JP5196091B2 - 圧電磁器組成物及び圧電素子 - Google Patents

圧電磁器組成物及び圧電素子 Download PDF

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Description

本発明は、圧電トランス、圧電発音体、圧電センサ、圧電アクチュエータ、圧電超音波モータなどに好適な圧電磁器組成物および圧電素子に関するものである。
Pb、Zr、Tiを主成分とする複合酸化物圧電磁器組成物としては、圧電歪特性等の圧電特性に優れる等の理由から、例えば
Pb(Ni1/3Nb2/3)ZrO3系、Pb(Mg1/3Nb2/3)(Ni1/3Nb2/3)TiZrO3系などが知られている(特許文献1、2参照)。
近年、圧電素子を応用した装置として、積層型の圧電アクチュエータなど、圧電磁器層と内部電極層を交互に積み重ねた積層型の素子を用いるものが盛んに開発されている。このような積層型アクチュエータは小型で小さな電界で大きな変位が得られるという利点があるが、内部電極を形成したのち焼成するので、従来より知られている1200℃以上で焼成する圧電磁器では、このような高温に耐え得る白金(Pt)あるいはパラジウム(Pd)などの高価な貴金属を内部電極として用いなければならず、製造コストの面で問題があった。
より安価な内部電極の材料としては銀・パラジウム合金(Ag-Pd合金)が知られている。しかし、パラジウムの含有量が30質量%を超えると、焼成中にパラジウムが還元反応を起こし、積層体素子中にクラックの発生あるいは電極の剥離などの欠陥が生じてしまうので、パラジウムの含有量は30質量%以下とすることが望ましい。パラジウムの含有量を30質量%以下とするには、銀−パラジウムの系状態図より、焼成温度は1150℃以下、好ましくは1120℃以下とする必要がある。
更に、製造コストを低減するにはパラジウムの含有量を低くする必要があり、それにはできるだけ焼成温度を低くする必要がある。例えば、パラジウムの含有量を20質量%以下とするには、焼成温度を1100℃以下、望ましくは1050℃以下とする必要がある。
ところが、従来より知られているこの種の圧電磁器では本焼成温度が1200℃前後と高いので、積層用に用いる場合には、本焼成温度を下げるために、仮焼成後に比表面積の大きな粉体にしたり、本焼成時に加圧したりしなければならないといった煩雑な操作を必要とした。
また、本焼成温度を低くするために、二酸化ケイ素(SiO2)などのガラス成分を添加したり、あるいは過剰な酸化鉛(PbO)を添加したりする方法も提案されているが、このような方法では圧電磁器の特性が劣化してしまうので好ましくない。
特開平5−24917号公報 特開平10−7461号公報
本発明の課題は、圧電特性をほとんど劣化させることなく低温で焼成することが可能であり、従って、内部電極に安価な金属を用いることができる圧電磁器組成物及びそれを用いた圧電素子を提供することである。
1.圧電磁器組成物
上述した課題を解決するため、本発明に係る圧電磁器組成物は、少なくともPb、Zr、Tiで構成されるペロブスカイト型構造を有する圧電磁器組成物であって、Znを含有する。
上述したように、PZTを主成分とし、Znを含む圧電磁器組成物とすることにより、従来よりも低温での焼結が可能となる。
Znの含有量は、酸化物換算で、圧電磁器組成物中に、0.2〜2.0質量%含まれていることが望ましい。この範囲のZnを含有していることにより、低温での焼結が可能となる。0.2質量%未満では効果が得られず、また、2.0質量%を越えると、圧電磁器特性を劣化させるため、本範囲が好ましい。
さらに、PZT中には、Znの他に、Sr、Ba、Mg、Nb、W、Ni、Cu、Co、Fe、Mn群から選ばれた元素が少なくとも1種含有されていることが好ましい。
PZTにおいて、Pbの一部をSrまたは、Baで置換することにより、Pbの蒸発による基板のばらつきを抑え、さらに圧電特性を改善することが可能となる。置換量は0.12モル以下が好ましい。0.12モル以上になると圧電磁器のキュリー温度が200℃以下となり、耐熱性が劣るようになるためである。
