JP2004082225A - 化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】化学機械研磨用スラリーの廃液を、小規模設備においても簡便、低コストで処理できる方法を提供すること。
【解決手段】上記方法は、砥粒を含有する化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法であって、該廃液にガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子を添加することを特徴とする、化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法である。
【選択図】 なし。
【解決手段】上記方法は、砥粒を含有する化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法であって、該廃液にガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子を添加することを特徴とする、化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法である。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化学機械研磨用スラリーの廃液処理方法としては、例えば多価金属イオンおよび/または水溶性ポリマーを添加し、廃液中に含まれる砥粒を凝集させ、水媒体から分離する方法が知られている。しかし、この方法によって凝集させたものは、含水量が高いため、フィルタープレス、遠心分離などの方法によっては水媒体と分離しにくいため、総合排水設備などの大規模な設備によって処理することが必要であった。
化学機械研磨用スラリーの廃液を簡易に処理する方法として、例えば特開平10−235351号公報には、限外濾過膜によりクロスフロー処理を行い、水のみを回収する方法が開示されている。しかし、この方法は、濾過膜が目詰まりし易いという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、化学機械研磨用スラリーの廃液を、小規模設備においても簡便、低コストで処理できる方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、本発明の上記課題は、砥粒を含有する化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法であって、該廃液にガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子を添加することを特徴とする、化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法によって達成される。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
【0005】
ガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子
本発明に使用される有機粒子としては、ガラス転移温度が廃液を処理する温度より低いものであれば特に制限されるものではないが、例えば、適当な重合性単量体を乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などの適宜の方法によって製造した重合体であることができる。
ここで重合体を合成する際に使用しうる重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物;
ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;
無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸の無水物;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステルを挙げることができる。
これらの単量体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0006】
このような有機粒子のゼータ電位は、処理される化学機械研磨用スラリーに含まれる砥粒のゼータ電位の値により、適当に制御することが好ましい。
通常、有機粒子のゼータ電位の符号は、全pH領域、または低pH領域を除く広範な領域にわたって負であることが多いが、重合体を合成する際に適当な官能性単量体を共重合単量体として併用すること、および/または重合開始剤の選択により、確実に負たらしめることができ、また、正の値とすることもできる。
【0007】
有機粒子(重合体)のゼータ電位の符号を確実に負たらしめるために共重合モノマーとして使用される官能性単量体としては、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸化合物;
ナフタレンスルホン酸ナトリウム、イソプレンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩を有する不飽和単量体などを挙げることができる。
これらモノマーを使用する場合の共重合割合としては、共重合モノマーの全量に対して通常0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%である。この範囲より少ない使用量においては有機粒子(重合体)のゼータ電位の符号を確実に負たらしめる効果が不十分な場合があり、一方、この範囲を超えて使用すると、有機粒子(重合体)に水溶性が発現し、廃液中の砥粒の凝集効果が減殺される場合がある。
有機粒子(重合体)のゼータ電位の符号を確実に負たらしめるために使用される重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩を挙げることができる。
【0008】
また、有機粒子(重合体)のゼータ電位を正の値にするために共重合モノマーとして使用される官能性単量体としては、例えば、
3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の置換ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;
2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリレート類;
2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(ジメチルアミノエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレート類;
N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル基含有(メタ)アクリルアミド類;
【0009】
N−(2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のN−アミノアルキル基含有(メタ)アクリルアミド類;
2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;
(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の不飽和カルボン酸のアミドまたはイミド;
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド等のN−メチロール化不飽和カルボン酸アミド類を挙げることができる。
これらモノマーを使用する場合の共重合割合としては、共重合モノマーの全量に対して通常0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%である。この範囲より少ない使用量においては有機粒子(重合体)のゼータ電位の符号が正の値とならない場合があり、一方、この範囲を超えて使用すると、有機粒子(重合体)に水溶性が発現し、廃液中の砥粒の凝集効果が減殺される場合がある。
【0010】
有機粒子(重合体)のゼータ電位を正の値にするために使用される重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(市販品として例えば、和光純薬工業株式会社製、商品名「V−50」など)、2,2’−アゾビス−(2−アミノプロパン)二塩酸塩等が挙げられる。
【0011】
本発明に使用される有機粒子として好ましい(共)重合体としては、ゼータ電位の符号が負のものとして、例えば、
スチレン/ブタジエン/(メタ)アクリル酸共重合体、
スチレン/n−ブチルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、
メチル(メタ)アクリレート/n−ブチルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/n−ブチルアクリレート/スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、ブチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体等を挙げることができる。
【0012】
また、ゼータ電位が正の値をとる有機粒子の好ましいものとして、例えば、スチレン/ブタジエン/ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、スチレン/n−ブチルアクリレート/ビニルピリジン共重合体、ブチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体等を挙げることができる。
【0013】
本発明で用いられる有機粒子のガラス転移温度は、凝集体の沈降層の含水量をできるだけ下げて、固液分離しやすくするという観点から廃液を処理する温度より低いことが必要であり、好ましくは処理温度より5℃以上低く、さらに好ましくは処理温度より10℃以上低く、特に好まし処理温度より15℃以上低く、就中処理温度より35℃以上低いことが好ましい。一方、ガラス転移温度は有機粒子の取り扱いのし易さの観点から、−60℃以上であることが好ましい。
