JP2006335241A - バンパステイおよびバンパ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 コストや重量を上昇させずにアルミステイが衝突時のエネルギを吸収しうるバンパ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 バンパステイ1は、車体上下方向を押出方向とするアルミニウム合金押出中空形材からなり、一対の前壁5aおよび後壁5bと、これら前壁と後壁同士をつなぐ一対の側壁6a、6bとから構成された中空部を有するとともに、前壁あるいは後壁は、張出フランジ4a、4b、4c、4dを有し、この張出フランジにおいて前壁5aとバンパ補強材2あるいは後壁5bとサイドメンバ3、とが各々接合され、前記中空部内には、縦壁状の中リブ8a、8bが、前壁5aと側壁6a、6bとの交点またはその近傍、および後壁5bと前記側壁6a、6bとの交点またはその近傍同士を対角線状に結んで斜めに延在しており、側壁6a、6b同士が車体幅方向に向かって湾曲しているか、および/または、中リブ8a、8bが湾曲していることである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車体のバンパ補強材とサイドメンバとの間に配置されるアルミニウム合金バンパステイであって、オフセットバリア衝突時を想定したステイの最大荷重やエネルギ吸収特性などの特性の調整が可能なバンパステイ、および、このバンパステイを配置したバンパ装置に関する。
自動車などの車体の前端 (フロント) および後端 (リア) に取り付けられているバンパの内部には、強度補強材としてのバンパ補強材 (バンパリインフォースメントあるいはバンパアマチャアなどとも言う) が設けられている。
車体の衝突時の乗員への衝撃を緩和するために、車体のバンパ補強材と、車体側のサイドメンバ(サイドフレーム)との間に、塑性変形可能なクラッシュボックス(衝撃エネルギ吸収体)として、バンパステイ(以下単にステイとも言う)を介在させた例が、従来から提案されている。このステイは、元々バンパ補強材の後面からの支持部材 (車体連結用部材) としても役割を持つ。
従来から、軽量化のために、鋼製に代わるアルミニウム合金製ステイとして、押出中空形材などを用いたステイが種々提案、採用されている。このアルミニウム合金押出中空形材からなるステイ(以下、単にアルミステイとも言う)は、以下の二つのタイプに大別される。
1.車体前後方向(車体長手方向)を押出方向とし、押出形材の押出方向に縦圧壊するステイ(以下、縦圧壊型ステイと言う)
2.車体左右方向(車体幅方向)あるいは車体上下方向を押出方向とし、押出形材の断面方向に横圧壊するステイ(以下、横圧壊型ステイと言う)
上記縦圧壊型ステイは、衝突方向に直交する断面を閉断面構造にすることが可能であり、同一強度を得ることを考えれば、横圧壊型ステイに比べて軽量化が可能である。しかし、バンパ補強材の後面(背面)あるいはサイドメンバと接合するための取付フランジを、別途溶接などによりステイ本体の押出形材に接合する必要がある。このため、ステイ自体の製造コストが高くなるという問題がある。
これに対して、上記横圧壊型ステイは、取り付け面に合わせたフランジをステイ本体の形材とともに、予め一体に押出して形成することができる。また、バンパ端部の湾曲面や、後面のサイドメンバ形状などに合わせた形状を、押出にて一体に形成できる。そして、この押出された形材を長手方向に一定長さに切断することで、所定のステイ形状を得ることが可能であり、縦圧壊型ステイに比して、より低コストな製品を得ることができる。
上記横圧壊型ステイとして、従来から、ステイ本体の断面形状を略口型あるいは田型断面形状とし、これに他部品との取り付けに合わせた形のフランジを付与したステイが種々提案されている(特許文献1、2参照)。
また、横圧壊型ステイを構成する縦壁状リブの車体前側のみ薄肉化し、この薄肉部分を先ず座屈させた後、車体後方側の厚肉部分を座屈変形させ、二段階でエネルギを吸収しようとする例も報告されている(特許文献3参照)。更に、横圧壊型ステイのリブの変形を補強する縦壁状の中リブを、前記車体前面側フランジと前記リブとの交点またはその近傍、および前記車体後面側フランジと前記リブとの交点またはその近傍同士を対角線状に結んで斜めに延在させた例も見られる(特許文献4参照)。また、横圧壊型ステイの内部にゴム製エネルギ吸収部材を挿入した例もある(特許文献5参照)。更に、横圧壊型ステイに縦圧壊型のステイを挿入することで、取り付け性能とエネルギ吸収特性を両立しようとした例も見られる(特許文献6参照)。
特開2001−294106号公報(全文) 特開平6−227333号公報(全文) 特開2002−12103号公報(全文) 特開2005−14836号公報(全文) 特開2001−58549号公報(全文) 特開2002−12107号公報(全文)
近年、衝突安全基準の強化に従い、自動車用バンパステイにも、高いエネルギ吸収性能が要求されるようになってきた。特に、オフセットバリア衝突では、バンパ乃至バンパ補強材の片側に偏心して衝突荷重が加わる。このため、アルミステイについても、オフセットバリア衝突に対応しうるバンパ補強材の裏面(背面)に取り付けられた各々片側のアルミステイの強度やエネルギ吸収などの特性の調整が必要となる。
