JP4796449B2 - 自動車用フード - Google Patents

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本発明は、自動車用フードに関するものである。
近年、自動車事故における歩行者保護が法規化され、歩行者保護性能が自動車用フードのレーティングの指標としても注目されている。一方で、自動車は、エンジシの高出力化により、エンジンが大型化されると共に、多機能化によりエンジンルーム内の部品も増加するため、歩行者保護に必要なフード下のスペースも小さくなってきている。そのため、スポーティなデザインと歩行者保護性能とを両立するためには、小スペースで効率よく衝突エネルギーを吸収できる自動車用フードの開発が重要である。
前記のような自動車用フードとして、特許文献1では、アウターパネルとインナーパネルとを接合したときに両パネルの間に空間部を介した断面構造を備えるフード構造を持った自動車用フードが記載されている。また、前記空間を形成するために、インナーパネルに深さの異なる複数のディンプルを形成したフード構造が記載されている。
特許文献1に記載されたフード構造と類似したフード構造を持った自動車用フードの例を、図10(a)、(b)に示す。図10(a)、(b)に示すように、自動車用フード101は、所定の曲率を有するアウターパネル102と、周縁部に枠凹部131を、中央部に車前後方向に平行な配置で複数の凸状のビード133およびビード133の間に形成される凹状部132を有するインナーパネル103とから構成され、アウターパネル102の周縁部と、インナーパネル103の枠凹部131の端部をヘム加工によって接合することによって、空間部104,105を介した断面構造をとっている。また、ビード133の頂部上にパネル接合部133aを所定間隔に配置し、このパネル接合部133aを介して、ビード133とアウターパネル102の裏面とが接着されている。
また、自動車用フードの歩行者保護性能は、一般には頭部傷害値(以下HIC値と略す)により評価され、HIC値は、下式(1)(任意時間内の平均加速度の2.5乗と発生時間の積の最大値)で与えられる。そして、HIC値が小さいほど、歩行者保護性能が優れている。
Figure 0004796449
ここで、aは頭部重心における3軸合成加速度(単位はG)、t1、t2は0<t1<t2となる時間tでHIC値が最大となる時間で、計算時間(t2−t1)は15msec以下と決められている。
ここで、歩行者の頭部が自動車用フードに衝突するときの加速度は、通常、頭部が自動車用フード101に衝突して発生する1次衝突加速度と、その後、自動車用フード101がエンジンルーム内の設置構造物A(図11参照)に接触して発生する2次衝突加速度に大別できる。
一方、自動車用フードは、張り剛性、耐デント性、曲げ剛性、ねじり剛性など、従来から求められる基本性能も満足しなければならない。また、高速衝突の際には、自動車用フードが客室(自動車)に進入しないように、車体前後方向の中心位置近傍で折れ曲がり変形する必要がある。張り剛性は、ワックスがけ時や自動車用フードをロックする際に押込む時の弾性変形を抑制するために必要であり、アウターパネルのヤング率と板厚、および、アウターパネルとインナーパネルの接合位置(図10(a)、(b)ではパネル接合部133aの接着位置)により決定される。耐デント性は、飛石などにより残留する塑性変形を抑制するために必要で、アウターパネルの耐力と板厚に影響を受ける。曲げ剛性は、自動車用フードをロックする際の引込み力と、クッションゴム、ダンパーステイ、シールゴムなどの反力により発生する自動車用フード周縁部の弾性変形を抑制するために必要であり、自動車用フード周縁部のインナーパネルおよびレインフォースメントの形状(断面2次モーメント)、ヤング率に影響される。ねじり剛性は、自動車用フード周縁部の曲げ剛性と、インナーパネル中央部の板厚および形状に影響される。
