JP2003277142A - 圧電セラミックスおよび圧電アクチュエータ - Google Patents

圧電セラミックスおよび圧電アクチュエータ

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JP2003277142A JP2002080633A JP2002080633A JP2003277142A JP 2003277142 A JP2003277142 A JP 2003277142A JP 2002080633 A JP2002080633 A JP 2002080633A JP 2002080633 A JP2002080633 A JP 2002080633A JP 2003277142 A JP2003277142 A JP 2003277142A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来よりも低温で焼成できるチタン酸バリウ
ム系の圧電セラミックスと、この圧電セラミックスを用
いた圧電アクチュエータを提供する。 【解決手段】 チタン酸バリウムにフッ化マンガンを添
加し、焼成することにより、抵抗率や電気機械結合係数
を高く維持しながら、焼成温度を50℃〜150℃下げ
ることができる。また、焼成を還元雰囲気で行った場合
にも、抵抗率が低下しない。これによって、チタン酸バ
リウムにフッ化マンガンを添加して焼成してなる圧電セ
ラミックス11と、ニッケルからなる内部電極12とを
交互に積層した圧電アクチュエータ10が実現される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チタン酸バリウム
系の圧電セラミックスと、この圧電セラミックスを用い
た圧電アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、積層型圧電アクチュエータは、
サブミクロンオーダーで変位量を調節することが可能で
あり、また電気信号に対する応答性が速く、発生力が大
きいことから、例えば、X−Yステージ等の精密位置決
め装置や、切削加工機等の産業用機械に使用されてい
る。
【0003】積層型圧電アクチュエータは、圧電セラミ
ックスと内部電極とが交互に積層された構造を有してお
り、この圧電セラミックスと内部電極からなる積層体
は、同時焼成法(一体焼成法)によって作製されてい
る。この同時焼成法は、焼成後に内部電極となる金属ペ
ーストが所定のパターンで印刷されたセラミックスグリ
ーンシートを所定枚数積み重ねた後に、熱プレス等を用
いてこれを一体化し、所定の温度で焼成する方法であ
る。このために、金属ペーストとしては、セラミックス
グリーンシートの焼成温度に耐えることのできる高融点
金属ペーストを用いる必要がある。
【0004】積層型圧電アクチュエータに一般的に用い
られている圧電セラミックスは、チタン酸ジルコン酸鉛
(PZT)系の材料である。また、内部電極用の材料と
しては、銀(Ag)/パラジウム(Pd)ペースト(例
えば、組成比Ag/Pd=70/30(重量比))が用
いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、PZT
系の圧電セラミックス材料は主成分の1つに鉛を含んで
いるために、焼成時に鉛成分が蒸発し易い。これによっ
て組成ずれが生じて目的とする圧電特性が得られなくな
るだけでなく、焼成炉やその回りの外気を汚染する問題
が生ずる。このために、鉛成分が外気へ拡散しないよう
に設備を整えなければならず、作製設備費が高額となる
問題がある。また、鉛は人体に有害な成分であるため
に、作業者の安全と健康を管理する観点からも、可能な
限り鉛を含まない圧電セラミックスを用いることが嘱望
されている。
【0006】鉛を含まない圧電セラミックスとしては、
チタン酸バリウムが広く知られている。しかし、チタン
酸バリウムの焼成温度は通常1300℃以上であるため
に、大気雰囲気(酸化雰囲気)でチタン酸バリウムを焼
成することによって積層型圧電アクチュエータを作製し
ようとすると、内部電極としてパラジウムペーストまた
は白金(Pt)ペースト等の高価な内部電極材料を用い
なければならなくなるために、作製コストが高くなる問
題がある。
【0007】チタン酸バリウムの焼成温度は、所定量の