この強度特性の調整とは、所定の荷重制限以下で変形し、かつ、限られた変形ストロークの中で効率よく衝突エネルギを吸収することである。即ち、最も理想的にエネルギを吸収する構造体として、圧壊時の最大荷重が、目標要件を超過せず、かつ、荷重変動が無く(荷重が低下せずに)圧壊変形が進行することが求められている。
なお、アルミステイの変形荷重が荷重制限を超過した場合(圧壊時の最大荷重が高過ぎる場合)には、アルミステイよりも車体を構成するサイドメンバなどの部品が先に変形する。また、限られたストローク内でエネルギを吸収できない場合にも、当然その後方に位置する、ラジエータ、エンジン、サイドメンバなどの部品が破損するという問題が生じる。
横圧壊型のアルミステイでは、車体長手方向(車体前後方向)に亙って延在して、車体幅方向に延在するとともに車体長手方向に間隔を開けて配置された一対のフランジ同士をつないでいる。このため、横圧壊型のアルミステイでは、衝突時には、アルミステイにおける縦壁状リブが曲げ変形することで、主として衝突エネルギを吸収する。したがって、横圧壊型のアルミステイでは、この縦壁状リブの曲げ変形において安定した変形荷重が得られることが最も望ましい。
一方、自動車などの輸送機材では、地球環境保護の観点からより軽量な部品が望まれる。このため、アルミステイについても、より薄肉(軽量)で、高い変形荷重を得るために、6000系あるいは7000系などのアルミニウム合金の内でも高強度材が用いられる。なお、これらの材料は素材の耐力は高いが、塑性域での加工硬化量は小さい。
ただ、このような高強度材を、前記した車体左右方向(車体幅方向)あるいは車体上下方向を押出方向とする横圧壊型アルミステイに適用した場合、前記特許文献1、2などのタイプでは、圧壊の進行に伴い変形荷重が低下し、エネルギ吸収量が低下するという問題があった。
この原因を以下に簡単に説明する。高強度材は塑性域での加工硬化量が小さいため、縦壁状リブの曲げ変形部に加わる曲げモーメントが全塑性モーメントMp(素材耐力σy×全塑性係数Zp)に達した後はほとんど増加しない。変形荷重Pは、この曲げモーメントを、前記縦壁状リブの車幅方向距離L(車体フロント側先端から曲げ変形部までの車幅方向距離)で除したものに比例する。
つまり、圧壊変形の進行に従い、縦壁状リブの曲げ変形部は車体幅方向に広がり、かつ、この曲げ変形部に生じる曲げモーメントも増加しないため、変形荷重Pは減少していくことになる。また、ステイ長さが長くなるほど、Lは大きくなり、変形荷重の低下も顕著になるといえる。
これを回避するために縦壁状リブなどの肉厚を増加させると、最大荷重が増加するため、ステイ後方側のサイドメンバなどの破損を招くという問題がある。この点、例えば、前記特許文献3のように薄肉部と厚肉部の差異が小さければ、特許文献3で目的とする2段階の座屈モードは発生しない問題がある。これに対して、差異を大きくした場合には、薄肉部および厚肉部の座屈変形における変形荷重の差異が大きくなり、結果として、あまり大きな効果は得られないという問題があり、要は実用性に欠ける。
また、前記特許文献4におけるリブの変形を補強する斜壁を設定した例も、主に衝突に伴うステイの倒れ変形を防止するための案であり、エネルギ吸収特性の向上を目的としたものではない。この結果、前記した肉厚を増加させる手段と機構が同じとなり、最大荷重が増加するため、ステイ後方側のサイドメンバなどの破損を招くという問題がある。また、最大荷重以降の荷重低下も大きい。
更に、前記特許文献5における横圧壊型ステイの内部にゴム製エネルギ吸収部材を挿入したり、前記特許文献6における縦圧壊型のステイを挿入する例では、取り付け性能とエネルギ吸収特性を両立しようとしたものであるが、いずれも新たな部材の挿入のために、ステイの製造コストが上昇し、実用性に欠けるという問題がある。
したがって、これら従来の横圧壊型ステイでは、最大荷重を下げることと、最大荷重以降の荷重低下を抑制してエネルギ吸収量を増加させることの両立ができにくい。言い換えると、特に、オフセットバリア衝突に対応した、アルミステイの最大荷重やエネルギ吸収特性などの特性の調整ができないという大きな問題がある。
この点に鑑み、本発明は、オフセットバリア衝突に対応しうる、アルミステイの最大荷重やエネルギ吸収特性などの特性の調整が可能なバンパステイ、および、このバンパステイを配置したバンパ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明バンパステイ装置の要旨は、自動車車体のバンパ補強材とサイドメンバとの間に配置されるバンパステイであって、このバンパステイは、車体上下方向を押出方向とするアルミニウム合金押出中空形材からなり、車体幅方向に延在し車体長手方向に互いに間隔を置いて配置された一対の前壁および後壁と、車体長手方向に延在し車体幅方向に互いに間隔を置いて配置されて、これら前壁および後壁同士をつなぐ、一対の側壁とから構成された略矩形断面の中空部を有するとともに、前記前壁あるいは後壁は、前記側壁よりも車体幅方向側に張り出した張出フランジを有し、この張出フランジにおいて、前記前壁とバンパ補強材あるいは前記後壁とサイドメンバ、とが各々接合され、前記中空部内には、縦壁状の中リブが、前記前壁と前記側壁との交点またはその近傍、および前記後壁と前記側壁との交点またはその近傍同士を対角線状に結んで斜めに延在しており、前記一対の側壁同士が車体幅方向に向かって湾曲しているか、および/または、前記中リブが湾曲していることである。
