JP6996270B2 - カーテンエアバッグ装置の搭載構造 - Google Patents

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Description

本発明は、カーテンエアバッグ装置の搭載構造に関する。
下記特許文献1には、車両用ピラー構造が開示されている。この車両用ピラー構造では、フロントピラー(以下、「Aピラー」と称する。)インナパネルと、これと対向して設けられたAピラーフレームと、Aピラーインナパネルの車室内側に設けられたAピラーガーニッシュとを有しており、このAピラーインナパネルとAピラーフレームとで透明部材が保持されている。AピラーインナパネルとAピラーフレームとAピラーガーニッシュには、板厚方向に貫通された開口が形成されており、運転者はこの開口から透明部材を介してAピラーの向こう側の対象物を視認することができる。
特開2006-273057号公報
ところで、一般的に、車両衝突時に車室側部にてカーテン状に膨張展開するカーテンエアバッグは、膨張展開前の状態ではその一部がAピラーインナパネルとAピラーガーニッシュとで形成される空間内に収容されている。しかしながら、特許文献1に開示された車両用ピラー構造は、Aピラーに開口を有する構成とされており、車両前後方向にて車両前方側に配置される第1柱と、開口を挟んで車両後方側に配置される第2柱とに分割された構成とされている。したがって、AピラーインナパネルとAピラーガーニッシュとで形成される空間が小さくなる。さらに、車両運転時の視界を考慮すると、第1柱と第2柱とはそれぞれ太さを細くして長手方向に直交する断面積を小さくするのが望ましい。これらによって、カーテンエアバッグの車体への取付スペースがレイアウト上確保できない可能性がある。したがって、上記先行技術はこの点で改良の余地がある。
本発明は上記事実を考慮し、車両運転時における広い視界の確保と、カーテンエアバッグの取付スペースの確保とを両立することができるカーテンエアバッグ装置の搭載構造を得ることを目的とする。
請求項1に記載の発明に係るカーテンエアバッグ装置の搭載構造は、Aピラーを構成する第1柱と、前記第1柱と共に前記Aピラーを構成、前記第1柱から所定の間隔を空けて車両後方側に配置されている第2柱と、前記第1柱と前記第2柱との間に架け渡されると共に、運転席側から見て車両外部が視認可能な透明部材と、前記第1柱と前記第2柱とを車室側から覆うと共に、下端部が車両前後方向又は車両幅方向の少なくとも一方に沿って張り出されているAピラーガーニッシュと、前記第2柱に沿って収納されると共に、車両衝突時にガスの供給を受けて車室側部にてカーテン状に膨張展開可能に構成されかつ前端部が前記第2柱における前記Aピラーガーニッシュの前記下端部に対応した位置に固定されたカーテンエアバッグを含んで構成されているカーテンエアバッグ装置と、を有し、前記Aピラーガーニッシュは、前記第1柱に取付けられた前方側ガーニッシュと、該前方側ガーニッシュと別体で構成されかつ前記第2柱にテザークリップを介して取付けられると共に前記カーテンエアバッグを車室内側から覆いかつ前記カーテンエアバッグの膨張展開時に前記テザークリップによって前記第2柱から離間した状態で前記第2柱に保持可能に構成された後方側ガーニッシュと、を含んで構成されて、前記後方側ガーニッシュは、長尺に形成されていて前記第2柱に沿って配置される本体部と、該本体部の上方側に一体に形成された延長部とを有し、該延長部の車両上方側端部はルーフヘッドライナ―に当接されており、該延長部の車両前方側の端部は前記前方側ガーニッシュの上端部に形成された組付部に車室側から重なるように組み付けられている。
請求項1に記載の発明によれば、Aピラーの一部を構成すると共に略車両上下方向に沿って延設されている第1柱と、Aピラーの他の一部を構成すると共に第1柱に対して所定の間隔を空けて車両後方側に配置されかつ略車両上下方向に沿って延設されている第2柱とを有している。したがって、運転者は第1柱と第2柱との間に架け渡された透明部材からAピラーの向こう側の対象物を視認することができる。
