JP2007238355A - 圧電磁器組成物の製造方法及び積層型圧電素子の製造方法 - Google Patents

圧電磁器組成物の製造方法及び積層型圧電素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】圧電特性を低下させることなく、機械的強度の高い圧電磁器組成物を得る。
【解決手段】(Pba−bMi)[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O (ただし、0.96≦a≦1.03、0≦b≦0.1、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。また、式中のMiはSr、Ca、Baから選ばれる少なくとも1種を表す。)で表される複合化合物を主成分とし、主成分に対して、CuOγ(γ≧0)で表される成分の少なくとも1種を3.0質量%以下(ただし、0を含まず)含有する圧電磁器組成物の製造方法であって、比表面積が1.8〜11.0m/gである粉末組成物からなる成形体を得る工程と、得られた成形体を焼成して焼結体を得る工程と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば、アクチュエータ、圧電ブザー、発音体、センサ等の積層型圧電素子の圧電体層に好適に用いられる圧電磁器組成物及びこの圧電磁器組成物で構成される圧電体層を有する積層型圧電素子に関するものである。
例えば圧電効果によって発生する変位を機械的な駆動源として利用したアクチュエータは、消費電力や発熱量が少なく、応答性も良好であること、小型化や軽量化が可能であること等の利点を有し、広範な分野で利用されるようになってきている。
ところで、この種のアクチュエータに用いられる圧電磁器組成物には、圧電特性、特に圧電歪定数が大きいことが要求され、これを満たす圧電磁器組成物として、例えばチタン酸鉛(PbTiO)とジルコン酸鉛(PbZrO)及び亜鉛・ニオブ酸鉛[Pb(Zn1/3Nb2/3)O]により構成される3元系の圧電磁器組成物や、前記3元系の圧電磁器組成物においてPbの一部をSr、Ba、Ca等で置換した圧電磁器組成物等が開発されている。
ただし、これら従来の圧電磁器組成物は、比較的高温で焼成する必要があり、また焼成が酸化性雰囲気下で行われるため、例えば内部電極を同時焼成する積層型アクチュエータ等においては、高い融点を持ち、酸化性雰囲気下で焼成しても酸化されない貴金属(例えば、PtやPd等)を電極材料として用いる必要がある。その結果、コスト増を招き、製造される圧電素子の低価格化に支障をきたしている。
このような状況から、本出願人は、前記3元系の圧電磁器組成物に、Fe、Co、Ni及びCuから選ばれる少なくとも1種を含む第1副成分、及び、Sb、Nb及びTaから選ばれる少なくとも1種を含む第2副成分を加えることにより低温焼成を可能とし、内部電極にAg−Pd合金等の安価な材料を使用可能とすることを提案している(特許文献1を参照)。
特許文献1記載の発明は、前記3元系の圧電磁器組成物、あるいは当該3元系の圧電磁器組成物においてPbの一部をSr、Ba、Ca等で置換した圧電磁器組成物に、Fe、Co、Ni及びCuから選ばれる少なくとも1種を含む第1副成分と、Sb、Nb及びTaから選ばれる少なくとも1種を含む第2副成分を加えることで、高い圧電歪定数を持ち、低温で焼成しても各種圧電特性を損なうことなく緻密化され、機械的強度が高められた圧電磁器組成物を実現し、この圧電磁器組成物で構成される圧電体層を有する圧電素子を提供するというものである。
特開2004−137106号公報
ところで、圧電磁器組成物は、繰り返し変位に対する耐性として、機械的強度が高いことが要求される。したがって、より厳しい使用条件が要求される昨今では、圧電磁器組成物の機械的強度を高める必要がある。ただし、機械的強度の向上は圧電特性の低下を招くものであってはならない。
そこで本発明は、圧電特性を低下させることなく、機械的強度の高い圧電磁器組成物、さらには、そのような圧電磁器組成物から構成される圧電体層を備える積層型圧電素子を提供することを目的とする。
本発明者等は、圧電磁器組成物中に何らかの形態でCuを存在させ、かつ、圧電磁器組成物を焼成する前の粉末の粒度を制御することにより、圧電特性を低下させることなく機械的強度を向上できることを知見した。この知見に基づく本発明は、(Pba−bMi)[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O (ただし、0.96≦a≦1.03、0≦b≦0.1、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。また、式中のMiはSr、Ca、Baから選ばれる少なくとも1種を表す。)で表される複合酸化物を主成分とし、主成分に対して、CuOγ(γ≧0)で表される成分の少なくとも1種を3.0質量%以下(ただし、0を含まず)含有する圧電磁器組成物の製造方法であって、比表面積が1.8〜11.0m/gである粉末組成物からなる成形体を得る工程と、得られた成形体を焼成して焼結体を得る工程と、を備えることを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法である。
