JP4733581B2 - 自動車用フード - Google Patents

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本発明は、アウターパネルとインナーパネルとを接合して用いられる自動車用フードに関するものである。
近年、自動車事故における歩行者保護が法規化され、歩行者保護性能が自動車用フードのレーティングの指標としても注目されている。一方で、自動車は、エンジシの高出力化により、エンジンが大型化されると共に、多機能化によりエンジンルーム内の部品も増加するため、歩行者保護に必要なフード下のスペースも小さくなってきている。そのため、スポーティなデザインと歩行者保護性能とを両立するためには、小スペースで効率よく衝突エネルギーを吸収できる自動車用フードの開発が重要である。
前記のような自動車用フードとして、特許文献1では、アウターパネルとインナーパネルとを接合したときに両パネルの間に空間部を介した断面構造を備えるフード構造を持った自動車用フードが記載されている。また、前記空間部を形成するために、インナーパネルの中央領域に、車幅方向(車両進行方向に直交する方向)に所定の間隔を開けて複数のビードが車両進行方向に沿って直線状に連続形成されたフード構造が記載されている。
特許文献1に記載されたフード構造と類似したフード構造を持った自動車用フードの例を、図10(a)〜(c)に示す。図10(a)〜(c)に示すように、自動車用フード21は、所定の曲率を有するアウターパネル22と、周縁部に凹状部24を、中央部に車両進行方向に平行な配置で複数のビード25を有するインナーパネル23とから構成され、アウターパネル22の周縁部と、インナーパネル23の凹状部24の端部をヘム加工によって接合することによって、空間部26を介した断面構造をとっている。また、ビード25の頂部に接着部27を所定間隔に配置し、この接着部27を介して、ビード25とアウターパネル22の裏面とが接着されている。
また、自動車用フードの歩行者保護性能は、一般には頭部傷害値(以下HIC値と略す)により評価され、HIC値は、下式(1)(任意時間内の平均加速度の2.5乗と発生時間の積の最大値)で与えられる。そして、HIC値が小さいほど、歩行者保護性能が優れている。
Figure 0004733581
ここで、aは頭部重心における3軸合成加速度(単位はG)、t1、t2は0<t1<t2となる時間tでHIC値が最大となる時間で、計算時間(t2−t1)は15msec以下と決められている。
図12(a)は、従来の自動車用フード21における、頭部衝突の際の加速度aとストローク(頭部衝突の際のエンジンルーム内への頭部侵入変位量)Sとの関係を示す説明図、図12(b)は、加速度aと時間tとの関係を示す説明図である。図12(a)、(b)に示すように、歩行者の頭部が自動車用フードに衝突するときの加速度は、通常、頭部が自動車用フードに衝突して発生する1次衝突加速度と、その後、自動車用フード21がエンジンルーム内の設置構造物に接触して発生する2次衝突加速度に大別できる。
一方、自動車用フードは、張り剛性、耐デント性、曲げ剛性、ねじり剛性等、従来から求められる基本性能も満足しなければならない。また、高速衝突の際には、自動車用フードが客室(車内)に進入しないように、車両進行方向の中心位置近傍で折れ曲がり変形する必要がある。張り剛性は、ワックスがけや自動車用フードをロックする際に押込む時の弾性変形を抑制するために必要であり、アウターパネルのヤング率と板厚、および、アウターパネルとインナーパネルの接合位置(図10(a)〜(c)では接着部27の接着位置)により決定される。耐デント性は、飛石などにより残留する塑性変形を抑制するために必要で、アウターパネルの耐力と板厚に影響を受ける。曲げ剛性は、自動車用フードをロックする際の引込み力と、クッションゴム、ダンパーステイ、シールゴムなどの反力により発生する自動車用フード周縁部の弾性変形を抑制するために必要であり、自動車用フード周縁部のインナーパネルおよびレインフォースメントの形状(断面2次モーメント)、ヤング率に影響される。ねじり剛性は、自動車用フード周縁部の曲げ剛性と、インナーパネル中央部の板厚および形状に影響される。