有機粒子のガラス転移温度は、例えば室井宗一著、「高分子ラテックスの化学」、第11版、(株)高分子刊行会、1987年11月、pp261〜280に記載されているように、重合体の原料として使用される単量体の選定と、重合方法により任意の値に設定することができる。
本発明で用いられる有機粒子のガラス転移温度を適当な値に設定することにより、化学機械研磨用スラリーの処理温度を任意の温度とすることができる。例えば、ガラス転移温度が室温よりも低い有機粒子を選択すれば、廃液を加温することなく室温で処理工程を実施しても、廃液中の砥粒を効率的に凝集させることができることとなる。
【0014】
本発明で用いられる有機粒子の重量平均分子量は、2,000〜1,000,000であることが好ましく、5,000〜500,000であることがさらに好ましく、10,000〜100,000であることが特に好ましい。
また、本発明で用いられる有機粒子の平均粒子径は0.01〜3μmであることが好ましく、0.03〜1であることがさらに好ましく、0.06〜0.6であることが特に好ましい。この範囲の平均粒子径とすることで、化学機械研磨用スラリーの廃液中に含まれる砥粒を効果的に凝集させることができる有機粒子が得られる。
なお、本発明で用いられる有機粒子は、凝集体の沈降層の含水量をできるだけ下げて、固液分離しやすくするという観点から架橋構造(三次元網状構造)を含まないものであることが好ましい。
【0015】
化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法
上記したようなガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子は、そのまま、あるいは適当な溶媒中に分散させた状態で化学機械研磨用スラリーの廃液に添加される。有機粒子の使用量としては、化学機械研磨用スラリーの廃液中に含まれる砥粒の総量100重量部に対して、0.01〜100重量部とすることが好ましく、0.05〜10重量部とすることがさらに好ましく、0.1〜5重量部とすることが特に好ましい。この使用量が0.01重量部未満であると、砥粒の凝集が不十分となる場合があり、一方、100重量部を超えて使用する必要はない。
有機粒子を溶媒中に分散させた状態で化学機械研磨用スラリーの廃液に添加する場合には、分散媒としては、水および水と相溶する有機溶媒のうちから選択される少なくとも一種を使用することができる。これらのうち水が好ましい。有機粒子を溶媒中に分散させた状態で使用する場合の分散媒の使用量は、有機粒子100重量部に対して10〜10,000重量部であることが好ましく、50〜5,000重量部であることがさらに好ましく、100〜1,000重量部であることが特に好ましい。また、適当なセッケン類を添加してラテックス状態にして添加することも可能である。
【0016】
本発明の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法は、上記した通り、化学機械研磨用スラリー廃液に上記したガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子をそのまま、あるいは適当な分散媒中に分散させた状態で添加することにより行うものであるが、さらに多価金属イオンおよび/または水溶性高分子を添加して廃液中の砥粒の凝集をさらに効率的に行うことができる。
上記多価金属イオンとしては、例えばアルミニウムイオン、鉄(II、III)イオン、銅イオン、錫イオン、亜鉛イオン、マンガンイオン、クロムイオン、セリウムイオン、チタンイオン等を挙げることができる。これらのイオンは、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩等の塩として添加することができ、また、これらの塩を水に溶解して水溶液として添加することができるが、水溶液として添加することが好ましい。
上記多価金属イオンの使用量は、化学機械研磨用スラリーの廃液に対し、通常1質量%以下、好ましくは0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%、特に好ましくは0.1〜0.5質量%の範囲で使用することができる。この範囲の使用量とすることで、良好な凝集効果を得ることができる。
【0017】
上記水溶性高分子としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸系高分子、セルロース系天然高分子、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これら水溶性高分子の重量平均分子量としては、10,000〜5,000,000であることが好ましく、100,000〜5,000,000であることがさらに好ましく、500,000〜5,000,000であることが特に好ましい。これらの水溶性高分子はそのまままたは水溶液として化学機械研磨用スラリーの廃液に添加することができるが、水溶液として添加することが好ましい。
上記水溶性高分子使用量は、化学機械研磨用スラリーの廃液に対し、通常1,000ppm以下、好ましくは1〜1,000ppm、さらに好ましくは5〜500ppm、特に好ましくは10〜500ppm、就中50〜500ppmの範囲で使用することが好ましい。この範囲の使用量とすることで、良好な凝集効果を得ることができる。
【0018】
本発明の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法において、ガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子の他に、多価金属イオンまたは水溶性高分子を使用する場合の化学機械研磨用スラリー廃液への添加順は任意であるが、有機粒子を添加し、次いで多価金属イオンまたは水溶性高分子を添加することが好ましい。
また、本発明の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法において、ガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子の他に、多価金属イオンおよび水溶性高分子を使用する場合の化学機械研磨用スラリー廃液への添加順は任意であるが、有機粒子を添加し、次いで多価金属イオンを添加し、次いで水溶性高分子を添加することが好ましい。
【0019】
本発明の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法は、無機粒子、有機粒子、または有機無機複合粒子を砥粒として含有する化学機械研磨用スラリーの廃液に使用することができるが、無機粒子を含有する廃液に使用する場合に、もっとも有利な効果を得ることができる。
このような無機粒子としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、及び二酸化マンガン等を挙げることができる。これら無機砥粒の製造法、平均粒子径、廃液中における含有量は問わない。
本発明の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法では、廃液中に含有される砥粒のゼータ電位に応じて適当なガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子を選択して使用することができる。
【0020】
無機粒子のゼータ電位は一般にpHへの依存性が大きく、ゼータ電位がゼロとなる「等電点」と呼ばれる特定のpHを有しその前後でゼータ電位の符号が逆転する。
例えば二酸化ケイ素はpH2付近に等電点を有し、それよりも低い(酸性側の)pH領域では正のゼータ電位を示し、等電点よりも高い(アルカリ性側の)pH領域では負のゼータ電位を示す。一方、酸化アルミニウムはpH9付近に等電点を有し、それよりも低い(酸性側の)pH領域では正のゼータ電位を示し、等電点よりも高い(アルカリ性側の)pH領域では負のゼータ電位を示す。
このように、化学機械研磨用スラリーの廃液に含有される砥粒の種類と廃液のpHによって、廃液中の砥粒のゼータ電位を知ることができるので、それに応じて適当なガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子を選択して使用することができる。
【0021】
本発明の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法は、以下のいずれかの態様をとるときに、より有利な効果を得ることができる。
(1)化学機械研磨用スラリーの廃液に含有される砥粒のゼータ電位とガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子のゼータ電位とが逆符号である場合。
(2)化学機械研磨用スラリーの廃液に含有される砥粒のゼータ電位とガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子のゼータ電位とが逆符号であり、さらに多価金属イオンまたは水溶性高分子を添加する場合。
(3)化学機械研磨用スラリーの廃液に含有される砥粒のゼータ電位とガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子のゼータ電位とが逆符号であり、さらに多価金属イオンおよび水溶性高分子を添加する場合。
(4)化学機械研磨用スラリーの廃液に含有される砥粒のゼータ電位とガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子のゼータ電位とが同符号であり、さらに多価金属イオンまたは水溶性高分子を添加する場合。
(5)化学機械研磨用スラリーの廃液に含有される砥粒のゼータ電位とガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子のゼータ電位とが同符号であり、さらに多価金属イオンおよび水溶性高分子を添加する場合。
【0022】
本発明において、化学機械研磨用スラリーの廃液を処理する温度は、前述の通り、使用される有機粒子のガラス転移温度を適当に選択することによって、任意の温度における実施が可能となる。
【0023】