また本発明は、(Pba−bMi)[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O (ただし、0.96≦a≦1.03、0≦b≦0.1、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。また、式中のMiはSr、Ca、Baから選ばれる少なくとも1種を表す。)で表される複合酸化物主成分とし、主成分に対して、CuOγ(γ≧0)で表される成分の少なくとも1種を3.0質量%以下(ただし、0を含まず)含有する圧電体層と、Cuを含む内部電極層と、が積層された積層型圧電素子の製造方法をも提供し、この製造方法は、比表面積が1.8〜11.0m/gである粉末組成物を含む圧電体層前駆体と、内部電極層前駆体を交互に積層して積層体を得る工程と、積層体を焼成する工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の積層型圧電素子において、CuOγ(γ≧0)は、内部電極層前駆体に含まれるCuを焼成の過程で拡散させることによって圧電体層に存在させることができる。また、CuOγ(γ≧0)は、圧電体層前駆体に添加された添加物に基づくものであってもよい。もちろん、拡散及び添加物の両者によるものであってもよい。
本発明において、圧電体層前駆体に含まれる粉末組成物の比表面積は2.5〜8.0m/gであることが好ましい。
また本発明において、焼成は、還元性雰囲気で行うこと、さらに焼成温度:800〜1200℃、酸素分圧:1×10−10〜1×10−6気圧の条件で焼成されることが好ましい。
本発明の圧電体層は、副成分として、Ta、Sb、Nb及びWから選ばれる少なくとも1種を酸化物換算で1.0質量%以下(ただし、0は含まず)含有することが好ましい。
本発明によれば、圧電特性を低下させることなく、機械的強度の高い圧電磁器組成物、さらには、そのような圧電磁器組成物から構成される圧電体層を備える積層型圧電素子を提供することができる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本発明により得られる積層型圧電素子1の構成例を示す断面図である。なお、図1はあくまで一例を示すものであって、本発明が図1の積層型圧電素子1に限定されないことはいうまでもない。この積層型圧電素子1は、複数の圧電体層11と複数の内部電極層12とを交互に積層した積層体10を備えている。圧電体層11の一層当たりの厚さは例えば1〜200μm、好ましくは20〜150μm、さらに好ましくは50〜100μmとする。なお、圧電体層11の積層数は目標とする変位量に応じて決定される。
圧電体層11を構成する圧電磁器組成物は、Pb、Ti及びZrを構成元素とする複合酸化物を主成分とする。この複合酸化物の例としては、例えばチタン酸鉛(PbTiO)とジルコン酸鉛(PbZrO)及び亜鉛・ニオブ酸鉛[Pb(Zn1/3Nb2/3)O]により構成される3元系の複合酸化物や、前記3元系の複合酸化物においてPbの一部をSr、Ba、Ca等で置換した複合酸化物である。
具体的な組成としては、下記(1)式、あるいは(2)式で表される複合酸化物等を挙げることができる。なお、これら(1)式、あるいは(2)式において、酸素の組成は化学量論的に求めたものであり、実際の組成においては、化学量論組成からのずれは許容されるものとする。
Pb[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O ・・・(1)
(ただし、0.96≦a≦1.03、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。)
(Pba−bMi)[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O ・・・(2)
(ただし、0.96≦a≦1.03、0<b≦0.1、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。また、式中のMiは、Sr、Ca、Baから選ばれる少なくとも1種を表す。)
前記複合酸化物は、いわゆるペロブスカイト構造を有しており、Pb及び(2)式における置換元素Mβについては、ペロブスカイト構造のいわゆるAサイトに位置する。ZnやNb、Ti、Zrは、ペロブスカイト構造のいわゆるBサイトに位置する。
前記(1)式や(2)式で表される複合酸化物において、Aサイト元素の割合aは、0.96≦a≦1.03であることが好ましい。Aサイト元素の割合aが0.96未満であると、低温での焼成が困難になるおそれがある。逆に、Aサイト元素の割合aが1.03を超えると、得られる圧電磁器の密度が低下し、その結果、十分な圧電特性が得られなくなるおそれがあり、機械的強度も低下するおそれがある。さらに好ましいAサイト元素の割合aは0.98≦a≦1.01であり、より好ましいAサイト元素の割合aは0.99≦a≦1.005である。
