JP2003054449A - 車体パネル - Google Patents
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Abstract
て、自動車フード全体などの剛性を阻害することなし
に、歩行者頭部衝突時の衝突安全性を確保した、インナ
パネルに適した車体パネルを提供する。 【解決手段】 表面に複数の突起2aを設けた車体パネル
において、前記突起面10a に、突起2aへの荷重に対して
突起面10a が局部的に変形するための形状不整部(凹部8
a) 例えば通常は滑らかである突起面に設けた、凹部、
段差、切り欠き、スリット、板厚の減少部などの非定常
な部分形状を予め設けた。
Description
などのインナパネルに適した、車体パネルに関するもの
である。
車体パネルには、アウタパネル (外装パネル、外板) と
インナパネル (内装パネル、内板) とが、空間を介した
閉断面構造をとって組み合わされた複合パネルが汎用さ
れる。
は、従来から使用されていた鋼板に代わって、軽量化の
ために、AA乃至JIS 規格による 2000 系、3000系、5000
系、6000系、7000系等の高強度で高成形性のアルミニウ
ム合金板が使用され始めている。
しては、従来から、鋼板製としてもよく知られている、
部分的にパネルをトリミング(除去)して軽量化し、複
数本のビームから構成されるビーム型パネルがある。
材料製のインナパネルとしては、USP 5,244,745 号、US
P 6,012,764 号、USP 5,124,191 号や、特開2000-16862
2 号などの公報に開示された、突起を表面に複数 (多
数) 設けたコーン型パネルが知られている。このコーン
型パネル材は、図11、12に自動車のフード用のインナパ
ネルの場合を示し、図13に突起の斜視図を示す通り、円
錐台形状(断面が台形形状) のコーンと称される、比較
的大きな突起(凸部、ディンプル)2g を、多数、パネル
表面に設けている。この突起2gは、個々に独立した突起
であり、突起同士の間は平板部乃至凹部3 となってい
る。
自動車のフードなどでは、コーン型インナパネル1 は、
フードデザインに応じた一定の曲率を有するアウタパネ
ル5と接合され、複合パネルとして一体化されている。
なお、この図12の例では、突起2 の平坦な頂部6 上には
樹脂層7 が配置され、この樹脂層7 を介して、インナパ
ネル1 の突起2 とアウタパネル5 の裏面5aとが互いに接
合されている。そして、図示はしないが、通常は、アウ
タパネル5 周縁部のヘム(曲げ)加工による嵌合によっ
ても、複合パネルとして一体化されている。
量化した上での高剛性化が求められ、部材特性として曲
げ剛性や捩じり剛性あるいは張り剛性(耐デント性)の
高いことが求められている。
は、ビーム型パネルに比較して、高い1.2 倍程度の捩り
剛性を有している。したがって、ビーム型パネルや平板
状のパネルと比較しても、板厚を大きくすることなく、
あるいは板厚を薄くしても、自動車フードなどの複合パ
ネルの剛性が向上でき、軽量化効果が高い。
これらの性能に加えて、歩行者などの衝突安全性の確保
が、新たに求められるようになっている。より具体的に
は、自動車フードには、歩行者の頭部衝突時の安全性と
して、HIC 値 (Head InjuryCriteria、頭部障害値) が
低いことが求められている。
動車フードへの衝突時には、アウタパネルとインナパネ
ル (複合パネル) が変形し、内部のエンジンルーム内蔵
物(剛体) と二次衝突して、大きな反力となり、二次的
ではあるが頭部に大きな衝撃を与えることが問題とな
る。そして、この反力は、前記HIC 値を著しく高めてし
まう。
速度と時間との関係 (実線の曲線)を示す通り、加速度
の第1 波のピークは、歩行者頭部の自動車フードへの衝
突(自動車フードの変形) である。図14から分かる通
り、加速度のピークには、前記第1 波のピークP1に続
く、第2 波のピークP2がある。これが、前記した、自動
車フードパネルが内部のエンジンルーム内蔵物 (剛体)
との二次衝突により発生する反力である。ここで、HIC
値とは、図14の加速度と時間との曲線の積分値であり、
HIC 値を低くするためには、前記加速度の第1 波および
