JP2003226264A - 車体パネル - Google Patents

車体パネル

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JP2003226264A
JP2003226264A JP2002029532A JP2002029532A JP2003226264A JP 2003226264 A JP2003226264 A JP 2003226264A JP 2002029532 A JP2002029532 A JP 2002029532A JP 2002029532 A JP2002029532 A JP 2002029532A JP 2003226264 A JP2003226264 A JP 2003226264A
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徹 橋村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 凸部を有するインナパネルを設けた車体パ
ネルにおいて、凸部の間隔部を含めて、歩行者の頭部衝
突時の安全性を確保した、車体パネルを提供することで
ある。 【解決手段】 アウタパネル3 裏面にインナパネル1 が
接合された車体パネル4aにおいて、インナパネル1 には
アウタパネル3 側に頂部2aが向かう凸部2 が所定間隔を
おいて形成されているとともに、インナパネル1 の裏面
には、凸部2 の内の選択された凸部2d内を閉断面となす
ように、補強パネル6 が接合されたことである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に自動車フード
などに適し、歩行者の頭部衝突時の安全性に優れた車体
パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車のフード、ドアなどの
車体パネルには、アウタパネル (外装パネル、外板) と
インナパネル (内装パネル、内板) とが、空間を介した
閉断面構造をとって組み合わされた複合パネルが汎用さ
れる。
【0003】これら複合パネルの、特にインナパネルに
は、従来から使用されていた鋼板に代わって、軽量化の
ために、AA乃至JIS 規格による 2000 系、3000系、5000
系、6000系、7000系等の高強度で高成形性のアルミニウ
ム合金板が使用され始めている。
【0004】このアルミニウム合金製のインナパネルと
しては、従来から、鋼板製としてもよく知られている、
部分的にパネルをトリミング(除去)して軽量化し、複
数本のビームから構成されるビーム型パネルがある。
【0005】これに対し、アルミニウム合金などの軽量
材料製インナパネルとしては、USP5,244,745 号、USP
6,012,764 号、USP 5,124,191 号や、特開2000-168622
号などの公報に開示された、凸部を表面に複数 (多数)
設けたコーン型と称されるパネルが知られている。図9
に自動車のフード用のインナパネルの場合を示し、図11
に前記凸部の斜視図を示す通り、このコーン型パネル材
は、円錐台形状(断面が台形形状) のコーンと称され
る、アウタパネル側に頂部が向かう、比較的大きな凸部
(突起、ディンプル)2を、多数、パネル表面に設けてい
る。この凸部2 は、個々に独立した凸部であり、互いの
凸部同士の間 (間隔部)2c は平板乃至凹部となってい
る。
【0006】図9 のA-A 断面である図10に示すように、
自動車のフードなどでは、コーン型インナパネル1 は、
フードデザインに応じた一定の曲率を有するアウタパネ
ル3と接合され、複合パネル (フード)4として一体化さ
れている。なお、この図10の例では、アウタパネル3 側
に向かう凸部2 の平坦な頂部2a上には、樹脂層9 が配置
されている。そして、この樹脂層9 を介して、インナパ
ネル1 の凸部2 とアウタパネル3 の裏面3aとが互いに接
合されている。そして、後述する通り、アウタパネル3
周縁部のヘム(曲げ)加工による嵌合によっても、複合
パネルとして一体化されている。
【0007】前記フードなどの自動車の複合パネルに
は、薄板化、軽量化した上での高剛性化が求められてお
り、曲げ剛性や捩じり剛性あるいは張り剛性(耐デント
性)の高いことが求められている。
【0008】これに対し、特に、前記コーン型パネル
は、ビーム型パネルに比較して、高い1.2 倍程度の捩り
剛性を有している。したがって、ビーム型パネルや平板
状のパネルと比較しても、板厚を大きくすることなく、
あるいは板厚を薄くしても、自動車フードなどの複合パ
ネルの剛性が向上でき、軽量化効果が高い。
【0009】ただ、近年、自動車の複合パネルには、こ
れらの性能に加えて、歩行者などの衝突安全性の確保
が、新たに求められるようになっている。この内、特に
自動車フードでは、大人や子供の歩行者などの頭部が衝
突した際の安全性の確保が求められるようになってい
る。より具体的には、自動車フードには、前記歩行者の
頭部衝突時の安全性の基準として、国際的に、HIC 値
(Head Injury Criteria、頭部障害値) が、例えば1000
以下と、低いことが求められている。
【0010】この衝突安全性について、歩行者頭部の自
動車フードへの衝突時には、アウタパネルとインナパネ
ル (複合パネル) がフード内部に向かって変形して、内
部のエンジンルーム内蔵物( 剛体) と二次衝突して大き
な反力となり、二次的ではあるが、頭部に大きな衝撃を
与えることが問題となる。そして、この反力は前記HIC
値を1000以上に著しく高めてしまう。
