JP2005317776A - セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 セラミック素体を用いるセラミック電子部品において、外部電極のガラスフリットの耐めっき液溶解性が言われており、ガラス融点の上昇による外部電極の緻密性が高められているセラミック電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】 一般式(CaxSr(1-x))(TiyZr(1-y))O3で表わされるセラミックスを主成分とするセラミック素体の表面付近にTiO2、SiO2、ZrO2及びAl23からなる群から選択した少なくとも1種の酸化物を分布させた部分と少なくとも一部が重なるように、外部電極となるガラスを含む導電ペーストを塗布する工程と、導電ペーストを焼き付けて外部電極を形成すると同時に、ガラスにTiO2、SiO2、ZrO2及びAl23からなる群から選択した少なくとも1種の酸化物を拡散させる工程とを備える電子部品の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、セラミック素体を用いるセラミック電子部品に関し、特に、一般式(CaxSr(1-x))(TiyZr(1-y))O3[式中、0≦x<0.5、0
≦y≦0.1]で表わされるセラミックスを主成分とするセラミック素体の表面にガラスを含む外部電極が形成されている電子部品の製造方法に関する。
積層セラミックコンデンサは、セラミック素体に外部電極が形成されている構造を有する電子部品の代表的なものの一つである。図5に示すように積層セラミックコンデンサ51は、直方体状のセラミックス素体52を有する。セラミックス素体52内には、複数の内部電極54、55がセラミック層を介して形成されている。セラミック素体52の相対向する第1および第2の端面56、57上に形成される第1及び第2の外部電極58、59が形成されている。
内部電極54は、第1の外部電極58に電気的に接続されるように第1の端面56上にまで引き出されている。内部電極55は、第2の端面57上にまで引き出されている。
なお、内部電極54及び55は、セラミックと同時焼成が可能な、Pdや、Ag−Pdなどの金属粉末を導電成分とする導電ペーストを用いて形成されている。また、外部電極58、59は、焼成されたセラミック素体52に導電ペーストを塗布して焼き付けることにより形成されている。外部電極58、59を形成するための導電ペーストとしては、通常、AgやAg−Pdなどの金属粉末と、ホウケイ酸亜鉛系ガラスなどからなるガラスフリットと、有機ビヒクルとを含む導電ペーストが用いられている。
積層セラミックコンデンサとして、内部電極がNiを主成分とし、外部電極がCuを主成分としたものが知られている。Ni及びCuのような卑金属により、内部電極及び外部電極をそれぞれ構成することにより、積層セラミックコンデンサのコストダウンが図られる。
積層セラミックコンデンサの外部電極は、半田付け性の向上、外部電極との密着性および膜相互間の密着性の向上、あるいは、Agを含む場合にはAgの半田食われの抑制、等を目的として、半田またはSn等からなる膜を電気めっきにより形成し、あるいは、NiまたはCu等からなる膜を電気めっきにより形成した後、さらに、半田またはSn等からなる膜を電気めっきにより形成される。しかしながら、焼付けにより形成された外部電極は比較的ポーラスであるため、このめっき工程において、めっき液が外部電極を通ってセラミック積層体内に浸入することがある。このように、めっき液がセラミック積層体内に浸入したとき、得られた積層セラミックコンデンサの絶縁抵抗(IR)特性や耐湿負荷特性等を劣化させたり、セラミック積層体に含まれるセラミック層間の剥がれを生じさせたりすることがある。
この問題を解決するため、下記の特許文献1では、金属粉末を含む外部電極導電ペーストであって、ガラスにTiO2、ZrO2、Al23等を含ませることにより、耐めっき液性の向上が図られている。