前記(2)式で表される複合酸化物においては、Pbの一部を置換元素Mi(Sr,Ca,Ba)で置換しているが、これにより圧電歪定数を大きくすることができる。ただし、置換元素Miの置換量bが多くなりすぎると、焼結性が低下してしまい、その結果、圧電歪定数が小さくなり、機械強度も低下する。また、キュリー温度も置換量bの増加に伴って低下する傾向にある。したがって、置換元素Miの置換量bは、0.1以下とすることが好ましい。さらに好ましい置換元素Miの置換量bは0.06以下であり、より好ましい置換元素Miの置換量bは0.04以下である。
一方、Bサイト元素のうち、ZnとNbの割合xは、0.05≦x≦0.15とすることが好ましい。前記割合xは焼成温度に影響を与え、この値が0.05未満であると焼成温度を低下させる効果が不足するおそれがある。逆に0.15を超えると、焼結性に影響を及ぼし、その結果、圧電歪定数が小さくなるとともに、機械的強度が低下するおそれがある。さらに好ましいZnとNbの割合xは0.06≦x≦0.125であり、より好ましいZnとNbの割合xは0.08≦x≦0.1である。
Bサイト元素のうちTiの割合y及びZrの割合zは、圧電特性の観点から好ましい範囲が設定される。具体的には、Tiの割合yは、0.25≦y≦0.5であることが好ましく、Zrの割合zは、0.35≦z≦0.6であることが好ましい。前記範囲内に設定することで、モルフォトロピック相境界(MPB)付近において、大きな圧電歪定数を得ることができる。さらに好ましいTiの割合yは0.275≦y≦0.48であり、より好ましいTiの割合yは0.3≦y≦0.45である。また、さらに好ましいZrの割合zは0.375≦z≦0.55であり、より好ましいZrの割合zは0.4≦z≦0.5である。
前記圧電磁器組成物は、前記主成分の他、副成分を含んでいてもよい。この場合、副成分としては、Ta、Sb、Nb及びWから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。副成分を添加することで、圧電特性及び機械的強度を向上させることができる。ただし、これら副成分の含有量は、酸化物換算で1.0質量%以下とすることが好ましい。例えばTaの場合、Ta換算で1.0質量%以下、Sbの場合、Sb換算で1.0質量%以下、Nbの場合、Nb換算で1.0質量%以下、Wの場合、WO換算で1.0質量%以下である。この副成分の含有量が、酸化物換算で1.0質量%を超えると、焼結性が低下し、圧電特性が低下するおそれがある。さらに好ましい含有量は0.05〜0.8質量%、より好ましい含有量は0.1〜0.6質量%である。
内部電極層12は、導電材料を含有している。本発明は、この導電材料としてCuを用いる。導電材料としてCuを用いると、例えば1050℃以下の低温焼成に有益である。
複数の内部電極層12は例えば交互に逆方向に延長されており、その延長方向には内部電極層12と電気的に接続された一対の端子電極21、22がそれぞれ設けられている。端子電極21、22は、例えば、図示しないリード線を介して図示しない外部電源に対して電気的に接続される。
また、端子電極21、22は、例えばCuをスパッタリングすることにより形成されていてもよく、また端子電極用ペーストを焼き付けることにより形成されていてもよい。端子電極21、22の厚さは用途等に応じて適宜決定されるが、通常、10〜50μmである。
以上が本発明の積層型圧電素子1の基本的な構成であるが、本発明の積層型圧電素子1において特徴的なのは、圧電体層11がCuOγ(γ≧0)で表される成分の少なくとも1種を含有することである。以下、この特徴について説明する。
圧電体層11がCuOγ(γ≧0)を含有することで、機械的特性、具体的には弾性率が向上する。ただし、CuOγ(γ≧0)の含有量が多くなりすぎると、電気機械結合係数krの低下を無視することができないため、この含有量は3.0質量%以下(ただし、0は含まず)とすることが好ましい。CuOγ(γ≧0)の含有量が3.0質量%を超えると、電気機械結合係数krが50以下になるおそれがある。好ましくは、0.01〜3.0質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%である。ここで、CuOγ(γ≧0)としては、例えばCuO、CuO等、任意の酸化状態のCu酸化物、あるいはCu(γ=0)等を挙げることができ、これらの2種類以上が含まれていてもよい。
なお、圧電体層11に含まれるCuOγ(γ≧0)は、内部電極層12に含まれるCuが圧電体層11中に拡散することにより生ずるものであってもよいし、圧電体層11に原料組成の時点で添加することにより圧電体層11に含まれるものであってもよい。また、拡散及び添加の両者によるものであってもよい。本発明においては、圧電体層11がCuを含有することが重要なのであって、その添加方法や存在形態は問わない。
ここで、Cuを圧電体層11に拡散することを確認した実験について説明する。
圧電磁器組成物を次のようにして作製した。先ず、主成分の原料として、PbO粉末、SrCO粉末、ZnO粉末、Nb粉末、TiO粉末、ZrO粉末を用意し、下記主成分の組成となるように秤取した。次に、ボールミルを用いてこれら原料を16時間湿式混合し、大気中において700〜900℃で2時間仮焼した。
