JP3966882B2 - 圧電磁器組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アクチュエータや圧電ブザー、発音体、センサ等の各種圧電素子の圧電層に好適な圧電磁器組成物の製造方法に関するものである。
例えば圧電効果によって発生する変位を機械的な駆動源として利用したアクチュエータは、消費電力や発熱量が少なく、応答性も良好であること、小型化や軽量化が可能であること等の利点を有し、広範な分野で利用されるようになってきている。
ところで、この種のアクチュエータに用いられる圧電磁器組成物には、圧電特性、特に圧電歪定数が大きいことが要求され、これを満たす圧電磁器組成物として、例えばチタン酸鉛(PbTiO)とジルコン酸鉛(PbZrO)、及び亜鉛・ニオブ酸鉛[Pb(Zn1/3Nb2/3)O]により構成される3元系の圧電磁器組成物や、前記3元系の圧電磁器組成物においてPbの一部をSr、Ba、Ca等で置換した圧電磁器組成物等が開発されている。
ただし、これら従来の圧電磁器組成物は、比較的高温で焼成する必要があり、また焼成が酸化性雰囲気下で行われるため、例えば内部電極を同時焼成する積層型アクチュエータ等においては、高い融点を持ち、酸化性雰囲気下で焼成しても酸化されない貴金属(例えば、PtやPd等)を用いる必要がある。その結果、コスト増を招き、製造される圧電素子の低価格化に支障をきたしている。
このような状況から、本願出願人は、前記3元系の圧電磁器組成物に、Fe、Co、Ni、及びCuから選ばれる少なくとも1種を含む第1副成分、及びSb、Nb及びTaから選ばれる少なくとも1種を含む第2副成分を加えることにより低温焼成を可能とし、内部電極にAg−Pd合金等の安価な材料を使用可能とすることを提案している(特許文献1を参照)。
特許文献1記載の発明は、前記3元系の圧電磁器組成物や、当該3元系の圧電磁器組成物においてPbの一部をSr、Ba、Ca等で置換した圧電磁器組成物に、Fe、Co、Ni、及びCuから選ばれる少なくとも1種を含む第1副成分と、Sb、Nb及びTaから選ばれる少なくとも1種を含む第2副成分を加えることで、高い圧電歪定数を持ち、低温で焼成しても各種圧電特性を損なうことなく緻密化され、機械的強度が高められた圧電磁器組成物を実現し、この圧電磁器組成物で構成される圧電層を有する圧電素子を提供するというものである。
特開2004−137106号公報
しかしながら、より安価な金属(例えばCuやNi等)を電極材料として用いる場合、酸化性雰囲気(例えば、空気中)での焼成では、低温で焼成したとしても電極材料が酸化し、導電性が損なわれるという不都合が発生する。
前記のような不都合を解消するためには、酸素分圧の低い還元雰囲気(酸素分圧が1×10−9〜1×10−6気圧程度)において焼成を行う必要がある。ただし、還元雰囲気下で焼成を行った場合、得られた焼成体は空気中で焼成した焼結体に比較して多くの酸素空孔を含むため、特に高温(100℃以上)における絶縁抵抗の低下を招き、製品の高温負荷寿命(絶縁寿命)の低下を招く。100℃〜200℃の温度領域は、製品の作動規格温度でもあることが多く、この温度領域における絶縁抵抗や負荷寿命の低下は、製品の信頼性を著しく損ない、大きな問題である。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、CuやNi等の安価な金属材料を電極材料として用いることができ、しかも絶縁寿命や電気機械結合係数krに優れた圧電磁器組成物の製造方法を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明者らは、長期に亘り種々研究を重ねてきた。その結果、還元雰囲気下で焼成した場合、CuやCuO、CuO等、CuO(x≧0)で表される成分の添加により、特異的に絶縁寿命の改善が見られ、また電気機械結合係数krの低下も抑えられるとの結論を得るに至った。
