JP2017204562A - 積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】内部電極で挟まれた領域と、それ以外の領域で発生する熱収縮量のバランスを取って、応力による構造欠陥が発生し難い、積層セラミックコンデンサの製造方法を提供する。【解決手段】内部電極が配置された内層用誘電体シートを準備する工程と、内部電極が配置されていない外層用誘電体シートを準備する工程と、内層用誘電体シートと外層用誘電体シートを積層して積層体を形成する工程と、積層体を焼成する工程とを含む、積層セラミックコンデンサの製造方法であって、内部電極の線膨張係数をαNi[ppm/K]とし、誘電体シートの線膨張係数をαC[ppm/K]とし、内部電極の線膨張係数と誘電体シートの線膨張係数との差をαd[ppm/K]とし、外層用誘電体シートの中のセラミックス成分の体積分率をPVCgとし、内層用誘電体シートの中のセラミックス成分の体積分率をPVCeとしたとき、外層用誘電体シートのPVCgと、内層用誘電体シートのPVCeとの関係は、以下のいずれの式も満足することを特徴とする、積層セラミックコンデンサの製造方法である。(1)0.9833−0.0333×αd≦PVCg/PVCe≦1.0063−0.0023×αd(2)0.50 ≦ PVCg ≦ 0.70(3)0.50 ≦ PVCe ≦ 0.70【選択図】なし

Description

この発明は、積層セラミックコンデンサの製造方法に関し、特にたとえば、積層された複数の誘電体層および複数の内部電極層を有する積層体と、内部電極層に電気的に接続されるように積層体の端面に形成された外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサの製造方法に関する。
従来の積層セラミックコンデンサは、誘電体セラミックから構成されており、積層体にクラックが入ると、そこから侵入する水分により絶縁抵抗が劣化する。そこで、そのような問題点の対策として、たとえば特開2012−248581号公報に係る積層コンデンサ及び積層コンデンサの製造方法には、基板実装側の内部電極が形成されていない誘電体層の厚みを厚くし、クラックが入ったとしても内部電極に達しない積層セラミックコンデンサが提案されている(特許文献1参照)。
特開2012−248581号公報
しかしながら、このような積層セラミックコンデンサの構造では、内部電極で挟まれた領域と、それ以外の領域で発生する熱収縮が大きくなり、焼成時に内部電極で挟まれた領域とそれ以外の領域の間において、剥がれが生じてしまうという問題があった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、内部電極で挟まれた領域と、それ以外の領域で発生する熱収縮量のバランスを取って、応力による構造欠陥が発生し難い、積層セラミックコンデンサの製造方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、内部電極が配置された内層用の誘電体シートを準備する工程と、内部電極が配置されていない外層用の誘電体シートを準備する工程と、内層用の誘電体シートと外層用の誘電体シートを積層して積層体を形成する工程と、積層体を焼成する工程とを含む、積層セラミックコンデンサの製造方法であって、内部電極の線膨張係数をαNi[ppm/K]とし、誘電体シートの線膨張係数をαC[ppm/K]とし、内部電極の線膨張係数と誘電体シートの線膨張係数との差をαd[ppm/K]とし、外層用の誘電体シートの中のセラミックス成分の体積分率をPVCgとし、内層用の誘電体シートの中のセラミックス成分の体積分率をPVCeとしたとき、外層用の誘電体シートのPVCgと、内層用の誘電体シートのPVCeとの関係は、
(1)0.9833−0.0333×αd≦PVCg/PVCe≦1.0063−0.0023×αd
(2)0.50 ≦ PVCg ≦ 0.70
(3)0.50 ≦ PVCe ≦ 0.70
