JP4179826B2 - 車体フード用パネル構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車車体のフードに使用された場合に対歩行者事故において歩行者の頭部に対する衝撃性が緩和され、歩行者頭部の衝突耐性が優れていると共に、更に曲げ剛性及び張り剛性等の剛性も優れた車体フード用パネル構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車等の車体の構成部材に使用されるパネル構造体には、アウターパネル(外装パネル、外板、以下単にアウターという)とインナーパネル(内装パネル、内板、以下単にインナーという)とが、間隔をおいてその縁部で連結されたパネル構造体が使用されている。また、インナー形状としては図10に示す骨組み構造で開断面構造のビーム型インナー、図11及び図12に示す閉断面構造のコーン型インナー、並びに波型インナーが考えられている。以下、波形インナーを使用したフード構造を波形フード構造、コーン型インナーを使用したフード構造をコーン型フード構造、ビーム型インナーを使用したフード構造をビーム型フード構造と呼ぶ。なお、インナーを有しないで、アウターの外周部を補強しただけのフード構造も提案されている。
【0003】
本願発明者等は、波型インナーについて、既に波形断面が規則的な場合と不規則なスプライン型インナーの場合について、特許出願している(特許出願第2001−378764号:未公開であり公知ではない)。この出願に係る発明においては、波型インナーは、ビーム型インナー及びコーン型インナーに比較して、アウターからエンジン等の剛体物までのクリアランスが小さくても、HIC値低減がより可能であり、歩行者保護に好適の構造であることを開示した。即ち、この先願に係る発明は、歩行者保護に優れた車体フード用パネル構造体であり、その初期の目的は達成された。なお、この波形インナーはアルミニウム合金製フードだけではなく、鋼製フードでも同様の歩行者保護性能を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アルミニウム合金製フードの場合、子供の頭部の衝突に比較して、衝突条件が厳しい大人の頭部の衝突に対して、頭部衝突耐性が不足するところがあり、アルミニウム又はアルミニウム合金製フードを実車に適用するために、更に一層の改善策が要望されている。また、鋼製フードの場合でも、大人の頭部の場合に頭部衝撃耐性が不足しており、更に一層の改善策が要望されている。
【0005】
アルミニウム合金製フードは、鋼製フードに比較して軽量であるところに最大の長所があり、自動車の軽量化に欠かせない技術である。しかしながら、歩行者保護のための頭部衝突耐性の問題では、この軽量であるということが逆に大きなネックとなる。特に、大人の頭部が衝突した場合に、フードの反発力が鋼製フードに比較して不足するため、頭部の速度をフードで十分に低減できず、車体内部のエンジン等のように剛性が高い部分に頭部が直接衝突しやすいという難点があり、このため、HIC値を低減しにくいという問題点がある。
【0006】
頭部の衝突耐性は、一般には、下記数式1で表されるHIC(頭部性能基準)により評価されている(自動車技術ハンドブック第3分冊試験評価編1992年6月15日第2版自動車技術会編)。
【0007】
【数1】
HIC=[1/(t2−t1)∫t1t2adt]2.5(t2−t1)
【0008】
但し、aは頭部重心における3軸合成加速度(単位はG)、t1,t2は0<t1<t2となる時刻でHIC値が最大となる時間で、作用時間(t2−t1)は15msec以下と決められている。
【0009】
歩行者保護の観点から、EEVC(European Enhanced Vehicle-Safety Committee)において、大人頭部と子供頭部の衝突耐性に関し、フードが具備すべき条件として、夫々HIC値1000以下を条件としている(EEVC Working Group 17 Report,Improved test Methods to evaluate pedestrian protection afforded by passenger cars,December 1998)。なお、EEVCにおいては、頭部衝突試験時の頭部衝突速度は40km/hrで、大人頭部(重量4.8kg、外径165mm、衝突角65度)と子供(重量2.5kg、外径130mm、衝突角50度)とが設定されている。
