JP2006188414A - 圧電磁器組成物、及び圧電セラミック電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電特性と抗電界の双方を向上させることが可能な圧電磁器組成物及びこれを用いて製造された圧電セラミック電子部品を得る。
【解決手段】セラミック素体4を形成する圧電磁器組成物が、一般式{xBiMeO−yPbZrO−(1−x−y)PbTiO}(ただし、MeはSc又はIn)で表される複合ペロブスカイト型化合物を主成分とし、x、yが0.00<x<0.30、0<y<1.00、0.30<(x+y)<1.00の範囲にあり、かつ、主成分100モルに対しNb、Ta、Sb及びWの中から選択された少なくとも1種の元素を0.001〜3.0モルで含有している。また、上記一般式にzPb(M11/3M22/3)O(M1はNi、Mg、Zn、M2はNb、Ta、Sb)を固溶させて主成分としてもよい。さらに、Ag又はCuを0.001〜3.0重量%含有するのも好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は圧電磁器組成物及び圧電セラミック電子部品に関し、より詳しくは、複合ペロブスカイト型化合物を主成分とする圧電磁器組成物、及びこれを用いて製造された積層圧電スピーカや圧電ポンプ等の圧電セラミック電子部品に関する。
積層圧電スピーカ等の積層型圧電セラミック電子部品は、通常、セラミック層と内部電極層とを交互に積層した積層体が焼結されてなる。
ところで、この種の積層型圧電セラミック電子部品では、その小型化、高変位量化に伴い、セラミック層を薄層化することが行われているが、セラミック層を薄層化すると、一層当たりに印加される電圧が高くなる。一方、セラミック層が、抗電界の低いセラミック材料で形成されている場合は抗電界以上の交流電界を印加すると脱分極が生じて圧電体の分極が消滅し、圧電効果が得られなくなるおそれがある。すなわち、セラミック層を薄層化する場合は、従前の圧電材料に比べて抗電界の高い圧電材料が要求されることとなる。
抗電界の高い圧電材料としては、従来より、BiMeO−PbTiO系セラミック材料が知られている(特許文献1、非特許文献1〜3)。
特許文献1は、一般式{(1−x)BiMeO−xPbTiO}(MeはSc、In、Gd、Y、Yb、希土類金属、Mg、及びZrの中から選択された少なくとも1種を示す)で表されるペロブスカイト型化合物を主成分とすると共に、モル比xを0.50<x<0.90とし、さらに、La、Mn、Nb、Sn、Ba、Na、K、Ni、及びSrの中から選択された少なくとも1種の元素を添加することにより、キュリー温度Tcを400℃以上に高くすることができ、これにより、抗電界の高いセラミック材料を得ることができる。
また、非特許文献1では、一般式{(1−x)BiScO−xPbTiO}(x=0.64)を主成分とするセラミック材料は、450℃以上の高いキュリー温度Tcを有し、また、BiInO−PbTiOやBiYbO−PbTiOを主成分とするセラミック材料は、600℃以上の高いキュリー温度Tcを有することが報告されている。
また、非特許文献2では、(1−x)BiScO−xPbTiOからなる固溶体を主成分とするセラミック材料は、MPB相境界でキュリー温度Tcが450℃と高く、圧電定数d33が500pC/Nの良好な圧電特性を得ることができ、またMPB相境界よりも正方晶側に偏位したxが0.75〜0.95の組成領域で約500℃の高いキュリー温度Tcが得られることが報告されている。さらに、この非特許文献2では、PbSnO−PbTiO−BiScOを主成分とする3成分系セラミック材料も高いキュリー温度Tcを得ることが可能であると報告されている。
また、非特許文献3では、BiScO−Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiOを主成分とする固溶体は、MPB相の生成が容易であり、斯かるMPB相でキュリー温度Tcの高いセラミック材料を得ることができることが報告されている。
米国特許出願公開US2003/0031622A1公報 Richard E. Eitel 他5名「New High Temperature Morphotropic Phase Boundary Piezoelectrics Based on Bi(Me)O3-PbTiO3 Ceramics」 Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 40 (2001) pp. 5999 - 6002 C. A. Randall 他5名「High Performance, High Temperature Perovskite Piezoelectric Ceramics」Piezoelectric Single Crystals and Their Application pp.346 - 365 Edward F. Alberta 他2名「High Temperature Morphotropic Phase Boundary Piezoelectrics」2003 IEEE Ultrasonics Symposium Part 2 pp. 1991 - 1994 (2003)
しかしながら、特許文献1、及び非特許文献1〜2に記載のBiMeO−PbTiOを主成分とした2成分系セラミック材料は、比較的高い抗電界を得ることができるものの、ペロブスカイト相が不安定であるため、良好な圧電特性を有する結晶相(MPB(Morphotropic Phase Boundary)相)を安定的に生成するのが困難であるという問題点があった。
また、非特許文献3は、ペロブスカイト相の安定化を図ることができるが、圧電特性に関しては、未だ満足すべき結果を得られていないという問題点があった。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、圧電特性と抗電界Ecの双方を向上させることが可能な圧電磁器組成物、及びこれを用いて製造された積層圧電スピーカ等の圧電セラミック電子部品を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を行ったところ、BiMeO−PbTiOにPbZrOを所定量配合した3成分系の複合ペロブスカイト型化合物は、結晶相を安定化することができて抗電界を向上させることができ、さらに、前記複合ペロブスカイト型化合物100モルに対しNb、Ta、Sb、及びWの中から選択された少なくとも1種の元素を0.001〜3モルの範囲で添加させることにより、電気機械結合係数kや比誘電率εr(=ε33 T)を増大させることができ、これにより圧電特性を向上させることができると共に、従来の所謂low−Qm材(例えば、機械的品質係数Qmが70〜100のPb(Ni,Nb)ZrTiO3等のソフト系材料)に比べ、機械的品質係数Qmの小さい圧電磁器組成物を得ることができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る圧電磁器組成物は、一般式{xBiMeO−yPbZrO−(1−x−y)PbTiO}(ただし、MeはSc及びInのうちの少なくともいずれか1種の元素を示す。)で表される複合ペロブスカイト型化合物を主成分とし、前記x、yが0.00<x<0.30、0<y<1.00、0.30<(x+y)<1.00の範囲とされ、かつ、前記主成分100モルに対し、Nb、Ta、Sb、及びWの中から選択された少なくとも1種の元素が0.001〜3.0モル含有されていることを特徴としている。
また、本発明者らが、更なる鋭意研究を行った結果、前記主成分にPb(M11/3M22/3)O(M1はNi、Mg、及びZnの中から選択された少なくとも1種の元素、M2はNb、Ta、及びSbの中から選択された少なくとも1種の元素)を所定量配合させることにより、電気機械結合係数kや比誘電率εrをより一層向上させることができ、これにより、圧電特性のより一層の向上を図ることができるということが分かった。
すなわち、本発明の圧電磁器組成物は、一般式{xBiMeO−yPbZrO−zPb(M11/3M22/3)O−(1−x−y−z)PbTiO}(ただし、MeはSc及びInのうちの少なくともいずれか1種の元素、M1はNi、Mg、及びZnの中から選択された少なくとも1種の元素、M2はNb、Ta、及びSbの中から選択された少なくとも1種の元素をそれぞれ示す。)で表される複合ペロブスカイト型化合物を主成分とし、前記x、y、zが0.00<x<0.30、0<y<1.00、0.00<z≦0.50、0.30<(x+y+z)<1.00の範囲にあり、かつ、前記主成分100モルに対し、Nb、Ta、Sb及びWの中から選択された少なくとも1種の元素が0.001〜3.0モル含有されていることを特徴としている。
