JP6375955B2 - 圧電組成物および圧電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、アクチュエータやセンサ等の分野において広く利用される圧電組成物、および圧電素子に関する。
圧電組成物は、外部から電界が印加されることにより歪を発生する(電気エネルギーの機械エネルギーへの変換)逆圧電効果を有する。例えば、チタン酸ジルコン酸鉛[Pb(Zr,Ti)O]等の鉛系圧電組成物は、微小な印加電界に対しても10−10m/Vのオーダーで比例した歪を発生することから、高精度な位置調整等に優れており、光学系の微調整等にも利用されている。また、外部から応力を受けることにより表面に電荷が発生する(機械エネルギーの電気エネルギーへの変換)圧電効果も有することから、微小な力や変形量を読み取るためのセンサとしても利用されている。一方、圧電組成物は優れた応答性を有することから、交流電界を印加することで、圧電組成物自身あるいは圧電組成物と接合関係にある弾性体を励振して共振させることも可能であり、圧電トランスや超音波モータ等にも利用されている。
現在実用化されている圧電組成物の大部分は、PbZrO(PZ)−PbTiO(PT)からなる鉛系圧電組成物である。その理由は、菱面体晶系のPZと正方晶系のPTとの結晶学的な相境界(Morphotropic Phase Boundary:MPB)付近の組成を用いることで、優れた圧電特性を得ることができるからである。この鉛系圧電組成物に、様々な副成分あるいは添加物を加えることにより、多種多様なニーズに対応することが可能である。
圧電組成物の性能指数の一つに、電気機械結合係数(k)がある。これは、圧電体の電極間に加えた電気エネルギーを機械的エネルギーに変換する効率を表すものある。また、圧電体に電界を印加した際の変位量を表す圧電定数(d33)があり、実際に使用されるセラミックアクチュエーター等の製品設計に反映される。一般に、鉛系圧電組成物はd33が大きいため、大きな変位量が求められる位置調整用のアクチュエータ等に用いられる。
しかし、鉛系圧電組成物は対環境性や生態学的見地等から問題が多く、その解決策として、非鉛系圧電組成物が検討されている。例えば、特許文献1ではチタン酸ナトリウムビスマスとニオブ酸ナトリウムの二成分固溶系の圧電組成物が開示されており、kが9〜15%、およびd33が40〜70pC/Nの値が得られている。一方、非特許文献2ではチタン酸ナトリウムビスマスとチタン酸カリウムビスマスおよびアルミ酸ビスマスの三成分固溶系の圧電組成物が開示されており、kが13〜16%、およびd33が8〜83pC/Nの値が得られている。
特開平09−100156号公報
Japanese Journal of Applied Physics,52 (2013)021801
しかしながら、特許文献1や非特許文献2に開示されている圧電組成物は比較的良好なkを有しながらも、実用として十分なd33が得られているとは言えず、更なるd33の向上が求められている。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、鉛を含有しない環境配慮型材料であり、かつ優れたkおよびd33を有する圧電組成物および圧電素子を提供することを目的とする。
そこで本発明者は、上記の課題を解決するために、チタン酸ナトリウムビスマス系組成物で、優れたkおよびd33を有する圧電組成物を見出した。
すなわち本発明は、組成式[Bi0.5(1+x)Na0.5(1−x−y)α0.5ya[Ti(1−x−y)Al(Mg1/3β2/3y]O (1)
(但し、αはNaまたはKいずれか1種、βはNbまたはTaのいずれか1種を表す。)で表され、x、y、aがモル比で0.005≦x≦0.050、0.005≦y≦0.100、0.96≦a≦1.04であることを特徴とする。
上記組成範囲にすることにより、鉛を含まずに優れたkおよびd33を有する圧電組成物を得ることができる。
また、上記圧電組成物を用いた圧電素子、例えばインクジェットヘッド、圧電アクチュエータ、薄膜センサなどにおいてもアクチュエータ変位やセンサ感度の高い圧電素子を提供することができる。
本発明によれば、環境配慮型であり、かつ優れたkおよびd33を有する圧電組成物および圧電素子を提供することができる。
本発明の実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の一構成例を表す斜視図である。 本発明の実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の他の一構成例を表す断面図である。
