JP2008218532A - グリーンシート積層ユニット、電子部品の製造方法、および電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的強度、剥離性、および通気性に優れた薄層のグリーンシート積層ユニットを提供し、焼成する際に、有機成分の揮発が均一であり、デラミネーションやクラックなどの発生が少ない電子部品とその製造方法を提供する。
【解決手段】支持体20aの上に形成される第1グリーンシート10aおよび第2グリーンシート10bは、セラミックス粉体およびバインダを含む。第1グリーンシート10aに含まれるバインダ、剥離剤、帯電除剤、可塑剤を含むその他の有機成分の各含有量が、それぞれX1,Y1,Z1,α1体積%であり、第2グリーンシート10bに含まれるバインダ、剥離剤、帯電除剤、可塑剤を含むその他の有機成分の各含有量が、それぞれX2,Y2,Z2、α2体積%であるとき、(X1+Y1+Z1+α1)/(X2+Y2+Z2+α2)が0.95〜1.05であり、Y2/Y1が1/3以下、および/またはZ2/Z1が1/3以下である。
【選択図】図5

Description

本発明は、機械的強度、剥離性、および通気性に優れたグリーンシート積層ユニット、該グリーンシート積層ユニットを用いた電子部品の製造方法、および該製造方法によって製造される電子部品に関する。
積層型セラミック電子部品の一例である積層セラミックコンデンサは、所定の組成の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層と、各種金属を主成分とする内部電極層とが交互に複数積層した構造を有する。この種の積層セラミックコンデンサの製造では、通常、支持体上に、誘電体磁器組成物からなるグリーンシートを形成する。次に、グリーンシート上に内部電極層用ペーストを印刷する。次に、内部電極層ペーストを印刷したグリーンシートから支持体を剥離した後に、グリーンシートを複数積層して、積層体を形成する。この積層体を所定の寸法に切断して得たグリーンチップに対して、脱バインダ処理、焼成処理、および熱処理を行い、焼結体を得る。この焼結体に、外部電極を形成することによって、コンデンサが完成する。
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い、積層セラミックコンデンサの小型化、大容量化が要求されている。積層セラミックコンデンサを小型化、大容量化する手段としては、グリーンシートの厚みを薄くし、積層数を多くすることが考えられる。しかし、グリーンシートの厚みが薄くなる程、グリーンシートの強度が低下し、グリーンシートから支持体を剥離する際に、グリーンシートが破損し易くなる。その結果、コンデンサにおいて所望の電気特性が得られなくなる。
このような問題点を解決する手段としては、従来、グリーンシートに含まれるバインダの含有率を増加させ、グリーンシートの耐久性(機械的強度)を向上させることが考えられる。しかし、バインダの含有率を増加させるほど、グリーンシートから支持体が剥離し難くなり、またグリーンシートの通気性が低下する傾向がある。
グリーンシートから支持体を剥離し難くなると、剥離時にグリーンシートが破損しやすくなる。また、グリーンシートの通気性が低下すると、コンデンサの製造工程においてグリーンシートを搬送し難くなる。さらに、グリーンシートの通気性が低下すると、グリーンシートの積層時に、グリーンシート間に取り込まれた空気が積層体の外へ抜けずに、シート間に気泡(ボイド)として残存する。シート間に残存した気泡は、グリーンシート間の密着不良や、コンデンサのデラミネーションやクラック不良の原因となる。
グリーンシートの剥離性を向上させる手段としては、グリーンシートに含まれる剥離剤または帯電除剤の含有率を増加させることが考えられる。しかし、剥離剤または帯電除剤の含有率を増加させるほど、グリーンシートの機械的強度、および通気性が低下する傾向がある。
グリーンシートの通気性を向上させる手段としては、グリーンシートに含まれるバインダ、剥離剤、および帯電除剤の各含有率を低下させることが挙げられる。しかし、バインダの含有率を低下させるほど、グリーンシートの強度が低下してしまう。また、剥離剤、帯電除剤の各含有率を低下させるほど、グリーンシートの剥離性が悪化してしまう。
このように、剥離性、機械的強度、および通気性は互いに相殺される関係にあるため、こらの特性全てに優れたグリーンシートを得ることは困難である。
下記の特許文献1においては、支持体からの剥離時において、薄層化したグリーンシートを破損させることなく積層体を形成する方法が示されている。特許文献1においては、支持体上にグリーンシートと内部電極層とを交互に複数層(2〜50層)積層して、グリーンシート積層体を形成する。
次に、このグリーンシート積層体から支持体を剥離した後、グリーンシート積層体同士を複数積層して積層体を形成する。すなわち、特許文献1においては、薄いグリーンシート単独ではなく、厚みを有するグリーンシート積層体から支持体を剥離させることによって、剥離時におけるグリーンシート(積層体)の破損を防止できる。
しかし、近年、積層セラミックコンデンサの小型化、大容量化が更に要求されているため、グリーンシートの強度、剥離性、および通気性の更なる向上が求められている。
特許第3190177号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、機械的強度、剥離性、および通気性に優れた薄層のグリーンシート積層ユニットを提供することである。また、本発明の目的は、このように薄層化されたグリーンシート積層ユニットを、積層後にチップ化して焼成する際に、有機成分の揮発が均一であり、デラミネーションやクラックなどの発生が少ない電子部品の製造方法と、この製造方法によって製造される電子部品を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係るグリーンシート積層ユニットは、
支持体の上に形成される第1グリーンシートと、