また、圧電セラミック電子部品の変位量を大きくするには内部電極層とセラミック層とを交互に積層した積層型とするのが好ましく、また、斯かる積層型の圧電セラミック電子部品は内部電極層とセラミック層とを共焼結して製造するのが望ましい。
内部電極材料としては、経済的観点からはPtやPdに比べて比較的安価なAgやCuを使用するのが好ましいが、Agの融点は963℃であり、Cuの融点が1083℃であることからいずれも融点が低く、したがって内部電極層とセラミック層とを首尾よく共焼結させるためにはセラミック層の焼結温度をAgやCuの融点以下とする必要がある。
そこで、本発明者らが、更に鋭意研究を行ったところ、上述した圧電磁器組成物中にAg及びCuのうちの少なくとも一方を0.001〜3.0重量%含有させることにより、内部電極材料にAgやCuを使用した場合であってもこれら内部電極材料が融解することなく共焼成させることができ、したがって低温焼成が可能になることから、低コストで大きな変位量を有する積層型の圧電セラミック電子部品を得ることができることが分かった。
すなわち、本発明の圧電磁器組成物は、Ag及びCuのうちの少なくとも一方の元素が0.001〜3.0重量%含有されていることを特徴としている。
また、前記BiMeO−PbZrO−PbTiO系、又は前記BiMeO−PbZrO−Pb(M11/3M22/3)O−PbTiO系のセラミック材料において、Pbの一部を10モル%以下(0モル%を含まず。)のBa、Sr、Caで置換することにより、より一層良好な圧電特性を有する圧電磁器組成物を得ることができるということが判明した。
そこで、本発明の圧電磁器組成物は、前記Pbの一部が、Ba、Sr、及びCaの中から選択された少なくとも1種により、10モル%以下(0モル%を含まず。)の範囲で置換されていることを特徴としている。
尚、上述したNb、Ta、Sb、Wの各元素は、主成分に固溶することなく、結晶粒界や三重点に存在しており、本明細書では、これら各元素を総称して外添加元素という。
本発明に係る圧電セラミック電子部品は、セラミック素体の表面に外部電極が形成された圧電セラミック電子部品において、前記セラミック素体が、上述した圧電磁器組成物で形成されていることを特徴としている。
また、本発明の圧電セラミック電子部品は、セラミック素体の表面に外部電極が形成されると共に、内部電極が前記セラミック素体に埋設された圧電セラミック電子部品において、前記セラミック素体が、Ag及びCuのうちの少なくとも一方を0.001〜3.0重量%含有した圧電磁器組成物で形成され、かつ前記内部電極は、少なくともAg及びCuのうちのいずれか一方を含むことを特徴としている。
さらに、本発明の圧電セラミック電子部品においては、前記内部電極は、導電性材料がAgを主成分としPd及びPtのうちの少なくとも一方の金属の含有量が5重量%以下(ただし、0重量%は含む。)とされた導電性ペーストが焼結されてなることを特徴としている。
また、本発明の圧電セラミック電子部品においては、前記内部電極は、導電性材料がCuを主成分としNi及びAgのうちの少なくとも一方の金属の含有量が40重量%以下(ただし、0重量%は含む。)とされた導電性ペーストが焼結されてなることを特徴としている。
上記圧電磁器組成物は、一般式{xBiMeO−yPbZrO−(1−x−y)PbTiO}(ただし、MeはSc及びInのうちの少なくともいずれか1種の元素を示す)で表される複合ペロブスカイト型化合物を主成分とし、前記x、yが0.00<x<0.30、0<y<1.00、0.30<(x+y)<1.00の範囲であり、かつ、前記主成分100モルに対し外添加元素が0.001〜3.0モル含有されているので、結晶相が安定化してMPB相を容易に得ることができ、抗電界Ecが高く圧電特性の良好な信頼性の優れた圧電磁器組成物を得ることができる。
また、前記主成分に、所定量のPb(M11/3M22/3)O(ただし、M1はNi、Mg、及びZnの中から選択された少なくとも1種の元素を示し、M2はNb、Ta、及びSbの中から選択された少なくとも1種の元素)を含有することにより、抗電界Ecや電気機械結合係数kを損なうことなく、比誘電率εrを向上させることができ、圧電特性のより一層の向上を図ることができる。
さらに、Ag及びCuのうちの少なくとも一方の元素が0.001〜3.0重量%含有されているので、圧電磁器組成物は低温焼結が可能となり、したがって、内部電極材料としてAgやCuを使用した内部電極層とセラミック層とを低温で共焼結させることができ、これにより大きな変位量を有する積層型の圧電セラミック電子部品を低コストで得ることが可能な圧電磁器組成物を実現することができる。
また、前記Pbの一部を、Ba、Sr、及びCaの中から選択された少なくとも1種により、10モル%以下(0モル%を含まず。)の範囲で置換することにより、圧電特性をより一層向上させることができる。
また、本発明の圧電セラミック電子部品は、セラミック素体が、上述した圧電磁器組成物で形成されているので、機械的品質係数Qmが小さくても抗電界Ecが比較的高く、しかも高い電気機械結合係数kと高い比誘電率εrを有する圧電特性の良好な信頼性の優れた圧電セラミック電子部品を得ることができる。特に、従来の圧電磁器組成物に比べて抗電界Ecが高いので、セラミック層が薄層化されても電圧印加時に脱分極を回避することのできる積層圧電スピーカ等の積層型圧電セラミック電子部品を得ることができる。
また、本発明の圧電セラミック電子部品は、セラミック素体の表面に外部電極が形成されると共に、内部電極が前記セラミック素体に埋設された圧電セラミック電子部品において、前記セラミック素体が、Ag及びCuのうちの少なくとも一方を0.001〜3.0重量%含有した圧電磁器組成物で形成され、かつ前記内部電極は、少なくともAg及びCuのうちのいずれか一方を含むので、内部電極層とセラミック層とを低温で共焼結させて製造することができ、したがって内部電極材料として比較的安価なAgやCuを使用することができ、大きな変位量を有する圧電特性の優れた積層型の圧電セラミック電子部品を低コストで得ることができる。
また、前記内部電極は、導電性材料がAgを主成分としPd及びPtのうちの少なくとも一方の金属の含有量が5重量%以下(ただし、0重量%は含む。)とされた導電性ペーストが焼結されてなるので、Pd及びPtを5重量%以下含有することにより、Agのマイグレーションが抑制され、優れた信頼性を有する積層型の圧電セラミック電子部品を安価に得ることができる。
また、内部電極材料がCuを主成分としNi及びAgのうちの少なくとも一方の金属の含有量が40重量%以下(ただし、0重量%は含む。)とされた導電性ペーストが焼結されてなるので、Cuがセラミック層中に拡散するのを抑制することができ、したがって圧電特性の低下を招くことのない積層型の圧電セラミック電子部品を低コストで得ることができる。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
本発明の一実施の形態(第1の実施の形態)としての圧電磁器組成物は、下記一般式(A)で表される複合ペロブスカイト型化合物を主成分とし、かつ、主成分100モルに対しNb、Ta、Sb、及びWの中から選択された少なくとも1種の元素、すなわち外添加元素が0.001〜3.0モル含有されている。
xBiMeO−yPbZrO−(1−x−y)PbTiO…(A)
ここで、MeはSc及びInのうちの少なくともいずれか1種の元素を示し、またモル比x、yは0.00<x<0.30、0<y<1.00、0.30<(x+y)<1.00を充足している。
すなわち、本圧電磁器組成物は、BiMeO(MeはSc及び/又はIn)−PbTiO系セラミック材料をPbZrOで変成することにより、結晶相の安定化が促進されて安定したMPB相を容易に得ることができ、これにより抗電界Ecを向上させることができる。したがって、セラミック層を薄層化した場合であっても電界印加により脱分極が生じるのを回避することが可能となる。
しかしながら、このままの状態では満足できる高い圧電特性が十分に得られないことから、TiやZrに対して価数の大きなNb、Ta、Sb又はWを外添加元素として含有させている。そしてこれにより、機械的品質係数Qmを低減させることができ、分極処理が容易となって圧電特性を向上させることができる。