Mg、Nbが含まれているのが好ましいのは、圧電磁器の焼結性をさらに良好にするからである。圧電磁器は、焼結密度が高いほど(理論密度に近づくほど)良好な圧電特性を発現する。
W、Ni、Cu、Co、Fe、Mnの少なくとも一種を含有する趣旨も、上述した2つの特性改善の少なくとも一方を満たすことにある。
本発明に係る圧電磁器組成物は、具体的には、下記基本組成式、
(Pb A-B Me B)[(Zn1/3 Nb2/3)a Ti b Zr c] O3・・・・・(1)
で表わされる酸化物を主成分とすることが好ましい。
上記組成式(1)において、A、B、a、b、cは
a+b+c=1、
0.98≦A≦1.02、
B≦0.12、
0.05≦a≦0.25、
0.35≦b≦0.5、及び、
0.38≦c≦0.48
を満たす範囲内の値である。MeはSr、Baから選ばれた少なくとも1種を表す。
本発明に係る圧電磁器組成物のもう1つの具体的な例は、下記基本組成式、
(Pb A-B Me B)[(Mg1/3 Nb2/3)d (Zn1/3 Nb2/3)e Ti f Zr g] O3
・・・・・(2)
で表わされる酸化物を主成分とするものである。
上記組成式(2)において、A、B、d、e、f、gは
d+e+f+g=1、
0.98≦A≦1.02、
B≦0.12、
0.1≦d≦0.25、
0.05≦e≦0.25、及び、
0.2≦f≦0.5、及び、
0.15≦g≦0.6
を満たす範囲内の値である。MeはSr、Baの群から選ばれた少なくとも1種を表す。
上述した2つの基本組成式(1)、(2)の表わす技術的意義は、次のとおりである。
まず、組成式(1)、(2)において、a及びeが、0.05≦a≦0.25、0.05≦e≦0.25を満たすことにより、低温での焼結性が良好になる。この範囲外では、焼結性が良好にならない。
次に、組成式(2)において、dが、0.1≦d≦0.25を満たすことにより、良好な磁器特性が得られる。
組成式(1)において、b及びcが、0.35≦b≦0.5、及び、0.38≦c≦0.48を満たすことにより、圧電特性が最も高くなるモルフォトロピック相境界付近を実現することができる。
組成式(2)において、f及びgが、0.2≦f≦0.5、及び、0.15≦g≦0.6となる範囲も、モルフォトロピック相境界付近を実現する範囲である。
上述した組成式(1)及び(2)によって表わされる2種の圧電磁器組成物において、主成分1モルの質量に対し、副成分として、WをWO3に換算して0.1〜1.0質量%含有し、さらに主成分1モルの質量に対し、副成分としてFe、Co、Ni、Cu、Mnうちから選ばれた少なくとも1種を、NiO、CoO、Fe3O3、CuO、MnOに換算して、0.8質量%以下の範囲で含有する。この技術的意義は、次のとおりである。
まず、Wを含むことにより、内部電極にAgもしくはCuを含む金属を用いた積層型圧電素子を構成する場合、焼成時に圧電磁器中に拡散する電極中のAgもしくは、Cuを素子の粒界付近でWと結合するため、拡散したAgもしくは、Cuが素子駆動中にマイグレーションを起こし、素子の絶縁破壊を引き起こすことを防止できることになる。
添加量は主成分1モルの質量に対し、WO3に換算して0.1〜1.0質量%含有することが好ましい。この範囲であれば良好な効果が得られるが、0.1質量%未満では効果がなく、1.0質量%を越えると、圧電磁器の特性が劣化するからである。
次に、Ni、Cu、Co、Fe、Mnを含むのは素子の抗電界の温度特性を改善するためである。このことは、素子の抗電界を改善することにより、分極とは逆方向の電界を駆動電界として印加するタイプのアクチュエータ(例えば、バイモルフ型圧電アクチュエータ)において、駆動により素子変位の劣化を防ぐことが可能となることを意味する。
添加量は主成分1モルの質量に対し、酸化物に換算して、0.8質量%以下含有することが好ましい。この範囲であれば良好な効果が得られるが、0.8質量%を越えると、圧電磁器の特性が劣化するからである。