【0011】即ち、図11に頭部衝突時の頭部への加速度
と時間との関係 (実線の曲線) を示す。図11の通り、頭
部衝突時の頭部への加速度の第1 波のピークは、歩行者
頭部の自動車フードへの衝突 (自動車フードの変形) で
ある。図11から分かる通り、加速度のピークには、前記
第1 波のピークP1に続く、第2 波のピークP2がある。こ
れが、前記した、自動車フードパネルが内部のエンジン
ルーム内蔵物 (剛体)との二次衝突により発生する反力
である。ここで、HIC 値とは、図11の加速度と時間との
曲線の積分値であり、HIC 値を低くするためには、前記
加速度の第1 波および第2 波のピークを下げる必要があ
る。
【0012】ただ、加速度の第1 波のピークを下げるこ
と自体は難しい。この理由は、加速度の第1 波のピーク
が、自動車フードのパネルの変形特性 (剛性) に依存す
るためである。第1 波のピークを下げるためには、自動
車フードパネルの剛性を小さくするよう、フードパネル
の構造や使用材料特性 (耐力等) を変更する。しかし、
自動車フードパネルには、前記した通り、基本要求特性
として、薄板化、軽量化した上での高剛性化が求められ
ており、フード全体としての剛性を小さくすることはで
きない。また、例えこの全体剛性を小さくしても、パネ
ルの変形ストロークの増加に伴い、却って前記加速度の
第2 波のピークが大きくなり、HIC 値自体を低くできな
い。
【0013】したがって、実際問題としてHIC 値を低く
するためには、前記加速度の第1 波のピークではなく、
前記加速度の第2 波のピークの方を下げる必要がある。
【0014】この加速度の第2 波のピークを下げる場合
に大きな問題となるのが、自動車フードパネルと内部の
エンジンルーム内蔵物との間隔 (クリアランス) であ
る。加速度の第2 波のピークは、自動車フードの内で
も、前記図10で示した、フードパネル4 ( インナパネル
1)と内部のエンジンルーム内蔵物5 との間隔 (クリアラ
ンス)Sが比較的小さいパネルの場合や、パネルの部位に
よって大きくなる。
【0015】この間隔S が小さい場合には、歩行者頭部
の衝突時の運動エネルギーを吸収できずに、フードパネ
ル4 が変形して、エンジンルーム内蔵物5 と二次衝突す
るため、頭部への反力が大きくなる。そして、この場
合、前記加速度の第2 波のピークP2は、前記図11に示し
たように、加速度の第1 波のピークP1に比して、著しく
大きくなる。この傾向が著しいのは、フード内部のエン
ジンルーム内蔵物とフードインナパネルとの最小間隔
が、特に、50mm以下であるような場合である。
【0016】これに対し、自動車フードパネルの内、内
部のエンジンルーム内蔵物が真下に無いなど、前記間隔
S が比較的大きいパネル領域などでは、歩行者頭部の衝
突時に、フードパネルが大きく変形しても、内部のエン
ジンルーム内蔵物 (剛体) と衝突しないため、前記加速
度の第2 波のピークは発生せず、HIC 値は元々低い。
【0017】但し、今日における自動車の構造において
は、排気量の増加に伴うエンジンの大型化や、多機能化
による搭載部品の増加などにより、設計上、前記間隔S
を大きくできない部位が必然的に生じる。したがって、
このようなパネルやパネル部位でも、歩行者の頭部衝突
時の前記加速度のピークを低減できる、フードパネル構
造が求められている。
【0018】これに対し、前記コーン型パネルは、アウ
タパネル側に頂部が向かう凸部の形状や大きさ、配列、
あるいは間隔 (ピッチ) などの条件を適宜選択乃至工夫
することが可能である。そして、これらの凸部条件によ
って、パネルの軽量化や剛性など他の特性を犠牲にする
ことなく、凸部自体やパネルの変形状態を調整すること
が可能である。
【0019】この結果、コーン型インナパネルの凸部へ
の歩行者頭部衝突時( 凸部に対応するアウタパネルへの
歩行者頭部衝突時) には、対応するインナパネル部位の
前記凸部条件を調整することで、凸部自体やパネル全体
を前記二次衝突時に変形しやすくし、前記二次衝突時の
歩行者頭部への反力を低減することができる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような、
コーン型インナパネルであっても、前記二次衝突時の歩
行者頭部への反力を低減することができる範囲には限度
がある。それは、歩行者頭部が、コーン型インナパネル
の凸部以外の、凸部同士の間 (間隔部2c) に衝突したよ
うな場合である。通常、歩行者頭部がフードの何処に衝
突するかは不明であり、前記した凸部以外の、コーン型
インナパネルの間隔部2cに衝突する可能性も大きい。
【0021】このコーン型インナパネルの間隔部2cは、
あくまで局部的な意味では、前記凸部に比して、剛性が
低くなる。したがって、パネル面に対しては必然的に局
部的となる歩行者の頭部衝突が、この間隔部2cに集中し
た場合、剛性が比較的低い間隔部2cの変形量が大きくな
る。
【0022】この結果、歩行者頭部の衝突時の運動エネ
ルギーを吸収できずに、特に、前記間隔部2c相当のフー
ドパネル部位が変形して、エンジンルーム内蔵物と二次
衝突する可能性が高くなる。このような事態が生じた場
合には、前記頭部への反力が大きくなる。そして、前記
図11に示したように、前記加速度の第2 波のピークP2
は、加速度の第1 波のピークP1に比して、著しく大きく
なり、HIC 値を1000以下に小さくできない可能性が高く
なる。そして、この傾向が著しいのは、やはり、前記し
た、フード内部のエンジンルーム内蔵物とフードインナ
パネルとの最小間隔が、特に50mm以下であるような、小
さい場合である。