図1は、本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の一部構成例を表すものである。この圧電素子は、本実施形態の圧電組成物よりなる圧電基板1と、この圧電基板1の一対の対向面1a、1bに、それぞれ設けられた一対の電極2、3とを備えている。電極2、3として例えば、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)からなる群の内の少なくとも1種、あるいはその合金などが挙げられる。
図2は本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の他の一構成例を表すものである。この圧電素子は、例えば、本実施形態の圧電組成物よりなる複数の圧電層11と複数の内部電極12とを交互に積層した積層体10を備える。内部電極12として例えば、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)からなる群の内の少なくとも1種、あるいはその合金などが挙げられる。
上記式(1)は下記式(2)で表すことができ、以降の説明は便宜上、下記式(2)を用いて説明する。
(1−x−y)[(Bi0.5Na0.5TiO]+x[BiAlO]+y[(Bi0.5α0.5)a(Mg1/3β2/3)O] (2)
(但し、αはNaまたはKのいずれか1種、βはNbまたはTaのいずれか1種を表す。)で表され、前記第2化合物のモル比に相当するx、前記第3化合物のモル比に相当するyが、0.005≦x≦0.050、0.005≦y≦0.100、0.96≦a≦1.04で構成されている。
上記式(2)からわかるように、本実施形態にかかる圧電組成物はBi0.5Na0.5TiO(BNT)、BiAlO(BAO)および(Bi0.5α0.5)(Mg1/3β2/3)O(但し、αはNaまたはKの1種以上、βはNbまたはTaのいずれか1種を表す。)(BαMβ)から成るペロブスカイト構造を有する圧電組成物の固溶体から構成されることが望ましいが、固溶しなくてもよい。
上記三成分の内、BNTが主成分であることにより比較的高いd33を有する。
上記式(2)の0.005≦x≦0.050の組成範囲では、x<0.005およびx>0.050の組成範囲と比較し、kやd33の向上が見られる。これは、0.005≦x≦0.050の組成範囲が、菱面体晶系ペロブスカイト構造を有するBNTと正方晶系ペロブスカイト構造を有するBAOとの結晶学的な相境界であることによる。相境界では結晶構造が単斜晶であり、(110)面内に自発分極方向の自由度が生まれることから、正方晶系であるBAOの<001>の自発分極方向と、菱面体晶系であるBNTの<111>の自発分極方向との間で自発分極の回転がし易くなるためと考えられる。
上記式(2)の0.005≦y≦0.100の組成範囲では、y<0.005およびy>0.100の組成範囲と比較し、kやd33の向上が見られる。これは、BαMβが菱面体晶系ペロブスカイト構造を有するBNTと正方晶系ペロブスカイト構造を有するBAOとの相境界における自発分極の回転のし易さに影響を与えると推測される。
上記式(2)のaは、0.96≦a≦1.04の組成範囲が好ましい。前記aは圧電組成物全体におけるペロブスカイト構造化合物のAサイト原子とBサイト原子の構成比であるA/Bを表し、前記aが0.96よりも小さい場合には、kやd33の低下が見られる。これは、前記aが過剰に少ないとBサイト成分のTiが過剰になり異相が生じることにより、kやd33の低下に繋がったためと考えられる。一方、前記aが1.04よりも大きいと、圧電組成物の焼結性が悪くなり、焼結体密度が十分得られない。これにより、絶縁抵抗や耐電界が低くなり、分極電界を十分に印加できなかったことによるものと考えられる。
また、本実施形態にかかるBNT、BAO、BαMβの三成分の主成分からなる圧電組成物の組成において、上記式(2)(1−x−y)[(Bi0.5Na0.5TiO]+x[BiAlO]+y[(Bi0.5α0.5)a(Mg1/3β2/3)O]のx、yおよびaの範囲がそれぞれ、0.005.≦x≦0.050、0.010≦y≦0.050、0.96≦a≦1.04である場合、より優れたkおよびd33を得ることができ、より好ましい。
また、この圧電組成物は、これらBNTとBAOとBαMβとを主成分とし、副成分として、遷移金属元素(長周期型周期表における3族〜11族の元素)、アルカリ金属元素、アルカリ土類元素、長周期型周期表における12族元素および長周期型周期表における13族の金属元素の内の少なくとも1種を含有していてもよい。ただし、副成分の量は、主成分の全体量に対しモル比で1.0%以下とする。