上記(1)〜(3)のいずれもの式を満足することを特徴とする、積層セラミックコンデンサの製造方法である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、内部電極は、Niであることを特徴とする、積層セラミックコンデンサの製造方法である。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明に従属する発明であって、積層体の積層された外層用の誘電体シートの積層方向の寸法は、積層体の厚み方向の寸法の5%以上45%以下であることを特徴とする、積層セラミックコンデンサの製造方法である。
請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に係る発明に従属する発明であって、積層体は、その長さ方向Lの寸法が0.2mm以上1.6mm以下であり、その幅方向Wの寸法が0.2mm以上1.6mm以下であり、その厚み方向Tの寸法が0.2mm以上1.6mm以下であることを特徴とする、積層セラミックコンデンサの製造方法である。
この発明によれば、内部電極で挟まれた領域と、それ以外の領域で発生する熱収縮量のバランスを取って、応力による構造欠陥が発生し難い、積層セラミックコンデンサの製造方法が得られる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
この発明にかかる積層セラミックコンデンサの一例を示す斜視図である。 図1に示す積層セラミックコンデンサの線II−IIにおける断面図である。 図1に示す積層セラミックコンデンサの線III−IIIにおける断面図で ある。
この積層セラミックコンデンサ10は、たとえば図2および図3に示すように、たとえば直方体状の積層体12を備える。積層体12は、積層された複数の誘電体層14と複数の内部電極層16とを有する。さらに、積層体12は、積層方向xに相対する第1の主面12aおよび第2の主面12bと、積層方向xに直交する幅方向yに相対する第1の側面12cおよび第2の側面12dと、積層方向xおよび幅方向yに直交する長さ方向zに相対する第1の端面12eおよび第2の端面12fとを有する。この積層体12には、角部および稜線部に丸みがつけられていることが好ましい。なお、角部とは、積層体の隣接する3面が交わる部分のことであり、稜線部とは、積層体の隣接する2面が交わる部分のことである。
誘電体層14の枚数は、15枚以上950枚以下であることが好ましい。また、誘電体層14の積層方向xの寸法は、0.8μm以上4.0μm以下であることが好ましい。
誘電体層14は、外層部14aと内層部14bとを含む。外層部14aは、積層体12の第1の主面12a側および第2の主面12b側に位置し、第1の主面12aと最も第1の主面12aに近い内部電極層16との間に位置する誘電体層14、および第2の主面12bと最も第2の主面12bに近い内部電極層16との間に位置する誘電体層14である。そして、両外層部14aに挟まれた領域が内層部14bである。
外層部14aの積層方向の寸法は、積層体12の厚み方向Tの寸法の5%以上45%以下であることが好ましい。例えば、積層体12の長さ方向Lの寸法が3.2mmで、積層体12の幅方向Wの寸法が1.6mmで、積層体12の厚み方向Tの寸法が0.2mmの場合、外層部14aの積層方向の寸法は、たとえば10μm以上、90μm以下の範囲であることが好ましい。
積層体の各寸法は、例えば、長さ方向Lの寸法が0.2mm以上1.6mm以下であり、幅方向Wの寸法が0.2mm以上1.6mm以下であり、厚み方向Tの寸法が0.2mm以上1.6mm以下である。
なお、積層体12の寸法は、マイクロメータもしくは光学顕微鏡により測定することができる。
積層体12は、たとえば図3および図4に示すように、複数の内部電極層16として、たとえば略矩形状の複数の第1の内部電極層16aおよび複数の第2の内部電極層16bを有する。複数の第1の内部電極層16aおよび複数の第2の内部電極層16bは、積層体12の積層方向xに沿って等間隔に交互に配置されるように埋設されている。
第1の内部電極層16aの一端側には、積層体12の第1の端面12eに引き出された引出電極部18aを有する。第2の内部電極層16bの一端側には、積層体12の第2の端面12fに引き出された引出電極部18bを有する。具体的には、第1の内部電極層16aの一端側の引出電極部18aは、積層体12の第1の端面12eに露出している。また、第2の内部電極層16bの一端側の引出電極部18bは、積層体12の第2の端面12fに露出している。