一方、下記特許文献2には、一般式(CaxSr(1-x))(TiyZr(1-y))O3で表わされるセラミックスを主成分とし、副成分としてMn酸化物をMnOに換算して0.2〜5モル%、Al酸化物をAl23に換算して0.1〜10モル%及び[(BazCa1-z)O]ySiO2で表わされる(但し、zは0〜1、vは0.5〜4.0)成分を0.5〜15モル%含有する非還元性誘電体磁器材料が開示されている。この非還元性誘電体磁器材料を用いることにより、1300℃以下で焼結することができ、静電容量の温度係数は小さくてもよいとされている。また、内部電極間のセラミック層を薄くしても、絶縁抵抗の加速寿命時間を長くでき、信頼性を高め得るとされている。
特許文献3には、温度補償用の積層セラミックコンデンサの材料として、容量温度特性に優れた、一般式(CaxSr(1-x))(TiyZr(1-y))O3で表わされるセラミックスを主成分とし、副成分としてSi酸化物をSiOに換算して0.5〜2.5モル%、MnO酸化物をMnOに換算して0.5〜3.5モル%及びAl酸化物をAl23に換算して0.01〜10モル%を含有する誘電体磁器材料が開示されている。当該特許文献に係る誘電体磁器材料は、1300℃以下の温度で、非還元性雰囲気下で焼成することができ、高温負荷試験において不良が生じ難いとされている。
他方、特許文献4には、セラミック積層体の端面と、導電ペーストの焼付けにより形成される外部電極との間にSi系ガラスペーストを塗布しておくことにより、セラミック積層体へのめっき液の侵入による悪影響を抑制し得るとされている。
特開平06−309921号公報 特開平10−335169号公報 特開2003−212650号公報 特開平10−135063号公報
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、ガラスにTiO2、ZrO2、Al23等を含ませた場合、ガラスの融点が高くなり、外部電極を焼き付けて形成する際に、低い温度からガラスが溶融しなくなるため、外部電極の焼結が不十分となり、緻密な外部電極にならないという問題があった。すなわち、外部電極が緻密ではないため、外部電極の表面に湿式めっきによりめっき層を形成する際に、外部電極を通ってセラミック素体にめっき液が侵入しがちであった。
一方、特許文献2及び3に記載の構成では、Zrに対するTiの比率が高いほど温度特性の傾きが大きくなるため、CK特性(温度許容差0±250ppm/℃)を満足するためには、少なくともTiの比率をZrに対して10mol%以下にすることが必要であった。また、一般式(CaxSr(1-x))(TiyZr(1-y))O3で表わされるセラミックスを主成分とする誘電体磁器材料の場合、セラミック素体中のCaが、外部電極中のセラミック素体近傍のガラスに拡散することにより、さらにガラスの耐めっき液性が低下することがあった。さらに、このような材料を用いて積層セラミックコンデンサを作製した場合、外部電極の表面にめっき層を形成する際に、外部電極を通ってセラミック素体内部にめっき液が侵入し残留することにより、絶縁抵抗不良となることがあった。
他方、特許文献4に記載の構成では、外部電極の緻密性は向上するが、内部電極露出部分をSiガラスペーストで覆うために、外部電極と内部電極が接触しにくくなり、静電容量が低下するという問題があった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、一般式(CaxSr(1-x))(TiyZr(1-y))O3[式中、0≦x<0.5、0≦y≦0.1]で表わされるセラミックスを主成分とするセラミック素体と、セラミック素体の表面にガラスを含む外部電極を形成した電子部品であって、外部電極のガラスフリットの耐めっき液溶解性を向上させるとともに、ガラス融点の上昇を抑えることで、外部電極の緻密性を向上させ、めっき液侵入による不具合が生じ難いセラミック電子部品の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本願発明は、一般式(CaxSr(1-x))(TiyZr(1-y))O3[式中、0≦x<0.5、0≦y≦0.1]で表わされるセラミックスを主成分とするセラミック素体の表面にガラスを含む外部電極が形成されている電子部品であって、セラミック素体の表面付近にTiO2、SiO2、ZrO2及びAl23からなる群から選択した少なくとも1種の酸化物を分布させる工程の後に、前記酸化物を分布させた部分と少なくとも一部が重なるように、ガラスを含む導電ペーストを塗布する工程と、前記導電ペーストを焼き付けて外部電極を形成すると同時に、ガラスに前記酸化物を拡散させる工程とを備える電子部品の製造方法とすることを特徴としている。