前記第1グリーンシートの上に形成される第2グリーンシートと、を有するグリーンシート積層ユニットであって、
前記第1グリーンシートおよび前記第2グリーンシートが、少なくともセラミックス粉体およびバインダを含み、
前記第1グリーンシートに含まれる前記バインダの含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してX1体積%であり、
前記第2グリーンシートに含まれる前記バインダの含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してX2体積%であり、
前記第1グリーンシートに含まれる剥離剤の含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してY1体積%であり、
前記第2グリーンシートに含まれる剥離剤の含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してY2体積%であり、
前記第1グリーンシートに含まれる帯電除剤の含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してZ1体積%であり、
前記第2グリーンシートに含まれる帯電除剤の含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してZ2体積%であり、
前記第1グリーンシートに含まれる可塑剤およびその他の有機成分の含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してα1体積%であり、
前記第2グリーンシートに含まれる可塑剤およびその他の有機成分の含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してα2体積%である場合に、
(X1+Y1+Z1+α1)/(X2+Y2+Z2+α2)が0.95〜1.05であり、
Y2/Y1が1/3以下、および/またはZ2/Z1が1/3以下であることを特徴とする。
本発明においては、Y2/Y1を1/3以下および/またはZ2/Z1を1/3以下とすることによって、グリーンシート積層ユニット全体の機械的強度(耐久性)が向上すると共に、(支持体からの)剥離性および通気性が向上する。すなわち、第2グリーンシートに含まれる剥離剤および/または帯電除剤の含有量に対して、第1グリーンシートに含まれる剥離剤および/または帯電除剤の含有量を大きくすることによって、第1グリーンシートの剥離性が向上する。
また、本発明においては、(X1+Y1+Z1+α1)/(X2+Y2+Z2+α2)を0.95〜1.05、好ましくは約1としてあり、第1グリーンシートおよび第2グリーンシートに含まれる有機成分の合計が略等しい。そのため、Y2/Y1が1/3以下、および/またはZ2/Z1が1/3以下とすることにより、第2グリーンシート中で剥離剤および/または帯電除剤の含有量が、第1グリーンシートに比較して減った分、バインダ量X2を相対的に増やすことができる。
そのため、第2グリーンシートの機械的強度が第1グリーンシートより向上する。その結果、剥離性に優れた第1グリーンシートと、機械的強度に優れた第2グリーンシートと、から構成されるグリーンシート積層ユニットは、剥離性および機械的強度の双方を兼ね備えることができる。したがって、グリーンシート積層ユニットから支持体を剥離する際に、グリーンシート積層ユニットが破損することを有効に防止することができる。
しかも本発明においては、第1グリーンシートおよび第2グリーンシートに含まれるトータルでの有機成分の含有量を略同じとすることで、グリーンシート積層ユニット全体の通気性を向上させることができる。その結果、コンデンサの製造工程においてグリーンシート積層ユニットを搬送し易くなり、また、積層工程において、グリーンシート間に気泡が残存せず、グリーンシート間の密着不良や、コンデンサのショート不良を防止することができる。
また、第1グリーンシートおよび第2グリーンシートに含まれるトータルでの有機成分の含有量を略同じとすることで、グリーンシート積層ユニットをさらに積層してチップ化した後、脱バインダ処理および/または焼成処理する際に、シート毎の有機成分の揮発量のバラツキが少ない。そのため、デラミネーションやクラックなどの発生が少ない。
なお、本発明において、「体積%」は、特に記載がない限りは、誘電体の体積100%に対しての体積割合を%で表している。さらに、バインダ%またはバインダ体積は、バインダの体積100%に対しての体積割合を%で表している。
好ましくは、前記第1グリーンシートが、前記剥離剤および前記帯電除剤を含み、前記第2グリーンシートが、前記剥離剤および/または前記帯電除剤を含まない。このように設定することで、本発明の作用効果が高まる。
好ましくは、前記第2グリーンシートでは、前記剥離剤および/または前記帯電除剤の含有量が少ない分に対応して、前記バインダの含有量が、前記可塑剤を含むその他の有機成分の含有量と共に増大している。このように設定することで第2グリーンシートの機械的強度が向上する。
好ましくは、第1グリーンシートまたは第2グリーンシートに含まれる全ての有機成分の合計が42.4体積%よりも大きく、63.7体積%よりも少ない。有機成分のトータル量が少なすぎると、グリーンシート積層ユニットの機械的強度が低下する傾向にあり、逆に多すぎると、通気性が悪くなる傾向にある。
好ましくは、前記第1グリーンシートおよび第2グリーンシートに含まれる前記バインダが、アクリル樹脂である。
本発明では、強度が小さいアクリル樹脂をバインダとして用いたとしても、より大きな機械的強度を得ることができ、薄層化に対応させることができる。
前記第1グリーンシートと、前記第2グリーンシートとの間に、中間層があっても良い。
前記第1グリーンシートの上に、前記中間層として内部電極層が形成され、
前記内部電極層および前記第1グリーンシートの上に、前記第2グリーンシートが形成されていてもよい。
本発明に係る電子部品の製造方法は、
上記に記載のグリーンシート積層ユニットを用いて電子部品を製造する方法であって、