【0023】なお、この問題は、個々に独立した凸部を
有する前記コーン型インナパネルだけの問題ではなく、
平面的に連続する畝状や条状などの種々の凸部形状を有
し、この凸部同士の間に平板乃至凹部のような間隔部を
有するインナパネルであれば共通する問題乃至課題であ
る。
【0024】したがって、現状では、コーン型インナパ
ネルを採用するしないにかかわらず、歩行者頭部がフー
ドの何処に衝突しても、HIC 値を1000以下に小さくする
ために、前記最小間隔部分を50mmを相当量越える値に大
きくするために、フード乃至ボンネットの高さを高くし
ているのが実情である。この最小間隔部分を大きくした
場合、自動車フードの設計やデザインなどが、大きく制
約や犠牲を受けざるを得ない。
【0025】また、自動車フードの設計やデザインなど
の都合から、前記最小間隔部分を50mm以下に小さくする
場合には、前記ビーム型パネルなども含め、特開平5-15
5356号公報などのように、重量増加となるグラスウール
などの衝撃吸収体をアウタとインナパネルとの間の空間
に充填しているのが実情である。しかし、衝撃吸収体の
使用のみで、その効果を出すためには、アウタとインナ
パネルとの間の空間を満たすだけの相当の量や材質の選
択が必要である。このため、車体の軽量化を犠牲にする
とともに、衝撃吸収体充填のためのコスト増や作業の煩
雑さも伴う。
【0026】このような実情に鑑み、本発明の目的は、
コーン型などの、表面に複数の凸部を有するインナパネ
ルを設けた車体パネルにおいて、凸部の間隔部を含め
て、歩行者の頭部衝突時の安全性を確保した、車体パネ
ルを提供しようとするものである。しかも、この歩行者
の頭部衝突時の安全性を、特に、フードなどの車体パネ
ル内部の内蔵物とインナパネルとの最小間隔が小さくて
も確保できる、車体パネルを提供しようとするものであ
る。
【0027】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明請求項1 の要旨は、アウタパネル裏面にイン
ナパネルが接合された車体パネルにおいて、前記インナ
パネルには前記アウタパネル側に頂部が向かう凸部が所
定間隔をおいて形成されているとともに、該インナパネ
ルの裏面には、前記凸部の内の選択された凸部内を閉断
面となすように、補強パネルが接合されたことである。
【0028】上記したように、インナパネルの凸部内を
閉断面となすように補強パネルを設けることで、インナ
パネルの凸部同士の間隔部の局部的な剛性を向上させる
ことができる。以下、フードを主たる例にして説明する
が、本発明はフードのみに限定されるものではない。
【0029】この結果、歩行者の頭部衝突が、この間隔
部に集中した場合でも、間隔部の変形量を小さくするこ
とができる。そして、フード内部のエンジンルーム内蔵
物とフードインナパネルとの最小間隔が、特に50mm以下
であるような、小さい場合であっても、間隔部相当のフ
ードパネル部位の変形による、エンジンルーム内蔵物と
の二次衝突を回避できる。そして、前記頭部への反力
(前記図12に示した加速度の第2 波のピークP2) を小さ
くできる。
【0030】更に、上記した、インナパネルの凸部同士
の間隔部の局部的な剛性の向上は、インナパネルの凸部
と間隔部との剛性の落差を小さくし、インナパネルの全
体剛性、ひいてはフードなどのパネルとしての全体剛性
を向上させる。
【0031】このため、インナパネルの凸部への歩行者
頭部衝突時 (凸部に対応するアウタパネルへの歩行者頭
部衝突時) に、凸部自体をより変形しやすく、凸部条件
を調整することが可能となる。即ち、凸部自体を変形し
やすくすることによる、インナパネルの全体剛性やフー
ドパネルとしての全体剛性の低下を、前記凸部同士の間
隔部の局部的な剛性の向上によって、補償することが可
能となる。そして、歩行者頭部がインナパネルの凸部へ
衝突した場合にも、前記二次衝突時の歩行者頭部への反
力を低減することができる。
【0032】これらの相乗作用の結果、本発明によれ
ば、歩行者頭部がインナパネルの凸部や凸部同士の間隔
部のいずれへ衝突した場合にも、また、フード内部のエ
ンジンルーム内蔵物とフードインナパネルとの最小間隔
が、特に50mm以下であるような、小さい場合であって
も、HIC 値を1000以下に小さくすることが可能となる。
【0033】そして、前記最小間隔部分を大きくする必
要がなく、自動車フードの設計やデザインなどの制約が
なく、自由度が大きくなる。
【0034】しかも、これらの効果を、従来のコーン型
などの凸部を設けたインナパネル形状を大きく変化乃至
設計変更することなく、簡便に達成可能である。また、
これらの効果は、インナパネルよりも十分薄い補強パネ
ルの板厚で達成可能であり、軽量化の阻害が最小限で済
む。
【0035】また、好ましくは、請求項2 に記載のよう
に、前記補強パネルには吸音効果を有する多数の貫通穴
が設けられているようにすることで、衝突時の歩行者の
頭部などの保護だけではなく、車体パネルに吸音効果を
持たせることが可能となる。即ち、例えば、自動車のフ
ード (ボンネット) であれば、フード内部のエンジン音
を吸音して低減し、車両走行を快適化する吸音効果が得
られる。また、多数の貫通穴を設けることで、補強パネ
ルの軽量化も可能である。
【0036】更に、インナパネルの全体剛性やフードパ
ネルとしての全体剛性をより向上させるとともに、歩行
者の頭部衝突時の保護性を増すために、請求項3 に記載
のように、前記補強パネルの端部が前記アウタパネルと
も接合されていることが好ましい。
【0037】前記補強パネルの板厚は、好ましくは、請