特許第3674918号公報(段落0027、図1、図2)
自動車用フードは、これらの基本性能と歩行者保護性能の両方を満足しなければならないが、自動車用フードとエンジン等の構造物との間となる自動車用フード下方のスペースが制限されるため、基本性能だけを満足するように材質、板厚、形状を設計したフードでは歩行者保護性能を満足できない場合が多い。
そして、前記した従来の自動車用フード21においては、自動車用フード下のスペースが小さい場合には、図12(a)、(b)に示すように、周縁部(B点)において1次衝突よりも2次衝突の方が発生する加速度が大きくなり、継続時間も長くなるため、2次衝突の加速度が上式(1)で計算されるHIC値に悪影響を与える(HIC値が満足するレベルに達しない)。
これは、図11に示すように、自動車用フード21の中央部(A点、図10(a)参照)に頭部が衝突した際には、自動車用フード21の車両進行方向の断面においてビード部25が長手方向の両側面部が開放された空間領域を有するため、2次衝突においてビード部25がつぶれ変形しやすく、2次衝突加速度を低減できる。しかし、自動車用フード21の周縁部(B点、図10(a)参照)においては、ビード部25が半カップ状に成形された端部を有し、自動車用フード21の車両進行方向の断面において長手方向の片側側面部が閉塞された空間領域を有する。そのため、周縁部(B点)に頭部が衝突した際には、2次衝突においてビード部25の傾斜面25aの角度βが保持され、ビード部25がつぶれ変形しにくい。その結果、周縁部(B点)での変形荷重が大きくなり、2次衝突加速度が増大して、HIC値が悪化するという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、その目的は、自動車用フードの基本性能を満足すると同時に、特に、自動車用フードの周縁部に求められる歩行者保護性能に優れた自動車用フードを提供することにある。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、アウターパネルとインナーパネルとをそれぞれの周縁部で接合すると共に、両パネルが接合したときに両パネルの間に空間部を形成した断面構造を備える自動車用フードにおいて、前記インナーパネルは、前記アウターパネルのアウター周縁部と接合するインナー周縁部と、前記インナー周縁部に連続して形成され前記アウターパネルとの間に前記空間部を形成する枠凹部と、前記枠凹部よりパネル中央側となる位置で前記アウターパネルに接合する接合面を有する凸状の複数のビードと、隣り合う前記ビードの間に前記空間部を形成する凹状部とを備え、前記ビードは、その長手方向における両端部の少なくとも一方において、前記接合面から前記ビードの断面高さの傾斜面全体を経て前記凹状部の底面に至るまでの切欠深さに連続して変形荷重が減少するように切り欠いた切欠部を有する自動車用フードとして構成したものである。
このように構成すれば、インナーパネルがアウターパネルとの間に空間部(枠凹部および凹状部)を有することによって、自動車用フードの曲げ剛性等が確保される。また、インナーパネルのビードがアウターパネルと接合する接合面を有することによって、アウターパネルの張り剛性等も確保される。さらに、ビードが、その端部において、変形荷重を減少するように切り欠いた切欠部を有することによって、自動車用フードの周縁部に頭部が衝突した際にも、ビードの端部がつぶれ変形しやすくなる。それによって、自動車用フードのつぶれ変形荷重が小さくなり、ストロークも確保されるため、2次衝突加速度が低減される。
請求項2に係る発明は、前記切欠部が、前記接合面の端部側から前記傾斜面を切欠角度θ=45〜180度で切り欠いた自動車用フードとして構成したものである。
