JP7261047B2 - 積層型圧電セラミックス及びその製造方法、積層型圧電素子並びに圧電振動装置 - Google Patents
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Description
図1に模式的に示すように、本発明の第1の実施形態に係る積層型圧電セラミックス100(以下、単に「第1実施形態」と記載することがある。)は、圧電セラミックス層2及び内部電極層3が交互に積層されて構成される。なお、図中には、内部電極層3の位置が把握しやすいように、内部電極層3が、積層型圧電セラミックス100の複数の端面に露出する構造を示したが、第1実施形態の構造はこれに限定されず、内部電極層3が積層型圧電セラミックス100の1つの端面でのみ露出する構造や、内部電極3が積層型圧電セラミックス100の端面に露出しない構造とすることも可能である。そして、前記圧電セラミックス層2は、構成元素として鉛を含まず、組成式LixNayK1-x-yNbO3(ただし、0.02<x≦0.1、0.02<x+y≦1)で表されるペロブスカイト型化合物を主成分とすると共に、前記主成分100モルに対して、Liを0~1.0モル、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を0.2~5.0モル、Mnを0.2~2.0モル、並びにSiを0.1~3.0モル含有し、前記内部電極層3は、銀を80質量%以上含む金属で構成される。
前記組成式において、xの値、すなわちLiの含有割合は、0.02を超え0.1以下とする。xの値を0.02超とすることで、圧電セラミックスが緻密なものとなる。xの値は0.04以上とすることが好ましく、0.06以上とすることがより好ましい。他方、xの値を0.1以下とすることで、Li3NbO4等の導電性を有する化合物の生成が抑制され、絶縁性及び耐久性に優れた圧電セラミックスとなる。xの値は、0.09以下とすることが好ましく、0.08以下とすることがより好ましい。
前記組成式における、x+yの値、すなわちLiの含有割合と任意成分であるNaの含有割合との合計は、0.02を超え1以下とする。x及びyの値をこの条件を満たすものとすることで、優れた圧電特性を有する圧電セラミックスとなる。
まず、積層型圧電セラミックス100の積層方向最表面に露出する圧電セラミックス層2について、Cu-Kα線を用いたX線回折装置(株式会社リガク製、RINT2500シリーズ)で回折線プロファイルを測定し、ペロブスカイト構造由来のプロファイルが主成分として認められ、かつ他の由来と考えられる回折プロファイルにおける最強回折線強度の、前記ペロブスカイト構造由来の最強回折線強度に対する割合が10%以下となった積層型圧電セラミックスを、ペロブスカイト型化合物を主成分とするものと判定する。なお、積層型圧電セラミックスの最表面に電極が形成されており、圧電セラミックス層が露出していない場合には、測定に先立ち、研磨等により該電極を除去する。
次いで、ペロブスカイト型化合物を主成分とすると判定された積層型圧電素子100の圧電セラミックス層2に、導電性を付与するために炭素を蒸着し、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM:日立ハイテクノロジーズ社製、S-4300)に設置した、シリコンドリフト型エネルギー分散型X線検出器(アメテック社製、Appolo)によってエネルギー分散型X線スペクトル(EDS)の測定を行う。測定時の電圧は10kVとし、K-K、Na-K、及びNb-Lスペクトルを定量評価に用いる。測定は、K-Kスペクトルの線強度が5000カウント以上となるように十分な時間をかけて行う。それぞれのスペクトルには、原子番号補正、吸収補正、蛍光補正を施して(ZAF補正)、各元素の含有量を算出する。
最後に、算出されたNb含有量(モル%ないし原子%)に対するNa及びKの含有量比率をそれぞれ、前述の組成式におけるy及び1-x-yの値として組成式を決定し、該決定された組成式が前述の組成式の範囲内にあるものを、前述の組成式で表されるペロブスカイト型化合物を主成分とする圧電セラミックス層2とする。
主成分100モルに対するLiの含有量を1.0モル以下とすることで、Li3NbO4をはじめとする導電性を有する化合物の生成が抑制され、絶縁性及び耐久性に優れた圧電セラミックスとなる。前記Liの含有量は、0.7モル以下とすることが好ましく、0.5モル以下とすることがより好ましい。