また、車両衝突時にガスの供給を受けて車室側部にてカーテン状に膨張展開可能な構成とされたカーテンエアバッグを含んで構成されるカーテンエアバッグ装置が、第2柱に沿って収納されると共に、カーテンエアバッグの前端部が第2柱におけるAピラーガーニッシュの下端部に対応した位置に固定されている。Aピラーガーニッシュの下端部は、車両前後方向又は車両幅方向の少なくとも一方に沿って張り出されていることから、AピラーとAピラーガーニッシュとで形成される空間が広くなった部位でカーテンエアバッグの前端部を固定することができる。また、カーテンエアバッグにおける前端部の車体への取付スペースが確保できるため、Aピラーガーニッシュの下端部以外の部位におけるAピラーの長手方向に直交した断面積を小さくすることができる。つまり、カーテンエアバッグの車体への取付スペースを確保しながら運転時の視界を広くすることができる。
ここで、「車室側部」とは、車室における車両幅方向外側に配置されたピラーガーニッシュやフロントドアトリム(以下、単に「ドアトリム」と称する。)、リヤドアトリム等の内装部材及びサイドドアガラス等の近傍かつ車両幅方向内側の部位をいう。
また、カーテンエアバッグ装置は、第2柱に沿って収納されており、カーテンエアバッグの前端部が第2柱におけるAピラーガーニッシュの下端部に対応した位置に固定されている。ここで、一例として、カーテンエアバッグを第1柱に沿って収納した場合、カーテンエアバッグは車室側部にてカーテン状に膨張展開されることから、第1柱の車両後方側に位置する第2柱がカーテンエアバッグの円滑な膨張展開を抑制する可能性がある。しかしながら、本発明の構成では、カーテンエアバッグを第2柱に沿って収納しているので、第2柱の影響を受けることなくカーテンエアバッグを円滑に膨張展開させることができる。
また、Aピラーには、車室内側にAピラーガーニッシュが取付けられている。このAピラーガーニッシュは、第1柱に取付けられた前方側ガーニッシュと、前方側ガーニッシュと別体で構成されかつ第2柱に取付けられた後方側ガーニッシュとを含んで構成されている。また、後方側ガーニッシュは、カーテンエアバッグを車室内側から覆いかつカーテンエアバッグの膨張展開時にテザークリップによって第2柱から離間した状態で前記第2柱に保持可能に構成されている。したがって、カーテンエアバッグが膨張展開する際は、後方側ガーニッシュのみにカーテンエアバッグの展開荷重が伝達されると共に、この展開荷重によって後方側ガーニッシュは第2柱から離間されかつ前記第2柱に保持される。このため、Aピラーガーニッシュに展開荷重が局部的に加わることでの破損及びAピラーガーニッシュが車室内へ飛散するのを抑止しながら第2柱と後方側ガーニッシュとの間から車室内にカーテンエアバッグを円滑に膨張展開させることができる。
また、後方側ガーニッシュは、第2柱にテザークリップを介して取付けられているため、カーテンエアバッグが膨張展開することで後方側ガーニッシュが第2柱と離間する際にテザークリップによって後方側ガーニッシュが飛散するのを抑制することができる。
請求項2に記載の発明に係るカーテンエアバッグ装置の搭載構造は、請求項1に記載の発明において、前記テザークリップは、前記後方側ガーニッシュの上端部に一体に形成された前記延長部を含む領域において、前記後方側ガーニッシュに取り付けられている。
請求項に記載の発明に係るカーテンエアバッグ装置の搭載構造は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記カーテンエアバッグは、膨張展開時の下端部がフロントサイドドアを車室側から覆うドアトリムの上縁部と車両上下方向にて略同一又は当該上縁部より車両上方側に位置するように形成されている。
請求項に記載の発明によれば、膨張展開時におけるカーテンエアバッグの下端部は、ドアトリムの上縁部より車両上方側に位置するよう形成されている。一般的に、ロールオーバーに対応可能なカーテンエアバッグは、膨張展開時に反力をとるために、膨張展開時の下端部がドアトリムの上縁部より車両下方側に位置しており、これによってドアトリムから反力をとる。これに対し、本発明では、カーテンエアバッグの前端部がAピラーガーニッシュの下端部に対応した位置に固定されることで、カーテンエアバッグにおける前端部と後端部とを結ぶ仮想のテンションライン(特に前端部に近い車両前方側)がドアトリムの上縁部に比較的近い位置に配置される。このテンションラインは、車体に固定されたカーテンエアバッグの前端部と後端部とを結ぶことで張力が付与されるが、膨張展開時のカーテンエアバッグにおけるテンションラインと上縁部との間の部位は、テンションラインの張力の影響が及び易くなるため、車体に対する変位が抑制されて乗員を効果的に拘束できる。つまり、カーテンエアバッグは、ドアトリムから反力をとる必要がない。このため、カーテンエアバッグの下端部をドアトリムの上縁部より車両上方側に位置させることができるので、カーテンエアバッグの車両上下方向の寸法が小さくなり、カーテンエアバッグを構成する基布の歩留まりを向上させることができる。
