JPWO2006059724A1 - 車体パネル構造体 - Google Patents
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Abstract
アウターパネルの内面にインナーパネルが配置され、このインナーパネルの更に内面に補強インナーパネルが配置されている。インナーパネル及び補強インナーパネルには夫々車体長手方向に断面形状が波型をなす複数の凹凸が形成されている。アウターパネルとインナーパネルとの接合部の下方にインナーパネルと補強インナーパネルとで閉断面を形成し、インナーパネルと補強インナーパネルとの接合部の上方にアウターパネルとインナーパネルとで閉断面を形成するように、各パネルが接合される。これにより、頭部移動距離が小さくてもHIC値を低減することができ、衝突部位によらずHIC値を均一化することができ、Al合金製フードでも、十分HIC値を低減できて、車体の軽量化に寄与する。
Description
本発明は、自動車の車体フード、ルーフ、ドアー、トランクリッド等のパネルとして使用され、歩行者保護における頭部の衝撃耐性が優れた車体パネル構造体に関し、特に曲げ剛性及び張り剛性などの剛性が優れたアルミニウム合金又は鋼等の金属製の車体パネル構造体に関する。
従来から、自動車などの車体部材のパネル構造体には、アウターパネル(外装パネル又は外板といわれる:以下、単にアウターという)とインナーパネル(内装パネル又は内板といわれる:以下、単にインナーという)とが、空間を介した閉断面構造をとって組み合わされたものが使用されている。
このうち、特に、自動車のフード、ルーフ及びドア等として使用されるパネル構造体において、アウターと、このアウターを補強するためにアウターの車体内側に設けられたインナーとが、機械的に結合され、又は溶接若しくは樹脂等の接着剤等による接合により結合されている。
これらのインナー及びアウターの車体用パネル構造体には、従来から使用されていた鋼材と共に、又はこの鋼材に代わって、軽量化のために、AA又はJIS規格による3000系、5000系、6000系、7000系等の高強度で高成形性のアルミニウム合金板(以下、アルミニウムを単にAlと記す)が使用され始めている。
近時、歩行者保護の観点から、フードの設計要件として頭部衝突時の安全性が要求される傾向にあり、ビーム型フード構造に関して、種々の技術が提案されている(特開平7−165120号、特開平7−285466号、特開平5−139338号)。また、EEVC(European Enhanced Vehicle-Safety Committee)において、大人頭部と子供頭部の衝突耐性に関し、フードが具備すべき条件として、HIC値1000以下が規定されている(EEVC Working Group 17 Report,Improved test Methods to evaluate pedestrian protection afforded by passenger cars,December 1998に記載)。
本願発明者等は、波型インナーについて、既に波形断面が規則的な場合と不規則なスプライン型インナーの場合について、特許出願している(特開2003−205866号)。この波型インナーは、ビーム型インナー及びコーン型インナーに比較して、アウターからエンジン等の剛体物までのクリアランスが小さくても、より一層のHIC値の低減が可能であり、歩行者保護に好適の構造である。即ち、この波型インナーを使用した先願に係る発明は、歩行者保護に優れた車体パネル構造体として、その所期の目的は達成された。しかしながら、歩行者保護のためには、更に一層のHIC値の低減が要望されている。
一方、ヘルムホルツの共鳴原理にもとづく多孔板吸音パネルに関する技術が多く開示されている。基本的な理論は、音響関係の教科書に示されており、板厚、穴径、開口率、背後空気層の厚さ等より簡易式により共鳴周波数は決まるが、吸音すべき周波数にあわせてこれらの諸寸法を決定すれば所定の吸音特性が得られる。特開平6−298014号には多孔板吸音構造での下記の簡易式が示されている。
ただしf:周波数、 c:音速、 β:開口率、 t:板厚、 b:開口半径(穴径の半分)、d:背後空気層の厚みである。
穴径は小さいほど吸音特性が向上し、直径1mm以下で粘性減衰により高い吸音特性が得られるという知見が得られている(H.V.Fuchs and X.Zha: The application of microperforated plstes as sound absorbers with inherent damping. Acustica, 81,107-116(1995)。一例として、特許文献1(特開2001−199287号)にはその請求項4において穴径0.1mmから3mmの記載がある。
特許文献2(特開2003−50586号)で、上田、田中、宇津野らは好適な穴径を3mm以下とし、開口率3%以下としているが、これは吸音する周波数範囲を特開2001−122050号に記載の1000HZ以下とすれば容易に求まる。このなかで、外装板と内装板とが対抗配置して形成され、吸音効果が0.3以上の吸音率となる周波数帯域幅が共鳴周波数に対して10%以上に設定されている多孔質防音構造体が提案されており、内装板の板厚は0.3mmから1mmの範囲で、開口率は1%から5%の範囲で、孔径は0.5mmから3mmの範囲で、これらのパラメータが吸音率に与える効果が調べられている。この場合、開口率は3%以下で、孔径は3mm以下で、特に孔径1mm以下の場合に十分な吸音効果が得られ、所定の効果が得られるようである。上記公報には、更に、内装板が空気層を介して2枚以上設けられている多孔質防音体構造が提案されている。但し、吸音構造と歩行者保護構造の両者を満足する車体フード構造については、未だ、未開発の状況である。
特許文献3(特開平6−298014号)、特許文献4(特開平6−81407号)、特許文献5(特開2000−276178号)には、平板と曲面形状の多孔板、又は平板形状の多孔板を複数枚重ね、断面形状が変化する背後空気層を複数設けることにより、広帯域吸音特性が得られることが開示されている。このような構造では、背後空気層の厚さの変化に伴い広範囲な共鳴周波数が存在することになり、この結果多孔板1枚だけの場合にあらわれていたピーク性を有する吸音特性はなくなり、広い周波数範囲においてほぼ均一な広帯域吸音特性が得られるからである。
吸音構造と歩行者保護構造の両者を満足する車体フード構造については、特許文献6(特開2003−226264号)、特許文献7(特開2003−252246号)、特許文献8(特開2003−261070号)がある。
頭部の衝撃耐性は、一般には下記のHIC値(頭部性能基準)により評価される(自動車技術ハンドブック第3分冊試験評価編1992年6月15日第2版自動車技術会編)。
但し、aは頭部重心における3軸合成加速度(単位はG)、t1、t2は0<t1<t2となる時刻で、HIC値が最大となる時間で、作用時間(t2−t1)は15msec以下と定められている。
EEVC Working Group 17 Reportにおいて、大人頭部と子供頭部の衝突耐性に関し、フードが具備すべき条件として、夫々HIC値1000以下と規定されている。この中で、頭部衝突試験時の頭部衝突速度は40km/時で、大人頭部(重量4.8kg、外径165mm、衝突角65度)と子供頭部(重量2.5kg、外径130mm、衝突角50度)とが設定されている。
頭部衝突時において、歩行者頭部は、初めにアウターへ衝突し、次に変形が進み、インナーを介してエンジンルーム内のエンジン等の剛体的な部品に反力が伝わり、頭部には過大な衝撃力が生じる。頭部には、主にアウターとの衝突により生じる加速度第1波(衝突開始からほぼ5m秒までの間に生じる)と、インナーが剛体物と衝突する際に生じる加速度第2波(衝突開始からほぼ5m秒経過以後に生じる)が作用する。加速度第1波の大きさは主にアウターの弾性及び剛性で決まり、加速度第2波の大きさは主にインナーの弾塑性及び剛性で決まる。頭部の運動エネルギーはこれらのアウターとインナーの変形エネルギーにより吸収されるが、頭部の移動距離がアウターとエンジン等の剛体物とのクリアランスを超えると、頭部は剛体物からの反力を直接受けることになり、HIC値の制限値1000を大幅に超える過大な衝撃力を受け、致命的なダメージを受けることになる。
そこで、頭部移動距離が小さくてもHIC値の低減が可能であることが必要である(課題1)。先ず、アウターとエンジン等の剛体物とのクリアランスが大きい程、頭部の移動距離を大きくでき、HIC値の低減には有利であるが、フードの設計上、アウターとエンジン等の剛体物との間のクリアランスにはおのずと限界があり、小さなクリアランスで、頭部移動距離が小さくてもHIC値の低減が可能なフード構造が求められている。
特に、大人の頭部衝突では、子供の頭部衝突に比較して衝突条件が厳しく、このため、アウターから剛体面へのクリアランスについては、設計上の許容範囲を超えた過大なクリアランスを設ける必要があり、問題となっている(EEVC Working Group 17 Reportに記載)。
更に、子供頭部と大人頭部のどちらも衝突する可能性があるWAD1500(車体先端の地面からフード衝突位置までの輪郭線の距離が1500mmのライン)のライン上において、衝突特性の異なる子供と大人の両者について、HIC値1000を満足するのは、極めて困難であり、問題点としてあげられている。特に大型セダンのフードでは、WAD1500のラインが、アウターと剛体面とのクリアランスが小さくなるエンジン直上にあり、衝撃耐性の向上に関する有効な対策が要望されている(EEVC Working Group 17 Report)。
次に、衝突部位によらずHIC値が均一であることが必要である(課題2)。頭部衝突位置について、ビーム型フード構造の場合はフレーム直上の位置で、コーン型フード構造の場合はコーン頂点部の位置で、いずれもHIC値が大きくなる。これは、これらの部位では局部剛性が高く、剛体部と衝突しても変形が小さく、剛体物からの高い反力を受けるためである。このため、安全性の観点から、衝突部位によらず、概ね均質なHIC値がえられるフード構造が要望されている。
更に、車体の軽量化が可能なAl合金材の適用が可能であることが必要である(課題3)。フードの材料として軽量化が可能なAl合金材を適用しても、頭部衝突耐性が優れていることが必要である。フードの軽量化にはしばしばAl合金材が使用されるが、この場合、鉄材を使用する場合に比較して、歩行者保護の観点では、一般的には不利と考えられる。それは、Al合金材の弾性率と比重が、双方とも鋼材の約3分の1で、頭部の運動エネルギーをフードで吸収するには、パネル構造体としてのAl合金製フードの膜剛性と重量が鋼製フードに比較して不足することに起因する。
板材の曲げ剛性は、ET3(ヤング率E,板厚Tとする)に比例し、膜剛性はETに比例する。鉄材(ヤング率Es,板厚Ts,比重γs)をAl合金材(ヤング率Ea,板厚Ta,比重γa)に置き換える場合には、通常、曲げ剛性が同一になるように板厚が決定される。この場合、EaTa3=EsTs3、Ea/Es=1/3であり、Ta/Ts=31/3=1.44となる。アルミニウム合金製フードと鋼製フードの膜剛性比は、(EaTa)/EsTs=1.44/3=0.48となり、同じく重量比は(Taγa)/(Tsγs)=1.44/3=0.48となり、アルミ製フードの膜剛性と重量は、鋼製フードの0.48倍しかない。この結果、頭部とフードとの衝突問題では、頭部移動距離が増加し、剛体物に衝突しやすくなるとともに、加速度第1波でのアウターによるエネルギー
ー吸収が少なく、加速度第2波が増加するため、従来のフード構造ではHIC値が増加し、HIC値の制限値を満足させることが極めて困難になる。
ー吸収が少なく、加速度第2波が増加するため、従来のフード構造ではHIC値が増加し、HIC値の制限値を満足させることが極めて困難になる。
勿論、TaをTsの3倍にすれば、膜剛性比及び重量比とも鋼製フードと同等となるが、コストが上がりすぎ、設計としては成立しない。
このように、フードにアルミ合金材を適用し、この条件で頭部衝突での制約条件を満足させるのは、かなり困難である。勿論、アルミニウム材でこの条件が満足されるフード構造がみつかれば、この構造を採用した鋼製フードではHIC値の更に一層の低下が可能となる。
以上のように、歩行者保護のために、フード構造が解決すべき課題は、
・頭部移動距離が小さくてもHIC値の低減可能なこと、
・フードへの衝突部位によらずHIC値が概ね均一となること、
・Al合金製フードでも、十分HIC値を低減できること、
等である。
・頭部移動距離が小さくてもHIC値の低減可能なこと、
・フードへの衝突部位によらずHIC値が概ね均一となること、
・Al合金製フードでも、十分HIC値を低減できること、
等である。
一方、広帯域吸音特性を有していることが要求される(課題4)。エンジンル―ム内から車外にもれる騒音を抑制する役目を果たしているインシュレータは、リサイクル性に問題があり、フード自身が吸音特性を有すれば、リサイクル性に優れたアルミ材の使用により騒音問題を解決でき、地球環境の観点から好ましい。このため、フード自体に吸音特性を持たせることができるフード構造が要望されている。
従来から、フードに吸音性能を持たせる試みが開示されているが、エンジン騒音は雑多で広範囲な周波数特性を有しており、このような騒音特性に対し有効な広帯域吸音特性を有するフード構造が求められている。特に、周波数範囲が2000HZ以下の場合が重要と言われている(特開平8−301024号)。ここでは、このような軽量で歩行者保護特性に優れ、広帯域吸音特性を有するフード構造を歩行者保護吸音フードと定義する。安全、軽量かつリサイクル性に優れた歩行者保護吸音フードを以下に開示する。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、頭部移動距離が小さくてもHIC値を低減することができ、フードへの衝突部位によらずHIC値を均一化することができ、更に、Al合金製フードでも、十分HIC値を低減できて、車体の軽量化に寄与する車体パネル構造体を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、インシュレータがなくても吸音特性が良い車体パネル構造体を提供することを目的とする。