また、上記目的を達成するための、本発明バンパステイ装置の要旨は、上記要旨また後述する好ましい態様のいずれかのバンパステイを、自動車車体のバンパ補強材とサイドメンバとの間に配置したことである。
本発明では、車体上下方向を押出方向とする横圧壊型アルミステイにおいて、前記側壁同士を車体幅方向に向かって湾曲させるか、および/または、前記中リブを湾曲させることを特徴とする。
なお、前記した特許文献4などのように、補強用の中リブを、前記車体前面側の前壁と前記側壁との交点またはその近傍および前記車体後面側の後壁と前記側壁との交点またはその近傍同士を対角線状に結んで延在させたような横圧壊型アルミステイは公知である。
ただ、これら横圧壊型アルミステイにおける、前記側壁にしても、また前記補強用中リブにしても、いずれも直線的な縦壁でしかない。前記側壁や前記補強用中リブを、このような直線的な縦壁とした場合には、前記した通り、前記した肉厚を増加させる手段と機構が同じとなり、最大荷重が増加する。このため、ステイ後方側のサイドメンバなどの破損を招くという問題がある。また、最大荷重以降の荷重低下も大きい。
これに対して、本発明のように、前記側壁同士を車体幅方向に向かって湾曲させるか、および/または、前記中リブを車体長手方向に向かって湾曲させた場合、横圧壊型アルミステイに対して衝突荷重が負荷された際には、前記側壁や前記中リブの曲げ変形が生じやすくなる。このため、最大荷重自体を小さく抑制できる。
このまま圧壊変形が進行した場合には、前記した通り、前記側壁や前記中リブの曲げ変形部に生じる曲げモーメントも増加しないため、変形荷重Pは減少していくことになる。
しかし、本発明横圧壊型アルミステイの場合、前記側壁同士が湾曲するか、前記中リブを、例えば複曲率を有して、湾曲させているために、更なる圧壊変形の進行に伴い、前記側壁や前記中リブの曲げ変形部同士が互いに接触しあい、互いの圧壊変形に干渉し合って、互いの圧壊変形を妨害する、特徴的な変形モードとなる。
この特徴的な変形モードによって、変形荷重が却って増加し、最大荷重以降の変形荷重の極端な低下を防止することが可能となる。
前記側壁や前記補強用中リブが直線的な縦壁とした場合にも、勿論、圧壊変形の大幅な進行に伴い、前記側壁や前記中リブの曲げ変形部同士は互いに接触しあう。しかし、本発明ほど早期には接触状態とはならず、荷重が大幅に低下した後での部材同士の接触、荷重上昇となる。このため、互いの圧壊変形に干渉し合って、互いの圧壊変形を妨害する作用が弱くなり、このような特徴的な変形モードとはならず、最大荷重以降の変形荷重の極端な低下を防止できない。
このような特徴的な変形モードは、アルミステイの前壁、後壁、側壁や、中リブの肉厚を増加させることなく達成可能である。そして、更に重要には、このような特徴的な変形モードは、アルミステイの前壁、後壁、側壁や中リブの肉厚や材料強度を変えても、変形モード自体はあまり変わらない。したがって、オフセットバリア衝突に対応して、このような特徴的な変形モードを維持したままで、最大荷重やエネルギ吸収量の特性の調整が、肉厚や材料強度の調整によって、自由に可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。図1は本発明アルミステイ1を示す斜視図、図2は図1のステイ1を装着したバンパ装置の一実施態様を示す平面図である。
(アルミステイの構造)
先ず、図1を用いて本発明アルミステイ1の構造の詳細を説明する。
アルミステイ1は、横圧壊型ステイとして、車体上下方向(図の上下方向)を押出方向とするアルミニウム合金押出中空形材からなる。その基本構成は、車体幅方向に延在し車体長手方向に互いに間隔を置いて配置された一対の縦壁状の前壁5a、後壁5b(以下、これら前壁、後壁をフランジとも言う)と、車体長手方向に延在し、車体幅方向に互いに間隔を置いて配置され、前記前壁5a、後壁5b同士をつなぐ、一対の縦壁状側壁(以下、これら側壁をリブとも言う)6a、6bとから構成された略矩形断面形状の中空部(中空形状)を有する。
ここで、車体前面側の前壁5aは、バンパ補強材後面壁との接合上、接合されるバンパ補強材の端部形状に対応した平板形状とされる。即ち、図2に示すバンパ補強材2は、直線的な中央部の両端に、車体側へ曲げられた、直線的または曲線的な湾曲部 (屈曲部) としての、斜壁部(後面壁)2a、2bを有している。このため、アルミステイ1の車体前面側の前壁5aも、このバンパ補強材2の端部形状に対応し、車体側へ傾いた斜壁状に構成している。因みに、バンパ補強材が端部形状を含めて直線的であれば、車体前面側の前壁5aも直線的となり、車体後面側の後壁5bと平行に配置される。
