JP7443980B2 - 車両の側部車体構造 - Google Patents
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Description
一般に、カーテンエアバッグ装置は、乗員の側方から膨張展開可能なエアバッグと、このエアバッグに膨張ガスを供給するインフレータと、エアバッグとインフレータを固定するリテーナと、膨張展開前のエアバッグを覆うエアバッグカバーとを備え、リテーナがフロントピラーインナの車幅方向内側面に固定されると共に装置全体の表面がフロントピラートリムによって被覆されている。
特許文献1の車両のフロントピラー補強構造のように、フロントピラーの閉断面内に複数の稜線が形成されたレインフォースメントを追加することで、フロントピラーの剛性を全体的に増加し、フロントピラー位置の変位を抑制することも可能である。
しかし、車体重量の増加、並びにこれに伴う燃費悪化という新たな問題が生じる。
即ち、スモールオーバーラップ衝突時、車体重量の増加を回避しつつフロントピラー位置の変位を抑制することは容易ではない。
この車両の側部車体構造では、段落[0009]、[0010]、[0012]と同様の作用効果を奏する。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記エネルギ吸収部は、前記アウタ部材に設けられたアウタビード部と前記インナ部材に設けられたインナビード部を有し、前記アウタビード部とインナビード部は、側面視にて略同じ前後方向位置であることを特徴としている。この構成によれば、アウタビード部とインナビード部の相乗効果によって、フロントピラーとルーフサイドレールとの接続部に生じる折れ曲がり変形を効率的に回避することができる。
以下の説明は、本発明を車両の側部車体構造に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
図1,図2に示すように、車両Vは、前後に延びる左右1対のサイドシル1と、1対のサイドシル1の前端部分から鉛直上方に夫々延びる左右1対のヒンジピラー2と、1対のサイドシル1の中間部分から鉛直上方に夫々延びる左右1対のセンタピラー3と、ルーフパネル(図示略)の車幅方向両端部において前後に延びる左右1対のルーフサイドレール4と、ヒンジピラー2の上端部に屈曲部Aを介して連結されると共に後側上方に延びてルーフサイドレール4の前端部に接続部Bを介して連結されたフロントピラー30と、ヒンジピラー2の屈曲部Aよりも下側位置から前方に延びるエプロンレインフォースメント(以下、エプロンレインと略す)5等を備えている。
また、フロントピラー30の長手直交方向に生じる面外変形とは、骨格フレームとしての全体座屈を意味するものではなく、部材断面を構成する一部分(例えば、フランジ部等の特定部位)の局部座屈或いは部分的な変位と定義される。
図1,図2に示すように、車両Vの左右両側部には、フロントドア(図示略)によって開閉されると共に前席乗員が乗降可能な開口部Cが夫々設けられている。
略台形状の開口部Cは、サイドシル1の前半部分と、ヒンジピラー2と、センタピラー3と、ルーフサイドレール4の前部と、フロントピラー30等により形成されている。
尚、車両Vが左右対称構造に構成されているため、以下、右側部分について主に説明する。また、図において、矢印F方向を車体前後方向前方とし、矢印OUT方向を車幅方向外方とし、矢印U方向を車体上下方向上方としている。
サスタワー7は、前輪及び前輪用サスペンションを収容するホイールハウス8を一体的に備えている。ホイールハウス8は、ダッシュパネルの前側で且つエプロンレイン5の下側領域に形成されている。
図1~図5に示すように、ヒンジピラー2は、断面略ハット状のアウタ部材21と、このアウタ部材21と協働して上方に延びる略矩形状の閉断面を形成する板状のインナ部材22とを有している。アウタ部材21及びインナ部材22は、高張力鋼或いは超高張力鋼にて構成されている。
屈曲部Aは、フロントピラー30の下端部に相当する領域に設けられている。