本願の第1発明に係る車体パネル構造体は、請求項1に記載したように、アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置されたインナーパネルと、このインナーパネルの更に内面に配置された補強インナーパネルと、を有し、前記インナーパネル及び補強インナーパネルは夫々車体長手方向に断面形状が波型をなす複数の凹凸を有しており、前記アウターパネルとインナーパネルとの接合部の下方に前記インナーパネルと補強インナーパネルとで形成される閉断面を有し、前記インナーパネルと補強インナーパネルとの接合部の上方に前記アウターパネルとインナーパネルとで形成される閉断面を有するように前記各パネルが接合されていることを特徴とする。
本願の第1発明において、請求項2に記載したように、前記インナーパネル及び補強インナーパネルの凹凸の断面波型をなす方向が車体の幅方向又は長手方向に一致するように車体に組み立てられるものであることが好ましい。
また、本願の第1発明において、請求項3に記載したように、前記インナーパネル及び補強インナーパネルの凹凸の断面波型をなす方向が車体の長手方向に対して傾斜するように車体に組み立てられるものであることが好ましい。
本願の第2発明に係る車体パネル構造体は、請求項4に記載したように、アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置されたインナーパネルと、このインナーパネルの更に内面に配置された補強インナーパネルと、を有し、前記インナーパネル及び補強インナーパネルは夫々全面に第1方向における断面形状が波型をなすように複数形成された第1の凹凸と前記第1方向に交叉する第2方向における断面形状が波型をなすように複数形成された第2の凹凸とを有しており、前記アウターパネルとインナーパネルとの接合部の下方に前記インナーパネルと補強インナーパネルとで形成される閉断面を有し、前記インナーパネルと補強インナーパネルとの接合部の上方に前記アウターパネルとインナーパネルとで形成される閉断面を有するように前記各パネルが接合されていることを特徴とする。
本願の第3発明に係る車体パネル構造体は、請求項5に記載したように、アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置されたインナーパネルと、このインナーパネルの更に内面に配置された補強インナーパネルと、を有し、前記インナーパネル及び補強インナーパネルは夫々全面に同心円状に複数形成された断面波型の凹凸を有しており、前記アウターパネルとインナーパネルとの接合部の下方に前記インナーパネルと補強インナーパネルとで形成される閉断面を有し、前記インナーパネルと補強インナーパネルとの接合部の上方に前記アウターパネルとインナーパネルとで形成される閉断面を有するように前記各パネルが接合されていることを特徴とする。
本願の第4発明に係る車体パネル構造体は、請求項4に記載したように、アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置されたインナーパネルと、このインナーパネルの更に内面に配置された補強インナーパネルと、を有し、前記インナーパネル及び補強インナーパネルはパネル構造体の長手方向に全面に断面形状が波型をなす複数の凹凸とこの凹凸に交叉する断面形状が波型をなす複数の凹凸とで形成される2重の波型を有しており、前記アウターパネルとインナーパネルとの接合部の下方に前記インナーパネルと補強インナーパネルとで形成される閉断面を有し、前記インナーパネルと補強インナーパネルとの接合部の上方に前記アウターパネルとインナーパネルとで形成される閉断面を有するように前記各パネルが接合されていることを特徴とする。
本願の第4発明において、請求項7に記載したように、前記2重の波型は、凹凸の断面波型をなす方向がパネル構造体の長手方向に対して平行な波とこの波に直交する波が交叉する波とで形成される2重の波型であることが好ましい。
また、本願の第4発明において、請求項8に記載したように、前記2重の波型は、凹凸の断面波型をなす方向がパネル構造体の長手方向に対して斜め方向の波とこの波に所定角度で交叉する波波とで形成される2重の波型であることが好ましい。
本願の第5発明に係る車体パネル構造体は、請求項9に記載したように、アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置されたインナーパネルと、このインナーパネルの更に内面に配置された補強インナーパネルと、を有し、前記インナーパネル及び補強インナーパネルは夫々全面に断面形状が波型をなす複数の凹凸を有しており、この凹凸は、夫々前記断面波型をなす方向が車体の幅方向又は長手方向に一致する凹凸、断面波型形状が車体の長手方向に対して傾斜する凹凸、第1方向における断面形状が波型をなすように複数形成された第1の凹凸と前記第1方向に交叉する第2方向における断面形状が波型をなすように複数形成された第2の凹凸とを有する凹凸、同心円状に複数形成された断面波型の凹凸、及び断面形状が波型をなす複数の凹凸とこの凹凸に交叉する断面形状が波型をなす複数の凹凸とで形成される2重の波型の凹凸のうち少なくとも2種を組み合わせたものであり、前記アウターパネルとインナーパネルとの接合部の下方に前記インナーパネルと補強インナーパネルとで形成される閉断面を有し、前記インナーパネルと補強インナーパネルとの接合部の上方に前記アウターパネルとインナーパネルとで形成される閉断面を有するように前記各パネルが接合されていることを特徴とする。
本願の第1乃至第5発明のように、断面が波形のインナー及び補強インナーを用いた2重波型フード構造とすることにより、アウター及びインナーを薄肉化してもフード構造体の張り剛性を格段に高めることができる。また、曲げ剛性及び捩り剛性についても十分な剛性が得られ、この結果、外部荷重に対するフードの変形を抑制することができる。されに、歩行者保護に関し、頭部とフードの衝突における衝突耐性を高めることができ、安全性が向上し、
・頭部移動距離が小さくてもHIC値の低減可能なこと、
・フードへの衝突部位によらずHIC値が概ね均一となること、
・Al合金製フードでも、十分HIC値を低減できること
等を実現することができる。
・頭部移動距離が小さくてもHIC値の低減可能なこと、
・フードへの衝突部位によらずHIC値が概ね均一となること、
・Al合金製フードでも、十分HIC値を低減できること
等を実現することができる。
また、本発明の車体パネル構造体は、インナーを上記のように波型インナーとする簡単な構成であり、従来のように、インナーの板厚を増加させることなく、張り剛性及び曲げ剛性を高めることができ、軽量化が可能である。平板状パネルから上記の波型パネルへのプレス成形は容易であり、インナー自体の製作は容易である。
本願の第1乃至第5発明において、請求項10に記載したように、前記凹凸の断面形状は、スプライン形状であることが好ましい。
本願の第1乃至第5発明において、請求項11に記載したように、前記凹凸の断面形状は、台形であってもよい。
また、本願の第1乃至第5発明において、請求項12に記載したように、前記凹凸の断面形状は、波型形状に、この波型形状の波高又は波長よりも小さい波高又は波長の波型形状を重ねた形状であってもよい。
本願の第1乃至第5発明において、請求項13に記載したように、歩行者保護における頭部衝突において、衝突耐性向上の観点から、前記インナーパネル又は補強インナーパネルの断面波型形状は、波の波長をp、歩行者の頭部外径をdとした時、0.5<p/d<2.8を満足するものであることが好ましい。p/dがこの範囲であれば、HIC値低減に効果がある。このような構成は、インナー及び補強インナーに適用可能であり、断面形状が台形でもスプライン形状でも適用することができる。
また、本願の第1乃至第5発明において、請求項14に記載したように、前記インナーパネル又は補強インナーパネルの断面波型形状は、歩行者保護における頭部衝突において、衝突耐性の観点から、前記インナーパネルの波高をh1、補強インナーパネルの波高をh2、歩行者の頭部外径をdとした時、0.05<(h1+h2)/d<0.35を満足するものであることが好ましい。h1+h2がこの範囲であれば、HIC値低減に効果がある。このような構成は、インナー及び補強インナーに適用可能であり、断面形状が台形でもスプライン形状でも適用することができる。なお、補強インナーの波高がゼロで平板の場合は、0.05<h1/d<0.35となる。
また、本願の第1乃至第5発明において、請求項15に記載したように、前記アウターパネル、インナーパネル及び補強インナーパネルのいずれかが、アルミニウム合金製又は鋼製であることが好ましい。
また、本願の第1乃至第5発明において、請求項16に記載したように、前記インナーパネルとアウターパネルが柔結合によって接合されていることが好ましく、請求項17に記載したように、前記柔接合部が、千鳥状に又は分散して配列されていることが好ましい。これによって、歩行者保護で頭部衝突に際し、アウターとインナーのがた振動を損なわず、この結果、頭部加速度が撹乱され、HIC値を低下させることができる。
また、本願の第1乃至第5発明において、請求項18に記載したように、前記インナーパネル及び/又は補強インナーパネルに、開口率3%以下、孔径3mm以下の吸音効果を有する複数個の貫通孔が形成されていることが好ましい。吸音効果はヘルムホルツの共鳴原理に従い、特開昭61−249878号、特開2000−56777号、特開2003−20586号の多孔吸音パネルの従来技術より、閉断面構造の特徴を有する波型フードのインナーパネルに微細な孔をあければ、フードが吸音効果を発揮するはずである。孔径については宇津野によれば、板厚0.5mmの鋼板では、開口率1%で孔径0.5mmの時、1kHZ以下の周波数領域で概略0.5程度の吸音効果が得られ、同様に、板厚0.8mmの鋼板では、開口率2%、孔径2mmで同様の効果が得られるようである。また、特開2003−20586号によれば、開口率3%以下、孔径3mm以下とすることが好ましい。
本発明では、フードはアウターとインナー、インナーと補強インナーの2つの空気層を有し、インナーと補強インナーに微細の孔が設けることにより、吸音効果はかなりの効果が期待できる。なお、微細孔の大きさは、製造上の一般常識から板厚程度以下の微細な孔をパンチングであけるのはかなり困難であり、大量生産を前提とした場合には、孔径は板厚0.5mmの場合0.5mmから3mm程度となり、板厚0.8mmの場合は0.8から約3mm程度の範囲に制限される。
本願の第1乃至第5発明において、吸音性向上のため、請求項19に記載したように、前記インナーパネル及び/又は補強インナーパネルの波長又は波高が、車体幅方向又は車体長手方向に不均一であることが好ましい。
また本願の第1乃至第5発明において、吸音性向上のため、請求項20に記載したように、前記インナーパネル及び/又は補強インナーパネルの断面波型形状における1波長中の左右の波形における波長又は波高が非対称であり、歪んだ波形断面であることが好ましい。
また本願の第1乃至第5発明において、吸音性向上のため、請求項21に記載したように、前記アウターパネルとインナーパネルとの間、又はインナーパネルと補強インナーパネルとの間に部分的に所定のクリアランスが設けられていることが好ましく、このクリアランスは、請求項22に記載したように、1mm乃至10mmであることが好ましい。
本願の第1乃至第5発明において、歩行者保護性能向上のため、請求項23に記載したように、前記アウターパネルが鋼製で、インナーパネル及び補強インナーパネルがアルミニウム合金製であることが好ましい。アウターパネルを鋼製とすることにより、アウターパネル重量が増加し、頭部衝突時の加速度第1波の大きさを増加させ200G程度とすることで、加速度第2が低下し、HIC値を1000以下に抑えることができる。
また、本願の第1乃至第5発明において、歩行者保護性能向上のため、請求項24に記載したように、前記アウターパネル内面に1又は複数の鋼製、アルミニウム合金製又は鉛製の補強板が貼り付けられていることが好ましい。アウターパネルの局部的重量を増加させ、頭部衝突時の加速度第1波の大きさを増加させ、200G程度とすることで、加速度第2波は低下し、HIC値を1000以下に抑えることができる。金属板の配置箇所、枚数、厚さ等は適宜選択される。
本願発明に係る車体パネル構造体は、請求項25に記載したように、自動車のルーフ、ドアー、トランクリッドに適用可能である。また、本願発明に係る車体パネル構造体は、請求項26に記載したように、鉄道車両のルーフ、ドアー、床又は側壁に適用可能なものである。
本願発明に係る車体パネル構造体は、請求項27に記載したように、前記アウターパネルとインナーパネルとの間の閉空間又はインナーパネルと補強インナーパネルとの間の閉空間に頭部衝突エネルギー吸収効果を有する所定の内圧を与えることが好ましい。これによって、頭部加速度第2波が減少し、HIC値が減少し、歩行者保護性能が向上する。
このとき、請求項28に記載したように、前記アウターパネルとインナーパネルとの間の閉空間又はインナーパネルと補強インナーパネルとの間の閉空間に袋状物を配置し、この袋状物内に内圧を与えることが好ましい。袋状物としては、例えば天然又は合成樹脂製のものが好適に使用される。
本願発明に係る車体パネル構造体は、請求項29に記載したように、前記アウターパネルとインナーパネルとの間の閉空間又はインナーパネルと補強インナーパネルとの間の閉空間にエネルギー吸収材を埋め込んでおくことが好ましい。これによって、フードの頭部衝突エネルギーの吸収効果が増大し、歩行者保護性能が向上する。エネルギー吸収材としては、例えば発砲スチロールが好適に使用される。
本願の第6発明に係る車体パネル構造体は、請求項30に記載したように、アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置され車幅方向に平行に断面波型形状のビードを有するインナーパネルとを組み合わせた車体パネル構造体において、前記インナーパネルの波形形状は、波の波長をp、歩行者の頭部外径dとした時、0.5<p/d<2.8を満足するか、又は前記インナーパネルの波高をh1、歩行者の頭部外径をdとした時、0.05<h1/d<0.35を満足するものであることを特徴とする。
この車体パネル構造体は、軽量で、歩行者保護性能及び吸音性能に優れたものとなる。
