基板1と、この圧電基板1の一対の対向面1a、1bに、それぞれ設けられた一対の電極2、3とを備えている。電極2、3として例えば、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)などが挙げられる。
図2は本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の他の一構成例を表すものである。この圧電素子は、例えば、本実施形態の圧電組成物よりなる複数の圧電層11と複数の内部電極12とを交互に積層した積層体10を備える。内部電極12として例えば、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)などが挙げられる。圧電層11の一層当たりの厚さは例えば1μm〜100μm程度が好ましく、圧電層11の積層数は目的とする変位量に応じて決定される。
本実施形態にかかる圧電組成物は、[{Bi0.5Na0.5(1−X)Ba[Ti(1−Y){α1/3β2/3]O(1)
の上記式(1)(但し、α=Mg、Ca、Sr、V、Mn、Fe、Co、Ni、Pd、Ag、Geの少なくとも1種以上の元素かつ、β=V、Ta、Mo、W、Ruの少なくとも1種以上の元素)で表され、X、Y、mがモル比で0.06≦X≦0.10かつ、0.0025≦Y≦0.1000かつ、0.98≦m≦1.02で表されることを特徴とする、ペロブスカイト構造を有する圧電組成物の固溶体から構成されることが望ましいが、完全に固溶していなくてもよい。
上記圧電組成物は、0.06≦X≦0.10の組成範囲内では、X<0.06およびX>0.10の組成範囲と比較し、d33の向上が見られる。これは、0.06≦X≦0.10の組成範囲が、菱面体晶系ペロブスカイト構造を有するBNTと、正方晶系ペロブスカイト構造を有するBTとの結晶学的な相境界(Morphotropic Phase Boundary:MPB)であるためである。これにより、BNTおよびBT単体よりも高いd33を得ることが出来る。
また、0.0025≦Y≦0.1000の組成範囲内では、Y<0.0025およびY>0.1000の組成範囲と比較し、d33の向上が見られる。これは、Tiが元素αおよびβと置換されることで、MPB組成における自発分極の回転が更に容易になると推察され、これによりd33が向上すると考えられるためである。
すなわち、BNTとBTのMPB組成に、さらにTiを元素αおよびβで置換することで、その自発分極の回転が更に容易になることによって優れたd33を備える圧電組成物を得ることができる。
また、本実施形態にかかるBNT、BTの二成分を主成分とし、Tiを元素αおよびβで置換した圧電組成物の組成が上記式(1)[{Bi0.5Na0.5(1−X)Ba[Ti(1−Y){α1/3β2/3]OのX、Yおよびmの範囲が、0.06≦X≦0.10かつ、0.0025≦Y≦0.020かつ、0.98≦m≦1.02である場合、より優れたd33を得ることができ、より好ましい。
上記式(1)のXの範囲は0.06≦X≦0.10であるが、X<0.06およびX>0.10の場合は、MPB組成でないためにd33が低い。さらにYの範囲は、0.0025≦Y≦0.1000であるが、Y<0.0025の場合は、置換による効果が小さいため得られるd33が低く、Y>0.1000の場合は二次相が出現するため、得られるd33が低い。
上記式(1)のmは0.98≦m≦1.02の範囲が好ましい。mは圧電組成物全体におけるペロブスカイト構造化合物のAサイトとBサイト原子の構成比であるA/B比を表し、mが0.98≦m≦1.02の範囲であれば焼結性を高めることができ、より高い圧電特性を得ることができ好ましい。また、mが0.98≦m≦1.02の範囲外の場合、二次相の発生により耐電界強度が低下し、分極処理時に圧電組成物は破損してしまう。したがって、0.98≦m≦1.02の範囲が好ましい。
本実施形態にかかる圧電組成物は、上記式(1)にあてはまる組成であれば、各成分の混合形態は限定されない。すなわち、BNT、BTおよび元素α、βは固溶しているが、完全に固溶していなくてもよい。