複数の前記グリーンシート積層ユニットを積層して形成されたグリーンシート積層体を積層して切断しグリーンチップを得る工程と、
前記グリーンチップを焼成する工程と、を有する。
本発明に係る電子部品の製造方法においては、グリーンシート積層ユニット(を構成する第1グリーンシートおよび第2グリーンシート)を破損させることなく、容易に支持体から剥離することができる。また、本発明の製造方法では、薄層化されたグリーンシート積層ユニットを、積層後にチップ化して焼成する際に、有機成分の揮発が均一であり、デラミネーションやクラックなどの発生が少ない。
本発明に係る電子部品は、上記に記載の製造方法によって製造される。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るグリーンシート積層ユニットを用いて作製された積層セラミックコンデンサの概略断面図、
図2〜図6は、本発明の第1実施形態に係るグリーンシート積層ユニットを用いて図1に示す積層セラミックコンデンサを製造する過程の一部を示す概略断面図である。
(第1実施形態)
本実施形態では、まず、グリーンシート積層ユニットを用いて製造される電子部品の一例として、積層セラミックコンデンサについて説明する。
積層セラミックコンデンサの全体構成
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、誘電体層10と内部電極層12とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体4を有する。このコンデンサ素子本体4の両側端部には、素子本体4の内部で交互に配置された内部電極層12と各々導通する一対の外部電極6,8が形成してある。内部電極層12は、各側端面がコンデンサ素子本体4の対向する両端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極6,8は、コンデンサ素子本体4の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層12の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
コンデンサ素子本体4の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよいが、通常、縦(0.6〜5.6mm、好ましくは、0.6〜3.2mm)×横(0.3〜5.0mm、好ましくは、0.3〜1.6mm)×厚み(0.1〜1.9mm、好ましくは、0.3〜1.6mm)程度である。
誘電体層10の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。特に本実施形態では、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下に薄層化されている。
内部電極層12の厚みも、特に限定されないが、通常、0.1〜2.0μm程度、好ましくは、0.1μm以上1.0μm以下である。
内部電極層12は、電極の途切れが生じない範囲で、薄い程望ましい。内部電極層12は、単一の層で構成してあってもよく、あるいは2つ以上の組成の異なる複数の層で構成してあってもよい。
積層セラミックコンデンサ2の製造方法
次に、本発明の第1実施形態に係るグリーンシート積層ユニット、および積層セラミックコンデンサ2の製造方法を説明する。
(グリーンシート用スラリーの作製)
図1に示す各誘電体層10は、後述する第1グリーンシートおよび第2グリーンシートで構成される。第1グリーンシートおよび第2グリーンシートは、原材料として、主成分であるチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどのセラミック粉体の他、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類元素、ガラス組成物などの副成分を含む。
なお、セラミック粉体の原料を予めボールミルなどによって混合し、乾燥した粉体を仮焼きした後、仮焼きした物を粗粉砕してセラミック粉体としても良い。また、薄いグリーンシートを形成するためには、グリーンシート厚みよりも小さい粒子径のセラミック粉体を使用することが望ましい。
次に、セラミック粉体、溶剤、分散剤、可塑剤、バインダ、剥離剤、帯電除剤およびその他の成分に対して、ボールミル、ビーズミルなどで混合、分散処理を行い、第1グリーンシート用スラリーおよび第2グリーンシート用スラリーをそれぞれ作製する。
第1グリーンシート用スラリーを支持体上に塗布することによって、第1グリーンシートが形成され、第2グリーンシート用スラリーを、第1グリーンシートが形成された支持体上に塗布することによって、第2グリーンシートが形成される。
溶剤としては、特に限定されないが、グリコール類、アルコール、ケトン類、エステル類、芳香族類などが例示される。具体的には、テルピネオール、アルコール、ブチルカルビトール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ステアリン酸ブチル、イソボニルアセテートなどが用いられる。
分散剤としては、特に限定されないが、マレイン酸系分散剤、ポリエチレングリコール系分散剤、アリルエーテルコポリマー分散剤が例示される。
可塑剤としては、特に限定されないが、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。
バインダとしては、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール等のブチラール系樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体からなる有機質、またはエマルジョンなどが例示される。
好ましくは、第1グリーンシート用スラリーおよび第2グリーンシート用スラリーに含まれるバインダが、アクリル樹脂である。
剥離剤としては、特に限定されないが、たとえば流動パラフィン、ワックス、シリコーン油などが例示され、好ましくは流動パラフィンである。