自動車用フードは、これらの基本性能と歩行者保護性能の両方を満足しなければならないが、自動車用フードとエンジン等の構造物との間となる自動車用フード下方のスペースが制限されるため、基本性能だけを満足するように材質、板厚、形状を設計したフードでは歩行者保護性能を満足できない場合が多い。
例えば、前記した従来の自動車用フード101においては、自動車用フード101下のスペースが小さい場合には、当該自動車用フード101の周縁部において1次衝突よりも2次衝突の方が発生する加速度が大きく、継続時間も長くなるため、2次衝突の加速度が上式(1)で計算されるHIC値に悪影響を与える(つまり、HIC値が満足するレベルに達しない)。
特許第3674918号
ここで、前記したように、凸状のビード133および凹状部132を有する自動車用フード101の張り剛性(特に、インナーパネル10の張り剛性)を均一にするためには、このビード133のピッチおよび凹状部132の深さをほぼ一定にする必要がある。
しかしながら、凹状部132の深さをほぼ一定にすると、例えば、図11(a)、(b)に示すように、頭部衝突位置の直下にエンジンなどの設置構造物Aがある場合において、近傍にある複数個の凹状部132が設置構造物Aと同時に衝突する可能性が高くなる(例えば、図11(a)、(b)では、3個の凹状部132が設置構造物Aに同時に衝突している)。複数個の凹状部132が設置構造物Aと同時に衝突すると、2次衝突加速度が増大し、HIC値が高くなる。つまり、歩行者保護性能に劣ることになる。なお、図11の(a)、(b)は、従来の自動車用フードに歩行者の頭部が衝突した様子を示す図である。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、頭部衝突位置の直下にエンジンなどの設置構造物があっても、頭部などが衝突した場合に2次衝突加速度が増大しにくい自動車用フードを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の自動車用フードは、アウターパネルとインナーパネルのそれぞれの周縁部を接合したときに、両パネルの所定位置の間に空間部を介した断面構造を備える自動車用フードにおいて、前記インナーパネルは、前記アウターパネルのアウター周縁部と接合するインナー周縁部と、前記インナー周縁部に連続して形成され前記アウターパネルとの間に前記空間部を形成する枠凹部と、前記枠凹部よりパネル中央部となる位置で前記アウターパネルに接合するパネル接合部を有する凸状の複数のビードと、隣り合う前記ビードの間に、前記空間部を形成する凹状部と、を備え、前記凹状部は、前記ビードに沿って形成され、前記ビードの頂部からの深さがあらかじめ設定された所定の値よりも深い深凹状部と、前記ビードに沿って形成され、前記ビードの頂部からの深さが前記深凹状部よりも浅い浅凹状部と、を有する構成とした。
なお、本発明に係る自動車用フードにおいては、前記深凹状部と前記浅凹状部を、前記ビードを介して交互に配置するのがよいが、前記深凹状部の間に2個以上の前記浅凹状部を配置してもよい。
本発明の自動車用フードは、凹状部を高さの異なる深凹状部と浅凹状部を備えているので、頭部などが衝突した場合に2次衝突のタイミングを早くすることが可能であり、1次衝突後の加速度の低下を抑えてエネルギー吸収量を確保することができる。
本発明に係る自動車用フードにおいて、前記深凹状部の深さh1は、10〜40mmであり、前記浅凹状部の深さh1は、3mm以上{(4/5)×h1}倍以下とするのが好ましい。
本発明の自動車用フードは、深凹状部の深さh1と浅凹状部の深さh2を特定の範囲に規定することによって、頭部などが衝突した際のインナーパネルのつぶれ荷重を小さくしてHIC値を向上させるという効果と、衝突した頭部などが設置構造物に到達するまでのストロークを有効に利用できるという効果を確実に得ることができる。
本発明に係る自動車用フードにおいて、前記深凹状部が形成されるピッチは、100〜200mmであり、前記浅凹状部が形成されるピッチは、50〜200mmであるのが好ましい。
本発明の自動車用フードは、深凹状部が形成されるピッチと浅凹状部が形成されるピッチとを、特定の範囲に規定することによって、所望の張り剛性を確実に備えることができる。