積層体12は、たとえば図3および図4に示すように、誘電体層14の内層部14bにおいて、第1の内部電極層16aと第2の内部電極層16bとが対向する対向電極部20aを含む。また、積層体12は、対向電極部20aの幅方向Wの一端と第1の側面12cとの間および対向電極部20aの幅方向Wの他端と第2の側面12dとの間に形成される積層体14の側部(以下、「Wギャップ」という。)20bを含む。さらに、積層体14は、第1の内部電極層16aの引出電極部18aとは反対側の端部と第2の端面12fとの間および第2の内部電極層16bの引出電極部18bとは反対側の端部と第1の端面12eとの間に形成される積層体14の端部(以下、「Lギャップ」という。)20cを含む。ここで、積層体12の端部のLギャップ20cの長さは、20μm以上400μm以下であることが好ましい。また、積層体12の側部のWギャップ20bの長さは、15μm以上、400μm以下であることが好ましい。
積層体12内においては、たとえば図3および図4に示すように、各対向電極部20aで第1の内部電極層16aと第2の内部電極層16bとが誘電体層14を介して対向することにより、静電容量が形成されている。そのため、第1の内部電極層16aが接続された第1の外部電極22aと第2の内部電極層16bが接続された第2の外部電極22bとの間に、静電容量を得ることができる。したがって、このような構造の積層セラミック電子部品はコンデンサとして機能する。
内部電極層16は、たとえば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Auなどの金属を含有している。内部電極層16は、さらに誘電体層14に含まれるセラミックスと同一組成系の誘電体粒子を含んでいてもよい。内部電極層16の枚数は、16枚以上、951枚以下であることが好ましい。内部電極層16の厚みは、0.3μm以上、1.0μm以下であることが好ましい。第1の内部電極層16aが誘電体層14を覆っている割合および第2の内部電極層16bが誘電体層14を覆っている割合は、75%以上95%以下であることが好ましい。第1の内部電極層16aおよび第2の内部電極層16bは、互いに対向する対向電極部20aと、対向電極部20aから積層体12の第1の端面12eおよび第2の端面12fに引き出される引出電極部18aおよび18bとを備えている。
積層体12の第1の端面12e側および第2の端面12f側には、外部電極22が形成される。外部電極22は、第1の外部電極22aおよび第2の外部電極22bを有する。
積層体12の第1の端面12e側には、第1の外部電極22aが形成される。第1の外部電極22aは、積層体12の第1の端面12eを覆い、第1の端面12eから延伸して第1の主面12a、第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分を覆うように形成される。この場合、第1の外部電極22aは、第1の内部電極層16aの引出電極部18aと電気的に接続される。
また、積層体12の第2の端面12f側には、第2の外部電極22bが形成される。第2の外部電極22bは、積層体12の第2の端面12fを覆い、第2の端面12fから延伸して第1の主面12a、第2の主面12b、第1の側面12cおよび第2の側面12dの一部分を覆うように形成される。この場合、第2の外部電極22bは、第2の内部電極層16bの引出電極部18bと電気的に接続される。
第1の外部電極22aは、図4に示すように、積層体12側から順に、下地電極層24aおよびめっき層26aを有する。同様に、第2の外部電極22bは、積層体12側から順に、下地電極層24bおよびめっき層26bを有する。
下地電極層24aおよび24bは、それぞれ、焼付け層、樹脂層、薄膜層などから選ばれる少なくとも1つを含む。焼付け層は、たとえば、Siを含むガラスと、金属としてのCuとを含む。焼付け層の金属としては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。焼付け層は、ガラスおよび金属を含む導電性ペーストを積層体12に塗布して焼き付けたものであり、内部電極層16と同時に焼成したものでもよく、また、誘電体層14および内部電極層16を焼成した後に焼き付けたものでもよい。焼付け層のうちの最も厚い部分の厚みは、20μm以上、80μm以下であることが好ましい。また、焼付け層は、複数層であってもよい。