帯電除剤としては、特に限定されないが、通常、ポリエチレングリコール、イミダゾリン系帯電除剤などが用いられ、好ましくはポリエチレングリコールである。
なお、第1グリーンシート用スラリーに含まれるバインダ、剥離剤、帯電除剤および可塑剤を含むその他の有機成分の各含有量は、乾燥後の第1グリーンシートに含まれるバインダ、剥離剤、帯電除剤およびその他の有機成分の各含有量X1,Y1,Z1,α1(単位:体積%)が後述する関係となるように決定される。
また、第2グリーンシート用スラリーに含まれるバインダ、剥離剤、帯電除剤および可塑剤を含むその他の有機成分の各含有量は、第2グリーンシートに含まれるバインダ、剥離剤、帯電除剤およびその他の有機成分の各含有量X2,Y2,Z2,α2(単位:体積%)が後述する関係となるように決定される。
(内部電極層用ペーストの作製)
図1に示す内部電極層12は、内部電極層用ペーストを、所定のパターン状に成形し、焼成することによって得られる。内部電極層用ペーストは、導電性粉末、溶剤、分散剤、可塑剤、バインダ、添加物粉末などを、ボールミルなどで混練し、スラリー化することによって得られる。
導電性粉末としては、特に限定されないが、NiやNi合金、さらにはこれらの混合物を用いる。このような導電性粉末は、球状、リン片状等、その形状に特に制限はなく、また、これらの形状のものが混合したものであってもよい。また、導電性粉末の平均粒子径は、通常、0.1〜2μm、好ましくは0.1〜1μm程度のものを用いればよい。
溶剤としては、特に限定されないが、ターピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン、アセトン、イソボニルアセテートなどが例示される。
分散剤としては、特に限定されないが、マレイン酸系分散剤、ポリエチレングリコール系分散剤、アリルエーテルコポリマー分散剤が例示される。
可塑剤としては、特に限定されないが、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。
バインダとしては、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチルセルロース樹脂などが例示される。
添加物粉末としては、グリーンシートに含まれるセラミック粉末と同じ組成の化合物が、共材として含まれる。共材は、焼成過程において導電性粉末の焼結を抑制する。
(第1グリーンシート10aの形成)
図2に示すように、支持シート20a(支持体)の表面に、第1グリーンシート用スラリーを塗布して、第1グリーンシート10aを形成する。第1グリーンシート10aは、焼成後に図1に示す誘電体層10となる。
図2の第1グリーンシート10aの形成方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されず、ドクターブレード法、ダイコータ法などが例示される。
形成後の第1グリーンシート10aは、必要に応じて乾燥させる。第1グリーンシート10aの乾燥温度は、好ましくは50〜100℃であり、乾燥時間は、好ましくは1〜20分である。乾燥後の第1グリーンシート10aの厚みは、乾燥前に比較して、5〜25%の厚みに収縮する。乾燥後の第1グリーンシート10aの厚みは、好ましくは4μm以下、より好ましくは、3.0μm以下、さらに好ましくは、2.0μm以下である。
支持シート20aの材質は、剥離時の適当な柔軟性と、支持体としての剛性とを持つものであれば特に限定されないが、通常、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルムなどが用いられる。支持シート20aの厚さは、特に限定されないが、通常、5〜100μmである。
(内部電極層12aの形成)
次に、図3に示すように、支持シート20a上に形成された第1グリーンシート10aの表面に、内部電極層用ペーストを所定のパターン状に塗布して、中間層としての内部電極層12aを形成する。内部電極層12aは、焼成後に図1に示す内部電極層12となる。
図3の内部電極層12aの形成方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されず、たとえば内部電極層用ペーストを用いたスクリーン印刷法あるいはグラビア印刷法などの厚膜形成方法、あるいは蒸着、スパッタリングなどの薄膜法が例示される。
内部電極層12aは、必要に応じて乾燥させる。乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜120℃であり、乾燥時間は、好ましくは5〜15分である。
(第2グリーンシート10bの形成)
次に、図4に示すように、内部電極層12aおよび第1グリーンシート10aの表面に、第2グリーンシート用スラリーを塗布して、第2グリーンシート10bを形成する。第2グリーンシート10bも、焼成後に図1に示す誘電体層10となる。
図4の第2グリーンシート10bの形成方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されず、第1グリーンシート10aと同様の方法で形成すればよい。
形成後の第2グリーンシート10bは、必要に応じて、第1グリーンシート10aと同様に乾燥させる。乾燥後の第2グリーンシート10bの厚みは、第1グリーンシート10aの場合と同程度である。
(グリーンシート積層ユニットUの形成)
第2グリーンシート10bの形成後、図5に示すように、第2グリーンシート10bの表面に、内部電極層用ペーストを所定のパターン状に塗布して、内部電極層12aを形成する。その結果、図5に示すグリーンシート積層ユニットUが得られる。このグリーンシート積層ユニットUを複数形成する。
ここで、第1グリーンシート10aに含まれるバインダの含有量は、X1体積%であり、第2グリーンシート10bに含まれるバインダの含有量は、X2体積%である。
第1グリーンシート10aに含まれる剥離剤の含有量は、Y1体積%であり、第2グリーンシート10bに含まれる剥離剤の含有量は、Y2体積%である。