本発明に係る自動車用フードにおいて、前記深凹状部の底部および前記浅凹状部の底部の少なくとも一方に、前記深凹状部および前記浅凹状部の長手方向に沿って1つまたは2つ以上のトリム穴を設けるのが好ましい。
本発明の自動車用フードは、このようなトリム穴を設けることによって、車両が衝突等した場合に、その形状を変形させやすくすることができる。
本発明の自動車用フードによれば、高さの異なる凹状部を交互に配置しているので、頭部衝突位置の直下にエンジンなどの設置構造物があっても、頭部などが衝突した場合に2次衝突加速度を増大しにくくすることができる。
次に、適宜図面を参照して本発明に係る自動車用フードを実施するための最良の形態について詳細に説明する。参照する図面において、図1は、自動車用フードの分解斜視図である。図2は、自動車用フードのインナーパネルの斜視図である。図3は、図2のA−A線断面図である。図4は、図2のB−B線断面図である。図5(a)、(b)は、本発明に係る自動車用フードに歩行者の頭部が衝突した様子を説明する図である。図6の(a)は、本発明に係る自動車用フードの一の態様において物体が衝突した場合における時間(t)と衝突加速度(G)との関係を示すグラフであり、(b)は、本発明に係る自動車用フードに物体が衝突した場合におけるストローク(S)と衝突加速度(G)との関係を示すグラフである。図7の(a)は、本発明に係る自動車用フードの他の態様において物体が衝突した場合における時間(t)と衝突加速度(G)との関係を示すグラフであり、(b)は、本発明に係る自動車用フードに物体が衝突した場合におけるストローク(S)と衝突加速度(G)との関係を示すグラフである。
図1および図2に示すように、本発明に係る自動車用フード1は、アウターパネル2とインナーパネル3のそれぞれのアウター周縁部2a,3aを接合したときに、両パネル2,3の所定位置の間に空間部4,5を介した断面構造を備えている。
アウターパネル2は、所定の曲率を有し、軽量で高張力な金属製板材で構成されている。これに用いられる金属としては、鋼、または、3000系、5000系、6000系または7000系のアルミニウム合金であることが好ましい。また、アウターパネル2の板厚は、例えば、鋼板では1.1mm以下、アルミニウム合金板では1.5mm以下が好ましい。なお、アウターパネル2は、樹脂製、カーボンファイバー製の板材で構成されていてもよい。
また、アウターパネル2は、そのアウター周縁部2aにおいて、ヘム加工等による嵌合、接着、ろう付け等によって後記するインナーパネル3のインナー周縁部3aと接合され、アウターパネル2とインナーパネル3との間に空間部4を介した断面構造をとる。
インナーパネル3は、アウターパネル2のアウター周縁部2aと接合するインナー周縁部3aと、当該インナー周縁部3aに連続して形成されアウターパネル2との間に空間部4を形成する枠凹部31と、枠凹部31よりパネル中央部となる位置でアウターパネル2に接合するパネル接合部33aを有する畝状の凸条の複数のビード33と、隣り合うビード33の間に、空間部5を形成する凹状部32と、を備えている。
なお、本発明の自動車用フード1は、凹状部32(深凹状部32a、浅凹状部32b)を車両進行方向に対して縦方向となるように設けるのが好適であるが、これに限定されるものではなく、凹状部32を車両進行方向に対して横方向や斜め方向となるように設けてもよい。また、凹状部32を交差するように設けてもよい。
さらには、畝状の凸条の複数のビード33は、全部または一部の隣り合うビード33の端部同士を繋げて形成してもよい
以下、凹状部32を車両進行方向に対して縦方向に設けた場合を例に具体的に説明する。
この凹状部32は、ビード33に沿って形成され、このビード33の頂部となる接合面33bからの深さがあらかじめ設定された所定の値(例えば、10mm)よりも深い深凹状部32aと、ビード33に沿って形成され、このビード33の頂部からの深さが深凹状部32aよりも浅い浅凹状部32bと、を有している。