以上述べたように、本発明によれば、従来よりもPZT系圧電磁器の焼成温度を低減させることが可能になるので、積層型アクチュエータ素子などの積層型圧電素子に好適な圧電磁器として、圧電特性をほとんど劣化させることなく、内部電極に安価な金属を用いることができる圧電素子を提供できる。次に、本発明の内容につき、実施例及び比較例を挙げて更に具体的に説明する。
(1)試料の製造
図1は、試料の製造工程を示すフローチャートである。図1は単版圧電素子を製造する工程(図1の左分岐工程)と、積層型圧電素子を製造する工程(図1の右分岐工程)の2つの工程を含んでいる。積層型圧電素子の製造工程については、後述することとし、ここでは、単板圧電素子に相当する試料の製造工程(図1の左分岐工程)を説明する。
まず、出発原料として化学的に純粋なPbO,TiO2,ZrO2,ZnO,MgCO3,Nb2O5,WO3,Fe2O3,CoO,NiO,CuOを用い、所定の組成になるように秤量し、ボールミルにて湿式混合を行なった。
上記のプロセスにおいて、組成式(1)を前提として、(A、B、a、b、c、Me)を変えた圧電磁器組成物とを準備した。また、組成式(2)を前提として(A、B、d、e、f、g、Me)を変えた圧電磁器組成物を準備した。
次に、上述のようにして得られた圧電磁器組成物を乾燥させた後、混合粉を空気中800℃〜900℃で仮焼成し、仮焼成されたものをボールミルにて湿式粉砕した。
次に、湿式粉砕されたものを乾燥させ、粉体の圧電磁器組成物を得た。この後、乾燥して得られた粉体の圧電磁器組成物にポリビニールアルコール系のバインダーを加え造粒(図1の左分岐工程に移る)を行ない、約196MPaの圧力にて一辺が約20mmで厚さ約1.5mmの角板状に成形した。この成形体を大気の雰囲気中で1000℃〜1050℃の温度で焼成した。なお、焼成は大気中より酸素分圧の高い雰囲気中および純酸素中でも可能である。
このようにして得られた焼結体を厚さ(高さ)1mmに加工し、さらに銀焼付電極を形成した後、12mm×3mmに加工し、120℃の絶縁油中で、電圧2〜3kV/mm、30分の条件で分極処理を行ない、単板圧電素子の形態を有する評価用素子を得た。
評価用素子としては、組成式(1)を前提として(A、B、a、b、c、Me)を変えた圧電磁器組成物を用いた試料No.1〜18、及び、組成式(2)を前提として、(A、B、d、e、f、g、Me)を変えた圧電磁器組成物を用いた試料No.19〜36を準備した。
(2)評価方法
得られた評価用素子について、インピーダンスアナライザーにより、静電容量(c)、共振周波数(fr)、反共振周波数(fa)を測定した。測定結果をもとに圧電歪定数(d31)を計算により求めた。磁器密度はアルキメデス法にて測定した。また、圧電磁器の20℃での抗電界は、強誘電体テストシステムを用いて測定し、試料の厚みあたりの抗電界として計算した。
(3)評価結果
図2は、Pb0.98(Ti0.475 Zr0.525)O3を主成分として、WO3を0.5質量%添加した組成に対し、ZnOの含有量を変化させたときの圧電磁器密度の変化を示す図である。横軸はZnOの含有量を示しており、縦軸は1050℃で焼成した圧電磁器の密度を示している。
図2を参照すると、ZnOの含有量が0.2〜2.0質量%の範囲において、高い磁器密度が得られている。ZnOの含有量がゼロの場合は、この温度では十分に焼結しないことを意味しており、ZnOの添加により焼成温度低減の効果が得られたことを示している。
図3として示す表1は、組成式(1)に従った圧電磁器組成物を用いた試料No.1〜18のデータであり、図4として示す表2は組成式(2)に従った圧電磁器組成物を用いた試料No.19〜36のデータである。表中には、検討した組成及び焼成温度、磁器密度、圧電歪定数d31と抗電界評価の結果を示してある。抗電界の評価は、20℃での評価で、1.2kV/mm以上の場合を良○(OK)とし、それ未満では不可×(NG)として示してある。