【0010】
而して、頭部衝突時において、歩行者頭部は、始めにアウターへ衝突し、次に変形が進みインナーを介してエンジンルーム内のエンジン等の剛体的な部品に反力が伝わり、頭部には過大な衝撃力が生じる。頭部には、主にアウターとの衝突により生じる加速度第1波(衝突開始からほぼ5msecまでの間に生じる)と、インナーが剛体物と衝突する際に生じる加速度第2波(衝突開始からほぼ5msec経過した時点以後に生じる)が作用する。加速度第1波の大きさは主にアウターの重量及び剛性で決まり、加速度第2波の大きさは主にインナーの弾塑性及び剛性で決まる。頭部の運動エネルギーはこれらのアウターとインナーの変形エネルギーにより吸収されるが、頭部の移動距離がアウターとエンジン等の剛体物との間のクリアランスを超えると、頭部は剛体物からの反力を直接受けることになり、HIC値の制限値1000を大幅に超える過大な衝撃力を受け、致命的なダメージを受けることになる。
【0011】
図13は頭部加速度波形の一例を示す。この図13は、波型インナー(実線)とコーン型インナー(破線)の場合の頭部加速度波形を比較して示している。コーン型インナーの場合は、加速度第2波が大きく、このためHIC値は1000を大きく超えている。一方、波型インナーの場合は、加速度第2波が波型インナーのクッション作用により減少し、HIC値は1095に減少している。このように波型インナーの効果は、主に、加速度第2波を低下できるところにあり、この効果はアルミニウム合金製フード及び鋼製フードの双方で確認されている。
【0012】
しかしながら、HIC値を更に低減させるためには、コーン型インナーから波型インナーに変更するだけではなく、更に一層の改善が必要である。
【0013】
図14は、Okamotoにより提案された頭部加速度波形の最適波形での加速度第1波のピーク値を示す(Okamoto(Concept of hood design for possible reduction in headinjury,14thESV conference,1994))。Okamotoが提案する内容は、加速度第1波を220G前後の値となるまで上昇させることが必要であるということである。そうすれば、HIC値は1000を超えずに頭部衝突エネルギーを効率よく吸収でき、この結果、加速度第2波も低減でき、その結果としてHIC値を低減できる。
【0014】
この考え方では、クリアランスが狭い状態で、頭部の運動エネルギを効率よく吸収するには、頭部がアウターと衝突した時点で、できるだけ多くのエネルギを消費させ、その後の運動エネルギを小さくさせることにより、加速度第2波を小さく抑えようとしている。但し、頭部がアウターと衝突した時点で、頭部加速度が220Gを超えると、加速度第1波のみでHIC値は1000を超えるため、頭部加速度の最大値は220G以下でなければならず、結果的に加速度220G程度がHIC値を最小化させるための目標値になることを示している。
【0015】
しかしながら、アルミニウム合金製フードで加速度第1波を220G程度まで上昇させることは、通常考えられるアウター板厚1mm程度、インナー板厚0.8mm程度の条件では、殆ど不可能であるといえる。ちなみに、アルミニウム合金製の波形フード構造で、アウター板厚を0.9mmとした場合の加速度第1波のピーク値は、子供頭部衝突の場合150Gから170G程度、大人頭部衝突の場合90Gから120G程度であり、特に大人頭部衝突の場合に、加速度第1波を220G程度へ上げることにより、頭部衝突耐性を向上させることができる。
【0016】
同様に、鋼製の波型フード構造においても、アウター板厚を通常の0.6mmとした場合の加速度第1波のピーク値は、子供頭部衝突の場合180Gから200G程度、大人頭部衝突の場合120Gから150G程度で、加速度第1波はアルミニウム合金製波型フード構造の場合より大きいものの、220Gに達しておらず、アルミニウム合金製の波型フード構造と同様に、加速度第1波を220G程度に上げることにより、頭部衝突耐性を向上させることができる。