第1グリーンシート10aに含まれる帯電除剤の含有量は、Z1体積%であり、第2グリーンシート10bに含まれる帯電除剤の含有量は、Z2体積%である。
第1グリーンシートに含まれる可塑剤およびその他の有機成分の含有量が、α1体積%であり、第2グリーンシートに含まれる可塑剤およびその他の有機成分の含有量が、α2体積%である。
本実施形態においては、(X1+Y1+Z1+α1)/(X2+Y2+Z2+α2)が0.95〜1.05であり、
Y2/Y1が1/3以下、および/またはZ2/Z1が1/3以下である。
また、前記第1グリーンシートまたは第2グリーンシートに含まれる全ての有機成分の合計が42.4体積%よりも大きく、63.7体積%よりも少なく、好ましくは46.6〜59.5体積%である。
さらに、好ましくは、第1グリーンシート10aが、剥離剤および帯電除剤を含み、第2グリーンシート10bが、剥離剤および/または帯電除剤を含まない。
第1グリーンシート10aに含まれる剥離剤の含有量は、第1グリーンシート10aに含まれるバインダ樹脂量に対して決定され、バインダ樹脂量100体積%に対して、好ましくは10〜45体積%、さらに好ましくは10〜20体積%程度が好ましい。剥離剤の含有量が少なすぎると、グリーンシート積層ユニットUの剥離性が低下し、多すぎると通気性を阻害する傾向にある。
グリーンシート10aおよび10bに含まれる可塑剤の含有量は、各グリーンシート10aおよび10bに含まれる各バインダ樹脂量に対して決定され、各バインダ樹脂量100体積%に対して、好ましくは30〜70体積%、さらに好ましくは40〜60体積%程度が好ましい。可塑剤の含有量が少なすぎると、グリーンシート積層ユニットUにおけるシート柔軟性およびシート接着性が低下する傾向にあり、多すぎるとグリーンシート積層ユニットUの強度が低下する傾向にある。なお、グリーンシート10aおよび10b相互間で、バインダに対しての可塑剤の含有量は、異なっていても良いが、同じであることが好ましい。
第1グリーンシート10aに含まれる帯電除剤の含有量は、誘電体の体積100%に対して、好ましくは1〜10体積%、さらに好ましくは1〜5体積%である。帯電除剤の含有量が少なすぎると、シート後の剥離性が低下し、多すぎると通気性を阻害する傾向にある。
各グリーンシート10a,10bに含まれるバインダは、誘電体の体積100%に対して、それぞれ21.9体積%以上であることが好ましい。少なすぎるとシート化が困難になる。なお、各グリーンシート10a,10bに含まれるバインダの体積%の上限は、他の有機成分量との兼ね合いで決定される。
(グリーンシート積層ユニットUの積層)
図6に示すように、支持シート20bの表面に、通常のグリーンシート用スラリーを塗布して、外層用グリーンシート10cを形成する。外層用グリーンシート10cは、焼成後、図1に示すコンデンサ素子本体4において、積層方向の両端面に位置する誘電体層10となる。なお、図6に示す外層用グリーンシート10cは、一層のグリーンシートであってもよく、複数層のグリーンシートから構成されていてもよい。
次に、図5のグリーンシート積層ユニットUから支持シート20aを剥離する。本実施形態では、グリーンシート積層ユニットU(を構成する第1グリーンシート10aおよび第2グリーンシート10b)を破損させることなく、容易に支持シート20aを剥離することができる。
次に、図6に示すように、外層用グリーンシート10cの表面に、支持シート20aを剥離したグリーンシート積層ユニットUを積層する。その後、一方のグリーンシート積層ユニットUにおける第1グリーンシート10aが、他方のグリーンシート積層ユニットUにおける内部電極層12aおよび第2グリーンシート10bの表面に接するように、複数のグリーンシート積層ユニットU同士を次々と積層する。次に、得られた積層物の上面に、外層用グリーンシート10cを更に積層する。その結果、複数の第1グリーンシート10a、第2グリーンシート10b、内部電極層12a、および一対の外層用グリーンシート10cから構成されるグリーンシート積層体が得られる。
(グリーンチップの形成)
次に、グリーンシート積層体に対して加熱、加圧処理を行う。その後、積層体を所定サイズに切断し、グリーンチップを形成する。なお、積層体に対する加熱温度は、好ましくは、40〜100℃とし、加圧力は、好ましくは10〜200MPaとする。
(グリーンチップの脱バインダ処理、焼成処理、および熱処理)
次に、グリーンチップに対して、脱バインダ処理、焼成処理、および誘電体層を再酸化するための熱処理が行われる。
脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、内部電極層12aの導電性粉末にNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、特に下記の条件で行うことが好ましい。
昇温速度:5〜300[℃/時間]、好ましくは、10〜50[℃/時間]、
保持温度:200〜400[℃]、好ましくは、250〜350[℃]、
保持時間:0.5〜20時間、好ましくは、1〜10時間、
雰囲気 :加湿したNとHとの混合ガス。
焼成条件は、下記の条件が好ましい。
昇温速度:50〜500[℃/時間]、好ましくは、200〜300[℃/時間]、
保持温度:1100〜1300[℃]、好ましくは、1150〜1250[℃]、
保持時間:0.5〜8時間、好ましくは、1〜3時間、
冷却速度:50〜500[℃/時間]、好ましくは、200〜300[℃/時間]、
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス等。
ただし、焼成時の空気雰囲気中の酸素分圧は、10−2Pa以下、特に10−8〜10−2 Paにて行うことが好ましい。前記範囲を超えると、内部電極層12aが酸化する傾向にあり、また、酸素分圧があまり低すぎると、内部電極層12aの導電性粉末が異常焼結を起こし、途切れてしまう傾向にある。
このような焼成を行った後の熱処理は、保持温度または最高温度を、好ましくは1000℃以上、さらに好ましくは1000〜1100℃として行うことが好ましい。熱理の際の酸素分圧は、焼成時の還元雰囲気よりも高い酸素分圧であり、好ましくは10−3〜1Pa、より好ましくは10−2〜1Paである。