第2 波のピークを下げる必要がある。
とは難しい。この理由は、加速度の第1 波のピークが、
自動車フードパネルの変形特性 (剛性) に依存するため
である。第1 波のピークを下げるためには、自動車フー
ドパネルの剛性を小さくするよう、フードパネルの構造
や使用材料特性 (耐力等) を変更することが考えられ
る。しかし、自動車フードパネルには、前記した通り、
基本要求特性として、薄板化、軽量化した上での高剛性
化が求められており、フードパネル全体としての剛性を
小さくすることはできない。また、例えこの全体剛性を
小さくしても、パネルの変形ストロークの増加に伴い、
却って前記加速度の第2 波のピークが大きくなり、HIC
値自体を低くできない。
するためには、前記加速度の第1 波のピークではなく、
前記加速度の第2 波のピークの方を下げる必要がある。
に大きな問題となるのが、自動車フードパネルと内部の
エンジンルーム内蔵物との間隔 (クリアランス) であ
る。加速度の第2 波のピークは、図11に示す一点鎖線内
のパネル領域B のような、自動車フードパネル (インナ
パネル1)と内部のエンジンルーム内蔵物4 との間隔S が
比較的小さい領域で大きくなる。
の衝突時の運動エネルギーを吸収できずに、フードパネ
ルが変形して、エンジンルーム内蔵物と二次衝突するた
め、頭部への反力が大きくなる。そして、この場合、前
記加速度の第2 波のピークP2は、前記図14に示したよう
に、加速度の第1 波のピークP1に比して、著しく大きく
なる。
部のエンジンルーム内蔵物4 が真下に無いなど、この間
隔S が大きいパネル領域などでは、歩行者頭部の衝突時
に、フードパネルが大きく変形しても、内部のエンジン
ルーム内蔵物4 (剛体) と衝突しないため、前記加速度
の第2 波のピークは発生せず、HIC 値は元々低い。
気量の増加に伴うエンジンの大型化や、多機能化による
搭載部品の増加などにより、設計上、前記図11のパネル
の領域B のように、前記間隔S を大きくできない部位が
必然的に生じる。したがって、このようなパネル部位で
も、歩行者の頭部衝突時の前記加速度のピークを低減で
きる、フードパネル構造が求められている。
やコーン型のインナパネルは、元々複合パネルの剛性を
向上させる目的で設けられている。このため、前記図11
のフードパネルのエリアB のように、特に前記フードと
エンジンルーム内蔵物との間隔が小さい場合に、フード
パネルが内部のエンジンルーム内蔵物と衝突した場合に
は、その反力が著しく大きくなる。即ち、前記ビーム型
やコーン型のインナパネルでは、前記フードとエンジン
ルーム内蔵物との間隔が小さいパネル部位においては、
頭部衝突時の加速度第2 波のピークを低減できず、HIC
値を低くできない。
ネルと同様、フードパネルの補強のために、衝撃吸収体
などをアウタとインナパネルとの間に設けることも公知
である。例えば、特開平8-80873 号公報には、フードパ
ネル段差部の補強のために、ハット形や矩形の断面形状
を有する衝撃吸収体を、前記段差部のアウタとインナパ
ネルとの間のみに設けることが開示されている。この衝
撃吸収体はインナパネルに支持され、前記段差部 (アウ
タ) を裏面から支え、段差部の荷重変形時に潰れ変形し
て所定の反力を生じ、段差部の車内方向への変形量 (移
動量) を規制している。しかし、これらの衝撃吸収体で
も、特に前記フードとエンジンルーム内蔵物との間隔が
小さい場合に、フードパネルが内部のエンジンルーム内
蔵物と衝突した場合には、その反力が著しく大きくな
る。したがって、前記間隔が小さいパネル部位において
は、頭部衝突時の加速度第2 波のピークを低減できず、
HIC値を低くできない。
の突起を設けた車体パネルにおいて、フード全体などの
剛性を阻害することなく、歩行者の頭部衝突時の安全性
を確保した、車体パネルを提供しようとするものであ
る。
に、本発明請求項1 の要旨は、表面に複数の突起を設け
た車体パネルにおいて、前記突起面に、突起への荷重に
対して突起面が局部的に変形するための形状不整部を予
め設けたことである。
の通り、通常は滑らかである突起面に設けた、凹部、段
差、切り欠き、スリット、板厚の減少部などの、非定常
な部分形状を意味する。この非定常な部分形状は、上記
