JP4053485B2 - 車両用フード構造 - Google Patents

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本発明は車両用フード構造に関し、特に、自動車等の車両において衝突時に衝突体を保護する車両用フード構造に関する。
従来から、自動車等の車両に適用される車両用フード構造においては、フードの車体前後方向後半部にけるフードアウタパネルとフードインナパネルとの間隔を前半部より拡大することで、前半部を低剛性とした構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−321713号公報
しかしながら、特許文献1の車両用フード構造では、フードの後半部が、前半部に比べて厚くなり、フードの後半部では前半部に比べてフードインナパネルとフード下方の部材との間隔が狭くなる。このため、衝突体がフードの後半部に衝突した場合には、十分にエネルギを吸収できないうちに、フードインナパネルとフード下方の部材との2次衝突がはじまり、衝突体が受ける衝撃が大きくなる。また、この2次衝突により衝突体が受ける衝撃を低減するために、フードの後半部におけるフードインナパネルとフード下方の部材との距離を広げると、フードの高さが高くなる。
本発明は上記事実を考慮し、フードの後半部でのフードインナパネルとフード下方の部材との距離を広げること無しに、2次衝突によって衝突体が受ける衝撃を低減できる車両用フード構造を提供することが目的である。
請求項1記載の本発明の車両用フード構造は、フードの車体外側面を構成するフードアウタパネルと、
前記フードアウタパネルの裏面全域に沿って配設され、車体前後方向から見た断面形状が波形状とされたフードインナパネルと、
を有し、前記フードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における前記波形断面形状と、車体前後方向の後方の部位における前記波形断面形状と、が異なると共に前記フードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における前記波形断面形状の高さと、車体前後方向の後方の部位における前記波形断面形状の高さが同一であり、前記フードの後半部の剛性が前記フードの前半部の剛性に比べて高くなることを特徴とする。
従って、フードのフードアウタパネルの裏面全域に沿って配設され、車体前後方向から見た断面形状が波形状とされたフードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における波形断面形状と、車体前後方向の後方の部位における波形断面形状と、が異なると共に前方の部位における波形断面形状の高さと、後方の部位における波形断面形状の高さが同一であるため、フードの後半部におけるフードインナパネルの波形断面形状をフードの後半部の剛性がフードの前半部の剛性に比べて高くなるように調整することによって、フードアウタパネルに衝突体が衝突した場合に、質量の大きい衝突体が衝突し易いフードの後半部でのフードの変形量が、質量の小さい衝突体が衝突し易いフードの前半部でのフードの変形量に比べて大きくなるのを抑制できる。この結果、フードの後半部でのフードインナパネルとフード下方の部材との距離を広げること無しに、2次衝突によって衝突体が受ける衝撃を低減できる。
また、請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の車両用フード構造において、前記フードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における前記波形断面形状の角部を円弧状とし、前記フードインナパネルの車体前後方向の後方の部位における前記波形断面形状の角部を矩形状としたことを特徴とする。
従って、フードのフードアウタパネルの裏面全域に沿って配設され、車体前後方向から見た断面形状が波形状とされたフードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における波形断面形状の角部を円弧状とし、フードインナパネルの車体前後方向の後方の部位における波形断面形状の角部を矩形状としたため、フードの後半部の剛性がフードの前半部の剛性に比べて高くなる。この結果、フードアウタパネルに衝突体が衝突した場合には、質量の大きい衝突体が衝突し易いフードの後半部でのフードの変形量が、質量の小さい衝突体が衝突し易いフードの前半部でのフードの変形量に比べて大きくなるのを抑制できる。この結果、フードの後半部でのフードインナパネルとフード下方の部材との距離を広げること無しに、2次衝突によって衝突体が受ける衝撃を低減できる。