本発明は、前記検討結果に基づいて案出されたものであり、Pb [(Zn 1/3 Nb 2/3 Ti Zr ]O (ただし、0.96≦a≦1.03、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。)で表される複合酸化物、及び(Pb a−b Me )[(Zn 1/3 Nb 2/3 Ti Zr ]O (ただし、0.96≦a≦1.03、0<b≦0.1、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。また、式中のMeは、Sr、Ca、Baから選ばれる少なくとも1種を表す。)で表される複合酸化物から選ばれる少なくとも1種を主成分として含む圧電磁器組成物の製造方法であって、焼成後の圧電磁器組成物が、第1副成分としてCuO (x≧0)で表される成分の少なくとも1種を含有し、当該第1副成分の含有量がCuO換算で3.0質量%以下(ただし、0は含まず)となるように、前記複合酸化物の原料母組成に対してCuを含む添加種を添加し、焼成温度800℃〜1200℃とし還元焼成条件で焼成することを特徴とする。
CuO(x≧0)で表される成分を副成分として添加することにより、高温での絶縁抵抗の低下が抑えられ、同時に絶縁寿命(高温負荷寿命)が改善されることの理由について、その詳細な機構は不明であるが、CuO(x≧0)を添加することで、絶縁寿命が著しく改善されるのは事実であり、例えば自動車部品に必要とされる信頼性の基準を満たすレベルにまで改善される。また、この時の電気機械結合係数krの低下は、ほとんど問題にならないレベルである。
なお、Cuの添加については、先の特許文献1にも記載されている。しかしながら、特許文献1においては、CuはFeやCo、Ni等とともに列挙される材料の一つに過ぎず、還元雰囲気下での焼成において、特異的に絶縁抵抗や高温負荷寿命を改善することについては、全く認識されていない。
本発明によれば、CuやNi等の安価な金属材料を内部電極の電極材料として用いることができ、高温負荷寿命に優れるとともに電気機械結合係数krの低下の無い圧電磁器組成物を提供することが可能である。したがって、本発明によれば、安価でありながら、絶縁寿命に優れ、信頼性の高い圧電素子を提供することが可能である。
以下、本発明を適用した圧電磁器組成物の製造方法について、詳細に説明する。
本発明の圧電磁器組成物は、Pb、Ti、及びZrを構成元素とする複合酸化物を主成分とするものである。ここで、前記複合酸化物は、例えばチタン酸鉛(PbTiO)とジルコン酸鉛(PbZrO)、及び亜鉛・ニオブ酸鉛[Pb(Zn1/3Nb2/3)O]により構成される3元系の複合酸化物や、前記3元系の複合酸化物においてPbの一部をSr、Ba、Ca等で置換した複合酸化物である。
具体的な組成としては、下記(1)式、あるいは(2)式で表される複合酸化物等を挙げることができる。なお、これら(1)式、あるいは(2)式において、酸素の組成は化学量論的に求めたものであり、実際の組成においては、化学量論組成からのずれは許容されるものとする。
Pb[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O ・・・(1)
(ただし、0.96≦a≦1.03、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。)
(Pba−bMe)[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O ・・・(2)
(ただし、0.96≦a≦1.03、0<b≦0.1、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。また、式中のMeは、Sr、Ca、Baから選ばれる少なくとも1種を表す。)
前記複合酸化物は、いわゆるペロブスカイト構造を有しており、Pb、及び(2)式における置換元素Meについては、ペロブスカイト構造のいわゆるAサイトに位置する。ZnやNb、Ti、Zrは、ペロブスカイト構造のいわゆるBサイトに位置する。
前記(1)式や(2)式で表される複合酸化物において、Aサイト元素の割合aは、0.96≦a≦1.03であることが好ましい。Aサイト元素の割合aが0.96未満であると、低温での焼成が困難になるおそれがある。逆に、Aサイト元素の割合aが1.03を越えると、得られる圧電磁器の密度が低下し、その結果、十分な圧電特性が得られなくなるおそれがあり、機械的強度も低下するおそれがある。
