JP4328054B2 - 車体パネル - Google Patents

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JP4328054B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に自動車フードに適し、歩行者の頭部衝突時の安全性に優れた車体パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車のフード、ドアなどの車体パネルには、アウタパネル (外装パネル、外板) とインナパネル (内装パネル、内板) とが、空間を介した閉断面構造をとって組み合わされた複合パネルが汎用される。
【0003】
これら複合パネルの、特にインナパネルには、従来から使用されていた鋼板に代わって、軽量化のために、AA乃至JIS 規格による 2000 系、3000系、5000系、6000系、7000系等の高強度で高成形性のアルミニウム合金板が使用され始めている。
【0004】
このアルミニウム合金製のインナパネルとしては、従来から、鋼板製としてもよく知られている、部分的にパネルをトリミング(除去)して軽量化し、複数本のビームから構成されるビーム型パネルがある。
【0005】
これに対し、アルミニウム合金などの軽量材料製インナパネルとしては、USP 5,244,745 号、USP 6,012,764 号、USP 5,124,191 号や、特開2000-168622 号などの公報に開示された、凸部を表面に複数 (多数) 設けたコーン型と称されるパネルが知られている。図9 に自動車のフード用のインナパネルの場合を示し、図11に前記凸部の斜視図を示す通り、このコーン型パネル材は、円錐台形状(断面が台形形状) のコーンと称される、アウタパネル側に頂部が向かう、比較的大きな凸部(突起、ディンプル)2を、多数、パネル表面に設けている。この凸部2 は、個々に独立した凸部であり、互いの凸部同士の間 (間隔部)2c は平板乃至凹部となっている。
【0006】
図9 のA-A 断面である図10に示すように、自動車のフードなどでは、コーン型インナパネル1 は、フードデザインに応じた一定の曲率を有するアウタパネル3 と接合され、複合パネル (フード)4として一体化されている。なお、この図10の例では、アウタパネル3 側に向かう凸部2 の平坦な頂部2a上には、樹脂層9 が配置されている。そして、この樹脂層9 を介して、インナパネル1 の凸部2 とアウタパネル3 の裏面3aとが互いに接合されている。そして、後述する通り、アウタパネル3 周縁部のヘム(曲げ)加工による嵌合によっても、複合パネルとして一体化されている。
【0007】
前記フードなどの自動車の複合パネルには、薄板化、軽量化した上での高剛性化が求められており、曲げ剛性や捩じり剛性あるいは張り剛性(耐デント性)の高いことが求められている。
【0008】
これに対し、特に、前記コーン型パネルは、ビーム型パネルに比較して、高い1.2 倍程度の捩り剛性を有している。したがって、ビーム型パネルや平板状のパネルと比較しても、板厚を大きくすることなく、あるいは板厚を薄くしても、自動車フードなどの複合パネルの剛性が向上でき、軽量化効果が高い。
【0009】
ただ、近年、自動車の複合パネルには、これらの性能に加えて、歩行者などの衝突安全性の確保が、新たに求められるようになっている。この内、特に自動車フードでは、大人や子供の歩行者などの頭部が衝突した際の安全性の確保が求められるようになっている。より具体的には、自動車フードには、前記歩行者の頭部衝突時の安全性の基準として、国際的に、HIC 値 (Head Injury Criteria、頭部障害値) が、例えば1000以下と、低いことが求められている。
【0010】
この衝突安全性について、歩行者頭部の自動車フードへの衝突時には、アウタパネルとインナパネル (複合パネル) がフード内部に向かって変形して、内部のエンジンルーム内蔵物( 剛体) と二次衝突して大きな反力となり、二次的ではあるが、頭部に大きな衝撃を与えることが問題となる。そして、この反力は前記HIC 値を1000以上に著しく高めてしまう。
【0011】
即ち、図11に頭部衝突時の頭部への加速度と時間との関係 (実線の曲線) を示す。図11の通り、頭部衝突時の頭部への加速度の第1 波のピークは、歩行者頭部の自動車フードへの衝突 (自動車フードの変形) である。図11から分かる通り、加速度のピークには、前記第1 波のピークP1に続く、第2 波のピークP2がある。これが、前記した、自動車フードパネルが内部のエンジンルーム内蔵物 (剛体) との二次衝突により発生する反力である。ここで、HIC 値とは、図11の加速度と時間との曲線の積分値であり、HIC 値を低くするためには、前記加速度の第1 波および第2 波のピークを下げる必要がある。
【0012】