樹脂層は、導電性粒子と熱硬化性樹脂を含む樹脂層を含んでもよい。樹脂層を形成する場合、当該樹脂層は、焼付け層の上に形成してもよく、また、焼付け層を形成せずに積層体12上に直接形成してもよい。さらに、樹脂層は、複数層であってもよい。
樹脂層を焼き付け層の上に形成する場合、樹脂層は、たとえば導電性粒子と熱硬化性樹脂とを含む樹脂層であってもよい。樹脂層のうちの最も厚い部分の厚みは、5μm以上、150μm以下であることが好ましい。
薄膜層は、スパッタ法または蒸着法等の薄膜形成法により形成され、金属粒子が堆積された1μm以下の層である。
めっき層26aおよび26bとしては、たとえば、Cu、Ni、Sn、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Auなどから選ばれる少なくとも1種類が用いられる。
めっき層26aおよび26bは、複数層によって形成されてもよい。好ましくは、焼付け層上に形成されたNiめっき層と、Niめっき層上に形成されたSnめっき層の2層構造である。Niめっき層は、下地電極層24aおよび24bが積層セラミック電子部品を実装する際のはんだによって侵食されることを防止するために用いられ、Snめっき層は、積層セラミック電子部品を実装する際の半田の濡れ性を向上させて、容易に実装することができるようにするために用いられる。めっき層一層あたりの厚みは、6μm以上10μm以下であることが好ましい。
また、外部電極22がめっき層で形成される場合、外部電極22は、積層体12の上に直接設けられ、内部電極層16と直接、接続されるめっき層を有する。この場合、前処理として積層体12の上に触媒を設けるようにしてもよい。また、めっき層は、第1めっき層と、第1めっき層上に設けられた第2めっき層とを含むことが好ましい。第1めっき層および第2めっき層は、例えば、Cu、Ni、Sn、Pb、Au、Ag、Pd、BiおよびZnからなる群から選ばれる1種の金属または当該金属を含む合金のめっきを含むことが好ましい。例えば、内部電極としてNiを用いた場合、第1めっき層としては、Niと接合性のよいCuを用いることが好ましい。また、第2めっき層としては、はんだ濡れ性のよいSnやAuを用いることが好ましく、第1めっき層としては、はんだバリア性能を有するNiを用いることが好ましい。
第2めっき層は、必要に応じて形成されるものであり、外部電極22は、第1めっき層で形成されたものであってもよい。第2めっき層は、めっき層の最外層として設けてもよく、第2めっき層の上に、他のめっき層を設けるようにしてもよい。各めっき層1層あたりの厚みは、たとえば3μm以上、5μm以下であることが好ましい。また、めっき層には、ガラスを含まないことが好ましい。さらに、めっき層の単位体積あたりの金属割合は、たとえば99体積%以上であることが好ましい。また、めっき層は、厚み方向に沿って粒成長したものであり、柱状となっている。
また、上述した複数の誘電体層および複数の内部電極層の各々の平均厚さは、以下のように測定される。まず、積層体12の長さ方向Lおよび厚み方向Tを含む断面(以下、「LT断面」という。)が露出するように、積層セラミックコンデンサ10が研磨される。このLT断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより、各部の厚みが観測される。次に、積層体12の断面の中心を通り、厚み方向Tに沿った中心線、および、この中心線から両側に2本ずつ引いた線の合計5本の線上における厚さが測定される。これらの5つの測定値の平均値が、各部の平均厚さとされる。より正確な平均厚さを求めるためには、厚み方向Lにおける上部、中央部、下部のそれぞれについて上記5つの測定値を求め、これらの測定値の平均値を各部の平均厚さとする。
次に、この積層セラミックコンデンサ10の製造方法の一例について、説明する。