カウルサイドレイン11は、アウタ部材21に対して上側のヒンジ取付部の右端部と部分的に重畳するようにスポット溶接にて接合されている。
図2,図4,図6に示すように、屈曲部Aの下側近傍位置で且つインナ部材22の上端部分には、フロントピラー30の下側インナ部材32が接合されている。
図1,図2に示すように、フロントピラー30は、ヒンジピラー2の上部に形成された屈曲部Aとルーフサイドレール4の前部に形成された接続部Bに亙って略直線状に設けられている。このフロントピラー30は、後側程上方に移行するように形成されている。
図1~図8に示すように、フロントピラー30は、アウタ部材31と、このアウタ部材31と協働して断面略楕円状の閉断面を形成するインナ部材、具体的には、下側インナ部材32の一部(上部)及び上側インナ部材33等を備えている。
エネルギ吸収部Eであるアウタビード部31bは、本体部31aの下半部から下側フランジ部31dの上半部の領域において、正面視にて略菱形状に形成されている。このアウタビード部31bは、上下に延びる稜線を備え、楕円状閉断面に対して凸状形成されている。
下側インナ部材32の鉛直部分は、ヒンジピラー2のインナ部材22の一部を構成し、後方傾斜部分は、フロントピラー30のインナ部材の一部を構成している。
上側フランジ部32c及び後述する上側フランジ部33cは、例えば、複数の接合部S1~S4等において、上側フランジ部31cにスポット溶接を用いて接合されている。
下側フランジ部32d及び後述する下側フランジ部33dは、例えば、複数の接合部S11~S14等において、下側フランジ部31dにスポット溶接を用いて接合されている。
アウタビード部31b及びインナビード部32bの下側且つフロントピラー30の長手方向において、アウタビード部31b及びインナビード部32bを間に挟む接合部S12,S13のピッチ間隔は、その他の溶接個所、例えば、接合部S11,S12のピッチ間隔や接合部S13,S14のピッチ間隔等に比べて大きく設定されている。
この上側インナ部材33は、下側インナ部材32の後方傾斜部分の断面形状に連なるように形成されている。複数のノッチ部33nは、ノッチ部32nと同様に略台形状に形成され、上側フランジ部33cに設けられている。
カーテンエアバッグ装置13は、乗員の側方で膨張展開可能なカーテン状のエアバッグと、所定条件の成立時にエアバッグに膨張ガスを供給するインフレータと、エアバッグとインフレータを固定するリテーナと、膨張展開前のエアバッグを覆うエアバッグカバーとを備え、表面がフロントピラートリムによって被覆されている(何れも図示略)。
カーテンエアバッグ装置13の構成は、公知技術であるため、詳細な説明を省略する。
作用効果の説明に先立ち、車両Vを用いたSORB試験の検証結果について説明する。
尚、図9は、車両Vとバリヤとがスモールオーバーラップ衝突した直後の全体変形挙動を示す側面図、図10は、領域Xの拡大図、図11は、領域Yの拡大斜視図、図12は、領域Zを車幅方向内側から視た図を夫々示している。
図13に示すように、接合部S12,S13のピッチ間隔が他の箇所のピッチ間隔よりも広く且つアウタビード部31bが凸状に形成されているため、集中した衝突荷重が下側フランジ部31dを口開き変形させ、アウタビード部31bが全体座屈ではなくフロントピラー30の長手直交方向に面外変形している。
図14に示すように、接合部S2,S3のピッチ間隔が他の箇所のピッチ間隔よりも広く且つインナビード部32bが凹状に形成されているため、集中した衝突荷重が下側フランジ部32dを口閉じ変形させている。また、図12に示すように、インナビード部32bの前方に向かう延長線に対応した位置にノッチ部32nが形成されているため、上側フランジ部32cを口開き変形させ、インナビード部32bが全体座屈ではなくフロントピラー30の長手直交方向に面外変形している。
1〕前記実施形態においては、エネルギ吸収部Eをアウタ部材31に設けた単一のアウタビード部31bと下側インナ部材32に設けた単一のインナビード部32bによって構成した例について説明したが、少なくとも、屈曲部Aにてフロントピラー30の長手直交方向に面外変形できれば良く、アウタビード部31bとインナビード部32bのうち何れか一方のみで構成しても良い。また、何れのビード部も複数設けることは可能である。