主成分:(Pb0.995−0.03Sr0.03)[(Zn1/3Nb2/30.1Ti0.43Zr0.47]O
得られた仮焼物を微粉砕した後、ボールミルを用いて16時間湿式粉砕した。これを乾燥した後、バインダとしてアクリル系樹脂を加えて造粒し、1軸プレス成形機を用いて約445MPaの圧力で直径17mm、厚さ1mmの円板状に成形した。成形した後、粒径1.0μmのCu粉末を含むCuペーストを両面に印刷した。得られたペレットに熱処理を行ってバインダを揮発させ、低酸素還元性雰囲気中(酸素分圧1×10−10〜1×10−6気圧)において950℃で8時間焼成した。得られた焼結体をスライス加工及びラップ加工により厚さ0.6mmの円板状とし、印刷したCuペーストを除去すると同時に特性評価が可能な形状に加工した。得られたサンプルの両面に銀ペーストを印刷して350℃で焼き付け、120℃のシリコーンオイル中で3kVの電界を15分間印加し、分極処理を行った。
以上の方法に従い圧電磁器組成物を作製し、ICP分析を行った。ICP用サンプル作製方法としては、先ず、分析を行う試料0.1gにLiを1g加え、1050℃で15分間溶融させた。得られた融解物に(COOH)を0.2g、HClを10ml加え、加熱溶解させ、100mlに定容した。測定は、ICP−AES(島津社製、商品名ICPS−8000)を用いて行った。その結果、CuがCuO換算で0.1質量%程度含まれていた。このCuは、圧電磁器組成物の原料にCuが含まれていないことから、Cuペーストから焼成過程で拡散したものと認められる。
また、本実施の形態による積層型圧電素子1は、還元焼成条件において焼成されたものであることも特徴点の一つである。積層型圧電素子1の作製に際し、酸化性雰囲気中で焼成すると、例えば内部電極層12の導電材料として貴金属を用いる必要がある。これに対して、本発明の積層型圧電素子1は、還元焼成条件において焼成されたものであるので、安価なCuを内部電極層12に用いることができる。ここで、還元焼成条件としては、例えば、焼成温度800〜1200℃、酸素分圧1×10−10〜1×10−6気圧である。
焼成温度が800℃未満では焼成が十分に進行せず、また1200℃を超えるとCuの溶融が懸念される。好ましい焼成温度は850〜1100℃、さらに好ましい焼成温度は900〜1050℃である。
酸素分圧が1×10−10気圧未満では圧電材料中の鉛が還元され金属鉛となり揮発するため特性の低下が生じる。また1×10−6気圧を超えると電極材料であるCuの酸化が懸念される。好ましい酸素分圧は1×10−10〜1×10−7気圧、さらに好ましい酸素分圧は1×10−9〜1×10−8気圧である。
次に、積層型圧電素子1の好適な製造方法について図2をも参照しつつ説明する。図2は積層型圧電素子1の製造工程を示すフローチャートである。
まず、圧電体層11を得るための主成分の出発原料として、例えば、PbO、TiO、ZrO、ZnO及びNb又は焼成によりこれら酸化物に変わり得る化合物;SrO、BaO及びCaOから選ばれる少なくとも一つの酸化物又は焼成によりこれら酸化物に変わり得る化合物等の粉末を用意し、秤量する(ステップS101)。出発原料としては、酸化物でなく、炭酸塩あるいはシュウ酸塩のように焼成により酸化物となるものを用いてもよい。これらの原料粉末は、通常、平均粒子径0.5〜10μm程度のものが用いられる。
圧電体層11の出発原料にCuを含ませる場合には、上記に加えてCuの添加種として、Cu、CuO、CuOの少なくとも1種を用意する。
必要に応じて副成分の出発原料をそれぞれ用意し、秤量する(ステップS101)。副成分の出発原料としては、Ta、Sb、Nb及びWOから選ばれる少なくとも一つの酸化物又は焼成によりこれら酸化物に変わり得る化合物を用いることができる。ただし、酸化物でなく、炭酸塩あるいはシュウ酸塩のように焼成により酸化物となるものを用いてもよい。これら副成分は、焼結性を向上させ、焼成温度をより低くする効果を奏する。
続いて、主成分及び副成分の出発原料を例えばボールミルを用いて湿式粉砕・混合して、原料混合物とする(ステップS102)。
なお、副成分の出発原料は、後述する仮焼成(ステップS103)の前に添加してもよいが、仮焼成後に添加するようにしてもよい。但し、仮焼成前に添加した方がより均質な圧電体層11を作製することができるので好ましい。仮焼成後に添加する場合には、副成分の出発原料には酸化物を用いることが好ましい。
次いで、原料混合物を乾燥し、例えば、750〜950℃の温度で1〜6時間にわたり仮焼成する(ステップS103)。この仮焼成は、大気中で行っても良く、また大気中よりも酸素分圧の高い雰囲気又は純酸素雰囲気で行ってもよい。仮焼成したのち、例えば、この仮焼成物をボールミルにて湿式粉砕・混合し、主成分及び必要に応じて副成分を含む仮焼成粉とする(ステップS104)。
次に、この仮焼成粉にバインダを加えて圧電体層用ペーストを作製する(ステップS105)。具体的には以下の通りである。はじめに、例えばボールミル等を用いて、湿式粉砕によりスラリを得る。このとき、スラリの溶媒として、水もしくはエタノールなどのアルコール、または水とエタノールとの混合溶媒を用いることができる。