本発明の自動車用フード1においては、この深凹状部32aと浅凹状部32bを、ビード33を介して交互に配置した構造とするのが好ましいが、これに限定されるものではなく、例えば、深凹状部32aの間に2個以上の浅凹状部32bを配置した構造としてもよい(不図示)。
インナーパネル3の形状(すなわち、深凹状部32aの深さh1および浅凹状部32bの深さh2(図4参照))や板厚は、頭部衝突の際の頭部と自動車用フード1の相対速度差により発生する慣性力に影響を与える。そのため、形状および板厚を適正化することにより、1次衝突の際の加速度が大きくなり、十分なエネルギー吸収量が確保され、自動車用フード1の歩行者保護性能を向上させることが可能となる。
深凹状部32aの深さh1は、10〜40mmとするのがよく、浅凹状部32bの深さh2は、3mm以上{(4/5)×h1}倍以下とするのがよい。
深凹状部32aの深さh1および浅凹状部32bの深さh2のいずれかが前記した適正範囲未満であると、インナーパネル3が必要とする張り剛性を確保することが困難になる。一方、深凹状部32aの深さh1が前記した適正範囲を超えると、プレス成形が困難になる。また、浅凹状部32bの深さh2が前記した適正範囲を超えると、凹状部32の深さを変更する効果をほとんど得ることができない。
また、深凹状部32aが形成されるピッチp1は、100〜200mmとするのがよく、浅凹状部32bが形成されるピッチp2は、50〜200mmとするのがよい。
深凹状部32aおよび浅凹状部32bのピッチp1,p2のいずれかが前記した適正範囲未満であると、深凹状部32a間のピッチが狭すぎるために、頭部などが衝突した場合、複数の凹状部32(深凹状部32a)がほぼ同時に設置構造物Aと衝突してしまい、HIC値を低減させることができなくなる。一方、深凹状部32aおよび浅凹状部32bのピッチp1,p2のいずれかが前記した適正範囲を超えると、張り剛性が不足するおそれがある。
なお、深凹状部32aと浅凹状部32bのピッチp1,p2をほぼ同一とすると張り剛性のバランスが良くなり好ましいが、成形性や歩行者保護性能を考慮して、前記した適正範囲内で深凹状部32aのピッチを広く、浅凹状部32bのピッチを狭くすることもできる。
枠凹部31と凹状部32とを有するインナーパネル3の板厚は、自動車用フード1が使用される自動車の車種によって決定される曲げ剛性によって選択される。
このうち、インナーパネル3の板厚の適正値は、アルミニウム合金板の場合には0.7〜1.5mm、鋼板の場合には0.5〜1.1mmとするのが好ましい。当該板厚が下限値未満であると、自動車用フード1の曲げ剛性が不足しやすく、板厚が上限値を超えると、つぶれ変形荷重が増大するため、歩行者保護性能が低下しやすい。なお、インナーパネル3だけで曲げ剛性を確保して、リインフォースメント(不図示)を省略することも可能であるが、この場合のインナーパネル3の板厚は、前記よりもさらに増大させた板厚が好ましく、アルミニウム合金板では1.5〜3.5mm、鋼板では1.1〜2.5mmが好ましい。
なお、インナーパネル3をアルミニウム合金、鋼以外の金属で作製する場合には、当該板厚の上限値を、使用する金属の比重に反比例して決定するのがよい。
このインナーパネル3には、深凹状部32aの底部および浅凹状部32bの底部の少なくとも一方に、深凹状部32aおよび浅凹状部32bの長手方向に沿って1つまたは2つ以上のトリム穴34を設けるのが好ましい。トリム穴34の寸法は、凹状部32の底部、つまり、深凹状部32aの底部および浅凹状部32bの底部の横幅や縦幅を勘案して適宜設定することができ、このトリム穴34を2つ以上設ける場合は、インナーパネル3の強度を勘案して適宜の間隔をあけるのがよい。
かかるインナーパネル3は、例えば、鋼製の板材や、3000系、5000系、6000系または7000系のアルミニウム合金製の板材などの軽量で高張力な金属製板材を用いて作製するのがよいが、これに限定されるものではなく、例えば、カーボンファイバー強化樹枝などの金属以外の素材で作製してもよい。