まず、誘電体層14の主成分を構成する原料として、原料粉末である純度99%以上のたとえばCaCO3(炭酸カルシウム)、SrCO3(炭酸ストロンチウム)、BaCO3(炭酸バリウム)、TiO2(酸化チタン)及びZrO2(酸化ジルコニウム)の各粉末が準備される。これらの各粉末は、所定の組成を実現するように秤量された後、ボールミルなどを用いて湿式混合される。その後、得られた混合物が乾燥され、解砕される。解砕により得られた粉末は、大気中において、たとえば900℃以上1400℃以下の温度で、たとえば2時間、仮焼される。仮焼された粉末は、再度解砕され、主成分原料粉末が得られる。
続いて、副成分を構成する原料として、たとえばSiO2(二酸化ケイ素)、MnCO3(炭酸マンガン)、Al23(酸化アルミニウム)の各粉末が準備される。これらの副成分原料粉末は、上記した主成分原料粉末に対して、所定の配合割合となるように、主成分原料粉末と副成分原料粉末が秤量された後、ボールミルなどを用いて湿式混合される。その後、得られた混合物が乾燥、解砕されて原料粉末が得られる。
次に、得られた原料粉末100重量に、例えば、ポリビニルブチラール系バインダおよびトルエン、エタノールなどの有機溶剤を加えて、ボールミルにより湿式混合し、セラミックスラリーが調製される。この場合、バインダの量は、表2のPVC(Pigment Volume Concentration)を満たすように調整される。このようにして得られたセラミックスラリーを用いて、たとえばドクターブレード法によりシート成形し、これをカットしてたとえば矩形のセラミックグリーンシートが得られる。
なお、PVCとはセラミックスラリーを乾燥したセラミックグリーンシート中のセラミックス成分の体積分率を示すものである。
このようにして得られたセラミックグリーンシートと、内部電極用のたとえばNi導電性ペーストが準備される。セラミックグリーンシートや内部電極用のNi導電性ペーストには、バインダおよび溶剤が含まれ得るが、公知の有機バインダや有機溶剤を用いることができる。
次に、上記したセラミックグリーンシート上には、たとえばスクリーン印刷やグラビア印刷などにより、所定のパターンで、内部電極用のNi導電性ペーストが印刷される。それにより、内部電極用のNi導電性ペースト層がセラミックグリーンシートの上に形成され、内部電極パターンが形成される。Ni導電性ペーストとしては、例えば、金属粉末としてのNi粉末100重量部と、有機ビヒクルとしてエチルセルロースを7重量部と、溶剤としてテルピネオールとを含むものが用いられる。
それから、上記Ni導電性ペースト層が形成されたセラミックグリーンシートである電極用シートを、Ni導電性ペースト層が引き出されている端部が交互に逆となるように複数枚積層し、上下にNi導電性ペースト層が積層されていない無地のセラミックグリーンシートである外層用シートを積層し外層を形成した。
すなわち、内部電極パターンが形成されていない外層用のセラミックグリーンシートが所定枚数積層され、その上に内部電極パターンが形成された電極用のセラミックグリーンシートが順次積層され、その上に外層用のセラミックグリーンシートが所定枚数積層されて、積層シートが作製される。このとき、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートは、内部電極パターンが引き出されている側が互い違いとなるように、複数枚積層される。
そして、得られた積層シートを例えば静水圧プレスなどの手段により積層方向にプレスすることによって、積層ブロックが作製される。
次に、積層ブロックが所定のサイズにカットされ、積層チップが切り出される。このとき、積層ブロックには、バレル研摩などにより、積層チップの角部および稜線部に丸みが付けられてもよい。
さらに、積層体は、大気中において、たとえば150℃以上900℃以下の温度に加熱されてバインダを燃焼させた後、昇温速度3.33℃/分以上で昇温し、最高温度が1100℃以上1350℃以下となるように、還元雰囲気下で焼成される。それによって、積層体12となるセラミック焼結体(以下、「積層体12」という。)が得られる。
それから、上記した積層体12がバレル研磨され、この積層体12の端面にNi導電性ペーストの焼付けにより形成された内部電極が露出される。さらに、積層体12の両端面には、たとえばCuペーストが塗布され、窒素雰囲気中において、たとえば800℃の温度で焼付けられる。これにより、積層体12の両端面には、外部電極用の導電性ペーストの焼付け層が形成される。