【0017】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、第1に軽量なアルミニウム合金製のパネル構造体を車体フードに適用した場合の頭部衝突耐性を向上させることができ、アウターとエンジン等の剛体面とのクリアランスが小さい場合でも、頭部衝突耐性を向上させることができる車体フード用パネル構造体を提供することを目的とし、第2に鋼製フード構造においても、同様に加速度第1波を220G程度に増加させることにより、HIC値を下げることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本願第1発明に係る車体フード用パネル構造体は、鋼製又はアルミニウム合金製のアウターパネルとインナーパネルとが間隔をおいてその縁部で連結された閉断面構造の車体フード用パネル構造体において、前記インナーパネルは、複数本のビードが相互平行に設けられた波形であってその横断面がサイン曲線又はサインn乗曲線をなす形状に形成されたものであり、前記アウターパネルは、その前記インナーパネル側の面であって、エンジンルーム内の剛体物とアウターパネルとの間のクリアランスが小さい部分に、1又は複数の補強板が配置され、前記インナーパネルと前記補強板とはその接触部で相互に接合されており、前記アウターパネルと前記補強板とはその接触面の一部又は全域で相互に接合されていることを特徴とする。
【0020】
これらの車体フード用パネル構造体においては、補強板を使用して局部的にアウターの重量を増加させることにより、この部位での頭部衝突時の加速度第1波のピーク値を増加させ、その結果、加速度第2波のピーク値を低下させ、加速度波形は理想波形に近づき、HIC値は低下する。頭部衝突時の加速度第1波の発生は数ミリ秒程度の高速現象であり、衝突部位でのアウターの局部的な重量に大きく支配される。補強板の効果は、局部的な剛性増加より局部的な重量増加の効果が大きく、加速度第1波に寄与するのは衝突部位近傍のアウターと補強板の重量であり、補強板の板厚を調整することにより加速度第1波の大きさをコントロールできる。
【0021】
これらの車体フード用パネル構造体において、前記補強板は、例えば、鋼、アルミニウム合金又は鉛の金属製である。また、本発明のインナーパネルに、複数個の孔を設けることも可能である。
【0024】
これらの車体フード用パネル構造体も補強板が同様の作用効果を奏する。
【0025】
発明では、アウターとインナーとの間で、例えば、エンジン直上部のごとく、アウターと剛体面とのクリアランスが不足し、頭部衝突耐性が不足する部位に、局部的に1又は複数の鋼製、アルミニウム合金製又は鉛製の金属補強板を設ける。アルミニウム合金製波型フード構造では、加速度第1波は子供頭部衝突の場合150Gから170Gで、大人頭部衝突の場合90Gから120Gで、理想波形である加速度第1波220Gよりかなり小さい値となっている。アウター板厚を全体的に増加させるとアウター重量の大幅な増加をまねき、車体軽量化の観点から問題を生じるが、この方法によれば、この補強板によるアウター重量増加は最小限におさえられた状態で、通常のアウター板厚のみでは困難である頭部加速度波の第1波を220G程度にまで上昇できる。この結果、頭部衝突エネルギーはアウター及び補強板により効率よく吸収され、加速度第2波は低下し、頭部衝突耐性を大幅に向上できる。大人頭部衝突部位での補強板厚は子供頭部衝突部位での補強板厚より大きな値となるが、その分だけ特に大人頭部衝突においてHIC値低減効果が大きい。
【0026】
一方、鋼製波型フード構造では、アウター重量がアルミ製波型フード構造に比較して大きく、加速度第1波は子供頭部衝突の場合180Gから200G、大人頭部衝突の場合120Gから150Gとなる。このため、補強板によるHIC値低減効果はアルミニウム合金製波型フード構造の場合ほど大きくないものの、同様に大人頭部衝突の場合には有効である。
【0027】
なお、頭部衝突位置は大人頭部衝突領域と子供頭部衝突領域に分けられ、その境界線はWAD1500(Warp Around Distance 1500:車体前縁の直下の地面から車体前縁に沿ってフード上を車体後方に向かって1500mmの位置まで)である。補強板の効果が最も期待できるのは、大人頭部衝突領域のエンジン直上部であるが、子供頭部衝突領域でも補強板の板厚を調節することにより、適切な加速度第1波を得ることができ、頭部衝突耐性を向上できる。補強板は、通常フード中央部に設けられるが、クラッシュビードを考慮し、複数枚設けることも可能である。勿論、各補強板の板厚は、その部位でのアウターと剛体面とのクリアランスを考慮し、夫々最適に決定すれば補強板による重量増加を最小化できる。当然のことながら、クリアランスが大きくHIC値が小さい部位では、頭部加速度波形を最適波形にする必要はなく、補強板は不要となる。