求項4 に記載のように、インナパネル板厚の1/2 以下と
することで、車体パネルの軽量化の阻害をより最小限化
できる。
【0038】本発明効果は、請求項5 に記載のように、
アウタパネルとインナパネルの板厚が1mm 以下であるよ
うな、薄板から構成される車体パネルで達成可能であ
り、車体パネルの軽量化も可能である。
【0039】そして、請求項6 に記載のように、車体パ
ネルを構成する各パネルの内の選択されたパネルをアル
ミニウム合金製とすることが好ましい。アルミニウム合
金は、軽量で剛性や成形性にも優れるため、車体パネル
のより一層の高剛性化と薄肉化、軽量化が可能となる。
【0040】前記凸部形状としては、請求項7 に記載の
ような、種々の凸部形状の中でも、略台形の断面形状を
有するコーン型 (円錐台形状、あるいは頭を切り取った
円錐形状) の凸部が、パネル全体の剛性向上効果が優れ
ている点で好適である。
【0041】なお、本発明では、請求項8 に記載のよう
に、軽量化などを妨げない範囲で、アウタパネル裏面の
適宜の箇所にに緩衝材を配置することを許容する。
【0042】本発明車体パネルでは、請求項9 に記載の
ように、歩行者保護が特に要求される自動車のフードに
適用されることが好ましい。
【0043】また、請求項10に記載のように、自動車の
フードであって、歩行者保護が特に難しい、フード内部
のエンジンルーム内蔵物とフードにおけるインナパネル
との最小間隔が50mm以下であるフードに適用されること
が好ましい。
【0044】更に、請求項11に記載のように、前記イン
ナパネルにおける前記凸部間の間隔部が前記フードの最
小間隔相当部位に相当するような、歩行者保護が特に難
しい部位を有するフードに適用されることが好ましい。
【0045】本発明車体パネルは、以上のような優れた
効果を有するため、自動車のフード以外にも、フェン
ダ、ドア、ルーフなどの車体パネルとして、車体パネル
全般に用いることが出来る。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図を用いて詳述する。なお、以上および以下の説明
は、自動車のフードを主体とした、衝突時の歩行者の頭
部保護を中心に説明している。しかし、フードでの歩行
者の頭部保護に有効であれば、フード以外の車体パネル
でも、衝突時の歩行者の頭部や身体の保護に有効であ
る。
【0047】図1 〜8 を用いて、自動車フードパネルの
場合に、インナパネルの裏面に補強パネルを接合する態
様を以下に説明する。先ず、図1 は、前記図10と同様
に、フードパネルの部分断面図を示している。図1 にお
いて、先ず、フードパネル( 車体パネル)4a は、アウタ
パネル3 裏面にインナパネル1 が接合され、インナパネ
ル1 にはアウタパネル3 側に頂部2aが向かう凸部2 が所
定間隔をおいて形成されている。そして、平板状の補強
パネル6 は、インナパネル1 の前記図10に例示したコー
ン型の凸部2 の内、選択された各凸部2 によって形成さ
れている各空間(凸部内)2d を閉断面となすように、イ
ンナパネル1 の裏面に接合されている。
【0048】より具体的には、この図1 では、インナパ
ネル1 のコーン型の凸部2 によって形成されている空間
(凸部内)2d を閉断面とするために、インナパネル1 の
凸部2 の各平坦部2c裏面 (間隔部裏面) において、平板
状の補強パネル6 を、ボルト、ナットあるいはセルフピ
アシングリベット等の機械的な接合手段11a により、イ
ンナパネル1 と一体に接合している。
【0049】インナパネル1 と補強パネル6 との接合手
段は、この他、インナパネル1 の凸部2 の各平坦部2c裏
面と接着剤により接合しても、接着剤と前記機械的な接
合手段とを組み合わせて使用しても良く、要は公知の接
合手段が適宜選択される。また、接合箇所である各平坦
部2cも、全部または一部であることが適宜選択される。
【0050】ただ、インナパネル1 の凸部2 によって形
成されている空間 (凸部内)2d を閉断面とするために
は、補強パネル6 を、上記した通り、インナパネルの裏
面である、凸部2 の平坦部2c裏面あるいは凸部の形状に
よっては凹部裏面などの間隔部裏面と、密接に接合する
必要がある。
【0051】補強パネル6 がインナパネルの間隔部裏面
と密接に接合されていない場合、即ち、補強パネル6
が、凸部内2dの場合を除き、凸部2 の平坦部2c裏面ある
いは凹部裏面と一定の空間や隙間を介して接合された場
合には、インナパネルの凸部内が閉断面とならない。こ
のため、補強パネルを設けても、インナパネルの凸部同
士の間隔部の局部的な剛性を向上させることができな
い。この結果、歩行者の頭部衝突が、この間隔部に集中
した場合でも、凸部の間隔部の変形量を小さくすること
ができない。
【0052】そして、フード内部のエンジンルーム内蔵
物とフードインナパネルとの最小間隔が、特に50mm以下
であるような、小さい場合に、間隔部相当のフードパネ
ル部位の変形による、エンジンルーム内蔵物との二次衝
突を回避できない可能性が高い。この結果、前記頭部へ
の反力 (前記図12に示した加速度の第2 波のピークP2)
が大きくなる。
【0053】また、補強パネル6 がインナパネルの間隔
部裏面と密接に接合されていない場合、上記した、イン
ナパネルの凸部同士の間隔部の局部的な剛性の向上によ
る、インナパネルの全体剛性、ひいてはフードパネルと
しての全体剛性を向上させることができない。このた
め、歩行者頭部がインナパネルの凸部や凸部同士の間隔
部のいずれへ衝突した場合にも、また、フード内部のエ
ンジンルーム内蔵物とフードインナパネルとの最小間隔