請求項1記載の本発明に係るカーテンエアバッグ装置の搭載構造は、車両運転時における広い視界の確保と、カーテンエアバッグの取付スペースの確保とを両立することができるという優れた効果を有する。
また、請求項記載の本発明に係るカーテンエアバッグ装置の搭載構造は、カーテンエアバッグの展開性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
また、請求項記載の本発明に係るカーテンエアバッグ装置の搭載構造は、カーテンエアバッグの展開時に後方側ガーニッシュひいてはAピラーガーニッシュが飛散するのを抑制することができるという優れた効果を有する。
請求項記載の本発明に係るカーテンエアバッグ装置の搭載構造は、製造コストを低減させることができるという優れた効果を有する。
一実施形態に係るカーテンエアバッグ装置の搭載構造を有する車両の車室内を一部断面にて示す概略斜視図である。 図1に対し後方側ガーニッシュを取り外した状態を示す概略斜視図である。 図1におけるA-A線に沿って切断した状態を示す拡大断面図である。 一実施形態に係るカーテンエアバッグ装置の搭載構造を有する車両におけるカーテンエアバッグの膨張展開時の状態を示す概略側面図である。 比較例に係るカーテンエアバッグ装置の搭載構造を有する車両におけるカーテンエアバッグの膨張展開時の状態を示す概略側面図である。
以下、図1~図4を用いて、本発明に係るカーテンエアバッグ装置の搭載構造の一実施形態について説明する。なお、各図において示される矢印FRは車両前後方向前側、矢印OUTは車両幅方向外側、矢印UPは車両上下方向上側をそれぞれ示す。
図1に示されるように、本実施形態に係るカーテンエアバッグ装置の搭載構造10が適用された車両12における車室14内の車両前方側には、フロントウインドシールドガラス(以下、単に「フロントガラス」と称する。)16が設けられている。このフロントガラス16は、車室14の内側と車室14の外側とを隔てかつ板厚方向が略車両前後方向とされた透明の窓部材であり、側面視で車両上方側へ向かうに連れて車両後方側へと傾けられている。フロントガラス16の上端部は、ルーフパネル18を含んで構成されたルーフ20の前端部に接続されている。また、フロントガラス16の下端部は、車両前方側に設けられたパワーユニットルームを車両上方側から覆うフードの後端部と車両前後方向に対向して配置されており、車両幅方向に延在されたカウルに接続されている(いずれも不図示)。
フロントガラス16は、一定の板厚で形成されており、フロントガラス16の車両幅方向中間部分が車両前方側へ凸となるように緩やかな湾曲形状とされている。そして、フロントガラス16の車両幅方向外側かつフロントサイドウィンドウ22を有するフロントサイドドア(以下、単に「フロントドア」と称する。)24の車両前方側には、Aピラー26が左右一対にそれぞれ設けられている。
左右一対のAピラー26は、それぞれフロントガラス16の車両幅方向の端部16Aに沿って略車両上下方向を長手方向として延在されている。つまり、左右一対のAピラー26は、それぞれ車両上方へ向かうに連れて車両後方側へ傾けられている。以下、運転席側のAピラー26について説明するが、運転席側と反対側(助手席側)のAピラー26も同様の構成とされている。
Aピラー26は、第1柱28と第2柱30とを有している。第1柱28は、略車両上下方向に沿って延在されており、第1柱28にはフロントガラス16の車両幅方向の端部16Aがウレタン接着剤及びクッションゴム(いずれも不図示)を介して接合されている。第1柱28は、ピラーインナパネルとしての鋼板製の第1ピラーインナパネル28Aと、ピラーアウタパネルとしての鋼板製の図示しない第1ピラーアウタパネルとを含んで構成されている。第1ピラーインナパネル28Aの長手方向に直交する端部は、第1ピラーアウタパネルの長手方向に直交する端部にそれぞれ接合されており、これによって長手方向に直交する断面が閉断面となるように構成されている。