【0030】
また、波型インナーに複数の孔を形成することにより、インナーを軽量化することができる。この孔は大小複数種類のものとすることができ、孔を設けることにより、衝突耐性は若干低下するものの、インナー板厚が厚く曲げ剛性に余裕がある場合、またはアウターからエンジン等の剛体面までのクリアランスが大きく、HIC値がそれほど問題とならない部位で、軽量化の効果が得られる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るパネル構造体を示す車幅方向の断面図、図2はそのインナー2の斜視図である。なお、図2において、インナー2には、その波型形状が分かりやすいように、メッシュを入れて図示しており、アウター1は図示していない。
【0034】
インナー2は、複数本のビードが相互に平行に適長間隔で設けられ、山と谷が車体幅方向に連なり、車体幅方向の断面が波形になるように成形されている。アルミニウム合金製波型フード構造の場合、この波型インナー2は、鋼板に比して軽量であるという利点がある。アウター1は、同様にアルミニウム合金製であり、車体の外装板としての面形状を有している。波型インナーが鋼製である場合も基本的に形状は同じである。但し、この場合、アウターとインナーの板厚は、アルミニウム合金製インナーと鋼製インナーとで曲げ剛性を同一にするという条件のもとでは、アルミニウム合金製インナーの板厚を約1/1.44で除した値となる。
【0035】
このアウター1とインナー2との間に補強板3が配置されている。本実施形態においては、この補強板3は、車幅方向の概ね中央に設けられているが、エンジンルーム内の剛体部品とのクリアランスが小さい部位についても、特に補強板3を設けることが好ましい。その理由はクリアランスが小さい部位では、HIC値が増加するので、頭部衝突エネルギーを補強板により吸収する必要があるからである。多くの場合は、エンジン頂上部でクリアランスが小さいが、特殊な場合は、例えば、フェンダー近傍部等でHIC値が増加した場合の対策として、補強板を設けることが考えられる。特に、大人の頭部衝突では、WAD1500の後方側でのHIC値増加が問題となり、このように複数の補強板を設けることが有効となる。この補強板3は、鋼板、アルミニウム合金板又は鉛板であり、アウター1を補強するものである。この補強板3はアウター1の裏面(インナー2側の面)に、そのアウターとの接触面の一部又は全域で接着剤等により接合されている。また、インナー2と補強板3とは千鳥状に配置された円形状の接着部で接合されており、インナーと補強板3とは柔に固定されている。
【0036】
このパネル構造体は、エンジンフードとして、このエンジンフードの内部に配置されたエンジン等の剛体物4から若干の距離をおくように、車体に取り付けられる。また、インナー2の車幅方向の断面における波形形状は、概ね頭部外径に近い波長のサイン曲線又はサインn乗曲線である
【0037】
次に、上述の如く構成された車体フード用パネル構造体の動作について説明する。頭部衝突時において、歩行者頭部は、始めにアウター1へ衝突し、アウター1の変形が進むと、インナー2がエンジンルーム内のエンジン等の剛体的な部品に衝突し、この剛体物からの反力が頭部に伝わり、頭部には過大な衝撃力が生じる。前述の如く、頭部には、主にアウター1との衝突により生じる加速度第1波(衝突開始からほぼ5msecまでの間に生じる)と、インナー2が剛体物と衝突する際に生じる加速度第2波(衝突開始からほぼ5msec経過した時点以後に生じる)が作用する。この加速度第1波の大きさはアウター1及び補強板3の重量及び剛性で決まり、加速度第2波の大きさは主にインナー2の弾塑性及び剛性で決まる。そして、頭部の運動エネルギーはこれらのアウター1とインナー2の変形エネルギーにより吸収されるが、本実施形態においては、補強板3を設けたので、加速度第1波を220G前後の値となるまで上昇させることができ、このため、HIC値は1000を超えずに頭部衝突エネルギーを効率よく吸収でき、この結果、加速度第2波を低減でき、HIC値を低減できる。頭部の移動距離がアウター1とエンジン等の剛体物との間のクリアランスを超えると、頭部は剛体物からの反力を直接受けることになり、HIC値の制限値1000を大幅に超える過大な衝撃力を受け、致命的なダメージを受けることになるが、本実施形態においては、補強板3によりこのような事態が生じることを回避できる。