前記(2)式で表される複合酸化物においては、Pbの一部を置換元素Me(Sr,Ca,Ba)で置換しているが、これにより圧電歪定数を大きくすることができる。ただし、置換元素Meの置換量bが多くなりすぎると、焼結性が低下してしまい、その結果、圧電歪定数が小さくなり、機械強度も低下する。また、キュリー温度も置換量bの増加に伴って低下する傾向にある。したがって、置換元素Meの置換量bは、0.1以下とすることが好ましい。
一方、Bサイト元素のうち、ZnとNbの割合xは、0.05≦x≦0.15とすることが好ましい。前記割合xは焼成温度に影響を与え、この値が0.05未満であると焼成温度を低下させる効果が不足するおそれがある。逆に0.15を越えると、焼結性に影響を及ぼし、その結果、圧電歪定数が小さくなるとともに、機械的強度が低下するおそれがある。
Bサイト元素のうちTiの割合y及びZrの割合zは、圧電特性の観点から好ましい範囲が設定される。具体的には、Tiの割合yは、0.25≦y≦0.5であることが好ましく、Zrの割合zは、0.35≦z≦0.6であることが好ましい。前記範囲内に設定することで、モルフォトロピック相境界(MPB)付近において、大きな圧電歪定数を得ることができる。
本発明の圧電磁器組成物は、前記複合酸化物を主成分とするとともに、CuO(x≧0)を第1の副成分として含有することが大きな特徴点である。ここで、CuO(x≧0)としては、例えばCuO、CuO等、任意の酸化状態のCu酸化物、あるいはCu(x=0)等を挙げることができ、これらの2種類以上が含まれていてもよい。
前記CuO(x≧0)を第1の副成分として含有することで、高温での電気抵抗の低下が抑制され、また絶縁寿命(高温負荷寿命)が大幅に改善される。ただし、CuO(x≧0)の含有量が多くなりすぎると、電気機械結合係数krが低下するおそれがあるため、前記含有量は3.0質量%以下(ただし、0は含まず。)とすることが好ましい。CuO(x≧0)の含有量が3.0質量%を越えると、電気機械結合係数krが50以下になるおそれがある。より好ましくは、0.01〜3.0質量%である。
本発明の圧電磁器組成物は、前記第1の副成分の他、第2の副成分を含んでいてもよい。この場合、第2の副成分としては、Ta、Sb、Nb、及びWから選ばれる少なくとも1種である。第2の副成分を添加することで、圧電特性及び機械的強度を向上させることができる。ただし、これら第2の副成分の含有量は、酸化物換算で1.0質量%以下とすることが好ましい。例えばTaの場合、Ta換算で1.0質量%以下、Sbの場合、Sb換算で1.0質量%以下、Nbの場合、Nb換算で1.0質量%以下、Wの場合、WO換算で1.0質量%以下である。前記第2の副成分の含有量が、前記酸化物換算で1.0質量%を越えると、焼結性が低下し、圧電特性が低下するおそれがある。
以上は、本発明の圧電磁器組成物の組成に関しての構成であるが、本発明の圧電磁器組成物は、還元焼成条件において焼成されたものであることも大きな特徴点の一つである。先にも述べた通り、酸化性雰囲気中で焼成すると、例えば圧電素子の内部電極の電極材料として貴金属を用いる必要がある。これに対して、本発明の圧電磁器組成物は、還元焼成条件において焼成されたものであるので、CuやNi等の安価な電極材料を内部電極に用いることができる。ここで、還元焼成条件としては、例えば、焼成温度800℃〜1200℃、酸素分圧1×10−10〜1×10−6気圧である。
前記還元焼成条件での焼成を行った場合、高温での電気抵抗の低下や絶縁寿命(高温負荷寿命)の低下が問題になるが、本発明の圧電磁器組成物の場合、前記の通りCuO(x≧0)を第1の副成分として含有しているので、これを回避することが可能である。すなわち、本発明の圧電磁器組成物では、還元焼成条件で焼成されたものであるので、内部電極にCuやNi等の安価な電極材料を用いることができ、しかも高温での電気抵抗の低下や絶縁寿命(高温負荷寿命)の低下を解消することが可能である。
次に、本発明の圧電磁器組成物の製造方法について説明する。本発明の圧電磁器組成物は還元焼成条件で焼成することにより製造するが、その製造方法は以下の通りである。