仮焼粉末は例えばボールミルや気流粉砕機を用いて比表面積が1.8〜11.0m/gになるまで粉砕される。比表面積がこの範囲内にある粉末を焼成に供するようにすれば、焼成温度を1050℃以下と低温にしても緻密かつ圧電特性に優れた圧電磁器を得ることができる。望ましい比表面積は2.5〜8.0m/g、より望ましい比表面積は3.5〜8.0m/gである。比表面積を2.5〜8.0m/gとすることにより、1000℃以下での焼成も可能となる。なお、本願における比表面積はBET法による。
仮焼粉末の比表面積を上記範囲内とするには、例えば、メディア条件の制御、粉砕時間の調整、単位時間あたりの処理量の調整、湿式粉砕の場合はスラリ濃度の調整等を行なえばよい。
具体的には、ボールミルを用いて粉砕を行う場合には、メディア条件の制御(メディアの量を多くする等)、粉砕時間を長くすることが有効である。また粉砕時間は所定の比表面積が得られる程度に設定すればよい。
気流粉砕機を用いて粉砕を行う場合にも、粉砕時間を制御することにより、所定の比表面積を有する粉末を得ることができる。気流粉砕機としては、分級機付きのものが望ましく、分級機付きの粉砕機を用いることにより、粗粉を除去あるいは再粉砕し目的の比表面積を有する粉末を得ることができる。また、粉砕レートを変更することも有効である。
なお、比表面積が1.8〜11.0m/gという粒径が小さい粉末を得る工程は、粉砕工程に限定されない。例えば、粉砕工程後に、粉砕工程で得られた粉砕粉末に対し、粗大粉を除去又は再粉砕する等の操作を行うことによって、上記した比表面積を有する粉末を得るようにしてもよい。
次いで、得られたスラリを有機ビヒクル中に分散させる。有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものであり、有機ビヒクルに用いられるバインダは、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。また、このとき用いられる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート成形法など、利用する方法に応じてテルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン、MEK(メチルエチルケトン)、ターピネオール等の有機溶剤から適宜選択すればよい。
圧電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、仮焼成粉とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
また、内部電極層用ペーストを作製する(ステップS106)。
内部電極層用ペーストは、上述した各種導電材料あるいは焼成後に上述した導電材料となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上述した有機ビヒクルとを混練して調製される。
後述する焼成工程において、内部電極層用ペーストに含まれるCuが圧電体層用ペーストの焼成によって形成される圧電体層11中に拡散する。これにより、圧電体層11にCuOγ(γ≧0)が含まれた状態になり、本発明の積層型圧電素子1が作製される。
端子電極用ペーストも内部電極層用ペーストと同様にして作製する(ステップS107)。
以上では圧電体層用ペースト、内部電極層用ペースト及び端子電極用ペーストを順番に作製しているが、並行して作製してもよいし、逆の順番でもよいことは言うまでもない。
各ペーストの有機ビヒクルの含有量は、特に限定されず、通常の含有量、たとえば、バインダは5〜10質量%程度、溶剤は10〜50質量%程度とすればよい。また、各ペースト中には必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されてもよい。
次に、以上のペーストを用いて焼成の対象であるグリーンチップ(積層体)を作製する(ステップS108)。
印刷法を用いグリーンチップを作製する場合は、圧電体層用ペーストを、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の基板上に所定厚さで複数回印刷して、図1に示すように、グリーン状態の外側圧電体層11aを形成する。次に、このグリーン状態の外側圧電体層11aの上に、内部電極層用ペーストを所定パターンで印刷して、グリーン状態の内部電極層(内部電極層前駆体)12aを形成する。次に、このグリーン状態の内部電極層12aの上に、前記同様に圧電体層用ペーストを所定厚さで複数回印刷して、グリーン状態の圧電体層(圧電体層前駆体)11bを形成する。次に、このグリーン状態の圧電体層11bの上に、内部電極層用ペーストを所定パターンで印刷して、グリーン状態の内部電極層12bを形成する。グリーン状態の内部電極層12a、12b…は、対向して相異なる端部表面に露出するように形成する。以上の作業を所定回数繰り返し、最後に、グリーン状態の内部電極層12の上に、前記同様に圧電体層用ペーストを所定厚さで所定回数印刷して、グリーン状態の外側圧電体層11cを形成する。その後、加熱しながら加圧、圧着し、所定形状に切断してグリーンチップ(積層体)とする。