また、車体後面側の後壁5bは、サイドメンバ3の前面側接合用フランジ3aとの接合上、この接合されるフランジ3aに対応した形状、即ち、車体幅方向(車体幅方向)と車体上下方向(略垂直方向)に各々延在する平板形状とされている。
そして、これら前壁5a、後壁5bともに、各々側壁6a、6bよりも外側方(車体幅方向側)に張り出した、平板形状(縦壁状)の張出フランジ4a、4b、4c、4dを一体に有している。これらの各張出フランジにおいて、前壁5a、後壁5bが各々バンパ補強材2、サイドメンバ3と接合される。このような張出フランジが無いと、ステイ1自体のバンパ補強材2やサイドメンバ3との接合が困難となる。また、このような張出フランジが予めステイ本体と一体に形成されていない場合には、別途、このような張出フランジなどの取り付け部を溶接などによりステイ1に取り付ける必要があり、製造コストが高くなり、実用性が失われる。
(側壁の湾曲)
ここで、図1の実施態様では、後述する中リブとともに、側壁(縦壁状リブ)6a、6b同士が、車体幅方向(図の右上がりの斜め左右方向)であって、互いに離隔する外側方向に向かって湾曲している。
(中リブ)
また、図1の実施態様では、中空部内の2本の補強用中リブ8a、8bが、前壁5aと側壁6a、6bとの各交点(中空部のコーナー部)またはその近傍、および後壁5bと側壁6a、6bとの各交点またはその近傍同士を対角線状に結んで、中空部を4つの区画に仕切る形で、斜めに交差点9で交差しながら配置されている(延在している)。
(中リブの曲率)
そして、これら2本の補強用中リブ8a、8bは、ともに、各々車体長手方向(図の右下がりの斜め左右方向)に向かって湾曲している。より具体的には、2本の補強用中リブ8a、8bは、各々互いの交差点9を境とする複曲率(複数の曲率)を有している。この複曲率とは、一つの補強用中リブにおける、交差点9を境にした二つの部分が各々互いに異なる曲率を有する意味である。ここでいう異なる曲率とは、曲率や曲率の方向が異なるという意味である。例えば、図1の中リブ8aについてみると、中リブ8aの交差点9を境とする(図1でいう)上下部分の曲率(湾曲方向)が違っている。これは、中リブ8bの交差点9を境とする(図1でいう)左右部分の曲率(湾曲方向)も同じである。このため、補強用中リブ8a、8bの交差点9を境とする各部分は、各々時計回りに湾曲するような曲率)を有している。
補強用中リブ8a、8bが曲率を有する場合、このような複曲率の他に、単曲率がある。この単曲率とは、中リブ8a、8bが、交差点9を境にせず、全長に亙って一つの円弧を描くような一定の曲率を有する意味である。この場合に、中リブ8a、8bとで互いに曲率の方向(湾曲方向)が異なっても、同じでも良い。ただ、他の条件が同じステイにおいては、前記した複曲率の方が、この単曲率よりも、後述する、変形荷重Pを上昇させ、最大荷重以降の変形荷重の極端な低下を防止する効果は大きい。
(バンパ装置)
図2は、図1のアルミステイ1が取り付けられた本発明バンパ装置の態様を示す。図2において、バンパ補強材(バンパR/F)2は、車体幅方向に平行に延在するとともに、直線的な中央部に対して、両端部を車体方向に曲げ加工されている。アルミステイ1は、前面側をこのバンパ補強材2の両端部の斜壁部2a、2bに各々取り付けられるとともに、後面側をサイドメンバ3に取り付けられ、バンパ装置を構成している。図2において、図下方の矢印は、矢印方向、例えば車体前面方向(図の下方)から、オフセット衝突荷重がバンパ補強材2の片側に偏心して衝突荷重が負荷された場合を示す。
この図2のように、アルミステイ1は、バンパ補強材2の長手方向の左右端部部分の形状に応じて、車体幅方向(バンパ補強材2の長手方向)に2本間隔を開けて配置される。そして、図2において、アルミステイ1は、車体上下方向(図の手前と後方の方向)を押出方向とする横圧壊型ステイを構成している。ここでバンパ補強材2とサイドメンバ3は鋼製でも良いが、軽量化と衝突エネルギ吸収量の向上のためには、特にバンパ補強材2は、高強度のアルミニウム合金押出中空形材からなることが好ましい。
(ステイの接合)
図2において、アルミステイ1の車体前面側の前壁5aは、その張出フランジ4a、4bにおいて、バンパ補強材の斜壁部2a(後面壁)と接合されている。また、車体後面側の後壁5bは、張出フランジ4c、4dにおいて、サイドメンバ3の前面側接合用フランジ3aと接合される。
これらの具体的な接合は、アルミステイ1の張出フランジ4a、4bと、これに各々対応するバンパ補強材の斜壁部2aの部位、およびアルミステイ1の張出フランジ4c、4dと、これに各々対応するサイドメンバの前面側接合用フランジ3aの部位に、各々貫通穴を設け、この貫通穴にボルト7を通して機械的に接合する。なお、この貫通穴の代わりに、スタッドボルトあるいはナットなどを用いて機械的に接合しても良い。
本態様では、このようにアルミステイ1の各前壁5a、後壁5bを、バンパ補強材およびサイドメンバとの接合面に合わせたフランジ面とすることで、溶接を伴うことなく、これらの部品に容易に接合が可能である。これによって、ステイ製作コストの低減や製作効率の向上が可能である。なお、前記機械的な接合の補助として、各前壁5a、後壁5b周りなどを、溶接接合することは許容する。