先ず、主成分の原料として、例えばPbO粉末、ZnO粉末、Nb粉末、TiO粉末、ZrO粉末を用意する。主成分が(2)式で表される複合酸化物の場合には、さらに、SrCO粉末、BaCO粉末、CaCO粉末の少なくとも1種を用意する。
また、第1の副成分の原料(添加種)として、Cu、CuO、CuOの少なくとも1種を用意する。第2の副成分を添加する場合には、Ta粉末、Sb粉末、Nb粉末、WO粉末の中から必要なものを用意する。
なお、前記主成分の原料、及び第2の副成分の原料として例示した前記酸化物粉末、あるいは炭酸塩粉末は、これに限られるものではなく、焼成により酸化物となるものであれば、如何なるものを用いてもよい。例えば例示した酸化物粉末の代わりに、炭酸塩粉末、シュウ酸塩粉末、水酸化物粉末等を用いることもできる。同様に、例示した炭酸塩粉末の代わりに、酸化物粉末、シュウ酸塩粉末、水酸化物粉末等を用いることができる。
次に、これら原料を十分に乾燥させた後、所望の最終組成に応じて前記各原料を秤量し、例えばボールミル等により有機溶媒中、あるいは水中で十分に混合する。これを乾燥した後、例えば700℃〜950℃程度で1時間〜4時間仮焼する。続いて、この仮焼物を、例えばボールミル等により有機溶媒中、または水中で十分に粉砕し、乾燥した後、ポリビニルアルコールやアクリル系樹脂等のバインダを加えて造粒し、一軸プレス成形機あるいは静水圧成形機(CIP)等を用いてプレス成形する。
前記成形の後、成形体を焼成するが、本発明では、前記成形体を還元焼成条件で焼成する。具体的には、還元雰囲気(例えば酸素分圧1×10−10〜1×10−6気圧)下、焼成温度800℃〜1200℃で焼成を行う。本発明の圧電磁器組成物は、前記の通り還元焼成条件で、しかも比較的低い温度で焼成を行うので、例えば内部電極に用いる電極材料に対する制約がなくなり、CuやNi等の安価な電極材料を用いることができる。また、還元焼成条件下で焼成したことによる絶縁寿命等の劣化は、第1の副成分を添加することで解消され、特性的にも問題なくなる。
焼成した後、得られた焼結体を必要に応じて研磨し、分極用電極を接続して加熱したシリコーンオイル等の中で電界を印加することにより分極処理を行い、圧電磁器組成物(圧電セラミック)を得る。
なお、前述の製造方法において、第1の副成分の原料(添加種)は、仮焼の前、例えば最初の原料混合プロセスにおいて主成分の原料と混合してもよいし、仮焼の後、仮焼物を粉砕したものと混合するようにしてもよい。
前述の圧電磁器組成物は、アクチュエータや圧電トランス、超音波モータ、圧電ブザー、発音体、センサ等、各種圧電素子の圧電材料として用いることができる。そこで次に、積層型アクチュエータを例にして、圧電素子の構成例について説明する。
図1は、積層型アクチュエータの一例を示すものである。積層型アクチュエータ1は、図1に示すように、複数の圧電層2の間に内部電極3が挿入された積層体4を備えており、この積層体4が活性部分として変位に寄与する。圧電層2の1層当たりの厚さは、任意に設定することができるが、例えば1μm〜100μm程度に設定するのが通常である。積層体4の両側には、不活性領域として内部電極3が形成されていない圧電層領域を有するが、この部分の圧電層の厚さは、内部電極3間の圧電層2の厚さよりも厚く設定される場合もある。
本発明の圧電素子においては、前記圧電層2に前述の圧電磁器組成物を用いる。一方、内部電極3は、各圧電層2に電圧を印加する電極としての機能を有するものであり、当然のことながら導電材料により構成される。この場合、導電材料として、Ag、Au、Pt、Pd等の貴金属を用いることもできるが、前記圧電層2に先に説明した本発明の圧電磁器組成物を用いているので、CuやNi等の安価な電極材料を用いることができる。前記の通り、本発明の圧電磁器組成物は還元焼成条件で低温焼成されるものであり、酸化され易く融点も低いCuやNi等であっても、前記内部電極3として用いることが可能である。これら安価な電極材料を用いれば、積層型アクチュエータ1の製造コストの削減にも繋がる。
前記内部電極3は、例えば交互に逆方向に延長されており、各延長方向の端部には、それぞれ内部電極3と電気的に接続された端子電極5,6が設けられている。端子電極5,6は、例えばAu等の金属をスパッタリングすることにより形成されていてもよいし、電極用ペーストを焼き付けることにより形成されていてもよい。端子電極5,6の厚さは、用途や積層型アクチュエータ1のサイズ等によって適宜設定されるが、通常は、10μm〜50μm程度である。