が、特に50mm以下であるような、小さい場合に、HIC 値
を1000以下に小さくすることができない。
【0054】但し、補強パネルによる、これらパネルの
剛性向上効果は、補強パネルの板厚が厚くなくても (薄
くても) 得られるのが、本発明の特徴でもある。言い換
えると、パネルの剛性向上効果を、本発明では、インナ
パネルの凸部によって形成されている空間 (凸部内) を
閉断面とすることで得ている。このため、補強パネルの
板厚をインナパネル板厚の1/2 以下としても、前記パネ
ルの剛性向上効果が得られる。したがって、後述する吸
音との兼ね合いはあるものの、補強パネルの板厚を薄く
できるので、補強パネルの付加による、車体パネルの軽
量化の阻害をより最小限化できる。
【0055】次に、図2 、3 、4 は、各補強パネル7 、
12、13に、各々吸音効果を有する多数の貫通穴8a、8b、
8cを設けた車体パネル4b、4c、4dの各態様を、車体パネ
ルの部分断面図で示している。
【0056】図2 の補強パネル7 は、図1 の補強パネル
6と同じく平板状の板に、吸音効果を有する多数の貫通
穴8aを設けた態様を示している。図3 の補強パネル12
は、インナパネルのコーン型凸部と相似形をしたコーン
型凸部を有する板に、吸音効果を有する多数の貫通穴8b
を設けた態様を示している。また、図4 の補強パネル13
は、エンボス成形された、比較的小さな凹凸を有する板
に、吸音効果を有する多数の貫通穴8cを設けた態様を示
している。
【0057】これらの補強パネルも、前記図1 と同様
に、インナパネル1 のコーン型の凸部2 によって形成さ
れている空間2dを閉断面とするために、インナパネル1
の凸部2 の各平坦部2c裏面 (間隔部裏面) において、補
強パネルを各々機械的な接合手段11b 、11c 、11d によ
りインナパネル1 と一体に接合している。
【0058】前記図3 、4 のように、補強パネルに凹凸
を設けた場合、貫通穴を設ける、設けないにかかわら
ず、前記図1 のような平板状の補強パネルに比して、剛
性が高くなり、板厚をより薄くできる効果もある。
【0059】このように、補強パネルに吸音効果を有す
る多数の貫通穴を設けることで、自動車のフードであれ
ば、フード内部のエンジンなどの音源に対する前面に吸
音効果を有する貫通穴を配置したことになる。この結
果、衝突時の歩行者頭部保護だけではなく、車体パネル
に、パネル内部の音源に対する吸音効果を持たせること
が可能となる。即ち、自動車のフードであれば、フード
内部のエンジン音を吸音して低減し、車両走行を快適化
する吸音効果が得られる。また、多数の貫通穴を設ける
ことで、補強パネル事態の軽量化も可能である。
【0060】多数の貫通穴を設けた補強パネルの吸音効
果は、板厚と貫通穴径、貫通穴の分布面積 (補強パネル
の設置面積) 、貫通穴前面 (アウタパネル側面) の空気
層 (空間) 厚みによって決まる。そして、板厚が厚いほ
ど、貫通穴径が小さいほど、貫通穴の分布面積が大きい
ほど、貫通穴前面 (アウタパネル側面) の空気層 (空
間) が厚いほど、前記エンジン音などの吸音効果が高
い。
【0061】この点、図2 の補強パネル7 ではインナパ
ネル1 の凸部2 内の空間2d、図3 の補強パネル12では凸
部2 内の空間2d、図4 の補強パネル13では凸部2 内の空
間2dが、各々前記貫通穴の前面 (アウタパネル側面) の
空気層を形成している。言い換えると、補強パネルに多
数の貫通穴を設けて吸音効果をもたせる場合には、イン
ナパネル1 の凸部内に、前記空間 (空気層) を持たせる
ように、補強パネルをインナパネルに接合する乃至補強
パネルの断面 (凹凸) 形状を選択する必要がある。
【0062】ただ、前記補強パネルの板厚と設置面積は
重量増加抑制との兼ね合いで、また、前記貫通穴前面の
空気層厚みは、車体パネル厚みの設計条件や車体パネル
と内蔵物との間隔の設計条件との兼ね合いでも決定され
る。これらを考慮すると、補強パネルの貫通穴の穴径は
Φ3mm 以上とし、かつ、設ける貫通穴の合計の開口率を
補強パネルの表面積 (片面) に対し1 〜5%とすることが
好ましい。
【0063】なお、補強パネルの吸音効果を増すため
に、補強パネル裏面の必要箇所に、グラスウールやフェ
ルトなどの吸音材を層状に設けても良い。例えば、従来
において、フードインナ裏面に吸音材を設ける場合に
は、吸音効果を発揮するためには、通常は最低でも10mm
以上に厚くして設ける必要がある。しかし、前記貫通穴
を設けた本発明の補強パネルでは、吸音材を新たに設け
る必要がなく、吸音材を設ける場合でも数mm程度に薄く
することが可能となる。
【0064】更に、前記貫通穴は、補強パネルの全面に
設ける必要は必ずしも無く、吸音を必要とする部位に限
定しても良い。例えば、前記インナパネル1 間隔部との
接合部には貫通穴を設けずに、この部分の接合強度を確
保し、インナパネル凸部 (底部面) に対応する領域にの
み貫通穴を設けても良い。
【0065】本発明に係る補強パネルは、軽量化を阻害
しない観点から、車体パネル乃至インナパネルの裏面全
面に設ける必要は必ずしも無い。即ち、衝突時の歩行者
頭部保護のために、例えば、フード内部のエンジンルー
ム内蔵物とフードインナパネルとの最小間隔が50mm以下
であるような小さい部位、特に大人の頭部が衝突し易い
部位など、インナパネルの凸部同士の間隔部の局部的な
剛性を向上させる必要性のある部位を選択して、その部
位に部分的に設けることができる。
【0066】また、前記貫通穴を有する吸音補強パネル
と、貫通穴がない補強パネルとを、インナパネル裏面の
必要箇所毎に使い分けることもできる。例えば、衝突時