(湾曲側壁および湾曲中リブの作用)
図1、2の実施態様では、側壁6a、6b同士が湾曲している。また、補強用中リブ8a、8bも曲率、それも複曲率を有して湾曲している。このため、図1、2の矢印方向(例えば車体前面方向)から、衝突荷重が負荷された場合、後述する図12、13に示すように、圧壊変形の進行に伴い、側壁6a、6bや中リブ8a、8bが曲げ変形過程において、互いの曲げ変形部同士が互いに接触しあい、交錯しあう。この曲げ変形過程における互いの曲げ変形部同士の接触や交錯によって、曲げ変形部同士は互いの圧壊変形に干渉し合って、互いの圧壊変形を妨害する特徴的な変形モードとなる。この特徴的な変形モードの発現によって、変形荷重が却って増加し、最大荷重以降の変形荷重の極端な低下を防止することが可能となる。
即ち、前記した通り、アルミステイを高強度材で形成した場合、圧壊変形の進行に従い、側壁6a、6bの曲げ変形部が車体幅方向外側に広がり、かつ、この曲げ変形部に生じる曲げモーメントも増加しないため、変形荷重Pは減少していくことになる。これに対して、本発明では、ステイの圧壊変形の進行に従い、側壁6a、6bや中リブ8a、8bが曲げ変形過程において、互いの曲げ変形部同士が互いの圧壊変形に干渉し合って、互いの圧壊変形を妨害し合い、変形荷重Pを上昇させ、最大荷重以降の変形荷重の極端な低下を防止する。
しかも、このような特徴的な変形モードは、アルミステイのフランジ、リブや中リブの肉厚を増加させることなく達成可能である。そして、更には、このような特徴的な変形モードは、アルミステイのフランジ(前壁、後壁)、リブ(側壁)や中リブの肉厚や材料強度を変えても、変形モード自体は変わらない。したがって、このような特徴的な変形モードを維持したままで、オフセットバリア衝突に対応した、最大荷重やエネルギ吸収量の特性の調整が、肉厚や材料強度の調整によって、自由に可能となる。
一方、従来のように、側壁6a、6bや補強用中リブ8a、8bを直線的な縦壁とした場合にも、勿論、圧壊変形の進行に伴い、これら側壁や中リブの曲げ変形部同士は互いに接触しあう。しかし、後述する図11のように、本発明のような曲げ変形した部材同士の接触とはならず、それまでに互いに座屈変形した部材同士による接触状態となっている。このため、互いの圧壊変形に干渉し合って、互いの圧壊変形を妨害する作用が弱くなり、このような特徴的な変形モードとはならず、最大荷重以降の変形荷重の極端な低下を防止できない。
また、側壁6a、6bや補強用中リブ8a、8bを直線的な縦壁とした場合、前記した通り、前記した肉厚を増加させる手段と機構が同じとなり、最大荷重が増加する。このため、ステイ1後方側のサイドメンバ3などの破損を招くという問題がある。また、最大荷重以降の荷重低下も大きく、エネルギ吸収量を大きくできない。
(側壁、補強用中リブの湾曲の変形例)
図3、5、6は、図1の実施態様の変形例である。図3、5、6のアルミステイの基本構成は図1の態様と同じである。
図3の態様では、ステイとなる中空形材の押出やすさと軽量化の点から、前壁5aの中央部を切り欠いて、空間10を設けている。この切り欠きは、後壁5bに設けても良く、前壁5aや後壁5bを必ずしも面一にする必要は無い。
更に、図3の態様では、補強用中リブ8a、8bの複曲率が、図1の態様の複曲率とは異なる。即ち、図1の態様の複曲率では、交差点9で仕切られた中リブ8a、8bは、交差点9を中心とする時計回りの同方向に向かって湾曲している。これに対して、図3の態様の複曲率では、中リブ8bと交差点9で仕切られた中リブ8aは、図1の態様と同じく、交差点9を中心とする時計回りの同方向に向かって湾曲している。しかし、交差点9で仕切られた中リブ8cの部分だけは、交差点9を中心とする反時計回りの同方向に向かって湾曲している。
このように、上記特徴的な変形モードを発揮させるためには、補強用中リブが、各々曲率乃至複曲率を有して、湾曲していることが必要であるが、中リブが複数ある場合の中リブの湾曲方向は、中リブ同士必ずしも同じでなくても良い。また、同様に、中リブが複数ある場合や1枚の場合でも、同じ中リブ内において、その延在方向の途中で、湾曲状態や湾曲方向を変えても良い。
図4は、図3のアルミステイ1を、前記図2と同じく、両端部を車体方向に曲げ加工されたバンパ補強材2に対して、その両端部の斜壁部2a、2bに取り付けたバンパ装置の態様を示す。図4のアルミステイ1の取り付け方や構成は、前記図2と同じである。
図5の態様では、中リブ8d、8eをともに直線的とした以外は、図1の態様と同じである。この場合、中リブ8d、8eのいずれか片方を前記図1、3と同様に湾曲させ、直線的とした中リブと湾曲した中リブとを混在させても良い。また、中リブ8d、8eの同一の中リブでも、交差点9を境に、直線的とした中リブと湾曲した中リブとを混在させても良い。
ただ、この図5の場合に、側壁6a、6bのいずれか片方を直線的とし、片方のみを前記図1、3と同様に湾曲させても、中リブ8d、8eも直線的であり、これら直線的なリブや中リブ8d、8eによって、最大荷重が増加し、上記特徴的な変形モードが発揮しずらくなる。したがって、このように、リブ6a、6bのみを湾曲させ、中リブの方を8d、8eのように湾曲させない場合には、側壁6a、6bの両方を湾曲させる必要がある。