金属イオンや希土類イオンでバリウムイオンサイトおよ
びチタンイオンサイトを置換することによって下げるこ
とができる。しかし、この場合は置換イオンの種類や量
により電気機械結合係数Kp並びにキュリー点の低下を
招くために、圧電効果や電歪効果を利用する圧電アクチ
ュエータとして使用できなくなる。また、チタン酸バリ
ウムはその成分として鉛を含まないために、還元雰囲気
での焼成が可能であり、この場合には内部電極材料とし
て安価なニッケルを用いることが可能となる。しかし、
純粋なチタン酸バリウムは、還元雰囲気で焼成すると半
導体化して抵抗率が極端に低下する。つまり、圧電特性
を示さなくなるという問題を生ずる。
【0008】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、電気機械結合係数を高く維持しながら、従
来よりも低い温度での焼成が可能なチタン酸バリウム系
の圧電セラミックスを提供することを目的とする。また
本発明は還元雰囲気で焼成した場合でも抵抗率が高く維
持される圧電セラミックスを提供することを目的とす
る。さらに本発明は、安価に作製することが可能な圧電
アクチュエータを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、チタン
酸バリウムにフッ化マンガンを添加し、焼成してなるこ
とを特徴とする圧電セラミックス、が提供される。この
圧電セラミックスは、電気機械結合係数を高く維持しな
がらも、従来よりも低い温度での焼成が可能である。
【0010】フッ化マンガンの添加量は、チタン酸バリ
ウムの全重量に対して重量比(外比)で0.1%以上2
%以下とすることが好ましい。チタン酸バリウムにおけ
るバリウム(Ba)とチタン(Ti)のモル比(Ba/
Ti)は、0.99以上1.005以下であることが好
ましい。圧電アクチュエータ用の材料として用いる場合
には、フッ化マンガンが添加されたチタン酸バリウムの
焼結体の抵抗率は、印加電圧が1kVの場合に1×10
11Ω・m以上であることが好ましく、電気機械結合係
数Kpは20%以上であることが好ましい。
【0011】また、本発明によればこのような圧電セラ
ミックスを用いたアクチュエータ、つまり、圧電セラミ
ックスと内部電極とが交互に積層され、同時焼成法によ
って作製される積層型の圧電アクチュエータであって、
前記圧電セラミックスは、所定量のフッ化マンガンが添
加されたチタン酸バリウムのグリーンシートを焼成する
ことによって形成され、前記内部電極は、前記グリーン
シートに塗布されたニッケルペーストが焼成されて形成
されたものであることを特徴とする圧電アクチュエー
タ、が提供される。この圧電アクチュエータは、還元雰
囲気で焼成して作製する必要があるが、チタン酸バリウ
ムにフッ化マンガンが添加され、焼成されてなる圧電セ
ラミックスは、還元雰囲気においても抵抗率が下がるこ
とがないために、十分に圧電アクチュエータ用の材料と
して使用することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明に係る圧電セラミックスは、
チタン酸バリウムにフッ化マンガンを添加し、焼成する
ことにより得ることができる。チタン酸バリウムへのフ
ッ化マンガンの添加は、従来公知の種々の方法、例え
ば、チタン酸バリウム粉末とフッ化マンガンの粉末を、
乳鉢やボールミル、ホモジナイザ、アトライタ等を用い
て均一に混合、粉砕し、乾燥後に仮焼してさらにその後
に微粉砕することによって行われる。
【0013】チタン酸バリウムにフッ化マンガンを添加
して焼成することによって、焼成温度を下げることがで
きる。この理由は明らかではないが、フッ素イオンが酸
素イオンの一部を置換して活性な状態となり、固体内拡
散速度が向上することによるものと推測される。
【0014】チタン酸バリウムにおけるバリウム(B
a)とチタン(Ti)のモル比(Ba/Ti比)は、
0.99以上1.005以下であることが好ましい。B
a/Ti比が1未満の場合には、低い温度での焼成が可
能となるが、半導体化し易い問題がある。一方Ba/T
i比が1以上の場合には、半導体化し難いが焼成温度を
高くしないと(例えば、1400℃)、十分な圧電特性
が現れない。このためチタン酸バリウムのBa/Ti比
が異なると、添加するフッ化マンガンの最適量が異なっ