した通り、突起への荷重に対して突起面からの局部的な
変形を誘起させるためのものである。したがって、突起
面での、形状不整部の形状と形状不整部を設ける突起面
の位置は、この作用効果を達成する形状や位置であれ
ば、種々の形状や位置が範囲に含まれる。なお、前記突
起が円錐台形状あるいはカップ形状などをし、斜辺乃至
斜面あるいは略直角の縦壁乃至側壁を有している場合に
は、この斜辺乃至斜面あるいは縦壁面乃至側壁面などを
突起面と言う。
では、車体パネルに、歩行者の頭部が衝突し、車体パネ
ルと車体内の内容物 (剛体) とが二次衝突しても、車体
パネルの突起の変形 (圧壊) を、より低い荷重で、突起
面(特に突起面上部)に集中させることができる。そし
て、この突起の局部変形によって、前記二次衝突時の歩
行者頭部への反力を低減することができる。しかも、車
体パネル全体の剛性は元々の突起の形状条件 (大きさ、
高さ) で決まるため、前記形状不整部を設けて突起の局
部的な強度を低下させたとしても、車体パネル全体の剛
性を低下させることはない。
B のような車体パネルと内部の内蔵物との間隔が小さい
パネル部位で、変形した車体パネルと内蔵物とが二次衝
突しても、上記突起構造による圧壊荷重の低減変形機構
(局部変形機構)によって、その反力を小さくすること
ができる。この結果、前記加速度の第2 波のピークを小
さくでき、HIC 値を低くできる。
形状乃至構造は、その設け方によって、車体パネルの突
起の局部的な変形による荷重の低減量を自由に調節でき
る。このため、車体パネルの前記間隔などの条件に応じ
て、パネルの成形性などの他の要求特性も低下させず
に、HIC 値を低減するパネルの設計や構造が簡便に出来
る。
ルへの成形性が劣らない、突起構造を自由に選択でき
る。このため、従来のコーン型突起と同様に、プレス成
形などによって、簡便に成形することができる。
に記載のように、突起面上部 (突起が前記斜辺を有して
いる場合には斜辺上部) に予め設けた凹部とし、突起へ
の荷重時に、この凹部から突起の局部的な変形が開始さ
れる形状とする。この凹部は、請求項3 に記載のよう
に、凹部の最深部を凹部下方側の縁部 (凹み縁) よりも
低い位置にあるようにすることで、前記突起の局部的な
変形傾向をより顕著にすることができる。
よりも突起面下方側 (突起が前記斜辺を有している場合
には斜辺下方側) に、突起の外方に張り出す凸部を予め
設けことにより、車体内の剛体と変形した車体パネルが
衝突しても、その反力を更に小さくすることができる。
項5 に記載のように、突起面上部に予め設けた段差部、
請求項6 に記載のように、突起面上部に予め設けた切り
欠き部またはスリット部、または、請求項7 に記載のよ
うに、突起面上部の板厚を予め部分的に減少させたもの
なども、突起の変形を突起面の局部に集中させるこがで
きるので、前記凹部と同様の効果が得られる。
ような、円錐台形状 (前記コーン型形状、あるいは頭を
切り取った円錐形状) のものが、パネル全体の剛性向上
効果が優れている点で好適である。
うに、好ましくはアルミニウム合金製とする。アルミニ
ウム合金は、軽量で剛性や成形性にも優れるため、車体
パネルのより一層の高剛性化と薄肉化、軽量化が可能と
なる。
効果を有するため、自動車のフード以外にも、ドア、ル
ーフなどのパネル (アウタパネルやインナパネルを含
め) として、車体パネル全般に用いることが出来る。た
だ、請求項10、11に記載のように、インナパネル、それ
も歩行者保護が特に要求される、自動車フード用インナ
パネル、に用いて好適である。
て、図を用いて詳述する。
る突起形状は、パネル全体の剛性向上効果が優れ、歩行
者保護が特に要求されている、前記コーン型 (円錐台形
状)の突起形状を対象とする。コーン型突起は、略平ら
な突起頂部に対する斜辺 (斜面) を有し、基本的に個々
に独立 (孤立) した略同一乃至類似形状の突起群からな
る。但し、突起同士が部分的に連なった突起群や突起の
高さや径などの大きさや形状が部位により異なる突起
群、これらを組み合わせた突起群なども含みうる。ま
た、コーン型の突起以外にも、前記斜辺を有する形状で
あればエンボス形状などの適宜の突起形状に適用可能で
ある。そして、突起を構成する斜辺形状も、傾斜角度
や、直線状、下方に凹むシグモード曲線状、上方に膨ら