この車体パネル構造体は、軽量で、歩行者保護性能及び吸音性能に優れたものとなる。
本願の第6発明に係る車体パネル構造体において、請求項31に記載したように、大人頭部衝突範囲における前記インナーパネルの波高h1aが子供頭部衝突範囲における前記インナーパネルの波高h1cよりも大きいことが好ましい。これによって軽量で、歩行者保護性能及び吸音性能に優れた車体パネル構造体となる。
また、本願の第6発明に係る車体パネル構造体においては、請求項32に記載したように、前記インナーパネルの断面波型形状は、パネル中央部に2重の波型形状以外の波型形状を有するものであることが好ましい。これによって、歩行者保護に優れた車体パネル構造体が得られる。
本願の第7発明に係る車体パネル構造体は、請求項33に記載したように、アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置され車幅方向に平行に断面波型形状のビードを有するインナーパネルと、このインターパネルの更に内面に配置され車幅方向に平行に断面波型形状のビードを有する補強インナーパネルとを組み合わせた車体パネル構造体において、前記インナーパネル又は補強インナーパネルの断面波型形状は、大人頭部衝突範囲における前記インナーパネル又は補強インナーパネルの波長をpaとし、大人の頭部外径をdaとした時、0.5<pa/da<2.8を満足するものであり、子供頭部衝突範囲における前記インナーパネル又は補強インナーパネルの波長をpcとし、子供の頭部外径をdcとした時、0.5<pc/dc<2.8を満足するものであることを特徴とする。これによって、歩行者保護に関する最適波長によって、優れた歩行者保護性能が得られる。
本願の第7発明に係る車体パネル構造体においては、請求項34に記載したように、前記インナーパネル又は補強インナーパネルにおける断面波型形状は、大人頭部衝突範囲における前記インナーパネルの波高をh1a、補強インナーパネルの波高をh2aとし、大人の頭部外径をdaとした時、0.05<(h1a+h2a)/da<0.35を満足するか、又は子供頭部衝突範囲における前記インナーパネルの波高をh1c、補強インナーパネルの波高をh2cとし、子供の頭部外径をdcとした時、0.05<(h1c+h2c)/dc<0.35を満足するものであることが好ましい。これによって、歩行者保護に関する波高の最適値が得られる。
また、本願の第7発明に係る車体パネル構造体においては、請求項35に記載したように、前記インナーパネルの断面波型形状は、パネル中央部に2重の波型形状以外の波型形状を有するものであることが好ましい。これによって、歩行者保護に優れた車体パネル構造体が得られる。
本願の第8発明に係る車体パネル構造体は、請求項36に記載したように、前記インナーパネルと補強インナーパネルが、夫々異なる波長又は波高の断面波型形状を有する車体パネル構造体である。
本願の第1乃至第5発明並びに第7及び第8発明において、請求項37に記載したように、前記補強インナーパネルの更に内面に、前記インナーパネル又は補強インナーパネルと同様の又は異なる断面波型形状を有する第2補強インナーパネルを配置することもできる。
本願の第1乃至第5発明並びに第7及び第8発明において、請求項38に記載したように、前記インナーパネル、補強インナーパネル又は第2補強インナーパネルは分断された波型断面形状を有するものであっても良い。また、本願の第1乃至第5発明並びに第7及び第8発明において、請求項39に記載したように、前記インナーパネル、補強インナーパネル又は第2補強インナーパネルは、分断されていない波及び一部分断された波を有するものとすることもできる。このようにすることによって、歩行者保護に優れた車体パネル構造体が得られる。
本願の請求項1乃至9に記載の第1発明乃至第5発明に係る車体パネル構造体によれば、フード軽量化の観点から、フードの張り剛性を格段に高めることができ、捩り剛性と曲げ剛性についても十分な剛性を有する車体フード構造を提供できる。また、歩行者保護の観点から、アウターと剛体物とのクリアランスが小さくてもHIC値を低減可能で、フードへの衝突部位によらずHIC値が概ね均一で、さらにアルミ製フードでも十分HIC値を低減できる頭部衝突耐性に優れた歩行者保護車体フード構造体を提供できる。さらに、インナー又は補強インナーに多孔板を用いることで広帯域吸音特性を有する歩行者保護性能に優れた吸音車体フード構造体を提供できる。
本願の請求項10記載の車体パネル構造体によれば、スプライン型インナーを適用することにより、エンジンルーム内の複雑な剛体部品の配置を考慮しつつ、頭部衝突耐性の向上が図れる。
本願の請求項11に記載の車体パネル構造体によれば、略台形形状のインナー又は補強インナーにより、フードの静剛性を高めることができ、また歩行者保護における頭部衝突での頭部加速度を低下できる。
本願の請求項12に記載の車体パネル構造体によれば、略波型形状に略小波形状を重ねたインナー又は補強インナーにより、フードの静剛性を高めることができ、また歩行者保護における頭部衝突での頭部加速度を低下できる。
本願の請求項2乃至5に記載のインナー又は補強インナーにより、フードの静剛性を高めることができ、また歩行者保護に於ける頭部衝突での頭部加速度を低下できる。
なお、本発明に係る車体パネル構造体によれば、2重波型フード構造の波長と波高の好適範囲は請求項13、14に示すとおりであり、広範囲な好適範囲となる。
本願の請求項15に記載の車体パネル構造体によれば、フードはアルミ製又は鋼製であるが、アルミ製の場合のほうが軽量化効果が大きい。
本願の請求項16、17に記載の車体パネル構造体によれば、アウターとインナーとの接合を柔な結合とし、接合部分を千鳥状に配置したことにより、歩行者保護に優れた車体パネル構造体となる。なお、インナーと補強インナーとの結合は剛に結合されているほうがよい。
本願の請求項18に記載の車体パネル構造体によれば、インナー又は補強インナーとして閉口率3%以下、孔径3mm以下の多孔板を用いたことにより、広帯域吸音特性に優れた車体フードパネルを実現できる。
本願の請求項19に記載の車体パネル構造体によれば、インナーパネル断面の略波型形状において、インナーパネルと補強インナーパネルの波長又は波高を、車体幅方向又は車体長手方向に不均一としたことにより、音場の固有振動モードが複雑化し、吸音特性が広帯域化し、吸音特性が向上する。
本願の請求項20に記載の車体パネル構造体によれば、インナーパネルと補強インナーパネルにより形成される断面形状において、1波長中の左右の波形状が波長又は波高について非対称で、ゆがんだ波形状断面としたことにより、音場の固有振動モードが複雑化し、吸音特性が広帯域化し、吸音特性が向上する。
本願の請求項21、22に記載の車体パネル構造体によれば、フード断面の略波型形状において、アウターパネルとインナーパネルとの間、またはインナーパネルと補強インナーパネルとの間に部分的に1mmから10mm程度のクリアランスを設けたことにより、音場の固有振動モードが複雑化し、吸音特性が広帯域化し、吸音特性が向上する。
本願の請求項23に記載の車体パネル構造体によれば、アウターパネルを鋼製で、インナーパネル及び補強インナーをアルミ又はアルミ合金製としたことにより、頭部加速度第1波が200G程度に上昇し、頭部加速度第2波が低下し、結果的にHIC値が低下する。
本願の請求項24に記載の車体パネル構造体によれば、アウターパネル下面に、1又は複数の鋼製、アルミ製、鉛製等の金属補強板を配置することにより、頭部加速度第1波が200G程度に上昇し、頭部加速度第2波が低下し、結果的にHIC値が低下する。
本願の請求項25、26に記載の車体パネル構造体によれば、車体のルーフ、ドアー、トランクリツド、又は鉄道車両のルーフ、ドアー、床、側壁等に適用することにより、車体又は鉄道車両の衝突耐性を向上させ、あわせて吸音効果を高めることができる。
本願の請求項27、請求項28に記載の車体パネル構造体によれば、アウターパネルとインナーパネルとの閉空間又はインナーパネルと補強インナーパネルとの閉空間に適度な内圧を与えたことにより、頭部衝突エネルギーの吸収効率が増大し、加速度第2波が減少し、HIC値が低下し、歩行者保護性能が向上する。
本願の請求項29に記載の車体パネル構造体によれば、アウターパネルとインナーパネルとの閉空間又は、インナーパネルと補強インナーパネルとの閉空間に発砲スチロールなどのエネルギー吸収部材を埋め込んだことにより、頭部衝突エネルギーの吸収効率が増大し、歩行者保護性能が向上する。
また、本願の請求項30に記載の第6発明に係る車体パネル構造体によれば、車幅方向に略平行に略波型形状のビードを有するインナーパネルとアウターパネルとを組み合わて車体パネル構造体としたことにより、軽量で歩行者保護性能又は吸音性能に優れた車体パネル構造体を提供できる。
また、本願の請求項31に記載の車体パネル構造体によれば、大人頭部衝突範囲でのインナーの波高(h1a)が、子供頭部衝突範囲でのインナーの波高(h1c)より大きくしたことにより、軽量で歩行者保護性能又は吸音性能に優れた車体パネル構造体を提供できる。
また、本願の請求項32に記載の車体パネル構造体によれば、歩行者保護に優れたフードを提供できる。
本願の請求項33に記載の第7発明にかかる車体パネル構造体によれば、車幅方向に略平行に断面波型形状のビードを有するインナーパネル、補強インナーとアウターパネルとを組み合わせた車体パネル構造体において、大人頭部衝突範囲での波長(pa)が0.5<pa/da<2.8を満足するか、又は子供頭部衝突範囲での波長(pc)が0.5<pc/dc<2.8を満足するものとしたことにより、歩行者保護に関する波長の最適値が得られる。
本願の請求項34に記載の車体パネル構造体によれば、大人頭部衝突範囲でのインナーの波高(h1a)、補強インナーの波高(h2a)が0.05<(h1a+h2a)/d<0.35を満足し、又は子供頭部衝突範囲でのインナーの波高(h1c)、補強インナーの波高(h2c)が0.05<(h1c+h2c)/d<0.35を満足するものとしたことにより、歩行者保護に関する波高の最適値が得られる。
また、請求項35に記載の車体パネル構造体によれば、歩行者保護に優れたフード構造体を提供できる。
本願の請求項36に記載の車体パネル構造体によれば、歩行者保護に優れたフード構造体を提供できる。
また、本願の請求項37乃至39に記載の車体パネル構造体によれば、上記発明と同様、歩行者保護に優れたフード構造体を提供できる。
1:インナー
2:波型ビード
3:パネル構造体
4:アウター
5:ビード凸部
6:ビード凹部
7:樹脂層
8:ヘム加工部
9、10:インナー周縁部
23:歩行者の頭部
24:剛体面
25:樹脂等の接着剤
26:波型インナー
27:ビーム型インナー
28:頭部モデル
29:補強部
30:接着部
31:スプライン型インナー
32:衝突位置
40:補強インナー
41:クラッシュビード
42:スリット
43:リベット
44:ゴム製又は樹脂製等の袋
45:発砲スチロール等のエネルギー吸収材
46:第2補強インナー
47:分断されたビード
48:分断されていないビード
2:波型ビード
3:パネル構造体
4:アウター
5:ビード凸部
6:ビード凹部
7:樹脂層
8:ヘム加工部
9、10:インナー周縁部
23:歩行者の頭部
24:剛体面
25:樹脂等の接着剤
26:波型インナー
27:ビーム型インナー
28:頭部モデル
29:補強部
30:接着部
31:スプライン型インナー
32:衝突位置
40:補強インナー
41:クラッシュビード
42:スリット
43:リベット
44:ゴム製又は樹脂製等の袋
45:発砲スチロール等のエネルギー吸収材
46:第2補強インナー
47:分断されたビード
48:分断されていないビード
以下、本発明の車体パネル構造体の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る車体パネル構造体の一実施態様におけるインナーパネル(インナー)の斜視図、図2は図1のA−A線断面図である。なお、図1においては、波型形状が分かりやすいようにメッシュが入れられている。
図1及び図2において、インナー1aはアルミニウム合金又は高張力鋼板などに代表される軽量で高張力な金属製であって、周縁部9a、9b(9a:車体先端側、9b:運転席側)及び10a、10b(車幅側)を除くパネル全面に渡って、車体長さ方向に向かう複数本の略波型ビード(凸条)2aが互いに略平行に設けられている。なお、直線状の略波型ビードだけでなく、後述する、同心円又は楕円などの曲線状波型ビードも相互に略平行に形成されている。
図2において、波型ビード2aは、アウターパネル(アウター)4aの裏面側に向かって張り出した、断面がなだらかな円弧状又は長手方向に畝状のビード凸部5を有し、これとは反対側に窪んだ同じく断面がなだらかな円弧状又は長手方向に畝状のビード凹部6とによって、車幅方向にサイン波状に連続する曲線からなる波型を形成している。そして、図1及び図2では、直線状の波型ビード2aが7本略平行でかつ互いに独立して(間隔をあげて)インナー1aの表面に設けられている。
図1及び図2に示す波型ビード2aは、ビード凹部6も含めて、その長手方向に渡って概ね同じ幅を有している。但し、波型ビード2aはビード凹部6も含めて、必ずしも、その長手方向に渡って同じ幅を有する必要はない。例えば平面的に見て、部分的に幅が狭くなるくびれや窪みを設けて、車体衝突の際に、インナーの全体変形の起点となって衝撃を吸収し乗員を保護する形状としても良く、又は車体設計に応じて順次幅が狭くなるか又は幅が拡がる形状としても良い。
なお、これら波型ビード2aやビード凹部6の断面形状(幅、高さ、斜面の傾斜角度)、数(本数)、長さなどの条件は特に本実施形態に限定されるものではない。但し、剛性の発揮と成形のし易さを考慮すると、前記断面形状の波の高さhは10乃至60mm、前記波長pは90乃至300mmの範囲から選択することが好ましい。
例えば、ビード凹部6も含めて、これら略波型ビード断面形状が大きく、また略波型ビードの数が多いほど、またパネル全面に渡って設けられるほど、インナー又はパネル構造体の剛性を高めることができる。
従って、これら略波型ビード2aやビード凹部6の断面形状や条件は、剛性設計で要求される張り剛性、捩り剛性、曲げ剛性及び成形が可能又は容易であること(成形性)等との関係から適宜選択される。