ただ、加速度の第1 波のピークを下げること自体は難しい。この理由は、加速度の第1 波のピークが、自動車フードのパネルの変形特性 (剛性) に依存するためである。第1 波のピークを下げるためには、自動車フードパネルの剛性を小さくするよう、フードパネルの構造や使用材料特性 (耐力等) を変更する。しかし、自動車フードパネルには、前記した通り、基本要求特性として、薄板化、軽量化した上での高剛性化が求められており、フード全体としての剛性を小さくすることはできない。また、例えこの全体剛性を小さくしても、パネルの変形ストロークの増加に伴い、却って前記加速度の第2 波のピークが大きくなり、HIC 値自体を低くできない。
【0013】
したがって、実際問題としてHIC 値を低くするためには、前記加速度の第1 波のピークではなく、前記加速度の第2 波のピークの方を下げる必要がある。
【0014】
この加速度の第2 波のピークを下げる場合に大きな問題となるのが、自動車フードパネルと内部のエンジンルーム内蔵物との間隔 (クリアランス) である。加速度の第2 波のピークは、自動車フードの内でも、前記図10で示した、フードパネル4 ( インナパネル1)と内部のエンジンルーム内蔵物5 との間隔 (クリアランス)Sが比較的小さいパネルの場合や、パネルの部位によって大きくなる。
【0015】
この間隔S が小さい場合には、歩行者頭部の衝突時の運動エネルギーを吸収できずに、フードパネル4 が変形して、エンジンルーム内蔵物5 と二次衝突するため、頭部への反力が大きくなる。そして、この場合、前記加速度の第2 波のピークP2は、前記図11に示したように、加速度の第1 波のピークP1に比して、著しく大きくなる。この傾向が著しいのは、フード内部のエンジンルーム内蔵物とフードインナパネルとの最小間隔が、特に、50mm以下であるような場合である。
【0016】
これに対し、自動車フードパネルの内、内部のエンジンルーム内蔵物が真下に無いなど、前記間隔S が比較的大きいパネル領域などでは、歩行者頭部の衝突時に、フードパネルが大きく変形しても、内部のエンジンルーム内蔵物 (剛体) と衝突しないため、前記加速度の第2 波のピークは発生せず、HIC 値は元々低い。
【0017】
但し、今日における自動車の構造においては、排気量の増加に伴うエンジンの大型化や、多機能化による搭載部品の増加などにより、設計上、前記間隔S を大きくできない部位が必然的に生じる。したがって、このようなパネルやパネル部位でも、歩行者の頭部衝突時の前記加速度のピークを低減できる、フードパネル構造が求められている。
【0018】
これに対し、前記コーン型パネルは、アウタパネル側に頂部が向かう凸部の形状や大きさ、配列、あるいは間隔 (ピッチ) などの条件を適宜選択乃至工夫することが可能である。そして、これらの凸部条件によって、パネルの軽量化や剛性など他の特性を犠牲にすることなく、凸部自体やパネルの変形状態を調整することが可能である。
【0019】
この結果、コーン型インナパネルの凸部への歩行者頭部衝突時( 凸部に対応するアウタパネルへの歩行者頭部衝突時) には、対応するインナパネル部位の前記凸部条件を調整することで、凸部自体やパネル全体を前記二次衝突時に変形しやすくし、前記二次衝突時の歩行者頭部への反力を低減することができる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような、コーン型インナパネルであっても、前記二次衝突時の歩行者頭部への反力を低減することができる範囲には限度がある。それは、歩行者頭部が、コーン型インナパネルの凸部以外の、凸部同士の間 (間隔部2c) に衝突したような場合である。通常、歩行者頭部がフードの何処に衝突するかは不明であり、前記した凸部以外の、コーン型インナパネルの間隔部2cに衝突する可能性も大きい。
【0021】
このコーン型インナパネルの間隔部2cは、あくまで局部的な意味では、前記凸部に比して、剛性が低くなる。したがって、パネル面に対しては必然的に局部的となる歩行者の頭部衝突が、この間隔部2cに集中した場合、剛性が比較的低い間隔部2cの変形量が大きくなる。
【0022】
この結果、歩行者頭部の衝突時の運動エネルギーを吸収できずに、特に、前記間隔部2c相当のフードパネル部位が変形して、エンジンルーム内蔵物と二次衝突する可能性が高くなる。このような事態が生じた場合には、前記頭部への反力が大きくなる。そして、前記図11に示したように、前記加速度の第2 波のピークP2は、加速度の第1 波のピークP1に比して、著しく大きくなり、HIC 値を1000以下に小さくできない可能性が高くなる。そして、この傾向が著しいのは、やはり、前記した、フード内部のエンジンルーム内蔵物とフードインナパネルとの最小間隔が、特に50mm以下であるような、小さい場合である。
【0023】
なお、この問題は、個々に独立した凸部を有する前記コーン型インナパネルだけの問題ではなく、平面的に連続する畝状や条状などの種々の凸部形状を有し、この凸部同士の間に平板乃至凹部のような間隔部を有するインナパネルであれば共通する問題乃至課題である。
【0024】