このように構成すれば、切欠部の切欠角度を所定範囲に限定することによって、ビードの端部がより一層つぶれ変形しやすくなる。それによって、自動車用フードの周縁部に頭部が衝突した際にも、自動車用フードのつぶれ変形荷重がより一層小さくなり、ストロークもより一層確保され、2次衝突加速度がより一層低減される。
本発明に係る自動車用フードによれば、インナーパネルが枠凹部、接合面を有するビードおよび凹状部を備えるため、自動車用フードとしての基本性能(張り剛性、耐デント性、曲げ剛性、ねじり剛性など)を満足する。それと同時に、インナーパネルに備えられたビードの端部に切欠部を有するため、自動車用フードの周縁部においても、HIC値が小さくなり、歩行者保護性能が優れる。また、切欠部の切欠角度を所定範囲に限定されるため、HIC値がより一層小さくなり、歩行者保護性能がより一層優れる。
本発明に係る自動車用フードの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は自動車用フードの構成を示す分解斜視図、図2は自動車用フードの構成を示す斜視図、図3は図2の自動車用フードの車両進行方向(X1−X1線)の端面図、図4は図2の自動車用フードの車両進行方向に直交する車幅方向(X2−X2線)の端面図、図5(a)〜(c)は自動車用フードのインナーパネルにおける切欠部を示す平面図、図6は自動車用フードの2次衝突の際の変形状態を示す模式図、図7は自動車用フードの周縁部(B点)における、(a)は頭部衝突の際の加速度とストロークとの関係を示す説明図、(b)は加速度と時間との関係を示す説明図、図8は自動車用フードのインナーパネルにおけるビードの端部を切断した状態での拡大斜視図、図9は自動車用フードの変形例を示し、(a)、(b)はインナーパネルにおけるビードの端部を切断した状態での端面図、(c)は自動車用フードの斜視図である。なお、前記図面の一部では、アウターパネルおよびインナーパネルの厚みを記載せず、線で示した。
図1〜図4に示すように、本発明に係る自動車用フード1は、アウターパネル2とインナーパネル3とをそれぞれの周縁部で接合すると共に、両パネル2、3が接合したときに両パネル2、3の所定位置の間に空間部10を形成した断面構造を備える。
<アウターパネル>
図1、図2に示すように、アウターパネル2は、所定の曲率を有し、軽量で高張力な金属製板材で構成され、金属は鋼、または、3000系、5000系、6000系または7000系のアルミニウム合金であることが好ましい。また、アウターパネル2の板厚は、例えば、鋼板では1.1mm以下、アルミニウム合金板では1.5mm以下が好ましい。なお、アウターパネル2は、樹脂製、カーボンファイバー製の板材で構成されていてもよい。
また、図3、図4に示すように、アウターパネル2のアウター周縁部2aは、後記するインナーパネル3のインナー周縁部3aとヘム加工等による嵌合、接着、ろう付け等によって接合されるもので、インナー周縁部3aと接合できれば、その形状は特に限定されない。
<インナーパネル>
図1、図2に示すように、インナーパネル3は、軽量で高張力な金属製板材で構成され、金属は鋼、または、3000系、5000系、6000系または7000系のアルミニウム合金であることが好ましい。
インナーパネル3の板厚は、自動車用フード1が使用される自動車の車種によって決定される曲げ剛性によって選択される。それと共に、頭部衝突の際の頭部と自動車用フード1の相対速度により発生する慣性力に影響を与える。そのため、板厚を適正化することにより、1次衝突の際の加速度が大きくなり、十分なエネルギー吸収量が確保され、自動車用フード1の歩行者保護性能を向上させることが可能となる。
また、板厚の適正値は、アルミニウム合金板の場合には0.6〜1.5mm、鋼板の場合には0.5〜1.1mmが好ましい。板厚が下限値未満であると、自動車用フード1の曲げ剛性が不足しやすく、後記する枠凹部4、ビード7(凹状部6)のプレス成形または圧延が困難になりやすい。板厚が上限値を超えると、つぶれ変形荷重が増大するため、歩行者保護性能が低下しやすく、特に、1次衝突でのHIC値が基準値(HIC値=1000)をオーバーしやすい。
