JP2009212261A - 積層型電子部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、
樹脂が片面に偏在している、樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシートを準備する工程、
外装用誘電体グリーンシートを積層し、最上層に前記樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシートの樹脂偏在面が配置された外装グリーン積層体を準備する工程、
片面に電極ペースト膜を有する内装用誘電体グリーンシートを準備する工程および、
該内装用誘電体グリーンシートを、外装グリーン積層体の樹脂偏在面に積層する工程を含む。
【選択図】 図6
Description
(1)樹脂が片面に偏在している、樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシートを準備する工程、
外装用誘電体グリーンシートを積層し、最上層に前記樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシートの樹脂偏在面が配置された外装グリーン積層体を準備する工程、
片面に電極ペースト膜を有する内装用誘電体グリーンシートを準備する工程および、
該内装用誘電体グリーンシートを、外装グリーン積層体の樹脂偏在面に積層する工程を含む積層型電子部品の製造方法。
樹脂偏在型内装用誘電体グリーンシートの樹脂が偏在していない面に電極ペースト膜を形成する工程、および
片面に電極ペースト膜を有する樹脂偏在型内装用誘電体グリーンシートの樹脂偏在面を、前記外装グリーン積層体の樹脂偏在面に積層する工程さらに含む(1)に記載の積層型電子部品の製造方法。
図1は積層型電子部品の代表例として積層セラミックコンデンサの断面図、
図2はグリーンチップの断面図、
図3は樹脂偏在型グリーンシートの断面図、
図4〜図8は、本発明の好ましい工程を示す。
図1に示すように、積層型電子部品の代表例である積層セラミックコンデンサ1は、層間誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成の内装部20Aと、電極層が形成されていない外側誘電体層4からなる下部外装部10A,上部外装部30Aとから構成されるコンデンサ素子本体5を有する。このコンデンサ素子本体5の両側端部には、素子本体5の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の端子電極6,6が形成してある。内部電極層3は、各側端面がコンデンサ素子本体5の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の端子電極6,6は、コンデンサ素子本体5の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
層間誘電体層2および外側誘電体層4は、誘電体磁器組成物で構成される。誘電体層2,4を構成する誘電体磁器組成物の組成は、特に限定されないが、たとえば、{(Ba(1−x−y)CaxSry)O}A(Ti(1−z)Zrz)BO2で表される誘電体酸化物を含む主成分を有するものが挙げられる。なお、A,B,x,y,zは、いずれも任意の範囲である。誘電体磁器組成物中に主成分と共に含まれる副成分としては、Sr,Y,Gd,Tb,Dy,V,Mo,Ho,Yb,Zn,Cd,Ti,Sn,W,Ba,Ca,Mn,Mg,Cr,Si,およびPの酸化物から選ばれる1種類以上を含む副成分が例示される。
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、誘電体層2,4の構成材料として、耐還元性を有する材料を使用する場合には、卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、Ni、Cu、Ni合金またはCu合金が好ましい。内部電極層3の主成分をNiなどの卑金属にした場合には、誘電体が還元されないように、低酸素分圧(還元雰囲気)で焼成するという方法がとられている。
端子電極6に含有される導電材は特に限定されないが、通常、CuやCu合金あるいはNiやNi合金等を用いる。なお、AgやAg−Pd合金等も、もちろん使用可能である。なお、本実施形態では、安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。
端子電極6の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
次に、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。
樹脂が片面に偏在している、樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシート11を準備する工程、
外装用誘電体グリーンシートを積層し、最上層に前記樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシートの樹脂偏在面が配置された外装グリーン積層体10を準備する工程、
片面に電極ペースト膜23を有する内装用誘電体グリーンシート21(22)を準備する工程および、
該内装用誘電体グリーンシート21(22)を、外装グリーン積層体10の樹脂偏在面に積層する工程を含む。
(1)樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシートの製造