また、インナーの更なる軽量化のために、剛性や強度に影響のない範囲で、略波型ビード2aやビード凹部6の部分に、部分的にパネルをトリミングした空間又は切欠き部分(円、矩形など空間部分の形状は問わない)を設けても良い。
更に、例えばインナーをテーラーブランク化するなどして、インナーの外縁部(外周部)の板厚を中央部の板厚よりも厚くし、パネル又はパネル構造体の先端部にかかる曲げ荷重に対しパネル又はパネル構造体の曲げ剛性を向上させる等、別の剛性補強手段と適宜組み合わせても良い。
補強インナーパネル(以下、単に補強インナーという)40はインナーと互いの頂点部分が結合するように一体化されている。結合部分は例えば接着材、リベット等を用いて結合される。このように、2重波型構造とすることで、頭部衝突時の吸収エネルギーが高められ、頭部衝突耐性が向上し、騒音対策の観点からも吸音率が高まる。
本実施形態において、インナー及び補強インナーの断面形状は、基本的にはサイン曲線状の略波型であるが、曲率の自由度が高いスプライン曲線である方が実用的である。図4乃至図6は、断面形状をスプライン曲線とした例を示すものである。図4はフード中央部における車幅方向の切断面を示す図である。図4に示すように、通常エンジンルーム内は複雑な部品配置をしており、このようなスプライン形状により、部品配置を考慮した柔軟なインナー形状設計が可能となる。図5はこのスプライン形状のインナーを示す斜視図であり、図6(a)乃至(d)はスプライン曲線を示すインナーの断面形状を示すものである。補強インナーもインナーと同様の形状を有し、インナーと補強インナーの断面形状の組み合わせは基本的には同一形状での組み合わせとなり、波高は異なるが波長は同一となる。但し、異なる形状を組み合わせる場合も考えられる。
一般にスプライン曲線とは、大小曲率の異なる曲線を滑らかにつなぎ合わせて形成される曲線を言う。本実施形態において、スプライン波形とは、スプライン曲線と同じ意味合いから、略波型波形(略台形等を含む)をベースにその上にエンボス形状などの大小曲率の異なる複数の波が重ね合わされてできる波型の波形であると定義する。エンボス形状は、インナー及び補強インナー全面に及ぶ場合と、R部などの局部に限定される場合がある。
本発明に係るインナー及び補強インナーの断面形状は、基本的にはサイン曲線状の略波型であるが、断面形状に略台形を用いてもよい。図7(a)に断面台形形状の概略図を、図7(b)に断面台形形状のバリエーションを示す。図7(a)は凸部及び凹部の双方が台形形状の場合、図7(b)は凸部が台形状、凹部が円弧状の場合を示す。これらの台形状の波型は、インナーと補強インナーの双方が同一形状を有することが原則であるが、インナー又は補強インナーの一方をサイン曲線又はスプライン曲線にしてもよい。
またインナー及び補強インナーの曲面上に、小さな凹凸を設けたり、小波を重ねたりして、局部剛性を調整してもよい。車体長手方向に伸びる小さなビードにより凹凸を設ければ、車体方向の剛性が高まり、局部的に頭部衝突耐性が高まる場合がある。
図8乃至図10は、インナーと補強インナーとが上下対称の場合の2重波型断面形状の例を示す断面図である。図8はインナーと補強インナーとが上下対称の5ケースを示したものである。図8(a)乃至(e)において、アウター4と、その裏面に配置された上下対称のインナー1及び補強インナー40とで車体パネル構造体が形成されている。図9はインナーと補強インナーとが上下対称の1ケースを示したものである。図9のインナー1及び補強インナー40は凹部相互間又は凸部相互間に所定の間隔を設けた例、図10はインナーと補強インナーとが上下対称の1ケースを示したものであって断面曲線の表面に細かな凹凸を設けた例である。
一方、図11(a)乃至(d)及び図12は、上下非対称の場合の例であり、図11(a)は補強インナー40の凹部に小さな凸部を設けた例、図11(b)はインナー1の凸部の一部を直線とした例、図11(c)は凸部の一部を直線としたインナー1と凹部に小さな凸部を設けた補強インナー40とを組み合わせた例、図11(d)は補強インナー40の凹部の一部を直線とした例である。また図12は、補強インナー40の断面曲線の表面に細かな凹凸を設けた例である。
図13(a)乃至(d)は、インナーと補強インナーとが上下対称の場合の2重波型断面形状を示す図であって、図13(b)乃至(d)は、図13(a)の断面波型形状に上下対称となるように小波を重ねた例を示す図である。即ち、図13(a)において、この車体パネル構造体は、小波を重ねる前の断面形状を示すものであって、インナー1と補強インナー40とが上下対称の場合を示すものである。図13(b)は、図13(a)の1波長中に小波を2波重ねた断面形状を示す図、図13(c)は、図13(a)の1波長中に小波を3波重ねた断面形状を示す図、図13(d)は、図13(a)の1波長中に小波を4波重ねた断面形状を示す図である。
本実施形態において、複数本の略波型ビードはパネル構造体の車幅方向又は長手方向に対し略平行方向、パネル構造体の長手方向に対し略斜め方向又はパネル構造体の略中心に対し同心円状の配列で設けられていることが好ましい。また、複数本の略波型ビードは第1方向における断面形状が波型をなすように複数形成された第1の凹凸と前記第1方向に交叉する第2方向における断面形状が波型をなすように複数形成された第2の凹凸とを有するものであってもよい。インナー及び補強インナーの略波型ビード配列例の斜視図を図14乃至図17及び図56に示し、その断面図を図73に示す。
図14のインナー1fは、稜線が車体長手方向に対して傾斜して延びる直線状の波型ビード2f、2gが、車体幅方向の両側に分割された領域に形成されている。この図14に示す波型ビード2f、2gは、車体方向に向いて、それらの稜線が互いに出会うハ型に配置されている。図15のインナー1gは、同様に、稜線が車体長手方向に対して傾斜して延びる直線状の波型ビード2f、2gが、車体幅方向に分割された領域に形成されているが、図15に示す波型ビード2f、2gは、車体方向に向いて、それらの稜線が相互に離れる逆ハ型に配置されている。
図16のインナー1bは、パネル全面に渡って、複数の略波型ビード2bが互いに略平行に同心円状に設けられている。即ち、図16に示すインナー1bの波型ビード2bの凹凸形状は、同心円をなすものである。また図17のインナー1cは、パネル全面に渡って、複数の略波型ビード2c、2dが互いに略平行に楕円状に設けられている。即ち、図17に示すインナー1cは、中央部に楕円状の波型ビード2dを設け、その両側に直線状の波型ビード2cを形成したものである。
また、本発明に係る車体パネル構造体において、複数本の略波型ビードがパネル構造体の長手方向に対し略平行な波とこれに略直行する波とが交差する2重波状の配列で設けられているものとすることができる。インナー及び補強インナーの略波型ビード配列の例を、図18及び図19に各々斜視図として示す。
図18のインナー1dは、パネル全面に渡って、複数の略波型ビード2a、2eが互いに縦横に直行する形で、アウターとインナーとの接着面積を増やしている。即ち、図18に示すインナー1dは、図1と同様に稜線が直線状でこれが車体長手方向に延びる波型ビード2aと、稜線が直線状でこれが車体幅方向に延びる波型2eとが直交するように形成されている。
同様に、図19のインナー1fは、パネル全面に渡って、複数の略波型ビード2a(縦ビード)、2e(横ビード)が互いに縦横に直行する形で、アウターとインナーとの接着面積を減らしている。図19に示す波型ビード2a及び2e波断面形状はサイン曲線である。図19に示すインナー1fは、同様に稜線が車体長手方向に延びる波型ビード2aと稜線が車体幅方向に延びる波型ビード2eとが直交するように形成されているが、波型ビード2a及び2eの断面形状はスプライン形状である。
さらに、本発明に係る複数本の略波型ビードが、パネル構造体の長手方向に対し斜め方向の波とこれに交差するもうひとつの斜め方向の波を重ねた2重波状の配列で設けられているものであってもよい。インナー及び補強インナーの略波型ビード配列例を、図20に斜視図として示す。図20に示すインナー1hは、稜線が車体長手方向に対して傾斜して延びる直線状の波型ビード2f、2gが、いずれも車体パネルの全面に形成されており、従って、前記図14、図15の斜めの略波型ビード2fと2gを互いに交差させた態様を示している。なお、これらインナー、補強インナー及びアウターとの一体化は、基本的に、前記図2で説明したパネル構造体と同じ要領で行われる。
本発明に係る略波型インナーを平面的に見た場合、略波型ビードは、フード長手方向に対し平行もしくは斜め、又は略波型インナーの略中心に対し楕円状などを含む同心円状、又はこれらの配列の組み合わせである2重波状となるように、互いに平行に配列することもできる。そして、これら配置された略波型ビードがパネル全面に渡って、インナーの断面形状を構成している。なお、これら各配列の具体的な規定は、厳密な意味での規定ではなく、剛性向上効果を損なわない範囲での多少のズレを許容する点で、平行、台形、同心円等は夫々略平行、略台形、略同心円状等、略の意味を有するものである。
上述した図14、図15のインナー1f、1gは、略波型ビード2f、2gがV字状(U字状でも可)に略平行に分布する態様を示しているが、図56のインナーは、略波型ビードが車幅方向に略平行に分布する態様を示している。図56において、略波型ビードが車幅方向に平行に分布されている。
次に、このインナー、補強インナー及びアウターとを一体化した2重波型フード構造体について説明する。図2のフード構造体は、インナー1aの略波型ビード2の頂部に樹脂層7を配置し、この樹脂層7を接着剤として、略波型ビード2aの平坦な頂部5aと、緩やかな円弧状に成形されたアウター4aの裏面とを互いに接合し、空間を介した閉断面構造をとって一体化した状態を示している。
フード構造体としての一体化は、前記接着剤とともに、インナー1aとアウター4との周縁部を、アウター4周縁部のへム部4bをへム(曲げ)加工することにより固着して行われている。なお、樹脂層7には、樹脂の特性や種類を選択することにより、制振や消音(遮音)、衝撃緩衝効果などを持たせることも可能である。そして、これらの効果を向上させるため、波型ビード5の頂部5aのみではなく、樹脂層やクッション材などをビード凹部6の上など、インナー1aとアウター4との間隙に充填するようにしても良い。
次に、図2の2重波型フード構造の斜視図としての図3において、インナー1aとアウター4とを一体化した波型フード構造は、前記従来のコーン型フード構造やビーム型フード構造と同様に、更にヒンジレインフォースメント21やラッチレインフォースメント22などの補強部材によって、局部補強されている。
一方、歩行者保護における頭部とフードとの衝突での課題解決について、従来型の波型インナーは頭部の運動エネルギーを極めて良好に吸収可能で、HIC値を大幅に下げることが可能である。即ち、
・波型インナーの波長を、概ね頭部外怪を基準として、その前後の値とすることにより、頭部衝突時に頭部を概ね1つの波でささえる構造となり、頭部を柔らかく受け止める変形を生じ、その結果、加速度第2波が減少し、HIC値が減少する。
・頭部衝突時に、アウターとインナーとが、がた振動を生じ、頭部加速度波形を撹乱させ、その結果加速度第2波を大幅に低減でき、HIC値が減少する。
・波型インナーの波長を、概ね頭部外怪を基準として、その前後の値とすることにより、頭部衝突時に頭部を概ね1つの波でささえる構造となり、頭部を柔らかく受け止める変形を生じ、その結果、加速度第2波が減少し、HIC値が減少する。
・頭部衝突時に、アウターとインナーとが、がた振動を生じ、頭部加速度波形を撹乱させ、その結果加速度第2波を大幅に低減でき、HIC値が減少する。
本発明における2重波型フード構造では、従来型の波型フード構造に、さらに補強インナーを追加したことにより、頭部衝突エネルギーが効率よく吸収されるので、HIC値は従来の波型フード構造に比較してさらに低下し、頭部衝突耐性が高まる。
また、アウターとインナーとの間に柔な接合方法を適用し、波型インナーの山部に局部的な接着部をちどり状に、又は分散させて設けることにより、歩行者保護での頭部衝突に際し、アウターとインナーのがた振動を損なわず、この結果、頭部加速度波が撹乱され、HIC値を低下させることが可能となる。
更に、スプライン型インナーを適用することにより、エンジンルーム内のエンジン、バッテリ、ラジエータ等の剛な部品の配置を考慮したより現実的な設計が可能となる。
エンジンルーム内にはエンジン、バッテリ、ラジエー夕等の堅い部品があり、波型インナーの設計ではこれらの部品の配置を考慮した設計が必要となる。これらの部品の配置は車により千差万別であり、波型インナーの断面形状は、単純で規則的な波型から、波長、波高、波形が不規則に変化する波型形状に修正することができる。このため、波型の断面形状は主としてスプライン関数のような任意の3次元形状を表せる形状関数で定義される例えば図4のような形状であることが好ましい。本実施形態においては、このようなスプライン関数の波型形状を有するインナーをスプライン型インナーと定義し、波型インナーの1形態とする。
図4は、フード長手方向のある断面における断面形状で、アウター、スプライン型インナー、スプライン型補強インナー及びエンジンルーム内の剛体面を表している。まず、スプライン型インナー及びスプライン型補強インナーと剛体面との位置関係は、頭部衝突時に波の谷部が剛体面で概ね均等に衝突し、剛体面からの反力が波型インナー全面に伝わるよう配慮する。このため、アウターと剛体面とのクリアランスが小さく頭部と剛体物との衝突が避けられない部位B1では、スプライン波の谷部D1、D2で均等に支持されるような断面形状とする(B2、B3、B4も同様である)。
また、クリアランスが十分あり剛体物との衝突が発生しない部位A1では、波長を大きくとり、波の谷部D2、D3で均等に支持されるような断面形状とすることができる。この部位で波長を短くし、波数を複数にすると、インナーの車幅方向の曲げ剛性が低下し、鉛直方向の変位が増加し、頭部衝突耐性が低下するため、D2からD3までを1つの波でつなげている(A2も同様である)。但し、HIC値が低く許容できる範囲での波を設けることは問題ない。なお、C1、C2、C3、C4、C5の波の谷部での頭部衝突では、はじめに荷重がインナーの山部に伝わり、その後インナーの谷部を介して剛体面に伝わるので、頭部衝突耐性は、山部に衝突したときと概ね同様となる。このように、スプライン型インナーでは、車ごとに異なるエンジンルーム内の剛体物の配置によらず、概ね一定の頭部衝突耐性を実現できる。また、なお、エンジンルーム内の剛体物の配置は非常に複雑であり、スプライン波の波高、波長は、車幅及び車長手方向に柔軟に変化させるため、スプライン型インナーの形状は複雑な曲面となる。
