JP4924169B2 - 圧電素子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、圧電素子の製造方法に関するものである。
従来より、例えば、発音体、センサ、アクチュエータ等の種々の用途に、圧電素子が利用されている。そして、圧電素子としては、単板圧電素子や積層型圧電素子が知られている。単板圧電素子は、一対の電極層間に圧電磁器からなる圧電体層を備える構造を有している。また、積層型圧電素子は、圧電体層と内部電極とが交互に積層された構造の素体を有している。この積層型圧電素子において、素体は、その積層方向の両端面が複数の圧電体層からなる保護層によって覆われていることが一般的である。
このような圧電素子に利用される圧電磁器の材料は、例えば、下記特許文献1に開示されている。
特開平5−24917号公報
上述のような圧電磁器の圧電体層においては、焼成時に生じる歪みの緩和及び結晶粒成長の安定化が望まれていた。発明者らは、リンを含む圧電材料を用いることで、歪みの緩和や結晶粒成長の安定化を実現できることを見い出した。ただし、圧電材料中のリンは圧電素子の変位量に悪影響を及ぼしてしまうため、発明者らは、圧電素子の変位量についての研究を重ね、ついに変位量を増大することができる技術を見い出した。
つまり、本発明は、焼成時における歪みの緩和及び結晶粒成長の安定化を図りつつ、変位量の増大が図られた圧電素子の製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、圧電素子の圧電体層を構成する圧電材料にPが含有されており、そのPがPとして、圧電材料中のTiO原料及びZrO原料から所定範囲の量だけ混入する場合に、焼成時における歪みの緩和及び結晶粒成長の安定化が実現し、且つ、変位量が増大することを見い出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る圧電素子の製造方法は、圧電体層と電極層とを交互に積層した積層体を焼成して圧電素子を作製する圧電素子の製造方法であって、圧電体層を構成する圧電材料が、TiO原料とZrO原料とPbO原料とを主成分として含み、且つ、圧電材料に、TiO原料及びZrO原料に含まれるPが40ppm以上350ppm以下の範囲で混入していることを特徴とする。
また、圧電材料には、副成分として、30%以下の添加割合でPが添加されている態様であってもよく、電極層が、Ag−Pd合金、若しくは、Cuで構成される態様であってもよい。
本発明によれば、焼成時における歪みの緩和及び結晶粒成長の安定化を図りつつ、変位量の増大が図られた圧電素子の製造方法が提供される。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するにあたり最良と思われる形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
まず、本発明の実施形態に係る製造方法によって作製される圧電素子について、図1を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に係る圧電素子の概略断面図である。図1に示す圧電素子10は、直方体状の積層体11と、この積層体11の対向する端面に形成された一対の外部電極17A,17Bとを備えた積層型圧電素子である。
積層体11は、圧電体層12を介して内部電極層(電極層)13A,13Bを交互に積層してなる素体14と、この素体14をその積層方向の両端面側(図中上下方向)から挟み込むように設けられた一対の保護層15,16とから構成される。このように、素体14においては、圧電体層12と内部電極層13A,13Bとが交互に積層されている。
圧電体層12は、主としてPZT系圧電体セラミックの圧電材料から構成される層である。また、圧電体層12の圧電材料中にはリン元素が含まれている。圧電材料において、リン元素は、原子、酸化物又は圧電体層12に含まれている他の金属等との化合物の形態で含まれる。リン元素は、圧電体層12中に均一に分散していることが好ましい。
内部電極層13A,13Bはそれぞれ平行となるように設けられている。内部電極層13Aは、一方の端部が積層体11における外部電極17Aが形成された端面に露出するように形成されている。また、内部電極層13Bは、一方の端部が積層体11における外部電極17Bが形成された端面に露出するように形成されている。