本発明の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法によって処理した化学機械研磨用スラリーの廃液は、その中に含まれる砥粒を粒子径の大きな凝集体とすることができ、後の分離工程を容易にすることができる。本発明の方法によって処理した化学機械研磨用スラリー廃液から水と固形分を分離する方法としては、例えば、沈殿層で上澄みと沈殿層を分離する方法や、遠心分離法を応用したバスケット法やスクリューデカンター法などの方法、さらにフィルタープレス法でフィルター処理等の適宜の方法により実施することができる。
本発明の方法によって処理した化学機械研磨用スラリーの廃液は、凝集物の含水率が低く、分離が容易である。例えば、水と固形分の分離を沈殿層にて行った場合の沈降層の含水率は85%以下であり、好ましくは80%以下、さらに好ましくは75%以下である。
【0024】
【実施例】
実施例1
シリカスラリーCMS1101(ジェイエスアール(株)製、ヒュームドシリカ含有、平均二次粒子径210nm)をアドバンテック株式会社製8インチウエーハPETEOS膜1μmの2分間研磨に使用し、その廃液を回収した。回収された廃液のpHは8.8であり、廃液中に含まれる砥粒は0.5質量%であった。また、このpHにおいて、廃液中に含まれる砥粒のゼータ電位は−35mVであった。
この廃液100kgに対し、室温(25℃)にてスチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体(共重合重量比=23:76:1、重量平均分子量Mw=49,000、ガラス転移温度=−48℃、pH8.8におけるゼータ電位=−32mV、平均粒子径0.12μm)を20質量%含有するラテックス(pH2.3)を2.5kg添加し、次いで、20質量%硫酸アルミニウム水溶液を1kg、さらに1質量%のポリアクリルアミド(Mw=1,000,000)を含有する水溶液1kgを添加した。
これらの操作により、廃液中の砥粒は平均粒子径38μmの凝集体となった。
これらの操作を施した廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、67質量%であった。
【0025】
実施例2
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックスの添加量を1kgとした他は実施例1と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は34μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、58質量%であった。
【0026】
実施例3
実施例1において、化学機械研磨後の廃液のpHを8.9とし、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックスの添加量を0.5kgとした他は実施例1と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は28μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、61質量%であった。
なお、pH8.9における化学機械研磨後の廃液中の砥粒のゼータ電位は−35mVであり、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体のゼータ電位は−32mVであった。
【0027】
実施例4
実施例1において、化学機械研磨後の廃液のpHを8.7とし、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックスの添加量を0.25kgとした他は実施例1と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は17μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、65質量%であった。
なお、pH8.7における化学機械研磨後の廃液中の砥粒のゼータ電位は−35mVであり、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体のゼータ電位は−34mVであった。
【0028】
実施例5
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス2.5kgの代わりに、スチレン/n−ブチルアクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合重量比=58:40:2、重量平均分子量Mw=72,000、ガラス転移温度=−21℃、pH8.8におけるゼータ電位=−29mV、平均粒子径0.26μm)を28質量%含有するラテックス(pH3.1)を1.79kg添加した他は実施例1と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は36μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、56質量%であった。
【0029】
実施例6
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス2.5kgの代わりに、メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比=32:65:3、重量平均分子量Mw=84,000、ガラス転移温度=−30℃、pH8.8におけるゼータ電位=−28mV、平均粒子径0.26μm)を26質量%含有するラテックス(pH4.1)を1.92kg添加した他は実施例1と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は33μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、68質量%であった。
【0030】
実施例7
実施例1において、化学機械研磨後の廃液のpHを8.7とし、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス2.5kgの代わりに、メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比=40:58:2、重量平均分子量Mw=84,000、ガラス転移温度=−6℃、pH8.7におけるゼータ電位=−28mV、平均粒子径0.21μm)を26質量%含有するラテックス(pH4.1)を1.92kg添加し、20質量%硫酸アルミニウム水溶液を1kgの代わりに20質量%硫酸鉄(III)1kgを添加した他は実施例1と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は28μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、69質量%であった。
【0031】
実施例8
実施例7において、メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体を含有するラテックスとして共重合重量比が50:48:2のもの(重量平均分子量Mw=84,000、ガラス転移温度=14℃、pH8.6におけるゼータ電位=−27mV、平均粒子径0.23μm)を26質量%含有するラテックス(pH4.1)を1.92kg添加した他は実施例7と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は18μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、72質量%であった。
なお、pH8.6における化学機械研磨後の廃液中の砥粒のゼータ電位は−35mVであった。
【0032】
実施例9
シリカスラリーPLANERLITE6101((株)フジミインコーポレーテッド製、コロイダルシリカ含有、平均一次粒子径35nm、平均二次粒子径70nm)をアドバンテック株式会社製8インチウエーハPETEOS膜1μmの研磨に使用し、その廃液を回収した。回収された廃液のpHは8.8であり、廃液中に含まれる砥粒は0.2質量%であった。また、このpHにおいて、廃液中に含まれる砥粒のゼータ電位は−29mVであった。
この廃液100kgに対し、室温(25℃)にてスチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体(共重合重量比=23:76:1、重量平均分子量Mw=58,000、ガラス転移温度=−48℃、pH8.8におけるゼータ電位=−29mV、平均粒子径0.12μm)を24質量%含有するラテックス(pH2.9)を0.83kg添加し、次いで、20質量%硫酸アルミニウム水溶液を1kg、さらに1質量%のポリアクリルアミド(Mw=1,000,000)を含有する水溶液1kgを添加した。
これらの操作により、廃液中の砥粒は平均粒子径35μmの凝集体となった。
これらの操作を施した廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、61質量%であった。
【0033】
実施例10
セリアスラリーCMS4101(ジェイエスアール(株)製、セリア含有、平均一次粒子径28nm、平均二次粒子径800nm)をアドバンテック株式会社製8インチウエーハPETEOS膜1μmの研磨に使用し、その廃液を回収した。回収された廃液のpHは7.2であり、廃液中に含まれる砥粒は0.05質量%であった。また、このpHにおいて、廃液中に含まれる砥粒のゼータ電位は+12mVであった。
この廃液100kgに対し、室温(25℃)にてメチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比=32:65:3、重量平均分子量Mw=84,000、ガラス転移温度=−30℃、pH7.2におけるゼータ電位=−26mV、平均粒子径0.28μm)を26質量%含有するラテックス(pH4.1)を1.92kg添加し、次いで、20質量%硫酸アルミニウム水溶液を1kg、さらに1質量%のポリアクリルアミド(Mw=1,000,000)を含有する水溶液1kgを添加した。
これらの操作により、廃液中の砥粒は平均粒子径29μmの凝集体となった。
これらの操作を施した廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、73質量%であった。