図2〜図4に示すように、インナーパネル3は、インナー周縁部3aと、枠凹部4と、接合面5を有するビード7と、凹状部6を備え、ビード7は切欠部8を有する。以下、各構成について説明する。
(インナー周縁部)
インナー周縁部3aは、前記したように、アウターパネル2のアウター周縁部2aとヘム加工等による嵌合、接着、ろう付け等によって接合されるもので、アウターパネル2のアウター周縁部2aと接合できれば、その形状は特に限定されない。
(枠凹部)
枠凹部4は、前記インナー周縁部3aに連続して枠状に形成され、前記アウターパネル2との間に空間部10を形成するものである。そして、枠凹部4の断面形状は、自動車用フード1の剛性、歩行者保護性能を確保できれば、特に限定されない。そして、枠凹部4の断面形状を決定する断面高さH1、H2の適正値は、5mm<H1<60mm、10mm<H2<80mm、20mm<H1+H2<120mmが好ましい。断面高さH1、H2が下限値以下では、自動車用フード1の曲げ剛性が不足しやすい、断面高さH1、H2が上限値以上では、インナーパネル3がエンジン等の設置構造物に接触するタイミングが早いため、2次衝突加速度が増大してHIC値が大きくなりやすい(歩行者保護性能が低下しやすい)。
(ビード)
ビード7は、畝状の凸条であって、前記枠凹部4よりパネル中央側となる位置で、前記アウターパネル2側に突出するように凸状に複数形成され、アウターパネル2に接合する接合面5を有するものである。すなわち、ビード7は、インナーパネル3の表面に縦(車両進行方向、図2参照)、横(車両進行方向に直交する車幅方向、図9(c)参照)、斜め方向にほぼ平行に延在し、その頂部にはアウターパネルと接合する接合面5を有する。また、隣り合うビード7間には、後記する凹状部6を形成し、アウターパネル2とインナーパネル3との間に空間部10を形成する。
接合面5は、樹脂層等で構成された接着部11(○印で接着されるポイントを示している)を介して、アウターパネル2に接着(接合)される。接合方法は、接着部11を介する接着に限定されず、機械的接合、溶接等による接合でもよい。また、接合面5の最も周縁部側の接着(接合)位置、すなわち、アウターパネル2のアウター周縁部2aからの間隔Lは、自動車用フード1が使用される車種によって異なるアウターパネル2の張り剛性によって選択され、その適正値は250mm以下が好ましい。
ビード7の形状は、その長手方向に直交する断面において、図4に示すように、台形状を有している。しかしながら、ビード7の頂部に形成された接合面5、および、隣り合うビード7間に形成される凹状部6によって、自動車用フード1としての剛性、歩行者保護性能が確保できれば、ビード7の形状は、台形状に限定されない。例えば、ビード7および凹状部6を波状に形成し、ビード7の長手方向に直交する方向において、サイン波状またはサインn乗波状に連続する断面形状を有してもよい。
ビード7は、その断面高さH3が5〜30mm、ピッチFPが30〜200mmであることが好ましい。断面高さH3およびピッチFPの両方が下限値未満であると、インナーパネル3の板厚を上限値に設定しても、ビード7の剛性が低下しやすい。その結果、頭部衝突の際に、衝突位置の近傍だけが変形して、衝突位置の周囲に応力が伝播しないため、インナーパネル3の質量が慣性力として有効に作用しにくく、1次衝突の際に十分なエネルギー吸収量が確保されず、2次衝突加速度が増大し、HIC値が悪化しやすい。そして、断面高さH3およびピッチFPの両方が上限値を越えると、自動車用フード下方のスペースにもよるが、インナーパネル3がエンジン等の設置構造物に衝突するタイミングが早くなりやすく、2次衝突加速度が増大してHIC値が悪化しやすい。また、ビード7を形成する際のプレス成形が困難になりやすい。さらに、アウターパネル2とインナーパネル3の接着(接合)のピッチ(接着部11間の距離)が広がるため、アウターパネルの張り剛性が不足しやすくなる。