さらに、内部電極層13Aと内部電極13Bとは、これらの大部分が積層方向に重なり合うように配置されている。内部電極13A,13B間に挟まれた圧電体層12は、内部電極13A,13Bに電圧を印加したときに積層方向に伸縮(変位)する圧電活性部となる。この内部電極層13A,13Bは、Ag、Pd、Au、Cu、Niやこれらの合金によって構成される。なお、焼成時における内部電極13A,13Bから圧電体層12への金属の拡散は、特にAg−Pd合金又はCuの場合に生じ易い傾向にある。したがって、内部電極13A,13Bの金属をAg−Pd合金又はCuとする場合に、リン元素による圧電体層12の歪みを抑制する効果が特に良好に得られる。
保護層15,16は、主として圧電材料から構成される層である。保護層15,16を形成する圧電材料としては、圧電体層12と同様のものが挙げられる。保護層15,16及び圧電体層12にそれぞれ含まれる圧電材料は、同じであっても異なっていてもよい。ただし、圧電素子10の製造を容易におこなう観点からは、同じであることが好ましい。かかる観点からは、保護層15,16は、圧電体層12が複数積層されてなるものであると特に好ましい。
保護層15,16に含まれる圧電材料は、リン元素を含む。このリン元素は、原子、酸化物又は保護層15,16に含まれている他の金属等との化合物の形態で含まれる。リン元素は、保護層15,16において均一に分散していることが好ましい。
保護層15,16に含まれる圧電材料中のリン元素の含有量は、Pに換算して重量基準で50〜1000ppmであると好ましく、50〜500ppmであるとより好ましい。このリン元素の含有量が50ppm未満であると、後述する圧電素子10の製造方法において、焼成時における内部電極層13A,13Bから保護層15,16への金属の拡散が不均一となり、保護層15,16が歪みを有した状態となり易い傾向にある。一方、1000ppmを超えると、焼成による圧電材料の焼結が不十分となり、保護層15,16の密度が低下して、素体14を十分に保護することが困難となる場合がある。
外部電極17A,17Bは、これらが設けられている端面において、当該端面に露出している内部電極13A,13Bの端部とそれぞれ接している。これにより、外部電極17A,17Bは、内部電極13A,13Bと電気的に接続される。この外部電極17A,17Bは、Ag、Au、Cu等を主成分とする導電材料から構成される。
次に、上述した構造を有する圧電素子10の好適な製造方法について、図2を参照して説明する。図2は、圧電素子10を作製する手順を示したフローチャートである。
圧電素子10を作製する際は、まず、出発原料を用意する(ステップ11)。この出発原料は、PZT系圧電材料であり、主成分としてPbO、TiO、ZrO、ZnO、Nb等の粉体原料を含み、副成分としてP試薬(若しくは、P10試薬、HPO試薬)を含んでいる。そして、これらの原料が所定の組成比となるようにそれぞれの原料を秤量する。このとき、P試薬の量は、圧電材料に含まれるPの30%以下の割合となるように調整される。
次に、安定化ジルコニアボールをメディアに用いたボールミルによって、上記出発原料の湿式混合を24時間程度行う(ステップS12)。続いて、混合された原料を乾燥させる(ステップS13)。そして、混合された原料に対し、例えば850℃程度の温度で2時間程度の加熱処理を施す仮焼成をおこなう(ステップS14)。これにより、主にPb、Zr、Ti元素を含有したペロブスカイト構造を有する複合型酸化物圧電材料の原料組成物が得られる。
この原料組成物をボールミルにより湿式粉砕した後(ステップS15)、これを乾燥させ(ステップS16)、原料組成物の粉体(圧電磁器粉体)を得る。続いて、これらの原料組成物の粉体に、有機バインダー、有機溶剤、有機可塑剤等を加えてボールミル等により20時間程度の混合をおこない、圧電体ペーストを得る(ステップS17)。この圧電体ペーストを、例えばドクターブレード法によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のベースフィルム等に塗布して、圧電体層12形成用及び保護層15,16形成用の圧電体成形物をそれぞれ得る(ステップS18)。
その後、圧電体層12形成用の圧電体成形物上に、スクリーン印刷法等により内部電極13A,13Bを構成する金属、有機バインダー等を含む電極ペーストを塗布して、電極ペースト層を形成させる(ステップS19)。この際、電極ペースト層は、上述した内部電極13A及び13Bの形状が得られるようにそれぞれ形成する。