前記積層型アクチュエータ1は、次のようにして作製する。先ず、圧電磁器組成物の製造において述べたように、仮焼物を粉砕した粉末(第1の副成分を含む。)にビヒクルを加え、混練して圧電層用ペーストを作製する。それとともに、導電材料をビヒクルと混練し、内部電極用ペーストを作製する。なお、内部電極用ペーストには、必要に応じて分散剤、可塑剤、誘電体材料、絶縁材料等の添加物を添加してもよい。
続いて、前記圧電層用ペースト及び内部電極用ペーストを用いて、印刷法やシート法等により積層体4の前駆体であるグリーンチップを作製する。さらに、脱バインダ処理を行い、還元焼成条件で焼成し、積層体4を得る。得られた積層体4は、例えばバレル研磨やサンドブラスト等により端面研磨を行い、金属をスパッタリングすることにより、あるいは内部電極用ペーストと同様に作製した端子電極用ペーストを印刷または転写して焼き付け、端子電極5,6を形成する。
以上の構成を有する圧電素子は、内部電極をCuやNi等の安価な電極材料で形成することができるので、製造コストを大幅に削減することが可能である。また、還元焼成条件で焼成される圧電磁器組成物により形成される圧電層2は、絶縁抵抗や高温負荷特性の低下が少なく、電気機械結合係数krの低下も少ないので、性能や信頼性に優れた圧電素子を実現することが可能である。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
実験1:第1副成分[CuO (x≧0)]の添加による効果の確認実験
本実験では、下記の主成分に対して、CuO(x≧0)をCuO換算で表1に示す含有量となるように添加し、その効果を調べた。
主成分:(Pb0.995−0.03Sr0.03)[(Zn1/3Nb2/30.1Ti0.43Zr0.47]O
圧電磁器組成物は、次のようにして作製した。先ず、主成分の原料として、PbO粉末、SrCO粉末、ZnO粉末、Nb粉末、TiO粉末、ZrO粉末を用意し、前記主成分の組成となるように秤取した。次に、これら原料をボールミルを用いて16時間湿式混合し、大気中において700℃〜900℃で2時間仮焼した。
得られた仮焼物を微粉砕した後、CuO(x≧0)の原料(添加種:CuO)を添加し、ボールミルを用いて16時間湿式粉砕した。これを乾燥した後、バインダとしてアクリル系樹脂を加えて造粒し、1軸プレス成形機を用いて約445MPaの圧力で直径17mm、厚さ1mmの円板状に成形した。成形した後、熱処理を行ってバインダを揮発させ、低酸素還元雰囲気中(酸素分圧1×10−10〜1×10−6気圧)において950℃で2時間〜8時間焼成した。得られた焼結体をスライス加工及びラップ加工により厚さ0.6mmの円板状とし、両面に銀ペーストを印刷して350℃で焼き付け、120℃のシリコーンオイル中で3kVの電界を15分間印加し、分極処理を行った。
以上の方法に従い、表1に示す含有量となるようにCuO(x≧0)の原料(添加種:CuO)の添加量を変え、実施例1−1〜実施例1−7、及び比較例1−1、1−2を作製した。
作製した各実施例及び比較例について、高温負荷寿命試験を行い、さらに電気機械結合係数krを測定した。高温負荷寿命試験は、5個の試料について、温度250℃において電界強度が8kV/mmになるように3.2kVの電圧を印加し、その絶縁抵抗の経時変化を求めるものである。ここでは、各試料の絶縁抵抗が試験開始直後の値を基準として1桁以上低下するまでの時間を寿命時間として計測し、その平均寿命時間を求めて高温負荷寿命とした。また、電気機械結合係数krの測定は、インピーダンスアナライザー(ヒューレット・パッカード社製、HP4194A)を用いて行った。結果を表1に示す。
Figure 0003966882
この表1から明らかなように、第1の副成分であるCuO(x≧0)を含有することで、CuO(x≧0)を添加していない比較例1−1に比べて高温負荷寿命が大きく改善されることがわかる。ただし、比較例1−2のように、CuO(x≧0)の含有量が多すぎると、高温負荷寿命は改善されるものの、電気機械結合係数krの低下が顕著になり、電気機械結合係数krの値が基準となる50(%)を下回っている。したがって、前記CuO(x≧0)の添加に際しては、その含有量が3.0質量%以下となるようにすることが好ましいと言える。