更に、クリアランスが不足し、頭部衝突耐性が不足する部位については、インナーに補強板を張り付けたり、スプライン型インナーに、局部的に凹凸(いわゆるエンボス加工)をつけたり、又は小さな波をフード長手方向に重ねることにより、インナーの局部剛性を増加することができ、これによって頭部衝突耐性が改善される。
また、アウター下面に鋼製、アルミ製等の金属板を貼り付けることにより、局部的にアウター重量を増加させ、頭部衝突時の加速度第1波の値を200G程度に増加できれば、頭部加速度波形の最適形状が得られ、その結果、HIC値が低下することが本発明者により明らかにされている。
アウター、インナー、補強インナーに用いる金属は、通常汎用されるAl合金板や高張力鋼板などが適宜採用される。但し、樹脂は、材料強度などの特性の観点から、本発明で目的とする剛性を持たせるためには、厚みを極端に厚くする必要があるので、非現実的であり、本発明の車体パネル構造体材料としては適用しない。
車体の更なる軽量化のためには、Al合金を適用することが好ましいが、本発明の車体パネル構造であれば、高張力鋼板を使用しなくても、また特別に高強度のAl合金を使用しなくても、十分高剛性化することができる。
本発明に適用するインナー又はアウターに用いるAl合金自体としては、通常、この種パネル用途に汎用される、AA乃至JIS規格による3000系、5000系、6000系、7000系等の耐力の比較的高い汎用(規格)Al合金板から選択して用いることが好ましい。これらAl合金板は、圧延加工などの常法により製造され、適宜調質処理されて用いられる。
歩行者保護における頭部衝突耐性向上について、簡易解析モデルを使用し、2重波型フード構造の効果を調べた。波型断面は、サイン波形状とし、波の分布はフード長手方向に平行な場合について調べた。
解析モデルは、下記のごとく設定した。図21は、本発明に適用される波型インナーの歩行者頭部衝突モデルの概略を示す側面図、図22は正面図である。また、頭部衝突モデルの斜視図を図23、図24に示す。
図21及び図22において、アウター4の内面に波型インナー1が設けられ、波型インナー1の内面に補強インナー40が設けられ、アウター4とインナー1との間は、樹脂30により接着されている。なお、符号23は歩行者の頭部、符号24は剛体面である。また、各寸法類は、頭部外径d、衝突速度v、衝突角α、アウターと剛体面との衝突方向の間隔L、接着剤の厚さc、波型インナーの波高h1、補強インナーの波高h2、波型インナー及び補強インナーの波長pを表わす。また、歩行者の頭部モデルの解析条件を下記表1に示す。
解析モデルでは、以下の項目を考慮した。頭部衝突モデルは、実物を想定した詳細モデル化が困難なため、頭部を球状の頭部モデルとし、車体部をフード構造体と剛体面とから構成される簡易モデルとした。
・剛体面は、エンジンルーム内でモデル化が困難なエンジン等の剛対物を模擬しており、アウターに平行な曲面で鉛直方向にクリアランスLを有している。
・フードモデルは、通常のセダンでインナー及び補強インナーは5000系アルミ材、アウターは6000系アルミ材で、フード長手方向曲率3100mm、幅方向曲率4300mmの2重曲率を有する2重板構造の簡易モデルで、弾塑性体としてモデル化した。
・アウターとインナーとの接着部はモデル化されておらず、接着部の厚さcは、隙間をゆるすモデル化となっている。図23中の黒3角の3点が支持部であり、その他の部位は拘束されておらず、頭部衝突時にフード構造体は大きく変形し、衝突部が剛体面に衝突する。
・頭部モデルは、EEVC/WG10に示された子供と大人の頭部モデルを適用した。
・剛体面は、エンジンルーム内でモデル化が困難なエンジン等の剛対物を模擬しており、アウターに平行な曲面で鉛直方向にクリアランスLを有している。
・フードモデルは、通常のセダンでインナー及び補強インナーは5000系アルミ材、アウターは6000系アルミ材で、フード長手方向曲率3100mm、幅方向曲率4300mmの2重曲率を有する2重板構造の簡易モデルで、弾塑性体としてモデル化した。
・アウターとインナーとの接着部はモデル化されておらず、接着部の厚さcは、隙間をゆるすモデル化となっている。図23中の黒3角の3点が支持部であり、その他の部位は拘束されておらず、頭部衝突時にフード構造体は大きく変形し、衝突部が剛体面に衝突する。
・頭部モデルは、EEVC/WG10に示された子供と大人の頭部モデルを適用した。
2重波型フード構造の頭部衝突耐性の効果を調べるため、すでに効果の確認されている従来型の波型フード構造との比較検討を行った。両者の諸寸法一覧を表2に示す。
図23、図62は解析モデルを示す図である。頭部衝突位置はフード中央部としている。図24は2重波型フード構造の波の部分を取り出して表示しており、波型インナーの下面の補強インナーは、インナーとの接触部で固着されており、インナーと補強インナーとは閉空間となる。一方、従来型の波型フード構造では、補強インナーはない。波型フード構造での解析結果を図25に、2重波型(縦波)フード構造での解析結果を図26に、2重波型(横波)フード構造での解析結果を図66に示す。これらの解析結果より、波型フード構造の場合HIC値は966であったが、2重波型(縦波)フード構造の場合のHIC値は657に低下し、2重波型(横波)フード構造の場合のHIC値は635まで低下している。これは、2重波型フード構造により、頭部衝突エネルギーが効率よく吸収され、特に加速度第2波の大きさが120Gから80Gに著しく低下していることがわかる。この結果2重波型フード構造の頭部衝突耐性の効果が確認された。
上記解析モデルを用いて、クリアランスLとHIC値の関係を調べ、解析結果を図27及び図71に示した。これらの図より、2重波型フード構造では、従来型構造に比較しHIC値が低下し、クリアランスを約7mm短くでき、フード設計上好ましい結果が確認された。
解析により、2重波型フード構造での波長と波高の好適範囲を調べた。まず、波長について子供頭部衝突での解析結果を図28に示す。この図28より、2重波型フード構造では従来型に比較しHIC値が大幅に低下し、その好適範囲は波長をp、歩行者の頭部外径をdとした時、0.5<p/d<2.8となることが確認された。この好適範囲は、大人頭部衝突についてもそのまま適用可能である。
波長が短い場合は、インナーと補強インナーの車体長手方向の曲げ剛性が増加し、フードの剛性が高くなりすぎHIC値が制限値を越える。また、波長が大きすぎると逆に車体長手方向の曲げ剛性が低下し、フードの剛性が低くなりすぎ、頭部は剛体面に衝突し、HIC値が制限値を越える。波長は、好適な範囲に収まっていることが極めて重要である。
次に、波高について同様に子供頭部衝突での解析結果を図29に示す。この図29より、2重波型フード構造では従来型に比較しHIC値が大幅に低下し、インナーの波高をh1、補強インナーの波高をh2、歩行者の頭部外径をdとした時、0.05<(h1+h2)/d<0.35となることが確認された。この好適範囲は、大人頭部衝突についてもそのまま適用可能である。
波高が低い場合は、車体長手方向の曲げ剛性が低下し、フードの剛性が低くなりすぎ、頭部は剛体面に衝突し、HIC値が制限値を越える。波高が高い場合は、インナーと補強インナーの車体長手方向の曲げ剛性が増加し、フードの剛性が高くなりすぎHIC値が制限値を越える。波長は、好適な範囲に収まっていることが極めて重要である。
2重波型フード構造について頭部衝突位置の影響を調べた。解析条件は、子供頭部衝突で、アウターと剛体面との鉛直方向クリアランスLは70mmとし、頭部衝突位置を図30に示し、解析結果を表3に示した。この表3より、頭部衝突位置が変わっても、HIC値は概ね一定であり、この結果、2重波型フード構造は衝突部位に関しHIC値が概ね均一となることが確認できた。衝突位置によらず、HIC値が一定であることは、安全上極めて有用であると言える。
アウターとインナーは接着部に数ミリの隙間があいているが、現実にはフードの適切な張り剛性をえるために、最小限の接着剤が必要である。従来型フード構造での解析検討より、がた振動を阻害しないためには、接触断面形状が比較的局部的な面積で、極めて柔なスポンジ状の接着材を用して図31のごとく接着部30が波型インナーの山部にちどり状に、または分散して配置されるような構造が好ましいことが確認されている。接着部の断面積が増加し、又は接着材の剛性が増加すると、アウターとインナーとは一体となって振動しやすくなり、がた振動がなくなり、その結果、加速度第2波が増加し、HIC値は増加する傾向が確認されている。2重波型フード構造でも、基本構造は同じであり同一のメカニズムが生じるため、同一の接着方法が必要である。このため、本発明においては、2重波型フード構造における波型インナーとアウターとの接着方法を規定している。
本発明の2重波型フード構造では、アウターとインナー、インナーと補強インナーの間に2つの空気層を有し、インナー又は補強インナーに微細の孔を設けることが好ましく、これによって、歩行者保護性能だけでなく、吸音性能も向上する。なお、微細孔の大きさは、製造上の一般常識から板厚程度以下の微細な孔をパンチングであけるのはかなり困難であり、大量生産を前提とした場合には、孔径の最小値は板厚程度となるが、それより小さい孔を経済的にあげるには別途検討が必要となる。
へルムホルツの共鳴原理にもとづく多孔板吸音パネルの簡易式
(ただしf:周波数、c:音速、β:開□率、t:板厚、b:開口半径(穴径の半分)、d:背後空気層の厚み)より、開口率は小さく、穴径は大きく、板厚は厚く、背後空気層は厚いほど周波数は低下する。背後空気層の厚さと周波数の関係を図32に示す。
ここで、穴径は小さいほど吸音特性が向上し、直径1mm以下で粘性減衰により高い吸音特性が得られるという知見が得られており(H.V.Fuchs and X.Zha: The application of microperforated plates as sound absorbers with inherent damping Acustica,81 107-116(1995))、この公知事実の適用を考える。
但し、パンチングによる穴径は生産性及び経済性を考慮すると板厚程度以下にはしにくい。そこで、フードインナーによる吸音条件として、板厚をインナー板厚0.8mm、背後空気層の厚さを30mm、目標とする吸音周波数を1000HZ以下に設定すると、図33より穴径1mmの場合は開口率2%以下で、穴径3mmの場合は開口率約3%以下で、目標周波数を満足できることがわかる。
さらに上記簡易式を
と書き換え、穴径と開口率との関係を求める。目標周波数を1000HZ以下、板厚を0.8mmとした場合の穴径と開口率との関係を図33に示す。背後空気層を30mm以下とすれば、穴径3mm以下、開口率3%以下で目標周波数が得られることがわかる。板厚を0.4mmとした場合でも、図34より概ね同様の結論が得られることがわかる。
以上より、上記簡易式をフードインナーの吸音条件で目標周波数1000HZ以下とすると、穴径3mm以下、開口率3%以下が必然的に導かれることが示された。また、公知事実である1mm以下の穴径により、穴部での粘性抵抗が増加し高い吸音性能が得られる。当該歩行者吸音フードでは、歩行者保護性能と吸音性能を両立できる点に技術的価値がある。
背後空気層の厚さが変化する2重多孔板構造は、広帯域吸音特性を有していることがすでに知られている。ここでは、インナー板厚0.8mm、補強インナー板厚0.3mmとし、音場の固有値解析を行った。
まず、穴部を円形状とし正確にモデル化すると解析モデルが大規模となるので、ここでは、穴部をスリット構造とした2次元モデルに置き換えた。スリット吸音構造での簡易式は、
となる。但しf:周波数、c:音速、β:開口率(=b/L)、LO:板厚、b:スリット幅、L:スリット長さ、h:背後空気層の厚み、LE=0.564・b・loge(4L/b)である。
ここではインナーの板厚0.8mm、開口率0.5%、スリット幅0.05mm、スリット長さ100mmとし、補強インナーの板厚0.3mm、開口率0.5%、スリット幅0.05mm、スリット長さ100mmとした。波高はインナー、補強インナーとも15mmとした。この場合の背後空気層と周波数との関係を図35に、解析モデルを図36に示す。解析モデルではアウターとインナーによりはさまれた領域をC1部、C2部とし、インナーと補強インナーによりはさまれた領域をB部とした(図36参照)。スリット断面形状は図中のA部拡大図に示すとおりで、幅0.05mmのスリットをインナー及び補強インナーに開口率0.5%となるよう10mm間隔で設けた。
図37は、波長が160mmで、左右対称な1波長をモデル化した場合の音場の固有振動モードを示す図である。即ち、図37は左右対称な1波長2次元スリットモデルで、1次モードから9次モードまでの谷モードでの音圧分布図と固有振動数を示したものである。図中、音圧は正規化された値で表示され1から−1の範囲で分布する。1次モードではC1部、C2部で音圧1.0が生じており(図中に数字を記載)、固有振動数は720HZとなっている。このモードはアウターとインナーとの背後空気層(平均値は7.5mm)による振動モードと思われるが、図35で固有振動数が720HZとなるのは背後空気層の厚さが16mmの時である。このためC1部、C2部にB部の1部を加えた背後空気層が16mmの領域による振動モ-ドであると考えられる。次に2次モードは997HZであり、C1部及びC2部での背後空気層厚さ8.5mmでの固有振動数で、概ねアウターとインナーとの背後空気層の平均値7.5mmに相当している。C1部は音圧1.0であるが、C2部では音圧−1.0であり符号が逆転している。3次モードから7次モードまでは、概ね2次モードに類似した振動モードになっているが、それぞれ背後空気層がしだいに小さくなったモードであると考える。8次モードと9次モードは補強インナーとインナー間の背後空気層による振動モードである。このように、2重波型構造では背後空気層の厚さが変化するだけでなく、空気層が2層あることにより、複雑な振動モードが生じることがわかる。