【0034】
実施例11
アルミナスラリーWA355(キャボット社製、ヒュームドアルミナ含有、平均二次粒子径0.14nm)をタングステン膜SKW社8インチタングステン膜品名SKW−5の研磨に使用し、その廃液を回収した。回収された廃液のpHは6.2であり、廃液中に含まれる砥粒は0.3質量%であった。また、このpHにおいて、廃液中に含まれる砥粒のゼータ電位は+28mVであった。
この廃液100kgに対し、室温(25℃)にて室温(25℃)にてスチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体(共重合重量比=23:76:1、重量平均分子量Mw=58,000、ガラス転移温度=−48℃、pH8.8におけるゼータ電位=−23mV、平均粒子径0.14μm)を24質量%含有するラテックス(pH2.9)を0.83kg添加し、次いで、20質量%硫酸アルミニウム水溶液を1kg添加した。
これらの操作により、廃液中の砥粒は平均粒子径24μmの凝集体となった。
これらの操作を施した廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、69質量%であった。
【0035】
実施例12
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス2.5kgの代わりに、スチレン/ブタジエン/ジメチルアミノメチルメタクリレート共重合体(共重合重量比=20:78:2、重量平均分子量Mw=64,000、ガラス転移温度=−44℃、pH8.8におけるゼータ電位=+6mV、平均粒子径0.28μm)を19質量%含有するラテックス(pH8.2)を1.05kg添加し、硫酸アルミニウム水溶液を添加しなかった他は実施例1と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は29μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、67質量%であった。
【0036】
実施例13
実施例11において、硫酸アルミニウム水溶液を添加しなかった他は実施例11と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は19μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、72質量%であった。
【0037】
実施例14
実施例12において、ポリアクリルアミド水溶液を添加しなかった以外は実施例12と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は26μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、74質量%であった。
【0038】
実施例15
実施例11において、化学機械研磨後の廃液のpHを5.9とし、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス0.83kgの代わりにスチレン/ブタジエン/ジメチルアミノメチルメタクリレート共重合体(共重合重量比=20:78:2、重量平均分子量Mw=64,000、ガラス転移温度=−44℃、pH5.9におけるゼータ電位=+9mV、平均粒子径0.13μm)を19質量%含有するラテックス(pH8.2)を1.05kg添加し、さらに1質量%のポリアクリルアミド(Mw=1,000,000)を含有する水溶液1kgを添加した他は実施例11と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は41μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、62質量%であった。
【0039】
比較例1
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックスとしてスチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体(共重合重量比=64:35:1、重量平均分子量Mw=49,000、ガラス転移温度=37℃、pH8.8におけるゼータ電位=−33mV、平均粒子径0.12μm)を20質量%含有するラテックス(pH2.3)を使用した他は実施例1と略同様にして実施した。
この処理を行った後の砥粒の平均粒子径は1.4μmであり、ほとんど凝集していなかった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間経過後の時点で、上澄みと沈殿層が分かれることはなかった。24時間経過後に上澄みと沈殿層がじゃっかん分離したので、上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、94質量%であった。
【0040】
比較例2
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス2.5kgの代わりにスチレン/アクリル酸共重合体(共重合重量比=98:2、重量平均分子量Mw=47,000、ガラス転移温度=100℃、pH8.8におけるゼータ電位=−32mV、平均粒子径0.27μm)を22質量%含有するラテックス(pH2.3)を2.27kg添加した他は実施例1と略同様にして実施した。
この処理を行った後の砥粒の平均粒子径は1.2μmであり、ほとんど凝集していなかった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間経過後の時点で、上澄みと沈殿層が分かれることはなかった。24時間経過後に上澄みと沈殿層がじゃっかん分離したので、上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、93質量%であった。
【0041】
比較例3
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス2.5kgの代わりにメチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比=62:35:3、重量平均分子量Mw=84,000、ガラス転移温度=41℃、pH8.8におけるゼータ電位=−29mV、平均粒子径0.18μm)を24質量%含有するラテックス(pH4.1)を2.08kg添加した他は実施例1と略同様にして実施した。
この処理を行った後の砥粒の平均粒子径は1.8μmであり、ほとんど凝集していなかった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間経過後の時点で、上澄みと沈殿層が分かれることはなかった。24時間経過後に上澄みと沈殿層がじゃっかん分離したので、上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、91質量%であった。
【0042】
比較例4
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス2.5kgの代わりにスチレン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸共重合体(共重合重量比=95:2:3、重量平均分子量Mwは測定不能、ガラス転移温度=150℃、pH8.8におけるゼータ電位=−27mV、平均粒子径0.11μm)を19質量%含有するラテックス(pH5.1)を2.63kg添加した他は実施例1と略同様にして実施した。
この処理を行った後の砥粒の平均粒子径は0.7μmであり、ほとんど凝集していなかった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間経過後の時点で、上澄みと沈殿層が分かれることはなかった。24時間経過後にも上澄みと沈殿層が分離することはなかった。処理後の廃液の含水率を測定したところ、98質量%であった。
【0043】
比較例5
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックスを添加しなかった以外は実施例1と略同様にして実施した。
この処理を行った後の砥粒の平均粒子径は0.4μmであり、ほとんど凝集していなかった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間経過後の時点で、上澄みと沈殿層が分かれることはなかった。24時間経過後に上澄みと沈殿層がごくわずかに分離したので、上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、95質量%であった。
【0044】
比較例6
実施例11において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックスを添加せず、さらに1質量%のポリアクリルアミド(Mw=1,000,000)を含有する水溶液1kgを添加した他は実施例11と略同様にして実施した。
この処理を行った後の砥粒の平均粒子径は0.5μmであり、ほとんど凝集していなかった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間経過後の時点で、上澄みと沈殿層が分かれることはなかった。24時間経過後にも上澄みと沈殿層が分離することはなかった。処理後の廃液の含水率を測定したところ、98質量%であった。
【0045】
参考のため、上記した実施例1〜15および比較例1〜6について、化学機械研磨用スラリー廃液のpH、廃液に含まれる砥粒の当該pHにおけるゼータ電位、添加した有機粒子の分子量、ガラス転移温度、平均粒子径および廃液のpHにおけるゼータ電位、廃液に含まれる砥粒と添加した有機粒子の質量比、添加した多価金属イオンの塩および水溶性高分子の種類と量、ならびに凝集後の凝集体の平均粒子径および沈殿層の含水率の関係を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、化学機械研磨用スラリーの廃液を、小規模設備においても簡便、低コストで処理できる方法が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化学機械研磨用スラリーの廃液処理方法としては、例えば多価金属イオンおよび/または水溶性ポリマーを添加し、廃液中に含まれる砥粒を凝集させ、水媒体から分離する方法が知られている。しかし、この方法によって凝集させたものは、含水量が高いため、フィルタープレス、遠心分離などの方法によっては水媒体と分離しにくいため、総合排水設備などの大規模な設備によって処理することが必要であった。