表1、2のデータを参照して、ベストモードを検討する。組成式(1)、(2)における条件0.98≦A≦1.02を満たさない試料No.3、4、21、22のうち、試料No.3、21には焼結不良を発生し、試料No.4、22には抗電界不良が発生している。
また、副成分を含まない試料No.9、及び、試料No.27にも、抗電界不良が発生している。もっとも、試料No.9、及び、試料No.27は、燃料噴射用アクチュエータなどのように、一方向変位を利用するタイプのものには使用が可能であるので、そのような用途範囲では良品と評価できる。
副成分として、Niを、NiOに換算して、1.2質量%含有し、0.8質量%以下という条件を満たしていない試料No.12及び試料No.30では、抗電界不良が発生している。更に、副成分としてWを、WO3に換算して、1.3質量%含有し、0.1〜1.0質量%の範囲という条件を満たしていない試料No.18及び試料No.36では、焼結不良を生じている。
上述した試料以外の試料、即ち、試料No.1、2、5〜8、10、11、13〜17、19、21、23〜26、28、29、31〜35は、組成式(1)において限定された(A、B、a、b、c)の範囲を満たし、又は、組成式(2)において限定された(A、B、d、e、f、g)の範囲を満たしており、1050℃以下の従来よりも低い焼成温度でも、圧電歪定数d31及び抗電界の評価の点で,満足いく結果を示している。
更に詳しく検討すると、試料No.1〜4、19〜22は、Pbの量による特性の変化であり、本発明の範囲にないと、焼結不良(試料No.3、試料No.21)が生じたり、抗電界の評価が悪くなる(試料No.4、22)など、良好な特性が得られないことが分かる。
試料No.13と試料No.16との比較、及び、試料No.31と試料No.34との比較は、MeによるPbの置換効果を示しており、Meにより、圧電歪定数d31の値がさらに大きくできることを意味している。
試料No.9と試料No.10との比較、及び、試料No.27と試料No.28との比較は、副成分の置換量による抗電界の改善効果を示している。
試料No.12及び18、試料No.30及び36は、副成分の過剰の添加による圧電特性の劣化を示している。
2.圧電素子
(1)圧電素子の構造
本発明に係る圧電磁器組成物は、圧電トランス、圧電発音体、圧電センサ、圧電アクチュエータ、圧電超音波モータなどに好適なものである。図5は本発明に係る圧電磁器組成物を用いた積層型圧電素子の概念的一例を示す断面図、図6は図5に示した積層型圧電素子の内部電極配置を示す図、図7は図6に示した内部電極と対となる他の内部電極の配置を示す図である。図5〜図7を参照すると、本発明に係る圧電磁器組成物を用いて形成された圧電磁器素体1の内部に、多数の内部電極21、22が埋設されている。
内部電極21、22のうち、内部電極21は、一端が圧電磁器素体1の相対向する両側面の一側面に導出され、側面に付与された端子電極31と電気的に接続されている。内部電極21の他端側は、圧電磁器素体1の他側面から間隔を隔てて配置されている。
内部電極22は、一端が圧電磁器素体1の他側面に導出され、側面に付与された端子電極32と電気的に接続されている。内部電極22の他端側は、端子電極31の付与された圧電磁器素体1の1側面から間隔を隔てている。
本発明によれば、上述した圧電素子を製造するにあたり、たとえば、1050℃前後の低温で焼成でき、このような低温焼成によっても、圧電特性をほとんど劣化させることがなく、従って、内部電極21、22に安価な金属を用いることができる。例えば、内部電極21、22にAgもしくはCuを含む金属を用いることができるようになる。
ところで、内部電極21、22にAgもしくはCuを含む金属を用いて積層型圧電素子を構成する場合、素子駆動中にAgもしくはCuの移動に起因するマイグレーションが発生し、素子の絶縁破壊を引き起こすことがあり、その防止手段として、所定量のWを添加することが有効であることは既に述べたとおりである。この場合のWの好ましい添加量は、主成分1モルの質量に対しWO3に換算して0.1〜1.0質量%の範囲であった。次に、積層型圧電素子におけるW添加による上記効果について、実験データをあげて説明する。