主成分100モルに対するこれらのアルカリ土類金属元素の含有量を0.2モル以上とすることで、優れた圧電特性を有する圧電セラミックスとなることに加えて、微細な多結晶体の生成により絶縁抵抗に優れたものとなる。前記アルカリ土類金属元素の含有量は、0.4モル以上とすることが好ましく、0.5モル以上とすることがより好ましい。
他方、主成分100モルに対する前記アルカリ土類金属元素の含有量を5.0モル以下とすることで、高い圧電性能を保持することができる。前記アルカリ土類金属の含有量は、4.0モル以下とすることが好ましく、3.0モル以下とすることがより好ましい。
主成分100モルに対するMnの含有量を0.2モル以上とすることで、圧電セラミックス層2の電気抵抗が向上する。前記Mnの含有量は、0.3モル以上とすることが好ましく、0.5モル以上とすることがより好ましい。
他方、主成分100モルに対するMnの含有量を2.0モル以下とすることで、高い圧電性能を保持することができる。前記Mnの含有量は、1.5モル以下とすることが好ましく、1.0モル以下とすることがより好ましい。
主成分100モルに対するSiの含有量を0.1モル以上とすることで、圧電セラミックスが緻密なものとなることに加えて、Siと余剰のLiとの反応によりLi2SiO3やLi4SiO4等の化合物を生成し、Li3NbO4をはじめとする導電性を有する化合物の生成を抑制できる。前記Siの含有量は、0.5モル以上とすることが好ましく、1.0モル以上とすることがより好ましい。
他方、主成分100モルに対するSiの含有量を3.0モル以下とすることで、圧電性を有さない異相の生成量が抑えられ、優れた圧電特性を有する圧電セラミックスとなる。前記Siの含有量は、2.5モル以下とすることが好ましく、2.0モル以下とすることがより好ましい。
本発明の第2の実施形態に係る積層型圧電セラミックスの製造方法(以下、単に「第2実施形態」と記載することがある。)は、所定量のリチウム化合物、ナトリウム化合物、カリウム化合物及びニオブ化合物の粉末を混合し、仮焼して、組成式LixNayK1-x-yNbO3(ただし、0.02<x≦0.1、0.02<x+y≦1)で表されるペロブスカイト型化合物を主成分とする仮焼粉を得ること、該仮焼粉中の前記主成分100モルに対して、Liが0~1.0モル、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属元素が0.2~5.0モル、Mnが0.2~2.0モル、Siが0.1~3.0モルとなる量で、前記仮焼粉に、リチウム化合物、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物及びケイ素化合物を混合して、構成元素として鉛を含まない成形用粉末を得ること、該成形用粉末をバインダーと混合して成形用組成物を得ること、該成形用組成物をシート状に成形して生シートを得ること、該生シート上に、銀の含有量が80質量%以上の金属を含む導体層を形成すること、該導体層が形成された生シートを積層し、該生シート同士を接着して生成形体を得ること、並びに該生成形体からのバインダーの除去及び焼成を行って焼成体を得ること、を含むことを特徴とする。
バインダーの使用量も特に限定されないが、後工程で除去されるものであるため、所期の成形性・保形性が得られる範囲内で極力少なくすることが、原料コストを低減する点で好ましい。
シートの成形方法としては、ドクターブレード法、押出成形法等の慣用されている方法を採用できる。
なお、上述したような、圧電セラミックス層中に接続導体を備える積層型圧電セラミックスを製造する場合には、得られた生シートに、パンチングやレーザー光の照射等により、接続導体を充填するための貫通孔(スルーホール又はビアと呼ばれることもある)を形成する。
導体層は、慣用されている方法で形成すればよく、銀の含有量が80質量%以上の金属粉末を含むペーストを印刷又は塗布する方法が、コストの点で好ましい。印刷又は塗布により電極パターンを形成する際には、焼成後の圧電セラミックス層2への付着強度を向上させるため、ガラスフリットや生シート中に含まれる仮焼粉と同様の組成を有する粉末をペースト中に含有させてもよい。
なお、上述したような、圧電セラミックス層中に接続導体を備える積層型圧電セラミックスを製造する場合には、導体層の形成に前後して、焼成後に接続導体となる電極材料を、生シートに形成した貫通孔に充填する。充填方法は特に限定されないが、電極材料を含むペーストを印刷する方法が、コストの点で好ましい。
積層及び接着は慣用されている方法で行えば良く、生シート同士をバインダーの作用で熱圧着する方法がコストの点で好ましい。