それから、内部電極13A又は13Bに対応する電極ペースト層が形成された圧電体成形物を、それぞれ交互に積層する。また、この積層構造の積層方向の両端面の表面上に、保護層15,16形成用の圧電体成形物を複数層ずつ積層する。こうして得られた積層体を、適宜加熱しながら積層方向に加圧(プレス)し、更に必要に応じて所望のサイズに切断することで、積層体グリーンを得る(ステップS20)。
その後、この積層体グリーンを、安定化ジルコニアセッター等に載置した後、大気雰囲気中で加熱することにより、積層体グリーン及び電極ペースト層中に含まれるバインダー等を除去する脱脂処理をおこなう(ステップS21;脱バインダー)。それから、セッター上に載置された積層体グリーンに対し、密閉された容器中で、例えば1050〜1100℃、2時間程度の加熱を行う焼成処理(本焼成)をおこない、積層体11を得る(ステップS22)。この焼成処理において、圧電体成形物及び電極ペースト層が一体焼成され、圧電体層12形成用の圧電体成形物が圧電体層12となり、電極ペースト層が内部電極13A,13Bとなる。また、保護層15,16形成用の圧電体成形物から、それぞれ保護層15及び16が形成される。
そして、得られた積層体11の積層方向に平行であり互いに対向している端面(内部電極13A,13Bの端部が露出している端面)に、外部電極17A,17Bをそれぞれ焼き付ける(ステップS23)。具体的には、外部電極17A,17Bを構成する金属、有機バインダー等を含む外部電極形成用のペーストを積層体11の上記端面に塗布した後、これを焼成することで、外部電極17A,17Bが形成される。このようにして、図1に示す構造を有する圧電素子10(積層型圧電素子)が得られる。
以上で説明したように、発明者らは、圧電素子10の圧電体層12を構成する圧電材料にPが含有されており、そのPがPとして、圧電材料中のTiO原料及びZrO原料から所定範囲の量だけ混入する場合に、焼成時における歪みの緩和及び結晶粒成長の安定化が実現し、且つ、変位量が増大することを見い出した。
この場合、電極ペースト層に含まれる金属が、本焼成の際に圧電体成形物中に拡散し易くなるが、圧電体成形物中に金属と反応し易いリン元素が分散されているため、金属の拡散は圧電体成形物中で均一に生じるようになる。その結果、圧電体成形物がリン元素を含まない場合に比して、焼結による圧電体成形物(圧電体層12)の収縮が均一に生じるようになる。その結果、圧電体層12は、歪みが少ない形状を有するものとなり、圧電素子10全体も歪みが少ないものとなる。
具体的には、圧電材料中のTiO粉末原料及びZrO粉末原料のリン元素の含有量は、Pに換算して重量基準で40ppm以上350ppm以下の範囲に調整される。すなわち、この量のリン元素が圧電材料に混入されている。このリン元素の含有量が40ppm未満であると、焼成による圧電材料の焼結が不十分となり、圧電体層12の密度が低下して十分な変位が得られ難くなる場合がある。一方、リン元素の含有量が350ppmを超えると圧電歪み定数(d31)の値が実用的なレベルを下回ってしまう。
なお、上述した実施形態では、圧電材料中のTiO原料及びZrO原料からPをPとして混入させ、且つ、副成分として圧電材料にP試薬を添加させているが、P試薬を必ずしも添加する必要はない。P試薬を添加する場合は、P試薬の添加割合は30%以下にするとよい。それにより、P試薬を添加して圧電材料中のP含有量を増加させる場合に比べて、変位量を所定の基準値以上に維持しつつ、より多くのPを圧電材料中に含有させることができるため、さらなる歪み緩和及び結晶粒成長の安定性の向上を図ることができるようになる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
(第1実施例)
まず、図2に示すステップS11〜S16を実施して、圧電材料の原料組成物の粉体(出発原料)を得た。この出発原料には、Pを含有するTiO及びZrOと、PbO、ZnO、Nbとが含まれている。そして、これらの出発原料を、焼成後にPb0.99[(Zn1/3 Nb2/30.1 Ti0.44 Zr0.46]Oの組成を有する圧電磁器が得られるように秤量し配合した。
次に、その圧電材料の原料組成物の粉体に、ポリビニルアルコール系のバインダーを加えて造粒した後、成形を約196MPaで行い、一辺が約20mm、厚さ1.5mmのサイズを有する角板状の圧電体成形物を得た。
その後、圧電体成形物の脱バインダーを行い、圧電体成形物をマグネシア(MgO)の密閉容器に入れ、1150℃で2時間加熱する本焼成を行った。これにより、角板状の圧電磁器を得た。