しかる後、外部電極用の導電性ペーストの焼付け層の表面には、Niめっき層およびSnめっき層が、たとえばバレルめっき法により、順次形成される。このようにして、積層セラミックコンデンサ10が得られる。
ここで、外層用のシートに含まれる内部電極の線膨張係数をαNi[ppm/K]とし、誘電体シートの線膨張係数をαC[ppm/K]とし、内部電極の線膨張係数と誘電体シートの線膨張係数との差をαd[ppm/K]とし、また、外層用の誘電体シートの中のセラミックス成分の体積分率をPVCgとし、内層用の誘電体シートの中のセラミックス成分の体積分率をPVCeとしたとき、
外層用の誘電体シートのPVCgと、内層用の誘電体シートのPVCeとの関係は、以下の(1)から(3)のいずれをも満足することを特徴としている。
(1)0.9833−0.0333×αd≦PVCg/PVCe≦1.0063−0.0023×αd
(2)0.50 ≦ PVCg ≦ 0.70
(3)0.50 ≦ PVCe ≦ 0.70
上記したセラミックグリーンシートを用いることで、最終的には外層部と電極部の収縮量のバランスが取れ、応力が小さくなり、構造欠陥が発生し難い積層セラミックコンデンサを形成することができる。
このようにして得られた積層セラミックコンデンサについて、以下のような評価を行った。
(実施例)
上述した積層セラミックコンデンサの製造方法を用いて、[表1]の試料番号1〜24の積層セラミックコンデンサを作製した。試料番号3, 4, 5, 6, 11, 12, 13, 15, 17, 19, 21, 23は、上式(1)、(2)および(3)のいずれの式をも満足する積層セラミックコンデンサである。 なお、[表2]中において、※印を付した試料番号1, 2, 7, 8, 9, 10, 14, 16, 18, 20, 22, 24は、本発明の範囲外の試料であることを示す。
Figure 2017204562
このようにして得られた積層セラミックコンデンサについて、以下のような評価テストを行った。
(1)構造欠陥発生率(評価試験A)
まず、得られた積層セラミックコンデンサを1000個、粘着シート上に配置し固定した。その際、内部電極層が粘着シートと平行になるように向きを揃えた。次に、この粘着シートを水中に沈め、超音波探傷装置でハガレの有無を確認した。この実施例では、例えば、インサイト製IS−201の超音波探傷装置を用い、超音波の周波数が50MHzでハガレの有無を確認した。そして、ハガレが発生した積層セラミックコンデンサの割合を[表2]に構造欠陥発生率として示した。
Figure 2017204562
(2)加速耐湿負荷試(評価試験B)
また、100個のサンプルに対して、例えば、温度121℃、湿度100%RH、気圧2atm、印加電圧50Vの条件で、加速耐湿負荷試験を行った。そして、250時間経過後に、絶縁抵抗IRを測定した。その際、ショートしたサンプルを耐湿負荷寿命不良品とした。各試料番号のサンプル100個あたりの不良品の数を[表2]に加速耐湿負荷試験不良数として示した。
上記した評価試験AおよびBの結果、本発明の条件、すなわち、上記した式(1)〜(3)のすべてを満足する積層セラミックコンデンサは、[表2]に示すように、構造欠陥や加速耐湿負荷試験の不良が発生しないことがわかった。
外層用のシートに含まれる内部電極の線膨張係数Niと誘電体シートの線膨張係数αCとの差αdが大きいと、焼成降温時の応力が大きくなり、特に電極部と外層部の境目でハガレなどの構造欠陥が発生しやすくなる。このとき、外層用の誘電体シートのPVCgが、内層用の誘電体シートPVCeよりも小さいと、外層部の方が、脱バインダ時の有機成分の燃焼が電極部よりも多くなる。このため、焼成昇温からトップキープ時の焼結収縮量が、電極部より外層部の方が大きくなる。
その後、降温していくと、Niが含まれている電極部の線膨張係数の方が外層部よりも大きいので、昇温〜トップキープ時とは逆に、電極部の方が外層部よりも収縮量が大きくなる。このため、最終的には外層部と電極部の収縮量のバランスが取れ、応力が小さくなり、構造欠陥が発生しにくくなる。