インナーパネル3の板厚、ビード7の断面高さH3の両方が上限値に近い場合には、ビード7の斜面の傾斜角度でつぶれ変形荷重を調整することにより、HIC値の悪化を防止できるが、接着部11間の距離が広がりやすく、アウターパネル2の張り剛性を確保しにくくなる。したがって、板厚、断面高さH3のいずれか一方が上限値に近い値である場合には、他方は上限値に遠くなる値に設定されることが好ましい。
図2、図3、図5(a)に示すように、ビード7は、その長手方向における両端部の少なくとも一方において、接合面5から前記枠凹部4の底面まで連続する傾斜面9の少なくとも一部を変形荷重が減少するように切り欠いた切欠部8を有する。
(切欠部)
切欠部8は、接合面5の端部側から傾斜面9を切欠角度θ=45〜180度で切り欠くことが好ましい。また、切欠角度θは、切欠部8の両側辺8a、8bによって形成される角度を言う。切欠角度θが45度未満であると、2次衝突におけるビード7の変形荷重の減少率が小さいため、自動車用フード1の有効ストロークが増大しにくく、2次衝突加速度の減少率が小さくなりやすい。その結果、自動車用フード1におけるHIC値の改善効果が小さくなりやすい。切欠角度θが180度を超えると、ビード7の先端部の剛性が低下しやすいため、1次衝突でのエネルギー吸収量が低下しやすく、2次衝突加速度が低下しにくくなる。その結果、自動車用フード1におけるHIC値の改善効果が小さくなりやすい。また、アウターパネル2の張り剛性も低下しやすい。
また、切欠部8は、(切欠深さH4)≧1/3×(ビード7の断面高さH3)であることがより好ましい。(切欠深さH4)が(ビード7の断面高さH3)未満であると、切欠部8を切り欠いた後の傾斜面9が、頭部衝突の際に、ビード7の変形の妨げとなりやすい。
さらに、切欠部8は、図5(a)では、接合面5の延長線に対して対称に切り欠いた例を示したが、このような形態に限定されない。例えば、図5(b)、(c)に示すように、切欠部8は、接合面5の延長線に対して非対称に切り欠いた形態であってもよい。そして、切欠部8は、その形態が対称の場合には、切欠角度θ=60〜180度で切り欠くことがさらに好ましい。また、切欠部8は、その形態が非対称の場合には、切欠角度θ=45〜120度で切り欠くことがさらに好ましい。
なお、切欠部8の配置は、全てのビード7の両端部の位置に形成した例をここでは図示したが、例えば、一方の端部の位置のみに切欠部8を形成したビード7と他方の端部の位置のみに切欠部8を形成したビード7とを交互に配置した例、一方の端部の位置のみに切欠部8を形成したビード7と両端部の位置に切欠部8を形成したビード7とを交互に配置した例、一部のビード7の両端部の位置に切欠部8を形成した例、全てのビード7の一方の端部の位置のみに切欠部8を形成した例、一部のビード7の一方の端部の位置のみに切欠部8を形成した例であっても構わない(図示せず)。
(凹状部)
図4に示すように、凹状部6は隣り合うビード7の間に形成されるもので、凹状部6の形状はビード7の形状によって規定される。そして、凹状部6の底面の幅は、ビード7のピッチFPが所定範囲を満足するように適宜設定される。また、図2に示すように、自動車用フード1の変形を助長、または、軽量化を目的として、凹状部6の底面にトリム穴16を開けてもよい。このトリム穴16を複数形成する際には、複数のトリム穴16を連続して形成したもの、複数のトリム穴16を互いに分かれて形成したもののいずれでもよい。
前記したように、本発明に係る自動車用フード1は、アウターパネル2のアウター周縁部2aとインナーパネル3のインナー周縁部3aとを接合することにより、両パネル2、3の所定位置の間に、枠凹部4および凹状部6から形成された空間部10を形成すると共に、ビード7の頂部に形成された接合面5をアウターパネル2に接着部11を介して接着(接合)し、かつ、ビード7の端部に切欠部8を有する断面構造を備える(図2〜図4参照)。
(歩行者保護性能向上の機構)