化学機械研磨用スラリーの廃液を簡易に処理する方法として、例えば特開平10−235351号公報には、限外濾過膜によりクロスフロー処理を行い、水のみを回収する方法が開示されている。しかし、この方法は、濾過膜が目詰まりし易いという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、化学機械研磨用スラリーの廃液を、小規模設備においても簡便、低コストで処理できる方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、本発明の上記課題は、砥粒を含有する化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法であって、該廃液にガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子を添加することを特徴とする、化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法によって達成される。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
【0005】
ガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子
本発明に使用される有機粒子としては、ガラス転移温度が廃液を処理する温度より低いものであれば特に制限されるものではないが、例えば、適当な重合性単量体を乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法などの適宜の方法によって製造した重合体であることができる。
ここで重合体を合成する際に使用しうる重合性単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族化合物;
ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;
無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸の無水物;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステルを挙げることができる。
これらの単量体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0006】
このような有機粒子のゼータ電位は、処理される化学機械研磨用スラリーに含まれる砥粒のゼータ電位の値により、適当に制御することが好ましい。
通常、有機粒子のゼータ電位の符号は、全pH領域、または低pH領域を除く広範な領域にわたって負であることが多いが、重合体を合成する際に適当な官能性単量体を共重合単量体として併用すること、および/または重合開始剤の選択により、確実に負たらしめることができ、また、正の値とすることもできる。
【0007】
有機粒子(重合体)のゼータ電位の符号を確実に負たらしめるために共重合モノマーとして使用される官能性単量体としては、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸化合物;
ナフタレンスルホン酸ナトリウム、イソプレンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩を有する不飽和単量体などを挙げることができる。
これらモノマーを使用する場合の共重合割合としては、共重合モノマーの全量に対して通常0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%である。この範囲より少ない使用量においては有機粒子(重合体)のゼータ電位の符号を確実に負たらしめる効果が不十分な場合があり、一方、この範囲を超えて使用すると、有機粒子(重合体)に水溶性が発現し、廃液中の砥粒の凝集効果が減殺される場合がある。
有機粒子(重合体)のゼータ電位の符号を確実に負たらしめるために使用される重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩を挙げることができる。
【0008】
また、有機粒子(重合体)のゼータ電位を正の値にするために共重合モノマーとして使用される官能性単量体としては、例えば、
3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の置換ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;
2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリレート類;
2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(ジメチルアミノエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレート類;
N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル基含有(メタ)アクリルアミド類;
【0009】
N−(2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のN−アミノアルキル基含有(メタ)アクリルアミド類;
2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;
(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の不飽和カルボン酸のアミドまたはイミド;
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド等のN−メチロール化不飽和カルボン酸アミド類を挙げることができる。
これらモノマーを使用する場合の共重合割合としては、共重合モノマーの全量に対して通常0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%である。この範囲より少ない使用量においては有機粒子(重合体)のゼータ電位の符号が正の値とならない場合があり、一方、この範囲を超えて使用すると、有機粒子(重合体)に水溶性が発現し、廃液中の砥粒の凝集効果が減殺される場合がある。
【0010】
有機粒子(重合体)のゼータ電位を正の値にするために使用される重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(市販品として例えば、和光純薬工業株式会社製、商品名「V−50」など)、2,2’−アゾビス−(2−アミノプロパン)二塩酸塩等が挙げられる。
【0011】
本発明に使用される有機粒子として好ましい(共)重合体としては、ゼータ電位の符号が負のものとして、例えば、
スチレン/ブタジエン/(メタ)アクリル酸共重合体、
スチレン/n−ブチルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、
メチル(メタ)アクリレート/n−ブチルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/n−ブチルアクリレート/スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、ブチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体等を挙げることができる。
【0012】
また、ゼータ電位が正の値をとる有機粒子の好ましいものとして、例えば、スチレン/ブタジエン/ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、スチレン/n−ブチルアクリレート/ビニルピリジン共重合体、ブチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体等を挙げることができる。
【0013】
本発明で用いられる有機粒子のガラス転移温度は、凝集体の沈降層の含水量をできるだけ下げて、固液分離しやすくするという観点から廃液を処理する温度より低いことが必要であり、好ましくは処理温度より5℃以上低く、さらに好ましくは処理温度より10℃以上低く、特に好まし処理温度より15℃以上低く、就中処理温度より35℃以上低いことが好ましい。一方、ガラス転移温度は有機粒子の取り扱いのし易さの観点から、−60℃以上であることが好ましい。
有機粒子のガラス転移温度は、例えば室井宗一著、「高分子ラテックスの化学」、第11版、(株)高分子刊行会、1987年11月、pp261〜280に記載されているように、重合体の原料として使用される単量体の選定と、重合方法により任意の値に設定することができる。
本発明で用いられる有機粒子のガラス転移温度を適当な値に設定することにより、化学機械研磨用スラリーの処理温度を任意の温度とすることができる。例えば、ガラス転移温度が室温よりも低い有機粒子を選択すれば、廃液を加温することなく室温で処理工程を実施しても、廃液中の砥粒を効率的に凝集させることができることとなる。
【0014】
本発明で用いられる有機粒子の重量平均分子量は、2,000〜1,000,000であることが好ましく、5,000〜500,000であることがさらに好ましく、10,000〜100,000であることが特に好ましい。
また、本発明で用いられる有機粒子の平均粒子径は0.01〜3μmであることが好ましく、0.03〜1であることがさらに好ましく、0.06〜0.6であることが特に好ましい。この範囲の平均粒子径とすることで、化学機械研磨用スラリーの廃液中に含まれる砥粒を効果的に凝集させることができる有機粒子が得られる。
なお、本発明で用いられる有機粒子は、凝集体の沈降層の含水量をできるだけ下げて、固液分離しやすくするという観点から架橋構造(三次元網状構造)を含まないものであることが好ましい。