次に、図39は、同じ寸法で左右対称な4波の波形状をモデル化した解析結果であって、1次モードから5次モードまでの各モードでの音圧分布と固有振動数を示す図、図38は、振動次数と固有振動数の関係を示す図である。図39より、振動モードのパターンは1波の場合と類似しているが、隣り合う波同士の影響を受け振動モードはより複雑となり、図38のように2000HZ以下の振動モードは9個から25個に増加している。従来から2重の多孔板を重ねることにより広帯域吸音特性が得られることが知られているが、ここで示した2重波型フード構造の吸音特性は、各振動モードのピーク値をつなぎ合わせた結果、図40のごとく周波数に関し平坦な広帯域吸音特性となるはずである。実験での確認は経済的理由のため行っていない。なお、図40は左右対称な4波長2次元スリットモデルから予想される広帯域な吸音特性を示すものである。
波の波長に関し、非対称とした場合の影響を調べた。図36における1ピッチ160mmの断面形状を、半ピッチ100mmと半ピッチ80mmからなる波形状を設定し、同様の解析を行った。解析結果を図41に、振動次数と固有振動数の関係を図38に合わせて示す。図41は、左右非対称な4波長2次元スリットモデルで、1次モードから5次モードまでの各モードでの音圧分布図と固有振動数を示すものである。図41より振動モードは図39と類似しているが、固有振動数は低周波側にシフトしており、図38より2000HZ以下の固有振動次数は33個に増加している。これは、波長が若干増加したことによりC1部、C2部、B部の領域が増加したことによるが、波形状を非対称とすることにより振動モードがより複雑となったこともひとつの理由と考える。この結果、2000HZ以下の周波数範囲に振動モードが密集し、吸音性能の広帯域性が高まったと言える。
フードの形状を考慮し、車幅方向の曲面の傾きの影響について調査した。図42に解析結果を、図38に振動次数と固有振動数の関係を合わせて示す。即ち、図42は左右非対称で傾斜した4波長2次元スリットモデルで、1次モードから5次モードまでの各モードでの音圧分布図と固有振動数を示すものである。ここではアウ夕ーとインナーとのクリアランスを3mm、インナーと補強インナーとのクリアランスを0.3mmとした。図42より、形状の複雑化により、振動モードはより複雑となり、さらに固有振動数は低周波側にシフトしていることがわかる。固有振動数が低周波側にシフトしたのは、アウターとインナー間のクリアランスにより隣り合う波がつながり閉空間の領域が増大したことによる。一般に吸音構造では低周波側の振動を抑えにくく、この固有振動数が低周波側にシフトする特徴はフードに求められる吸音特性として優れているといえる。なお、2000HZ以下の固有振動次数は34個で、吸音の広帯域性が得られていると言える。
以上より、歩行者吸音フードの基本構造としては、音場の振動モードを複雑にし、2000HZ以下の固有振動モードをできるだけ増やすことで広帯域吸音特性を実現し、このような形状で歩行者保護性能を満足させればよいと言える。すなわち、2重波型フード構造での設計コンセプトは以下のように考えられる。
1波長での左右の断面形状を非対称な形状とし、音場の振動モードを複雑化する。即ち、これは1波長中での波形状を左右で非対称とすることであり(図41参照)、波長のみならず波高を非対称としてもよい。これによって音場の固有振動モードが複雑化される。また、隣り合う波の波長を変化させ、又は波の断面形状をフードの車体長手方向に不均一にし、音場の振動モードを複雑化することもできる。インナーパネル断面の略波型形状において、インナーパネルと補強インナーパネルの波長又は波高が車幅方向又は車体長手方向に不均一となるようにすることにより、音場の固有振動モードを複雑化することができる。
このような実施例を図43から図46に示す。図43は隣り合う波の波長を変化させた実施例を示す図であって、波長が車幅方向及び車体長手方向に不均一場合の実施例を示すものである。図44は波の断面形状をフードの車体長手方向に不均一にした実施例を示すものである。また、図45及び図46は夫々波長又は波高を車幅方向又は車体長手方向に不均一にした例を示すものである。
本実施形態において、アウターとインナーとは千鳥状に配置された接着部により柔に結合さていることが好ましい。剛に結合されると、アウターとインナーとのがた振動が消滅し、加速度第2波が増加しHIC値は増加するからである。アウターとインナーとのクリアランスは通常1mmから10mmであり、好ましくは2mmから5mm程度である。歩行者保護の観点からはクリアランスは小さい方がよい。頭部衝突時に生じる加速度第1波の発生時刻を早められれば、アウターから剛体面までのクリアランスを広げる効果と同じ効果が得られ、剛体面への衝突速度を減じることができるからである。
一方、吸音の観点からは、アウターとインナーとのクリアランスは大きいほどよい。隣り合う波長間での空気の移動が容易になり、音場の固有振動モードには低次の周波数モードが出現するとともに、振動モードはより複雑化する。この結果、吸音できる周波数範囲が広がり、目標とする2000HZ以下での振動モード次数が増加し、吸音性能が向上する。このように、アウターとインナーとのクリアランスに関し、歩行者保護と吸音性能は効果が相反する関係にあるため、うまくバランスをとる必要がある。
インナーと補強インナーとは樹脂接着剤又はボルト、リベット等の機械的結合が好ましい。歩行者保護の観点からは、インナーと補強インナーとは接触部で剛結されていることが望ましい。これはインナーから補強インナーに伝わる衝撃荷重を補強インナー全体で吸収することによりエネルギー吸収量が高まり、頭部の剛体面への衝突を避れるからである。しかしながら、空気層の音場固有振動モードは、インナーと補強インナー間の隣り合う背後空気層が1波長ごとに閉じた構造の場合に比較し、閉じていない場合の方がより複雑な振動モードを形成し吸音性能が良くなる。このため、吸音の観点からはインナーと補強インナー間に空気の通れる十分な隙間が開いているほうがよい。歩行者保護と吸音の双方の条件を満足するためのインナーと補強インナーの結合方法を図47に示した。
図47は波型インナーの車体長手方向に直行する方向からながめた図であり、鉛直方向に波高が1mmから10mm程度の小さな略波形状の凹凸が設けられている。凹凸を設けるのは、図中(a)がインナーと補強インナーの場合、(b)が補強インナーの場合、(c)がインナーの場合について夫々凹凸が設けられている。図中、符号25で示された部分は接着部であり、車幅方向に十分な接着面積を確保する必要がある。接着剤は樹脂製接着剤でもよいが、インナーと補強インナーとを強固に結合できるよう剛性が高く接着強度の高い接着剤が好ましい。リベット、スポット溶接等を併用し強固な補強としてもよい。
なお、隣り合う波どうしの空気の流れをよくするよう、図48のように部分的に波高を高くして車幅方向に通気の孔を設けることが好ましい。これによって、低周波振動モードが隣り合う波長間にまたがって発生することになり、音場の振動モードが複雑化される。
なお、隣り合う波どうしの空気の流れをよくするよう、図48のように部分的に波高を高くして車幅方向に通気の孔を設けることが好ましい。これによって、低周波振動モードが隣り合う波長間にまたがって発生することになり、音場の振動モードが複雑化される。
多孔板の孔の形状は通常円形であるが、スリット、矩形、三角、星、多角形等でもよい。これらの形状でもヘルムホルツの共鳴原理は適用可能である。上記吸音構造について、歩行者保護性能が満足されていることを確認する必要があるが、歩行者保護についての波長と波高の好適範囲は極めて広く、吸音性能は容易に満足される(請求項13及び14)。以上、本発明に係る車体パネル構造体において、アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置されたインナーパネルと、このインナーパネルの更に内面に配置された補強インナーパネルとを有する2重波型フード構造とすることにより、吸音性能を満足する歩行者保護フードが提供されることについて説明した。
ところで、多孔板は、塗装すると孔部が塗料でうまるため塗装に向かない。通常フードの塗装はドブづけといわれる方法で、アウターとインナーとを組み立て一体化した状態で塗料を満たした容器に投入することによって行われる。吸音フードではこのような方法はとり得ず、アウターは単独で塗装し、その後インナーと補強インナーとを組み立てる方法が必要となる。この場合、従来のへム曲げによるアウターとインナーとの結合方法は吸音フードでは不適当となる。既に、いくつかのフードについて、アウター外周部を約90度折り曲げ、インナーとアウターとを結合する手法が設計されており、吸音フードでは補強インナーを含めた形で図53に示したように、リベット43などの機械的結合方法を用いることが必要となる。図53において、アウター4とインナー1と補強インナー40はリベット43によって結合されている。
一般的に乗用車などの車体フードでは車体の正面衝突時に運転手の安全確保のためクラッシュビードが設けられている。このクラッシュビードによりフードはフード中央部で折れ曲がり運転手のいわゆるギロチン現象を避けることができる。図49は2重波型フード構造でのクラッシュビードを示す説明図である。この図49では、フード外周部を除くインナーと補強インナーにクラッシュビードを適用している。クラッシュビードはビードが深すぎ、ビード幅が大きすぎるとフードインナーの車体長手方向の剛性が低下し、歩行者保護性能を低下させることになるため、解析、実験などで適当な深さとビード幅が決められる。
一般的には、当該フード構造と同じ閉断面構造を採用しているマルタイコーンに準じ、ビード深さを10mm前後とし、ビード幅を決定すればよい。また、補強インナーにもインナーと同様にクラッシュビードを設けるが、正面衝突時の変形モードを考慮すれば、ビードはインナーと同様に鉛直下方に掘り込む形状が好ましい。
歩行者保護性能向上のため、2重波型フード構造においては、アウターパネルが鋼製で、インナーパネル及び補強インナーがアルミ製であることが好ましい。Okamoto(Concept of hood design for possible reduction in head injury, 14thESV conference,1994)によれば、理想的な頭部加速度波形として、加速度第1波が200G程度であれば、HIC値は1000程度になるという知見が得られている。
理想加速度波形を図50に示す。図50において、アウターパネルを鋼板とすることで、アウターパネル重量は増加し、頭部衝突時の加速度第1波の大きさは増加する。この大きさを200G程度とすることで、頭部衝突エネルギーは消費され、加速度第2波は低下し、この結果、理想加速度波形が得られ、HIC値を1000以下に抑えることができる。ちなみに、鋼板でのアウター板厚は約0.7mm程度である。この方法は、当該発明者が特開2003−205866号にて従来の波型フード構造に適用可能であることを示しているが、2重波型フード構造についても同様な構造であり適用可能である。
また、歩行者保護性能向上のため、2重波型フード構造において、アウターパネル下面に鋼製、アルミ製、鉛製等の金属板を適時貼り付けることが好ましい。アウターパネルの局部的重量を増加させ、頭部衝突時の加速度第1波の大きさを増加させ200G程度とすることで、加速度第2波は低下し、HIC値を1000以下に抑えることができる。金属板の種類、配置箇所、枚数、厚さ等詳細条件は適時検討される。この方法は、当該発明者が特願2002−239976号において従来の波型フード構造に適用可能であることを示しているが、2重波型フード構造についても同様な構造であり適用可能である。
このような実施例を図51及び図52に示す。図51及び52において、大人頭部衝突領域である、フードの運転手席側に補強板がリベット43によって取り付けられている。補強板を取り付けることにより、頭部重量が大きい大人頭部衝突においてHIC値が低減する。
2重波型車体フード構造のような2重波型車体パネル構造は、剛性、衝突耐性に優れ、吸音特性を備えていることから、車体構造のフード以外に適用でき、具体的にはルーフ、ドアー、トランクリッド等への適用が考えられる。さらに、鉄道車体のパネル構造体にも適用可能である。
アウターパネルとインナーパネルとの閉空間又はインナーパネルと補強インナーパネルとの閉空間に適度な内圧を与えることにより、頭部衝突エネルギーの吸収効率が増大し、加速度第2波が減少し、HIC値が低下し、歩行者保護性能が向上する。図54に実施例を示す。図54中に示すゴム製または樹脂製の袋44は各波ごとに独立していてもつながっていてもよい。また、内圧の大きさも同じである必要はなく、場所ごとに適切な値を設定すればよい。ゴム製または樹脂製の袋44を使用し、アウター、インナー、補強インナーのみで密封性を確保してもよい。この場合は、接着剤などを用いて各部材接合部で密封性が守らなければならない。
アウターパネルとインナーパネルとの閉空間又はインナーパネルと補強インナーパネルとの閉空間に発砲スチロールなどのエネルギー吸収部村を埋め込むことにより、頭部衝突エネルギーの吸収効率が増大し、歩行者保護性能が向上する。図55に実施側を示す。図55中に示す発砲スチロールなどのエネルギー吸収部村45は各波ごとに独立していてもつながっていてもよい。
インナーと補強インナーとの組み合わせは、種々考えられるが、ここではインナーが車体長手方向の略波型ビードを有し、補強インナーが車幅方向の略波型ビードを有する場合について頭部衝突解析(子供頭部衝突)を行った。図57及び図58は解析モデルを示す図である。また、図76はフードのサイドから眺めた簡略断面図、図77はフードの前方から眺めた簡略断面図である。頭部衝突位置は図57に示す1乃至5の5点である。解析結果を図59に示す。この図より、頭部衝突性能は従来型の補強インナーを有しない場合とほぼ同等の結果が得られ、波の方向がインナー、補強インナーとも車体長手方向の場合に比較し若干性能がおとるという結果となった。しかしながら、この構造では、吸音性能が追加されるという点で従来型に比較し優れた性能を有していると言える。