本発明の特定的な局面では、セラミック素体の表面付近にTiO2、SiO2、ZrO2及びAl23からなる群から選択した少なくとも1種の酸化物を分布させる工程は、セラミック素体の表面に前記酸化物の粒子を付着させることにより行われる電子部品の製造方法とすることを特徴としている。
さらに、本発明の特定的な局面では、ガラスに拡散させる酸化物は、TiO2であり、セラミック素体の表面付近にTiO2を分布させる工程は、セラミック素体を積層構造とし、積層構造の外層としてTiO2を20mol%以上含むセラミック層を配置することにより行われる電子部品の製造方法とする。
本願発明の製造方法では、一般式(CaxSr(1-x))(TiyZr(1-y))O3[式中、0≦x<0.5、0≦y≦0.1]で表わされるセラミックスを主成分とするセラミック素体の表面近傍に、TiO2、SiO2、ZrO2及びAl23からなる群から選択した少なくとも1種の酸化物が分布された後に、外部電極が焼付けられて形成される。従って、外部電極のセラミック素体の表面近傍に、TiO2、SiO2、ZrO2及びAl23からなる群から選択した少なくとも1種の酸化物が拡散される。よって、外部電極の耐めっき液溶解性が高くなり、上記酸化物の拡散によるガラス融点の上昇が起こらないので、外部電極の緻密性も向上する。従って、外部電極のガラスフリットの耐めっき液溶解性と外部電極の緻密性をともに向上することができ、セラミック素体内部へのめっき液の侵入を抑制することができる。
セラミック素体の表面にTiO2、SiO2、ZrO2及びAl23からなる群から選択した少なくとも1種の酸化物の粒子が付着されて、セラミック素体の表面付近に酸化物が分布される場合には、酸化物の粒子がガラスに拡散しやすく、従って耐めっき液溶解性などの効果をより高めることができる。
積層構造を有するセラミック素体の表面付近のガラスに拡散させる酸化物としてTiO2を用い、積層構造の外層としてTiO2を20mol%以上含むセラミック層が配置されている場合には、導電ペーストを焼き付けて外部電極を形成する際に、外部電極のTiO2が効果的に拡散される。従って、外部電極の耐めっき液溶解性が向上し、めっき液によるガラスの侵食を抑制することができる。
以下図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
以下に本発明に係る第1の実施形態を示す。
図1には、本発明の一実施形態である積層セラミックコンデンサ1の正面断面が図解的に示されている。周知のように、積層セラミックコンデンサ1は、積層された複数のセラミック層2及び複数のセラミック層2間の複数の特定の界面に沿って延びる複数の内部電極3及び4を含む直方体状のセラミック素体5と、このセラミック素体5の相対向する第1及び第2の端面6及び7上にそれぞれ形成される第1および第2の外部電極8及び9とを備えている。
内部電極3、4は、2つのグループに分類され、第1の外部電極8に電気的に接続されるように第1の端面6上にまで引き出される第1グループの内部電極3と、第2の外部電極9に電気的に接続されるように第2の端面7にまで引き出される第2グループの内部電極4とが積層方向に関して交互に配置されている。
内部電極3、4及び外部電極8、9を構成させるための成分は、特に限定されないが、本実施形態では、内部電極3及び4はNiを主成分として、外部電極8及び9はCuを主成分としている。
また、外部電極8及び9は、ガラスを含む導電ペーストの焼付けにより形成されるものであり、これらの外部電極上には、湿式めっきによるNiめっき膜及びSnめっき膜10及び11が形成されている。めっき膜10及び11は、外部電極8、9の耐熱性及びはんだ付け性を向上させる目的で設けられている。
本実施形態の特徴は、セラミック素体5の端面6及び7にTiO2、SiO2、ZrO2及びAl23からなる群から選択した1種の酸化物を分布させた後に、ガラスを含む導電ペーストを塗布し、導電ペーストを焼付けて外部電極8及び9を形成することにある。