具体的には、遷移金属元素(希土類元素を除く)であれば、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、タングステン(W)あるいはモリブデン(Mo)などが挙げられる。希土類元素であれば、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビニウム(Tb)、ジズプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビニウム(Er)、ツリウム(Tm)あるいはイッテルビウム(Yb)などが挙げられる。
アルカリ金属元素であれば、リチウム(Li)、ルビジウム(Rb)あるいはセシウム(Cs)などが挙げられる。アルカリ土類金属元素であれば、ストロンチウム(Sr)などが挙げられる。12族元素であれば、亜鉛(Zn)などが挙げられる。13族元素であれば、ガリウム(Ga)あるいはインジウム(In)などが挙げられる。
なお、本実施形態にかかる圧電組成物は、不純物として鉛を含んでいてもよいが、その含有量は1質量%以下であることが好ましく、鉛を全く含まないことがより好ましい。焼成時における鉛の揮発、あるいは圧電部品として市場に流通し廃棄された後における環境中への鉛の放出を最小限に抑制することができ、低公害化、対環境性および生態学的見地から好ましいためである。
また、本発明の圧電組成物における結晶粒の平均粒径は、例えば0.5〜20μmである。
以上のような構成を有する圧電組成物は、例えば、次のようにして製造することができる。
先ず、出発原料として、酸化ビスマス(Bi)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、酸化チタン(TiO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、酸化ニオブ(Nb)、及び酸化タンタル(Ta)等の原料粉末を必要に応じて用意し、100℃以上の温度で十分に乾燥させた後、目的とする組成に応じて秤量する。なお、出発原料には、酸化物に代えて炭酸塩あるいはシュウ酸塩のように焼成により酸化物となるものを用いてもよく、炭酸塩に代えて酸化物あるいは焼成により酸化物となる他の化合物を用いてもよい。
次いで、秤量した出発原料をボールミル等により有機溶媒中または水中で5〜20時間十分に混合した後、十分に乾燥し、プレス成形して、750〜900℃で1〜3時間程度仮焼する。続いて、この仮焼物をボールミル等により有機溶媒中または水中で5〜30時間粉砕した後、再び乾燥し、バインダー溶液を加えて造粒する。その後、この造粒粉をプレス成形して成形体を得る。
この成形体を、400〜800℃で2〜4時間程度熱処理してバインダーを揮発させ、950〜1300℃で2〜4時間程度本焼成する。本焼成の際の昇温速度および降温速度は、共に例えば50〜300℃/時間程度とする。本焼成の後、得られた焼結体を必要に応じて研磨し、電極を設ける。その後、25〜150℃のシリコンオイル中で5〜10kV/mmの電界を5分〜1時間程度印加して分極処理を行う。これにより、圧電組成物により形成される圧電磁器が得られ、圧電素子として使用することができる。
図1は、本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の一部構成例を表すものである。この圧電素子は、本実施形態の圧電組成物よりなる圧電基板1と、この圧電基板1の一対の対向面1a、1bにそれぞれ設けられた一対の電極2、3とを備えている。圧電基板1は、例えば、厚さ方向、すなわち電極2、3の対向方向に分極されており電極2、3を介して電界が印加されることにより、厚み方向に縦振動するようになっている。
電極2、3は、例えば、金(Au)などの金属によりそれぞれ構成されており、圧電基板1の対向面1a、1bの全面それぞれに設けられている。これら電極2、3には、例えば図示しないワイヤなどを介して図示しない外部電源が電気的に接続される。
本実施形態にかかる圧電素子は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、上述したように圧電組成物を作製したのち、必要に応じて所定の大きさに加工し、圧電基板1を形成する。次に、この圧電基板1に電極2、3を例えば蒸着することにより、図1に示した圧電素子が得られる。
また、図2は本実施形態にかかる圧電組成物を用いた圧電素子の他の一構成例を表すものである。この圧電素子は、例えば、本実施形態の圧電組成物よりなる複数の圧電層11と複数の内部電極12とを交互に積層した積層体10を備える。圧電層11の一層当たりの厚さは例えば1〜100μm程度が好ましく、圧電層11の積層数は目的とする変位量に応じて決定される。