(2)圧電素子の製造
上述した積層型圧電素子は、図1の右分岐工程によって製造される。分岐工程に入る前の工程、つまり、原料の準備から圧電磁器組成物を得るまでの工程は、先に述べた単板圧電素子の試料を製造する場合と同じである。この工程において、実施例の組成として、試料No.7及び試料No.25の組成を選択し、比較例の組成として、試料No.7及び試料No.25において、WO3のみ無添加(表1、2においてWO3=0)の組成とした。
上記工程を経て得られた圧電磁器組成物の粉体に、アクリル樹脂系の有機バインダ、有機溶剤、有機可塑剤等を加え、ボールミルで混合して圧電磁器ペーストを調製した。
次に、この圧電磁器ペーストを、ドクターブレード法によりPET(ポリエチレンテフタレート)製のベースフィルム上に塗布し、所定厚みのグリーンシートを成形した。
次に、作製したグリーンシート上に、Ag:Pd比が8:2で構成される導電ペーストを用い、内部電極21又は内部電極22(図5〜図7参照)をスクリーン印刷した。
次に、内部電極21を印刷したシートと、内部電極22を印刷したシートとを、交互に繰り返し積層し、積層体を得た。積層枚数は、内部電極21と、内部電極22とによって挟まれる圧電層が10層になるようにした。
このようにして得られた積層体を、加熱しながらプレスし、積層体グリーンチップとし、積層体グリーンチップを大気雰囲気中で脱脂(脱バインダ)した後、密閉容器に詰め、1050℃で2時間焼成した。
焼成後、素子端部にAuのスパッタリングによる外部電極31、32(図5〜図7参照)を施し、各層の内部電極21、22を一層おきに接続し、積層型圧電素子を完成させた。素子の外形は縦10mm×横30mmとし、圧電層1層あたりの厚みは、35μmとした。
上述の工程により、試料No.7および試料No.25の圧電磁器組成物を用いた実施例の試験片を20個、試料No.7及び試料No.25においてWO3のみ無添加とした圧電磁器組成物を用いた比較例の試験片を20個製造した。
(3)評価試験
上述した積層型圧電素子について、素子反りの評価と、耐湿負荷試験による評価を行なった。
反りの評価はレーザ式の3次元形状測定装置を用いて行った。焼成後素子をそのまま測定に供した。素子の面内を測定し、素子の凹凸を調べ、面内の最大の高低差を算出し、最大高さと最小高さを求め、その差を反りとした。この値が小さいほど素子の反り(変形)が小さいと言える。
また、端子電極形成後の素子を用いて、耐湿負荷試験を実施した。温度60℃、湿度90%RHの環境下に素子を置き、電圧を圧電層1層厚みあたりの電界が、1kV/mmになるようにDC電界を印加した。印加後、100hr経過後の素子の絶縁抵抗値を、試験前と比較した。絶縁抵抗値が、2桁以上低下した素子を不良として不良素子の発生数を調べた。
結果を、表3に示す。表3において、反りは、評価サンプル数20個の平均値である。耐湿負荷試験は、素子の絶縁抵抗値が試験前に比べ試験後に2桁以上低下しているものを不合格品として、その数を記載してある。
まず、反りについては、比較例では、187μm、201μmの非常に高い値を示している。これは、比較例ではWO3が存在しないため、素子焼成時に内部電極を構成するAgが圧電磁器中に拡散する部分と、拡散しない部分ができ、Agの拡散状態がまばらになるため、素子の焼結状態も不均一になり、その結果、素子が変形したものと考えられる。
これに対して、実施例のWO3添加素子は、反りが38μm、33μmと、比較例よりも著しく小さくなっている。これは、内部電極を構成するAgが圧電磁器中に拡散しているため、焼結状態が均一になり焼成後の素子の変形が少ないものと考えられる。
次に、耐湿負荷試験の結果を検討するに、比較例では、20個中15個、20個中16個という極めて高い確率で、不合格品を生じている。これに対して、実施例では、不合格品が零であり、著しい改善効果が得られている。
よって、本発明の圧電磁器組成物中にWO3の添加効果が確認できたものと判断する。