む凸状曲線、これらの組み合わせがなどの斜面形状が適
宜選択される。更に、突起が略直角の縦壁乃至側壁など
を有している場合も適宜選択される。なお、突起の凸部
同士が全面的に連なり、互いに独立性を失ったような畝
状あるいばビード状などの凸部 (凹凸) は本発明突起の
範囲に含まない。
間隔等) については、通常の表面に複数の突起を設けた
従来の車体パネル (前記図11、12により説明したコーン
型インナパネルなど) と基本的に同じである。即ち、複
数の突起とは 2個以上の突起を意味し、突起の配置や数
などの条件は、パネル車体用途からくる要求剛性などか
ら適宜選択される。
起は、車体パネル表面の突起全てとする必要はなく、複
数の突起の中から部分的に適宜選択される。歩行者の衝
突安全性で特に問題となるのは、内蔵物と車体パネルと
の間隔が比較的小さい車体パネル部分であり、この車体
パネル部分に対応する突起にのみ形状不整部を部分的に
設けることが好ましい。前記内蔵物と車体パネルとの間
隔が比較的小さい車体パネル部分は、車種によっても異
なるが、例えば、前記した図11では、中央の一点鎖線で
囲んだB の部分である。このような場合には、本発明に
係る形状不整部を設ける突起を、前記車体パネル中央の
一点鎖線で囲んだB の範囲内にある突起のみとし、他の
部分の突起は、従来の突起形状とする。勿論、この場合
でも、成形条件やその他の都合から、車体パネル表面の
突起全てに形状不整部を設けても良い。
分的とすれば、車体パネル必要部位あるいは必要位置の
突起を改良すれば事足りるため、車体パネル全体の剛性
や成形性などの他の特性を低下させずに、本来の補強材
として必要な剛性量を確保した上で、歩行者の頭部保護
が図れる優れた効果も有する。
ネルとして用いる場合の他の車体部材やパネルとの接合
方法、および、フード、ドア、トランクなどのインナパ
ネルとして用いる場合のアウタパネルとの接合方法等な
ども公知の自動車車体パネル接合方法に従う。
不整部を中心に以下に説明する。なお、以下の説明は、
主として、フード用のインナパネルとして用いる場合を
想定し、かつ前記コーン型 (円錐台形状) の突起形状を
例にして行う。但し、突起形状が前記した本発明範囲内
の種々の態様に変わっても、以下に説明する作用効果は
基本的に同じである。
(a)、図6(a)は、突起群のうちから選択された本発明に
係るコーン型の突起の全体形状を各々示す斜視図であ
る。これらの図は、突起への荷重時に、突起面 (以下斜
辺乃至斜面と言う) から局部的な変形が開始される形状
の態様を各々示している。図1(b)〜図6 (b) は、前記図
1(a)〜図6 (a) の各々縦断面を示す。なお、図1(b)〜図
6 (b) は突起の中心線を挟んで左右対象な断面形状の右
半分のみを示している (後述する図13(b) も同様であ
る) 。また、図4(c)、図5(c)は、各々前記図4(a)、図5
(a)の平面図を示す。
起の基本形状自体は、図13の従来のコーン型の突起の形
状と同じである。即ち、突起は平坦な頂部6(a)〜6(f)と
斜辺10(a) 〜10(f) からなる円錐台形状をしており、パ
ネルの平坦部3 に対する凸部を形成している。
て、請求項2 に記載のように、突起斜辺 (斜面)10aの上
部に凹部8aを設けている。図1 の例では、突起への荷重
に対して応力が集中する、突起斜辺 (斜面)10aの上部
(突起斜面の中央の高さ部より上の部分) でかつ突起2a
の周方向の全周に渡って、連続的に、突起下方に凹む凹
部8aを設けている。この凹部8aの最深部11は、請求項3
に記載のように、凹部8aよりも突起斜面の下方側にある
凹み縁12よりもW だけ低い位置にある。
ように、前記突起2aよりも突起斜辺の下方側 (突起斜辺
の中央の高さ部より下の部分) で、かつ突起2aの周方向
の全周に渡って連続的に、更に、突起の外方に張り出す
凸部9aを設けている。
突起2aよりも斜辺下部に設けた凸部9aが無いことのみが
相違する他は、図1 の突起2aの凹部8aと同じ、凹部8bを
設けている。
て、突起への荷重に対し応力が集中する、突起斜辺 (斜
面)10cの上部でかつ突起2aの周方向の全周に渡って、連
続的に、突起下方に凹む凹部14を設けている。なお、こ
の突起下方に凹む凹部14は、前記図1 の凹部8aとは違