第2柱30は、第1柱28の略車両後方側に配置されている。具体的には、第2柱30は第1柱28に対して略車両前後方向にて所定の間隔を空けて配置されている。この所定の間隔は、図示しない車両用シートに着座する運転者の瞳孔中心間距離以上に設定されている。なお、「瞳孔中心間距離」とは、運転者の右目(不図示)の瞳孔中心と左目(不図示)の瞳孔中心との間の距離のことであり、例えば、日本人の成人では、約60~65mmとされている。本実施形態では、一例としてこの所定の間隔が65mmに設定されている。
また、第2柱30は、第1柱28と略平行に(略車両上下方向に沿って)延在されており、図2に示されるように、ピラーインナパネルとしての鋼板製の第2ピラーインナパネル30Aと、ピラーアウタパネルとしての鋼板製の図示しない第2ピラーアウタパネルとを含んで構成されている。第2ピラーインナパネル30Aの長手方向に直交する端部は、第2ピラーアウタパネルの長手方向に直交する端部にそれぞれ接合されており、これによって長手方向に直交する断面が閉断面となるように構成されている。
第1柱28と、第2柱30とには、透明部材としてのAピラーアウタガラス32(図1参照)が略車両幅方向外側からウレタン接着剤及びクッションゴム(いずれも不図示)を介して架け渡されている。Aピラーアウタガラス32は、略車両幅方向を板厚方向とする透明の窓部材であり、側面視で車両上方側へ向かうに連れて車両後方側へと傾けられている。なお、Aピラーアウタガラス32は、ガラスに限らず、透明の繊維強化樹脂等により構成されていてもよい。
図1に示されるように、第1柱28及び第2柱30の車両幅方向内側には、Aピラーガーニッシュ34が設けられている。このAピラーガーニッシュ34は、樹脂製とされており、第1柱28の車室内方側に設けられた前方側ガーニッシュ36と、前方側ガーニッシュ36とは別体で構成されかつ第2柱30の車室内方側に設けられた後方側ガーニッシュ38と、を含んで構成されている。
前方側ガーニッシュ36は、第1柱28に沿って略車両上下方向に延設されている(図1、図2では第1柱28を図示するため前方側ガーニッシュ36における車両下方側の部位の図示を省略)。この前方側ガーニッシュ36の車両幅方向外側面(裏面)には、複数のクリップ座及びこのクリップ座に取付けられたクリップ(いずれも不図示)が前方側ガーニッシュ36の長手方向に沿ってかつ互いに離間して設けられている。クリップ座は、第1ピラーインナパネル28Aの略車両幅方向内側の壁部28AAと対向して設けられている。そして、それぞれのクリップ座に取付けられたクリップが壁部28AAに板厚方向に貫通して形成された複数の貫通孔28B(図1、図2では1つのみ図示)に挿入されることで、前方側ガーニッシュ36は第1柱28に取付けられている。なお、前方側ガーニッシュ36の車両下方側の図示しない下端部は、インストゥルメンタルパネル(以下、単に「インパネ」と称する。)40の車両幅方向外側に形成された図示しない差込口に差し込まれている。また、前方側ガーニッシュ36の車両上方側の上端部36Aは、図示しないルーフヘッドライナに当接されている。
前方側ガーニッシュ36は、長手方向に直交する断面形状が略車両幅方向外側に向かって開口する略U字状に形成されている。前方側ガーニッシュ36と第1ピラーインナパネル28Aとの間には、図示しない収容空間が形成されており、この収容空間内には一例としてワイヤーハーネス及びホース(いずれも不図示)が配策されている。
後方側ガーニッシュ38は、第2柱30に沿って略車両上下方向に延設された本体部38Aと、本体部38Aの車両上方側に設けられた延長部38Bとを有している。本体部38Aは、図示はしないが長手方向に直交する断面形状が略車両幅方向外側に向かって開口する略U字状に形成されている。また、図3に示されるように、後方側ガーニッシュ38の車両幅方向外側面(裏面)には、クリップ座38C及びこのクリップ座38Cに取付けられたテザークリップ42が設けられている。このテザークリップの基本構成は、例えば、特開2015-202783号公報等で公知の構成とほぼ同様であるため、詳細説明を省略する。
また、本体部38Aには、長手方向における略中間部に前方側ガーニッシュ36と同様の構成のクリップ座及びこのクリップ座に取付けられたクリップ(いずれも不図示)が設けられている。