このように本発明によれば、抗電界Ecが高く電気機械結合係数kp等の圧電特性に優れた機械的品質係数Qmの低い圧電磁器組成物を得ることができる。
次に、MeをSc、Inに限定した理由、モル比x、y、及び外添加元素(Nb、Ta、Sb、及びW)の含有量を上述の範囲に限定した理由を詳述する。
(1)MeをSc、Inに限定した理由
BiMeOからなるペロブスカイト型化合物(一般式ABO)を得るためには、Bサイト成分であるMe元素を化学量論的に3価の元素で構成する必要がある。しかしながら、本発明者らの実験結果により、3価の元素であってもAlやSbを使用した場合は圧電特性の低下を招き、またYや希土類元素を使用した場合は焼結不良の生じることが判明した。
これに対してMe元素としてSc及び/又はInを使用した場合はモル比x、yや外添加元素の各配合量と相俟って抗電界Ec及び圧電特性の向上を図ることができることが分かった。
そこで、本実施の形態ではMe元素としてSc、Inを使用することとした。
(2)モル比x、y
上述した一般式(A)で示す主成分に前記外添加元素を含有させることにより、抗電界Ecと圧電特性の両立を図ることができるが、主成分中のBiMeOのモル比xが0.30を超えたり、PbZrOのモル比yが1.00を超えると結晶相が安定性を失って焼結不良を招き、絶縁抵抗の低下により分極処理ができなくなるおそれがある。また、主成分中のBiMeOとPbZrOのモル比の総和(x+y)が0.30以下になると、結晶相がMPB相とかけ離れるため、良好な圧電特性を得るのが困難となる。
そこで、本実施の形態では、モル比x、yが0.00<x<0.30、0<y<1.00、0.30<(x+y)<1.00となるように主成分を形成している。
(3)外添加元素(Nb、Ta、Sb、及びW)の含有量
4価のTiやZrに対して価数の大きな5価のNb、Ta、Sb或いは6価のWを主成分中に含有させることにより、分極が促進されて圧電特性を向上させることができるが、そのためにはこれら外添加元素を主成分100モルに対し0.001モル以上含有させる必要がある。一方、前記外添加元素の含有モル量が主成分100モルに対し3.00モルを超えると、焼結不良が生じ、所望の分極処理を行うことができなくなる。
そこで、本実施の形態ではこれら外添加元素(Nb、Ta、Sb、及びW)の含有モル量を主成分100モルに対し0.001〜3.0モルとしている。
尚、1150℃以下の低温焼成を行う点を考慮すると、前記外添加元素の含有モル量は主成分100モルに対し0.50〜2.00モルが好ましく、電気機械結合係数kもこの範囲に制御することにより、より一層向上させることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態を詳説する。
第2の実施の形態に係る圧電磁器組成物は、主成分が、上記一般式(A)に代えて、下記一般式(B)で表される複合ペロブスカイト型化合物で形成されている。
xBiMeO−zPb(M11/3M22/3)O−yPbZrO
−(1−x−y−z)PbTiO…(B)
ここで、M1はNi、Mg、及びZnの中から選択された少なくとも1種の元素を示し、M2はNb、Ta、Sbの中から選択された少なくとも1種の元素である。また、モル比x、y、zは、0.00<x<0.30、0<y<1.00、0.00<z≦0.50、0.30<(x+y+z)<1.00を充足している。
また、本第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様、外添加元素(Nb、Ta、Sb、及びWの中から選択された少なくとも1種)が、主成分100モルに対し0.001〜3.0モル含有されている。
本第2の実施の形態は、PbZrO又はPbTiO中の少なくとも一方のBサイト成分(Zr又はTi)の一部を2価のM1元素(Ni、Mg、Zn)、及び3価のM2元素(Nb、Ta、Sb)で置換したものであり、これにより抗電界Ecを高く維持しつつ、電気機械結合係数kpや比誘電率εrの向上を図ることができ、圧電特性をより一層向上させることができる。
尚、主成分中のPb(M11/3M22/3)Oのモル比zを0.00<z≦0.50としたのは、モル比zが0.50を超えるとキュリー温度Tcが低下し、電気機械結合係数等の圧電特性が劣化するためである。
次に、本発明の第3の実施の形態を詳説する。
第3の実施の形態に係る圧電磁器組成物は、上記第1及び第2の実施の形態の圧電磁器組成物に加え、圧電磁器組成物中にAg及びCuのうちの少なくともいずれか一方の元素が、0.001〜3.0重量%含有されている。
すなわち、圧電磁器組成物を圧電セラミック電子部品のセラミック素体として使用する場合、その変位量を増加するためには内部電極層とセラミック層とを交互に積層させ、内部電極がセラミック素体に埋設された積層型とするのが好ましく、この場合、内部電極層とセラミック層とを共焼結させるのが望ましい。
ところで、Pb系圧電セラミック材料の焼成温度は、一般に1000〜1300℃と高く、共焼成時に内部電極材料が融解するのを避けるためには、内部電極材料として高融点のPt(融点1772℃)やPd(融点1554℃)等を大量に使用しなければならない。
しかしながら、これら高融点材料は、一般に高価であり、市場価格に影響されやすいという欠点がある。
一方、AgやCuは、PtやPdに比べて安価であるが、Agの融点は963℃であり、Cuの融点は1083℃であり、いずれも融点が低い。したがって、これらAgやCuを内部電極材料として使用する場合は、Pb系圧電セラミック材料の焼成温度を引き下げる必要がある。
そこで、本発明者らが鋭意研究を行った結果、圧電磁器組成物中にAg及びCuのうちの少なくともいずれか一方の元素を0.001〜3.0重量%含有させることにより、圧電磁器組成物の焼成温度を引き下げることのできることが分かった。そしてこれにより、内部電極材料にAgやCuを使用した場合であっても該内部電極材料が融解することもなく共焼結することが可能となる。
すなわち、Ag及びCuのうちの少なくともいずれか一方の元素を圧電磁器組成物中に0.001〜3.0重量%含有させることにより、焼成温度を1000℃未満に低下させることが可能となり、これにより内部電極用導電性材料としてAgやCuを使用することが可能となる。そしてその結果圧電セラミック電子部品の製造コストを大幅に削減することができ、具体的には50%以上の製造コストの削減を図ることができる。
ここで、Ag及び/又はCuの含有量を0.001〜3.0重量%としたのは、圧電磁器組成物中に0.001重量%以上のAg及び/又はCuを含有させることにより、所望の焼成温度の低温化を達成することができるが、その含有量が3.0重量%を超えると、Ag及び/又はCuの含有量が過剰となり、Ag及び/又はCuが上記一般式(A)又は(B)で表される主成分に固溶してしまい、このため圧電特性の低下を招くからである。
尚、Agは高温多湿下で長時間晒されると、マイグレーションを起こして絶縁抵抗の低下を招くおそれがあることから、内部電極材料中に5重量%以下のPd又は/及びPtを含有させるのも好ましい。すなわち、内部電極材料としてPdやPtを添加すると焼成温度は上昇傾向となるが、その含有量が5重量%以下であれば、焼成温度が上昇してもAgの融点以下に抑制することができ、したがって、低コストで耐湿性に優れた積層圧電素子を得ることができる。
また、内部電極材料にCuを使用した場合は、共焼成時にCuがセラミック層側に拡散して圧電特性の低下を招くおそれがあることから、内部電極材料中に40重量%以下のNiやAgを含有させるのも好ましい。すなわち、内部電極材料中に40重量%以下のNiやAgを含有させることにより、低コストでより圧電特性の優れた積層圧電素子を得ることができる。
また、上記一般式(A)、(B)中のいずれかのPbの一部を10モル%以下(0モル%を含まず)の範囲でBa、Sr、及びCaのうちの少なくとも1種の元素で置換するのも好ましく、これにより、圧電特性のより一層の向上を図ることが可能となる。
尚、置換量を10モル%以下としたのは、該置換量が10モル%を超えると、置換元素であるBa、Sr、Caがペロブスカイト構造のAサイトに固溶し難くなり、圧電特性の向上が望めないためである。
次に、上記圧電磁器組成物を使用して製造された圧電セラミック電子部品としての積層型圧電素子について説明する。