したがって、現状では、コーン型インナパネルを採用するしないにかかわらず、歩行者頭部がフードの何処に衝突しても、HIC 値を1000以下に小さくするために、前記最小間隔部分を50mmを相当量越える値に大きくするために、フード乃至ボンネットの高さを高くしているのが実情である。この最小間隔部分を大きくした場合、自動車フードの設計やデザインなどが、大きく制約や犠牲を受けざるを得ない。
【0025】
また、自動車フードの設計やデザインなどの都合から、前記最小間隔部分を50mm以下に小さくする場合には、前記ビーム型パネルなども含め、特開平5-155356号公報などのように、重量増加となるグラスウールなどの衝撃吸収体をアウタとインナパネルとの間の空間に充填しているのが実情である。しかし、衝撃吸収体の使用のみで、その効果を出すためには、アウタとインナパネルとの間の空間を満たすだけの相当の量や材質の選択が必要である。このため、車体の軽量化を犠牲にするとともに、衝撃吸収体充填のためのコスト増や作業の煩雑さも伴う。
【0026】
このような実情に鑑み、本発明の目的は、コーン型などの、表面に複数の凸部を有するインナパネルを設けた車体パネルにおいて、凸部の間隔部を含めて、歩行者の頭部衝突時の安全性を確保した、車体パネルを提供しようとするものである。しかも、この歩行者の頭部衝突時の安全性を、特に、フードなどの車体パネル内部の内蔵物とインナパネルとの最小間隔が小さくても確保できる、車体パネルを提供しようとするものである。
【0027】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明請求項1 の歩行者の頭部衝突時の安全性に優れた自動車フード用車体パネルの要旨は、アウタパネル裏面に鋼板またはアルミニウム合金製インナパネルが接合された車体パネルにおいて、前記インナパネルには前記アウタパネル側に頂部が向かう凸部が所定間隔をおいて形成されているとともに、該インナパネルの裏面には、前記凸部の内の選択された凸部内を閉断面となすように、鋼板製またはアルミニウム合金製補強パネルが接合されたことである。
【0028】
上記したように、インナパネルの凸部内を閉断面となすように補強パネルを設けることで、インナパネルの凸部同士の間隔部の局部的な剛性を向上させることができる。以下、フードを説明する。
【0029】
この結果、歩行者の頭部衝突が、この間隔部に集中した場合でも、間隔部の変形量を小さくすることができる。そして、フード内部のエンジンルーム内蔵物とフードインナパネルとの最小間隔が、特に50mm以下であるような、小さい場合であっても、間隔部相当のフードパネル部位の変形による、エンジンルーム内蔵物との二次衝突を回避できる。そして、前記頭部への反力 (前記図12に示した加速度の第2 波のピークP2) を小さくできる。
【0030】
更に、上記した、インナパネルの凸部同士の間隔部の局部的な剛性の向上は、インナパネルの凸部と間隔部との剛性の落差を小さくし、インナパネルの全体剛性、ひいてはフードなどのパネルとしての全体剛性を向上させる。
【0031】
このため、インナパネルの凸部への歩行者頭部衝突時 (凸部に対応するアウタパネルへの歩行者頭部衝突時) に、凸部自体をより変形しやすく、凸部条件を調整することが可能となる。即ち、凸部自体を変形しやすくすることによる、インナパネルの全体剛性やフードパネルとしての全体剛性の低下を、前記凸部同士の間隔部の局部的な剛性の向上によって、補償することが可能となる。そして、歩行者頭部がインナパネルの凸部へ衝突した場合にも、前記二次衝突時の歩行者頭部への反力を低減することができる。
【0032】
これらの相乗作用の結果、本発明によれば、歩行者頭部がインナパネルの凸部や凸部同士の間隔部のいずれへ衝突した場合にも、また、フード内部のエンジンルーム内蔵物とフードインナパネルとの最小間隔が、特に50mm以下であるような、小さい場合であっても、HIC 値を1000以下に小さくすることが可能となる。
【0033】
そして、前記最小間隔部分を大きくする必要がなく、自動車フードの設計やデザインなどの制約がなく、自由度が大きくなる。
【0034】
しかも、これらの効果を、従来のコーン型などの凸部を設けたインナパネル形状を大きく変化乃至設計変更することなく、簡便に達成可能である。また、これらの効果は、インナパネルよりも十分薄い補強パネルの板厚で達成可能であり、軽量化の阻害が最小限で済む。
【0035】
また、好ましくは、請求項2 に記載のように、前記補強パネルには吸音効果を有する多数の貫通穴が設けられているようにすることで、衝突時の歩行者の頭部などの保護だけではなく、車体パネルに吸音効果を持たせることが可能となる。即ち、例えば、自動車のフード (ボンネット) であれば、フード内部のエンジン音を吸音して低減し、車両走行を快適化する吸音効果が得られる。また、多数の貫通穴を設けることで、補強パネルの軽量化も可能である。
【0036】
更に、インナパネルの全体剛性やフードパネルとしての全体剛性をより向上させるとともに、歩行者の頭部衝突時の保護性を増すために、前記補強パネルの端部が前記アウタパネルとも接合されていることが好ましい。