また、請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の車両用フード構造において、前記フードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における前記波形断面形状の側壁部の傾斜角度に対して、前記フードインナパネルの車体前後方向の後方の部位における前記波形断面形状の側壁部の傾斜角度を大きくしたことを特徴とする。
従って、フードのフードアウタパネルの裏面全域に沿って配設され、車体前後方向から見た断面形状が波形状とされたフードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における波形断面形状の側壁部の傾斜角度に対して、フードインナパネルの車体前後方向の後方の部位における波形断面形状の側壁部の傾斜角度を大きくしたため、フードの後半部の剛性がフードの前半部の剛性に比べて高くなる。この結果、フードアウタパネルに衝突体が衝突した場合には、質量の大きい衝突体が衝突し易いフードの後半部でのフードの変形量が、質量の小さい衝突体が衝突し易いフードの前半部でのフードの変形量に比べて大きくなるのを抑制できる。この結果、フードの後半部でのフードインナパネルとフード下方の部材との距離を広げること無しに、2次衝突によって衝突体が受ける衝撃を低減できる。
また、請求項4記載の本発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用フード構造において、前記フードインナパネルの車体前後方向中間部に前記前方の部位と前記後方の部位との境界線を有し、該境界線は平面視におけるフードの前端縁部に沿った円弧状であることを特徴とする。
従って、フードインナパネルの車体前後方向中間部に前方の部位と後方の部位との境界線を有し、該境界線は平面視におけるフードの前端縁部に沿った円弧状であるため、フードの後半部におけるフードインナパネルの波形断面形状を調整することによって、フードアウタパネルに衝突体が衝突した場合に、質量の大きい衝突体が衝突し易いフードの後半部でのフードの変形量が、質量の小さい衝突体が衝突し易いフードの前半部でのフードの変形量に比べて大きくなるのを抑制できる。この結果、フードの後半部でのフードインナパネルとフード下方の部材との距離を広げること無しに、2次衝突によって衝突体が受ける衝撃を低減できる。
請求項1記載の本発明の車両用フード構造は、フードの車体外側面を構成するフードアウタパネルと、フードアウタパネルの裏面全域に沿って配設され、車体前後方向から見た断面形状が波形状とされたフードインナパネルと、を有し、フードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における波形断面形状と、車体前後方向の後方の部位における波形断面形状と、が異なると共にフードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における波形断面形状の高さと、車体前後方向の後方の部位における波形断面形状の高さが同一であり、フードの後半部の剛性がフードの前半部の剛性に比べて高くなるため、フードの後半部でのフードインナパネルとフード下方の部材との距離を広げること無しに、2次衝突によって衝突体が受ける衝撃を低減できるという優れた効果を有する。
また、請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の車両用フード構造において、フードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における波形断面形状の角部を円弧状とし、フードインナパネルの車体前後方向の後方の部位における波形断面形状の角部を矩形状としたため、フードの後半部でのフードインナパネルとフード下方の部材との距離を広げること無しに、2次衝突によって衝突体が受ける衝撃を低減できるという優れた効果を有する。
また、請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の車両用フード構造において、フードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における波形断面形状の側壁部の傾斜角度に対して、フードインナパネルの車体前後方向の後方の部位における波形断面形状の側壁部の傾斜角度を大きくしたため、フードの後半部でのフードインナパネルとフード下方の部材との距離を広げること無しに、2次衝突によって衝突体が受ける衝撃を低減できるという優れた効果を有する。
また、請求項4記載の本発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用フード構造において、フードインナパネルの車体前後方向中間部に前方の部位と後方の部位との境界線を有し、該境界線は平面視におけるフードの前端縁部に沿った円弧状であるため、フードの後半部でのフードインナパネルとフード下方の部材との距離を広げること無しに、2次衝突によって衝突体が受ける衝撃を低減できるという優れた効果を有する。