図1は前記積層型圧電素子の一実施の形態を示す断面図であって、該積層型圧電素子は、セラミック層2(2a〜2h)と内部電極層3(3a〜3g)とが交互に積層されて内部電極が埋設された圧電セラミック素体4が形成され、さらに圧電セラミック素体4の両端部にAg等の導電性材料からなる外部電極5(5a、5b)が形成されている。
該積層型圧電素子は、内部電極層3a、3c、3e、3gの一端が一方の外部電極5aと電気的に接続され、内部電極層3b、3d、3fの一端は他方の外部電極5bと電気的に接続されている。そして、該積層型圧電素子では、外部電極5aと外部電極5bとの間に電圧が印加されると、圧電横効果により矢印Yで示す積層方向と垂直な方向に変位する。
次に、上記第1の実施の形態に係る圧電磁器組成物を使用した場合について、本積層型圧電素子の製造方法を説明する。
まず、セラミック素原料としてPb、TiO、ZrO、Bi、及びSc及び/又はIn、更にはNb、Ta、Sb、及びWOのうちの少なくとも1種を所定量秤量し、さらに、必要に応じてBaCO、SrCO、CaCOを所定量秤量する。
次いで、これら秤量物をジルコニア等の粉砕媒体が内有されたボールミルに投入して十分に湿式粉砕し、その後、所定温度(例えば、750〜950℃)で仮焼し、セラミック粉末(圧電磁器組成物)を作製する。
次に、前記セラミック粉末に有機バインダを加え、湿式で混合処理を行なってスラリー状とし、その後、ドクターブレード法等を使用して成形加工を施し、セラミックグリーンシートを作製する。
次いで、Ag−Pd等の内部電極材料を含有した内部電極ペースト(導電性ペースト)を使用し、セラミックグリーンシート上にスクリーン印刷を施して電極パターンを形成する。
次に、これら電極パターンがスクリーン印刷されたセラミックグリーンシートを積層した後、電極パターンがスクリーン印刷されていないセラミックグリーンシートで挟持し、圧着して積層体を作製する。次いで、この積層体を所定寸法に切断してアルミナ製の匣(さや)に収容し、脱バインダ処理を行った後、所定温度(例えば、1000〜1300℃)で焼成処理を施し、内部電極層3a〜3gとセラミック層2a〜2hとが交互に積層されてなる圧電セラミック素体4を形成する。
そしてこの後、圧電セラミック素体4の両端部にAg等を主成分とする外部電極ペーストを塗布して焼付け処理を行い、外部電極5a、5bを形成し、さらに所定の分極処理を行ない、これにより積層型圧電素子が製造される。尚、外部電極5a、5bは、密着性が良好であればよく、例えばスパッタリング法や真空蒸着法等の薄膜形成方法で形成してもよい。
このように本積層型圧電素子は、圧電セラミック素体1が本発明の圧電磁器組成物で形成されているので、抗電界Ecが高く、したがってセラミック層2a〜2hが薄層化されても、電界印加時に脱分極が生じるのを回避することが可能となる。しかも、電気機械結合係数kや比誘電率εrも高く、圧電特性の良好な信頼性の優れた積層型圧電素子を得ることができる。
また、本圧電磁器組成物は機械的品質係数Qmが低いことから、共振波形を平坦化することが可能となり、ノイズ低減用に好適した積層型圧電素子を得ることができる。
また、上記積層圧電素子では、第1の実施の形態に係る圧電磁器組成物を使用して製造したが、第2の実施の形態に係る圧電磁器組成物を使用して上記積層圧電素子を製造する場合は、上記第1の実施の形態に係る圧電磁器組成物の作製に使用したセラミック素原料に加え、NiO、MgO、及びZnOのうちの少なくとも1種を各々所定量秤量してセラミック粉末(圧電磁器組成物)を作製し、その後は上記製造方法と同様の方法で製造することができる。
また、第3の実施の形態に係る圧電磁器組成物を使用した積層圧電素子は、以下のように製造される。
すなわち、第1又は第2の圧電磁器組成物の作製時に使用したセラミック素原料を準備して所定量秤量し、さらに所定量のAgO及び/又はCuOを秤量する。
次いで、これら秤量物をジルコニア等の粉砕媒体が内有されたボールミルに投入して十分に湿式粉砕し、その後、所定温度(例えば、750〜950℃)で仮焼し、セラミック粉末(圧電磁器組成物)を作製し、さらに上述と同様、前記セラミック粉末に有機バインダを加え、湿式で混合処理を行なってスラリー状とし、その後、ドクターブレード法等を使用して成形加工を施し、セラミックグリーンシートを作製する。
次いで、Ag、Ag−Pd、Ag−Pt、Cu、Cu−Ni、又はCu−Agからなる内部電極材料を含有した内部電極ペーストを使用し、セラミックグリーンシート上にスクリーン印刷を施して電極パターンを形成する。
次に、これら電極パターンがスクリーン印刷されたセラミックグリーンシートを積層した後、電極パターンがスクリーン印刷されていないセラミックグリーンシートで挟持し、圧着して積層体を作製する。次いで、この積層体を所定寸法に切断してアルミナ製の匣(さや)に収容し、脱バインダ処理を行った後、900〜980℃の低温で焼成処理を施し、内部電極層3a〜3gとセラミック層2a〜2hとが交互に積層されてなる圧電セラミック素体4を形成する。
そしてこの後、上述と同様、圧電セラミック素体4の両端部にAg等を用いて外部電極5a、5bを形成し、さらに所定の分極処理を行ない、これにより積層型圧電素子が製造される。
このように本積層圧電素子は、仮焼後のセラミック粉末(圧電磁器組成物)にAgやCuが0.001〜3.0重量%含有されているので、焼成温度をAgやCuの融点以下に抑制することができ、その結果内部電極材料にも比較的安価なAgやCuを使用することができ、低コストで圧電特性に優れ機械的品質係数Qmが低く、抗電界Ecの高い積層圧電素子を得ることができる。
また、Agを主成分とする内部電極材料中にPdやPtを5重量%以下(0重量%を含まず。)含有させることにより、Agのマイグレーションを効果的に抑制することが可能となり、したがって良好な耐湿性を有する信頼性の優れた積層圧電素子を得ることができる。
また、Cuを主成分とする内部電極材料中にNiやAgを40重量%以下(0重量%を含まず。)含有させることにより、共焼成させてもCuがセラミック層側に拡散するのを抑制することができ、圧電特性の劣化を抑制することができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、セラミック素原料として、例えばPb等の酸化物を使用したが、炭酸塩や水酸化物等を使用することもできる。
また、積層型圧電素子としては、積層圧電スピーカや積層圧電ポンプへの適用が有用である。また、積層型に限らず単板型の圧電セラミック電子部品にも適用できるのはいうまでもない。ただし、第3の実施の形態に係る圧電磁器組成物は上述したように積層型の圧電セラミック電子部品に対しより好適したものとなる。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
セラミック素原料として、Bi、In、Pb、ZrO、TiOを準備し、一般式(A)で表される主成分中のBiInOのモル比xが0.100、PbZrOのモル比yが0.405、PbTiOのモル比(1−x−y)が0.495となるように上記セラミック素原料を秤量した。また、Nb(外添加Nb)の含有モル量が、前記主成分100モルに対し1.00モルとなるようにNbを秤量した。
次いで、該秤量物を部分安定化ジルコニア(粉砕媒体)が内有されたボールミルに投入して十分に湿式粉砕し、その後、750℃の温度で仮焼し、セラミック粉末を作製した。
そしてその後、セラミック粉末に酢酸ビニル系バインダ(有機バインダ)を加え、再度ボールミルに投入し、湿式で混合処理を行なってスラリー状とし、次いで、乾燥・造粒した後、円板状に成形し、その後、温度1000℃で焼成し、これにより直径約10mm、厚さ約1mmの圧電セラミック素体を得た。
その後、この圧電セラミック素体の両主面にAgを主成分とする外部電極ペーストを塗布し、焼付け処理を行って外部電極を形成し、次いで、温度80℃のシリコンオイル中で、3.0kV/mmの直流電界を30分間印加して分極処理を行い、試料番号1の圧電セラミック電子部品を作製した。
また、一般式(A)で表される主成分中のPbZrOのモル比yを0.520、PbTiOのモル比(1−x−y)を0.480とし、仮焼温度850℃、焼成温度1100℃という条件で、仮焼、焼成し、それ以外は上記実施例1と同様の方法・手順で試料番号2の圧電セラミック電子部品を作製した。
尚、試料番号1、2は、共に3.5kV/mmの直流電界を印加したときにMPB相境界で最大歪み量が得られるようにPbZrOのモル比yを調製している。