前記したように、本発明に係る自動車用フード1は、図5(a)、(b)に示すように、アウターパネル2とインナーパネル3のそれぞれのアウター周縁部2a,3aを接合したときに、両パネル2,3の所定位置の間に空間部4,5を介した断面構造を備えたものであり、このインナーパネル3は、アウターパネル2のアウター周縁部2aと接合するインナー周縁部3aと、当該インナー周縁部3aに連続して形成されアウターパネル2との間に空間部4を形成する枠凹部31と、枠凹部31よりパネル中央部となる位置でアウターパネル2に接合するパネル接合部33aを有する凸状の複数のビード33と、隣り合うビード33の間に、空間部5を形成する凹状部32と、を備えたものである。そして、この凹状部32は、ビード33に沿って形成され、当該ビード33の頂部からの深さが深い深凹状部32aと、ビード33に沿って形成され、同じく当該ビード33の頂部からの深さが浅い浅凹状部32bと、を有し、深凹状部32aを、ビード33,33を介して浅凹状部32b,32bの間に配置した構成となっている(図1、図2および図4参照)。
本発明の自動車用フード1は、前記した構成とすることによって、以下に示すように、歩行者保護性能を向上させるとともに、剛性を確保している。
すなわち、本発明の自動車用フード1では、前記のような断面構造を備えているので、例えば、図5(a)、(b)に示すように、頭部が衝突した場合に、交互に配置された深凹状部32aおよび浅凹状部32bのうち、まず、深凹状部32aのみが設置構造物Aに衝突することになる。
ここで、自動車用フード1の構造を、深凹状部32aの深さh1を従来と同様の深さとし、浅凹状部32bの深さh2を従来よりも浅くした場合、時間(t)と衝突加速度(G)との関係、およびストローク(S)と衝突加速度(G)との関係は、図6(a)、(b)のそれぞれに示す加速度推移となる傾向がある。つまり、このような構成とした場合は、当該浅凹状部32bが設置構造物Aに衝突するタイミングが遅れる(図6(b)参照)ので、2次衝突によって発生する衝突加速度を低減することができる。また、インナーパネル3が変形するストロークSを従来よりも増大させ得ることがわかる。つまり、結果的にHIC値を低くすることができる。
また、自動車用フード1の構造を、深凹状部32aの深さh1を従来よりも深くし、浅凹状部32bの深さh2を従来よりも浅くした場合、時間(t)と衝突加速度(G)との関係、およびストローク(S)と衝突加速度(G)との関係は、図7(a)、(b)のそれぞれに示す加速度推移となる傾向がある。つまり、このような構成とした場合は、深凹状部32aと設置構造物Aとが2次衝突するタイミングが早くなるので、1次衝突後のエネルギー吸収量を確保することができる。また、浅凹状部32bと設置構造物Aとが衝突するタイミングが遅くなるか、または、浅凹状部32bと設置構造物Aとは衝突しないようにすることができる(図7(b)参照)ので、2次衝突加速度を低減することができる。
いずれにしても、本発明の自動車用フード1の構成とすると、図10(a)、(b)に示す従来の自動車用フード(従来例)のように、頭部が衝突しても、設置構造物Aに一度に衝突する凹状部32の数を減らすことによって、2次衝突加速度を減少させることができる。これは、図6および図7において、本発明例(1)と従来例(21)の加速度推移の衝突加速度が低くなっていることからもわかる。また、このような加速度推移から、前記した数式(1)によって計算された歩行者保護性能の指標となるHIC値は、任意時間内の平均加速度が減少することにより、小さいものとなる。したがって、自動車用フード1は、歩行者保護性能に優れているといえる。
(剛性確保の機構)
図3、図4に示すように、自動車用フード1では、空間部4により、フードの断面部面積が確保されるため、フードとして必要とされる曲げ剛性、ねじり剛性を得ることができる。それと共に、インナーパネル3のインナー周縁部3aとアウターパネル2のアウター周縁部2aとを接合(接着)したり、パネル接合部33aでインナーパネル3とアウターパネル2とを接合(接着)したりすることにより、フードとして必要とされる張り剛性、耐デント性を得ることができる。
