JP5035076B2 - 圧電磁器及びこれを用いた積層型圧電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電磁器及びこれを用いた積層型圧電素子に関する。
圧電素子は、アクチュエータ、トランス、超音波モータ等に広範な電子部品に用いられている。このような圧電素子に用いられる圧電磁器に対しては、圧電特性、特に圧電歪定数が大きいことが求められる。このような特性を満たす圧電磁器としては、例えば、チタン酸鉛(PbTiO)、ジルコン酸鉛(PbZrO)、亜鉛・ニオブ酸鉛(Pb(Zn1/3Nb2/3)O)等の複合酸化物により構成されるものや、これらの複合酸化物の元素を一部置換した複合酸化物により構成されるものが知られている。
例えば、(Pb1−x{A1A2(1−y)}TiZrの組成式において、M、A1、A2等として種々の元素を有する圧電セラミックス(圧電磁器)が開示されている(特許文献1参照)。
特許第3874229号公報
従来の圧電磁器は、高特性を得るためには高温で焼成されたものである必要があった。そのため、例えば、圧電磁器の原料組成物(圧電磁器組成物)と内部電極とを同時に焼成して積層型の圧電素子を製造する場合には、高温焼成にも耐え得る高い融点を有する貴金属(Pt、Pd等)を用いる必要があった。
しかしながら、これらの内部電極の材料は極めて高価であるため、近年、種々の電子部品に適用されつつある積層型圧電素子の低価格化を阻む大きな要因となっていた。低価格化のためには、貴金属を比較的安価なAg等に置き換えることが望ましいが、Agは貴金属に比べて低融点であるため、Agの含有割合が多くなるほど焼成できる温度が低くなり、そのため、十分な圧電特性が得られなくなる傾向にあった。上述した特許文献1に記載された圧電磁器も、Agの含有割合が高い内部電極との同時焼成のため低い焼成温度とした場合、十分に焼成されずに圧電特性が低くなる場合が多く、より確実に低温での焼成が可能な組成を有する圧電磁器が求められている。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、Agの含有割合が高い内部電極を同時焼成した場合であっても十分な圧電特性が得られる圧電磁器を提供することを目的とする。本発明はまた、このような圧電磁器からなる圧電層を備える積層型圧電素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を行った結果、チタン酸鉛(PT)−ジルコン酸鉛(PZ)の圧電磁器において、組成中に更に特定の第3成分が含まれるような組成とすることで、低温焼成であっても十分な圧電特性が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の圧電磁器は、下記組成式(1)で表される複合酸化物を主成分として含むことを特徴とする。
(Pb1−βMeβα[(Cu1/3Nb2/3TiZr]O …(1)
[但し、式(1)中、Meは、Ca、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、α、β、a、b及びcは、下記式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)及び(7)で表される条件を満たす値である。
0.99≦α≦1.005 …(2)
0.005≦β≦0.1 …(3)
0.005≦a≦0.10 …(4)
0.40≦b≦0.50 …(5)
0.40≦c≦0.58 …(6)
a+b+c=1 …(7)]
上記本発明の圧電磁器は、PT−PZ系の組成に、更にCu及びNbという特定の組み合わせの元素が加えられた主組成を有しており、しかも、これらの元素が上記のような特定の組成比となるように含まれている。そのため、低温焼成、具体的には、Agの含有割合が85%を超える内部電極と同時焼成が可能な程度の低温焼成により形成されたものであっても、十分な圧電特性(特に圧電歪定数)を有するものとなる。したがって、このような圧電磁器によれば、内部電極のAgの含有割合が高いため安価であり、しかも十分な圧電特性を有する積層型圧電素子が得られるようになる。
また、本発明は、上記本発明の圧電磁器からなる圧電層と、Agの含有割合が85質量%以上である電極(内部電極)層とを備える積層型圧電素子を提供する。かかる本発明の積層型圧電素子は、Agの含有割合が85質量%であるため安価であり、且つ、このような電極層との同時焼成により形成されたとしても、上記本発明の圧電磁器からなる圧電層を備えるため、優れた圧電特性を発揮し得るものとなる。