図6の態様では、側壁6c、6dを直線的とした以外は、補強用中リブ8a、8bは各々複曲率を有して、車体長手方向に向かって湾曲されており、図1の態様と同じである。このように、中リブ8a、8bのみを湾曲させ、側壁6c、6dを直線的として湾曲させない場合には、直線的な中リブが存在すると、最大荷重が増加し、上記特徴的な変形モードが発揮しずらくなる。したがって、このような場合には、中リブ8a、8bの両方(全て)を湾曲させることが好ましい。
これら図1、3、5、6の態様では、同じ素材、形状、肉厚条件のもとでは、図1、3の態様が、最も最大荷重が小さくなる一方、上記特徴的な変形モードによる、最大荷重以降の変形荷重の低下防止効果が最も大きくなる。
(側壁か補強用中リブかのいずれかの湾曲の選択)
ここで、側壁(縦壁状リブ)か補強用中リブかのいずれか、あるいは両方を湾曲させるか否かは、目標とする変形荷重および素材、形状、肉厚などの制約条件から、適宜選択される。
図1、3の態様のように、側壁と補強用中リブとの両方を湾曲させた場合には、同じ素材、形状、肉厚条件のもとでは、いずれか片方を湾曲させた場合よりも、最大荷重は低下する。また、側壁と補強用中リブとのいずれを湾曲させた場合でも、同じ素材、形状、肉厚条件のもとでは、最大荷重の低下は同程度である。
また、上記特徴的な変形モードによる、最大荷重以降の変形荷重の低下防止効果は、図1、3の態様のように、側壁と補強用中リブとの両方を湾曲させた場合の方が、同じ素材、形状、肉厚条件のもとでは、図5、6の態様のように、いずれか片方を湾曲させた場合よりも大きい。
更に、側壁同士を、車体幅方向であって、互いに離隔する外側方向に向かって湾曲させるか、車体幅方向であって、互いに近接する内側方向に向かって湾曲させるかも、同じ素材、形状、肉厚条件のもとでは、最大荷重の低下は同程度である。また、上記特徴的な変形モードによる、最大荷重以降の変形荷重の低下防止効果も同程度である。この点、側壁同士を湾曲させる場合、後述する変形例を含めて、単曲率を有して湾曲させているが、補強用中リブのように複曲率を有して湾曲させても良い。
(ステイの変形例)
図7、9、10は、本発明に係るステイの更なる変形例を示す。
図7、9、10のアルミステイ1において、横圧壊型ステイとして、車体上下方向(図の上下方向)を押出方向とするアルミニウム合金押出中空形材からなる点は、前記図1〜6に示したアルミステイ1と同様である。また、その基本構成も、前壁(フランジ)5a、後壁(フランジ)5bと、これら一対の前壁5a、後壁5b同士をつなぐ、二枚の側壁(縦壁状リブ)6e、6fで、略矩形断面形状(中空形状)を構成する点、張出フランジ4a、4b、4c、4dや中リブ8fを有する点も同じである。
ただ、図7、9のアルミステイにおいて、前記図1〜6に示したアルミステイ1と違う点は、側壁6e、6f同士が、車体幅方向(図の左右方向)であって、互いに近接する内側方向に向かって湾曲している点である。また、中リブ8f(図7)や8g(図9、10)も1枚のみであり、前壁5aと側壁6fとの交点(中空部のコーナー部)またはその近傍、および後壁5bと側壁6eとの交点またはその近傍同士を対角線状に結んで、中空部を2つの区画に仕切る形で、斜めに延在している点である。
図7のアルミステイ1の中リブ8fは直線的であり、側壁6e、6f同士のみが、車体幅方向(図の左右方向)であって、互いに近接する内側方向に向かって湾曲している。
図9のアルミステイ1の中リブ8gは、前記単曲率を有し、車体長手方向に向かって湾曲している。側壁6e、6f同士は、図7と同様に、車体幅方向(図の左右方向)であって、互いに近接する内側方向に向かって湾曲している。
図10のアルミステイ1の中リブ8gは、図9と同様に、単曲率を有する。一方、側壁6c、6d同士は湾曲せず、前記図6の側壁6c、6dと同様に直線的である。
このような態様において、これら図7、9、10の態様では、同じ素材、形状、肉厚条件のもとでは、前記した通り、図9の態様が、最も最大荷重が小さくなる一方、上記特徴的な変形モードによる、最大荷重以降の変形荷重の低下防止効果が最も大きくなる。但し、熱間押出によるステイの製作を考慮すると、図9の態様では、側壁6fと中リブ8gとの間隔が極端に狭くなる(側壁6fと中リブ8gとのなす角度が極端に小さくなる)領域があり、中空形材として製造しにくい。このため、これら図7の態様では、図7の態様が好ましい。
図8は、図7のアルミステイ1を、前記図2、4と同じく、両端部を車体方向に曲げ加工されたバンパ補強材2に対して、その両端部の斜壁部2a、2bに取り付けたバンパ装置の態様を示す。図8のアルミステイ1の取り付け方や構成は、前記図2、4と同じである。
以上のように、本発明ステイあるいはバンパ装置では、前記した図1〜図10までのリブや中リブなどの選択的な湾曲形状の変更によって、あるいは、リブや中リブの厚みを厚くする、材料強度などを上げるなどのステイ形状条件の設計変更や、オフセットバリア衝突に対応しうるアルミステイの最大荷重やエネルギ吸収特性などの特性の調整が可能である。
(アルミステイの製造)