てくる。
【0015】圧電セラミックスの材料特性の評価は、一
般的に、圧電セラミックス粉体を円板や角柱等の所定形
状にプレス成形し、所定の温度で焼成して得られる焼結
体が用いられる。そこで、仮焼粉に所定量のバインダ
(後述する表1および表2に示す試料1〜28の作製に
おいては、チタン酸バリウム粉末の重量の5重量%に相
当する量)を加え、これを金型に充填し、所定圧力でプ
レス成形(一軸プレス成形やCIP成形)することによ
ってプレス成形体を作製して、これを所定の温度で所定
時間焼成することにより、焼結体を得た。
【0016】表1は、Ba/Ti比が0.992のチタ
ン酸バリウムにフッ化マンガン(MnF)を所定量添
加し、焼成温度を1200℃、1250℃、1300℃
として作製された焼結体(試料1〜18)の特性(密
度、抵抗率、電気機械結合係数Kp、誘電率)を示して
いる。ここで、試料1〜18の密度はアルキメデス法に
より測定した。また、密度測定が終了した後の各試料を
乾燥させた後に、その表裏面に銀ペーストをスクリーン
印刷し、さらにこれを焼き付けることによって電極を形
成した。抵抗率については1kVの電圧を印加したとき
に電圧印加回路に流れる電流値から求めた。電気機械結
合係数Kpと誘電率(比誘電率(ε/ε)を指す)
は、各試料を2kV/mmで分極処理した後に、インピ
ーダンスアナライザにより測定した。
【0017】
【表1】
【0018】表1において、試料1・7・13はフッ化
マンガンを添加していない比較試料である。1200℃
焼成の場合において、試料1と比較して、フッ化マンガ
ンが添加されている試料2〜6で密度が高められている
ことがわかる。このことは、1250℃焼成と1300
℃焼成の場合についても同様である。試料9と試料13
とを比較すると明らかなように、フッ化マンガンを0.
4重量%添加することによってフッ化マンガンを添加し
ていない場合よりも50℃焼成温度が下がっても、十分
に密度上がっていることがわかる。また、試料3と試料
13を比べて分かるように、フッ化マンガンを添加する
ことによって、焼成温度を100℃下げても同程度の密
度が得られている。このことは、フッ化マンガンが焼成
時に焼結助剤として機能していることを示唆している。
【0019】各焼成温度において、フッ化マンガンの添
加量によって、密度、抵抗率、電気機械結合係数Kp、
誘電率が変化する。したがって、フッ化マンガンの添加
量の最適値を選択することにより、良好な特性を有する
圧電セラミックスを得ることができる。例えば、表1か
ら、適当量のフッ化マンガンを添加することによって、
フッ化マンガンを添加していない場合に比べて、抵抗率
を高くすることができることがわかる。1250℃での
焼成においては、0.4重量%以上のフッ化マンガンを
添加することによって、明らかに抵抗率が高くなってい
る。
【0020】また、各焼成温度において、フッ化マンガ
ンが添加されている試料では、フッ化マンガンが添加さ
れていない試料に比べて、電気機械結合係数Kpが大き
くなっている。電気機械結合係数Kpが高いことは、電
気エネルギーをより有効に機械的エネルギーに変換でき
ることを意味している。したがって、チタン酸バリウム
にフッ化マンガンを添加することによって、より良好な
圧電特性が得られることがわかる。特に試料9は、焼成
温度が1250℃と低く、密度と抵抗率と電気機械結合
係数Kpのバランスがよい。
【0021】表2は、Ba/Ti比が1.001のチタ
ン酸バリウムを1300℃、1400℃で焼成した試料
19・20(比較試料)と、このチタン酸バリウムにフ
ッ化マンガンを所定量添加し、1300℃または135
0℃で焼成することにより作製された焼結体(試料21
〜28)の特性(密度、抵抗率、電気機械結合係数K
p、誘電率)を示している。
【0022】
【表2】
【0023】表2から、Ba/Ti比が1.001のチ
タン酸バリウムを用いた場合も、適当量のフッ化マンガ
ンを添加することによって、フッ化マンガンを添加しな
い場合と比較して、50℃〜100℃の低温焼成化を実
現しながら、密度や抵抗率、電気機械結合係数Kpを向
上させることができるということがわかる。また、フッ
化マンガンを添加しても、キュリー点の大きな降下は起
こっていないことがわかる。例えば、フッ化マンガンを