次に、試料番号1、2について、日本電子工業材料会標準規格「圧電セラミック振動子の電気的試験方法」EMAS−6100に準拠し、インピーダンスアナライザ(ヒューレット・パッカード社製HP−4194A)を使用して0.01Vの電圧印加時における比誘電率εr、径方向振動の電気機械結合係数kp、機械的品質係数Qmを測定した。
また、強誘電体テスタ(ラジアントテクノロジー社製RT6000HVS)を使用し、バーチャルグランド方式により電界Eに対する分極Pのヒステリシス曲線(P−Eヒステリシス曲線)を測定し、該P−Eヒステリシス曲線から抗電界Ecを求めた。
さらに、試料番号1、2と同様の組成を有する直径約10mm、厚さ約2.5mmの圧電セラミック電子部品を別途作製し、接触式変位計を使用して直流電界を印加して行ったときの圧電縦効果の歪み率η(矢印Xで示す積層方向への歪み率)のヒステリシス曲線(η-Eヒステリシス曲線)を測定した。
表1は試料番号1、2の成分組成と各測定結果を示している。また、図2はP−Eヒステリシス曲線を示し、図3はη-Eヒステリシス曲線である。
Figure 2006188414
試料番号1と試料番号2とを比較すると、試料番号2は圧電磁器組成物(圧電セラミック素体)中にBiInOが含有されていないため抗電界Ecが1.6kV/mmと低いのに対し、試料番号1はBiInOが含有されていることから、抗電界Ecが2.1kV/mmとなり、したがって、試料番号1は試料番号2に比べ、抗電界Ecが約1.3倍に上昇することが分かった。また、機械的品質係数Qmも、試料番号2は80であり、公知のlow−Qm材(Qm:70〜100)と同様の値であったのに対し、試料番号1は49と低い値が得られた。
しかも、図3に示すように、歪み率ηは試料番号1と試料番号2とで略同等であることも分かった。
すなわち、試料番号1と試料番号2との対比から明らかなように、主成分にBiInOを含有させることにより、圧電特性を損なうことなく抗電界Ecを向上させることができ、しかも機械的品質係数Qmのより低い圧電セラミック電子部品を得ることができることが確認された。
Pb、ZrO、TiO、Nb、Bi、In、Al、Sb、Y、Dy、Yb、及びScを準備し、表2の組成を充足するように、これらセラミック素原料を秤量し、その後、実施例1と同様の方法・手順で試料番号11〜46の圧電セラミック電子部品を作製した。
次に、試料番号11〜46の圧電セラミック電子部品について、実施例1と同様の方法・手順で径方向振動の電気機械結合係数kp、比誘電率εr、機械的品質係数Qm、及び抗電界Ecを測定した。
表2は試料番号11〜46の成分組成と各測定結果を示している。
Figure 2006188414
試料番号11は、Nbが外添加されていないため、電気機械結合係数kpが25.1%と低く、圧電特性が悪く、また機械的品質係数Qmも310と高いことが分かった。
試料番号12は、BiInOとPbZrOのモル比の総計(x+y)が0.100であり、0.3以下であるので、MPB相境界からかけ離れてしまい、このため電気機械結合係数kpが11.4%と低くなり所望の圧電特性を得ることができないことが分かった。
試料番号13は、BiInOのモル比xを0.200に増加させてMPB相境界に近付けたものの、PbZrOが含有されていないため結晶相が不安定となり、焼結不良となって絶縁抵抗の低下を招き、分極処理ができなくなってしまった。
試料番号16及び29は、BiInOのモル比xとPbZrOのモル比yとの総和(x+y)が0.300と小さいため、圧電磁器組成物がMPB相境界からかけ離れてしまい、このため電気機械結合係数kpは15.3%又は12.5%と低くなり、所望の良好な圧電特性を得ることができないことが分かった。
試料番号32〜34は、BiInOのモルxが0.300と過剰であるため、PbZrOのモル比を増加させても結晶相を安定化させるのが困難となって焼結不良が生じ、絶縁抵抗の低下により分極処理ができなくなってしまった。
試料番号35、36は、3価の元素としてIn又はSc以外のAl、Sbを使用しているため、電気機械結合係数kpが26.0%又は18.8%と低く、圧電特性が低下することが分かった。
試料番号37〜39は、3価の元素としてIn又はSc以外のYや希土類元素を使用しているため、焼結不良が生じた。
これに対して試料番号14、15、17〜28、30、31、及び40〜46は、MeとしてIn又はScを使用し、モル比x、yも0.050≦x≦0.200、0.350≦y≦0.500、0.450≦(x+y)≦0.600であり、外添加Nbも主成分100モルに対し1.00〜2.00モルとなっていずれも本発明の範囲内であり、電気機械結合係数kpが34.6〜66.1%と本発明範囲外の試料に比べて高く、圧電特性の向上を図ることができた。
セラミック素原料として、Pb、Bi、ZrO、TiO、In、Nb、Ta、Sb、NiO、Mg(OH)及びZnOを準備し、表3に示すような組成を有するようにこれらセラミック素原料を秤量し、実施例1と同様の方法・手順で試料番号51〜67の圧電セラミック電子部品を作製した。
次に、試料番号51〜67の圧電セラミック電子部品について、実施例1と同様の方法・手順で径方向振動の電気機械結合係数kp、比誘電率εr、機械的品質係数Qm、及び抗電界Ecを測定した。
表3は試料番号51〜67の成分組成と各測定結果を示している。
Figure 2006188414
試料番号51は、試料番号21におけるPbZrOの一部をPb(Zn1/3Nb2/3)で変成したものの、Nbが外添加されていないため、電気機械結合係数kpが24.0%と低く、圧電特性に劣ることが分かった。
これに対して試料番号52は、試料番号21におけるPbZrOの一部をPb(Zn1/3Nb2/3)Oで変成し、かつNbが主成分100モルに対し1.00モル外添加されているため、試料番号21に比べて圧電特性が向上しており、電気機械結合係数kpが53.9%から56.1%と増加し、また、比誘電率εrも670から2140に増大した。しかも、抗電界Ecも試料番号21に比べ1.4kV/mmから2.4kV/mmと増加しており、抗電界Ecの向上を図ることができた。また、機械的品質係数Qmも99から48に大幅に低下しており、機械的品質係数Qmの低い圧電セラミック電子部品を得ることができた。すなわち、PbZrOの一部をPb(Zn1/3Nb2/3)Oで変成し、Nbを主成分に固溶させることなく所定量外添加することにより、圧電特性と抗電界Ecの双方をより一層向上させることができる機械的品質係数Qmの低い圧電セラミック電子部品を得ることができた。
試料番号53は、PbZrOの一部をPb(Ni1/3Nb2/3)Oで変性しているものの、Pb(Ni1/3Nb2/3)Oのモル比zが0.520となって0.5を超えているため、電気機械結合係数kpが22.3%と低く圧電特性が劣化し、しかも抗電界Ecも0.6kV/mmと小さくなることが分かった。
これに対し試料番号54〜64も、試料番号53と略同様、PbZrOの一部をPb(Ni1/3Nb2/3)Oで変成しているが、Pb(Ni1/3Nb2/3)Oのモル比zが0.100〜0.350であり、0.5以下であるので、電気機械結合係数kpが51.9〜64.7%、比誘電率εrが1070〜5130と高く、良好な圧電特性を得ることができ、また抗電界Ecも1.0kV/mm以上を確保することができ、さらには機械的品質係数Qmも17〜61と低い圧電セラミック電子部品を得ることができた。すなわち、PbZrOの一部を本発明範囲内でPb(Ni1/3Nb2/3)Oで変成し、かつ外添加Nbを主成分100モルに対し1.00モル含有させることにより、より一層の圧電特性の向上を図ることができ、しかも抗電界Ecの高く、機械的品質係数Qmの低い圧電セラミック電子部品を得ることができる。
また、試料番号65〜67から分かるように、PbZrOの一部を本発明範囲内でPb(Mg1/3Nb2/3)O、Pb(Ni1/3Sb2/3)O、又はPb(Ni1/3Ta2/3)Oで変性し、かつ外添加Nbを主成分100モルに対し1.00モル含有しているので、Pb(Zn1/3Nb2/3)Oで変性した場合(試料番号52)と同様、圧電特性と抗電界Ecの双方をより一層向上させることができる機械的品質係数Qmの低い圧電セラミック電子部品を得ることができることが分かった。
セラミック素原料として、〔実施例2〕のセラミック素原料に加えBaCO、SrCO、及びCaCOを準備し、表4の組成成分を有するように、セラミック素原料を秤量し、〔実施例1〕と同様の方法・手順で試料番号71〜81の圧電セラミック電子部品を作製した。