また、この圧電組成物は、これらBNTとBTと元素αおよびβとを主成分とし、副成分として、遷移金属元素(長周期型周期表における3族〜11族の元素)、アルカリ金属元素、長周期型周期表における12族元素および長周期型周期表における13族の金属元素の内の少なくとも1種を含有していてもよい。これにより焼結性を向上させることができるからである。ただし、副成分の量は、主成分の全体量に対しモル比で1.0%以下とする。
具体的には、遷移金属元素(希土類元素を除く)であれば、クロム(Cr)、銅(Cu)、などが挙げられる。希土類元素であれば、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)あるいはイッテルビウム(Yb)などが挙げられる。アルカリ金属元素であれば、リチウム(Li)、ルビジウム(Rb)あるいはセシウム(Cs)などが挙げられる。12族元素であれば、亜鉛(Zn)などが挙げられる。13族の金属元素であれば、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)あるいはインジウム(In)などが挙げられる。
なお、本実施形態にかかる圧電組成物は、不純物として鉛を含んでいてもよいが、その含有量は1wt%以下であることが好ましく、鉛を全く含まないことがより好ましい。圧電組成物を製造する際の焼成時における鉛の揮発、あるいは圧電組成物を含む圧電素子や圧電部品が市場に流通し廃棄された後における環境中への鉛の放出を最小限に抑制することができ、低公害化、対環境性および生態学的見地から好ましいためである。
また一般に、圧電組成物は結晶粒径が大きいほどd33が高くなる。しかし、結晶粒径が小さいほど機械的強度は高くなる。そのため、本発明の圧電組成物の結晶粒径は、0.5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。
このような特徴を有する圧電組成物は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず出発原料として、酸化ビスマス(Bi)、炭酸ナトリウム(NaCO)、酸化チタン(TiO)、炭酸バリウム(BaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、酸化バナジウム(V)、炭酸マンガン(MnCO)酸化タングステン(WO)などの粉末を必要に応じて用意し、目的とする組成に応じて秤量する。
なお、出発原料には、酸化物に代えて、炭酸塩あるいはシュウ酸塩のように焼成により酸化物となるものを用いてもよい。
次いで、秤量した出発原料を、ボールミルで有機溶媒中または水中で5時間から20時間充分に混合したのち、充分に乾燥する。乾燥温度は、90℃である。ただし上述した出発原料を乾式混合で行う場合は、この乾燥工程を省略してもよい。
これら乾燥させた出発原料をプレス成型して仮焼成用成形体を作製する、または粉末のまま、750℃〜950℃で1時間〜20時間程度仮焼成する。仮焼成の際の昇温および降温速度は、共に例えば50℃/時間〜300℃/時間程度とする。後述の実施例では仮焼成は大気中で実施したが、本実施形態において仮焼成条件は酸素分圧の高低に限定されない。
上述した工程により、一般式ABOで示されるペロブスカイト構造を有する固溶体から成る組成物の仮焼成物を得る。ペロブスカイト構造を有することは後述の実施例ではXRDにて確認し、上記組成範囲内であることは誘導結合プラズマ発光分光および、蛍光X線分析で確認した。また後述の実施例ではペロブスカイト構造を有さない二次相の有無はXRDおよびSEMにて確認した。本実施形態において、ペロブスカイト構造を有することと、上記組成範囲であることを確認する方法は上記の方法に限定されない。一般式ABOにおけるAはBi、Na、およびBaであり、BはTi、αおよびβである。
上記仮焼成物を、例えばボールミルなどで、有機溶媒中または水中で5時間から20時間十分に粉砕したのち、十分乾燥する。乾燥温度は、例えば90℃程度である。
これら乾燥させた仮焼成物に有機バインダー溶液(Polyvinyl Alcohol:PVA)を加えて造粒する。造粒したのち、この造粒粉を一軸プレス成形して円柱、角柱、円板もしくは角板とする。
好ましくは、上記工程後に追加で冷間等方圧プレス(Cold Isostatic Pressing:CIP)を実施すると尚良い。その際、最大負荷圧98から343MPaで1〜3分間等方圧プレスを実施するとより好ましい。