の歩行者頭部保護が必要なインナパネル裏面箇所には貫
通穴がない補強パネルを、吸音が必要な箇所には貫通穴
がない補強パネルを設けても良い。また、衝突時の歩行
者頭部保護の点からは、補強パネルをインナパネル裏面
に部分的に設ければ良い場合でも、前記吸音効果の点か
ら、貫通穴を有する補強パネルをインナパネル裏面全面
に設けても良い。
【0067】例えば、本発明に係るフードインナパネル
1 の平面図を示す図5 では、子供の頭部が衝突し易いフ
ードの前面 (車体前部側) 部位B1に対し、特に大人の頭
部が衝突し易い部位として、フードの後面 (車体前部
側) 部位B2を選択して、この領域のインナパネル1 の裏
面に、点線で示す前記補強パネル6 、7 などを設けてい
る。子供の頭部衝突に対し、大人の頭部衝突の場合の衝
突エネルギーは高い。このため、前記フードの後面 (車
体前部側) 部位B2は、大人の頭部衝突に対して、インナ
パネルの凸部同士の間隔部の局部的な剛性をより向上さ
せ、間隔部の変形量を小さくする必要性があるからであ
る。また、前記フードの後面 (車体前部側) 部位B2は、
エンジンなどの内蔵物と車体パネルとの間隔が比較的小
さい部分でもある。
【0068】次に、アウタパネルとインナパネルとのパ
ネル構造など、前提となる車体パネル構造につき説明す
る。前記した図1 〜4 の本発明車体パネルにおいて、ア
ウタパネルとインナパネルとの車体パネル構造は、前記
図10で説明したフードなどの車体パネル構造乃至構成と
基本的に同じである。即ち、図1 〜4 において、インナ
パネル1 は、フードなどの車体デザインに応じた一定の
曲率を有するアウタパネル3 と接合され、複合パネル
(フード)4として一体化されている。
【0069】また、インナパネルのアウタパネル側に頂
部が向かう凸部形状について、以下に説明する。車体パ
ネル表面に所定間隔をおいて形成されている凸部形状
は、パネル全体の剛性を向上させる。この剛性効果が優
れる点から、また、歩行者保護効果が特に要求されてい
る点から、本発明におけるインナパネルの凸部は、前記
図11に例示したコーン型 (円錐台形状) の凸部形状が好
ましい。このコーン型凸部は、略平らな突起頂部に対す
る斜辺 (斜面) を有し、基本的に個々に独立 (孤立) し
た略同一乃至類似形状の凸部群からなる。そして、互い
の凸部同士の間 (間隔部) は平板乃至凹部となってい
る。
【0070】但し、このようなコーン型凸部以外にも、
前記斜辺を有する形状であれば、凸部が連続的に連な
り、車体の長手方向などに凸部が間隔を置いて畝状に複
数本延在するような凸部 (凹凸) も本発明凸部の範囲に
含む。この例として、従来のビード型 (部分的にパネル
をトリミングしない場合も含む) や、断面形状が波形あ
るいはエンボス成形形状などの凸部も本発明の範囲に含
む。なお、このような凸部であっても、車体の幅方向に
凸部が延在するような凸部では、特にフードではパネル
全体の剛性向上効果が無く、本発明範囲には含まない。
【0071】また、これら凸部同士が部分的に連なった
凸部群や凸部の高さや径などの大きさや形状が部位によ
り異なる凸部群、これらを組み合わせた凸部群なども変
形例として含みうる。そして、凸部を構成する斜辺 (断
面) 形状も、傾斜角度や、直線状、下方に凹むシグモー
ド曲線状、上方に膨らむ凸状曲線、これらの組み合わせ
がなどの斜面形状が適宜選択される。更に、凸部が略直
角の縦壁乃至側壁などを有している場合も適宜選択され
る。
【0072】本発明において、凸部の所定間隔や配置
(数、間隔等) 条件については、複数の凸部を設けた従
来のインナパネル (前記図9 、10により説明したコーン
型インナパネルなど) と基本的に同じである。即ち、凸
部の配置や数、あるいはピッチなどの諸条件は、パネル
車体用途からくる要求剛性などから適宜選択される。
【0073】そして、本発明では、従来の凸部には無か
った、これら凸部をより変形しやすい形状としても良
い。即ち、前記した通り、本発明においては、インナパ
ネルの凸部同士の間隔部剛性やパネルとしての全体剛性
を向上できる。このため、凸部自体の局部剛性を低下さ
せ、インナパネル凸部に対応するアウタパネルへの歩行
者頭部衝突時に、凸部をより変形しやすくし、前記二次
衝突時の歩行者頭部への反力を低減することができる。
これは、配置された凸部の内の必要箇所の凸部形状を、
より変形しやすい形状に、全面的あるいは部分的に変え
るようにしてできる。例えば、凸部を構成する前記斜辺
に、凸部自体の局部剛性を低下させ、凸部をより変形し
やすくするような、凹みや切り欠きなどを設けても良
い。
【0074】更に、インナパネルの側にも、前記吸音補
強パネルの貫通穴設置部位や範囲と対応させて、インナ
パネルの凸部や凸部以外の部位に、前記吸音効果を有す
る貫通穴を設けても良い。
【0075】本発明パネルのルーフなどの車体パネルと
して用いる場合の、他の車体部材やパネルとの接合方
法、および、フード、ドア、トランクなどのインナパネ
ルとして用いる場合のアウタパネルとの接合方法等など
は、公知の自動車車体パネル接合方法や構造に従う。
【0076】ただ、前記した通り、インナパネルの全体
剛性や車体パネルとしての全体剛性をより向上させると
ともに、歩行者の頭部衝突時の保護性を増すために、補
強パネルの端部が前記アウタパネルとも接合されている
ことが好ましい。この態様を図6 、図7 に示す。図6 、
図7 は、各々図1 、図2 における車体パネル (フード)
の左端部を示す断面図である。図6 、図7 において、樹
脂層9 を介して互いに接合された、インナパネル1 とア