【0037】
前記補強パネルの板厚は、インナパネル板厚の1/2 以下とすることで、車体パネルの軽量化の阻害をより最小限化できる。
【0038】
本発明効果は、アウタパネルとインナパネルの板厚が1mm 以下であるような、薄板から構成される車体パネルで達成可能であり、車体パネルの軽量化も可能である。
【0039】
そして、車体パネルを構成する各パネルの内の選択されたパネルをアルミニウム合金製とすることが好ましい。アルミニウム合金は、軽量で剛性や成形性にも優れるため、車体パネルのより一層の高剛性化と薄肉化、軽量化が可能となる。
【0040】
前記凸部形状としては、種々の凸部形状の中でも、略台形の断面形状を有するコーン型 (円錐台形状、あるいは頭を切り取った円錐形状) の凸部が、パネル全体の剛性向上効果が優れている点で好適である。
【0041】
なお、本発明では、軽量化などを妨げない範囲で、アウタパネル裏面の適宜の箇所緩衝材を配置することを許容する。
【0042】
本発明車体パネルでは、歩行者保護が特に要求される自動車のフードに適用されることが好ましい。
【0043】
また、自動車のフードであって、歩行者保護が特に難しい、フード内部のエンジンルーム内蔵物とフードにおけるインナパネルとの最小間隔(但し、図1から4ではフード内部のエンジンルーム内蔵物上部とフードにおける補強パネル内面との最小間隔)が50mm以下であるフードに適用されることが好ましい。
【0044】
更に、前記インナパネルにおける前記凸部間の間隔部が前記フードの最小間隔相当部位に相当するような、歩行者保護が特に難しい部位を有するフードに適用されることが好ましい。
【0045】
本発明車体パネルは、以上のような優れた効果を有するため、自動車のフード車体パネルとして用いることが出来る。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて詳述する。なお、以上および以下の説明は、自動車のフードを主体とした、衝突時の歩行者の頭部保護を中心に説明している。しかし、フードでの歩行者の頭部保護に有効であれば、フード以外の車体パネルでも、衝突時の歩行者の頭部や身体の保護に有効である。
【0047】
図1 〜8 を用いて、自動車フードパネルの場合に、インナパネルの裏面に補強パネルを接合する態様を以下に説明する。先ず、図1 は、前記図10と同様に、フードパネルの部分断面図を示している。図1 において、先ず、フードパネル( 車体パネル)4a は、アウタパネル3 裏面にインナパネル1 が接合され、インナパネル1 にはアウタパネル3 側に頂部2aが向かう凸部2 が所定間隔をおいて形成されている。そして、平板状の補強パネル6 は、インナパネル1 の前記図10に例示したコーン型の凸部2 の内、選択された各凸部2 によって形成されている各空間( 凸部内)2d を閉断面となすように、インナパネル1 の裏面に接合されている。
【0048】
より具体的には、この図1 では、インナパネル1 のコーン型の凸部2 によって形成されている空間 (凸部内)2d を閉断面とするために、インナパネル1 の凸部2 の各平坦部2c裏面 (間隔部裏面) において、平板状の補強パネル6 を、ボルト、ナットあるいはセルフピアシングリベット等の機械的な接合手段11a により、インナパネル1 と一体に接合している。
【0049】
インナパネル1 と補強パネル6 との接合手段は、この他、インナパネル1 の凸部2 の各平坦部2c裏面と接着剤により接合しても、接着剤と前記機械的な接合手段とを組み合わせて使用しても良く、要は公知の接合手段が適宜選択される。また、接合箇所である各平坦部2cも、全部または一部であることが適宜選択される。
【0050】
ただ、インナパネル1 の凸部2 によって形成されている空間 (凸部内)2d を閉断面とするためには、補強パネル6 を、上記した通り、インナパネルの裏面である、凸部2 の平坦部2c裏面あるいは凸部の形状によっては凹部裏面などの間隔部裏面と、密接に接合する必要がある。
【0051】
補強パネル6 がインナパネルの間隔部裏面と密接に接合されていない場合、即ち、補強パネル6 が、凸部内2dの場合を除き、凸部2 の平坦部2c裏面あるいは凹部裏面と一定の空間や隙間を介して接合された場合には、インナパネルの凸部内が閉断面とならない。このため、補強パネルを設けても、インナパネルの凸部同士の間隔部の局部的な剛性を向上させることができない。この結果、歩行者の頭部衝突が、この間隔部に集中した場合でも、凸部の間隔部の変形量を小さくすることができない。
【0052】
そして、フード内部のエンジンルーム内蔵物とフードインナパネルとの最小間隔(但し、図1から4ではフード内部のエンジンルーム内蔵物上部とフードにおける補強パネル内面との最小間隔)が、特に50mm以下であるような、小さい場合に、間隔部相当のフードパネル部位の変形による、エンジンルーム内蔵物との二次衝突を回避できない可能性が高い。この結果、前記頭部への反力 (前記図12に示した加速度の第2 波のピークP2) が大きくなる。