【0038】
次に、この頭部衝突時の挙動について、数値解析した結果について説明する。図7は使用した波型フード構造の簡易解析モデル図を示す。なお、この図7では、アウターは図示されていない。この解析モデルは、アウターが6000系アルミニウム合金であり、板厚が1mmである。インナーは5000系アルミニウム合金であり、板厚が0.8mmである。エンジン等の剛体面はアウターから鉛直方向に70mmの位置に設定した。補強板は鋼板であり、板厚は1.2mmとした。
【0039】
頭部加速度の時刻暦波形につき、補強板がある場合の解析結果を図8に、補強板がない場合の解析結果を図9に示す。これらは、横軸に衝突時からの時間をとり、縦軸に衝突時の頭部加速度をとっている。補強板を設けることにより、加速度第1波は補強板がない場合の90Gから175Gに増加し、その後、この175Gを超えることなく減衰している。従って、補強板があることにより、頭部運動エネルギーはアウターと補強板により効率よく吸収され、剛体面からの反力により生じる加速度第2波は補強板がない場合の550Gから130Gに極めて大きく減少している。この結果、HIC値は6847から1003に大幅に低下する。このように、本実施形態により、パネル構造体のHIC値が著しく低減する。このように、波型フード構造において、アウター裏面(インナー側の面)に、単数又は複数の補強板を局部的に設けることにより、アルミニウム又はアルミニウム合金の軽量性を維持しつつ、特に大人頭部衝突での頭部衝突耐性を大幅に向上できる。なお、鋼製の波型フード構造の補強板についても、アルミニウム合金製波型フード構造と同様の考え方で補強板を設ければよいが、アウター重量がアルミニウム合金製のフードの場合の約2倍あり、補強板は1mm以下の値になる。
【0040】
図3は本発明の第2の実施形態におけるインナー2と補強板3を示す斜視図である。本実施形態は補強板3が3枚の場合のものであり、この補強板は、その大きさ、形状、板厚、材質、枚数等はエンジンルーム内の部品配置とクリアランス、及び保護対象とする頭部重量等により、柔軟に変更させるものである。但し、補強板の目的は頭部衝突時のアウター1の重量不足を補うことが主目的であり、材質は鋼材等比重の大きな材料が好適である。板厚は、鋼材を仮定した場合、大人頭部の衝突では、通常1mm前後が好適であり、子供頭部衝突では0.5mm前後が好適である。補強板の形状は、例えば、エンジン直上に設ける場合はエンジン角部へ頭部が衝突する場合を考慮し、エンジン形状のフード・アウターへの投影形状をやや大きくした形状になる。
【0041】
図4は図3の変形例で、車体長手方向に補強板3が3枚設けられている場合のものである。大人頭部衝突の場合、子供頭部衝突の場合、更にフード中央部に幅方向に設けられるクラッシュビードを考慮すると、補強板は3枚になる場合が考えられる。補強板の板厚は、補強板が大人頭部衝突領域にある場合の方が、子供頭部衝突領域にある場合に比較して厚くなる。
【0042】
図5は本発明の参考例に係るパネル構造体のインナーと補強板を示す斜視図である。本参考例は、インナー5がコーン型インナーの場合に、3枚の補強板3を設けたものである。このインナー5は、コーン状に盛り上がる複数個のコーン部7が格子状に整然と配置されている。本実施形態においても、補強板の大きさ、形状、板厚、材質、枚数は、波型インナーと同様である。コーン型インナーの場合は、波型インナーに比較して頭部衝突耐性が劣るため、補強板の効果も劣るが、加速度第1波は補強板を設けることにより増加するため、一定の効果がある。アウターとの接着方法は、波型インナーの場合と同様である。
【0043】
図6は本発明の第実施形態に係るパネル構造体のインナーを示す斜視図である。ここでは補強板は図示を省略してある。本実施形態のインナー2は波形インナーであるが、このインナー2は、複数の孔8が形成されていて、軽量化が図られている。この孔8の位置、大きさ、数等は、孔8を設けることによるインナーの剛性の低下を最小限に抑制しつつ、インナーの重量を低減することができるものにする。これにより、軽量なフード構造が得られる。