そして、そのほかの熱処理条件は下記の条件が好ましい。
保持時間:0〜6時間、特に2〜5時間、
冷却速度:50〜500[℃/時間]、特に100〜300[℃/時間]、
雰囲気用ガス:加湿したNガス等。
なお、Nガスや混合ガス等を加湿するには、例えば加温した水にガスを通し、バブリングする装置等を使用すればよい。この場合、水温は0〜75℃程度が好ましい。また脱バインダ処理、焼成および熱処理は、それぞれを連続して行っても、独立に行ってもよい。
これらを連続して行なう場合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、熱処理の保持温度に達したときに雰囲気を変更して熱処理を行なうことが好ましい。
一方、これらを独立して行なう場合、焼成に際しては、脱バインダ処理時の保持温度までNガスあるいは加湿したNガス雰囲気下で昇温した後、雰囲気を変更してさらに昇温を続けることが好ましく、熱処理時の保持温度まで冷却した後は、再びNガスあるいは加湿したNガス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。また、熱処理に際しては、Nガス雰囲気下で保持温度まで昇温した後、雰囲気を変更してもよく、熱処理の全過程を加湿したNガス雰囲気としてもよい。
(外部電極6、8の形成)
上述の条件下で、グリーンチップを脱バインダ処理、焼成処理、および熱処理することによって、焼結体(図1のコンデンサ素子本体4)が得られる。この焼結体に対して、バレル研磨、サンドプラスト等による端面研磨を施し、外部電極用ペーストを焼きつけて、外部電極6、8を形成する。外部電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。必要に応じて、外部電極6、8上にめっき等を行うことによりパッド層を形成してもよい。
外部電極6、8としては、通常、Ni,Pd,Ag,Au,Cu,Pt,Rh,Ru,Ir等の少なくとも1種又はそれらの合金等を用いる。外部電極6、8の厚さは用途に応じて適時決定されればよいが、通常10〜200μm程度である。外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
このようにして、図1の積層セラミックコンデンサ2が完成する。得られた積層セラミックコンデンサ2は、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
本実施形態においては、Y2/Y1を1/3以下および/またはZ2/Z1を1/3以下とすることによって、グリーンシート積層ユニットU全体の機械的強度(耐久性)、(支持シート20aからの)剥離性、および通気性が向上する。すなわち、第2グリーンシート10bに含まれる剥離剤および/または帯電除剤の含有量に対して、第1グリーンシート10aに含まれる剥離剤および/または帯電除剤の含有量を大きくすることによって、第1グリーンシート10aの剥離性が向上する。
また、(X1+Y1+Z1+α1)/(X2+Y2+Z2+α2)を0.95〜1.05、好ましくは約1としてあり、第1グリーンシート10aおよび第2グリーンシート10bに含まれる有機成分の合計が略等しい。そのため、Y2/Y1が1/3以下、および/またはZ2/Z1が1/3以下とすることにより、第2グリーンシート10b中で剥離剤および/または帯電除剤の含有量が、第1グリーンシート10aに比較して減った分、バインダ量X2を相対的に増やすことができる。
そのため、第2グリーンシート10bの機械的強度が第1グリーンシート10aより向上する。その結果、剥離性に優れた第1グリーンシート10aと、機械的強度に優れた第2グリーンシート10bと、から構成されるグリーンシート積層ユニットUは、剥離性および機械的強度の双方を兼ね備えることができる。したがって、グリーンシート積層ユニットUから支持体20aを剥離する際に、グリーンシート積層ユニットUが破損することを有効に防止することができる。
しかも第1グリーンシート10aおよび第2グリーンシート10bに含まれるトータルでの有機成分の含有量を略同じとすることで、グリーンシート積層ユニットU全体の通気性を向上させることができる。その結果、コンデンサの製造工程においてグリーンシート積層ユニットUを搬送し易くなり、また、積層工程において、グリーンシート間に気泡が残存せず、グリーンシート間の密着不良や、コンデンサのショート不良を防止することができる。
また、第1グリーンシート10aおよび第2グリーンシート10bに含まれるトータルでの有機成分の含有量を略同じとすることで、グリーンシート積層ユニットUをさらに積層してチップ化した後、脱バインダ処理および/または焼成処理する際に、シート毎の有機成分の揮発量のバラツキが少ない。そのため、デラミネーションやクラックなどの発生が少ない。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
例えば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサ2を例示したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミックコンデンサ2に限定されず、上記の製造方法を用いるものであれば何でも良い。電子部品としては、チップバリスタ、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
第1グリーンシート10aの表面に内部電極層12aを形成した後(またはその前)に、第1グリーンシート10aの表面において、中間層である内部電極層12aが形成されていない余白部分に余白パターン層用ペーストを塗布して、余白パターン層を形成してもよい。この余白パターン層を形成した後、内部電極層12aおよび余白パターン層の表面に第2グリーンシート10bを形成してもよい。
余白パターン層の厚さは、内部電極層12aの厚さを同じにして、余白パターン層と内部電極層12aとの間に段差が生じないようにする。