【0053】
また、補強パネル6 がインナパネルの間隔部裏面と密接に接合されていない場合、上記した、インナパネルの凸部同士の間隔部の局部的な剛性の向上による、インナパネルの全体剛性、ひいてはフードパネルとしての全体剛性を向上させることができない。このため、歩行者頭部がインナパネルの凸部や凸部同士の間隔部のいずれへ衝突した場合にも、また、フード内部のエンジンルーム内蔵物とフードインナパネルとの最小間隔が、特に50mm以下であるような、小さい場合に、HIC 値を1000以下に小さくすることができない。
【0054】
但し、補強パネルによる、これらパネルの剛性向上効果は、補強パネルの板厚が厚くなくても (薄くても) 得られるのが、本発明の特徴でもある。言い換えると、パネルの剛性向上効果を、本発明では、インナパネルの凸部によって形成されている空間 (凸部内) を閉断面とすることで得ている。このため、補強パネルの板厚をインナパネル板厚の1/2 以下としても、前記パネルの剛性向上効果が得られる。したがって、後述する吸音との兼ね合いはあるものの、補強パネルの板厚を薄くできるので、補強パネルの付加による、車体パネルの軽量化の阻害をより最小限化できる。
【0055】
次に、図2 、3 、4 は、各補強パネル7 、12、13に、各々吸音効果を有する多数の貫通穴8a、8b、8cを設けた車体パネル4b、4c、4dの各態様を、車体パネルの部分断面図で示している。
【0056】
図2 の補強パネル7 は、図1 の補強パネル6と同じく平板状の板に、吸音効果を有する多数の貫通穴8aを設けた態様を示している。図3 の補強パネル12は、インナパネルのコーン型凸部と相似形をしたコーン型凸部を有する板に、吸音効果を有する多数の貫通穴8bを設けた態様を示している。また、図4 の補強パネル13は、エンボス成形された、比較的小さな凹凸を有する板に、吸音効果を有する多数の貫通穴8cを設けた態様を示している。
【0057】
これらの補強パネルも、前記図1 と同様に、インナパネル1 のコーン型の凸部2 によって形成されている空間2dを閉断面とするために、インナパネル1 の凸部2 の各平坦部2c裏面 (間隔部裏面) において、補強パネルを各々機械的な接合手段11b 、11c 、11d によりインナパネル1 と一体に接合している。
【0058】
前記図3 、4 のように、補強パネルに凹凸を設けた場合、貫通穴を設ける、設けないにかかわらず、前記図1 のような平板状の補強パネルに比して、剛性が高くなり、板厚をより薄くできる効果もある。
【0059】
このように、補強パネルに吸音効果を有する多数の貫通穴を設けることで、自動車のフードであれば、フード内部のエンジンなどの音源に対する前面に吸音効果を有する貫通穴を配置したことになる。この結果、衝突時の歩行者頭部保護だけではなく、車体パネルに、パネル内部の音源に対する吸音効果を持たせることが可能となる。即ち、自動車のフードであれば、フード内部のエンジン音を吸音して低減し、車両走行を快適化する吸音効果が得られる。また、多数の貫通穴を設けることで、補強パネル事態の軽量化も可能である。
【0060】
多数の貫通穴を設けた補強パネルの吸音効果は、板厚と貫通穴径、貫通穴の分布面積 (補強パネルの設置面積) 、貫通穴前面 (アウタパネル側面) の空気層 (空間) 厚みによって決まる。そして、板厚が厚いほど、貫通穴径が小さいほど、貫通穴の分布面積が大きいほど、貫通穴前面 (アウタパネル側面) の空気層 (空間) が厚いほど、前記エンジン音などの吸音効果が高い。
【0061】
この点、図2 の補強パネル7 ではインナパネル1 の凸部2 内の空間2d、図3 の補強パネル12では凸部2 内の空間2d、図4 の補強パネル13では凸部2 内の空間2dが、各々前記貫通穴の前面 (アウタパネル側面) の空気層を形成している。言い換えると、補強パネルに多数の貫通穴を設けて吸音効果をもたせる場合には、インナパネル1 の凸部内に、前記空間 (空気層) を持たせるように、補強パネルをインナパネルに接合する乃至補強パネルの断面 (凹凸) 形状を選択する必要がある。
【0062】
ただ、前記補強パネルの板厚と設置面積は重量増加抑制との兼ね合いで、また、前記貫通穴前面の空気層厚みは、車体パネル厚みの設計条件や車体パネルと内蔵物との間隔の設計条件との兼ね合いでも決定される。これらを考慮すると、補強パネルの貫通穴の穴径はΦ3mm 以上とし、かつ、設ける貫通穴の合計の開口率を補強パネルの表面積 (片面) に対し1 〜5%とすることが好ましい。
【0063】
なお、補強パネルの吸音効果を増すために、補強パネル裏面の必要箇所に、グラスウールやフェルトなどの吸音材を層状に設けても良い。例えば、従来において、フードインナ裏面に吸音材を設ける場合には、吸音効果を発揮するためには、通常は最低でも10mm以上に厚くして設ける必要がある。しかし、前記貫通穴を設けた本発明の補強パネルでは、吸音材を新たに設ける必要がなく、吸音材を設ける場合でも数mm程度に薄くすることが可能となる。
【0064】