い、凹部14の最深部は、凹部14よりも突起斜辺下方側の
凹み縁12と同じか、より高い位置にある。その意味で、
この図3 の突起2cの凹部14は、請求項5 で言う、突起の
斜辺上部の周方向に予め設けた段差部とも言える。
て、請求項6 に記載のように、突起斜辺10d にスリット
(孔) 乃至切れ目部15a を設けている。図4 の例では、
突起への荷重に対し応力が集中する、突起斜辺10d の上
部でかつ突起2aの周方向の全周に渡って、間欠的に、斜
辺方向にスリット (孔) 乃至切れ目部15a を複数設けて
いる。
て、請求項6 に記載のように、突起斜辺10e に切り欠き
部 (材料のトリム部、空間部)16aを設けている。図5 の
例では、突起への荷重に対し応力が集中する、突起斜辺
10e の上部でかつ突起2eの周方向の全周に渡って間欠的
に、斜辺方向に切り欠き部 (材料のトリム部、空間部)1
6aを複数設けている。
のように、突起斜辺10f の上部の板厚を予め部分的に減
少させている。図6 の例では、突起への荷重に対し応力
が集中する、突起斜辺10f の上部でかつ突起2fの周方向
の全周に渡る17の部分を、板厚を予め部分的に減少させ
ている。板厚を減少させる部分は、斜辺の内側、外側あ
るいはこの両方側のいずれでも良い。
を想定した、突起変形機構を以下に説明する。前記した
通り、車体パネルに歩行者の頭部が衝突した場合、車体
パネルが車体内の方向に曲げ変形し、これによって、車
体パネルと車体内の内蔵物とが二次衝突する。
辺部分の局部的な変形から生じるように、本発明では、
前記荷重に対する応力が集中する突起斜辺に形状不整部
を設けている。この結果、二次衝突時に、突起の斜辺上
部の部分に応力が集中した際、車体パネルの (突起の)
変形を突起斜辺上部部分の局部的な変形に集中できる。
このため、車体パネルと内部の内蔵物との間隔が小さい
パネル部位で、変形した車体パネルと内蔵物とが衝突し
ても、上記突起構造による変形機構によって、その変形
荷重 (反力) を小さくすることができる。この結果、前
記加速度の第2ピークを小さくでき、HIC 値を低くでき
る。
の解析結果を以下に説明する。図7、8 、9 は前記二次
衝突時を想定したパネル突起の変形機構のFEM 解析結果
を示す説明図である。図7 、8 は、本発明突起の代表例
であり、図7 は図1 のコーン型突起2a、図8 は図2 のコ
ーン型突起2bの変形機構を各々に示す。また、図9 は図
13の従来のコーン型突起2gの変形機構を示す。
はパネルの斜め上方から衝突する。FEM 解析結果の条件
は後述する実施例と同じとした。また、FEM 解析条件
は、下に剛体を設けた突起の頂部に上方から球状の打撃
子が衝突することを想定して行った。なお、前記二次衝
突時には、前記した通り、突起を設けた車体パネルの、
突起の下部乃至平坦部と車体内の剛体とが衝突するた
め、上記解析条件の打撃子の衝突箇所とは異なる。しか
し、このように衝突箇所が違っても、突起への荷重は、
突起上方からと下方からの両面からの荷重であることに
変わりはない。このため、前記上記突起の斜辺への荷重
集中は共通して生じ、突起の変形機構も同様となる。こ
のため、前記解析二次衝突の条件では、解析がしやす
い、突起の頂部とした。
2gは、二次衝突想定時、打撃子が突起2gの頂部6gに、斜
め上方から頂部6gの肩R に衝突した時、まず、図9(a)に
示すように、打撃子と頂部6gとは1-a で示す範囲で接触
し、次いで、図9(b)に示すように、頂部6gが凹形状に変
形 (座屈) する。なお、以下に示す変形の機構は、打撃
子が突起2gの頂部6gに、斜め上方から衝突した場合でも
同様である。
示すように、打撃子と頂部6gとの接触範囲は、図9(b)の
1-b から1-c に移動し (ズレ) ながら、主として、突起
2gの頂部6gの凹形状の変形が進行する。そして、この頂
部6gの凹形状の変形は、図9(b)〜(d) に示すように、フ
ランジ (平坦) 部3 も徐々に立ち上がって荷重が伝播さ
れているように、変形箇所の移動という、曲げや曲げ伸
ばしなどが連続する、突起2gの全体的な曲げ変形を伴
う。
体的な曲げ変形では、車体内蔵物と曲げ変形した車体パ
ネルが衝突 (底打ち) した場合を想定すると、前記図1