本発明における車両用フード構造の一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
なお、図中矢印UPは車体上方方向を示し、図中矢印FRは車体前方方向を示し、図中矢印INは車幅内側方向を示している。
図4に示される如く、本実施形態のフード10は、フード10の車体外側面を構成するフードアウタパネル12と、フードアウタパネル12のフード内側(裏面側)の全域に沿って配設され、フード10の内側部を構成するフードインナパネル14とを備えており、最中構造のフードとなっている。
図3に示される如く、フードインナパネル14における外周縁部としての前端縁部14A、後端縁部14B、左右の車幅方向外側縁部14C、14Dを除く中央領域14Eには、車幅方向に所定の間隔を開けて凸部18が車体前後方向に沿って複数本形成されている。
図1に示される如く、フードインナパネル14の車体前後方向から見た断面形状は、凸部18によって波形状となっている。また、フードアウタパネル12の車幅方向両端部には車体下方に向かってフランジ12Aが形成されており、フランジ12Aはフードインナパネル14の車幅方向両端部に車体下方に向かって形成されたフランジ14Fに結合されている。
また、フードインナパネル14の凸部18は、車体上方に膨らんでおり、車体前後方向から見た断面形状が波形状となっている。また、凸部18における頂部18Aの車幅方向中央部が、フードアウタパネル12の裏面12Bに接着剤20によって結合されている。
図3に示される如く、フードインナパネル14の凸部18は、中央領域14Eの前端部から後端部まで延設されている。また、フード10のフードインナパネル14は、車体前後方向中間部に境界線Lが設定されており、境界線Lの前方側が前半部22、境界線Lの後方側がと後半部24となっている。
なお、境界線Lは、平面視におけるフード10の前端縁部10Aに沿った円弧状になっている。
図1に示されるフードインナパネル14の前半部22における凸部18による波形断面形状と、図2に示されるフードインナパネル14の後半部24における凸部18による波形断面形状とが異なっている。
図1に示される如く、フードインナパネル14の前半部22においては、凸部18による波形断面形状の角部18Bが比較的大きな半径の円弧状となっている。
これに対して、図2に示される如く、フードインナパネル14の後半部24においては、凸部18による波形断面形状の角部18Bが矩形状となっている。
更に、本実施形態では、図1に示される如く、フードインナパネル14の前半部22においては、凸部18による波形断面形状の側壁部18Cの傾斜角度θ1を小さくし、図2に示される如く、フードインナパネル14の後半部24においては、凸部18による波形断面形状の側壁部18Cの傾斜角度θ2を大きくしている。即ち、フードインナパネル14の前半部22における傾斜角度θ1に対して、フードインナパネル14の後半部24における傾斜角度θ2が大きくなっている(θ1<θ2)。
なお、フードインナパネル14の前半部22と後半部24における凸部18の高さY及び隣接する凸部18の間隔(ピッチ)は同一である。
また、フードインナパネル14の下方に位置する部材30はエンジン等の剛体である。
次に、本実施形態の作用を説明する。
本実施形態では、フードインナパネル14における外周縁部としての前端縁部14A、後端縁部14B、左右の車幅方向外側縁部14C、14Dを除く中央領域14Eに、車幅方向に所定の間隔を開けて車体前後方向に沿って車体上方に膨らんだ複数の凸部18が形成されており、各凸部18の頂部18Aとフードアウタパネル12とが接着剤20によって結合されている。この結果、フードインナパネル14とフードアウタパネル12によって形成された車体前後方向に沿った複数の閉断面構造32によって、フード10の剛性を確保できる。
また、本実施形態では、フードインナパネル14の前半部22においては、凸部18による波形断面形状の角部18Bが比較的大きな半径の円弧状となっており、フードインナパネル14の後半部24においては、凸部18による波形断面形状の角部18Bが矩形状となっている。
この結果、フードインナパネル14の前半部22の剛性に比べて後半部24の剛性が高くなる。このため、図4に示される如く、フードアウタパネル12に衝突体K1、K2が衝突した場合には、図2及び図6に示される如く、質量の大きい衝突体K2が衝突し易いフード14の後半部24でのフード10の車体下方への変形量が、図1及び図5に示される如く、質量の小さい衝突体K1が衝突し易いフード14の前半部22でのフード10の車体下方への変形量に比べて大きくなるのを抑制できる。
また、本実施形態では、フードインナパネル14の前半部22における凸部18による波形断面形状の側壁部18Cの傾斜角度θ1に対して、フードインナパネル14の後半部24における凸部18による波形断面形状の側壁部18Cの傾斜角度θ2を大きくしている(θ1<θ2)。