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
圧電素子試料の製造工程を示すフローチャートである。 Pb0.98(Ti0.475 Zr0.525)O3を主成分として、WO3を0.5質量%添加した組成に対し、ZnOの含有量を変化させたときの圧電磁器密度の変化を示す図である。 組成式(1)に従った圧電磁器組成物を用いた試料のデータを、表1として示す図である。 組成式(2)に従った圧電磁器組成物を用いた試料のデータを、表2として示す図である。 本発明に係る圧電磁器組成物を用いた圧電アクチュエータの概念的一例を示す断面図である。 図5に示した積層型圧電素子の内部電極配置を示す平面図である。 図6に示した内部電極と対となる他の内部電極の配置を示す平面図である。
符号の説明
1 圧電磁器素体
21 内部電極
22 内部電極
31 端子電極
32 端子電極


Claims (3)

  1. 積層型圧電素子用圧電磁器組成物であって、
    前記積層型圧電素子は、圧電磁器の内部に内部電極を有し、
    前記内部電極は、Ag又はCuを含む金属でなり、前記圧電磁器と同時に焼成されるものであり、
    前記圧電磁器組成物は、前記圧電磁器を構成するものであって、
    下記基本組成式、
    (Pb A−B Me B)[(Zn1/3Nb2/3)a Ti b Zr c] O3
    (但し、A、B、a、b、cは
    a+b+c=1、
    0.98≦A≦1.02、
    0≦B≦0.12、
    0.05≦a≦0.25、
    0.35≦b≦0.5、及び、
    0.38≦c≦0.48
    を満たす範囲内の値であり、MeはSr、Baから選ばれた少なくとも1種を表す。)
    を主成分とし、この主成分1モルの質量に対し、副成分としてWを、WO3に換算して0.1〜1.0質量%含有し、さらに主成分1モルの質量に対し、副成分としてFe、Co、Ni、Cu、Mnのうちから選ばれた少なくとも1種のみを、NiO、CoO、Fe2O3、CuO、MnOに換算して0.8質量%以下の範囲で含有しており、
    前記圧電磁器は、前記圧電磁器組成物を焼成したものである、
    圧電磁器組成物。
  2. 積層型圧電素子用圧電磁器組成物であって、
    前記積層型圧電素子は、圧電磁器の内部に内部電極を有し、
    前記内部電極は、Ag又はCuを含む金属でなり、前記圧電磁器と同時に焼成されるものであり、
    前記圧電磁器組成物は、前記圧電磁器を構成するものであって、
    下記基本組成式、
    (Pb A−B Me B)[(Mg1/3Nb2/3)d (Zn1/3 Nb2/3)e Ti f Zr g] O3
    (但し、A、B、d、e、f、gは
    d+e+f+g=1、
    0.98≦A≦1.02、
    0≦B≦0.12、
    0.1≦d≦0.25、
    0.05≦e≦0.25、
    0.2≦f≦0.5、及び、
    0.15≦g≦0.6
    を満たす範囲内の値であり、MeはSr、Baの群から選ばれた少なくとも1種を表す。)
    を主成分とし、この主成分1モルの質量に対し、副成分としてWをWO3に換算して0.1〜1.0質量%含有し、さらに主成分1モルの質量に対し、副成分としてFe、Co、Ni、Cu、Mnのうちから選ばれた少なくとも1種のみを、NiO、CoO、Fe2O3、CuO、MnOに換算して、0.8質量%以下の範囲で含有しており、
    前記圧電磁器は、前記圧電磁器組成物を焼成したものである、
    圧電磁器組成物。
  3. 圧電磁器と、内部電極とを有する圧電素子であって、
    前記圧電磁器は、請求項1又は2に記載された圧電磁器組成物で構成され、
    前記内部電極は、Ag又はCuを含み、前記圧電磁器の内部に備えられている、
    圧電素子。
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