なお、本発明に係るセラミック素体の表面にTiO2、SiO2、ZrO2及びAl23からなる群から選択した1種の酸化物を分布させる工程は、本実施形態では、酸化物粉末のいずれかに浸漬し、乾燥することで分布させたが、本実施例に特に限定されるものではなく、セラミック素体の表面に酸化物粉末を吹き付けて付着させ、乾燥することで分布させるなどしてもよい。
すなわち、TiO2、SiO2、ZrO2及びAl23からなる群から選択した1種の酸化物をセラミック素体表面に分布させた後に、前記酸化物を分布させた部分と少なくとも一部と重なるように、ガラスを含む導電ペーストを塗布し、導電ペーストを焼付けて外部電極を形成すれば、前工程で付着した酸化物が、セラミック素体表面から外部電極8、9へと拡散することとなる。
次に、図1に示す積層セラミックコンデンサ1の製造方法の具体的実施例を説明する。
原料としてCaZrO3 粉末を用意し、CaZrO3 粉末とバインダーを分散させセラミックスラリーを得た。
セラミックスラリーをポリエチレンテレフタレートフィルム上に、焼成後の厚みで、内層用セラミックシートは5μm、外層用セラミックシートは10μmとなるように2種のセラミックグリーンシートを得た。セラミックグリーンシート上に、内部電極ペーストとしてNiペーストを塗布し、乾燥し、内部電極ペーストが印刷された複数枚のセラミックグリーンシートを得た。
印刷されたセラミックグリーンシートを打ち抜き、電極が交互となるよう上下に無地の複数枚の外層用セラミックグリーンシートを積層し、厚み方向に加圧し積層体を得た。この積層体は、内部電極を印刷したセラミックグリーンシート50枚と、外層セラミックシートとして片側15枚、上下を合わせ30枚が積層されている。
積層体をプレスしシート同士を密着させ、その後、積層体をチップ形状にカットし、未焼成のセラミック積層体を得た。この未焼成のセラミック積層体を、300℃条件下で脱脂し、1250℃及び2.5×10-10MPa条件下で焼成し、セラミック素体を得た。
作製された焼成済セラミック素体を、TiO2、SiO2、ZrO2及びAl23からなる群から選択した1種の酸化物粉末のいずれかに浸漬し、乾燥することでセラミック素体の表面に酸化物を分布させた後、Cu導電ペーストを塗布し、焼付けを行い、Cu導電ペーストが焼付けられた外部電極を形成した。さらに、湿式めっきにより、Niめっき及びSnめっきを順次施し、外部電極上に、Niめっき膜及びSnめっき膜を形成することで試料番号1〜4の積層セラミックコンデンサを作製した。
試料番号1はセラミック素体の表面にTiO2酸化物を分布させたもの、試料番号2はSiO2酸化物中を分布させたもの、試料番号3はZrO2酸化物中を分布させたもの、試料番号4はAl23酸化物中を分布させたものである。
一方、セラミック素体の表面に、上記試料番号1〜4のように酸化物を分布させる工程を行わず、セラミック素体表面に酸化物が分布していないセラミック素体に、Cu導電ペーストを塗布し、焼付けを行い、Cu導電ペーストが焼付けられ外部電極が形成されているセラミック素体に対し、湿式めっきにより、Niめっき及びSnめっきを順次施し、外部電極上に、下地めっき膜としてのNi膜および外面めっき膜としてのSn膜を形成することで試料番号5の積層セラミックコンデンサを作製した。
また、セラミック素体の表面に、上記試料番号1〜4のように酸化物を分布させる工程を行わず、セラミック素体表面に酸化物が分布していないセラミック素体に、ガラスを含む導電ペーストを塗布し、焼付けを行い、次いでCu導電ペーストを塗布し、焼付けを行い、ガラスを含む導電ペーストが焼付けられた外部電極が形成されているセラミックス素体に対し、湿式めっきにより、Niめっき及びSnめっきを順次施し、外部電極上に、Niめっき膜及びSnめっき膜を形成することで試料番号6の積層セラミックコンデンサを作製した。
さらに、セラミック素体の表面に、上記試料番号1〜4のように酸化物を分布させる工程を行わず、セラミック素体表面に酸化物が分布していないセラミック素体に、TiO2粉末を後添加したCu導電ペーストを塗布し、焼付けを行い、ガラスを含む導電ペーストが焼付けられた外部電極が形成されているセラミック素体に対し、湿式めっきにより、Niめっき及びSnめっきを順次施し、外部電極上に、Niめっき膜及びSnめっき膜を形成することで試料番号7の積層セラミックコンデンサを作製した。