余白パターン層は、通常、第1グリーンシート10aまたは第2グリーンシート10bと同じ材質で構成される。また、余白パターン層は、内部電極層12aあるいは各グリーンシートと同様の方法によって形成することができる。
上述した実施形態では、グリーンシート積層ユニットU同士を複数積層して、積層体を形成したが、まず、グリーンシート積層ユニットU同士を複数積層した積層体ユニットを形成し、次に、この積層体ユニット同士を複数積層することによって、積層体を形成してもよい。この場合も上述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
試料1
支持シート20aの表面に、第1グリーンシート用スラリーを塗布して、厚さ2μm程度の第1グリーンシート10a(A層)を形成した。次に、第1グリーンシート10aの表面に、第2グリーンシート用スラリーを塗布して、厚さ2μm程度の第2グリーンシート10b(B層)を形成し、総厚さ4μm程度のグリーンシート積層ユニットUを形成した。
なお、試料1においては、第1グリーンシート10aに含まれるバインダ、剥離剤、帯電除剤、可塑剤およびその他の有機成分ならびに第1グリーンシート10aに含まれる有機成分の合計の各含有率(第1グリーンシート10aに含まれる各成分の体積%またはバインダ%)をそれぞれ表1に示す値とした。
また、第2グリーンシート10bに含まれるバインダ、剥離剤、帯電除剤、可塑剤およびその他の有機成分、ならびに第2グリーンシート10bに含まれる有機成分の合計の各含有率(第2グリーンシート10bに含まれる各成分の体積%またはバインダ%)をそれぞれ表1に示す値とした。
さらに、第1グリーンシート10aおよび第2グリーンシート10bにそれぞれ含まれる有機成分の合計の比率(T2/T1)、剥離剤の比率(Y2/Y1)、帯電除剤の比率(Z2/Z1)も表1に示した。
Figure 2008218532
(引張強度の測定)
試料1のグリーンシート積層ユニットUに対して、引張強度(単位:mN/cm)の測定を行った。結果を表2に示す。
引張強度の測定では、インストロン5543の引張試験機を用いた。測定では、まず、各試料から支持シート20aを剥離した。次に、各試料をダンベル型形状に打ち抜いた。次に、ダンベル型形状の各試料を引張速度8mm/分で引っ張り、各試料が破断する時の強度(引張強度)を測定した。
引張強度(機械的強度)は大きい程好ましく、その値が45mN/cm以上であることが好ましい。引張強度が45mN/cm以上である場合、表中の判定を○とした。また、引張強度が45mN/cm未満である場合、表中の判定を×とした。
なお、表2においては、第1グリーンシート10a(単独で4μm)、および第2グリーンシート10b(単独で4μm)のそれぞれに対しても、同様に引張強度を測定した結果を示す。
(剥離強度の測定)
試料1のグリーンシート積層ユニットUに対して、剥離強度(単位:mN/cm)を測定した。結果を表2に示す。
剥離強度の測定では、支持シート20a上に形成された各試料の一端を、各試料のシート面に対して90度の方向に、8mm/分の速度で引き上げ、支持シート20aから各試料が剥離する際に、支持シート20aに作用する力(mN/cm)を測定した。この力を剥離強度とした。
剥離強度を小さくすることにより、各試料からの支持シート20aの剥離を良好に行うことができ、また、剥離時における各試料の破損も有効に防止することができる。よって、剥離強度は、小さい程好ましい。剥離強度が40mN/cm以下である場合、表中の判定を○とした。
なお、表2においては、第1グリーンシート10a(単独で4μm)に対しても、同様に剥離強度を測定した結果を示す。
(圧力損失の測定)
試料1のグリーンシート積層ユニットUに対して、圧力損失(単位:Pa)を測定た。結果を表2に示す。
圧力損失は、58600Paの空気圧を、各試料(3cm角)にかけ、空気流量が0.98リットル/分となるように調節したときの、各試料を介した圧力の減少分(圧力損失:Pa)を測定することで評価した。
圧力損失は小さい程好ましく、その値が4000Pa以下であることが好ましい。圧力損失が、4000Pa以下である場合、表中の判定を○とした。また、圧力損失が4000Paより大きい場合、表中の判定を×とした。
なお、表2においては、第1グリーンシート10a(単独で10μm)、および第2グリーンシート10b(単独で10μm)のそれぞれに対しても、同様に圧力損失を測定した結果を示す。
表2において、引張強度の判定が○であり、かつ、剥離強度および圧力損失の各判定がそれぞれ○である場合、総合判定を○とした。引張強度、剥離強度および圧力損失の少なくともいずれか評価項目の判定が×である場合、総合判定を×とした。
Figure 2008218532
試料2〜6
表1に示すように、第2グリーンシートにおける剥離剤の体積%および/または帯電除剤の体積%を変化させると共に、それに合わせてバインダの体積%および可塑剤の体積%を変化させた以外は、試料1と同様にして、グリーンシート積層ユニットUを形成し、試料1と同様な測定を行った。結果を表2に示す。
試料7〜11
表3に示すように、第1グリーンシートでは、剥離剤および帯電除剤を含み、第2グリーンシートでは剥離剤および帯電除剤を含まず、しかも第1グリーンシートと第2グリーンシートとで、有機成分の総合計が略同じになるように、有機成分の総合計を変化させた以外は、試料1と同様にして、グリーンシート積層ユニットUを形成し、試料1と同様な測定を行った。結果を表4に示す。
Figure 2008218532
Figure 2008218532
評価1
表1,2に示すように、(X1+Y1+Z1+α1)/(X2+Y2+Z2+α2)が約1.0(0.95〜1.05)であり、Y2/Y1が1/3以下、および/またはZ2/Z1が1/3以下である試料3,5,6は、剥離強度が小さく、引張強度が大きく、圧力損失が小さかった。すなわち、(X1+Y1+Z1+α1)/(X2+Y2+Z2+α2)が約1.0(0.95〜1.05)であり、Y2/Y1が1/3以下、および/またはZ2/Z1が1/3以下であるグリーンシート積層ユニットUは、剥離性、機械的強度、および通気性を兼ね備えていることが確認された。