本発明では、まず、図3に示すように、樹脂が片面に偏在している、樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシート11を調製する。誘電体グリーンシートは、バインダとしての樹脂成分と、誘電体セラミクス粒子とから形成される。本発明で使用する樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシート11とは、厚み方向において樹脂成分の濃度勾配が存在し、一方の面11aにおいて樹脂が高濃度に存在し、他方の面11bにおいては樹脂濃度が低いものを指す。以下の説明では、樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシート11の樹脂濃度が高い面11aを「樹脂偏在面」と呼び、樹脂濃度が低い面11bを「樹脂が偏在していない面」と呼ぶことがある。樹脂偏在面11aおよび樹脂が存在していない面11bは、樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシート11の断面をFE−SEM(Field Emission-Scanning Electron Microcope)により観察することで確認できる。
次いで、外装用誘電体グリーンシート11,12を複数枚積層し、外装グリーン積層体10を得る。具体的には、図4に示すように、金型などのプレス治具50上に、外装用誘電体グリーンシート12を積層し、最上層に前記樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシート11の樹脂偏在面11aが配置されるように、各層を積層し、外装グリーン積層体10を準備する。最上層に前記樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシート11の樹脂偏在面11aが配置されるようにすることで、外装グリーン積層体10の最上層は、樹脂成分由来の接着力を有する。したがって、外装グリーン積層体10の最上層と、その上に形成される内装グリーン積層体20を構成する内装用誘電体グリーンシートの第1層とが接着され、グリーン積層体のデラミネーション、特に、グリーン積層体を切断し、グリーンチップを得る際の、内装グリーン積層体20と外装グリーン積層体10との間でのデラミネーションが防止され、積層型電子部品の製造効率が向上する。
外装グリーン積層体10の最上面には、図5〜図8に示すように、片面に電極ペースト膜23を有する内装用誘電体グリーンシート21(または22)が積層される。内装用グリーンシートは、電極ペースト膜23が形成されていない側の面が、外装グリーン積層体10の最上面に積層される。
また、内装用グリーンシート22として、樹脂偏在型グリーンシート21を用いた場合には、樹脂偏在面21aの反対面、すなわち樹脂が偏在していない面21bに電極ペースト膜23を形成する。
また、ペーストの分散処理条件を変化させることによっても乾燥後のグリーンシートの密度を調整できる。具体的には、ペーストの分散処理時間を長くすることで、密度の高いグリーンシートを得ることができる。
グリーンシート積層体は、上記のように、外装用グリーンシート11,12を積層して、外装グリーン積層体10を得て、その上に電極ペースト膜23が形成された内装用誘電体グリーンシート21,22を積層して得られる。また、外装グリーン積層体10と、内装グリーン積層体20とを個別に準備し、これらを積み重ねても良い。
その後、得られたグリーン積層体をチップ状に切断してグリーンチップとし、このグリーンチップを焼成後、端子電極を形成することにより積層セラミックコンデンサが製造される。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る積層型電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る積層型電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上記構成を有するものであれば何でも良い。
外装用ペーストの作製
まず、出発原料として、主成分原料としてのBaTiO3粉末と、副成分原料としてのMgO、MnO、Y2O3、V2O5、SiO2およびCr2O3とを準備した。誘電体原料として平均粒子径が0.35μmの原料を使用した。そして、これらの出発原料をボールミルにより湿式混合することにより、誘電体原料を調製した。
上記にて調整した誘電体原料:100重量部とブチラール樹脂:6重量部と、トルエン:10重量部と、プロパノール4重量部と、メチルエチルケトン:20重量部とをボールミルで16時間混合して塗料化し、内装用ペーストを作成した。
Ni粒子:44.6重量部と、平均粒径0.1μmのBaTiO3 粉末:8重量部と、テルピネオール:52重量部と、エチルセルロース:3重量部と、ベンゾトリアゾール:0.4重量部とを、3本ロールにより混練し、スラリー化して電極層用ペーストを作製した。
次いで、上記にて調製した各ペーストを使用して、以下の方法により、グリーンチップを形成した。
まず、外装用ペーストをPETフィルム上に、乾燥後の厚みが5μmとなるように塗工、乾燥して、外装用グリーンシートを形成した。得られたグリーンシートを、FE−SEMを用いて断面観察して、樹脂偏在面がPETフィルム側に形成されていることを確認した。また得られた外装用グリーンシートの密度は3g/cm3であった。
次いで、PETフィルムとは反対側の面、すなわち、樹脂が偏在していない面上に電極用ペーストを用いて、電極ペースト膜を所定パターンで印刷した後、PETフィルムからシートを剥離することにより、電極ペースト膜を有する内装用グリーンシートを得た。
次いで、得られたグリーン積層体から、グリーンチップを所定サイズに切断した。