後方側ガーニッシュ38に設けられたクリップ座38Cに取付けられたテザークリップ42は、第2ピラーインナパネル30Aの平坦壁30AAに板厚方向に貫通して形成された貫通孔30Bに挿入されている。また、後方側ガーニッシュ38におけるそれ以外のクリップ座に取付けられたクリップも、第2ピラーインナパネル30Aにおける平坦壁30AAに板厚方向に貫通して形成された図示しない他の貫通孔に挿入されている。以上の構成により、後方側ガーニッシュ38は第2柱30に取付けられている。なお、図1に示されるように、後方側ガーニッシュ38の車両下方側の下端部38Dは、インパネ40に形成された差込口40Aに差し込まれている。また、後方側ガーニッシュ38の下端部38Dは、車両上方側から車両下方側へ向かうに連れて車両前後方向に沿って(具体的には車両後方側へ)なだらかに張り出した形状とされている。つまり、後方側ガーニッシュ38の下端部38Dにおける車両前後方向の寸法は、当該下端部38D以外の部位における車両前後方向の寸法よりも大きくされている。
後方側ガーニッシュ38の延長部38Bは、後方側ガーニッシュ38と一体に形成されており、延長部38Bの車両上方側端部は、ルーフヘッドライナに当接されている。また、延長部38Bの車両前方側の端部は、前方側ガーニッシュ36の上端部36Aに形成された組付部36Bに車室側から重なるように組みつけられている(図3参照)。
図2に示されるように、カーテンエアバッグ装置44は、カーテンエアバッグ46と、テザーストラップ48と、図示しないインフレータとを備えている。カーテンエアバッグ46は、インフレータからガスが供給されることによって車室側部に沿って膨張展開し(図4参照)、フロントサイドウィンドウ22及びBピラー(センタピラー)50(図4参照)の一部を覆うように形成されている。
このカーテンエアバッグ46は、一例として基布46A(図4参照)を縫製して袋状に形成されており、通常時には、折り畳まれて長尺状にされた上で、車室側部の上端部に設けられたルーフサイドレール52にインフレータと共に収納されている。この収納状態では、長尺状にされたカーテンエアバッグ46が、Aピラー26における第2柱30の長手方向略中間部からルーフサイドレール52に沿って図示しないCピラー(リヤピラー)の上端側にまで延びるように構成されている。これらのカーテンエアバッグ46の基本構成は、例えば、特開2012-40963号公報等で公知の構成とほぼ同様であるため、詳細説明を省略する。
図3に示されるように、第2柱30に沿って配設されたカーテンエアバッグ46は、後方側ガーニッシュ38のリブ38Eの先端部に当接した状態で後方側ガーニッシュ38と第2柱30とで形成される収容空間S内に収容されている。
図2に示されるように、カーテンエアバッグ46の車両前方側には、帯状に形成されたテザーストラップ48が縫製等により取付けられている。このテザーストラップ48は、第2柱30に沿って延設されていると共に、車両前方側の端部48Aにはカーテンエアバッグ46の前端部としてのブラケット54が取付けられている。このブラケット54は、一例として略車両幅方向を板厚方向とする金属製の略矩形板状に形成されており、板厚方向に貫通された図示しない貫通孔を有している。この貫通孔と、第2ピラーインナパネル30Aに形成された図示しない貫通孔とに締結具56が車室側から挿入されかつ締結されることで、ブラケット54が第2柱30ひいてはAピラー26に固定されている。なお、このブラケット54は、第2ピラーインナパネル30Aにおける後方側ガーニッシュ38の下端部38Dに対応した位置に固定されている(図1も参照)。また、カーテンエアバッグ46は、ブラケット54以外に、Aピラー26、ルーフサイドレール52及び図示しないCピラーへそれぞれ複数の固定部46C(図では一部のみ図示)によって固定されている。
ブラケット54の先端部には、板厚方向に沿って車両幅方向外側に突出された回り止め部54Aが設けられている。この回り止め部54Aは、第2ピラーインナパネル30Aに形成された図示しない貫通孔内に挿通されている。これによって、締結具56を締結する際にブラケット54が回転するのを抑制している。