4、15で示した加速度の第2 ピーク (頭部への反力) が
大きく上昇してしまう。
突起2a、2bでは、二次衝突想定時、打撃子が突起2a、2b
の頂部6a、6bに、斜め上方から頂部6a、6bの肩R に衝突
した場合 (車体パネルの突起の下部乃至平坦部と車体内
の剛体とが衝突した場合でも) 、図7(a)、図8(a)に示す
ように、頂部6a、6bではなく、衝突時に応力が集中する
突起斜辺上部の凹部8a、8bの部分から局部的に変形 (座
屈) が開始される。そして、図7(b)〜(c) 、図8(b)〜
(c) に示すように、凹部8a、8bの部分の変形に追従する
形で、頂部6a、6bが沈み込むように変形する。
坦) 部3 が立ち上がるような変形は生じておらず、本発
明の図1 、図2 のコーン型突起2a、2b (パネル) の変形
は、従来の突起のような全体的な曲げ変形ではなく、あ
くまで、凹部8a、凹部8bの部分的、局部的な変形を中心
に進行する。このため、車体内蔵物と曲げ変形した車体
パネルが衝突 (底打ち) した場合を想定しても、突起2
a、2b( パネル) の変形の進行によっても、前記図14、1
5で示した加速度の第2 ピークのようには、荷重(頭部へ
の反力) は大きくならない。
変形による荷重の低減効果を有するためには、凹部8a、
8bの最深部11は突起斜辺下方側のへ凹み縁12よりもW だ
け低い位置にあることが好ましい。これは、前記図3 の
凹部や段差を設けた場合も同様である。このW は、凹部
8a、8bの最深部が突起斜辺下方側のへ凹み縁12よりも低
い方が、この効果が高くなる。また、このW の大きさの
調整によって、凹部8a、8bの局部的な変形荷重量を制御
できる。このW の大きさは、前記した通り、要求される
衝突安全性の観点よりの、突起の局部的な変形による荷
重の低減必要量と、本来の補強材として必要剛性量とを
両方満足する、両者の兼ね合いから決定される。
局部的な変形荷重低減効果さえ満足すれば、成形し易
い、サイン曲線形状、半円形形状、四角形状等が適宜選
択される。また、突起周方向での設け方も、周方向の全
周に渡って連続的に設ける、周方向に渡って部分的に設
ける、周方向に渡って1 列乃至2 列以上設ける、非対象
に設けることが適宜選択される。
斜辺下方側のへ凹み縁12と同じ高さか、突起斜辺下方側
のへ凹み縁12と同じか高い、前記図3 の凹部や段差を設
けた場合、凹部8a、8bほどの突起の局部的な変形による
荷重の低減効果は得られないものの、図9 などの、従来
の突起に対しては、突起の局部的な変形による荷重の低
減効果が大きく得られる。
目部15a や、図5 の切り欠き部16a、図6 の板厚減少部1
7でも同様である。したがい、これらの手段も、図3 の
凹部や段差と同様に、その大きさや形状は、前記局部的
な変形荷重低減効果さえ満足すれば、成形し易い形状や
板厚が適宜選択される。例えば、図4 のスリット15a
や、図5 の切り欠き部16a も、丸孔、長丸孔、楕円孔、
三角孔、四角孔などの種々の形状から、成形し易い形状
が適宜選択される。また、突起の周方向での設け方も、
周方向の全周に渡って連続的に設ける、周方向に渡って
部分的に設ける、周方向に渡って1 列乃至2 列以上設け
る、非対象に設ける、ことなどが適宜選択される。
の形状不整部が、突起の変形乃至座屈の起点となる役割
を果たし、突起の前記局部的な変形による荷重の低減効
果を発揮するのは、車体パネルと車体内の剛体とが二次
衝突してパネルに衝突荷重がかかった際、上記形状不整
部に応力が集中するからである。一方で、この衝突荷重
の応力集中は、突起の斜辺上部の部分に集中しやすい。
起斜辺位置は、パネルに衝突荷重がかかった際の応力が
集中する、突起斜辺の中央の高さ部より上の部分であ
る、突起斜辺の上部とするのが好ましい。ただ、突起へ
の荷重に対して突起斜辺からの局部的な変形を誘起させ
られるものであれば、必ずしも、突起斜辺の上部に設け
る必要はなく、突起斜辺の下部であっても良い。
部の凸部9aは、突起2aの斜辺10の変形の際の節 (ヒン
ジ) となって、突起2aの変形が進行しても、突起2aの斜
辺10が外方に張り出しながら凸状に変形する役割を果た
す。この凸状の変形は、突起2aの変形が進行しても、突
起が車体内蔵物と衝突 (底付き) して反力が増大するま