以上、本発明に係る自動車用フードについて詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されるべきである。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて下記のように広く改変・変更等することができる。
例えば、図1、図2に示す自動車用フード1は、枠凹部31の底部と深凹状部32aの底部を面一に形成していないが、枠凹部31の底部と深凹状部32aの底部を面一に形成してもよいことはいうまでもない。また、これと同様に、枠凹部31の底部と浅凹状部32bの底部を面一に形成してもよい。
また、図1、図2に示す自動車用フード1は、ビード33の端部が平面視で丸みを帯びたR形状を有しているが、これに限定されるものではなく、そのようなR形状を有さない形状としてもよい。また、ビード33の頂部から枠凹部31の底部までを縦断面視で直線的となるように形成してもよい。
また、例えば、図2に示すように、自動車用フード1に歩行者が衝突した際、歩行者が子供であるか、大人であるかによって、その衝突領域が異なる。そのため、車両進行方向に対して、自動車用フード1の前側は子供が衝突する子供衝突領域CAとし、自動車用フード1の後側は大人が衝突する大人衝突領域AAとしている。
本発明に係る自動車用フード1は、前側(子供衝突領域CA)と後側(大人衝突領域AA)とで、以下に示すような形状変更を行ってもよい。
なお、後記する形状変更は、前側(子供衝突領域CA)と後側(大人衝突領域AA)とで明確に分けて形成してもよく、前側の端部から後側の端部にかけて形状が漸次変化するように形成してもよく、また、前側と後側との境界近傍においてそれらの形状が繋がるように漸次変化するように形成してもよい。
インナーパネル3の板厚T(図8参照)を前側で薄く、後側で厚くする。このように板厚Tの変更によって、頭部衝突の際、自動車用フード1の前側では、変形荷重が小さくなる。また、自動車用フード1の後側では、1次衝突でのエネルギー吸収量が十分確保される。なお、図8は、本発明の自動車用フードの他の形態を示す図である。
ビード33の幅W、断面高さH(図8参照)を前側で小さく、低く、後側で大きく、高くする。このような幅W、高さHの変更によって、頭部衝突の際、自動車用フード1の後側では、剛性が向上すると共に、1次衝突でのエネルギー吸収量が十分確保される。また、自動車用フード1の前側では、変形荷重が小さくなる。
ビード33の断面R1、R2(図8参照)を前側で大きく、後側で小さくする。このような断面R1、R2の変更によって、頭部衝突の際、自動車用フード1の前側では、変形荷重が小さくなる。また、自動車用フード1の後側では、剛性が向上すると共に、1次衝突でのエネルギー吸収量が十分確保される。
ビード33の斜面角度α(図8参照)を前側で小さく、後側で大きくする。このような斜面角度αの変更によって、頭部衝突の際、自動車用フード1の前側では、変形荷重が小さくなる。また、自動車用フード1の後側では、剛性が向上すると共に、1次衝突でのエネルギー吸収量が十分確保される。
ビード33(接合面33b)におけるパネル接合部33aのピッチMPを、張り剛性および耐デント性が要求される前側で小さくする。
本発明に係る自動車用フード1は、インナーパネル3のビード33として、ビード傾斜面に段状の平坦部33cを形成したビード33A(図9(a)参照)、ビード傾斜面に棚部33dおよび/または頂部に凹部35を形成したビード33Bを使用してもよい。このようにすると、衝突時の変形を助長することができる。なお、図9の(a)、(b)は、本発明の自動車用フードの他の形態を示す図である。
自動車用フード1は、アウターパネル2の外形、段差をつけたデザインなどに合わせて、ビード33の幅W、断面高さHを適宜変更、または、ビード33を分岐させてもよい(図示せず)。また、高速衝突の際に自動車用フード1が車内に突っ込まないように、インナーパネル3にクラッシュビード36(図2参照)を設けてもよい。さらに、フードサイレンサー、ウオシャーホース、クッションゴム等の取付けを目的として、インナーパネル3に適宜の穴部(図示せず)を設けてもよい。