【0045】
また、近年、歩行者頭部衝突条件は前述の条件では厳しすぎるとの観点から、衝突速度を40km/hから35km/hに低下させ、頭部重量を大人4.8kg、子供2.5kgを3.5kgの一定値に変更し、頭部衝突エネルギーを約40%低下させる案が提案されている。本発明の補強板の効果はこのような条件下でも勿論有効であり、本発明により、アウターと剛体面とのクリアランスを減じ、設計の自由度を広げる効果が得られる。補強板の板厚については、歩行者頭部衝突条件等に応じて適時設計することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、補強板によりアウターパネルを補強するようにしたので、フードの頭部衝突耐性を大幅に向上させることができる。即ち、波型インナーを持つパネル構造体のアウターパネル裏面に補強板を設けることにより、頭部衝突エネルギーの多くの割合をアウターパネルと補強板とで吸収でき、頭部が剛体面から受ける反力を大幅に低減できるため、HIC値を著しく低下させることができる。補強板の面積は、アウターから剛体面までのクリアランスが不足した領域を囲む程度でよく、補強板の重量増を最小限度に抑制しつつ、HIC値を低減できる。特に、衝突エネルギーが大きい大人頭部衝突の場合に、本発明のHIC低減効果が大きい。
【0049】
また、波型インナーの板厚が厚く、曲げ剛性に余裕がある場合には、インナーに複数の孔を設けることにより、フードの軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る波型インナーを持つパネル構造体を示す断面図である。
【図2】 同じく、第1実施形態のインナーと補強板とを示す斜視図である。
【図3】 本発明の第2実施形態に係る波型インナーを持つパネル構造体のインナーと補強板とを示す斜視図である。
【図4】 本発明の第2実施形態の変形例に係る波型インナーを持つパネル構造体のインナーと補強板とを示す斜視図である。
【図5】 本発明の参考例に係るコーン型インナーを持つパネル構造体のインナーと補強板とを示す斜視図である。
【図6】 本発明の第実施形態に係るパネル構造体のインナーを示す斜視図である。
【図7】 波型インナーを持つパネル構造体の解析モデルを示す図である(アウターは図示せず)。
【図8】 波形インナーを持つパネル構造体の補強板を有する場合(図2)の解析結果を示す頭部加速度波形のグラフ図である。
【図9】 波形インナーを持つパネル構造体で補強板を設けない場合の解析結果を示す頭部加速度波形のグラフ図である。
【図10】 ビーム型インナーの斜視図である。
【図11】 コーン型インナーの斜視図である。
【図12】 波型インナーの斜視図である。
【図13】 波型フード構造とコーン型フード構造での頭部加速度波形を示すグラフ図である。
【図14】 頭部加速度波形の最適形状を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1:アウター
2:波型インナー
3:補強板
4:エンジンルーム内の剛体物
5:コーン型インナー
6:大人頭部インパクターモデル
7:コーン部
8:孔
9:ビーム型インナー

Claims (3)

  1. 鋼製又はアルミニウム合金製のアウターパネルとインナーパネルとが間隔をおいてその縁部で連結された閉断面構造の車体フード用パネル構造体において、前記インナーパネルは、複数本のビードが相互平行に設けられた波形であってその横断面がサイン曲線又はサインn乗曲線をなす形状に形成されたものであり、前記アウターパネルは、その前記インナーパネル側の面であって、エンジンルーム内の剛体物とアウターパネルとの間のクリアランスが小さい部分に、1又は複数の補強板が配置され、前記インナーパネルと前記補強板とはその接触部で相互に接合されており、前記アウターパネルと前記補強板とはその接触面の一部又は全域で相互に接合されていることを特徴とする車体フード用パネル構造体。
  2. 前記補強板は、鋼、アルミニウム合金又は鉛の金属製であることを特徴とする請求項1に記載の車体フード用パネル構造体。
  3. 前記インナーパネルは、複数個の孔を有することを特徴とする請求項1に記載の車体フード用パネル構造体。
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