本発明によれば、Agの含有割合が高い内部電極を同時焼成した場合であっても十分な圧電特性が得られる圧電磁器を提供することが可能となる。また、本発明によれば、このような圧電磁器からなる圧電層を備える積層型圧電素子を提供することが可能となる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、好適な実施形態に係る積層型圧電素子の断面構成を模式的に示す図である。図1に示すように、積層型圧電素子10は、内部電極1a及び内部電極1bが交互に配置されており、且つ、内部電極1aと内部電極1bとの間に圧電層2が挟まれた積層構造を有している。また、この積層構造の最外層には、保護層3a及び保護層3bが設けられている。さらに、この積層構造の積層方向に沿う両端面には、一対の外部電極4が設けられている。内部電極1aと内部電極1bとは、それぞれ異なる側の外部電極4に接続されている。
このような構成を有する積層型圧電素子10において、圧電層2の厚さは、1〜200μmであると好ましく、20〜150μmであるとより好ましく、50〜100μmであると更に好ましい。また、内部電極1a及び内部電極1bの厚さは、0.5〜20μmであると好ましく、1.0〜10μmであるとより好ましい。
内部電極1a,1bは、積層型圧電素子の内部電極として用いられる材料からなるものであれば特に制限されず、例えば、Ag、Pd、PtやAgを含む合金等から構成される。特に、本実施形態の積層型圧電素子10においては、内部電極1a,1bは、Agを85質量%以上含む材料からなることが好ましく、具体的には、Agを85質量%以上含む合金(例えば、Ag−Pd合金、Ag−Pt合金等)、又は、Ag単体からなるものが好ましい。本実施形態の積層型圧電素子10は、圧電層2が後述するような圧電磁器から形成されるものであるため、このようなAgの割合が高い内部電極1a,1bの材料であっても同時焼成が可能となる。
一方、圧電層2は、特定の組成を有する圧電磁器から構成される。以下、圧電層2の構成材料として好適な圧電磁器について説明する。
本実施形態の圧電磁器は、下記組成式(1)で表される複合酸化物を主成分として含むものである。
(Pb1−βMeβα[(Cu1/3Nb2/3TiZr]O …(1)
[但し、式(1)中、Meは、Ca、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、α、β、a、b及びcは、下記式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)及び(7)で表される条件を満たす値である。
0.99≦α≦1.005 …(2)
0≦β≦0.1 …(3)
0.005≦a≦0.10 …(4)
0.40≦b≦0.50 …(5)
0.40≦c≦0.58 …(6)
a+b+c=1 …(7)]
この主成分である複合酸化物は、いわゆるペロブスカイト構造を有している。上記式(1)で表される複合酸化物におけるPb及びMeは、ペロブスカイト構造のAサイトに位置している。一方、Cu、Nb、Ti、Zrは、ペロブスカイト構造のBサイトに位置している。本実施形態の圧電磁器においては、組成物の総量中、主成分である上記式(1)で表される複合酸化物が95質量%以上含まれることが好ましく、98.0〜99.9質量%含まれることがより好ましい。このような割合で複合酸化物が含まれることで、十分な圧電特性(特に圧電歪定数)が得られるようになる。
上記式(1)で表される複合酸化物におけるAサイト元素の割合を示すαは、0.99≦a≦1.005である。このAサイト元素の割合αが0.99未満であるか1.005を超えると、圧電歪定数が低下する。低温での焼成がなされた場合であっても良好な圧電歪定数を得る観点から、Aサイト元素の割合αは0.993≦a≦1.002であると好ましく、0.996≦a≦1.000であるとより好ましい。
上記式(1)で表される複合酸化物において、Aサイト元素であるPbの一部は、Meで表される元素(Ca、Sr、Ba)によって置換されていてもよい。かかる置換により、圧電歪定数を更に向上することができる場合がある。ただし、この置換量が多すぎると、圧電歪定数がむしろ低下する傾向にある。したがって、Meによる置換量βは、0.1以下であり、0.005≦β≦0.08であるとより好ましく、0.007≦β≦0.05であると更に好ましい。なお、Meで表される置換元素は、Ca、Sr及びBaのうちの複数種類であってもよい。この場合、各元素の置換量の合計が上述したβの値を満たすことが好ましい。