バインダーの除去と焼成とは同じ焼成装置を用いて連続して行ってもよい。バインダーの除去及び焼成の条件は、バインダーの揮発温度及び含有量、並びに圧電磁器組成物の焼結性及び内部電極材料の耐久性等を考慮して適宜設定すればよい。焼成条件の例としては、大気雰囲気中、850℃~1100℃で1時間~5時間が挙げられる。1つの生成形体から複数の積層型圧電セラミックスを得る場合には、焼成に先立って生成形体を幾つかのブロックに分割してもよい。
第1実施形態に係る積層型圧電セラミックス、又は第2実施形態で得られた積層型圧電セラミックスは、表面に電極を形成し、分極処理されて、第3実施形態に係る積層型圧電素子(以下、単に「第3実施形態」と記載することがある。)となる。以下、第3実施形態について、図3を参照しながら説明する。
第3実施形態に係る圧電素子は、圧電振動装置に好適に用いられる。そこで、本発明の第4実施形態として、圧電素子を用いた振動装置について説明する。
第4実施形態に係る振動装置は、圧電素子に電気信号を加えることで振動させ、それによって振動板を振動させることで作動する。
使用する振動板の材質としては、圧電素子の振動により振動するものであれば特に限定されず、例えばポリカーボネートやアクリル等の樹脂、SUSや黄銅等の金属、又はガラス等が使用できる。また、振動板の寸法及び形状についても特に限定されず、例えば厚さ10~500μmの矩形板、多角形板、円形板又は楕円形板等が利用できる。
圧電素子を振動板に接合する手段は、圧電素子の振動を振動板に対して効率よく伝達できるものであれば特に限定されず、エポキシ系樹脂等の接着剤又は両面テープ等が利用できる。
[仮焼粉の製造]
出発原料として、高純度の炭酸リチウム(Li2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)及び五酸化ニオブ(Nb2O5)を使用した。
これらの出発原料を、得られる仮焼粉の組成式がLi0.06Na0.52K0.42NbO3となるように秤量し、ボールミルにて湿式混合を行った。
混合後のスラリーを乾燥して得た混合粉について、大気中、900℃で3時間の条件で仮焼を行い、仮焼粉を得た。
得られた仮焼粉に対して、高純度の炭酸リチウム(Li2CO3)、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸マンガン(MnCO3)及び二酸化ケイ素(SiO2)を、Li0.06Na0.52K0.42NbO3100モルに対して、Liが0.5モル、Baが0.5モル、Mnが0.5モル及びSiが1.3モルとなる量で添加して成形用粉末を得た。
得られた成形用粉末にポリビニルブチラール系バインダーを混合して、成形用組成物を得た。
得られた成形用組成物をドクターブレードにて成形し、厚さ20μmの生シートを得た。
得られた生シート上に、Ag-Pd合金ペースト(Ag/Pd比=9/1)をスクリーン印刷し、電極パターンを形成した後、該生シートを積層し、加熱しながら圧着して生成形体を得た。
得られた成形体に対して、大気中で脱バインダー処理を行った後、大気中、1010℃で3時間の焼成を行い、積層方向に平行な、対向する一対の端面に、内部電極層が交互に露出する積層型圧電セラミックスを得た。
得られた積層型圧電セラミックスについて、上述した方法で粉末X線回折測定を行ったところ、図4中に(a)として示す結果が得られた。この結果を基に、2θ=25.5°~26.5°の範囲での回折線強度の最大値(Imax)と最小値(Imin)の比(Imax/Imin)を、上述した方法により算出したところ、Imax/Imin=1.36となった。
得られた積層型圧電セラミックスについて、積層方向最表面に位置する圧電セラミックス層の表面に白金を蒸着した後、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ社製 S-4300)にて該表面を観察したところ、図5(a)に示す結果が得られた。
得られた積層型圧電セラミックスの内部電極が露出する端面及び積層方向最表面に、Agペーストを塗布した後、ベルト炉内を通過させて焼き付けることで、接続導体及び表面電極をそれぞれ形成した。
電極形成後の積層型圧電セラミックスを、150℃のシリコンオイル中で、3kV/mmの電界強度で15分間分極処理して積層型圧電素子を得た。
得られた積層型圧電素子の特性を、変位量d* 33(pm/V)によって評価した。変位量d* 33は、レーザードップラー変位計を用いて測定・算出した。まず、積層型圧電セラミックスに100Hz程度で最大電界8kV/mmとなる単極性のサイン波形を打ち込み、積層型圧電素子の変位量をレーザードップラー変位計にて測定した。そして、得られた積層型圧電素子の変位量を、電極間の層数及び最大電圧で割って得られる商として、1層における単位電圧あたりの変位量d* 33を算出した。算出されたd* 33は、226pm/Vであった。