実験2:第1の副成分の原料(添加種)及び添加時期に関する検討
本実験では、第1の副成分の添加種としてCu、CuO、及びCuOを用い、添加種の相違による効果の相違を調べた。また、各添加種について、その添加時期を仮焼前と仮焼後とし、これによる相違を調べた。なお、仮焼「前」とは、添加種を主成分の原料調合時に加えた場合であり、その後、仮焼し、本焼成した。仮焼「後」とは、先の実験1における製造方法と同様、仮焼物の微粉砕時に添加種を添加した場合である。
添加種及び添加時期を表2に示すように変え、他は同様にして実施例2−1〜実施例2−6を作製した。そして、各実施例について、前記と同様、高温負荷寿命及び電気機械結合係数krを測定した。結果を表2に示す。
Figure 0003966882
表2から明らかなように、添加種や添加時期に関わらず、いずれの実施例においても、長い寿命が得られ、電気機械結合係数krの低下も抑えられている。
実験3:主成分のAサイト元素の組成aに関する検討
主成分の組成を下記の通りとし、当該組成において組成aを変えて実施例3−1〜実施例3−4を作製した。圧電磁器組成物の作製方法は、実験1と同様である。これら各実施例について、実験1や実験2と同様、高温負荷寿命及び電気機械結合係数krを測定した。結果を表3に示す。
主成分:(Pba−0.03Sr0.03)[(Zn1/3Nb2/30.1Ti0.43Zr0.47]O
Figure 0003966882
表3から明らかなように、組成aを本発明で規定する範囲内において変えた場合にも、CuO(x≧0)を添加することによる効果が得られ、いずれの実施例においても、高温負荷寿命が大きく改善され、電気機械結合係数krの低下が抑えられている。
実験4:主成分のAサイト元素の組成bに関する検討
主成分の組成を下記の通りとし、当該組成において組成bを変えて実施例4−1〜実施例4−5を作製した。圧電磁器組成物の作製方法は、実験1と同様である。これら各実施例について、実験1〜実験3と同様、高温負荷寿命及び電気機械結合係数krを測定した。結果を表4に示す。
主成分:(Pb0.995−bSr)[(Zn1/3Nb2/30.1Ti0.43Zr0.47]O
Figure 0003966882
表4から明らかなように、組成bを本発明で規定する範囲内において変えた場合にも、CuO(x≧0)を添加することによる効果が得られ、いずれの実施例においても、高温負荷寿命が大きく改善され、電気機械結合係数krの低下が抑えられている。
実験5:主成分のAサイト置換元素Meに関する検討
主成分のAサイト置換元素MeをCa、あるいはBaに変え、他は実験1と同様にして実施例5−1及び実施例5−2を作製した。これら実施例の高温負荷寿命及び電気機械結合係数krの測定結果を表5に示す。
主成分:(Pb0.995−0.03Me0.03)[(Zn1/3Nb2/30.1Ti0.43Zr0.47]O
Figure 0003966882
表5から明らかな通り、主成分のAサイトの置換元素MeをSrからCaやBaに変えた場合にも、CuO(x≧0)を添加することによる効果が得られ、高温負荷寿命が大きく改善され、電気機械結合係数krの低下が抑えられている。
実験6:主成分のBサイト元素の組成x、y、zに関する検討
主成分の組成を下記の通りとし、当該組成においてBサイト元素の組成x、y、zを表6に示すように変え、実施例6−1〜実施例6−6及び比較例6−1を作製した。圧電磁器組成物の作製方法は、実験1と同様である。これら各実施例について、実験1と同様、高温負荷寿命及び電気機械結合係数krを測定した。結果を表6に示す。
主成分:(Pba−0.03Sr0.03)[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O
Figure 0003966882