上記式(1)で表される複合酸化物におけるBサイト元素のうち、Cu及びNbの割合を表すaは、0.01≦a≦0.10である。このaは、焼成温度に影響を与え、この値が0.01未満である場合は、低い焼成温度では十分な圧電特性が得られなくなる。一方、0.10を超えると、強誘電性の低いPb(Cu1/3Nb2/3)Oの比率が高くなるので、圧電特性が低下する。低い焼成温度で十分な焼結性を得る観点からは、CuとNbの割合aは、0.007≦a≦0.07であると好ましく、0.01≦a≦0.05であると更に好ましい。
また、Bサイト元素のうち、Tiの割合であるb及びZrの割合であるcは、それぞれ良好な圧電歪定数を得る観点から、次のような範囲となる。すなわち、Tiの割合bは、0.40≦≦0.50である。Zrの割合cは、0.40≦≦0.58である。Ti及びZrの割合をこれらの範囲内に設定することで、モルフォトロピック相境界(MPB)付近において、大きな圧電歪定数を得ることができる。このような効果を更に良好に得るためには、Tiの割合bは0.43≦b≦0.48であると好ましく、0.45≦b≦0.47であると更に好ましい。一方、Zrの割合cは、0.47≦c≦0.54であるとより好ましく、0.51≦c≦0.53であると更に好ましい。
本実施形態の圧電磁器は、上述した組成を有する複合酸化物を主成分として含有するものであるが、必要に応じて、低温焼成等の特性を低下させない範囲で、その他の副成分を更に含んでいてもよい。ただし、上記複合酸化物は、副成分を含まなくても、それ自体が低温焼成された場合に十分な圧電特性を発揮し得るものである。
圧電磁器に含まれていてもよい副成分としては、例えば、Ta、Sb、Nb、W、Sn、Dy、Gd、Yb、Er、Y、Bi、V、Hf、Cr、Mo、Tb、Ho、Tm等の金属元素の酸化物等が挙げられる。これらは、複数種類が組み合わされて含まれていてもよい。
次に、上述した構成を有する積層型圧電素子10の製造方法について説明する。
まず、圧電層2を得るための圧電磁器の主成分である複合酸化物の出発原料を準備し、所望の組成の複合酸化物が得られるようにそれぞれ秤量する。出発原料としては、複合酸化物の各構成元素の酸化物や、焼成によりこれらの酸化物に変化し得る炭酸塩又はシュウ酸塩等の粉末が挙げられる。酸化物としては、具体的には、PbO、TiO、ZrO、CuO、Nb、SrO、BaO、CaO等が挙げられる。出発原料の粉末としては、平均粒径0.5〜10μm程度のものが好ましい。
また、圧電磁器が上記複合酸化物に加えて副成分を更に含む場合は、副成分の出発原料をこの複合酸化物の出発原料に加えてもよい。副成分の出発原料としては、上述したような金属元素の酸化物等が挙げられる。なお、副成分の出発原料は、後述する仮焼後に加えルこともできる。
次いで、これらの出発原料を混合し、必要に応じて湿式粉砕及び混合を行うことにより、原料混合物を得る。このような湿式粉砕及び混合は、例えば、ボールミルを用いて行うことができる。
それから、この原料混合物を乾燥し、例えば、750〜950℃の温度、1〜6時間の条件で加熱処理を施すことにより、仮焼成する。この仮焼成は、大気中で行ってもよく、大気中よりも酸素分圧の高い雰囲気又は純酸素雰囲気で行ってもよい。得られた仮焼成物をボールミル等により湿式粉砕及び混合して、主成分及び必要に応じて副成分を含む仮焼成粉を得る。このような仮焼成により、主成分の出発原料から複合酸化物が形成され、焼成によって圧電磁器を形成することができる圧電磁器組成物が得られる。この圧電磁器組成物は、焼成後の圧電磁器とほぼ同様の組成を有するものである。
次いで、このようにして得られた圧電磁器組成物に、有機バインダー、有機溶剤、有機可塑剤等を加えてボールミル等により20時間程度の混合を行うことで、圧電ペーストを得る。
また、このような圧電ペーストとともに、内部電極1a,1bを形成するための電極ペーストを準備する。電極ペーストは、例えば、上述したような内部電極1a,1bの構成金属の粉末に、バインダー、有機溶剤等を加えて得られるものである。電極ペースト中の金属の含有量は、40質量%以上とすることが好ましく、50〜60質量%とすることがより好ましい。この金属の含有量が40質量%未満であると、得られる内部電極1a,1bの導電性が不十分となるおそれがある。
それから、圧電ペーストを、例えばドクターブレード法によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)製等のベースフィルム上に塗布して、圧電層2を形成するための圧電グリーンシートを得る。次いで、この圧電グリーンシート上に、スクリーン印刷法等により電極ペーストを塗布して、圧電グリーンシート上に電極ペースト層が形成された積層シートを得る。この際、電極ペースト層は、内部電極1a,1bの形状に対応して形成させる。