アルミステイ1は、前記した通り、車体上下方向を押出方向とする横圧壊型ステイを構成している。したがって、アルミステイ1は、車体上下方向を長手方向とし、図1、2の平面方向を断面方向とした、アルミニウム合金押出形材を平面方向に切断加工することで製造することができる。
したがって、張出フランジ4a、4b、4c、4dは、アルミステイ1に別途形成する乃至取り付けるような必要は一切無い。即ち、アルミニウム合金の熱間押出によって、押出中空形材として、アルミステイに一体に、かつ同時に張出フランジ4a、4b、4c、4dを形成することが可能である。したがって、ステイ製作コストの低減や製作効率の向上などの利点が大きい。
更に、アルミステイを押出中空形材とする(押出成形により形成される)ことによって、破断抑制が課題となる取り付けボルト面のみに必要な肉厚を確保し、それ以外の部分を薄肉化することで、より軽量なアルミステイとすることも可能である。
(ステイ各部の形状)
アルミステイ1を構成する一対の縦壁状側壁6a、6bについては、特に肉厚を指定しない。ただ、フランジである前壁5a、後壁5bについては、前記した通り、車体衝突時におけるサイドメンバおよびバンパ補強材との接合部におけるボルト部7の破断防止のために、取り付けボルト面に必要な肉厚を確保する必要がある。このために、前壁5a、後壁5bの部分については2mm以上の比較的厚肉であることが望ましい。
アルミステイ1の高さ、幅、肉厚などの形状については、ステイの本来の機能を発揮するとともに高エネルギ吸収量を保障するために、自動車の車種や要求衝突荷重吸収能と、アルミニウム合金の強度などの条件に応じて各々設計する。
(ステイの材質)
エネルギ吸収部8を含めて、アルミステイ1の高エネルギ吸収量を保障するためには、ステイを0.2%耐力が170MPa以上の高強度のアルミニウム合金押出形材から構成することが好ましい。
このような特性を満足する、アルミニウム合金としては、通常、この種構造部材用途に汎用される、AA乃至JIS 6000系、7000系等の耐力が比較的高く成形性も良い汎用合金であって、必要により調質されたアルミニウム合金が選択して用いられる。
前記図1、図7の本発明アルミステイをバンパ補強材2の後面壁側に設けた場合の、荷重エネルギ吸収性と変形モデルをFEM解析によって、変形荷重−背面変位関係を求め評価した。
バンパ補強材はσ0.2 が310MPa の口形断面形状を有する7000系アルミニウム合金押出中空形材、ステイはσ0.2 が225MPa の、図11(a)〜図13(a)の断面形状を有する6063系アルミニウム合金押出中空形材(重量:180g、フランジ5a、5b間の最大距離:85mm)とした。
アルミステイ1における、前壁5a、後壁5bと、側壁6a、6bとの厚みは3.0mmとした。また、バンパ補強材の後面壁の高さ(長さ)125mm、幅55mmとした。
FEM解析には、汎用の有限要素法ソフトABAQUSを用いた。また、解析条件として、ステイの後面側をサイドメンバに変わる剛体側に設けた態様とした。衝突荷重はオフセットバリア衝突を想定し、バンパ補強材の片側に偏心して片側のステイの前面側から矢印のように衝突荷重が負荷される態様とした。
図11(a)〜図13(a)に、各アルミステイを解析モデル化した例を各々示す。
図11(a)は、比較例として、補強用の中リブとリブとを直線的にした(補強用の中リブとリブとが各々湾曲していない)横圧壊型アルミステイである。
図12(a)は、前記図1の本発明アルミステイである。
図13(a)は、前記図7の本発明アルミステイである。
また、図11(b)〜図13(b)に、上記図11(a)〜図13(a)の変形モードを各々示す。
図11(b)は、図11(a)の解析による変形モードである。
図12(b)は、図12(a)の解析による変形モードである。
図13(a)は、図13(a)の解析による変形モードである。
更に、図14に、これら図11(a)〜図13(a)の解析モデルの、変形荷重−背面変位関係を各々示す。
図14に示す変形荷重−背面変位関係の内、太い実線で示すのが図11の比較例モデル、細い実線で示すのが図12の発明例モデル、点線で示すのが図13の発明例モデルである。
図11の比較例モデルは、最大荷重も大きく、また最大荷重後に変形荷重が大きく低下しているのが分かる。
これに対して、図12、13の発明例モデルは、下方の各細い実線や点線の通り、最大荷重も小さく抑制され、また最大荷重後に変形荷重低下も抑制されていることが分かる。
これは、図12(b)〜図13(b)に各々示すように、圧壊変形の進行に伴い、側壁や中リブが曲げ変形過程において、互いの曲げ変形部同士の接触や交錯によって、曲げ変形部同士は互いの圧壊変形に干渉し合って、互いの圧壊変形を妨害する、前記した特徴的な変形モードとなっているためである。
このため、図12、13の発明例モデルは、側壁や中リブの厚みを厚くする、あるいは材料強度などを上げるなどのステイ側の簡単な設計変更によって、移行を矢印で示すように、上方の各細い実線や点線の通り、エネルギ吸収量を調整することが可能である。即ち、前記した特徴的な変形モードを維持したままで、最大荷重の増大や最大荷重後の変形荷重低下無しに、上昇させることができる。また、側壁や中リブの厚みを薄くする、あるいは材料強度などを下げるなどの設計変更によって、同様に変形荷重−背面変位曲線をそのままの形で下降させることもできる。