テザーストラップ48は、カーテンエアバッグ46が乗員を拘束する際に、張力によりカーテンエアバッグ46(の姿勢)を車体に対し保持するようになっている。すなわち、カーテンエアバッグ46は、図4に示されるように、乗員を拘束する際に(膨張展開状態で)、図示しないCピラーでの固定部とブラケット54とを結ぶテンションラインTLに沿って作用する張力によって、車体に保持される構成である。
カーテンエアバッグ46は、膨張展開時にフロントサイドウィンドウ22を略覆いかつ下端部38Dがフロントドア24を車室側から覆う内装部材としてのドアトリム58の上縁部58Aより車両上方側に位置するように形成されている。
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
図示しないエアバッグセンサによって車両側面衝突が検知され、図示しないコントローラへ衝突信号が出力されると、コントローラでは入力された衝突信号に基いて必要と判断した場合にインフレータへ所定の電流を通電する。これにより、インフレータが作動して、ガスが折り畳み状態のカーテンエアバッグ46内へ流入される。その結果、カーテンエアバッグ46の初期膨張によりカーテンエアバッグ46が図3に示される平坦壁30AAから反力を取って後方側ガーニッシュ38に展開荷重を伝達するため、後方側ガーニッシュ38は第2柱30からテザークリップ42によって許容される範囲内で離間されかつ離間した状態で保持される。この状態で、図3に示されるように、後方側ガーニッシュ38と第2柱30との隙間からカーテンエアバッグ46が車両下方側へ向かってカーテン状に膨張展開される。これによって、乗員を拘束することができる。
また、本実施形態では、図1に示されるように、Aピラー26の一部を構成すると共に略車両上下方向に沿って延設されている第1柱28と、Aピラー26の他の一部を構成すると共に第1柱28に対して所定の間隔を空けて車両後方側に配置されかつ略車両上下方向に沿って延設されている第2柱30とを有している。したがって、運転者は第1柱28と第2柱30との間に架け渡されたAピラーアウタガラス32からAピラー26の向こう側の対象物を視認することができる。
さらに、図2に示されるように、車両衝突時にガスの供給を受けて車室側部にてカーテン状に膨張展開可能な構成とされたカーテンエアバッグ46を含んで構成されるカーテンエアバッグ装置44が、第2柱30に沿って収納されると共に、カーテンエアバッグ46におけるテザーストラップ48のブラケット54が第2柱30における後方側ガーニッシュ38の下端部38Dに対応した位置に固定されている。後方側ガーニッシュ38の下端部38Dは、車両前後方向に沿って車両後方側へ張り出されていることから、Aピラー26(第2柱30)とAピラーガーニッシュ34(後方側ガーニッシュ38)とで形成される収容空間S(図3参照)が広くなった部位でカーテンエアバッグ46のブラケット54を固定することができる。また、カーテンエアバッグ46におけるブラケット54の車体への取付スペースが確保できるため、後方側ガーニッシュ38の下端部38D以外の部位における後方側ガーニッシュ38の長手方向に直交した断面積を小さくすることができる。つまり、カーテンエアバッグ46の車体への取付スペースを確保しながら運転時の視界を広くすることができる。これにより、車両運転時における広い視界の確保と、カーテンエアバッグ46の取付スペースの確保とを両立することができる。
さらに、カーテンエアバッグ装置44は、第2柱30に沿って収納されており、カーテンエアバッグ46のブラケット54が第2柱30におけるAピラーガーニッシュ34の下端部38Dに対応した位置に固定されている。ここで、一例として、カーテンエアバッグ46を第1柱28に沿って収納した場合、カーテンエアバッグ46は車室側部にてカーテン状に膨張展開されることから、第1柱28の車両後方側に位置する第2柱30がカーテンエアバッグ46の円滑な膨張展開を抑制する可能性がある。しかしながら、本発明の構成では、カーテンエアバッグ46を第2柱30に沿って収納しているので、第2柱30の影響を受けることなくカーテンエアバッグ46を円滑に膨張展開させることができる。これにより、カーテンエアバッグ46の展開性能を向上させることができる。