次に、試料番号71〜81の圧電セラミック電子部品について、〔実施例1〕と同様の方法・手順で径方向振動の電気機械結合係数kp、比誘電率εr、機械的品質係数Qm、及び抗電界Ecを測定した。
表4は試料番号71〜81の組成成分と各測定結果を示している。
Figure 2006188414
試料番号71は、試料番号18のPbの一部をBaで置換したものであるが、電気機械結合係数kpが61.8%から62.3%に増加し、比誘電率εrも1785から2240に増加し、圧電特性が向上した。また、機械的品質係数Qmは49から46に低下し、抗電界Ecも1.7kV/mmから2.0kV/mmに上昇することが分かった。
試料番号72は、試料番号20のPbの一部をBaで置換したものであるが、電気機械結合係数kpが58.8%から59.8%に増加し、比誘電率εrも790から1150に増加し、圧電特性が向上した。また、機械的品質係数Qmは80から56に低下することが分かった。
試料番号73は、試料番号19のPbの一部をBaで置換したものであるが、電気機械結合係数kpが58.3%から62.2%に増加し、また、比誘電率εrも1020から2420に増加し、圧電特性が向上した。また、機械的品質係数Qmは62から36に低下し、抗電界Ecも1.4kV/mmから1.5kV/mmに若干上昇することが分かった。
このようにPbの一部をBaで置換することにより、抗電界Ecを損なうことなく電気機械結合係数kpや比誘電率εrが増加し、圧電特性の向上した機械的品質係数Qmの低い圧電セラミック電子部品を得ることができる。
また、試料番号74〜76は、Ba置換量は試料番号72、73と同様であるが(Pb1-aBa)TiOのモル比(1−x−y)を徐々に増加させている。
この試料番号74〜76から分かるように、(Pb1-aBa)TiOのモル比(1−x−y)が増加するに連れて電気機械結合係数kp及び比誘電率εrは低下し、機械的品質係数Qm及び抗電界Ecは増加しているが、いずれにしても電気機械結合係数kp及び比誘電率εrは高く、良好な圧電特性を得ることができ、また抗電界Ecが高く機械的品質係数Qmの低い圧電セラミック電子部品を得ることができた。
また、試料番号77は、試料番号72に比べてBaの置換モル比aを0.05から0.08に増加させたものであり、電気機械結合係数kpは若干低下傾向にあるものの、比誘電率εrは1150から2830に増加し、機械的品質係数Qmは56から36に低下し、また抗電界Ecも1.4kV/mmから1.5kV/mmに若干上昇することが分かった。
また、試料番号78と試料番号79とを対比すると、試料番号79では、Baの置換モル比aが0.15となって0.10(10モル%)を超えているため、電気機械結合係数kpが28.9%と低下し、圧電特性の劣化を招いている。これに対し、試料番号78は、Baの置換モル比aが0.10であるので、電気機械結合係数kpも56.7%と高く、圧電特性が劣化するのを回避することができた。
すなわち、試料番号71〜79から明らかなように、Pbの一部をBaで置換することにより、電気機械結合係数kpが良好で比誘電率εrも高く抗電界Ecも高く機械的品質係数Qmの低い圧電セラミック電子部品を得ることができるが、置換モル比aが0.10を超えると、電気機械結合係数kpが低下し、圧電特性の劣化を招くことが確認された。
試料番号80及び試料番号81は、Pbの一部を本発明範囲内でSr、Caで置換したものであり、Pbの一部をBaで置換した場合と同様、満足しうる圧電特性を有し、かつ抗電界Ecも高く機械的品質係数Qmの低い圧電セラミック電子部品を得ることができることが確認された。
一般式(A)で表される主成分中のBiInOのモル比xが0.100、PbZrOのモル比yが0.400、PbTiOのモル比(1−x−y)が0.500となるようにBi、In、Pb、ZrO、TiOを秤量し、また、外添加元素(Nb、W、Sb、Ta)が主成分100モルに対し表5に示す含有モル量となるようにNb、Ta、Sb、及びWOを秤量した。そしてその後は〔実施例1〕と同様の方法・手順で試料番号91〜98の圧電セラミック電子部品を作製した。
次に、試料番号91〜98の圧電セラミック電子部品について、〔実施例1〕と同様の方法・手順で径方向振動の電気機械結合係数kp、比誘電率εr、機械的品質係数Qm、及び抗電界Ecを測定した。
表5は試料番号91〜98の組成成分と各測定結果を示している。
Figure 2006188414
試料番号95は、外添加Nbの含有モル量が、主成分100モルに対し3.50モルとなって3.00モルを超えているため、電気機械結合係数kpが24.6%と低下し、圧電特性の劣化を招くことが分かった。
これに対し試料番号91〜94は、外添加Nbが主成分100モルに対し、0.10〜3.00であり、本発明範囲内であるので、電気機械結合係数kpが53.8〜57.4%と高く、比誘電率εrも1500以上を確保することができ、機械的品質係数Qmも51〜58と低く、抗電界Ecも2.1〜2.2kV/mmとなって、所望の特性を有する圧電セラミック電子部品の得られることが分かった。
また、試料番号96〜98は、外添加元素としてTa、Sb、又はWを主成分100モルに対し1.00モル含有させたものであり、外添加元素としてNbを含有させた場合と同様、所望の特性を有する圧電セラミック電子部品の得られることが分かった。
セラミック素原料として、Bi、In、Pb、ZrO、TiO、NiO、及びNbを準備し、一般式(B)で表される主成分中のモル比xが0.100、モル比zが0.100、モル比yが0.340、モル比(1−x−y−z)が0.460となるように上記セラミック素原料を秤量し、さらに外添加Nbの含有量が前記主成分100モルに対し1.00モルとなるようにNbを秤量した。
次いで、該秤量物を部分安定化ジルコニア(粉砕媒体)が内有されたボールミルに投入して十分に湿式粉砕し、その後、750℃の温度で仮焼し、セラミック粉末を作製した。
その後、酢酸ビニル系バインダ(有機バインダ)を加え、再度ボールミルに投入し、湿式で混合処理を行なってスラリー状とし、ドクターブレード法で成形加工を施し、厚みが10〜100μmのセラミックシートを作製した。
次に、このセラミックシート上にAg−Pd(Ag/Pd=80/20)を主成分とする導電性ペーストを所定厚さにスクリーン印刷して導電パターンを形成し、その後打ち抜き加工を施して所定の大きさのセラミックグリーンシートを作製した。
次いで、内部電極数が9層となるようにセラミックグリーンシートを積層し、最外層に導電パターンが形成されていないセラミックグリーンシートを積層して圧着し、積層体を形成し、該積層体をアルミナ製の匣(さや)に収容し、該積層体に脱バインダ処理を施した後、大気雰囲気中、1000℃の温度で焼成処理を行い、圧電セラミック素体(焼結体)を作製した。
その後、上記圧電セラミック素体が所定厚みとなるように研磨した後、該圧電セラミック素体の両端面にAgを主成分とする外部電極を蒸着により形成した。そして、80℃のシリコンオイル中で3.0kV/mmの直流電界を30分間印加して分極処理を行い、試料番号101の圧電セラミック電子部品を作製した(長さ13.0mm、幅3.0mm、厚み0.6mm)。
また、一般式(B)で表される主成分中のPbZrOのモル比yを0.360、Pb(Ni1/3Nb2/3)Oのモル比zが0.200、PbTiOのモル比(1−x−y)を0.440とし、仮焼温度850℃、焼成温度1025℃という条件で、仮焼、焼成し、それ以外は上記試料番号101と同様の方法・手順で試料番号102の圧電セラミック電子部品を作製した。
次に、試料番号101、102について、〔実施例1〕と同様、インピーダンスアナライザを使用して0.01Vの電圧印加時における比誘電率εr、長さ方向振動の電気機械結合係数k31、長さ方向振動の圧電定数d31、機械的品質係数Qmを測定した。
また、〔実施例1〕と同様、P−Eヒステリシス曲線を測定し、該P−Eヒステリシス曲線から抗電界Ecを求めた。
表6は、試料番号101、102の組成成分と各測定結果を示している。
Figure 2006188414