車幅方向に波型ビードを有するインナーと補強インナーを組み合わせた2重波型フード構造について子供頭部衝突解析を行った。板厚はアウター、インナー、補強インナーが1mm、0.8mm、0.3mmで材質はアルミ合金である。図61は解析モデルの全体図、図62は図61のインナー形状を示す図、図63はインナーと補強インナーの中央部での形状を示す図、図74はフードのサイドから眺めた簡略断面図である。また図64に、子供頭部がインナーの波の山部に衝突したときの頭部加速度波形を示した。図65に、子供頭部が波の谷部に衝突したときの頭部加速度波形を示した。また、図66及び図94乃至図96に、従来解析結果との比較を示した。
これらの解析結果より、車幅方向に波型ビードを有するインナーと補強インナーを組み合わせた2重波型フード構造の歩行者保護性能は従来構造に比較し極めて優れていることがわかる。なお、アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置され車幅方向に平行に断面波型形状のビードを有するインナーパネルと、このインターパネルの更に内面に配置され車幅方向に平行に断面波型形状のビードを有する補強インナーパネルとを組み合わせた車体パネル構造体において、アウターパネルの内面に1又は複数の鋼製、アルミニウム製又は鉛製の補強板を貼り付けることにより頭部衝突性能はさらに向上する。
更に、図75に概略断面図として示したように、前記インナーパネル又は補強インナーパネルの断面波型形状は、大人頭部衝突範囲における前記インナーパネル又は補強インナーパネルの波長をpaとし、大人の頭部外径をdaとした時、0.5<pa/da<2.8を満足するものであり、子供頭部衝突範囲における前記インナーパネル又は補強インナーパネルの波長をpcとし、子供の頭部外径をdcとした時、0.5<pc/dc<2.8を満足するものであることが好ましい。また、大人頭部衝突範囲におけるインナーの波高(h1a)、補強インナーパネルの波高(h2a)が0.05<(h1a+h2a)/da<0.35を満足し、もしくは子供頭部衝突範囲におけるインナーの波高(h1c)、補強インナーパネルの波高(h2c)が0.05<(h1c+h2c)/dc<0.35を満足するものであることが好ましい。これによって、大人頭部衝突時と子供頭部衝突時の双方に対し、衝突エネルギーを効率よく適切に吸収することができる。即ち、大人頭部衝突時には衝突エネルギーが増加するため、子供衝突時に比較して波高を大きくとることが必要となるが、このような構造とすることに大人頭部衝突部の波高を子供頭部衝突部の波高よりも大きくすることができるようになる。従って、より最適な歩行者保護フードが得られる。
次に、アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置され車幅方向に平行に断面波形状のビードを有するインナーパネルとを組み合わせた1重波型の車体パネル構造体の実施例について説明する。図72は、簡略なモデルの断面図であり、図60、図91、図92、図93は1重波型の車体パネル構造体であって、インナーが車幅方向の略波型ビードを有している場合の歩行者保護性能についての解析結果を示す図である。これらの図より、1重横波(山部へ衝突)の車体パネル構造体であって、インナーが車幅方向の略波型ビードを有している場合の歩行者保護性能は、従来型(1重縦波、山部へ衝突)の車体パネル構造体であって、インナーが車体長手方向の略波型ビードを有している場合の歩行者保護性能と概ね一致するか、好適な波長を設定することにより優れた歩行者保護性能が得られることがわかる。この結果、1重横波(山部へ衝突)の車体パネル構造体であって、インナーが車幅方向の略波型ビードを有している場合についても軽量で、歩行者保護性能に優れた車体フードパネル構造体として有用であることがわかる。
図114に1重横波フード構造について、波長160mm、波高30mm、クリアランス70mmの場合の頭部加速度波形を示し、1重横波フード構造でのHIC値低減のメカニズムについて考察した。図115乃至図118に図114中の夫々0msec、6msec、11msec、17msecの頭部衝突時の変形図を示すが、この時の加速度は図114の頭部加速度波形図より読みとることができる。(1)が0msec、(2)が6msec、(3)が11msec、(4)が17msecである。この頭部加速度波形では従来の縦波の場合と異なり、加速度第3波が発生していることが分かるが、これは変形図より頭部衝突部の前方にある隣の横波の影響によるものであることがわかる。この隣の横波により頭部は加速度第3波を受けるものの、剛体面への接近による加速度第2波は低下し、この結果加速度第2波と加速度第3波の加速度波形は平滑化され、この結果HIC値は低下する。このように車幅方向の横波インナーを用いることにより、歩行者保護性能は向上する。但し、波長及び波高として好適な範囲を選択しないとこのような効果を得ることはできない。即ち、波長が小さすぎるとインナーの剛性が高すぎ、加速度第2波の急激な増加を招きHIC値は増加し、波長が大きすぎるとインナーの剛性が低すぎ、頭部は剛体面に衝突し、HIC値は制限値の1000を大きく超える。波高についても同様であり、波高が大きすぎるとインナーの剛性が高くなりすぎ、波高が小さすぎると剛性が不足し、HIC値は増加することになるからである。
なお、図73に示すように、大人頭部衝突範囲でのインナーの波高(h1a)が、子供頭部衝突範囲でのインナーの波高(h1c)より大きい車体パネル構造体により、大人頭部衝突時と子供頭部衝突時の双方に対し、衝突エネルギーを効率よく適切に吸収できるようになる。即ち、大人頭部衝突時には衝突エネルギーが増加するため、子供衝突時に比較し波高を大きくとることが必要となるが、このような構造とすることによりそれが可能となる。従って、より最適な歩行者保護フードが得られる。
図73は車体サイド方向からながめたフードの断面図である。図73において、大人頭部衝突範囲におけるインナー及び補強インナーの波高が夫々子供頭部衝突範囲におけるインナー及び補強インナーの波高よりも大きくなっている。このとき波長、波高は一定値である必要はない。
インナーと補強インナーとの組み合わせのうち、車幅方向の波型ビードと車体長手方向の波型ビードとを混合させたインナーと補強インナーを組み合わせた2重波型フード構造について子供頭部衝突解析を行った。板厚は夫々アウター、インナー、補強インナーが1mm、0.8mm、0.3mmで材質はアルミ合金である。図67は解析モデルのインナー形状を示す図、図68はインナーと補強インナーの中央部での形状を示す図である。また、図69は子供頭部がインナーの山部に衝突したときの頭部加速度波形を示す図、図70は子供頭部が谷部に衝突したときの頭部加速度波形を示す図、図65は従来解析結果との比較を示す図である。これらの解析結果より、車幅方向の波型ビードと車体長手方向の波型ビードとを混合させたインナーと補強インナーを組み合わせた2重波型フードは従来構造に比較し極めて優れていることがわかる。なお、インナーと補強インナーとの組み合わせのうち、車幅方向の波型ビードと車体長手方向の波型ビードとを混合させたインナーと補強インナーを組み合わせた2重波型フード構造のアウターの内面に補強版を貼り付けることによって頭部衝突性能はさらに向上する。
また、大人頭部衝突範囲でのインナーの波高(h1a)が子供頭部衝突範囲でのインナーの波高(h1c)より大きく、又は大人頭部衝突範囲での補強インナーの波高(h2a)が子供頭部衝突範囲での補強インナーの波高(h2c)よりも大きい車体パネル構造体とすることにより、大人頭部衝突時の衝突エネルギーと子供頭部衝突時の衝突エネルギーを効率よく吸収できるようになるので、歩行者保護性能が向上する。
本発明における1重波型フード構造又は2重波型フード構造の車体パネル構造体において、インナー及び補強インナーの断面形状はパネル中央部に2重に交差する波型形状以外の波型形状を有することが好ましい。これによって、歩行者保護に優れた車体パネル構造体となる。図78、図79、図80、図81及び図82から図88、及び図97、図98は1重波型フード構造体であって、フード中央部に2重に交差する波型以外の波型を有するパネル構造体、即ち、フード中央部に2重に交差しない波型形状を有する車体パネル構造体を示す図である。波が2重に交差した部分では、局部的な圧懐強度が低下し、頭部が剛体面に衝突しやすくなるため、このような形状を避ければ、頭部衝突時の衝撃を緩和できる。図89、図90に波が2重に交差した部分が1箇所ある場合を示す。このような場合には波の交差部での圧壊強度が適切になるよう形状を検討することが好ましい。
次に、アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置されたインナーパネルと、このインナーパネルの更に内面に配置された補強インナーパネルと、を有し、前記インナーパネル及び補強インナーパネルは夫々全面に波長及び波高の異なる断面波型形状を有する車体パネル構造体の実施例を説明する。
これまでは、インナーと補強インナーとは波長が概ね同一の場合について示してきたが、両者の波長が異なり、波高が異なっても、頭部衝突性能を維持できる場合が考えられる。図99及び図100は、このようなインナーパネル及び補強インナーパネルが夫々全面に波長及び波高の異なる断面波型形状を有する車体パネル構造体を示す図である。図99はインナーの波長が補強インナーの波長より長い場合で、図100はその逆である。アウターと剛体面とのクリアランスはフードの衝突位置により異なるので、このような構造でも頭部衝突耐性能を維持することができる。
次に、アウター、インナー、補強インナー及び第2補強インナーから構成される歩行者保護、吸音車体パネル構造体について説明する。
図101はアウター、インナー、補強インナー及び第2補強インナーから構成される車体パネル構造体を示す説明図である。図101において、アウター4、インナー1、補強インナー40からなる車体パネル構造体に、第2補強インナー46を追加することにより、頭部衝突性能、及び吸音性能が著しく向上する。
頭部衝突方向と波の方向との関係について調べるため、図102に示す矩形平板モデルを用いて解析を行った。図102において、頭部は子供頭部である。矩形板の4隅は単純支持条件とされている。また剛体面とアウターとのクリアランスは50mmとしている。このモデルでは、子供頭部を用い、アウターとして板厚1mm、インナーとして板厚0.8mmのアルミ合金を用いた。1m(メートル)×1mのサイズでアウターから剛体までのクリアランスは50mmとし、頭部衝突方向は波と同様の方向を0度、直行する方向を90度とし、0度、30度、45度、60度、90度の場合についてHIC値を求めた。頭部衝突方向の定義を図103に示す。
図103において、波の方向と頭部の衝突方向とのなす角度が定義されている。また解析結果を図104に示す。これらの図より、頭部衝突方向はHIC値の増減にあまり影響しないことがわかる。即ち、波型インナーの特徴は頭部衝突によらず、HIC値が一定ということだけではなく、頭部衝突方向によらずHICが一定ということがいえる。
通常のフードでは、アウターに曲率があり、アウターが運転席側で鉛直方向位置が高くなっており、さらに、車幅方向での長さが、長手方向の長さより短くなっており、これらの形状の影響が波型フード構造のHIC値に影響することは間違いない。波の方向が車幅方向の場合に長手方向場合よりHIC値が低下する傾向がすでに確認されているが、これは車幅方向の長さが長手方向の長さより短くなることにより、波部の曲げ剛性が高くなり、頭部衝突エネルギーの衝突エネルギーの吸収効率が増加したためであると考えられる。
なお、フード中央部で2重に交差しない略波型断面を有するインナーとアウターから構成される車体パネル構造体では、波の方向と衝突方向はときに規定されず、任意であるが、上記矩形平板モデルでの解析結果より、頭部衝突方向と波の方向が任意であっても、波型フード構造の有する頭部衝突耐性は優れており、歩行者保護に優れているとこは明らかである。
次に、インナー、補強インナー又は第2補強インナーが分断された略波型断面形状を有し、波の方向が車幅方向又は車幅方向に傾斜している車体パネル構造体について説明する。上述したように、波の方向は任意であっても頭部衝突性を確保できることが確認されていることから、波の一部が分断された場合について検討した。波の一部が分断された場合で、図105に示すような波の方向が縦方向の場合はすでに公知技術がある。
このため、波の方向が車幅方向(横方向)又は斜め方向の場合でも同様に頭部衝突性を確保できると考えられる。実施例を図106、図107、図108に示す。但し、分断された部分では、局部的に剛性が低下するため、この部分での頭部衝突ではHIC値が増加することは明らかである。分断された部位はなるべく狭い範囲で、波高の低下もできるだけ抑えることが好ましい。
車体パネル構造体のインナー、補強インナー又は第2補強インナーの波の方向が特に規定されず、任意であり、分断されていない波と、一部に分断された波を有している車体パネル構造体について説明する。図109乃至113は、分断されていない波と、一部に分断された波を有している車体パネル構造体のインナーの形状を示す図である。波の分断個所では、局部剛性が低下するため頭部衝突耐性が低下する。従って、分断部分を極力狭い範囲とし、またこの部位での波高をできるだけ抑えることが好ましい。
インナーパネル断面の略波型形状において、横波構造は縦波構造に比較して歩行者保護性能が優れており、2重横波構造が1重横波構造に比較して歩行者保護性能が優れている。このため、吸音性能及び歩行者保護性能について縦波構造で得られた波の断面形状及び波の分布形状についての知見はそのまま横波構造に適用することができる。
即ち、2重縦波構造では、図43から図46に示したように、波長をうねらしたり(図43)、平行でない直線状の波形にしたり(図44)又は波の断面構造の1波長について左右非対象とすることで(図45、図46)、吸音特性における広帯域吸音特性を実現することができる。
横波2重構造の場合についても同様の考え方が成立する。図119、図120、図121及び図122にその1例を示した。図119及び図120は波長をうねらした場合の横波2重構造のインナーパネルを示す図、図121及び図122は波の断面構造の波長を左右非対象とした場合の横波2重構造のインナーパネルを示す図である。このような横波2重構造のインナーパネルにおいても、吸音特性における広帯域吸音特性を実現することができる。また、上述した図6から図13に示した断面形状も1重又は2重横波構造に適用することができる。