この表6から明らかなように、Bサイト元素の組成x、y、zを変えた場合にも、CuO(x≧0)を添加することによる効果が得られ、高温負荷寿命が大きく改善され、電気機械結合係数krの低下が抑えられていることがわかる。ただし、Bサイト元素の組成x、y、zが本発明で規定する範囲を外れる比較例6−1では、電気機械結合係数krが小さく、基準値(50%)以下になっている。
実験7:第2の副成分(Ta )の添加に関する検討
第2の副成分としてTaを添加し、その添加量を表7に示すように変えて実施例7−1〜実施例7−6を作製した。圧電磁器組成物の作製方法は、実験1と同様である。これら各実施例について、実験1と同様、高温負荷寿命及び電気機械結合係数krを測定した。結果を表7に示す。
Figure 0003966882
表7から明らかなように、第2の副成分としてTaを添加した場合にも、CuO(x≧0)を添加することによる効果が得られ、高温負荷寿命が大きく改善され、電気機械結合係数krの低下が抑えられている。ただし、Taの添加量が多くなりすぎると、高温負荷寿命、電気機械結合係数krのいずれも若干低下する傾向にある。
実験8:第2の副成分の種類に関する検討
第2の副成分として、表8に示す酸化物を表8に示す添加量で加え、実施例8−1〜実施例8−5を作製した。圧電磁器組成物の作製方法は、実験1と同様である。これら各実施例について、実験1と同様、高温負荷寿命及び電気機械結合係数krを測定した。結果を表7に示す。
Figure 0003966882
表8から明らかなように、いずれの添加物、添加量においても効果が見られ、高温負荷寿命が長く、電気機械結合係数krも大きいことがわかる。
積層型アクチュエータの一構成例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 積層型アクチュエータ、2 圧電層、3 内部電極、4 積層体、5,6 端子電極

Claims (6)

  1. Pb [(Zn 1/3 Nb 2/3 Ti Zr ]O (ただし、0.96≦a≦1.03、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。)で表される複合酸化物、及び(Pb a−b Me )[(Zn 1/3 Nb 2/3 Ti Zr ]O (ただし、0.96≦a≦1.03、0<b≦0.1、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。また、式中のMeは、Sr、Ca、Baから選ばれる少なくとも1種を表す。)で表される複合酸化物から選ばれる少なくとも1種を主成分として含む圧電磁器組成物の製造方法であって、
    焼成後の圧電磁器組成物が、第1副成分としてCuO (x≧0)で表される成分の少なくとも1種を含有し、当該第1副成分の含有量がCuO換算で3.0質量%以下(ただし、0は含まず)となるように、前記複合酸化物の原料母組成に対してCuを含む添加種を添加し、
    焼成温度800℃〜1200℃とし還元焼成条件で焼成することを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法。
  2. 前記圧電磁器組成物は、第2副成分として、Ta、Sb、Nb及びWから選ばれる少なくとも1種を含有し、前記第2副成分の含有量が酸化物換算で1.0質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の圧電磁器組成物の製造方法。
  3. 前記還元焼成条件は、酸素分圧1×10 −10 〜1×10 −6 気圧であることを特徴とする請求項1または2記載の圧電磁器組成物の製造方法。
  4. 前記添加種は、Cu、CuO、CuOから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の圧電磁器組成物の製造方法。
  5. 前記添加種の添加時期が仮焼き前であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の圧電磁器組成物の製造方法。
  6. 前記添加種の添加時期が仮焼き後であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の圧電磁器組成物の製造方法。
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