【0015】
化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法
上記したようなガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子は、そのまま、あるいは適当な溶媒中に分散させた状態で化学機械研磨用スラリーの廃液に添加される。有機粒子の使用量としては、化学機械研磨用スラリーの廃液中に含まれる砥粒の総量100重量部に対して、0.01〜100重量部とすることが好ましく、0.05〜10重量部とすることがさらに好ましく、0.1〜5重量部とすることが特に好ましい。この使用量が0.01重量部未満であると、砥粒の凝集が不十分となる場合があり、一方、100重量部を超えて使用する必要はない。
有機粒子を溶媒中に分散させた状態で化学機械研磨用スラリーの廃液に添加する場合には、分散媒としては、水および水と相溶する有機溶媒のうちから選択される少なくとも一種を使用することができる。これらのうち水が好ましい。有機粒子を溶媒中に分散させた状態で使用する場合の分散媒の使用量は、有機粒子100重量部に対して10〜10,000重量部であることが好ましく、50〜5,000重量部であることがさらに好ましく、100〜1,000重量部であることが特に好ましい。また、適当なセッケン類を添加してラテックス状態にして添加することも可能である。
【0016】
本発明の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法は、上記した通り、化学機械研磨用スラリー廃液に上記したガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子をそのまま、あるいは適当な分散媒中に分散させた状態で添加することにより行うものであるが、さらに多価金属イオンおよび/または水溶性高分子を添加して廃液中の砥粒の凝集をさらに効率的に行うことができる。
上記多価金属イオンとしては、例えばアルミニウムイオン、鉄(II、III)イオン、銅イオン、錫イオン、亜鉛イオン、マンガンイオン、クロムイオン、セリウムイオン、チタンイオン等を挙げることができる。これらのイオンは、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩等の塩として添加することができ、また、これらの塩を水に溶解して水溶液として添加することができるが、水溶液として添加することが好ましい。
上記多価金属イオンの使用量は、化学機械研磨用スラリーの廃液に対し、通常1質量%以下、好ましくは0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%、特に好ましくは0.1〜0.5質量%の範囲で使用することができる。この範囲の使用量とすることで、良好な凝集効果を得ることができる。
【0017】
上記水溶性高分子としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸系高分子、セルロース系天然高分子、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これら水溶性高分子の重量平均分子量としては、10,000〜5,000,000であることが好ましく、100,000〜5,000,000であることがさらに好ましく、500,000〜5,000,000であることが特に好ましい。これらの水溶性高分子はそのまままたは水溶液として化学機械研磨用スラリーの廃液に添加することができるが、水溶液として添加することが好ましい。
上記水溶性高分子使用量は、化学機械研磨用スラリーの廃液に対し、通常1,000ppm以下、好ましくは1〜1,000ppm、さらに好ましくは5〜500ppm、特に好ましくは10〜500ppm、就中50〜500ppmの範囲で使用することが好ましい。この範囲の使用量とすることで、良好な凝集効果を得ることができる。
【0018】
本発明の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法において、ガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子の他に、多価金属イオンまたは水溶性高分子を使用する場合の化学機械研磨用スラリー廃液への添加順は任意であるが、有機粒子を添加し、次いで多価金属イオンまたは水溶性高分子を添加することが好ましい。
また、本発明の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法において、ガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子の他に、多価金属イオンおよび水溶性高分子を使用する場合の化学機械研磨用スラリー廃液への添加順は任意であるが、有機粒子を添加し、次いで多価金属イオンを添加し、次いで水溶性高分子を添加することが好ましい。
【0019】
本発明の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法は、無機粒子、有機粒子、または有機無機複合粒子を砥粒として含有する化学機械研磨用スラリーの廃液に使用することができるが、無機粒子を含有する廃液に使用する場合に、もっとも有利な効果を得ることができる。
このような無機粒子としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、及び二酸化マンガン等を挙げることができる。これら無機砥粒の製造法、平均粒子径、廃液中における含有量は問わない。
本発明の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法では、廃液中に含有される砥粒のゼータ電位に応じて適当なガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子を選択して使用することができる。
【0020】
無機粒子のゼータ電位は一般にpHへの依存性が大きく、ゼータ電位がゼロとなる「等電点」と呼ばれる特定のpHを有しその前後でゼータ電位の符号が逆転する。
例えば二酸化ケイ素はpH2付近に等電点を有し、それよりも低い(酸性側の)pH領域では正のゼータ電位を示し、等電点よりも高い(アルカリ性側の)pH領域では負のゼータ電位を示す。一方、酸化アルミニウムはpH9付近に等電点を有し、それよりも低い(酸性側の)pH領域では正のゼータ電位を示し、等電点よりも高い(アルカリ性側の)pH領域では負のゼータ電位を示す。
このように、化学機械研磨用スラリーの廃液に含有される砥粒の種類と廃液のpHによって、廃液中の砥粒のゼータ電位を知ることができるので、それに応じて適当なガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子を選択して使用することができる。
【0021】
本発明の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法は、以下のいずれかの態様をとるときに、より有利な効果を得ることができる。
(1)化学機械研磨用スラリーの廃液に含有される砥粒のゼータ電位とガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子のゼータ電位とが逆符号である場合。
(2)化学機械研磨用スラリーの廃液に含有される砥粒のゼータ電位とガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子のゼータ電位とが逆符号であり、さらに多価金属イオンまたは水溶性高分子を添加する場合。
(3)化学機械研磨用スラリーの廃液に含有される砥粒のゼータ電位とガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子のゼータ電位とが逆符号であり、さらに多価金属イオンおよび水溶性高分子を添加する場合。
(4)化学機械研磨用スラリーの廃液に含有される砥粒のゼータ電位とガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子のゼータ電位とが同符号であり、さらに多価金属イオンまたは水溶性高分子を添加する場合。
(5)化学機械研磨用スラリーの廃液に含有される砥粒のゼータ電位とガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子のゼータ電位とが同符号であり、さらに多価金属イオンおよび水溶性高分子を添加する場合。
【0022】
本発明において、化学機械研磨用スラリーの廃液を処理する温度は、前述の通り、使用される有機粒子のガラス転移温度を適当に選択することによって、任意の温度における実施が可能となる。
【0023】
本発明の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法によって処理した化学機械研磨用スラリーの廃液は、その中に含まれる砥粒を粒子径の大きな凝集体とすることができ、後の分離工程を容易にすることができる。本発明の方法によって処理した化学機械研磨用スラリー廃液から水と固形分を分離する方法としては、例えば、沈殿層で上澄みと沈殿層を分離する方法や、遠心分離法を応用したバスケット法やスクリューデカンター法などの方法、さらにフィルタープレス法でフィルター処理等の適宜の方法により実施することができる。
本発明の方法によって処理した化学機械研磨用スラリーの廃液は、凝集物の含水率が低く、分離が容易である。例えば、水と固形分の分離を沈殿層にて行った場合の沈降層の含水率は85%以下であり、好ましくは80%以下、さらに好ましくは75%以下である。
【0024】
【実施例】
実施例1
シリカスラリーCMS1101(ジェイエスアール(株)製、ヒュームドシリカ含有、平均二次粒子径210nm)をアドバンテック株式会社製8インチウエーハPETEOS膜1μmの2分間研磨に使用し、その廃液を回収した。回収された廃液のpHは8.8であり、廃液中に含まれる砥粒は0.5質量%であった。また、このpHにおいて、廃液中に含まれる砥粒のゼータ電位は−35mVであった。