次いで、得られたグリーンチップの脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、積層セラミック焼成体(コンデンサ素子本体)を得た。
脱バインダ処理条件は、昇温速度:30℃/時間、保持温度:250℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。
なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、水温を5〜75℃としたウエッターを用いた。
得られたコンデンサ素子本体の側面をラップ盤にて研磨した後、断面を金属顕微鏡にて観測し、デラミネーションの有無を判定した。このときのサンプル数は1000個として、デラミネーション発生率を算出した。結果を表1に示す。
外装用グリーンシートの樹脂偏在面と、内装用グリーンシートの樹脂偏在面とが向き合うように外装用グリーンシートと内装用グリーンシートとを積層し、プレス温度40℃、圧力17kgf/cm2で1分圧着した。次いで、得られた積層シートを直径1cmφの円形単板となるように打ち抜き、接着強度測定用のサンプルを得た。サンプルの上下面に両面粘着シートを貼付し、両面粘着シートを介して、図9に示す接着強度測定機に装着し、上下方向に引っ張り、外装用グリーンシートと内装用グリーンシートとが剥離する際の引張強度を測定し、接着強度とした。結果を表1に示す。
外装用グリーンシートの厚みを10μmとした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
主成分原料として、粒子径が0.5μm以上の巨大粒子を除去したBaTiO3粉末を用いた以外は、実施例1と同様にして内装用ペーストを調製した。
上記内装用ペーストを用いて調製した、密度4g/cm2の内装用グリーンシートを使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
外装用ペーストにおけるブチラール樹脂の配合量を4重量部とした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、外装用グリーンシートをPETフィルム側に形成フィルムから剥離し、樹脂非偏在面が上方に配置されるようにして、10層を同方向で積層した以外は同様の操作を行って、樹脂非偏在層が最上面に配置された外装グリーン積層体を得た。
次いで、得られたグリーン積層体から、グリーンチップを所定サイズに切断した。
次いで、得られたグリーンチップを実施例1と同様に脱バインダ処理、焼成コンデンサ素子本体を得てデラミネーション発生率を算出した。結果を表1に示す。
2… 内部誘電体層
3… 内部電極層
4… 外側誘電体層
5… コンデンサ素子本体
6… 端子電極
7… グリーンチップ
10A… 下部外装部
20A… 内装部
30A… 上部外装部
10… 下部外装グリーン積層体
11… 樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシート
11a… 樹脂偏在面
11b… 樹脂が偏在していない面
12… 外装用誘電体グリーンシート
20… 内装グリーン積層体
21… 樹脂偏在型内装用誘電体グリーンシート
21a… 樹脂偏在面
21b… 樹脂が偏在していない面
22… 内装用誘電体グリーンシート
23… 電極ペースト膜
24… 余白パターン
30… 上部外装グリーン積層体
40… 剥離フィルム
50… プレス治具
Claims (6)
- 樹脂が片面に偏在している、樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシートを準備する工程、
外装用誘電体グリーンシートを積層し、最上層に前記樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシートの樹脂偏在面が配置された外装グリーン積層体を準備する工程、
片面に電極ペースト膜を有する内装用誘電体グリーンシートを準備する工程および、
該内装用誘電体グリーンシートを、外装グリーン積層体の樹脂偏在面に積層する工程を含む積層型電子部品の製造方法。 - 樹脂が片面に偏在している、樹脂偏在型内装用誘電体グリーンシートを準備する工程、
樹脂偏在型内装用誘電体グリーンシートの樹脂が偏在していない面に電極ペースト膜を形成する工程、および
片面に電極ペースト膜を有する樹脂偏在型内装用誘電体グリーンシートの樹脂偏在面を、前記外装グリーン積層体の樹脂偏在面に積層する工程さらに含む請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。 - 外装グリーン積層体の最下面に、前記樹脂偏在型外装用誘電体グリーンシートの樹脂が偏在していない面を配置する工程をさらに含む請求項1または2に記載の積層型電子部品の製造方法。
- 外装用誘電体グリーンシートの厚みが、内装用誘電体グリーンシートの厚みよりも厚い請求項1〜3のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
- 外装用誘電体グリーンシートの密度が、内装用誘電体グリーンシートの密度よりも小さい、請求項1〜4のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
- 外装用誘電体グリーンシートにおける樹脂の重量比が、内装用誘電体グリーンシートにおける樹脂の重量比よりも小さい、請求項1〜5のいずれかに記載の積層型電子部品の製造方法。
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