以上では、印刷法によりグリーンチップを作製する例を説明したが、シート成形法を用いてグリーンチップを作製することもできる。
次に、グリーンチップについて脱バインダ処理を行う(ステップS109)。
脱バインダ処理において、内部電極層前駆体中の導電材料によってその雰囲気を決定する必要がある。貴金属を導電材料として用いる場合には、大気中で行っても良く、また大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気又は純酸素雰囲気で行っても良い。Cuを導電材料として用いる場合には、酸化を考慮する必要があり、還元性雰囲気下での加熱を採用すべきである。一方で、脱バインダ処理において、圧電体層前駆体に含まれる酸化物、例えばPbOが還元されることを考慮する必要がある。例えば導電材料としてCuを用いた場合、CuとCuOの平衡酸素分圧(以下、単にCuの平衡酸素分圧)及びPbとPbOの平衡酸素分圧(以下、単にPbの平衡酸素分圧)に基づいて、いかなる還元性雰囲気を脱バインダ処理に適用するか設定することが好ましい。
脱バインダ処理の温度が300℃未満では脱バインダを円滑に行うことができず、650℃を超えても温度に見合う脱バインダの効果を得ることができずエネルギの浪費になる。また、脱バインダ処理の時間は、温度及び雰囲気によって定める必要があるが、0.5〜50時間の範囲で選定することができる。さらに、脱バインダ処理は、焼成と別個に独立して行うことができるし、焼成と連続的に行うことができる。焼成と連続的に行う場合には、焼成の昇温過程で脱バインダ処理を実行すればよい。
脱バインダ処理の後に、焼成(ステップS110)を行う。
焼成も脱バインダと同様に、内部電極層前駆体中の導電材料によってその雰囲気を決定する必要がある。貴金属を導電材料として用いる場合には、大気中で行っても良く、また大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気又は純酸素雰囲気で行っても良い。卑金属を導電材料として用いる場合には、酸化を考慮する必要があり、還元性雰囲気下での加熱を採用すべきである。
焼成の温度は、圧電体層11を構成する圧電磁器組成物に応じて適宜定める必要がある。低温焼成が可能な圧電磁器組成物を用いる場合には800〜1200℃の範囲で行うことができる。なお、焼成温度は、緻密な焼結体を得ることができること、内部電極層12を構成する導電材料を溶融させないことを前提に定められる。
以上の工程を経て作製された積層体10は、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、前述した端子電極用ペーストを印刷又は焼き付けることにより端子電極21、22を形成する(ステップS111)。なお、印刷又は焼き付けの他に、スパッタリングすることにより端子電極21、22を形成することもできる。
以上により、図1に示した積層型圧電素子1を得ることができる。
下記の主成分に対して、CuOγ(γ≧0)としてCuOを表1に示す量だけ添加した圧電磁器組成物を作製して、圧電特性及び剛性を評価した。
主成分:(Pb0.995−0.03Sr0.03)[(Zn1/3Nb2/30.1Ti0.43Zr0.47]O
圧電磁器組成物は、次のようにして作製した。先ず、主成分の原料として、PbO粉末、SrCO粉末、ZnO粉末、Nb粉末、TiO粉末、ZrO粉末、希土類酸化物粉末を用意し、前記主成分の組成となるように秤取した。次に、ボールミルを用いてこれら原料を16時間湿式混合し、大気中において700〜900℃で2時間仮焼した。
得られた仮焼物を微粉砕した後、CuOγ(γ≧0)の原料(添加種:CuO)及びTa粉末を主成分に対して0.2質量%を添加し、ボールミルを用いて16時間湿式粉砕した。このときの比表面積BETが4.0m/gとなるように調整した。湿式粉砕後に乾燥し、バインダとしてアクリル系樹脂を加えて造粒し、1軸プレス成形機を用いて約445MPaの圧力で直径17mm、厚さ1mmの円板状に成形した。成形した後、熱処理を行ってバインダを揮発させ、低酸素還元性雰囲気中(酸素分圧1×10−10〜1×10−6気圧)において950℃で2〜8時間焼成した。得られた焼結体をラップ加工により厚さ0.6mmの円板状とし、両面に銀電極を蒸着法にて形成し、120℃のシリコーンオイル中で3kVの電界を15分間印加し、分極処理を行った。
作製した圧電磁器組成物について、電気機械結合係数krを測定し圧電特性を評価した。電気機械結合係数krの測定は、インピーダンスアナライザー(ヒューレット・パッカード社製、HP4194A)を用いて行った。結果を表1及びに図3に示す。
また、作製した圧電磁器組成物についてJIS−R1602に準拠して3点曲げ弾性率を測定した。その結果を表1及び図3に示す。
Figure 2007238355
表1及び図3に示すように、微量のCuOを含むことにより圧電磁器組成物の弾性率、つまり剛性が顕著に向上することがわかる。ただし、3.0質量%を超えると電気機械結合係数krの低下を無視することができなくなる。そこで、本発明ではCuの量をCuO換算で3.0質量%以下とする。表1、図3より、好ましいCuO換算量は0.01〜3.0質量%より好ましいCuO換算量は0.01〜0.5質量%である。