添加していない試料20と、フッ化マンガンが添加され
た試料23では、焼成温度が100℃異なるにもかかわ
らず、同等の密度が得られている。また、試料20と試
料23・26を比較すると、フッ化マンガンを添加する
ことによって電気機械結合係数Kpが明らかに向上して
いることがわかる。さらに抵抗率はフッ化マンガンを添
加することによって顕著に上昇していることがわかる。
【0024】次に、表3に、Ba/Ti比が0.992
のチタン酸バリウムにフッ化マンガンを所定量添加し、
焼成温度を1250℃、1300℃として還元雰囲気で
焼成することによって得られた焼結体(試料29〜4
0)について、その添加量と特性(密度、抵抗率、電気
機械結合係数Kp、誘電率)との関係を示す。
【0025】
【表3】
【0026】これらの試料29〜40の作製方法は次の
通りである。まず、チタン酸バリウム粉末に所定量のフ
ッ化マンガンを添加して混合粉砕したものを1000℃
で仮焼した。次にこの仮焼粉末を平均粒径が1μm以下
となるように粉砕した後に、バインダー(例えば、酢酸
ビニル等)を添加して、厚さ約300μmのシートを成
形した。得られたシートから10mmφの円板を打ち抜
いて、これの両面にニッケルペーストを印刷し、その後
に500℃〜700℃の大気雰囲気で脱脂を行った。次
いで窒素99%、水素1%からなる還元雰囲気において
1250℃または1300℃で焼成した。なお、試料2
9〜40の各特性の評価方法は試料1〜28に準ずる。
【0027】フッ化マンガンを添加していない試料29
・35では、抵抗率が1kΩ・m以下となったために分
極を行うことができず、したがって電気機械結合係数K
pと誘電率を測定することはできなかった。一方、フッ
化マンガンを添加した試料30〜34・36〜40は、
1×1011Ω・m以上の高い抵抗率を示しており、大
気雰囲気で焼成した場合(表1、表2)と比較しても、
抵抗率が低下していないことがわかる。また、電気機械
結合係数Kpや誘電率の値も大気雰囲気で焼成した場合
と同等の値が得られている。
【0028】このようにフッ化マンガンが添加されて還
元雰囲気で焼成されたチタン酸バリウムは、高い抵抗率
と良好な電気機械結合係数Kp等の特性を示すために、
アクチュエータ用材料として用いることが可能である。
【0029】図1は積層コンデンサ型の圧電アクチュエ
ータ10の構造を示す概略断面図である。圧電アクチュ
エータ10は、圧電セラミックス11と内部電極12と
が交互に積層され、隣り合う圧電セラミックス11には
互いに逆向きとなる電界が内部電極12によって印加さ
れるように、内部電極12が一層おきに外部電極13a
・13bに接続された構造を有している。また、圧電ア
クチュエータ10の積層方向の端面には、保護層14が
設けられている。外部電極13a・13bにはそれぞれ
リード線15a・15bがハンダ付けされており、圧電
アクチュエータ10の側面には樹脂被膜16が設けられ
ている。
【0030】圧電セラミックス11および保護層14と
して、本発明に係る圧電セラミックス、つまり、フッ化
マンガンが添加されて焼成されたチタン酸バリウムが用
いられる。また、前述したように、本発明に係る圧電セ
ラミックスは還元雰囲気での焼成が可能であり、しかも
1350℃以下の温度での焼成が可能であるために、内
部電極12として安価なニッケル電極を用いることがで
きる。なお、外部電極13a・13bとしてもニッケル
電極が好適に用いられる。
【0031】圧電アクチュエータ10は、公知の積層型
コンデンサの作製方法に準じて作製することができる。
すなわち、最初にチタン酸バリウム粉末に所定量のフッ
化マンガンを添加して混合粉砕したものを1000℃で
仮焼し、得られた仮焼粉末を平均粒径が1μm以下とな
るように粉砕する。次に、この粉末に溶剤やバインダ等
を混合してスラリーを作製し、ドクターブレード法等の
公知のシート成形方法により、このスラリーからグリー
ンシートを作製する。
【0032】グリーンシートを所定の形状に打ち抜き加
工して、これにニッケルペーストを所定の電極パターン
で印刷する。ニッケルペーストが印刷されたグリーンシ
ートを所定数積み重ねて熱プレスを行うことにより、積
み重ねられたグリーンシートを一体化させる。その後に
500℃〜700℃の大気雰囲気で脱脂を行い、次いで
還元雰囲気(例えば、水素含有窒素雰囲気)において所