更に、前記貫通穴は、補強パネルの全面に設ける必要は必ずしも無く、吸音を必要とする部位に限定しても良い。例えば、前記インナパネル1 間隔部との接合部には貫通穴を設けずに、この部分の接合強度を確保し、インナパネル凸部 (底部面) に対応する領域にのみ貫通穴を設けても良い。
【0065】
本発明に係る補強パネルは、軽量化を阻害しない観点から、車体パネル乃至インナパネルの裏面全面に設ける必要は必ずしも無い。即ち、衝突時の歩行者頭部保護のために、例えば、フード内部のエンジンルーム内蔵物とフードインナパネルとの最小間隔が50mm以下であるような小さい部位、特に大人の頭部が衝突し易い部位など、インナパネルの凸部同士の間隔部の局部的な剛性を向上させる必要性のある部位を選択して、その部位に部分的に設けることができる。
【0066】
また、前記貫通穴を有する吸音補強パネルと、貫通穴がない補強パネルとを、インナパネル裏面の必要箇所毎に使い分けることもできる。例えば、衝突時の歩行者頭部保護が必要なインナパネル裏面箇所には貫通穴がない補強パネルを、吸音が必要な箇所には貫通穴がない補強パネルを設けても良い。また、衝突時の歩行者頭部保護の点からは、補強パネルをインナパネル裏面に部分的に設ければ良い場合でも、前記吸音効果の点から、貫通穴を有する補強パネルをインナパネル裏面全面に設けても良い。
【0067】
例えば、本発明に係るフードインナパネル1 の平面図を示す図5 では、子供の頭部が衝突し易いフードの前面 (車体前部側) 部位B1に対し、特に大人の頭部が衝突し易い部位として、フードの後面 (車体前部側) 部位B2を選択して、この領域のインナパネル1 の裏面に、点線で示す前記補強パネル6 、7 などを設けている。子供の頭部衝突に対し、大人の頭部衝突の場合の衝突エネルギーは高い。このため、前記フードの後面 (車体前部側) 部位B2は、大人の頭部衝突に対して、インナパネルの凸部同士の間隔部の局部的な剛性をより向上させ、間隔部の変形量を小さくする必要性があるからである。また、前記フードの後面 (車体前部側) 部位B2は、エンジンなどの内蔵物と車体パネルとの間隔が比較的小さい部分でもある。
【0068】
次に、アウタパネルとインナパネルとのパネル構造など、前提となる車体パネル構造につき説明する。前記した図1 〜4 の本発明車体パネルにおいて、アウタパネルとインナパネルとの車体パネル構造は、前記図10で説明したフードなどの車体パネル構造乃至構成と基本的に同じである。即ち、図1 〜4 において、インナパネル1 は、フードなどの車体デザインに応じた一定の曲率を有するアウタパネル3 と接合され、複合パネル (フード)4として一体化されている。
【0069】
また、インナパネルのアウタパネル側に頂部が向かう凸部形状について、以下に説明する。車体パネル表面に所定間隔をおいて形成されている凸部形状は、パネル全体の剛性を向上させる。この剛性効果が優れる点から、また、歩行者保護効果が特に要求されている点から、本発明におけるインナパネルの凸部は、前記図11に例示したコーン型 (円錐台形状) の凸部形状が好ましい。このコーン型凸部は、略平らな突起頂部に対する斜辺 (斜面) を有し、基本的に個々に独立 (孤立) した略同一乃至類似形状の凸部群からなる。そして、互いの凸部同士の間 (間隔部) は平板乃至凹部となっている。
【0070】
但し、このようなコーン型凸部以外にも、前記斜辺を有する形状であれば、凸部が連続的に連なり、車体の長手方向などに凸部が間隔を置いて畝状に複数本延在するような凸部 (凹凸) も本発明凸部の範囲に含む。この例として、従来のビード型 (部分的にパネルをトリミングしない場合も含む) や、断面形状が波形あるいはエンボス成形形状などの凸部も本発明の範囲に含む。なお、このような凸部であっても、車体の幅方向に凸部が延在するような凸部では、特にフードではパネル全体の剛性向上効果が無く、本発明範囲には含まない。
【0071】
また、これら凸部同士が部分的に連なった凸部群や凸部の高さや径などの大きさや形状が部位により異なる凸部群、これらを組み合わせた凸部群なども変形例として含みうる。そして、凸部を構成する斜辺 (断面) 形状も、傾斜角度や、直線状、下方に凹むシグモード曲線状、上方に膨らむ凸状曲線、これらの組み合わせがなどの斜面形状が適宜選択される。更に、凸部が略直角の縦壁乃至側壁などを有している場合も適宜選択される。
【0072】
本発明において、凸部の所定間隔や配置 (数、間隔等) 条件については、複数の凸部を設けた従来のインナパネル (前記図9 、10により説明したコーン型インナパネルなど) と基本的に同じである。即ち、凸部の配置や数、あるいはピッチなどの諸条件は、パネル車体用途からくる要求剛性などから適宜選択される。
【0073】