一方、図11の比較例モデルは、図11(b)に示すように、前記した本発明のような特徴的な変形モードとはならず、最大荷重以降の変形荷重の極端な低下を防止できない。また最大荷重も大きい。このため、側壁や中リブの厚みを厚くする、あるいは材料強度などを上げるなどのステイ側を設計変更しても、最大荷重が大きく、最大荷重以降の変形荷重の極端な低下、という特徴はそのまま保持されるために、ステイ側の設計変更によっても、オフセットバリア衝突に対応しうるアルミステイの最大荷重やエネルギ吸収特性などの特性の調整は不可能である。
これらの結果から、本発明は、最大荷重を小さく抑制でき、また最大荷重後に変形荷重低下も抑制できることが分かる。そして、更に、オフセットバリア衝突に対応しうる、アルミステイの最大荷重やエネルギ吸収特性などの特性の調整が可能であることが分かる。即ち、側壁や中リブの厚みを厚くする、あるいは材料強度などを上げるなどのステイ形状条件の設計変更や、前記図1〜図10までの側壁や中リブなどの選択的な湾曲形状の変更によって、オフセットバリア衝突に対応しうるアルミステイの最大荷重やエネルギ吸収特性などの特性の調整が可能である。
以上のように、本発明は、コストや重量を上昇させずに、最大荷重を小さく抑制でき、最大荷重後の変形荷重低下も抑制でき、更に、オフセットバリア衝突時を想定した、アルミステイの最大荷重やエネルギ吸収特性などの特性の調整が可能なバンパステイおよびバンパ装置を提供することができる。したがって、オフセットバリア衝突対応用のバンパステイおよびバンパ装置として好適である。
本発明バンパステイの一実施態様を示す斜視図である。 図1のバンパステイを用いた本発明バンパ装置の一実施態様を示す平面図である。 本発明バンパステイの他の実施態様を示す斜視図である。 図3のバンパステイを用いた本発明バンパ装置の一実施態様を示す平面図である。 本発明バンパステイの他の実施態様を示す斜視図である。 本発明バンパステイの他の実施態様を示す斜視図である。 本発明バンパステイの他の実施態様を示す斜視図である。 図7のバンパステイを用いた本発明バンパ装置の一実施態様を示す平面図である。 本発明バンパステイの他の実施態様を示す斜視図である。 本発明バンパステイの他の実施態様を示す斜視図である。 比較例バンパステイの解析モデルと変形モードを示す説明図である。 発明例バンパステイの解析モデルと変形モードを示す説明図である。 発明例バンパステイの解析モデルと変形モードを示す説明図である。 実施例におけるバンパステイの変形荷重−背面変位関係を示す説明図である。
符号の説明
1:ステイ、2:バンパ補強材、3:サイドメンバ、4:張出フランジ
5:フランジ、6:リブ、7:ボルト、8:補強用中リブ、
9:中リブの交差点、10:切欠き部

Claims (8)

  1. 自動車車体のバンパ補強材とサイドメンバとの間に配置されるバンパステイであって、このバンパステイは、車体上下方向を押出方向とするアルミニウム合金押出中空形材からなり、車体幅方向に延在し車体長手方向に互いに間隔を置いて配置された一対の前壁および後壁と、車体長手方向に延在し車体幅方向に互いに間隔を置いて配置されて、これら前壁および後壁同士をつなぐ、一対の側壁とから構成された略矩形断面の中空部を有するとともに、前記前壁あるいは後壁は、前記側壁よりも車体幅方向側に張り出した張出フランジを有し、この張出フランジにおいて、前記前壁とバンパ補強材あるいは前記後壁とサイドメンバ、とが各々接合され、前記中空部内には、縦壁状の中リブが、前記前壁と前記側壁との交点またはその近傍、および前記後壁と前記側壁との交点またはその近傍同士を対角線状に結んで斜めに延在しており、前記一対の側壁同士が車体幅方向に向かって湾曲しているか、および/または、前記中リブが湾曲していることを特徴とするバンパステイ。
  2. 前記中リブが2本、互いに交差して配置されている請求項1に記載のバンパステイ。
  3. 前記2本の中リブが各々複曲率を有して湾曲している請求項2に記載のバンパステイ。
  4. 前記側壁同士が、車体幅方向であって、互いに離隔する外側方向に向かって湾曲している請求項1乃至3のいずれか1項に記載のバンパステイ。
  5. 前記側壁同士が、車体幅方向であって、互いに近接する内側方向に向かって湾曲している請求項1乃至3のいずれか1項に記載のバンパステイ。
  6. 前記前面壁がバンパ補強材後面側の傾斜あるいは湾曲形状に応じた、傾斜あるいは湾曲形状をしている請求項1乃至5のいずれか1項に記載のバンパステイ。
  7. 前記アルミニウム合金押出中空形材が0.2%耐力が190MPa以上である6000系または7000系アルミニウム合金からなる請求項1乃至6のいずれか1項に記載のバンパステイ。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかのバンパステイを、自動車車体のバンパ補強材とサイドメンバとの間に配置したバンパ装置。
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