評価2
表3,4に示すように、第1および第2グリーンシートのそれぞれに含まれる全ての有機成分の合計T1およびT2がそれぞれ42.4体積%よりも大きく、11.0体積%よりも少なく、好ましくは46.6〜59.5体積%である試料7,8,10は、剥離強度が小さく、引張強度が大きく、圧力損失が小さかった。すなわち、T1およびT2がそれぞれ42.4体積%よりも大きく、63.7体積%よりも少なく、好ましくは46.6〜59.5体積%であるグリーンシート積層ユニットUは、剥離性、機械的強度、および通気性を兼ね備えていることが確認された。
図1は、本発明の第1実施形態に係るグリーンシート積層ユニットを用いて作製された積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2は、本発明の第1実施形態に係るグリーンシート積層ユニットを用いて図1に示す積層セラミックコンデンサを製造する過程の一部を示す概略断面図である。 図3は、図2の続きの工程を示す概略断面図である。 図4は、図3の続きの工程を示す概略断面図である。 図5は、図4の続きの工程を示す概略断面図である。 図6は、図5の続きの工程を示す概略断面図である。
符号の説明
2… 積層セラミックコンデンサ
4… コンデンサ素子本体
6,8… 外部電極
10… 誘電体層
10a… 第1グリーンシート
10b… 第2グリーンシート
10c… 外層用グリーンシート
12,12a… 内部電極層
20a,20b… 支持シート
U… グリーンシート積層ユニット

Claims (9)

  1. 支持体の上に形成される第1グリーンシートと、
    前記第1グリーンシートの上に形成される第2グリーンシートと、を有するグリーンシート積層ユニットであって、
    前記第1グリーンシートおよび前記第2グリーンシートが、少なくともセラミックス粉体およびバインダを含み、
    前記第1グリーンシートに含まれる前記バインダの含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してX1体積%であり、
    前記第2グリーンシートに含まれる前記バインダの含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してX2体積%であり、
    前記第1グリーンシートに含まれる剥離剤の含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してY1体積%であり、
    前記第2グリーンシートに含まれる剥離剤の含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してY2体積%であり、
    前記第1グリーンシートに含まれる帯電除剤の含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してZ1体積%であり、
    前記第2グリーンシートに含まれる帯電除剤の含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してZ2体積%であり、
    前記第1グリーンシートに含まれる可塑剤およびその他の有機成分の含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してα1体積%であり、
    前記第2グリーンシートに含まれる可塑剤およびその他の有機成分の含有量が、前記セラミック粉体100体積%に対してα2体積%である場合に、
    (X1+Y1+Z1+α1)/(X2+Y2+Z2+α2)が0.95〜1.05であり、
    Y2/Y1が1/3以下、および/またはZ2/Z1が1/3以下であるグリーンシート積層ユニット。
  2. 前記第1グリーンシートが、前記剥離剤および前記帯電除剤を含み、
    前記第2グリーンシートが、前記剥離剤および/または前記帯電除剤を含まないことを特徴とする請求項1に記載のグリーンシート積層ユニット。
  3. 前記第2グリーンシートでは、前記剥離剤および/または前記帯電除剤の含有量が少ない分に対応して、前記バインダの含有量が、前記可塑剤を含むその他の有機成分の含有量と共に増大している請求項1または2に記載のグリーンシート積層ユニット。
  4. 前記第1グリーンシートおよび第2グリーンシートのそれぞれに含まれる全ての有機成分の合計が、各々42.4体積%よりも大きく、63.7体積%よりも少ない請求項1〜3のいずれかに記載のグリーンシート積層ユニット。
  5. 前記第1グリーンシートおよび第2グリーンシートに含まれる前記バインダが、アクリル樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のグリーンシート積層ユニット。
  6. 前記第1グリーンシートと、前記第2グリーンシートとの間に、中間層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のグリーンシート積層ユニット。
  7. 前記第1グリーンシートの上に、前記中間層として内部電極層が形成され、
    前記内部電極層および前記第1グリーンシートの上に、前記第2グリーンシートが形成されていることを特徴とする請求項6に記載のグリーンシート積層ユニット。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のグリーンシート積層ユニットを用いて電子部品を製造する方法であって、
    複数の前記グリーンシート積層ユニットを積層して形成されたグリーンシート積層体を積層して切断しグリーンチップを得る工程と、
    前記グリーンチップを焼成する工程と、
    を有する電子部品の製造方法。
  9. 請求項8に記載の製造方法によって製造される電子部品。
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