でのストロークを大きくする役割を果たす。したがっ
て、突起2aがエンジンルーム内蔵物と衝突した際の、前
記図14、15で示した加速度の第2 ピークを急激に上昇さ
せることがない。
の節となるような変曲点でさえあれば、設ける凸部9aの
突起外側へ膨らむ大きさや形状は自由である。即ち、前
記効果さえ満足すれば、成形し易い、突起形状、半円形
形状、角ばった膨らみ形状等が適宜選択される。また、
円錐台周方向での設け方も、周方向の全周に渡って連続
的に設ける、周方向に渡って部分的に設ける、周方向に
渡って1 列乃至2 列以上設けることが適宜選択される。
起2bでは、突起2aの変形が進行した場合、頂部6 の下方
への変形だけでなく、突起2aの斜辺10が下方に下がりな
がら、凹状に変形するため、前記図9(b)〜(d) に示し
た、突起変形箇所の移動という、曲げ- 曲げや伸ばし-
曲げなどが連続する、突起 (パネル) の全体的な曲げ変
形を伴う可能性がある。このため、図1 の態様における
突起2aに比して、パネルが内蔵物と衝突した場合、前記
加速度の第2 ピークが上昇する可能性がある。
ような、エンジンカバーとフードパネルとの間隔 (隙
間) が比較的小さい、フード中央の一点鎖線で囲んだB
の部分においても、歩行者の頭部が衝突しても、図15の
点線で示すように、頭部への反力を大幅に低減すること
が可能となる。
ネルの二次衝突時に、突起の斜辺に応力が集中した際、
車体パネルの (突起の) 変形を突起斜辺の局部的な変形
に集中させる、突起の局部的な変形による変形荷重の制
御であって、単純に、突起全体の変形 (圧壊) 荷重を低
減する (弱くする) ものではない。このため、パネル本
来の補強材として必要な剛性量を確保した上で、歩行者
頭部保護が図れる優れた効果を有する。
ニウム合金以外に、パネル用途によっては、鋼板、樹脂
板を使用しても良い。本発明車体パネルの突起形状は、
材料の違いに関わり無く、また、適用材料に応じて効果
を発揮する。このため、アウタパネルを鋼板やアルミニ
ウム合金板とし、インナパネルを本発明突起を有するア
ルミニウム合金板とするような、アウタとインナで材料
を変える態様でも良い。但し、軽量化と高剛性化の特性
と歩行者保護が特に要求される、フードなどの車体パネ
ルには、アルミニウム合金板が特に好ましい。
1.0mm 以下の薄板用パネル材としては、成形時の低耐力
と人工時効処理後の高耐力化が図れる、AA乃至JIS 規格
を満足する、Al-Mg-Si系(6000 系) アルミニウム合金板
が特に好ましい。6000系アルミニウム合金とすれば、突
起形状やパネル形状形成のプレス成形時には低耐力で成
形性を確保するとともに、成形後の塗装焼き付け処理
(人工時効処理) において、高耐力化して要求強度を満
たせることができる。また、他の5000系や7000系などの
アルミニウム合金に比して、合金元素量が少ないので、
スクラップを元の6000系アルミニウム合金の溶解原料と
して再利用できるなどのリサイクル性にも優れている。
但し、勿論、必要により乃至パネル要求特性を満足する
ものであれば、前記6000系規格外、あるいは3000系、50
00系、7000系等の規格内外のアルミニウム合金板を使用
しても良い。
従来の図13のコーン型突起2gの荷重- 変位曲線の解析結
果を図10に示す。なお、解析はFEM 解析を用い、突起頂
部の斜め上方より打撃子で荷重される場合を想定して、
円錐台形状の突起の1/4 軸対象でモデル化した。また、
適宜のストローク毎のパネル突起の変形機構 (変形状
態) のFEM 解析結果も図10に合わせて示す。
台底辺の直径l2:140mmΦ、上辺 (頂部) の直径l1:20mm
Φ、高さh:30mmとした。図1 の本発明コーン型突起2aの
凹部8aの最深部11は、突起斜辺下方側のへ凹み縁12より
も1.5mm(W)だけ低い位置とし、最深部11の曲率半径を10
mmとする逆サイン形状の凹部とした。
は、突起中心より径方向に60mm離れた斜辺下方部分の高
さが12mmとなるように、突起円錐台の仮想される直線状
斜辺10(突起斜辺下方側のへ凹み縁12から突起縁部13ま
でを結ぶ) より、外方に張り出す凸部形状とした。な
お、図8 の従来のコーン型突起2gの下部は、凸部形状と
せず、本来の突起円錐台の仮想される直線状斜辺10に沿