下記の主成分に対して、CuOγ(γ≧0)としてCuOを0.05質量%とし、かつ仮焼後の湿式粉砕の時間を表2に示すように変動させることにより、この湿式粉砕後の粉末の比表面積(BET)を表2に示すように調整した。得られた圧電磁器組成物について、実施例1と同様にして電気機械結合係数kr及び3点曲げ弾性率を測定するとともに、抗折強度をJIS−R1601に準拠して測定した。
主成分:(Pb0.995−0.03Sr0.03)[(Zn1/3Nb2/30.1Ti0.43Zr0.47]O
Figure 2007238355
表2に示すように、湿式粉砕後の粉末の比表面積(BET)が小さいと抗折強度が小さい。そのため、本発明では焼成に供する粉末の比表面積(BET)を1.8m/g以上とすることにより120Mpaを超える抗折強度を得ることができる。また、表2から比表面積(BET)が大きすぎても圧電特性への悪影響はない。しかし、比表面積(BET)を大きくするために粉砕時間を不必要に長くしなければならなくなり、また、圧電体層用のペース粘度が高くなることなどの不具合がある。したがって、本発明では粉末組成物の比表面積(BET)の上限値を11.0m/gとしている。
この一方、比表面積(BET)が1.5m/gだと80Mpa程度の抗折強度しか得られない。これは、比表面積(BET)が1.5m/gの場合、粉砕時間が短いことに起因して粉砕粉末の粒度のばらつきが大きく、得られた焼結体内の結晶粒の粒度にもばらつきが存在することにより、局所的に脆弱部分が生じているためと解される。
主成分の組成を下記の通りとし、当該組成において組成aを変動させて圧電磁器組成物を作製した。圧電磁器組成物の作製方法は実施例1と同様であり、仮焼物を微粉砕した後、CuOγ(γ≧0)の原料(添加種:CuO)を0.05質量%添加した。得られた圧電磁器組成物について実施例1と同様に電気機械結合係数kr及び3点曲げ弾性率を測定した。その結果を表3に示す。
主成分:(Pba−0.03Sr0.03)[(Zn1/3Nb2/30.1Ti0.43Zr0.47]O
Figure 2007238355
表3に示すように、組成aが0.96〜1.03の範囲にある場合に、圧電特性及び剛性に優れた圧電磁器組成物が得られることが確認された。
主成分の組成を下記の通りとし、当該組成において組成bを変動させて圧電磁器組成物を作製した。圧電磁器組成物の作製方法は実施例1と同様であり、仮焼物を微粉砕した後、CuOγ(γ≧0)の原料(添加種:CuO)を0.05質量%添加した。得られた圧電磁器組成物について実施例1と同様に電気機械結合係数kr及び3点曲げ弾性率を測定した。その結果を表4に示す。
主成分:(Pb0.995−bSr)[(Zn1/3Nb2/30.1Ti0.43Zr0.47]O
Figure 2007238355
表4に示すように、Pbの一部をSrで置換することにより電気機械結合係数krが向上するが、その置換量bが0.1を超えると置換をしない場合よりも電気機械結合係数krが劣るおそれがある。したがって、bは0.1以下とする。0〜0.1の範囲内において、圧電特性を確保できる。
下記の主成分に対して、Miを表5に示す元素となるように原料を調整した以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。得られた圧電磁器組成物について実施例1と同様に電気機械結合係数kr及び3点曲げ弾性率を測定した。その結果を表5に示す。
主成分:(Pb0.995−0.03Mi0.03)[(Zn1/3Nb2/30.1Ti0.43Zr0.47]O
Figure 2007238355
表5に示すように、Pbの置換元素としてCa又はBaを用いた場合にも、Srと同様に圧電特性向上の効果を享受することができる。
下記の主成分に対して、x、y及びzを表6に示す値となるように原料を調整した以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。得られた圧電磁器組成物について実施例1と同様に電気機械結合係数kr及び3点曲げ弾性率を測定した。その結果を表6に示す。
主成分:(Pb0.995−0.03Sr0.03)[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O
Figure 2007238355
表6から明らかなように、Bサイト元素のx、y、zが各々0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6の範囲において、圧電特性及び剛性に優れた圧電磁器組成物が得られることが確認された。
下記の主成分に対して、CuOγ(γ≧0)の原料(添加種:CuO)を0.05質量%、及び表7に示す副成分の原料を仮焼後に添加以外は、実施例1と同様にして試料を作製した。得られた圧電磁器組成物について実施例1と同様に電気機械結合係数kr及び3点曲げ弾性率を測定した。その結果を表7に示す。
主成分:(Pb0.995−0.03Sr0.03)[(Zn1/3Nb2/30.1Ti0.43Zr0.47]O
Figure 2007238355