上述した工程により得られた成形体を400℃〜800℃で2時間〜4時間程度熱処理してバインダーを揮発させ、950℃〜1300℃で2時間〜4時間程度本焼成する。本焼成の際の昇温および降温速度は、共に例えば50℃/時間〜300℃/時間程度とする。後述の実施例では本焼成は大気中で実施したが、本実施形態において本焼成条件は酸素分圧の高低に限定されない。
上述した工程により、得られた焼結体の結晶平均粒径は、0.5μm〜20μm程度である。
得られた焼結体を必要に応じて研磨し、電極を形成した。電極形成は電極ペーストを塗布して焼き付けることの他に、蒸着やスパッタ成膜等で電極を形成してもよい。
上述した工程により得られた焼結体を25℃〜200℃のシリコンオイル中で5kV/mm〜10kV/mmの電界を5分間〜1時間程度印加して分極処理する。上記工程により、圧電組成物が得られる。
図1は、本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の一部構成例を表すものである。この圧電素子は、本実施形態の圧電組成物よりなる圧電基板1と、この圧電基板1の一対の対向面1a、1bにそれぞれ設けられた一対の電極2、3とを備えている。圧電基板1は、例えば、厚さ方向、すなわち電極2、3の対向方向に分極されており電極2、3を介して電圧が印加されることにより、厚み方向に変位するようになっている。
電極2、3は、特に限定されないが、例えば、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)からなる群の内の少なくとも1種、あるいはその合金が好ましく、これらの金属によりそれぞれ構成されており、圧電基板1の対向面1a、1bの全面それぞれに設けられている。これら電極2、3には、例えば図示しないワイヤなどを介して図示しない外部電源が電気的に接続される。
本実施形態にかかる圧電素子は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、上述したように圧電組成物を作製したのち、必要に応じて所定の大きさに加工し、圧電基板1を形成する。次に、この圧電基板1に電極2、3を例えば蒸着することにより、図1に示した圧電素子が得られる。
また、図2は本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の他の一構成例を表すものである。この圧電素子は、例えば、本実施形態の圧電組成物よりなる複数の圧電層11と複数の内部電極12とを交互に積層した積層体10を備える。圧電層11の一層当たりの厚さは例えば1μm〜100μm程度が好ましく、圧電層11の積層数は目的とする変位量に応じて決定される。
内部電極12は、導電材料を含有している。導電材料は特に限定されないが、例えば、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)からなる群の内の少なくとも1種、あるいはその合金が好ましい。なお、内部電極12は、これらの他にリン(P)などの各種微量成分を0.1wt%程度以下含有していてもよい。内部電極12の厚さは例えば0.5μm〜3μm程度であることが好ましい。
この内部電極12は、例えば交互に逆方向に延長されており、その延長方向には内部電極12と電気的に接続された一対の端子電極21、22がそれぞれ設けられている。端子電極21、22は、例えば、端子電極用ペーストを焼き付けることにより形成されたものである。この端子電極用ペーストは、例えば、導電材料と、ガラスフリットと、ビヒクルとを含有している。導電材料は、例えば、Ag、Au、Cu、Ni、PtおよびPdからなる群の内の少なくとも一種を含んでいる。ビヒクルには有機ビヒクルあるいは水系ビヒクルなどがあり、有機ビヒクルはバインダーを有機溶媒に溶解させたもの、水系ビヒクルは水に水溶性バインダーおよび分散剤などを溶解させたものである。
本実施形態にかかる圧電素子は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、上述した圧電組成物の製造方法と同様にして仮焼成粉を形成したのち、ビヒクルを加えて混合し圧電層用ペーストを作製する。次に、内部電極12を形成するために上述した導電材料、または焼成後に上述した導電材料となる各種酸化物、有機金属化合物などをビヒクルと混合し、内部電極用ペーストを作製する。尚、内部電極用ペーストには、必要に応じて分散剤、可塑剤、誘電体材料、絶縁体材料などの添加物を添加してもよい。