さらにまた、Aピラー26には、車室内側にAピラーガーニッシュ34が取付けられている。このAピラーガーニッシュ34は、第1柱28に取付けられた前方側ガーニッシュ36と、前方側ガーニッシュ36と別体で構成されかつ第2柱30に取付けられた後方側ガーニッシュ38とを含んで構成されている。また、後方側ガーニッシュ38は、カーテンエアバッグ46を車室内側から覆いかつ第2柱30に対して離間した状態で保持可能に構成されている。したがって、カーテンエアバッグ46が膨張展開する際は、後方側ガーニッシュ38のみにカーテンエアバッグ46の展開荷重が伝達されると共に、この展開荷重によって後方側ガーニッシュ38は第2柱30に対して離間されかつ保持される。このため、Aピラーガーニッシュ34に展開荷重が局部的に加わることでの破損及びAピラーガーニッシュ34が車室内へ飛散するのを抑止しながら第2柱30と後方側ガーニッシュ38との間から車室内にカーテンエアバッグ46を円滑に膨張展開させることができる。
また、図3に示されるように、後方側ガーニッシュ38は、第2柱30にテザークリップ42を介して取付けられているため、カーテンエアバッグ46が膨張展開することで後方側ガーニッシュ38が第2柱30と離間する際にテザークリップ42によって後方側ガーニッシュ38が飛散するのを抑制することができる。これらにより、カーテンエアバッグ46の展開時に後方側ガーニッシュ38ひいてはAピラーガーニッシュ34が飛散するのを抑制することができる。
さらに、図4に示されるように、膨張展開時におけるカーテンエアバッグ46の下端部46Bは、ドアトリム58の上縁部58Aより車両上方側に位置するよう形成されている。ここで、図5に示されるように、比較例におけるカーテンエアバッグ搭載構造201では、カーテンエアバッグ200の前端部としてのブラケット202がAピラー26における長手方向略中央(Aピラーガーニッシュ34の下端部38D以外の部位に対応した位置)に固定される場合では、カーテンエアバッグ200の膨張展開時のテンションラインTLはドアトリム58の上縁部58Aに対して車両上方側に配置される。このテンションラインTLは、車体に固定されたカーテンエアバッグ200におけるブラケット54と後端部とを結ぶことで張力が付与されるが、ドアトリム58の上縁部58AとテンションラインTLとが車両側面視にて略平行かつ車両上下方向で比較的離れている。このため、膨張展開されたカーテンエアバッグ200におけるテンションラインTLと上縁部58Aとの間の部位にテンションラインTLの張力の影響が及び難い。したがって、膨張展開されたカーテンエアバッグ200におけるテンションラインTLと上縁部58Aとの間の部位は、乗員を拘束する際に車両幅方向内側から車両幅方向外側へ向かって荷重が入力されると、車体に対して変位して効果的に乗員を拘束できない可能性がある。これに対応するため、比較例のカーテンエアバッグ200は、膨張展開時に車体に対する変位を抑制することを目的に、膨張展開時の下端部200Aがドアトリム58の上縁部58Aより車両下方側に位置しており、これによってドアトリム58から反力をとっている。
これに対し、本実施形態では、図4に示されるように、カーテンエアバッグ46のブラケット54が後方側ガーニッシュ38の下端部38Dに対応した位置に固定されることで、カーテンエアバッグ46におけるブラケット54とCピラーに固定された後端部(いずれも不図示)とを結ぶ仮想のテンションラインTL(特にブラケット54に近い車両前方側)がドアトリム58の上縁部58Aに比較的近い位置に配置される。したがって、膨張展開時のカーテンエアバッグ46におけるテンションラインTLと上縁部58Aとの間の部位は、テンションラインTLの張力の影響が及び易くなるため、車体に対する変位が抑制されて乗員を効果的に拘束できる。つまり、カーテンエアバッグ46は、ドアトリム58から反力をとる必要がない。このため、カーテンエアバッグ46の下端部46Bをドアトリム58の上縁部58Aより車両上方側に位置させることができるので、カーテンエアバッグ46の車両上下方向の寸法が小さくなり、カーテンエアバッグ46を構成する基布の歩留まりを向上させることができる。これにより、製造コストを低減させることができる。
なお、上述した本実施形態では、カーテンエアバッグ46は、第2柱30に沿って収納されているが、これに限らず、第1柱28に沿って収納されてもよい。この場合、前方側ガーニッシュ36の図示しない下端部が車両前後方向に沿って張り出した形状となるのが望ましい。また、後方側ガーニッシュ38の下端部38Dが車両前後方向に沿って張り出した形状とされているが、これに限らず、前方側ガーニッシュ36も合わせて車両前後方向に沿って張り出した形状とされてもよい。