一方、試料番号1, 2, 10, 18, 22では、内部電極の線膨張係数Niと誘電体シートの線膨張係数αCとの差αdに対して電極部と外層部のPVCの差が小さく、電極部と外層部の境目の応力をキャンセルできないため、構造欠陥や加速耐湿負荷試験で不良が発生する。
また、試料番号7, 14,16, 20, 24では、電極部に対して外層部の誘電体シートのPVCが小さすぎるため、電極部と外層部で焼結収縮量の差が大きくなる。このため、境目でハガレが発生し、構造欠陥となる。
また、試料番号8, 20では、外層部のPVCが小さすぎるため、脱バインダ後の誘電体粒子間の距離が長くなる。このため、外層部の誘電体粒子間の接触が少なくなって焼結不足となり、加速耐湿負荷試験で不良が発生する。
また、試料番号9, 24では、電極部の誘電体シートのPVCが大きすぎるため、電極シート間の接着力が低下する。このため、電極部でハガレが発生し、構造欠陥となる。
誘電体材料としては、例えば、BaTiO3やCaZrO3、(Ca, Sr, Ba)(Zr, Ti)O3などを主成分とした誘電体セラミックを用いることができる。
誘電体層の厚み、外層部の厚み、誘電体層の枚数、内部電極層の厚み、内部電極層の枚数、外部電極の種類、外部電極の層数、外部電極の厚み、めっき層の種類、めっき層の層数、めっき層の厚みは特に限定するものではない。
10 積層セラミックコンデンサ
12 積層体
12a 第1の主面
12b 第2の主面
12c 第1の側面
12d 第2の側面
12e 第1の端面
12f 第2の端面
14 誘電体層
14a 外層部
14b 内層部
16 内部電極層
16a 第1の内部電極層
16b 第2の内部電極層
18a、18b 引出電極部
20a 対向電極部
20b Wギャップ
20c Lギャップ
22 外部電極
22a 第1の外部電極
22b 第2の外部電極
24a、24b 下地電極層
26a、26b めっき層
L 積層セラミックコンデンサの長さ方向の寸法
W 積層セラミックコンデンサの幅方向の寸法
T 積層セラミックコンデンサの積層方向の寸法

Claims (4)

  1. 内部電極が配置された内層用の誘電体シートを準備する工程、
    前記内部電極が配置されていない外層用の誘電体シートを準備する工程、
    前記内層用の誘電体シートと前記外層用の誘電体シートを積層して積層体を形成する工程、および
    前記積層体を焼成する工程を含む、積層セラミックコンデンサの製造方法であって、
    前記内部電極の線膨張係数をαNi[ppm/K]とし、前記誘電体シートの線膨張係数をαC[ppm/K]とし、前記内部電極の線膨張係数と前記誘電体シートの線膨張係数との差をαd[ppm/K]とし、
    前記外層用の誘電体シートの中のセラミックス成分の体積分率をPVCgとし、前記内層用の誘電体シートの中のセラミックス成分の体積分率をPVCeとしたとき、
    前記外層用の誘電体シートのPVCgと、前記内層用の誘電体シートのPVCeとの関係は、
    (1)0.9833−0.0333×αd≦PVCg/PVCe≦1.0063−0.0023×αd
    (2)0.50 ≦ PVCg ≦ 0.70
    (3)0.50 ≦ PVCe ≦ 0.70
    上記(1)〜(3)のいずれもの式を満足することを特徴とする、積層セラミックコンデンサの製造方法。
  2. 前記内部電極は、Niであることを特徴とする、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
  3. 前記積層体の積層された前記外層用の誘電体シートの積層方向の寸法は、前記積層体の厚み方向の寸法の5%以上45%以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
  4. 前記積層体は、その長さ方向Lの寸法が0.2mm以上1.6mm以下であり、その幅方向Wの寸法が0.2mm以上1.6mm以下であり、その厚み方向Tの寸法が0.2mm以上1.6mm以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
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