実施例である試料番号1〜4の積層セラミックコンデンサ及び比較例である試料番号5〜7の積層セラミックコンデンサについて、湿式めっきによる外面めっき膜形成時のSnめっき液の浸漬時間を変化させ、絶縁抵抗測定試験を行った。
絶縁抵抗測定試験における絶縁抵抗率と絶縁抵抗不良発生率の結果を図2に示す。
絶縁抵抗測定試験では、試料番号1〜4ではいずれも絶縁不良発生は見られなかった。セラミック素体の表面に分散した酸化物が、ガラスを含む導電ペーストを焼付けて外部電極を形成すると同時に、ガラスに酸化物が拡散することにより、ガラスの融点は高くならず外部電極が緻密に焼結するとともに、耐めっき液溶解性が向上し、めっき液の侵入が抑制されたためである。試料番号6では、同様に絶縁不良発生は見られなかった。内部電極露出部分がガラス層で覆われているため、めっき液がセラミック素体内部への侵入が抑制されたたためである。
一方、試料番号5及び7ではSnめっきが長時間化するほど絶縁抵抗不良発生率が増加している。試料番号5では、めっき液がセラミック素体内部に侵入したため、試料番号7では、TiO2後添加したことによりガラスの融点が上昇し、外部電極がポーラスになっており、めっき液の侵入が抑制できなかったためである。
図3(a),(b)に、外部電極がセラミック素体に接する部分をX線マイクロアナライザー(EDX)で観察した画像、試料番号1の積層セラミックコンデンサのEDX画像3A及び試料番号5の積層セラミックコンデンサのEDX画像3Bを示す。
試料番号1の積層セラミックコンデンサのEDX画像では、外部電極がセラミック素体に接する部分にTiO2の酸化物の含有量が高いガラス層が形成されている。よって、セラミック素体の表面に分散した酸化物が、ガラスを含む導電ペーストを焼付けて外部電極を形成すると同時に、ガラスに酸化物が拡散することにより、耐めっき液溶解性が向上し、めっき液の侵入が抑制された。一方、試料番号5の積層セラミックコンデンサのEDX画像ではセラミック素体表面に酸化物を分布させる工程を行っていないため、TiO2の酸化物の含有量が高いガラス層が形成されていない。
次に、各試料を50V、120秒受電した後ステンレス板で急放電を行った前後の静電容量の変化率を求める試験、すなわち急放電試験を行った。
変化率2%以上を不良とし、静電容量低下不良発生数の結果を表1に示す。
Figure 2005317776
急放電試験では、試料番号1〜4ではいずれも静電容量低下不良発生は見られなかった。試料番号5及び7では、同様に静電容量低下不良発生は見られなかった。一方、試料番号6では静電容量低下不良発生が見られた。セラミック素体表面がガラス層で覆われているため、外部電極と内部電極の接触が不完全であったためである。
次に、本発明に係る第2の実施形態を示す。
図4には、第2の実施形態による積層セラミックコンデンサ21の正面断面が図解的に示されている。
図4に示した積層セラミックコンデンサ21のセラミック素体22は内部電極間に挟まれた内層23と外層24、25とを有する。
本実施形態において、セラミック素体22の外層24及び25は、Ti比率がTiO2換算で20mol%以上であるセラミック材料を用いて構成されていることを特徴としている。
積層セラミックコンデンサ21のセラミック素体22では、内部電極間に挟まれた内層23を挟むように外層24及び25が積層されている。
本実施形態の特徴は、外層24及び25のTi比率がTiO2換算で20mol%以上からなるセラミック素体であり、ガラスを含む導電ペーストを塗布し、導電ペーストを焼付けて外部電極26及び27を形成することにある。
すなわち、外層24及び25のTi比率がTiO2換算で20mol%以上であるので、ガラスを含む導電ペーストを塗布し、導電ペーストを焼付けて外部電極を形成すれば、セラミック素体22の外層24、25中のTiO2がセラミック素体表面から、外部電極26、27へ拡散する。従って、外部電極の耐めっき液溶解性が高くなり、TiO2の拡散によるガラス融点の上昇が起こらないので、外部電極の緻密性も向上する。よって、外部電極のガラスフリットの耐めっき液溶解性と外部電極の緻密性をともに向上することができ、セラミック素体内部へのめっき液の侵入を抑制することができる。
セラミック素体22の外層24及び25のTi比率がTiO2換算で20mol%以上であるセラミックス材料を用いた場合、外部電極部分にTiO2が拡散される。Ti比率が換算で20mol%より小さい場合は、外部電極部分にTiO2が十分拡散されず、外部電極の耐めっき液溶解性が劣ることとなる。