その後、得られた積層シートを、電極ペースト層と圧電グリーンシートとが交互に配置されるように複数重ねるとともに、このようにして得られた積層構造の上下に、保護層3a,3bとなる圧電グリーンシートを更に重ねて、グリーンチップを得る。なお、グリーンチップの製造方法は必ずしもこれに限定されず、圧電ペーストと電極ペーストとを交互に繰り返し塗布するようにしてもよい。
このようにして得られたグリーンチップに対して、所定の加熱を行うことで、各ペース途中に含まれていたバインダーや有機溶媒を除去する脱バインダーを行う。脱バインダーは、圧電ペースト中の圧電磁器組成物の焼成が進行しない程度の条件で行うことが好ましく、例えば、300〜650℃、0.5〜50時間程度で行うことができる。
その後、脱バインダー後のグリーンチップに対し、例えば密閉された容器中で焼成処理(本焼成)を行う。この本焼成処理において、圧電グリーンシート(圧電グリーンシート中の圧電磁器組成物)及び電極ペースト層が同時に焼成され、圧電グリーンシートから圧電磁器により構成される圧電層2が、電極ペースト層から内部電極1a,1bがそれぞれ形成される。また、グリーンチップの最外層に積層した圧電グリーンシートから、保護層3a,3bが形成される。
この本焼成における焼成温度は、900〜1050℃であると好ましく、900〜1000℃であるとより好ましく、910〜970℃であると更に好ましい。圧電グリーンシートに含まれる圧電磁器組成物は、上述したような特定の組成を有していることから、このように従来よりも低く、Agの割合が高い内部電極の同時焼成が可能な焼成温度であっても十分に焼結し、優れた圧電特性(特に高い圧電歪定数)が得られるようになる。
そして、焼成後の積層体における積層方向に沿う2つの端面(内部電極1a,1bが露出している端面)に、必要に応じてバレル研磨やサンドブラスト等の研磨処理を施した後、外部電極4をそれぞれ焼き付ける。具体的には、外部電極4を構成する金属及び有機バインダー等を含む外部電極用ペーストを、積層体の上記端面に塗布した後、これを焼成する。なお、外部電極4は、焼付けのほか、スパッタリング、蒸着、無電解めっき等の方法によって形成してもよい。このようにして、図1に示す構造を有する積層型圧電素子10が得られる。
以上、本発明の好適な実施形態に係る圧電磁器組成物、圧電磁器及び積層型圧電素子について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例A;Cu元素による効果]
(実施例1−1、比較例1−1〜1−10)
まず、主成分である(Pb1−βMe βα[(Me 1/3Nb2/3TiZr]O(1)で表される複合酸化物の出発原料を準備した。すなわち、主成分の原料として、PbO粉末、Meの原料粉末、Meの原料粉末、Nb粉末、TiO粉末及びZrO粉末を用意し、これらを下記表1の組成となるように秤量した。なお、実施例Aでは、MeとしてはSr、また、Meとしては表2に示す各元素を用いて、表1に示す各種の圧電磁器を得るための原料組成物をそれぞれ調製した。Me又はMe元素の原料としては、これらの元素の酸化物を用いた。
次いで、各原料組成物を、ボールミルを用いて16時間湿式混合した後、大気中にて700〜900℃で2時間仮焼成した。得られた仮焼物を微粉砕した後、ボールミルを用いて16時間湿式粉砕して、仮焼成粉(圧電磁器組成物)を得た。これを乾燥した後、バインダーとしてアクリル系樹脂を加えて造粒し、1軸プレス成形機を用いて約445MPaの圧力で直径17mm、厚さ1mmの円板状の成形体を得た。
成形後、得られた成形体に熱処理を行って脱バインダー処理を施した後、950℃で2時間の熱処理を施すことにより本焼成を行い、圧電磁器を形成した。そして、得られた焼結体の両面に、Ag粉末を含むAgペーストを印刷して350℃で焼き付け、さらに120℃のシリコーンオイル中で3kVの電界を15分間印加し、分極処理を行った。これにより、各原料組成物を用いて得られた圧電定数d33測定用のサンプルを得た。
そして、このようにして作製した各サンプルについて、d33メーター(中国科学院声学研究所製d33メーター;MODEL ZJ−3D)を用いて圧電歪定数d33を測定した。各サンプルを用いて得られた結果を表1に示す。なお、表1中、「評価NG」は、焼結が著しく悪かったため、d33の測定ができなかったことを意味している。
Figure 0005035076