定の温度、例えば、1250℃〜1350℃で焼成す
る。
【0033】こうして得られた焼成体には必要に応じて
研磨加工が施され、その後に外部電極13a・13bと
なる銀/パラジウムペーストを塗布して、例えば、50
0℃〜800℃の温度で焼成する。このように外部電極
13a・13bは、内部電極12の酸化が起こらない温
度で金属ペーストの焼き付けが可能であるならば、大気
雰囲気で焼き付けを行ってもよい。なお、焼成体の所定
位置にニッケルペーストを塗布し、例えば、600℃〜
800℃の還元雰囲気で焼成することによって、外部電
極13a・13bを形成してもよい。こうして得られた
圧電アクチュエータ10の外部電極13a・13bにリ
ード線15a・15bをハンダ付けし、さらに圧電アク
チュエータ10の側面に樹脂被膜16を形成する。次
に、このリード線15a・15bを利用して圧電セラミ
ックス11に所定の電圧を印加することにより分極処理
を行う。
【0034】このようにして作製された圧電アクチュエ
ータ10は、従来公知のチタン酸ジルコン酸鉛(PZ
T)系セラミックスと銀/パラジウム電極とが交互に積
層されて構成された圧電アクチュエータと比較すると、
内部電極コストを極端に下げることができるために、安
価に作製することができる。
【0035】PZT系セラミックスを用いた圧電アクチ
ュエータの製造に際しては、グリーンシートの厚みは、
内部電極材料に含まれる銀のマイグレーションによる絶
縁抵抗低下の問題を回避するために、一般的に60μm
以上とされる。しかしチタン酸バリウム系の圧電セラミ
ックスはグリーンシートの成形性が良好であり、例え
ば、20μm〜40μm程度の薄いグリーンシートを容
易に作製することができる。また、内部電極12にニッ
ケル電極を用いた場合には、マイグレーションの問題は
発生しない。
【0036】一般的に、チタン酸バリウム系の圧電セラ
ミックスの圧電定数はPZT系セラミックスの圧電定数
の1/3〜1/2程度と小さいが、チタン酸バリウム系
の圧電セラミックスを用いた場合には、圧電セラミック
ス11の厚みを薄くして積層数を増やすことが可能であ
り、これにより圧電定数が小さいというデメリットを補
うことができる。つまり、フッ化マンガンが添加されて
焼成されたチタン酸バリウムを用いることによって、従
来のPZT系セラミックスを用いた圧電アクチュエータ
と同等形状で同等の変位特性を示す圧電アクチュエータ
を得ることができる。
【0037】また、このようなフッ化マンガンが添加さ
れたチタン酸バリウムは、成分として鉛を含まない。こ
のため、PZT系セラミックスを用いる場合の問題点、
例えば、焼成時に鉛成分の蒸発による組成ずれとこれに
伴う圧電特性の変化、蒸発する鉛による焼成炉やその回
りの外気の汚染、作業員の健康への悪影響等の種々の問
題を回避することができる。
【0038】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこれに限定されるものではない。例え
ば、本発明に係る圧電セラミックスを用いた圧電アクチ
ュエータとして、積層コンデンサ型の圧電アクチュエー
タを例示したが、その他の構造を有する積層型圧電アク
チュエータ、例えば、前面電極型や応力緩和型の積層型
圧電アクチュエータにも、本発明に係る圧電セラミック
スを適用することができることは言うまでもない。ま
た、積層型の圧電トランス等にも本発明に係る圧電セラ
ミックスを適用することも可能である。フッ化マンガン
が添加されたチタン酸バリウムが大気雰囲気下、125
0℃以下の条件で焼成が可能な場合には、例えば、銀/
パラジウムペーストを用いて内部電極が形成される圧電
アクチュエータを作製することも可能である。
【0039】
【発明の効果】上述の通り、本発明によれば、チタン酸
バリウムの焼成温度を従来よりも50℃〜150℃下げ
ることが可能となる。また、本発明に係る圧電セラミッ
クスは、大気雰囲気または還元雰囲気のいずれの雰囲気
で焼成を行っても、抵抗率を高く保持することが可能で
あり、電気機械結合係数Kpも高く維持される。これに
より、本発明に係る圧電セラミックスは、例えば、圧電
アクチュエータに用いることが可能となる。本発明に係
る圧電セラミックスを用いて同時焼成法によって作製さ
れる積層型圧電アクチュエータでは、圧電セラミックス