なお、外層24及び25としてTi比率がTiO2換算で20mol%以上含むセラミック層を配置することが、セラミック素体表面付近にTiO2を分布させる工程に相当する。
次に、図4に示す積層セラミックコンデンサ21の製造方法の具体的実施例を説明する。
内部電極間に挟まれた内層用の原料として、Ti比率がTiO2換算で、0mol%(CG/COG特性)、10mol%(CK/COK特性)のチタン酸ジルコン酸カルシウムCaTiZrO3 を主成分とするセラミック材料と、外層用の原料として、Ti比率がTiO2換算で、0、10、20、30、50、100mol%のチタン酸ジルコン酸カルシウムを主成分とするセラミック材料を用意した。
上記原料とバインダーを分散させセラミックスラリーを得た。
セラミックスラリーをポリエチレンテレフタレートフィルム上に焼成後の厚みで、内層用のセラミックシートは5μm、外層用のセラミックシートは10μmとなるように2種のセラミックグリーンシートを得た。セラミックグリーンシート上に、内部電極ペーストとしてNiペーストを塗布し、乾燥し、内部電極ペーストが印刷された複数枚のセラミックグリーンシートを得た。
印刷されたセラミックグリーンシートを打ち抜き、上下に無地の複数枚の外層用のセラミックグリーンシートを積層し、厚み方向に加圧し、内部電極を印刷したセラミックグリーンシート50枚、外層用セラミックグリーンシート片側15枚上下合わせて30枚が積層されている。
積層体をプレスしシート同士を密着させ、その後、積層体をチップ形状にカットし、未焼成のセラミック積層体を得た。この未焼成の積層体を、300℃条件下で脱脂し、1250℃及び2.5×10-10MPa条件下で焼成し、セラミック素体を得た。
作製された焼成済セラミック素体にCu導電ペーストを塗布し、焼付けを行い、Cu導電ペーストが焼付けられた外部電極を形成した。さらに、湿式めっきにより、Niめっき及びSnめっきを順次施し、外部電極上に、Niめっき膜及びSnめっき膜を形成することで試料番号8〜18の積層セラミックコンデンサを作製した。
得られた内部電極間に挟まれた内層、外層でTiO2含有量の異なるチップ積層セラミックコンデンサ各100個に対して、70℃、95%RH、100V,1000時間の耐湿負荷試験を行った。絶縁抵抗値が109Ω未満となった場合、耐湿負荷不良とした。
耐湿負荷試験における耐湿負荷試験不良発生数の結果を表2に示す。
Figure 2005317776
耐湿負荷試験では、内部電極間に挟まれた内層及び外層いずれかにチタン酸ジルコン酸カルシウムCaTiZrO3を主成分とするセラミック材料を用いた場合、X線マイクロアナライザー(EDX)による観察において、TiO2拡散が確認された。
内部電極間に挟まれた内層用の原料として、Ti比率がTiO2換算で、0mol%(CG/COG特性)、10mol%(CK/COK特性)のチタン酸ジルコン酸カルシウムCaTiZrO3 を主成分とするセラミック材料を用いた場合、外層用の原料としてTi比率がTiO2換算で20mol%以上である場合、耐湿負荷試験不良は発生しなかった。逆に、外層用の原料として、Ti比率が20mol%より少ない場合は、その比率が減少するに伴い、耐湿負荷試験不良発生数は増加する傾向にあった。耐湿負荷試験不良はIR劣化であり、水分素体への浸入が原因と考えられる。
また、内部電極間に挟まれた内層用の原料として、Ti比率がTiO2換算で、0mol%(CG/COG特性)の場合は、10mol%(CK/COK特性)の場合と比較し、耐湿負荷試験不良発生数は増加する傾向にあった。
従って、セラミック素体のTiO2が外部電極のガラスに拡散することで、外部電極のシール性が確保され、めっき液の積層体内部への侵入が抑制されたためと考えられる。しかし、TiO2拡散があっても、セラミック素体のTiO2が少なく、TiO2拡散の効果が小さい場合は、ガラスの耐めっき液溶解性の向上効果が少なく、ガラスがめっき液に侵食された結果、外部電極のシール性が低下した。