最後に、得られた圧電磁器を、高さ1.0mmに加工し、さらにその両面に銀焼付電極を形成して、単板圧電素子(12mm×3mm)を作製した。さらに、この単板圧電素子に、120℃のシリコーン油中で分極処理(処理条件:3kV/mm、15分)を行った。
以上のようにして得られた単板圧電素子の圧電歪み定数(d31)を測定した。測定方法としては、インピーダンスアナライザーを用いて測定した素子の静電容量、共振周波数及び反共振周波数から、圧電歪み定数を算出した。また、圧電磁器の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、圧電粒子の平均粒子径を円相当径として画像処理ソフト(Mac View)を用いて測定した。
(比較例)
上述した実施例と同様に、図2に示すステップS11〜S16を実施して、圧電材料の原料組成物の粉体を得た。この出発原料には、TiO、ZrO、PbO、ZnO、Nbが含まれており、これにP試薬が添加されている。そして、Pが添加された出発原料を、焼成後にPb0.99[(Zn1/3 Nb2/30.1 Ti0.44 Zr0.46]Oの組成を有する圧電磁器が得られるように秤量し配合した。
次に、その圧電材料の原料組成物の粉体に、ポリビニルアルコール系のバインダーを加えて造粒した後、成形を約196MPaで行い、一辺が約20mm、厚さ1.5mmのサイズを有する角板状の圧電体成形物を得た。
その後、圧電体成形物の脱バインダーを行い、圧電体成形物をマグネシア(MgO)の密閉容器に入れ、1150℃で2時間加熱する本焼成を行った。これにより、角板状の圧電磁器を得た。
最後に、得られた圧電磁器を、高さ1.0mmに加工し、さらにその両面に銀焼付電極を形成して、単板圧電素子(12mm×3mm)を作製した。さらに、この単板圧電素子に、120℃のシリコーン油中で分極処理(処理条件:3kV/mm、15分)を行った。
以上のようにして得られた単板圧電素子の圧電歪み定数を、実施例同様に測定した。また、圧電磁器の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、圧電粒子の平均粒子径を円相当径として画像処理ソフト(Mac View)を用いて測定した。
上記実施例及び比較例により測定した圧電歪み定数は、以下の表1及び図3のグラフに示すとおりであった。ここで、図3のグラフの横軸は、圧電材料中のP含有量(ppm)を示しており、縦軸は圧電歪み定数(pC/N)を示している。
これらの測定結果(表1及び図3のグラフ)から、圧電材料中にPを直接添加した比較例に比べて、圧電材料にTiO粉末原料及びZrO粉末原料からPを混入させた実施例のほうが、圧電歪み定数の値が高くなることがわかった。さらに、圧電材料中のTiO粉末原料及びZrO粉末原料のリン元素の含有量が、Pに換算して重量基準で350ppm以下である場合には、圧電歪み定数が実用上十分な値(200pC/N以上)となった。一方、Pが350ppmを超えると、圧電歪み定数が200pC/Nを下回ってしまった。そのため、圧電材料にTiO原料及びZrO原料から混入させるPは350ppm以下であることが好ましい。
また、実施例及び比較例における顕微鏡写真は図4に示すとおりであった。この写真から、圧電粒子の平均粒子径を測定した結果、図5に示すグラフが得られた。ここで、図5のグラフの横軸は、圧電材料のP含有量(ppm)を示しており、縦軸は圧電粒子の平均粒子径(μm)を示している。
これらの測定結果(図4の写真及び図5のグラフ)から、同じ濃度のPを圧電材料中に含有させるとき、圧電材料中にPを直接添加した場合(比較例)に比べて、圧電材料にTiO粉末原料及びZrO粉末原料からPを混入させた場合(実施例)のほうが、圧電磁器が、大きな平均粒子径の圧電粒子で構成されることがわかる。つまり、所定のP含有量範囲(40ppm以上350ppm以下)において、任意の含有量で比較した場合、比較例に係る平均粒径よりも実施例に係る平均粒径のほうが大きくなる。このように実施例では比較例に比べて平均粒子径が大きくなるため、実施例に係る圧電磁器のほうがより高い焼結性を実現することができる。
(第2実施例)
まず、図2に示すステップS11〜S16を実施して、圧電材料の原料組成物の粉体(出発原料)を得た。この出発原料には、Pを含有するTiO及びZrOと、PbO、ZnO、Nbとが含まれている。この出発原料には、所定量のP試薬が添加されている。そして、これらの出発原料を、焼成後にPb0.94 Sr0.05[(Zn1/3 Nb2/30.1 (Mg1/3 Nb2/30.2Ti0.38 Zr0.32]OにNiOが0.4wt%含まれる組成を有する圧電磁器が得られるように秤量し配合した。