なお、1重横波構造でも、図123のように波の断面構造の波長を左右非対称としてもよいが、左右の形が非対称になり過ぎると、吸音性能は向上するが、頭部衝突耐性が低下し、HIC値は増加する。従って、HIC値の観点からは、波の断面構造の波長は左右対称の方が好ましい。左右対称の方がエネルギー吸収効率がよいからである。また、図123では波の頂点が車体先端方向に歪んだ形状としているが、波の頂点を運転席側に歪んだ形状も同様の効果が得られる。
次に、縦波と横波以外の場合について説明する。上述した縦波と横波以外の1重波型構造及び2重波型構造の波の断面形状と波の分布についても縦波の場合と同様であり、1波長中の左右の波長を変えることにより又は波の分布にうねり又は傾きを与えることにより広帯域吸音特性を向上させることができる。
本発明は、自動車の車体フード、ルーフ、ドアー、トランクリッド等の車体パネル材として有用である。
Claims (39)
- アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置されたインナーパネルと、このインナーパネルの更に内面に配置された補強インナーパネルと、を有し、前記インナーパネル及び補強インナーパネルは夫々車体長手方向に断面形状が波型をなす複数の凹凸を有しており、前記アウターパネルとインナーパネルとの接合部の下方に前記インナーパネルと補強インナーパネルとで形成される閉断面を有し、前記インナーパネルと補強インナーパネルとの接合部の上方に前記アウターパネルとインナーパネルとで形成される閉断面を有するように前記各パネルが接合されていることを特徴とする車体パネル構造体。
- 前記インナーパネル及び補強インナーパネルの凹凸の断面波型をなす方向が車体の幅方向又は長手方向に一致するように車体に組み立てられるものであることを特徴とする請求項1に記載の車体パネル構造体。
- 前記インナーパネル及び補強インナーパネルの凹凸の断面波型をなす方向が車体の長手方向に対して傾斜するように車体に組み立てられるものであることを特徴とする請求項1に記載の車体パネル構造体。
- アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置されたインナーパネルと、このインナーパネルの更に内面に配置された補強インナーパネルと、を有し、前記インナーパネル及び補強インナーパネルは夫々全面に第1方向における断面形状が波型をなすように複数形成された第1の凹凸と前記第1方向に交叉する第2方向における断面形状が波型をなすように複数形成された第2の凹凸とを有しており、前記アウターパネルとインナーパネルとの接合部の下方に前記インナーパネルと補強インナーパネルとで形成される閉断面を有し、前記インナーパネルと補強インナーパネルとの接合部の上方に前記アウターパネルとインナーパネルとで形成される閉断面を有するように前記各パネルが接合されていることを特徴とする車体パネル構造体。
- アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置されたインナーパネルと、このインナーパネルの更に内面に配置された補強インナーパネルと、を有し、前記インナーパネル及び補強インナーパネルは夫々全面に同心円状に複数形成された断面波型の凹凸を有しており、前記アウターパネルとインナーパネルとの接合部の下方に前記インナーパネルと補強インナーパネルとで形成される閉断面を有し、前記インナーパネルと補強インナーパネルとの接合部の上方に前記アウターパネルとインナーパネルとで形成される閉断面を有するように前記各パネルが接合されていることを特徴とする車体パネル構造体。
- アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置されたインナーパネルと、このインナーパネルの更に内面に配置された補強インナーパネルと、を有し、前記インナーパネル及び補強インナーパネルはパネル構造体の長手方向に全面に断面形状が波型をなす複数の凹凸とこの凹凸に交叉する断面形状が波型をなす複数の凹凸とで形成される2重の波型を有しており、前記アウターパネルとインナーパネルとの接合部の下方に前記インナーパネルと補強インナーパネルとで形成される閉断面を有し、前記インナーパネルと補強インナーパネルとの接合部の上方に前記アウターパネルとインナーパネルとで形成される閉断面を有するように前記各パネルが接合されていることを特徴とする車体パネル構造体。
- 前記2重の波型は、凹凸の断面波型をなす方向がパネル構造体の長手方向に対して平行な波とこの波に直交する波が交叉する波とで形成される2重の波型であることを特徴とする請求項6に記載の車体パネル構造体。
- 前記2重の波型は、凹凸の断面波型をなす方向がパネル構造体の長手方向に対して斜め方向の波とこの波に所定角度で交叉する波波とで形成される2重の波型であることを特徴とする請求項6に記載の車体パネル構造体。
- アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置されたインナーパネルと、このインナーパネルの更に内面に配置された補強インナーパネルと、を有し、前記インナーパネル及び補強インナーパネルは夫々全面に断面形状が波型をなす複数の凹凸を有しており、この凹凸は、夫々前記断面波型をなす方向が車体の幅方向又は長手方向に一致する凹凸、断面波型形状が車体の長手方向に対して傾斜する凹凸、第1方向における断面形状が波型をなすように複数形成された第1の凹凸と前記第1方向に交叉する第2方向における断面形状が波型をなすように複数形成された第2の凹凸とを有する凹凸、同心円状に複数形成された断面波型の凹凸、及び断面形状が波型をなす複数の凹凸とこの凹凸に交叉する断面形状が波型をなす複数の凹凸とで形成される2重の波型の凹凸のうち少なくとも2種を組み合わせたものであり、前記アウターパネルとインナーパネルとの接合部の下方に前記インナーパネルと補強インナーパネルとで形成される閉断面を有し、前記インナーパネルと補強インナーパネルとの接合部の上方に前記アウターパネルとインナーパネルとで形成される閉断面を有するように前記各パネルが接合されていることを特徴とする車体パネル構造体。
- 前記凹凸の断面形状がスプライン形状であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記凹凸の断面形状が台形であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記凹凸の断面形状が波型形状に、この波型形状の波高又は波長よりも小さい波高又は波長の波型形状を重ねた形状であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記インナーパネル又は補強インナーパネルの断面波型形状は、波の波長をp、歩行者の頭部外径をdとした時、0.5<p/d<2.8を満足するものであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記インナーパネル又は補強インナーパネルの断面波型形状は、前記インナーパネルの波高をh1、補強インナーパネルの波高をh2、歩行者の頭部外径をdとした時、0.05<(h1+h2)/d<0.35を満足するものであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記アウターパネル、インナーパネル及び補強インナーパネルのいずれかが、アルミニウム合金製又は鋼製であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記インナーパネルとアウターパネルが柔結合によって接合されていることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記柔接合部が、千鳥状に配列されていることを特徴とする請求項16に記載の車体パネル構造体。
- 前記インナーパネル及び/又は補強インナーパネルに、開口率3%以下、孔径3mm以下の吸音効果を有する複数個の貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記インナーパネル及び/又は補強インナーパネルの波長又は波高が、車体幅方向又は車体長手方向に不均一であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記インナーパネル及び/又は補強インナーパネルの断面波型形状における1波長中の左右の波形における波長又は波高が非対称であり、歪んだ波形断面であることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記アウターパネルとインナーパネルとの間、又はインナーパネルと補強インナーパネルとの間に部分的に所定のクリアランスが設けられていることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記クリアランスは1mm乃至10mmであることを特徴とする請求項21に記載の車体パネル構造体。
- 前記アウターパネルが鋼製で、インナーパネル及び補強インナーパネルがアルミニウム合金製であることを特徴とする請求項1乃至22のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記アウターパネル内面に1又は複数の鋼製、アルミニウム合金製又は鉛製の補強板が貼り付けられていることを特徴とする請求項1乃至23のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 自動車のルーフ、ドアー、トランクリッドとして使用されるものであることを特徴とする請求項1乃至24のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 鉄道車両のルーフ、ドアー、床又は側壁として使用されるものであることを特徴とする請求項1乃至24のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記アウターパネルとインナーパネルとの間の閉空間又はインナーパネルと補強インナーパネルとの間の閉空間に頭部衝突エネルギー吸収効果を有する所定の内圧が与えられていることを特徴とする請求項1乃至26のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記アウターパネルとインナーパネルとの間の閉空間又はインナーパネルと補強インナーパネルとの間の閉空間に袋状物を配置し、この袋状物内に前記内圧が与えられていることを特徴とする請求項27に記載の車体パネル構造体。
- 前記アウターパネルとインナーパネルとの間の閉空間又はインナーパネルと補強インナーパネルとの間の閉空間にエネルギー吸収材が埋め込まれていることを特徴とする請求項1乃至26のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置され車幅方向に平行に断面波型形状のビードを有するインナーパネルとを組み合わせた車体パネル構造体において、前記インナーパネルの波形形状は、波の波長をp、歩行者の頭部外径dとした時、0.5<p/d<2.8を満足するか、又は前記インナーパネルの波高をh1、歩行者の頭部外径をdとした時、0.05<h1/d<0.35を満足するものであることを特徴とする車体パネル構造体。
- 大人頭部衝突範囲における前記インナーパネルの波高h1aが子供頭部衝突範囲における前記インナーパネルの波高h1cよりも大きいことを特徴とする請求項30に記載の車体パネル構造体。
- 前記インナーパネルの断面波型形状は、パネル中央部に2重の波型形状以外の波型形状を有するものであることを特徴とする請求項30又は31に記載の車体パネル構造体。
- アウターパネルと、このアウターパネルの内面に配置され車幅方向に平行に断面波型形状のビードを有するインナーパネルと、このインターパネルの更に内面に配置され車幅方向に平行に断面波型形状のビードを有する補強インナーパネルとを組み合わせた車体パネル構造体において、前記インナーパネル又は補強インナーパネルの断面波型形状は、大人頭部衝突範囲における前記インナーパネル又は補強インナーパネルの波長をpaとし、大人の頭部外径をdaとした時、0.5<pa/da<2.8を満足するものであり、子供頭部衝突範囲における前記インナーパネル又は補強インナーパネルの波長をpcとし、子供の頭部外径をdcとした時、0.5<pc/dc<2.8を満足するものであることを特徴とする車体パネル構造体。
- 前記インナーパネル又は補強インナーパネルにおける断面波型形状は、大人頭部衝突範囲における前記インナーパネルの波高をh1a、補強インナーパネルの波高をh2aとし、大人の頭部外径をdaとした時、0.05<(h1a+h2a)/da<0.35を満足するか、又は子供頭部衝突範囲における前記インナーパネルの波高をh1c、補強インナーパネルの波高をh2cとし、子供の頭部外径をdcとした時、0.05<(h1c+h2c)/dc<0.35を満足するものであることを特徴とする請求項33に記載の車体パネル構造体。
- 前記インナーパネル及び補強インナーパネルの断面波型形状は、パネル中央部に2重の波型形状以外の波型形状を有するものであることを特徴とする請求項33又は34に記載の車体パネル構造体。
- 前記インナーパネルと補強インナーパネルは、夫々異なる波長又は波高の断面波型形状を有するものであることを特徴とする請求項1乃至29及び請求項33乃至35のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記補強インナーパネルの更に内面に、前記インナーパネル又は補強インナーパネルと同様の又は異なる断面波型形状を有する第2補強インナーパネルを配置したことを特徴とする請求項1乃至29及び請求項33乃至36のいずれか1項に記載の車体パネル構造体。
- 前記インナーパネル、補強インナーパネル又は第2補強インナーパネルは分断された波型断面形状を有することを特徴とする請求項37に記載の車体パネル構造体。
- 前記インナーパネル、補強インナーパネル又は第2補強インナーパネルは、分断されていない波型断面形状及び一部分断された波型断面形状を有していることを特徴とする請求項37に記載の車体パネル構造体。
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