副成分として添加されるTa、Sb、Nb及びWOは粒成長を適度に抑制する作用を発揮し、表7に示すように強度を向上することがわかる。これら副成分の量を増やしていくことにより3点曲げ弾性率を向上できるものの、電気機械結合係数krが0.6質量%を超えると、添加しないよりも相当低くなるおそれがある。したがって、これら副成分の量は0.6質量%以下にすることが好ましい。
成形体を得た後に、粒径1.0μmのCu粉末を含むCuペーストを成形体の表裏両面に印刷した以外は実施例1と同様に試料を作製した。得られた圧電磁器組成物について、実施例1と同様に電気機械結合係数kr及び3点曲げ弾性率を測定した。その結果を表8に示す。なお、Cuペーストを印刷して作製された試料について、ICP分析を行った。ICP用サンプル作製方法としては、先ず、分析を行う試料0.1gにLiを1g加え、1050℃で15分間溶融させた。得られた融解物に(COOH)を0.2g、HClを10ml加え、加熱溶解させ、100mlに定容した。測定は、ICP−AES(島津社製、商品名ICPS−8000)を用いて行った。その結果が、表8のCuOに換算した含有量の欄に記載されている。このCuは、圧電磁器組成物の原料にCuが含まれていないことから、Cuペーストから焼成過程で拡散したものと認められる。また、Cuペーストの塗布を行わない実施例1の試料の測定結果を併せて表8に示している。
Figure 2007238355
本実施の形態における積層型圧電素子の一構成例を示す図である。 本実施の形態における積層型圧電素子の製造手順を示すフローチャートである。 Cu量と電気機械結合係数kr、3点曲げ弾性率の関係を示すグラフである。
符号の説明
1…積層型圧電素子、10…積層体、11…圧電体層、12…内部電極層、21、22…端子電極

Claims (8)

  1. (Pba−bMi)[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O (ただし、0.96≦a≦1.03、0≦b≦0.1、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。また、式中のMiはSr、Ca、Baから選ばれる少なくとも1種を表す。)で表される複合化合物を主成分とし、
    前記主成分に対して、CuOγ(γ≧0)で表される成分の少なくとも1種を3.0質量%以下(ただし、0を含まず)含有する圧電磁器組成物の製造方法であって、
    比表面積が1.8〜11.0m/gである粉末組成物からなる成形体を得る工程と、
    得られた前記成形体を焼成して焼結体を得る工程と、
    を備えたことを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法。
  2. (Pba−bMi)[(Zn1/3Nb2/3TiZr]O (ただし、0.96≦a≦1.03、0≦b≦0.1、0.05≦x≦0.15、0.25≦y≦0.5、0.35≦z≦0.6、x+y+z=1である。また、式中のMiはSr、Ca、Baから選ばれる少なくとも1種を表す。)で表される複合化合物を主成分とし、
    前記主成分に対して、CuOγ(γ≧0)で表される成分の少なくとも1種を3.0質量%以下(ただし、0を含まず)含有する圧電体層と、Cuを含む内部電極層と、が積層された積層型圧電素子の製造方法であって、
    比表面積が1.8〜11.0m/gである粉末組成物を含む圧電体層前駆体と、内部電極層前駆体を交互に積層して積層体を得る工程と、
    前記積層体を焼成する工程と、
    を備えることを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  3. 前記CuOγ(γ≧0)が、前記内部電極層前駆体に含まれるCuが焼成の過程で拡散したものであることを特徴とする請求項2に記載の積層型圧電素子の製造方法。
  4. 前記CuOγ(γ≧0)が、前記圧電体層前駆体に添加された添加物に基づくものであることを特徴とする請求項2又は3に記載の積層型圧電素子の製造方法。
  5. 前記圧電体層前駆体に含まれる前記粉末組成物の比表面積が2.5〜8.0m/gであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の積層型圧電素子の製造方法。
  6. 前記焼成が、還元性雰囲気で行われることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の積層型圧電素子の製造方法。
  7. 前記焼成が、焼成温度:800〜1200℃、酸素分圧:1×10−10〜1×10−6気圧の条件で行われることを特徴とする請求項6に記載の積層型圧電素子の製造方法。
  8. 前記圧電体層は、副成分として、Ta、Sb、Nb及びWから選ばれる少なくとも1種を酸化物換算で1.0質量%以下(ただし、0は含まず)含有することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の積層型圧電素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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