この廃液100kgに対し、室温(25℃)にてスチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体(共重合重量比=23:76:1、重量平均分子量Mw=49,000、ガラス転移温度=−48℃、pH8.8におけるゼータ電位=−32mV、平均粒子径0.12μm)を20質量%含有するラテックス(pH2.3)を2.5kg添加し、次いで、20質量%硫酸アルミニウム水溶液を1kg、さらに1質量%のポリアクリルアミド(Mw=1,000,000)を含有する水溶液1kgを添加した。
これらの操作により、廃液中の砥粒は平均粒子径38μmの凝集体となった。
これらの操作を施した廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、67質量%であった。
【0025】
実施例2
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックスの添加量を1kgとした他は実施例1と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は34μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、58質量%であった。
【0026】
実施例3
実施例1において、化学機械研磨後の廃液のpHを8.9とし、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックスの添加量を0.5kgとした他は実施例1と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は28μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、61質量%であった。
なお、pH8.9における化学機械研磨後の廃液中の砥粒のゼータ電位は−35mVであり、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体のゼータ電位は−32mVであった。
【0027】
実施例4
実施例1において、化学機械研磨後の廃液のpHを8.7とし、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックスの添加量を0.25kgとした他は実施例1と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は17μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、65質量%であった。
なお、pH8.7における化学機械研磨後の廃液中の砥粒のゼータ電位は−35mVであり、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体のゼータ電位は−34mVであった。
【0028】
実施例5
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス2.5kgの代わりに、スチレン/n−ブチルアクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合重量比=58:40:2、重量平均分子量Mw=72,000、ガラス転移温度=−21℃、pH8.8におけるゼータ電位=−29mV、平均粒子径0.26μm)を28質量%含有するラテックス(pH3.1)を1.79kg添加した他は実施例1と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は36μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、56質量%であった。
【0029】
実施例6
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス2.5kgの代わりに、メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比=32:65:3、重量平均分子量Mw=84,000、ガラス転移温度=−30℃、pH8.8におけるゼータ電位=−28mV、平均粒子径0.26μm)を26質量%含有するラテックス(pH4.1)を1.92kg添加した他は実施例1と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は33μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、68質量%であった。
【0030】
実施例7
実施例1において、化学機械研磨後の廃液のpHを8.7とし、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス2.5kgの代わりに、メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比=40:58:2、重量平均分子量Mw=84,000、ガラス転移温度=−6℃、pH8.7におけるゼータ電位=−28mV、平均粒子径0.21μm)を26質量%含有するラテックス(pH4.1)を1.92kg添加し、20質量%硫酸アルミニウム水溶液を1kgの代わりに20質量%硫酸鉄(III)1kgを添加した他は実施例1と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は28μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、69質量%であった。
【0031】
実施例8
実施例7において、メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体を含有するラテックスとして共重合重量比が50:48:2のもの(重量平均分子量Mw=84,000、ガラス転移温度=14℃、pH8.6におけるゼータ電位=−27mV、平均粒子径0.23μm)を26質量%含有するラテックス(pH4.1)を1.92kg添加した他は実施例7と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は18μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、72質量%であった。
なお、pH8.6における化学機械研磨後の廃液中の砥粒のゼータ電位は−35mVであった。
【0032】
実施例9
シリカスラリーPLANERLITE6101((株)フジミインコーポレーテッド製、コロイダルシリカ含有、平均一次粒子径35nm、平均二次粒子径70nm)をアドバンテック株式会社製8インチウエーハPETEOS膜1μmの研磨に使用し、その廃液を回収した。回収された廃液のpHは8.8であり、廃液中に含まれる砥粒は0.2質量%であった。また、このpHにおいて、廃液中に含まれる砥粒のゼータ電位は−29mVであった。
この廃液100kgに対し、室温(25℃)にてスチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体(共重合重量比=23:76:1、重量平均分子量Mw=58,000、ガラス転移温度=−48℃、pH8.8におけるゼータ電位=−29mV、平均粒子径0.12μm)を24質量%含有するラテックス(pH2.9)を0.83kg添加し、次いで、20質量%硫酸アルミニウム水溶液を1kg、さらに1質量%のポリアクリルアミド(Mw=1,000,000)を含有する水溶液1kgを添加した。
これらの操作により、廃液中の砥粒は平均粒子径35μmの凝集体となった。
これらの操作を施した廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、61質量%であった。
【0033】
実施例10
セリアスラリーCMS4101(ジェイエスアール(株)製、セリア含有、平均一次粒子径28nm、平均二次粒子径800nm)をアドバンテック株式会社製8インチウエーハPETEOS膜1μmの研磨に使用し、その廃液を回収した。回収された廃液のpHは7.2であり、廃液中に含まれる砥粒は0.05質量%であった。また、このpHにおいて、廃液中に含まれる砥粒のゼータ電位は+12mVであった。
この廃液100kgに対し、室温(25℃)にてメチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比=32:65:3、重量平均分子量Mw=84,000、ガラス転移温度=−30℃、pH7.2におけるゼータ電位=−26mV、平均粒子径0.28μm)を26質量%含有するラテックス(pH4.1)を1.92kg添加し、次いで、20質量%硫酸アルミニウム水溶液を1kg、さらに1質量%のポリアクリルアミド(Mw=1,000,000)を含有する水溶液1kgを添加した。
これらの操作により、廃液中の砥粒は平均粒子径29μmの凝集体となった。
これらの操作を施した廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、73質量%であった。
【0034】
実施例11
アルミナスラリーWA355(キャボット社製、ヒュームドアルミナ含有、平均二次粒子径0.14nm)をタングステン膜SKW社8インチタングステン膜品名SKW−5の研磨に使用し、その廃液を回収した。回収された廃液のpHは6.2であり、廃液中に含まれる砥粒は0.3質量%であった。また、このpHにおいて、廃液中に含まれる砥粒のゼータ電位は+28mVであった。
この廃液100kgに対し、室温(25℃)にて室温(25℃)にてスチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体(共重合重量比=23:76:1、重量平均分子量Mw=58,000、ガラス転移温度=−48℃、pH8.8におけるゼータ電位=−23mV、平均粒子径0.14μm)を24質量%含有するラテックス(pH2.9)を0.83kg添加し、次いで、20質量%硫酸アルミニウム水溶液を1kg添加した。
これらの操作により、廃液中の砥粒は平均粒子径24μmの凝集体となった。
これらの操作を施した廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、69質量%であった。
【0035】
実施例12