内部電極12は、導電材料を含有している。導電材料は特に限定されないが、例えば、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)からなる群の内の少なくとも1種、あるいはその合金が好ましい。なお、内部電極12は、これらの他にリン(P)などの各種微量成分を0.1質量%程度以下含有していてもよい。内部電極12の厚さは例えば0.5〜3μm程度であることが好ましい。
この内部電極12は例えば交互に逆方向に延長されており、その延長方向には内部電極12と電気的に接続された一対の端子電極21、22がそれぞれ設けられている。端子電極21、22は、例えば、端子電極用ペーストを焼き付けることにより形成されたものである。この端子電極用ペーストは、例えば、導電材料と、ガラスフリットと、ビヒクルとを含有している。導電材料は、例えば、Ag、Au、Cu、Ni、PdおよびPtからなる群の内の少なくとも一種を含んでいる。ビヒクルには有機ビヒクルあるいは水系ビヒクルなどがあり、有機ビヒクルはバインダーを有機溶媒に溶解させたもの、水系ビヒクルは水に水溶性バインダーおよび分散剤などを溶解させたものである。
本実施形態にかかる圧電素子は、例えば、次のようにして作製することができる。まず、上述した圧電組成物の製造方法と同様にして仮焼成粉を形成したのち、ビヒクルを加えて混合し圧電層用ペーストを作製する。次に、内部電極12を形成するために上述した導電材料、または焼成後に上述した導電材料となる各種酸化物、有機金属化合物などをビヒクルと混合し、内部電極用ペーストを作製する。尚、内部電極用ペーストには、必要に応じて分散剤、可塑剤、誘電体材料、絶縁体材料などの添加物を添加してもよい。
上記工程により得られた圧電層用ペーストと内部電極用ペーストを用い、印刷法あるいはシート法により、積層体10の前駆体であるグリーンチップを作製する。上記工程により得られたグリーンチップに脱バインダー処理を施し、焼成して積層体10を形成する。
上述した工程により得られた積層体10に、バレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、内部電極用ペーストと同様にして作製した端子電極用ペーストを印刷または転写して焼き付け、端子電極21、22を形成する。これにより、図2に示した圧電素子が得られる。
本実施形態にかかる圧電組成物は、例えば圧電発音体、圧電センサ、圧電アクチュエータ、圧電トランス、薄膜センサ、薄膜アクチュエータまたは圧電超音波モータ等に使用できるが、圧電組成物を使用できる圧電素子であればこれら以外のものに適用してもよい。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
(実施例1〜14)
出発原料として、酸化ビスマス粉末、炭酸ナトリウム粉末、炭酸マグネシウム粉末、酸化ニオブ粉末、酸化チタン、酸化アルミニウム粉末を用意し、100℃以上で十分に乾燥させた後、[Bi0.5(1+x)Na0.5(1−x−y)α0.5ya[Ti(1−x−y)Al(Mg1/3β2/3y]O(但し、αはNa、βはNbを表す。)の組成式においてaは1.00とし、xおよびyの範囲を0.005≦x≦0.050、0.005≦y≦0.100の組成となるようにそれらを秤量した。次に秤量した出発原料をボールミルにより水中で約16時間混合した後、十分乾燥し、プレス成形して、850℃で約2時間仮焼した。続いて、この仮焼物をボールミルにより水中で約16時間粉砕した後、再び乾燥し、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)水溶液を加えて造粒した。
その後、この造粒粉を直径17mm、厚さ1.5mmの円板状ペレットに成形し、700℃で2時間の熱処理を行ってバインダーを揮発させ、1100〜1300℃で2〜4時間の本焼成を行った。焼成条件は、昇温、降温共に200℃/時間とした。次いで、得られた焼成体を厚さ約0.4〜0.6mmの平行平板状に研磨した後、XRD(リガク社製SmartLab)で単一ペロブスカイト相が出来ていることを確認した。この平行平板状のサンプル表面に銀ペーストを塗り、600〜700℃で焼き付けて電極とした。さらに、50〜150℃のシリコンオイル中で5kV/mmの電界を15分間印加して分極処理を行い、評価用の試料とした。
得られた試料について、径方向のk、d33を測定した。kの測定は、インピーダンスアナライザー(ヒューレットパッカード社製HP4194A)とデスクトップコンピュータを用いた自動測定器により共振反共振法で行った。d33の測定は、d33メーター(中国科学院声学研究社製d33メーター)により行った。測定結果を表1に示す。
実用上の圧電特性を保証するため、d33が85pC/N以上、かつkが20%以上の試料を良好と判断した。
(比較例1〜13)