った形状とした。
8mmtの板厚の、JIS 乃至AA規格に規定される6000系の内
の6016アルミニウム合金板とし、かつ塗装焼き付け処理
を想定して、溶体化および焼き入れ処理後に人工時効処
理されたものとして、引っ張り強度287MPa、耐力200MP
a、伸び26.3% の機械的性質とした。
2gの荷重- 変位曲線は、突起2gの変形の進行 (ストロー
ク) によって、衝突 (荷重) 初期から、荷重 (頭部への
反力) が大きく上昇している。この点は、5mm 、10mm、
15mmにおける各ストローク毎のパネル突起の変形状態か
ら分かる通り、パネル突起の変形が移動する、前記した
突起の全体的な曲げ変形となっていることから裏付けら
れる。
は、5mm 、10mm、15mmにおける各ストローク毎のパネル
突起の変形状態から分かる通り、前記凹部8aの部分的、
局部的な変形を中心に進行するため、衝突 (荷重) 初期
から、また、更に、突起2aの変形の進行によっても、荷
重 (頭部への反力) は大きくならない。したがって、本
発明突起の荷重 (頭部への反力) 低減効果が証明されて
いる。
けた車体パネルについて、剛性などの補強効果を阻害す
ることなく、車体パネルと前記内蔵物などとの間隔が小
さい場合でも、また、車体パネルと内蔵物とが衝突する
場合であっても、HIC 値を低減して、頭部衝突時の歩行
者の安全性を確保した、自動車フードなどに適した車体
パネルを提供することができる。このため、自動車など
の車体の安全性を、コストを増加させずに一段と向上さ
せることができ、工業的な価値が大きい。
し、(a) は斜視図、(b) は(a)の断面図である。
示し、(a) は斜視図、(b) は(a) の断面図である。
示し、(a) は斜視図、(b) は(a) の断面図である。
示し、(a) は斜視図、(b) は(a) の断面図、(c) は(a)
の平面図である。
示し、(a) は斜視図、(b) は(a) の断面図、(c) は(a)
の平面図である。
示し、(a) は斜視図、(b) は(a) の断面図である。
である。
である。
である。
明図である。
面図である。
(a) は斜視図、(b) は(a) の断面図である。
を示す説明図である。
を示す説明図である。
タパネル、6:突起頂部、7:樹脂層、8:突起凹部、9:突起
凸部、10: 突起斜辺、11: 突起凹部最深部、12: 突起斜
辺下方側のへ凹み縁、14: 凹部、15: スリット、16: ト
リム部、17: 板厚減少部
Claims (11)
- 【請求項1】 表面に複数の突起を設けた車体パネルに
おいて、前記突起面に、突起への荷重に対して突起面が
局部的に変形するための形状不整部を予め設けたことを
特徴とする車体パネル。 - 【請求項2】 前記形状不整部が突起面上部に予め設け
た凹部である請求項1に記載の車体パネル。 - 【請求項3】 前記凹部の最深部が凹部下方側の縁部よ
りも低い位置にある請求項2に記載の車体パネル。 - 【請求項4】 前記凹部よりも突起面下方側に突起の外
方に張り出す凸部を予め設けた請求項2または3に記載
の車体パネル。 - 【請求項5】 前記形状不整部が突起面上部に予め設け
た段差部である請求項1に記載の車体パネル。 - 【請求項6】 前記形状不整部が突起面上部に予め設け
た切り欠き部またはスリット部である請求項1項に記載
の車体パネル。 - 【請求項7】 前記形状不整部が突起面上部の板厚を予
め部分的に減少させたものである請求項1に記載の車体
パネル。 - 【請求項8】 前記突起が円錐台形状である請求項1乃
至7のいずれか1項に記載の車体パネル。 - 【請求項9】 前記車体パネルがアルミニウム合金製で
ある請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車体パネ
ル。 - 【請求項10】 前記車体パネルがインナパネルである
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車体パネル。 - 【請求項11】 前記車体パネルがフード用インナパネ
ルである請求項1乃至10のいずれか1項に記載の車体
パネル。
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