そして、本発明では、従来の凸部には無かった、これら凸部をより変形しやすい形状としても良い。即ち、前記した通り、本発明においては、インナパネルの凸部同士の間隔部剛性やパネルとしての全体剛性を向上できる。このため、凸部自体の局部剛性を低下させ、インナパネル凸部に対応するアウタパネルへの歩行者頭部衝突時に、凸部をより変形しやすくし、前記二次衝突時の歩行者頭部への反力を低減することができる。これは、配置された凸部の内の必要箇所の凸部形状を、より変形しやすい形状に、全面的あるいは部分的に変えるようにしてできる。例えば、凸部を構成する前記斜辺に、凸部自体の局部剛性を低下させ、凸部をより変形しやすくするような、凹みや切り欠きなどを設けても良い。
【0074】
更に、インナパネルの側にも、前記吸音補強パネルの貫通穴設置部位や範囲と対応させて、インナパネルの凸部や凸部以外の部位に、前記吸音効果を有する貫通穴を設けても良い。
【0075】
本発明車体パネルの、他の車体部材やパネルとの接合方法、およびフードのパネルとして用いる場合のアウタパネルとの接合方法等などは、公知の自動車車体パネル接合方法や構造に従う。
【0076】
ただ、前記した通り、インナパネルの全体剛性や車体パネルとしての全体剛性をより向上させるとともに、歩行者の頭部衝突時の保護性を増すために、補強パネルの端部が前記アウタパネルとも接合されていることが好ましい。この態様を図6 、図7 に示す。図6 、図7 は、各々図1 、図2 における車体パネル (フード) の左端部を示す断面図である。図6 、図7 において、樹脂層9 を介して互いに接合された、インナパネル1 とアウタパネル3 とは、ヘム (ヘミング) 部10においても接合され、複合パネルとして一体化されている。
【0077】
ここで、図6 は通常のヘムによる接合方式を示し、アウタパネル3 周縁部10のフラットヘム (ヘミング) 加工(曲げ加工)により、挿入されたインナパネル端部1aが、アウタパネル3 の曲げ部10a や曲げ端部10b と嵌合されている。そして本発明では、これと同時に、補強パネル6 の端部6aも、インナパネル端部1aと積層されてヘム部10に挿入され、ヘム部10においてアウタパネルとも剛的に接合され、パネルとして一体化されている。
【0078】
また、図7 は、図6 のヘムよりも剛性を高めるための別の態様を示している。即ち、アウタパネル3 周縁部の曲げ加工により、曲げ部10a や曲げ端部10c などの曲げ部10を形成する。一方、インナパネル端部1bと補強パネル7 の端部7aも、前記曲げ部10に対応する形状に曲げ加工して重ね合わせている。そして、これらアウタパネル3 とインナパネル1 および補強パネル7 との端部同士を当接させ、ボルト、ナットなどの機械的な締結手段11e などにより剛的に接合して、一体化させている。なお、これらの接合の際の手段は、溶接や接着剤などもこれらの併用を含めて適宜選択される。
【0079】
このように、補強パネルを、面としてはインナパネルに対して接合するとともに、更に補強パネルの端部をアウタパネルとも接合して支持することで、図8 に本発明車体パネル4aの幅方向の全体断面図を例示する通り、車体パネルの剛体として (断面) 構造を強化できる。言い換えると、補強パネル自体の剛性、この補強パネルにより補強したインナパネルの全体剛性や車体パネルとしての全体剛性をより向上できる。なお、図8 は、図1 と図6 に部分的に示した車体パネル4aの幅方向全体の断面図である。
【0080】
また、このように、補強パネルがアウタパネルと接合されることで、車体パネルとしての一体的な可撓性も増し、歩行者の頭部衝突時の衝突エネルギーを、車体パネル自体の振動、乃至共振によって吸収できるという、新たな効果も期待できる。歩行者の頭部衝突時の衝突エネルギーを、車体パネル自体の振動乃至共振によって吸収できれば、歩行者の頭部衝突が、この間隔部に集中した場合でも、凸部の間隔部の変形量を小さくすることができる。
【0081】
本発明車体パネルで用いる材料は、アウタパネル、インナパネル、そして補強パネルも含めて、アルミニウム合金以外に鋼板を使用しても良い。このため、アウタパネルを鋼板やアルミニウム合金板とし、インナパネルを本発明凸部を有するアルミニウム合金板とするような、アウタとインナで材料を変える態様でも良い。但し、軽量化と高剛性化の特性と歩行者保護が特に要求される、フー車体パネルには、アルミニウム合金板が特に好ましい。
【0082】
このアルミニウム合金板の中でも、特に、1.0mm 以下の薄板用パネル材としては、高成形性と高強度 (高耐力) の点で化が図れるAl-Mg-Si系(6000 系) やAl-Mg 系(5000 系) などのアルミニウム合金板が特に好ましい。但し、パネル要求特性を満足するものであれば、前記の他、3000系、7000系等の各種アルミニウム合金板を使用しても良い。
【0083】
次に、前記した図1 の態様の本発明車体パネル4aであって、補強パネル7 をインナパネル1 裏面にのみ接合した発明例1 と、インナパネル1 裏面とともに図6 の態様のようにアウタパネル3 とも接合した発明例2 と、図10の従来の車体パネル4 の例 (従来例) の、各々の荷重- 変位曲線の解析結果を図13に示す。図13において、実線は従来例、長い点線は発明例1 、短い点線は発明例2 を各々示す。なお、図13には、前記した従来例の内、車体パネル内部の内蔵物とインナパネルとの最小間隔を80mmと大きくした場合も、一点鎖線で参考に示す。