さらに、後方側ガーニッシュ38の下端部38Dは、車両前後方向に沿って張り出された形状とされているが、これに限らず、車両幅方向に沿って車両幅方向内側へ向けて張り出した形状としてもよいし、車両前後方向と車両幅方向にそれぞれ沿って張り出された形状としてもよい。同様に、前方側ガーニッシュ36においても、車両幅方向に沿って車両幅方向内側へ向けて張り出した形状としてもよいし、車両前後方向と車両幅方向にそれぞれ沿って張り出された形状としてもよいのはもちろんである。
さらにまた、カーテンエアバッグ46の下端部46Bは、膨張展開時にドアトリム58の上縁部58Aより車両上方側に位置する構成とされているが、これに限らず、上縁部58Aと車両上下方向で略同一に位置する構成としてもよい。
また、後方側ガーニッシュ38は、第2柱30にテザークリップ42を介して取付けられているが、これに限らず、テザークリップ42以外のクリップ(一例として金属製クリップ等)により車体側に取付けられた構成としてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
10 カーテンエアバッグ搭載構造(カーテンエアバッグ装置の搭載構造)
24 フロントドア(フロントサイドドア)
26 Aピラー(フロントピラー)
28 第1柱
30 第2柱
32 Aピラーアウタガラス(透明部材)
34 Aピラーガーニッシュ(フロントピラーガーニッシュ)
36 前方側ガーニッシュ
38 後方側ガーニッシュ
38D 下端部(フロントピラーガーニッシュ、後方側ガーニッシュの下端部)
42 テザークリップ
44 カーテンエアバッグ装置
46 カーテンエアバッグ
46B 下端部(カーテンエアバッグの下端部)
54 ブラケット(前端部)
58 ドアトリム(フロントドアトリム)
58A 上縁部(フロントドアトリムの上縁部)

Claims (3)

  1. フロントピラーを構成する第1柱と、
    前記第1柱と共に前記フロントピラーを構成、前記第1柱から所定の間隔を空けて車両後方側に配置されている第2柱と、
    前記第1柱と前記第2柱との間に架け渡されると共に、運転席側から見て車両外部が視認可能な透明部材と、
    前記第1柱と前記第2柱とを車室側から覆うと共に、下端部が車両前後方向又は車両幅方向の少なくとも一方に沿って張り出されているフロントピラーガーニッシュと、
    前記第2柱に沿って収納されると共に、車両衝突時にガスの供給を受けて車室側部にてカーテン状に膨張展開可能に構成されかつ前端部が前記第2柱における前記フロントピラーガーニッシュの前記下端部に対応した位置に固定されたカーテンエアバッグを含んで構成されているカーテンエアバッグ装置と、
    を有し、
    前記フロントピラーガーニッシュは
    記第1柱に取付けられた前方側ガーニッシュと
    前方側ガーニッシュと別体で構成されかつ前記第2柱にテザークリップを介して取付けられると共に前記カーテンエアバッグを車室内側から覆いかつ前記カーテンエアバッグの膨張展開時に前記テザークリップによって前記第2柱から離間した状態で前記第2柱に保持可能に構成された後方側ガーニッシュと
    含んで構成されて、
    前記後方側ガーニッシュは
    長尺に形成されていて前記第2柱に沿って配置される本体部と
    本体部の上方側に一体に形成された延長部とを有し
    延長部の車両上方側端部はルーフヘッドライナ―に当接されており、該延長部の車両前方側の端部は前記前方側ガーニッシュの上端部に形成された組付部に車室側から重なるように組み付けられている、
    カーテンエアバッグ装置の搭載構造。
  2. 前記テザークリップは、前記後方側ガーニッシュの上端部に一体に形成された前記延長部を含む領域において、前記後方側ガーニッシュに取り付けられている、
    請求項1に記載のカーテンエアバッグの搭載構造。
  3. 前記カーテンエアバッグは、膨張展開時の下端部がフロントサイドドアを車室側から覆うフロントドアトリムの上縁部と車両上下方向にて略同一又は当該上縁部より車両上方側に位置するように形成されている、
    請求項1又は請求項2に記載のカーテンエアバッグの搭載構造。
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