得られた積層型圧電素子に対してHALT試験を行った。HALT試験においては、65℃の環境下において3kV/mmの電圧を印加し、電流値300μAを超えるまでの時間をそのサンプルの寿命として測定した。結果を、図6に(a)として示す。
[積層型圧電セラミックスの製造]
生シートを製造する際に、仮焼粉に対する炭酸リチウムの添加量を、Li0.06Na0.52K0.42NbO3100モルに対して、Liが0.2モルとなる量とした以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る積層型圧電セラミックスを得た。
得られた積層型圧電セラミックスについて、実施例1と同様の方法で粉末X線回折測定を行ったところ、図4中に(b)として示す結果が得られた。この結果を基に、2θ=25.5°~26.5°の範囲での回折線強度の最大値(Imax)と最小値(Imin)の比(Imax/Imin)を、実施例1と同様の方法で算出したところ、Imax/Imin=1.34となった。
また、得られた積層型圧電セラミックスについて、積層方向最表面に位置する圧電セラミックス層の観察を、実施例1と同様の方法で行ったところ、図5(b)に示す結果が得られた。
得られた積層型圧電セラミックスから、実施例1と同様の手順により、実施例2に係る積層型圧電素子を得た。
得られた積層型圧電素子の変位量d* 33を、実施例1と同様の方法で測定・算出したところ、d* 33=228pm/Vとなった。
また、得られた積層型圧電素子について、実施例1と同様の方法でHALT試験を行ったところ、図6に(b)として示す結果が得られた。
[積層型圧電セラミックスの製造]
生シートを製造する際に、仮焼粉に対して炭酸リチウムを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、実施例3に係る積層型圧電セラミックスを得た。
得られた積層型圧電セラミックスについて、実施例1と同様の方法で粉末X線回折測定を行ったところ、図4に(c)として示す結果が得られた。この結果を基に、2θ=25.5°~26.5°の範囲での回折線強度の最大値(Imax)と最小値(Imin)の比(Imax/Imin)を、実施例1と同様の方法で算出したところ、Imax/Imin=1.31となった。
また、得られた積層型圧電セラミックスについて、積層方向最表面に位置する圧電セラミックス層の観察を、実施例1と同様の方法で行ったところ、図5(c)に示す結果が得られた。
得られた積層型圧電セラミックスから、実施例1と同様の手順により、実施例3に係る積層型圧電素子を得た。
得られた積層型圧電素子の変位量d* 33を、実施例1と同様の方法で測定・算出したところ、d* 33=226pm/Vとなった。
また、得られた積層型圧電素子について、実施例1と同様の方法でHALT試験を行ったところ、図6に(c)として示す結果が得られた。
[積層型圧電セラミックスの製造]
生シートを製造する際に、仮焼粉に対する炭酸リチウムの添加量を、Li0.06Na0.52K0.42NbO3100モルに対して、Liが1.3モルとなる量とした以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る積層型圧電セラミックスを得た。
得られた積層型圧電セラミックスについて、実施例1と同様の方法で粉末X線回折測定を行ったところ、図4に(d)として示す結果が得られた。この結果を基に、2θ=25.5°~26.5°の範囲での回折線強度の最大値(Imax)と最小値(Imin)の比(Imax/Imin)を、実施例1と同様の方法で算出したところ、Imax/Imin=1.52となった。
また、得られた積層型圧電セラミックスについて、積層方向最表面に位置する圧電セラミックス層の観察を、実施例1と同様の方法で行ったところ、図5(d)に示す結果が得られた。
得られた積層型圧電セラミックスから、実施例1と同様の手順により、比較例1に係る積層型圧電素子を得た。
得られた積層型圧電素子の変位量d* 33を、実施例1と同様の方法で測定したところ、d* 33=230pm/Vとなった。
また、得られた積層型圧電素子について、実施例1と同様の方法でHALT試験を行ったところ、図6に(d)として示す結果が得られた。
[積層型圧電セラミックスの製造]
生シートを製造する際に、仮焼粉に対する炭酸リチウムの添加量を、Li0.06Na0.52K0.42NbO3100モルに対して、Liが1.7モルとなる量とした以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る積層型圧電セラミックスを得た。