図6に示すように、自動車用フード1が前記のような断面構造、特に、ビード7の端部の傾斜面に切欠部8を有する断面構造を備えることにより、自動車用フード1の周縁部(B点)に頭部が衝突した際にも、自動車用フード1の中央部(A点)と同様にインナーパネル3が変形する。すなわち、従来の自動車用フード21のように、ビード端部の半カップ状の傾斜面25aによってインナーパネル3の変形が妨げられることがない(図11参照)。そして、自動車用フード1の周縁部(B点)における頭部衝突の際の加速度は、図7(a)、(b)の実線に示すような加速度推移をとる。図7(a)、(b)に示すように、自動車用フード1ではビード7の端部に切欠部8を有するため、従来の自動車用フード21に比べて、1次衝突の際のエネルギー吸収量はわずかに減少するが、変形荷重が小さいので、有効ストロークが増大して、2次衝突の際の加速度が大幅に減少する。このような加速度推移から、前記した数式(1)によって計算された歩行者保護性能の指標となるHIC値は、任意時間内の平均加速度が減少することにより、小さいものとなる。したがって、自動車用フード1は歩行者保護性能が向上することがわかる。
(剛性確保の機構)
図3、図4に示すように、自動車用フード1では、枠凹部4および凹状部6により形成された空間部10により、フードの断面部面積が確保されるため、フードとして必要とされる曲げ剛性、ねじり剛性が得られる。それと共に、ビード7の接合面5が接着部11を介してアウターパネル2に接合(接着)するため、フードとして必要とされる張り剛性、耐デント性が得られる。
次に、本発明に係る自動車用フードの各構成における変形例について説明する。
図2に示すように、自動車用フード1に歩行者が衝突した際、歩行者が子供であるか、大人であるかによって、その衝突領域が異なる。そして、車両進行方向に対して、自動車用フード1の前側は子供が衝突する子供衝突領域CAであり、自動車用フード1の後側は大人が衝突する大人衝突領域AAである。
本発明に係る自動車用フード1は、前側(子供衝突領域CA)と後側(大人衝突領域AA)とで、以下に示すような形状変更を行ってもよい。図8はインナーパネルのビードの端部を切断した状態での斜視図、図9はビードの変形例を示す端面図である。
インナーパネル3は、その板厚T(図8参照)を前側で薄く、後側で厚くするようにしても構わない。このように板厚Tの変更によって、頭部衝突の際、自動車用フード1の前側では、変形荷重が小さくなる。また、自動車用フード1の後側では、1次衝突でのエネルギー吸収量が十分確保される。
インナーパネル3は、ビード7の幅W、断面高さH3(図8参照)を前側で小さく、低く、後側で大きく、高くするようにしても構わない。このような幅W、高さH3の変更によって、頭部衝突の際、自動車用フード1の後側では、曲げ剛性が向上するので、1次衝突でのエネルギー吸収量が十分確保される。また、自動車用フード1の前側では、変形荷重が小さくなると共に、張り剛性が向上する。
インナーパネル3は、ビード7の断面R1、R2(図8参照)を前側で大きく、後側で小さくするようにしても構わない。このような断面R1、R2の変更によって、頭部衝突の際、自動車用フード1の前側では、変形荷重が小さくなる。また、自動車用フード1の後側では、曲げ剛性が向上するので、1次衝突でのエネルギー吸収量が十分確保される。
インナーパネル3は、ビード7の斜面角度α(図8参照)を前側で小さく、後側で大きくするようにしても構わない。このような斜面角度αの変更によって、頭部衝突の際、自動車用フード1の前側では、変形荷重が小さくなる。また、自動車用フード1の後側では、曲げ剛性が向上するので、1次衝突でのエネルギー吸収量が十分確保される。
インナーパネル3は、ビード7(接合面5)における接着部11のピッチMPを、張り剛性および耐デント性が要求される前側で小さくするようにしても構わない。