次に、ステップS17に示すように、圧電材料の原料組成物の粉体に、ポリビニルアルコール系のバインダーを加えて造粒した後、ステップS18に示す成形を行い、圧電体成形物を得た。次いで、この圧電体成形物の片面上に、ステップS19に示すように、Ag:Pd=7:3の比率を有する金属、有機バインダー及び有機溶剤を含む電極ペーストをスクリーン印刷法により塗布して、電極ペースト層を形成させた。電極ペースト中の金属の含有量は、50質量%とした。
その後、ステップS20に示すように、電極ペースト層が形成された圧電体成形物を17枚重ねて積層体を形成し、それを安定化ジルコニアセッター上に載置し、400℃、1時間の加熱により、脱バインダーを行った。そして、ステップS21に示すように、電極ペースト層が形成された圧電体成形物をセッター上に配置したまま密閉匣鉢中に入れ、1050〜1100℃で2時間加熱する本焼成をおこなった。
最後に、得られた素体をの両端面に銀焼付電極を形成して、図1に示す圧電素子と同様の圧電素子(5.2mm×1.0mm)を作製した。
以上のようにして得られた圧電素子の変位量を測定した。その測定には、変位測定機(レーザードップラー変位径)を用いた。本実施例により測定した変位量は、以下の表2に示すとおりであった。
上記実施例1同様に、圧電材料に含まれるPの総量(P総量)が35ppm、150ppm、250ppm、350ppm、400ppmである試料をそれぞれ準備し、圧電材料中のTiO原料及びZrO原料から混入するPの量(P混入量)を250ppm、150ppm、35ppmとして、その不足分をPの試薬の量(P添加量)で補うようにした。
上記実施例により測定した変位量は、以下の表3〜5に示すとおりであった。なお、Pの添加量(ppm)は、原料化合物から換算した圧電体セラミックスに対する値である。
なお、測定結果として、上記実施例1〜4におけるP総量と変位量との関係を示すグラフを図6に、上記実施例1〜4における添加割合と変位量との関係を示すグラフを図7に示す。ここで、図6のグラフの横軸は、圧電材料のP総量(ppm)を示しており、縦軸は変位量(nm)を示している。また、図7のグラフの横軸は、P添加量の添加割合(%)を示しており、縦軸は変位量(nm)を示している。
すなわち、同じ濃度のPを圧電材料中に含有させるとき、圧電材料にTiO粉末原料及びZrO粉末原料から所定の含有量範囲(40ppm以上350ppm以下)でPを混入させることで、変位量が実用上十分な値(600nm以上)となった。
また、副成分として圧電材料にP試薬を添加する場合には、その添加割合を30%以下に抑えることで、変位量を実用上十分な値(600nm以上)にできることがわかった。
それにより、P試薬を添加して圧電材料中のP含有量を増加させる場合に比べて、変位量を所定の基準値以上に維持しつつ、より多くのPを圧電材料中に含有させることができるため、さらなる歪み緩和及び結晶粒成長の安定性の向上を図ることができるようになる。
本発明の実施例に係る圧電素子を示す斜視図である。 図1に示した圧電素子の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施例に係る測定結果を示したグラフである。 本発明の実施例に係る測定結果を示した顕微鏡写真である。 本発明の実施例に係る測定結果を示したグラフである。 本発明の実施例に係る測定結果を示したグラフである。 本発明の実施例に係る測定結果を示したグラフである。
符号の説明
10…積層型圧電素子、11…積層体、12…圧電体層、13A,13B…内部電極、14…素体、15,16…保護層、17A,17B…外部電極。

Claims (3)

  1. 圧電体層と電極層とを交互に積層した積層体を焼成して圧電素子を作製する圧電素子の製造方法であって、
    前記圧電体層を構成する圧電材料が、TiO原料とZrO原料とPb原料とを主成分として含み、且つ、前記圧電材料に、前記TiO原料及び前記ZrO原料に含まれるP重量基準で40ppm以上50ppm以下の範囲で混入している、圧電素子の製造方法。
  2. 前記圧電材料には、副成分としてP が添加されており、
    前記圧電材料に含まれるP に対する、副成分として添加されるP の割合が、30%以下である、請求項1に記載の圧電素子の製造方法。
  3. 前記電極層が、Ag−Pd合金、若しくは、Cuで構成される、請求項1又は2に記載の圧電素子の製造方法。
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