表1より、Me元素としてCuを含む圧電磁器は、Agからなる内部電極との同時焼成が可能である950℃での焼成を行った場合、Cu以外の金属(Zn、Mg、Fe、Sb、Sn、Yb、In、Mn、Co、Cr)用いた圧電磁器と比べて、高い圧電歪定数を有していることが確認された。
[実施例B;複合酸化物の組成による影響の評価]
(実施例2−1〜2−4、比較例1−1〜2−2)
圧電磁器を構成する複合酸化物の組成を、表2に示すように変化させたこと、具体的には、Aサイト元素の割合αを各種変化させたこと以外は、実施例Aと同様にして各種の圧電定数d33測定用のサンプルを作製し、同様にこれらのd33を測定した。得られた結果を表2に示す。
Figure 0005035076
表2より、複合酸化物のAサイト元素の割合αが、本発明の範囲内であった実施例のサンプルは、Agからなる内部電極との同時焼成が可能である950℃での焼成を行った場合、この割合αが本発明の範囲外であった比較例のサンプルに比べて、高い圧電歪定数が得られることが確認された。
(実施例3−1〜3−4、比較例3−1)
圧電磁器を構成する複合酸化物の組成を、表3に示すように変化させたこと、具体的には、Aサイト元素であるPbの置換元素であるMe(Sr)の置換量βを各種変化させたこと以外は、実施例Aと同様にして各種の圧電定数d33測定用のサンプルを作製し、同様にこれらのd33を測定した。得られた結果を表3に示す。
Figure 0005035076
表3より、Aサイト元素であるPbのMe元素(Sr)による置換量βが、本発明の範囲内であった実施例のサンプルは、Agからなる内部電極との同時焼成が可能な950℃での焼成を行った場合、この置換量βが本発明の範囲外であった比較例のサンプルに比べて、高い圧電歪定数が得られることが確認された。
(実施例4−1〜4−8、比較例4−1〜4−4)
圧電磁器を構成する複合酸化物の組成を、表4に示すように変化させたこと、具体的には、Bサイト元素であるCu及びNbの割合a、Tiの割合b、Zrの割合cをそれぞれ変化させたこと以外は、実施例Aと同様にして各種の圧電定数d33測定用のサンプルを作製し、同様にこれらのd33を測定した。得られた結果を表4に示す。
Figure 0005035076
表4より、Bサイト元素であるCu及びNbの割合a、Tiの割合b、Zrの割合cが、本発明の範囲内であった実施例のサンプルは、Agからなる内部電極との同時焼成が可能な950℃での焼成を行った場合、これらの割合が本発明の範囲外であった比較例のサンプルに比べて、高い圧電歪定数が得られることが確認された。
(実施例5−1〜5−3)
圧電磁器を構成する複合酸化物の組成を、表5に示すように変化させたこと、具体的には、複合酸化物におけるMe元素をSrに代えてCa又はSrとしたこと以外は、実施例Aと同様にして各種の圧電定数d33測定用のサンプルを作製し、同様にこれらのd33を測定した。得られた結果を表5に示す。
Figure 0005035076
表5より、主成分である複合酸化物のAサイト元素であるMeとして、Ca、Sr及びBaを用いた場合、Agからなる内部電極との同時焼成が可能な950℃での焼成を行っても、十分に高い圧電歪定数が得られることが確認された。
好適な実施形態に係る積層型圧電素子の断面構成を模式的に示す図である。
符号の説明
1a,1b…内部電極、2…圧電層、3a,3b…保護層、4…外部電極、10…積層型圧電素子。

Claims (2)

  1. 下記組成式(1)で表される複合酸化物を主成分として含む、ことを特徴とする圧電磁器。
    (Pb1−βMeβα[(Cu1/3Nb2/3TiZr]O …(1)
    [但し、式(1)中、Meは、Ca、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、α、β、a、b及びcは、下記式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)及び(7)で表される条件を満たす値である。
    0.99≦α≦1.005 …(2)
    0.005≦β≦0.1 …(3)
    0.005≦a≦0.10 …(4)
    0.40≦b≦0.50 …(5)
    0.40≦c≦0.58 …(6)
    a+b+c=1 …(7)]
  2. 請求項1記載の圧電磁器からなる圧電層と、
    Agの含有割合が85質量%以上である電極層と、
    を備えることを特徴とする積層型圧電素子。
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