上記工程により得られた圧電層用ペーストと内部電極用ペーストを用い、例えば印刷法あるいはシート法により、積層体10の前駆体であるグリーンチップを作製する。上記工程により得られたグリーンチップに脱バインダー処理を施し、焼成して積層体10を形成する。
上述した工程により得られた積層体10に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、内部電極用ペーストと同様にして作製した端子電極用ペーストを印刷または転写して焼き付け、端子電極21、22を形成する。これにより、図2に示した圧電素子が得られる。
本実施形態にかかる圧電組成物は、例えばインクジェットヘッド、圧電アクチュエータ、薄膜センサ等に使用できるが、圧電組成物を使用できる圧電素子であればこれら以外のものに適用してもよい。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。またここでは元素αはMg、元素βはVとして説明する。
(実施例1〜39)
酸化ビスマス(Bi)、炭酸ナトリウム(NaCO)、酸化チタン(TiO)、炭酸バリウム(BaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)酸化バナジウム(V)粉末などを表1記載の配合比となるように秤量した。秤量した出発原料は、ボールミルにより16時間混合したのち120℃において乾燥し得た混合粉をプレス成型して、850℃で2時間仮焼し仮焼成体を得た。続いて、この仮焼成体をボールミルにより16時間粉砕し、粉砕粉を得た。
上記工程により得られた粉砕粉にバインダーを加えて造粒した。次に、得られた造粒粉をプレス成型機により3.2MPaの荷重を加えてプレス成型し、平板状成型体を得た。こうして得られた平板状成型体に700℃で熱処理を施し、さらに1150℃にて本焼成し、焼結体を得た。さらに、得られた焼結体を研磨して厚さ0.6mmの平行平板状とし、その平行平板状焼結体の両面に蒸着によって対向銀電極を設けた。最後に、30℃のシリコンオイル中で7kV/mmの電界を15分間印加し分極処理を行った。上記工程により、表1に示す実施例1〜8の圧電特性評価用の試験片を得た。
上記工程により得られた実施例1〜39の圧電特性評価用の試験片(圧電素子)圧電組成物について、d33を測定した。その際、d33の測定は室温にてPIEZO d33 METER MODEL ZJ−4B(INSTITUTE OF ACOUSTIC SACADEMIASINICA製)により測定した。さらに、得られた結果を表1に示す。また得られた圧電組成物の二次相の有無をXRD(SmartLab :Rigaku製)およびSEM(S−4700:日立ハイテク製)にて確認した。
(比較例1〜10)
また、比較例1〜10では、出発原料の配合比(X、Yおよびm)を表1に示したようになるように変化させたこと以外、他は上述した実施例1と同一の条件で圧電組成物を作製した。さらに、比較例1〜10についても、d33を測定した。それらの結果についても表1に示す。
圧電組成物の圧電特性評価を、◎○×として表1に示す。この評価では、実用上の圧電特性を保証するためd33は150pC/N以上とし、これを満足している場合を好適として○、またd33が170pC/N以上の、より優れている場合は◎とし、満足していない場合を不適として×とした。
Figure 0006601151
表1に示すように、本実施形態にかかる圧電組成物を示す上記式(1)で表記される圧電組成物において、X、Yの範囲が、0.06≦X≦0.10かつ、0.0025≦Y≦0.1000かつ、m=1.00である場合、d33が良好であった。
上述した領域に加え、本実施形態にかかる圧電組成物を示す上記式(1)において、X、Yおよびmの範囲が、0.06≦X≦0.10かつ、0.0025≦Y≦0.020かつ、m=1.00である場合、より優れたd33を得ることができ、より好ましい。
(実施例40〜42)
実施例40〜42として、上記式(1)で表記される圧電組成物において、XおよびYを、X=0.08、y=0.005、とし、さらにmを、表2に示したようになるように出発原料の配合比を変化させたことを除き、他は上述した実施例1と同一の条件で圧電組成物を作製した。また、実施例40〜42についても同様に、d33を測定した。その結果も表2に示す。