層の厚みを薄くすることができ、しかもマイグレーショ
ンの問題を引き起こさないニッケルを内部電極として用
いることができる。これにより、従来のチタン酸ジルコ
ン酸鉛系の圧電セラミックスを用いた圧電アクチュエー
タと遜色のない変位特性を有する積層型圧電アクチュエ
ータを、低コストで実現することができる。さらに、本
発明に係る圧電セラミックスには鉛成分が含まれていな
い。これにより鉛化合物の取り扱いに関する種々の負
担、例えば、鉛成分の大気中への拡散を防止する設備の
設置等が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層型圧電アクチュエータの概略構造を示す断
面図。
【符号の説明】
10;圧電アクチュエータ 11;圧電セラミックス 12;内部電極 13a・13b;外部電極 14;保護層 15a・15b;リード線 16;樹脂被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 500518717 清水 紀夫 東京都日野市南平5−3−45 (72)発明者 宗片 睦夫 千葉県千葉市若葉区千城台西2−19−51 (72)発明者 鎌田 修 東京都大田区大森北3−19−1 エヴェナ ール大森108 (72)発明者 清水 紀夫 東京都日野市南平5−3−45 Fターム(参考) 4G031 AA06 AA11 AA40 BA10 CA03 CA08 GA02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン酸バリウムにフッ化マンガンを添
    加し、焼成してなることを特徴とする圧電セラミック
    ス。
  2. 【請求項2】 前記フッ化マンガンの添加量は、前記チ
    タン酸バリウムの全重量に対して重量比(外比)で0.
    1%以上2%以下であることを特徴とする請求項1に記
    載の圧電セラミックス。
  3. 【請求項3】 前記チタン酸バリウムにおけるバリウム
    (Ba)とチタン(Ti)のモル比(Ba/Ti)は、
    0.99以上1.005以下であることを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載の圧電セラミックス。
  4. 【請求項4】 前記フッ化マンガンが添加されたチタン
    酸バリウムの焼結体の抵抗率は、印加電圧が1kVの場
    合に、1×1011Ω・m以上であることを特徴とする
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧電セラ
    ミックス。
  5. 【請求項5】 前記フッ化マンガンが添加されたチタン
    酸バリウムの焼結体の電気機械結合係数Kpは20%以
    上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいず
    れか1項に記載の圧電セラミックス。
  6. 【請求項6】 圧電セラミックスと内部電極とが交互に
    積層され、同時焼成法によって作製される積層型の圧電
    アクチュエータであって、 前記圧電セラミックスは、所定量のフッ化マンガンが添
    加されたチタン酸バリウムのグリーンシートを焼成する
    ことによって形成され、 前記内部電極は、前記グリーンシートに塗布されたニッ
    ケルペーストが焼成されて形成されたものであることを
    特徴とする圧電アクチュエータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010030822A (ja) * 2008-07-28 2010-02-12 Nec Tokin Corp 圧電セラミックス及びその製造方法
JP2010150060A (ja) * 2008-12-24 2010-07-08 Nihon Ceratec Co Ltd 非鉛系圧電セラミックス、積層型圧電デバイスおよび非鉛系圧電セラミックスの製造方法
JP2011132121A (ja) * 2009-11-30 2011-07-07 Canon Inc 圧電セラミックス、その製造方法、圧電素子、液体吐出ヘッドおよび超音波モータ

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