また、比較例1〜13では、出発原料の配合比(xとy)を表1に示したように変化させたこと以外、他は上述した実施例1〜14と同一の方法で試料の作製、および特性評価を行った。測定結果を表1に示す。
Figure 0006375955
表1から、0.005≦x≦0.050の範囲でkおよびd33が向上していることが分かる。また、0.005≦y≦0.100の範囲でkやd33の向上が見られる。
(実施例15〜28)
出発原料として、酸化ビスマス粉末、炭酸ナトリウム粉末、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム粉末、酸化ニオブ粉末、酸化チタン、酸化アルミニウム粉末を用意し、100℃以上で十分に乾燥させた後、[Bi0.5(1+x)Na0.5(1−x−y)α0.5ya[Ti(1−x−y)Al(Mg1/3β2/3y]O(但し、αはK、βはNbを表す。)の組成式においてaは1.00とし、xおよびyの範囲を0.005≦x≦0.050、0.005≦y≦0.100の組成となるようにそれらを秤量し、実施例1〜14と同様の方法で試料の作製、および特性評価を行った。測定結果を表2に示す。
(比較例14〜25)
また、比較例12〜22では、αをKとし、かつ出発原料の配合比(xとy)を表2に示したように変化させたこと以外、他は上述した実施例15〜28と方法で試料の作製、および特性評価を行った。測定結果を表2に示す。
Figure 0006375955
NaをKに変更しても、実施例1〜14と同じ範囲でkおよびd33の向上が見られた。
(実施例29〜31)
出発原料として、酸化ビスマス粉末、炭酸ナトリウム粉末、炭酸マグネシウム粉末、酸化ニオブ粉末、酸化チタン、酸化アルミニウム粉末を用意し、100℃以上で十分に乾燥させた後、[Bi0.5(1+x)Na0.5(1−x−y)α0.5ya[Ti(1−x−y)Al(Mg1/3β2/3y]O(但し、αはNa、βはNbを表す。)の組成式においてaは0.96≦a≦1.04とし、xは0.030、yは0.020の組成となるようにそれらを秤量し、実施例1〜14と同様の方法に試料の作製、および特性評価を行った。測定結果を表3に示す。
(比較例26〜27)
また、比較例26〜27では、出発原料の配合比(a)を表3に示したように変化させたこと以外、他は上述した実施例29〜31と同一の条件で方法で試料の作製、および特性評価を行った。測定結果を表3に示す。
Figure 0006375955
0.96≦a≦1.04の組成範囲において、kおよびd33の向上が見られた。比較例26のようにaが0.96よりも小さい場合、異相が発生したためkおよびd33が低下したと考えられる。また、比較例27のようにaが1.04よりも大きい場合、焼結性の悪化により焼結体密度が十分得られず、分極電界を十分印加できなかったため、圧電特性の評価が不可能であった。
(実施例32〜33)
出発原料として、酸化ビスマス粉末、炭酸ナトリウム粉末、炭酸マグネシウム粉末、酸化ニオブ粉末、酸化チタン、酸化アルミニウム粉末を用意し、100℃以上で十分に乾燥させた後、[Bi0.5(1+x)Na0.5(1−x−y)α0.5ya[Ti(1−x−y)Al(Mg1/3β2/3y]O(但し、αはNa、βはNbまたはTaのいずれか一種を表す。)の組成式においてaは1.00、xは0.030、yは0.020の組成となるようにそれらを秤量し、実施例1〜14と同一の方法で試料の作製、および特性評価を行った。測定結果を表4に示す。
Figure 0006375955
実施例32および33から分かるように、NbをTaに変更しても、kおよびd33の向上が確認され、同等の効果が得られることが判った。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではない。
本発明の圧電組成物は、例えばインクジェットヘッド、圧電アクチュエータ、薄膜センサなどにおいても、アクチュエータ変位やセンサ感度の高い圧電素子を提供することができる。
1 圧電基板
2、3 電極
1a、1b 対向面
10 積層体
11 圧電層
12 内部電極
21、22 端子電極

Claims (2)

  1. 組成式[Bi0.5(1+x)Na0.5(1−x−y)α0.5ya[Ti(1−x−y)Al(Mg1/3β2/3y]O
    (但し、αはNaまたはKのいずれか1種、βはNbまたはTaのいずれか1種を表す。)で表され、x、y、aがモル比で0.005≦x≦0.050、0.005≦y≦0.100、0.96≦a≦1.04であることを特徴とする圧電組成物。
  2. 請求項1に記載の圧電組成物を備えた圧電素子。
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