Figure 0006601151
表2からわかるように、0.98≦m≦1.02の範囲でのみ分極処理が可能であった。この範囲外ではXRDおよびSEMにより二次相の顕著な出現が確認された。上記範囲内では二次相が発生しないため抵抗率が高く、分極処理が可能となると推察される。
(比較例11〜14)
比較例11〜14として、上記式(1)で表記される圧電組成物において、XおよびYを、X=0.08、Y=0.005、とし、さらにmを、表1に示したようになるように出発原料の配合比を変化させたことを除き、他は上述した実施例1と同一の条件で圧電組成物を作製した。また、比較例11〜14についても同様に、d33を測定した。その結果も表2に示す。
比較例11〜14では、XRDおよびSEMにより確認された二次相の顕著な出現により、抵抗率が著しく低下したため、分極処理中に絶縁破壊が生じd33測定に至らなかったと推察される。
(実施例43〜48)
実施例43〜48として、上記式(1)で表記される圧電組成物において、元素α、βを、表3で示したような元素になるように出発原料を選択し、さらにX、Yおよびmを、表3に示したようになるように出発原料の配合比を変化させたことを除き、他は上述した実施例1と同一の条件で圧電組成物を作製した。また、実施例43〜48についても同様に、d33を測定した。その結果も表3に示す。
(比較例15〜17)
比較例15〜17として、上記式(1)で表記される圧電組成物において、元素α、βを、表3で示したような元素になるように出発原料を選択し、さらにX、Yおよびmを、表3に示したようになるように出発原料の配合比を変化させたことを除き、他は上述した実施例1と同一の条件で圧電組成物を作製した。また、比較例15〜17についても同様に、d33を測定した。その結果も表3に示す。
Figure 0006601151
表3からわかるように、本実施形態にかかる圧電組成物を示す上記式(1)で表記される圧電組成物において、元素αがMgかつβがVの場合以外でも、X、Yの範囲が、0.06≦X≦0.10かつ、0.0025≦Y≦0.1000かつ、m=1.00である場合、d33が良好であった。
分極処理ができなかったものはXRDおよびSEMにより確認された二次相の顕著な出現により、抵抗率が著しく低下したため、分極処理中に絶縁破壊が生じd33測定に至らなかったと推察される。
また、本実施形態では元素αはMg、元素βはVおよび表3で示したものとしたが、元素αおよびβが上記組成式で示す他の元素(α=Mg、Ca、Sr、V、Mn、Fe、Co、Ni、Pd、Ag、Geの少なくとも1種以上の元素かつ、β=V、Ta、Mo、W、Ruの少なくとも1種以上の元素。)の組み合わせであってもd33の向上は確認された。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではない。上述した実施形態および実施例では、BNTおよびBTの固溶体のTiを元素αおよびβで置換した圧電組成物を含む場合についてのみ説明したが、本圧電組成物に、他の化合物を含んでいる圧電組成物または圧電素子についても容易に想起しうるため、本発明の範囲とする。
本発明の圧電組成物は、例えばインクジェットヘッド、圧電アクチュエータ、薄膜センサなどにおいてもアクチュエータ変位やセンサ感度の高い圧電素子を提供することができる。
1 圧電基板
2、3 電極
1a、1b 対向面
10 積層体
11 圧電層
12 内部電極
21、22 端子電極

Claims (2)

  1. 下記式(1)
    [{Bi0.5Na0.5(1−X)Ba[Ti(1−Y){α1/3β2/3]O(1)(但し、α=Mg、Ca、SrMn、Fe、Co、Ni、Pd、Ag、Geの少なくとも1種以上の元素かつ、β=V、Ta、Mo、W、Ruの少なくとも1種以上の元素)で表され、X、Y、mがモル比で0.06≦X≦0.10かつ、0.0025≦Y≦0.1000かつ、0.98≦m≦1.02で表される圧電組成物。
  2. 前記請求項1に記載の圧電組成物を備える圧電素子。

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