以上、極めて具体化した実施例について説明したが、これらは、この発明の範囲内に含まれる種々の実施形態から比べると、単なる例示に過ぎない、と理解すべきである。たとえば、第1の実施形態では、CaZrO3 を主成分とするセラミック材料、第2の実施形態ではCaTiZrO3を主成分とするセラミック材料が用いられたが、セラミック材料に関しては、一般式(CaxSr(1-x))(TiyZr(1-y))O3を主成分とするセラミック材料であれば、何ら限定されるものではない。
上記主成分において、yすなわち比Ti/(Ti+Zr)が0.1を越えると、本発明の一実施形態である積層セラミックコンデンサにおいて、静電容量温度特性がJIS規格のCΔ(CG、CH、CJ、CK)特性を満足しない。また、このyの値を0〜0.1の間で変化させることにより、静電容量温度特性をCG特性〜CK特性の範囲で任意に調整することができる。
なお、積層セラミックコンデンサの温度特性とは、静電容量の温度による変化率を意味し、一般に温度係数と称されており、ppm/℃で表されている。上記温度係数は次の式で与えられる。
温度係数=(C1 −C0 )×106 /(Ti −T0
ここで、C1 及びC0 は、それぞれ、温度Ti ,T0 における静電容量を示す。温度補償用セラミックコンデンサの温度特性は、上記温度係数と、温度係数許容差を組み合わせ、アルファベット2文字で表されている。
ここで、上記CG特性及びSL特性の意味は、下記の表3及び表4から明らかなように、それぞれ、温度係数が0ppm/℃かつ温度係数許容差が±30ppm/℃であること、並びに温度係数が+350〜−1000の範囲であることを示す。
Figure 2005317776
Figure 2005317776
なお、本発明にかかるセラミック電子部品は、積層セラミックコンデンサやセラミック多層基板などが挙げられ、特に限定されない。
本願発明は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
第1の実施形態におけるセラミック電子部品である積層セラミックコンデンサの正面断面図である。 第1の実施形態における試料番号1〜7の絶縁抵抗測定試験における絶縁抵抗率と絶縁抵抗不良発生率との関係を示す図である。 (a),(b)は、それぞれ、第1の実施形態における試料番号1及び5の外部電極がセラミック素体に接する部分をX線マイクロアナライザー(EDX)で観察した画像を示す図である。 第2の実施形態におけるセラミック電子部品である積層セラミックコンデンサの正面断面図である。 従来のセラミック電子部品の例である積層セラミックコンデンサの正面断面図である。
符号の説明
1…積層セラミックコンデンサ
2…セラミック層
3…内部電極
4…内部電極
5…セラミック素体
6…第1の端面
7…第2の端面
8…外部電極
9…外部電極
10…めっき膜
11…めっき膜
21…積層セラミックコンデンサ
22…セラミック素体
23…内層
24…外層
25…外層
26…外部電極
27…外部電極

Claims (3)

  1. 一般式(CaxSr(1-x))(TiyZr(1-y))O3[式中、0≦x<0.5、0≦y≦0.1]で表わされるセラミックスを主成分とするセラミック素体の表面にガラスを含む外部電極が形成されている電子部品の製造方法であって、
    セラミック素体の表面付近にTiO2、SiO2、ZrO2及びAl23からなる群から選択した少なくとも1種の酸化物を分布させる工程と、
    前記酸化物を分布させた部分と少なくとも一部が重なるように、ガラスを含む導電ペーストを塗布する工程と、
    前記導電ペーストを焼付けて外部電極を形成すると同時に、ガラスに前記酸化物を拡散させる工程とを備えることを特徴とする電子部品の製造方法。
  2. セラミック素体の表面付近にTiO2、SiO2、ZrO2及びAl23からなる群から選択した少なくとも1種の酸化物を分布させる工程は、
    セラミック素体の表面に前記酸化物の粒子を付着させることにより行われる、請求項1に記載の電子部品の製造方法。
  3. ガラスに拡散させる酸化物は、TiO2であり、
    セラミック素体の表面付近にTiO2を分布させる工程は、
    セラミック素体を積層構造とし、積層構造の外層としてTiO2を20mol%以上含むセラミック層を配置することにより行われる、請求項1に記載の電子部品の製造方法。
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