ウタパネル3 とは、ヘム (ヘミング) 部10においても接
合され、複合パネルとして一体化されている。
【0077】ここで、図6 は通常のヘムによる接合方式
を示し、アウタパネル3 周縁部10のフラットヘム (ヘミ
ング) 加工(曲げ加工)により、挿入されたインナパネ
ル端部1aが、アウタパネル3 の曲げ部10a や曲げ端部10
b と嵌合されている。そして本発明では、これと同時
に、補強パネル6 の端部6aも、インナパネル端部1aと積
層されてヘム部10に挿入され、ヘム部10においてアウタ
パネルとも剛的に接合され、パネルとして一体化されて
いる。
【0078】また、図7 は、図6 のヘムよりも剛性を高
めるための別の態様を示している。即ち、アウタパネル
3 周縁部の曲げ加工により、曲げ部10a や曲げ端部10c
などの曲げ部10を形成する。一方、インナパネル端部1b
と補強パネル7 の端部7aも、前記曲げ部10に対応する形
状に曲げ加工して重ね合わせている。そして、これらア
ウタパネル3 とインナパネル1 および補強パネル7 との
端部同士を当接させ、ボルト、ナットなどの機械的な締
結手段11e などにより剛的に接合して、一体化させてい
る。なお、これらの接合の際の手段は、溶接や接着剤な
どもこれらの併用を含めて適宜選択される。
【0079】このように、補強パネルを、面としてはイ
ンナパネルに対して接合するとともに、更に補強パネル
の端部をアウタパネルとも接合して支持することで、図
8 に本発明車体パネル4aの幅方向の全体断面図を例示す
る通り、車体パネルの剛体として (断面) 構造を強化で
きる。言い換えると、補強パネル自体の剛性、この補強
パネルにより補強したインナパネルの全体剛性や車体パ
ネルとしての全体剛性をより向上できる。なお、図8
は、図1 と図6 に部分的に示した車体パネル4aの幅方向
全体の断面図である。
【0080】また、このように、補強パネルがアウタパ
ネルと接合されることで、車体パネルとしての一体的な
可撓性も増し、歩行者の頭部衝突時の衝突エネルギー
を、車体パネル自体の振動、乃至共振によって吸収でき
るという、新たな効果も期待できる。歩行者の頭部衝突
時の衝突エネルギーを、車体パネル自体の振動乃至共振
によって吸収できれば、歩行者の頭部衝突が、この間隔
部に集中した場合でも、凸部の間隔部の変形量を小さく
することができる。
【0081】本発明車体パネルで用いる材料は、アウタ
パネル、インナパネル、そして補強パネルも含めて、ア
ルミニウム合金以外に、パネル用途によっては、鋼板、
樹脂板を使用しても良い。本発明車体パネルは、材料の
違いに関わり無く、効果を発揮する。このため、アウタ
パネルを鋼板やアルミニウム合金板とし、インナパネル
を本発明凸部を有するアルミニウム合金板とするよう
な、アウタとインナで材料を変える態様でも良い。但
し、軽量化と高剛性化の特性と歩行者保護が特に要求さ
れる、フードなどの車体パネルには、アルミニウム合金
板が特に好ましい。
【0082】このアルミニウム合金板の中でも、特に、
1.0mm 以下の薄板用パネル材としては、高成形性と高強
度 (高耐力) の点で化が図れるAl-Mg-Si系(6000 系) や
Al-Mg 系(5000 系) などのアルミニウム合金板が特に好
ましい。但し、パネル要求特性を満足するものであれ
ば、前記の他、3000系、7000系等の各種アルミニウム合
金板を使用しても良い。
【0083】次に、前記した図1 の態様の本発明車体パ
ネル4aであって、補強パネル7 をインナパネル1 裏面に
のみ接合した発明例1 と、インナパネル1 裏面とともに
図6の態様のようにアウタパネル3 とも接合した発明例2
と、図10の従来の車体パネル4 の例 (従来例) の、各
々の荷重- 変位曲線の解析結果を図13に示す。図13にお
いて、実線は従来例、長い点線は発明例1 、短い点線は
発明例2 を各々示す。なお、図13には、前記した従来例
の内、車体パネル内部の内蔵物とインナパネルとの最小
間隔を80mmと大きくした場合も、一点鎖線で参考に示
す。
【0084】解析はFEM 解析を用い、コーン型凸部同士
の間隔部に、斜め上方より打撃子で荷重される場合を想
定して、モデル化した。但し、実際の車体パネル構造は
複雑であるために、簡単にはモデル化できない。このた
め、モデル化に際しては、発明例と従来例、あるいは参
考例とも、前提となる車体パネル構造が共通しているこ
とを利用して、実際の車体パネル構造を著しく簡略化し
てモデル化し、歩行者頭部保護の定性的な傾向をつかむ
ための簡素化した解析を図った。
【0085】各例とも共通したモデル化条件として、コ
ーン型凸部の大きさは、円錐台底辺の直径l2:140mmΦ、
上辺 (頂部) の直径l1:20mm Φ、高さh:30mm、凸部同士
の間隔部 (平坦部の長さ) は30mmとした。また、各例と
も共通して、アウタパネル板厚は1.0mmt、インナパネル
板厚は0.8mmt、補強パネル板厚は0.3mmtの、耐力185MP
a、伸び12% の6063の同じアルミニウム合金板とした。
【0086】図13から分かる通り、従来例の荷重- 変位
曲線は、時間 (パネル変形) の進行(ストローク) によ
って、衝突 (荷重) 初期の前記第1 波のピークP1に続
き、第2 波のピークP2では、荷重 (頭部への反力) が大
きく上昇している。このため、必然的にHIC 値を1000以
下にはできないことが予測される。
【0087】これに対し、発明例1 と2 は、時間 (パネ
ル変形) の進行によっても、従来例に比して、第2 波の
ピークP2領域では、荷重 (頭部への反力) は大きくなら
ない。特に、発明例2 は、発明例1 に比しても、第1 波