【0084】
解析はFEM 解析を用い、コーン型凸部同士の間隔部に、斜め上方より打撃子で荷重される場合を想定して、モデル化した。但し、実際の車体パネル構造は複雑であるために、簡単にはモデル化できない。このため、モデル化に際しては、発明例と従来例、あるいは参考例とも、前提となる車体パネル構造が共通していることを利用して、実際の車体パネル構造を著しく簡略化してモデル化し、歩行者頭部保護の定性的な傾向をつかむための簡素化した解析を図った。
【0085】
各例とも共通したモデル化条件として、コーン型凸部の大きさは、円錐台底辺の直径l2:140mmΦ、上辺 (頂部) の直径l1:20mm Φ、高さh:30mm、凸部同士の間隔部 (平坦部の長さ) は30mmとした。また、各例とも共通して、アウタパネル板厚は1.0mmt、インナパネル板厚は0.8mmt、補強パネル板厚は0.3mmtの、耐力185MPa、伸び12% の6063の同じアルミニウム合金板とした。
【0086】
図13から分かる通り、従来例の荷重- 変位曲線は、時間 (パネル変形) の進行 (ストローク) によって、衝突 (荷重) 初期の前記第1 波のピークP1に続き、第2 波のピークP2では、荷重 (頭部への反力) が大きく上昇している。このため、必然的にHIC 値を1000以下にはできないことが予測される。
【0087】
これに対し、発明例1 と2 は、時間 (パネル変形) の進行によっても、従来例に比して、第2 波のピークP2領域では、荷重 (頭部への反力) は大きくならない。特に、発明例2 は、発明例1 に比しても、第1 波や第2 波のピークが小さくなる。これは、発明例2 が、補強パネルがアウタパネルとも接合されることで、車体パネルとしての一体的な可撓性も増し、歩行者の頭部衝突時の衝突エネルギーを、車体パネル自体の振動、乃至共振によって吸収するという効果があるものと考えられる。したがって、本発明によれば、HIC 値を1000以下に低減し、頭部衝突時の歩行者の安全性を確保できる可能性があることが分かる。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、コーン型などの、表面に複数の凸部を有するインナパネルを設けた車体パネルにおいて、凸部の間隔部を含めて、歩行者の頭部衝突時の安全性を確保した、自動車フード用車体パネルを提供することができる。しかも、この歩行者の頭部衝突時の安全性を、特に、フード内部の内蔵物とインナパネルとの最小間隔が小さくても確保できる、自動車フード用車体パネルを提供することができる。このため、HIC 値を低減して、頭部衝突時の歩行者の安全性を確保した、自動車フード用車体パネルを提供することができる。このため、自動車などの車体の安全性を、コストを増加させずに一段と向上させることができ、工業的な価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車体パネルの1 態様を示す部分断面図である。
【図2】本発明に係る車体パネルの別の態様を示す部分断面図である。
【図3】本発明に係る車体パネルの別の態様を示す部分断面図である。
【図4】本発明に係る車体パネルの別の態様を示す部分断面図である。
【図5】図1または図2の本発明車体パネルの平面図である。
【図6】本発明に係る車体パネルの端部の1例を示す部分断面図である。
【図7】本発明に係る車体パネルの端部の別の例を示す部分断面図である。
【図8】本発明に係る車体パネルの幅方向の全体断面図である。
【図9】従来のコーン型インナパネルを示す平面図である。
【図10】図8の A-A断面図である。
【図11】コーン型凸部を示す斜視図である。
【図12】頭部衝突時の頭部への加速度と時間との関係(荷重- 変位曲線)を一般的に示す説明図である。
【図13】実施例における頭部衝突時の頭部への加速度と時間との関係(荷重- 変位曲線)を示す説明図である。
【符号の説明】
1:インナパネル、2:凸部、3:間隔部、4:車体パネル、5:アウタパネル、
6 、7 、12、13: 補強パネル、9:樹脂層、10: アウタ曲げ部、11: 締結手段、

Claims (3)

  1. アウタパネル裏面に鋼板製またはアルミニウム合金製インナパネルが接合された車体パネルにおいて、前記インナパネルには前記アウタパネル側に頂部が向かう凸部が所定間隔をおいて形成されているとともに、該インナパネルの裏面には、前記凸部の内の選択された凸部内を閉断面となすように、鋼板製またはアルミニウム合金製補強パネルが接合されたことを特徴とする歩行者の頭部衝突時の安全性に優れた自動車フード用車体パネル。
  2. 前記補強パネルには吸音効果を有する多数の貫通穴が設けられている請求項1に記載の車体パネル。
  3. 前記インナパネルにおける前記凸部間の間隔部が前記フードの最小間隔相当部位に相当する請求項1または2に記載の車体パネル。
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