この表6から明らかなように、試料番号101の圧電定数|d31|は210pC/Nであり、試料番号102の圧電定数|d31|は215pC/Nであり、両者は略同等の圧電定数|d31|を有しているが、試料番号102は主成分中にBiInOが含有されていないため、抗電界Ecが1.2kV/mmであるのに対し、試料番号101はBiInOが本発明範囲内で含有されているので、抗電界Ecが1.6kV/mmとなり、試料番号102に比べ約1.3倍に増加した。したがって、主成分中にPb(Ni1/3Nb2/3)Oを含有させた場合であっても、BiInOを含有させることにより抗電界Ecを向上させることのできることが分かった。
一般式(B)で表される主成分中のモル比x、y、z、及び(1−x−y−z)が表7の組成を有するようにBi、In、Pb、ZrO、Nb、NiO、及びTiOを秤量し、また、外添加Nbの含有量が主成分100モルに対し1.00モルとなるようにNbを秤量し、さらにセラミック粉末中のAg又はCuの含有量が表7となるようにAgO又はCuOを秤量した。
次いで、該秤量物を部分安定化ジルコニア(粉砕媒体)が内有されたボールミルに投入して十分に湿式粉砕し、その後、800℃の温度で2時間仮焼し、試料番号111〜115のセラミック粉末を作製した。
表7は試料番号111〜115の成分組成を示している。
Figure 2006188414
次いで、試料番号111、113及び114のセラミック粉末について、TMA(Thermo mechanical Analysis;熱機械分析)を行い、熱収縮曲線を求めた。
すなわち、低温で焼結した方が焼成中の緻密性が促進されることから、焼結性の良否を評価するために、試料番号111、113及び114についてTMAを行い、熱収縮曲線を求めて加熱温度(℃)と熱収縮率(%)との関係を調べた。
図4はその熱収縮曲線を示し、横軸が加熱温度(℃)、縦軸が熱収縮率(%)である。また、図中、実線が試料番号111、一点鎖線が試料番号113、二点鎖線が試料番号114である。
試料番号114はBiInO及びAgを含有しておらず、熱収縮率が2段階を経て略一定となっているが、第1段階目での約630℃では十分に焼結せず、第2段階目の約900℃でも熱収縮率は−5%程度であり、温度1000℃以下で焼結させるのは困難であることが分かった。
また、試料番号113は、加熱温度が約900℃程度で熱収縮率は−15%となり、セラミック粉末(圧電磁器組成物)は約900℃で収縮を開始している。
これに対して試料番号111は、加熱温度が約800℃程度で熱収縮率は−15%となり、セラミック粉末(圧電磁器組成物)は約800℃で収縮を開始している。すなわち、試料番号111と試料番号113との熱収縮曲線を対比すると、圧電磁器組成物中にAgを含有させることにより、収縮開始温度が低下し、したがってAgの添加が焼成温度の低下に寄与することが確認された。
次に、上記圧粉体に酢酸ビニル系バインダ(有機バインダ)を加え、再度ボールミルに投入し、湿式で混合処理を行なってスラリー状とし、ドクターブレード法で成形加工を施し、厚みが25μmのセラミックグリーンシートを作製した。
次に、このセラミックグリーンシートを9層積層して圧着し、得られた積層体に500℃の温度で脱バインダ処理を施した後、大気雰囲気中、850〜1050℃の範囲で2時間焼成処理を行い、試料番号111〜113、及び115のセラミック焼結体を作製した。
図5は焼成温度(℃)と密度(kg/m)との関係を示している。横軸が焼成温度であり、縦軸は密度である。
尚、密度は、各試料4個について、各焼成温度における体積及び質量を測定し、その平均値を算出して求めた。
試料番号113は、試料中にAgを含有していないため、試料を900℃で焼成させても密度は6.0kg/mであり、十分に焼結せず、1000℃の焼成温度で密度は約7.6kg/mとなり、したがって焼結性を確保するためには焼成温度は1000℃以上とする必要がある。
これに対し試料番号111、112、115は試料中にAg又はCuを含有しているため、焼成温度が900℃で7.5kg/m以上の密度を確保することができ、焼成温度を900℃まで引き下げることができた。また、試料番号112より、Agの含有量が0.001重量%以上であれば、焼成温度を900℃まで低下させることができることが分かった。また、本発明者らはCuの含有量についても、0.001重量%以上あれば、焼成温度を銅の融点(1063℃)以下に引き下げることができることを確認した。したがって、Ag又は/及びCuを圧電磁器組成物中に0.001重量%以上含有させることにより、焼成温度をAg又はCuの融点以下に低下させ得ることが確認された。
次に、主成分が試料番号111と同一組成であり、Ag又はCuの含有量が0.0、1.0、3.0、5.0及び8.0重量%となるように原料を秤量し、上述と同様の方法・手順で内部電極を有さないセラミック焼結体を作製した。
そしてその後は〔実施例6〕と同様の方法・手順で長さ13.0mm、幅3.0mm、厚み0.6mmの単板型圧電セラミック電子部品を作製した。
次に、各圧電セラミック電子部品について、接触式変位形を使用して直流電界を印加して行き、抗電界近傍である1.5kV/mmの電界を印加した時の変位量を求め、数式(1)にしたがって変位量変化率φを求めた。
φ=(L/Lo)×100…(1)
ここで、Lは試料中に所定量のAg又はCuを含有している場合の変位量、LoはAg又はCuが含有されていない試料の変位量を示している。
図6は含有量と変位量変化率φとの関係を示し、○印がAg、△印がCuである。
この図6から明らかなようにAg又はCuの含有量が増加するに伴い、変位量変化率φは低下している。すなわち、Cuの場合、その含有量が3.0重量%になると変位量変化率φは約90%まで低下し、Agの場合、その含有量が3.0重量%で変位量変化率φは約95%まで低下している。したがって、圧電特性の低下を招くことなく焼成温度の低温化を達成するためには、Ag又はCuの含有量は3.0重量%以下であるのが望ましいことが分った。尚、このようにAg又は/及びCuの含有量が増加すると、圧電特性の劣化を招くのは、Ag又は/及びCuが主成分中に固溶してしまうためと思われる。
以上より、良好な圧電特性を維持しつつ焼成温度の低温化を達成するためには、圧電磁器組成物中のAg又は/及びCuの含有量は、0.001〜3.0重量%が望ましいことが確認された。
尚、本実施例のようにAg又は/及びCuを圧電磁器組成物中に含有させる場合は、上記したように仮焼前にAgO又はCuOをセラミック素原料と共に混合する他、仮焼後、スラリーを作製する段階でAgO又はCuOをセラミック粉末(仮焼粉末)に添加してもよい。
主成分組成が0.100BiInO−0.200Pb(Ni1/3Nb2/3)O−0.275PbZrO−0.425PbTiOとなるようにBi、In、Pb、ZrO、Nb、NiO、及びTiOを秤量し、また、外添加Nbの含有量が主成分100モルに対し1.00モルとなるようにNbを秤量し、さらに圧電磁器組成物中のAg又/及びCuの含有量が0.001〜3.0重量%の範囲となるようにAgO又はCuOを秤量した。
次いで、〔実施例7〕と同様の方法・手順で仮焼粉末(圧電磁器組成物)を得た後、該仮焼粉末に、酢酸ビニル系の有機バインダと分散剤を添加し、溶媒として水を用いてスラリーを作製し、ドクターブレード法を使用して厚さ25μmのセラミックグリーンシートを作製した。
次に、内部電極材料として平均粒径0.4μmのAg、Cu、Pd、Pt、Niを準備し、これら内部電極材料を表8に示すような配合比率で配合し、次いで、三本ロールミルを使用して前記内部電極材料を有機ビヒクル中で混練し、内部電極ペーストを作製した。ここで、有機ビヒクルとしてはエチルセルロース樹脂(有機バインダ)とテルピネオール(有機溶剤)との比が約1:9に配合されたものを使用した。尚、内部電極とセラミック素体との密着性向上等の観点からは、内部電極ペースト中には、セラミックグリーンシートに含有されるセラミック材料、すなわち所謂セラミック共材を含有させるのも好ましい。
次に、スクリーン印刷により前記内部電極ペーストをセラミックグリーンシート上に塗布し、膜厚25μmの内部電極層を形成した。
次いで、内部電極層が形成されたセラミックグリーンシートを9層積層し、上下両端を内部電極層の形成されていないセラミックグリーンシートで挟持し、圧着してセラミック積層体を得た。
次いで、セラミック積層体をアルミナ製の匣(さや)に収納し、約500℃の温度で脱バインダ処理を施した後、表8に示す焼成温度で8時間焼成処理を施し、内部電極が埋設されたセラミック焼結体を得た。尚、焼成雰囲気は、内部電極材料がAgを主成分とする試料の場合は大気雰囲気に設定し、内部電極材料がCuを主成分とする試料の場合は内部電極材料が酸化性雰囲気に晒されるのを回避するために酸素分圧が10-3〜10-5MPaの還元雰囲気に設定した。