4 ルーフサイドレール
5 エプロンレイン
13 カーテンエアバッグ装置
30 フロントピラー
31 アウタ部材
31b アウタビード部
31c 上側フランジ部
31d 下側フランジ部
32 下側インナ部材
32b インナビード部
32c 上側フランジ部
32d 下側フランジ部
32n ノッチ部
33 上側インナ部材
S1~S4, 接合部
S11~S14
A 屈曲部
B 接続部
E エネルギ吸収部
V 車両
Claims (5)
- 上下方向に延びるヒンジピラーと、このヒンジピラーの上端部に屈曲部を介して連結されると共に車体後側上方に延びてルーフサイドレールの前端部に接続部を介して連結されたフロントピラーと、前記ヒンジピラーにおける前記屈曲部よりも下側位置から前方に延びるエプロンレインフォースメントとを備えた車両の側部車体構造において、
前記屈曲部は、前記エプロンレインフォースメントに後方に向かう衝突エネルギが作用したとき、前記フロントピラーの長手直交方向に面外変形して前記衝突エネルギを吸収するエネルギ吸収部を備え、
前記フロントピラーは、アウタ部材と、このアウタ部材と協働して後側程上方に移行する閉断面を形成するインナ部材により構成され、
前記エネルギ吸収部は、前記アウタ部材及び/又はインナ部材に設けられたビード部で構成され、
前記アウタ部材及びインナ部材は、外縁部分にフランジ部を夫々有し、
前記フランジ部は、前記ビード部の近傍位置にノッチ部が形成され、
前記アウタ部材及びインナ部材は、前記フランジ部が複数の接合部で接合され、
前記ビード部に近接した前記接合部間の間隔が、前記ビード部から離隔した前記接合部間の間隔よりも大きいことを特徴とする車両の側部車体構造。 - 上下方向に延びるヒンジピラーと、このヒンジピラーの上端部に屈曲部を介して連結されると共に車体後側上方に延びてルーフサイドレールの前端部に接続部を介して連結されたフロントピラーと、前記ヒンジピラーにおける前記屈曲部よりも下側位置から前方に延びるエプロンレインフォースメントとを備えた車両の側部車体構造において、
前記屈曲部は、前記エプロンレインフォースメントに後方に向かう衝突エネルギが作用したとき、前記フロントピラーの長手直交方向に面外変形して前記衝突エネルギを吸収するエネルギ吸収部を備え、
前記フロントピラーは、アウタ部材と、このアウタ部材と協働して後側程上方に移行する閉断面を形成するインナ部材により構成され、
前記エネルギ吸収部は、前記アウタ部材及び/又はインナ部材に設けられたビード部で構成され、
前記アウタ部材及びインナ部材は、外縁部分にフランジ部を夫々有し、
前記アウタ部材及びインナ部材は、前記フランジ部が複数の接合部で接合され、
前記ビード部に近接した前記接合部間の間隔が、前記ビード部から離隔した前記接合部間の間隔よりも大きいことを特徴とする車両の側部車体構造。 - 前記エネルギ吸収部は、前記アウタ部材に設けられたアウタビード部と前記インナ部材に設けられたインナビード部を有し、
前記アウタビード部とインナビード部は、側面視にて略同じ前後方向位置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の側部車体構造。 - 前記アウタビード部は前記閉断面に対して凸状に形成され、前記インナビード部は前記閉断面に対して凹状に形成されたことを特徴とする請求項3に記載の車両の側部車体構造。
- 所定条件の成立時に供給されるガス圧に応じて膨張展開するカーテン状のエアバッグを備えたカーテンエアバッグ装置を有し、
前記カーテンエアバッグ装置が、前記インナ部材の車幅方向内側部分に装着されたことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の車両の側部車体構造。
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