や第2 波のピークが小さくなる。これは、発明例2 が、
補強パネルがアウタパネルとも接合されることで、車体
パネルとしての一体的な可撓性も増し、歩行者の頭部衝
突時の衝突エネルギーを、車体パネル自体の振動、乃至
共振によって吸収するという効果があるものと考えられ
る。したがって、本発明によれば、HIC 値を1000以下に
低減し、頭部衝突時の歩行者の安全性を確保できる可能
性があることが分かる。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、コーン型などの、表面
に複数の凸部を有するインナパネルを設けた車体パネル
において、凸部の間隔部を含めて、歩行者の頭部衝突時
の安全性を確保した、車体パネルを提供することができ
る。しかも、この歩行者の頭部衝突時の安全性を、特
に、フード内部の内蔵物とインナパネルとの最小間隔が
小さくても確保できる、車体パネルを提供することがで
きる。このため、HIC 値を低減して、頭部衝突時の歩行
者の安全性を確保した、自動車フードなどに適した車体
パネルを提供することができる。このため、自動車など
の車体の安全性を、コストを増加させずに一段と向上さ
せることができ、工業的な価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車体パネルの1 態様を示す部分断
面図である。
【図2】本発明に係る車体パネルの別の態様を示す部分
断面図である。
【図3】本発明に係る車体パネルの別の態様を示す部分
断面図である。
【図4】本発明に係る車体パネルの別の態様を示す部分
断面図である。
【図5】図1または図2の本発明車体パネルの平面図で
ある。
【図6】本発明に係る車体パネルの端部の1例を示す部
分断面図である。
【図7】本発明に係る車体パネルの端部の別の例を示す
部分断面図である。
【図8】本発明に係る車体パネルの幅方向の全体断面図
である。
【図9】従来のコーン型インナパネルを示す平面図であ
る。
【図10】図8の A-A断面図である。
【図11】コーン型凸部を示す斜視図である。
【図12】頭部衝突時の頭部への加速度と時間との関係
(荷重- 変位曲線)を一般的に示す説明図である。
【図13】実施例における頭部衝突時の頭部への加速度
と時間との関係(荷重- 変位曲線)を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1:インナパネル、2:凸部、3:間隔部、4:車体パネル、5:
アウタパネル、6 、7 、12、13: 補強パネル、9:樹脂
層、10: アウタ曲げ部、11: 締結手段、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤本 敏雄 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 3D004 AA04 BA01 CA02 CA15 DA02 3D023 BA02 BA03 BA07 BB21 BB22 BD22 BE20

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アウタパネル裏面にインナパネルが接合
    された車体パネルにおいて、前記インナパネルには前記
    アウタパネル側に頂部が向かう凸部が所定間隔をおいて
    形成されているとともに、該インナパネルの裏面には、
    前記凸部の内の選択された凸部内を閉断面となすよう
    に、補強パネルが接合されたことを特徴とする車体パネ
    ル。
  2. 【請求項2】 前記補強パネルには吸音効果を有する多
    数の貫通穴が設けられている請求項1に記載の車体パネ
    ル。
  3. 【請求項3】 前記補強パネルの端部が前記アウタパネ
    ルとも接合されている請求項1または2に記載の車体パ
    ネル。
  4. 【請求項4】 前記補強パネルの板厚がインナパネル板
    厚の1/2 以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記
    載の車体パネル。
  5. 【請求項5】 前記アウタパネルとインナパネルの板厚
    が1mm 以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載
    の車体パネル。
  6. 【請求項6】 前記各パネルの内の選択されたパネルが
    アルミニウム合金製である請求項1乃至5のいずれか1
    項に記載の車体パネル。
  7. 【請求項7】 前記凸部が略台形の断面形状を有する請
    求項1乃至6のいずれか1項に記載の車体パネル。
  8. 【請求項8】 前記アウタパネル裏面に緩衝材が配置さ
    れた請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車体パネ
    ル。
  9. 【請求項9】 前記車体パネルが自動車のフードである
    請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車体パネル。
  10. 【請求項10】 前記フード内部のエンジンルーム内蔵
    物と、フードにおける前記インナパネルとの最小間隔が
    50mm以下である請求項9に記載の車体パネル。
  11. 【請求項11】 前記インナパネルにおける前記凸部間
    の間隔部が前記フードの最小間隔相当部位に相当する請
    求項10に記載の車体パネル。
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