次いで、その後は〔実施例6〕と同様の方法・手順で外部電極を形成した後、分極処理を行い、長さ13mm、幅3mm、厚み0.6mmからなる試料番号121〜128の圧電セラミック電子部品を得た。
次に、セラミック焼結体中のAg又はCuの含有量をWDX(Wavelength Dispersive X-ray spectrometry;「波長分散型X線分析」)法で測定した。
また、〔実施例6〕と同様の方法・手順で、長さ方向振動の電気機械結合係数k31、機械的品質係数Qm、抗電界Ec、長さ方向振動の圧電定数d31を測定した。
また、試料番号121〜128について湿中負荷試験を行い、信頼性を評価した。すなわち、温度60℃、相対湿度93%RHの高温多湿下で各試料に0.1〜1.0kV/mmの電界を印加させて連続駆動させ、25時間、50時間、及び100時間経過後の抵抗率ρを測定し、初期値(0時間)からの経時変化を調べ、信頼性を評価した。
表8は、試料番号121〜128のセラミック焼結体中のAg含有量及びCu含有量、内部電極ペースト中の内部電極材料とその配合比率、焼成温度、電気機械結合係数k31、抗電界Ec、圧電定数|d31|、及び湿中駆動試験における100時間経過後の抵抗率ρを示している。
Figure 2006188414
この表8から明らかなように、セラミック層と内部電極層とを共焼成したときに、内部電極材料であるAgやCuがセラミック層側に拡散するため、Ag及びCuのセラミック焼結体中の含有量は、圧電磁器組成物中のAg量やCu量に比べて増加している。
試料番号121〜128では、電気機械結合係数k31、機械的品質係数Qm、抗電界Ec、及び圧電定数d31については顕著な差異は生じていないが、試料番号121は、内部電極材料として融点の高いPd(融点1554℃)が20重量%含有されており、焼成温度を1020℃まで引き上げても内部電極層は融解することはなかったが、Pdの含有量が多いため、コスト的には不利である。
一方、試料番号122〜125は、内部電極材料中のAgの配合比率が95〜100重量%と大きく、特性を損なうことなく900〜940℃の低温で焼結させることができた。特に、試料番号125から明らかなように、内部電極材料がAgのみからなる場合は、900℃の焼成温度で焼結させることができ、積層型の圧電セラミック電子部品を低コストで製造できることが分かった。
試料番号126〜128は、内部電極材料がCuのみ、又はCuを主成分とした場合であるが、この場合も980℃の焼成温度で焼結させることができ、Cuの融点以下で共焼結させることができ、積層型の圧電セラミック電子部品を低コストで製造できることが分かった。
図7は湿中負荷試験における抵抗率ρの経時変化を示しており、横軸が時間(h)、縦軸が抵抗率ρ(Ω・cm)である。
表8から明らかなように、試料番号125は内部電極材料がAgのみで構成されているので、焼成温度を900℃まで引き下げることができたが、図7に示すように、高温多湿下での抵抗率ρの経時的劣化が著しく、初期の抵抗率ρが8.5×1012Ω・cmであったのに対し、100時間経過時の抵抗率ρは1.0×1010Ω・cmまで低下することが分かった。これは圧電セラミック電子部品が高温多湿下に長時間晒された結果、Agにマイグレーションが生じたため絶縁抵抗の低下を招いたものと思われる。
一方、Pdを5重量%含有させた試料番号122やPdを2重量%含有させた試料番号123は、内部電極中にPdを微量含有させたことにより、Agのマイグレーションが抑制され、その結果高温多湿下で100時間晒しても1.0×1012Ω・cm以上の抵抗率ρを確保できることが分かった。また、試料番号124に示すように、内部電極材料としてPtを5重量%含有した場合も、高温多湿下で100時間晒しても抵抗率ρは、8.4×1012Ω・cmとなり、1.0×1012Ω・cm以上の抵抗率ρを確保できることが分かった。
また、内部電極材料としてCuのみを使用した試料番号126の場合も、高温多湿下で100時間晒しても1.5×1012Ω・cmとなって1.0×1012Ω・cm以上の抵抗率ρを確保できることが分かった。
また、試料番号127のようにCuを主成分としNiを40重量%含有した場合や、試料番号128のようにCuを主成分としAgを40重量%含有した場合も試料番号126と同等以上の耐湿性を確保でき、しかも電気機械結合係数k31が若干向上し、機械的品質係数Qmが若干低くなることが認められた。
本発明に係る圧電磁器組成物を使用して製造された圧電セラミック電子部品の一実施の形態を示す断面図である。 実施例1のP−Eヒステリシス曲線を比較例1と共に示す図である。 実施例1のη−Eヒステリシス曲線を比較例1と共に示す図である。 実施例7における加熱温度と熱収縮率との関係を示す熱収縮曲線図である。 実施例7における焼成温度と密度との関係を示す図である。 圧電磁器組成物中に含有されるAg又はCuの含有量と変位量変化率φとの関係を示す図である。 実施例8の湿中負荷試験における抵抗率の経時変化を示す図である。
符号の説明
4 セラミック素体
3a〜3g 内部電極層
5a、5b 外部電極

Claims (8)

  1. 一般式{xBiMeO−yPbZrO−(1−x−y)PbTiO}(ただし、MeはSc及びInのうちの少なくともいずれか1種の元素を示す)で表される複合ペロブスカイト型化合物を主成分とし、
    前記x、yが0.00<x<0.30、0<y<1.00、0.30<(x+y)<1.00の範囲にあり、
    かつ、前記主成分100モルに対し、Nb、Ta、Sb、及びWの中から選択された少なくとも1種の元素が0.001〜3.0モル含有されていることを特徴とする圧電磁器組成物。
  2. 一般式{xBiMeO−yPbZrO−zPb(M11/3M22/3)O−(1−x−y−z)PbTiO}(ただし、MeはSc及びInのうちの少なくともいずれか1種の元素、M1はNi、Mg、及びZnの中から選択された少なくとも1種の元素、M2はNb、Ta、及びSbの中から選択された少なくとも1種の元素をそれぞれ示す。)で表される複合ペロブスカイト型化合物を主成分とし、
    前記x、y、zが0.00<x<0.30、0<y<1.00、0.00<z≦0.50、0.30<(x+y+z)<1.00の範囲にあり、
    かつ、前記主成分100モルに対し、Nb、Ta、Sb及びWの中から選択された少なくとも1種の元素が0.001〜3.0モル含有されていることを特徴とする圧電磁器組成物。
  3. Ag及びCuのうちの少なくとも一方の元素が0.001〜3.0重量%含有されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の圧電磁器組成物。
  4. 前記Pbの一部が、Ba、Sr、及びCaの中から選択された少なくとも1種により、10モル%以下(0モル%を含まず。)の範囲で置換されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の圧電磁器組成物。
  5. セラミック素体の表面に外部電極が形成された圧電セラミック電子部品において、
    前記セラミック素体が、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の圧電磁器組成物で形成されていることを特徴とする圧電セラミック電子部品。
  6. セラミック素体の表面に外部電極が形成されると共に、内部電極が前記セラミック素体に埋設された圧電セラミック電子部品において、
    前記セラミック素体が、請求項3記載の圧電磁器組成物で形成され、かつ前記内部電極は、少なくともAg及びCuのうちのいずれか一方を含むことを特徴とする圧電セラミック電子部品。
  7. 前記内部電極は、導電性材料がAgを主成分としPd及びPtのうちの少なくとも一方の金属の含有量が5重量%以下(ただし、0重量%を含む。)とされた導電性ペーストが焼結されてなることを特徴と請求項請求項6記載の圧電セラミック電子部品。
  8. 前記内部電極は、導電性材料がCuを主成分としNi及びAgのうちの少なくとも一方の金属の含有量が40重量%以下(ただし、0重量%を含む。)とされた導電性ペーストが焼結されてなることを特徴とする請求項6記載の圧電セラミック電子部品。
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