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス2.5kgの代わりに、スチレン/ブタジエン/ジメチルアミノメチルメタクリレート共重合体(共重合重量比=20:78:2、重量平均分子量Mw=64,000、ガラス転移温度=−44℃、pH8.8におけるゼータ電位=+6mV、平均粒子径0.28μm)を19質量%含有するラテックス(pH8.2)を1.05kg添加し、硫酸アルミニウム水溶液を添加しなかった他は実施例1と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は29μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、67質量%であった。
【0036】
実施例13
実施例11において、硫酸アルミニウム水溶液を添加しなかった他は実施例11と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は19μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、72質量%であった。
【0037】
実施例14
実施例12において、ポリアクリルアミド水溶液を添加しなかった以外は実施例12と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は26μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、74質量%であった。
【0038】
実施例15
実施例11において、化学機械研磨後の廃液のpHを5.9とし、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス0.83kgの代わりにスチレン/ブタジエン/ジメチルアミノメチルメタクリレート共重合体(共重合重量比=20:78:2、重量平均分子量Mw=64,000、ガラス転移温度=−44℃、pH5.9におけるゼータ電位=+9mV、平均粒子径0.13μm)を19質量%含有するラテックス(pH8.2)を1.05kg添加し、さらに1質量%のポリアクリルアミド(Mw=1,000,000)を含有する水溶液1kgを添加した他は実施例11と略同様にして実施し、廃液中の砥粒を凝集させた。
砥粒の凝集体の平均粒子径は41μmであった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間以内に上澄みと沈殿層が完全に分かれた。24時間後に上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、62質量%であった。
【0039】
比較例1
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックスとしてスチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体(共重合重量比=64:35:1、重量平均分子量Mw=49,000、ガラス転移温度=37℃、pH8.8におけるゼータ電位=−33mV、平均粒子径0.12μm)を20質量%含有するラテックス(pH2.3)を使用した他は実施例1と略同様にして実施した。
この処理を行った後の砥粒の平均粒子径は1.4μmであり、ほとんど凝集していなかった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間経過後の時点で、上澄みと沈殿層が分かれることはなかった。24時間経過後に上澄みと沈殿層がじゃっかん分離したので、上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、94質量%であった。
【0040】
比較例2
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス2.5kgの代わりにスチレン/アクリル酸共重合体(共重合重量比=98:2、重量平均分子量Mw=47,000、ガラス転移温度=100℃、pH8.8におけるゼータ電位=−32mV、平均粒子径0.27μm)を22質量%含有するラテックス(pH2.3)を2.27kg添加した他は実施例1と略同様にして実施した。
この処理を行った後の砥粒の平均粒子径は1.2μmであり、ほとんど凝集していなかった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間経過後の時点で、上澄みと沈殿層が分かれることはなかった。24時間経過後に上澄みと沈殿層がじゃっかん分離したので、上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、93質量%であった。
【0041】
比較例3
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス2.5kgの代わりにメチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比=62:35:3、重量平均分子量Mw=84,000、ガラス転移温度=41℃、pH8.8におけるゼータ電位=−29mV、平均粒子径0.18μm)を24質量%含有するラテックス(pH4.1)を2.08kg添加した他は実施例1と略同様にして実施した。
この処理を行った後の砥粒の平均粒子径は1.8μmであり、ほとんど凝集していなかった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間経過後の時点で、上澄みと沈殿層が分かれることはなかった。24時間経過後に上澄みと沈殿層がじゃっかん分離したので、上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、91質量%であった。
【0042】
比較例4
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックス2.5kgの代わりにスチレン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸共重合体(共重合重量比=95:2:3、重量平均分子量Mwは測定不能、ガラス転移温度=150℃、pH8.8におけるゼータ電位=−27mV、平均粒子径0.11μm)を19質量%含有するラテックス(pH5.1)を2.63kg添加した他は実施例1と略同様にして実施した。
この処理を行った後の砥粒の平均粒子径は0.7μmであり、ほとんど凝集していなかった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間経過後の時点で、上澄みと沈殿層が分かれることはなかった。24時間経過後にも上澄みと沈殿層が分離することはなかった。処理後の廃液の含水率を測定したところ、98質量%であった。
【0043】
比較例5
実施例1において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックスを添加しなかった以外は実施例1と略同様にして実施した。
この処理を行った後の砥粒の平均粒子径は0.4μmであり、ほとんど凝集していなかった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間経過後の時点で、上澄みと沈殿層が分かれることはなかった。24時間経過後に上澄みと沈殿層がごくわずかに分離したので、上澄みを吸引除去して沈殿層を取り出して含水率を測定したところ、95質量%であった。
【0044】
比較例6
実施例11において、スチレン/ブタジエン/アクリル酸共重合体を含有するラテックスを添加せず、さらに1質量%のポリアクリルアミド(Mw=1,000,000)を含有する水溶液1kgを添加した他は実施例11と略同様にして実施した。
この処理を行った後の砥粒の平均粒子径は0.5μmであり、ほとんど凝集していなかった。
また、砥粒を凝集させた後の廃液を高さ1mの沈殿槽に入れたところ、5時間経過後の時点で、上澄みと沈殿層が分かれることはなかった。24時間経過後にも上澄みと沈殿層が分離することはなかった。処理後の廃液の含水率を測定したところ、98質量%であった。
【0045】
参考のため、上記した実施例1〜15および比較例1〜6について、化学機械研磨用スラリー廃液のpH、廃液に含まれる砥粒の当該pHにおけるゼータ電位、添加した有機粒子の分子量、ガラス転移温度、平均粒子径および廃液のpHにおけるゼータ電位、廃液に含まれる砥粒と添加した有機粒子の質量比、添加した多価金属イオンの塩および水溶性高分子の種類と量、ならびに凝集後の凝集体の平均粒子径および沈殿層の含水率の関係を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、化学機械研磨用スラリーの廃液を、小規模設備においても簡便、低コストで処理できる方法が提供される。
Claims (5)
- 砥粒を含有する化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法であって、該廃液にガラス転移温度が廃液を処理する温度よりも低い有機粒子を添加することを特徴とする、化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法。
- 上記有機粒子の平均粒子径が0.01〜3μmであることを特徴とする、請求項1に記載の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法。
- さらに多価金属イオンおよび/または水溶性高分子を添加することを特徴とする、請求項1または2に記載の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法。
- 化学機械研磨用スラリーの廃液に含有される砥粒のゼータ電位と、上記有機粒子のゼータ電位とが逆符号であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法。
- 化学機械研磨用スラリーの廃液に含有される砥粒のゼータ電位と、上記有機粒子のゼータ電位とが同符号であることを特徴とする、請求項3に記載の化学機械研磨用スラリー廃液の処理方法。
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