自動車用フードの分解斜視図である。 自動車用フードのインナーパネルの斜視図である。 図2のA−A線断面図である。 図2のB−B線断面図である。 (a)、(b)は、本発明に係る自動車用フードに歩行者の頭部が衝突した様子を説明する図である。 (a)は、本発明に係る自動車用フードの一の態様において物体が衝突した場合における時間(t)と衝突加速度(G)との関係を示すグラフであり、(b)は、本発明に係る自動車用フードに物体が衝突した場合におけるストローク(S)と衝突加速度(G)との関係を示すグラフである。 (a)は、本発明に係る自動車用フードの他の態様において物体が衝突した場合における時間(t)と衝突加速度(G)との関係を示すグラフであり、(b)は、本発明に係る自動車用フードに物体が衝突した場合におけるストローク(S)と衝突加速度(G)との関係を示すグラフである。 本発明の自動車用フードの変形例を示す図である。 (a)、(b)は、本発明の自動車用フードの変形例を示す図である。 従来の自動車用フードの一例を示す図である。 (a)、(b)は、従来の自動車用フードに歩行者の頭部が衝突した様子を説明する図である。
符号の説明
1 自動車用フード
2 アウターパネル
2a アウター周縁部
3 インナーパネル
3a インナー周縁部
31 枠凹部
32 凹状部
32a 深凹状部
32b 浅凹状部
33,33A,33B ビード
33a パネル接合部
33b 接合面
33c 平坦部
33d 棚部
34 トリム穴
35 凹部
36 クラッシュビード
4,5 空間部

Claims (6)

  1. アウターパネルとインナーパネルのそれぞれの周縁部を接合したときに、両パネルの所定位置の間に空間部を介した断面構造を備える自動車用フードにおいて、
    前記インナーパネルは、
    前記アウターパネルのアウター周縁部と接合するインナー周縁部と、
    前記インナー周縁部に連続して形成され前記アウターパネルとの間に前記空間部を形成する枠凹部と、
    前記枠凹部よりパネル中央部となる位置で前記アウターパネルに接合するパネル接合部を有する凸状の複数のビードと、
    隣り合う前記ビードの間に、前記空間部を形成する凹状部と、を備え、
    前記凹状部は、
    前記ビードに沿って形成され、前記ビードの頂部からの深さがあらかじめ設定された所定の値よりも深い深凹状部と、
    前記ビードに沿って形成され、前記ビードの頂部からの深さが前記深凹状部よりも浅い浅凹状部と、を有することを特徴とする自動車用フード。
  2. 前記深凹状部と前記浅凹状部を、前記ビードを介して交互に配置したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用フード。
  3. 前記深凹状部が形成されるピッチは、100〜200mmであり、
    前記浅凹状部が形成されるピッチは、50〜200mmであることを特徴とする請求項に記載の自動車用フード。
  4. 前記深凹状部の間に2個以上の前記浅凹状部を配置したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用フード。
  5. 前記深凹状部の深さh1は、10〜40mmであり、
    前記浅凹状部の深さh2は、3mm以上{(4/5)×h1}倍以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の自動車用フード。
  6. 前記深凹状部の底部および前記浅凹状部の底部の少なくとも一方に、前記深凹状部および前記浅凹状部の長手方向に沿って1つまたは2つ以上のトリム穴を設けたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の自動車用フード。
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