本発明に係る自動車用フード1は、インナーパネル3のビード7として、ビード傾斜面に平坦部13を形成したビード7A(図9(a)参照)、ビード傾斜面に棚部14または凹部15を形成したビード7B(図9(b)参照)を使用してもよい。平坦部13、棚部14または凹部15の形成によって、衝突の際のビード7A、7Bの変形が助長される。
自動車用フード1は、アウターパネル2の外形、デザインによる段差に合わせて、ビード7の幅W、断面高さH3を適宜変更、または、ビード7を分岐させてもよい(図示せず)。また、高速衝突の際に自動車用フード1が客室(車内)に突っ込まないように、インナーパネル3にクラッシュビード12(図2参照)を設けてもよい。さらに、フードサイレンサー、または、ウオシャーホース、クッションゴム等の取付を目的として、インナーパネル3に穴部(図示せず)を設けてもよい。
なお、前記では、ビード7がインナーパネル3の表面に縦方向(車両進行方向)にほぼ平行に延在した自動車用フード1(図2参照)を例にとって、各構成について説明したが、図9(c)に示すように、ビード7Cがインナーパネル3の表面に横方向(車両進行方向に直交する車幅方向)にほぼ平行に延在した自動車用フード1Aであっても、各構成は同じで、同様の作用効果を有する。
本発明に係る自動車用フードの構成を示す分解斜視図である。 本発明に係る自動車用フードの構成を示す斜視図である。 図2の自動車用フードの車両進行方向(X1−X1線)の端面図である。 図2の自動車用フードの車両進行方向に直交する車幅方向(X2−X2線)の端面図である、 (a)〜(c)は、本発明に係る自動車用フードのインナーパネルにおける切欠部を示す平面図である。 本発明に係る自動車用フードの2次衝突の際の変形状態を示す模式図である。 本発明に係る自動車用フードの周縁部(B点)における、(a)は頭部衝突の際の加速度とストロークとの関係を示す説明図、(b)は加速度と時間との関係を示す説明図である。 本発明に係る自動車用フードのインナーパネルにおけるビードの端部を切断した状態での拡大斜視図である。 本発明に係る自動車用フードの変形例を示し、(a)、(b)はインナーパネルにおけるビードの端部を切断した状態での端面図、(c)は自動車用フードの斜視図である。 従来の自動車用フードの構成を示す、(a)は斜視図、(b)は(a)の車両進行方向(X1−X1線)の端面図、(c)は(a)の車両進行方向に直交する車幅方向(X2−X2線)の端面図である。 従来の自動車用フードの2次衝突の際の変形状態を示す模式図である。 従来の自動車用フードにおける、(a)は頭部衝突の際の加速度とストロークとの関係を示す説明図、(b)は加速度と時間との関係を示す説明図である。
符号の説明
1、1A 自動車用フード
2 アウターパネル
2a アウター周縁部
3 インナーパネル
3a インナー周縁部
4 枠凹部
5 接合面
6 凹状部
7、7A、7B、7C ビード
8 切欠部
9 傾斜面
10 空間部

Claims (2)

  1. アウターパネルとインナーパネルとをそれぞれの周縁部で接合すると共に、両パネルが接合したときに両パネルの間に空間部を形成した断面構造を備える自動車用フードにおいて、
    前記インナーパネルは、前記アウターパネルのアウター周縁部と接合するインナー周縁部と、前記インナー周縁部に連続して形成され前記アウターパネルとの間に前記空間部を形成する枠凹部と、前記枠凹部よりパネル中央側となる位置で前記アウターパネルに接合する接合面を有する凸状の複数のビードと、隣り合う前記ビードの間に前記空間部を形成する凹状部とを備え、
    前記ビードは、その長手方向における両端部の少なくとも一方において、前記接合面から前記ビードの断面高さの傾斜面全体を経て前記凹状部の底面に至るまでの切欠深さに連続して変形荷重が減少するように切り欠いた切欠部を有することを特徴とする自動車用フード。
  2. 前記切欠部が、前記接合面の端部側から前記傾斜面を切欠角度θ=45〜180度で切り欠いたことを特徴とする請求項1に記載の自動車用フード。
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