得られた積層型圧電セラミックスについて、実施例1と同様の方法で粉末X線回折測定を行ったところ、図4に(e)として示す結果が得られた。この結果を基に、2θ=25.5°~26.5°の範囲での回折線強度の最大値(Imax)と最小値(Imin)の比(Imax/Imin)を、実施例1と同様の方法で算出したところ、Imax/Imin=1.63となった。
また、得られた積層型圧電セラミックスについて、積層方向最表面に位置する圧電セラミックス層の観察を、実施例1と同様の方法で行ったところ、図5(e)に示す結果が得られた。
得られた積層型圧電セラミックスから、実施例1と同様の手順により、比較例1に係る積層型圧電素子を得た。
得られた積層型圧電素子の変位量d* 33を、実施例1と同様の方法で測定したところ、d* 33=228pm/Vとなった。
また、得られた積層型圧電素子について、実施例1と同様の方法でHALT試験を行ったところ、図6に(e)として示す結果が得られた。
上述したように、Imax/Iminの値は、積層型圧電セラミックスの表面に存在するLi3NbO4の量と正の相関を有することから、前述した素子寿命の短縮は、圧電セラミックス層中に存在する、導電性のLi3NbO4の増加に起因するものといえる。
110 積層型圧電素子
2 圧電セラミックス層
3 内部電極層
41、42 接続導体
51、52 表面電極
Claims (4)
- 圧電セラミックス層及び内部電極層が交互に積層された積層型圧電セラミックスであって、
前記圧電セラミックス層は、
構成元素として鉛を含まず、
組成式LixNayK1-x-yNbO3(ただし、0.02<x≦0.1、0.02<x+y≦1)で表されるペロブスカイト型化合物を主成分とすると共に、
前記主成分100モルに対して、
Liを0~1.0モル、
Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を0.2~5.0モル、
Mnを0.2~2.0モル、並びに
Siを0.1~3.0モル
含有し、かつ
これを粉砕した粉末についてのCu-Kα線を用いたX線回折測定において、2θ=25.5°~26.5°における回折強度の最小値(Imin)に対する最大値(Imax)の比(Imax/Imin)が、1.31以上1.50以下であり、
前記内部電極層は、銀を80質量%以上含む金属で構成される
ことを特徴とする積層型圧電セラミックス。 - 請求項1に記載の積層型圧電セラミックスの製造方法であって、
所定量のリチウム化合物、ナトリウム化合物、カリウム化合物及びニオブ化合物の粉末を混合し、仮焼して、組成式LixNayK1-x-yNbO3(ただし、0.02<x≦0.1、0≦y≦1、0.02<x+y≦1)で表されるペロブスカイト型化合物を主成分とする仮焼粉を得ること、
該仮焼粉中の前記主成分100モルに対して、
Liが0~1.0モル、
Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属元素が0.2~5.0モル、
Mnが0.2~2.0モル、
Siが0.1~3.0モル
となる量で、前記仮焼粉に、リチウム化合物、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物及びケイ素化合物を混合して、構成元素として鉛を含まない成形用粉末を得ること、
該成形用粉末をバインダーと混合して成形用組成物を得ること、
該成形用組成物をシート状に成形して生シートを得ること、
該生シート上に、銀含有量が80質量%以上の金属を含む導体層を形成すること、
該導体層が形成された生シートを積層し、該生シート同士を接着して生成形体を得ること、並びに
該生成形体からのバインダーの除去及び焼成を行って焼成体を得ること
を含む、積層型圧電セラミックスの製造方法。 - 圧電セラミックス層及び内部電極層が交互に積層された積層型圧電セラミックスと、
前記内部電極層に対して、一層おきに電気的に接続された一対の接続導体と、
前記積層型圧電セラミックスの表面に設けられ、前記一対の接続導体にそれぞれ電気的に接続された表面電極と、
を備える積層型圧電素子であって、
前記積層型圧電セラミックスが、請求項1に記載の積層型圧電セラミックスであることを特徴とする、積層型圧電素子。 - 請求項3に記載の積層型圧電素子と、該圧電素子に接合された振動板とを含む圧電振動装置。
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