この結果、フードインナパネル14の前半部22の剛性に比べて後半部24の剛性が更に高くなるため、質量の大きい衝突体K2が衝突し易いフード14の後半部24でのフード10の車体下方への変形量が、質量の小さい衝突体K1が衝突し易いフード14の前半部22でのフード10の車体下方への変形量に比べて大きくなるのを更に抑制できる。
この結果、図7に示される如く、本実施形態における衝突体K2のストロークSに対する加速度G1の変化は、フード14の後半部24における凸部18による波形断面形状が、フードインナパネル14の前半部22における凸部18による波形断面形状と同じ場合の構成における衝突体K2のストロークSに対する加速度G2の変化に比べて、衝突初期の立ち上がりが早くなり、1次ピークP1の加速度が高くなる。
このため、衝突体K2の衝突速度が速い段階で効率良くエネルギを吸収でき、フード下方の部材30への2次衝突に対しても、加速度G2のような底付き波形P2が発生する前に、加速度G1は減少する。このため、2次衝突によって衝突体K2が受ける衝撃を低減できる。
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態においては、フードインナパネル14の前半部22において波形断面形状の角部18Bを比較的大きな半径の円弧状とし、フードインナパネル14の後半部24において波形断面形状の角部18Bを矩形状とすると共に、フードインナパネル14の前半部22における波形断面形状の側壁部18Cの傾斜角度θ1に対して、フードインナパネル14の後半部24における波形断面形状の側壁部18Cの傾斜角度θ2を大きくしたが、これに代えて、フードインナパネル14の前半部22において波形断面形状の角部18Bを比較的大きな半径の円弧状とし、フードインナパネル14の後半部24において波形断面形状の角部18Bを矩形状としただけの構成としても良い。また、フードインナパネル14の前半部22における波形断面形状の側壁部18Cの傾斜角度θ1に対して、フードインナパネル14の後半部24における波形断面形状の側壁部18Cの傾斜角度θ2を大きくしただけの構成としても良い。
図3の1−1線に沿った拡大断面図である。 図3の2−2線に沿った拡大断面図である。 本発明の一実施形態に係る車両用フード構造を示す車体下方から見た平面図である。 図3の4−4線に沿った拡大断面である。 本発明の一実施形態に係る車両用フード構造の変形状態を示す図1に対応する断面図である。 本発明の一実施形態に係る車両用フード構造の変形状態を示す図1に対応する断面図である。 車両用フード構造における衝突体のストロークと加速度との関係を示すグラフである。
符号の説明
10 フード
12 フードアウタパネル
14 フードインナパネル
18 フードインナパネルの凸部
18B フードインナパネルの凸部の角部
18C フードインナパネルの凸部の側壁部
22 フードインナパネルの前半部
24 フードインナパネルの後半部

Claims (4)

  1. フードの車体外側面を構成するフードアウタパネルと、
    前記フードアウタパネルの裏面全域に沿って配設され、車体前後方向から見た断面形状が波形状とされたフードインナパネルと、
    を有し、前記フードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における前記波形断面形状と、車体前後方向の後方の部位における前記波形断面形状と、が異なると共に前記フードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における前記波形断面形状の高さと、車体前後方向の後方の部位における前記波形断面形状の高さが同一であり、前記フードの後半部の剛性が前記フードの前半部の剛性に比べて高くなることを特徴とする車両用フード構造。
  2. 前記フードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における前記波形断面形状の角部を円弧状とし、前記フードインナパネルの車体前後方向の後方の部位における前記波形断面形状の角部を矩形状としたことを特徴とする請求項1に記載の車両用フード構造。
  3. 前記フードインナパネルの車体前後方向の前方の部位における前記波形断面形状の側壁部の傾斜角度に対して、前記フードインナパネルの車体前後方向の後方の部位における前記波形断面形状の側壁部の傾斜角度を大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用フード構造。
  4. 前記フードインナパネルの車体前後方向中間部に前記前方の部位と前記後方の部位との境界線を有し、該境界線は平面視におけるフードの前端縁部に沿った円弧状であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用フード構造。
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