JP3674918B2 - 車体フード用パネル構造体 - Google Patents

車体フード用パネル構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP3674918B2
JP3674918B2 JP2001378764A JP2001378764A JP3674918B2 JP 3674918 B2 JP3674918 B2 JP 3674918B2 JP 2001378764 A JP2001378764 A JP 2001378764A JP 2001378764 A JP2001378764 A JP 2001378764A JP 3674918 B2 JP3674918 B2 JP 3674918B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
corrugated
panel
head
hood
wave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001378764A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003205866A (ja
Inventor
敏雄 藤本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2001378764A priority Critical patent/JP3674918B2/ja
Publication of JP2003205866A publication Critical patent/JP2003205866A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3674918B2 publication Critical patent/JP3674918B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Superstructure Of Vehicle (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歩行者保護における頭部の衝撃耐性に優れ、さらに曲げ剛性や張り剛性などの剛性に優れたアルミニウム合金製や鋼製などの金属製の車体フード用パネル構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車などの車体部材のパネル構造体には、アウターパネル(外装パネル、外板、以下単にアウターと言う)とインナーパネル(内装パネル、内板、以下単にインナーと言う)とが、空間を介した閉断面構造をとって組み合わされたパネル構造体が汎用される。
【0003】
この内、特に、自動車のフード、ルーフ、ドアなどのパネル構造体部分には、アウターと、このアウターを補強するためにアウターの車体下側に設けられたインナーとが、機械的、溶接、樹脂等の接着剤などの手段により結合されたパネル構造体が用いられる。
【0004】
これら車体用パネル構造体の、特にインナー、およびインナーとアウターの両方には、従来から使用されていた鋼材とともに、あるいは鋼材に代わって、軽量化のために、AA乃至JIS規格による3000系、5000系、6000系、7000系等の高強度で高成形性のアルミニウム合金板(以下、アルミニウムを単にAlと言う)が使用され始めている。
【0005】
近年、このAl合金製を含めて自動車のパネル構造体部分には、薄板化、軽量化した上での高剛性化が求められ、部材特性として曲げ剛性や捩じり剛性あるいは張り剛性(耐デント性)の高いことが求められている。
【0006】
従来から、車体フード用インナーには、パネル各部に軽量化のためのトリム部を有するビーム型インナーと、閉断面構造を前提にトリム部を有していないことを特徴とするコーン型インナーがある。コーン型インナーには、断面形状が台形をしているコーンと称される比較的大きな凸部(突起)が規則的な間隔で配置されている。このインナーを用いたフード構造(コーン型フード構造)は、フードの剛性設計上、張り剛性と曲げ剛性に関してはビーム型インナーを用いた構造(ビーム型フード構造)と同等である反面、捩り剛性に関してはビーム型フード構造に比較し約2倍と極めて高く優れており、近年注目されている。
【0007】
一方、近年、歩行者保護の観点から、フードの設計要件として頭部衝突時の安全性が要求される傾向にあり、ビーム型フード構造に関しいくつかの開示(特開平7−165120、特開平7−285466、特開平5−139338)がある。また、EEVC(European Enhanced Vehicle-Safety Committee)において、大人頭部と子供頭部の衝突耐性に関し、フードが具備すべき条件として、各々HIC値1000以下を条件としている(EEVC Working Group 17 Report,Improved test Methods to evaluate pedestrian protection afforded by passenger cars,December 1998に記載)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
(課題1張り剛性の高剛性化)
しかし、これら従来のコーン型やビーム型インナーでは、前記薄板化、軽量化した上での高剛性化の要求に対し、応えられない場合が生じている。
【0009】
まず、図13(a)のパネル構造体の縦断面図と図13(b)のインナーの平面図に示すように、コーン型インナー13は、インナー13の表面に、コーン状の凸部(突起)14を多数、規則的な間隔で配置している。この凸部14同士の間は平板部乃至凹部16となっている。そして、21は、パネル外周部に設けられたコの字状のビードで、インナーの剛性補強用として汎用されている。
【0010】
そして、図13(a)に示すように、コーン型インナー13は、一定の曲率を有するAl合金製アウター12と、空間を介した閉断面構造となるように接合され、パネル構造体11として一体化されている。なお、この図13(a)の例では、インナー13の凸部14の平坦な頂部14a上には樹脂層15が配置され、この樹脂層15を介して、インナー13の凸部14とアウター12の裏面12aとが互いに接合され、また、パネル周縁部のヘム(曲げ)加工による嵌合によって、パネル構造体として一体化されている。
【0011】
一方、図14に、ビーム型インナーの車体フード用への適用例を斜視図で示す。この図14のように、ビーム型インナー17はパネルの平面方向の縦、横、斜め方向に適宜交差して延在するビーム19から構成され、ビーム19の間はトリム(肉抜き)された空間部20を有するトリム構造を有している。そして、ビーム型インナー17も、アウター18の裏面と、空間を介した閉断面構造となるように接合され、パネル構造体として一体化されている。
なお、パネル構造体は、前記コーン型インナーも含めて、更に、ヒンジレインフォースメント21やラッチレインフォースメント22などの補強部材によって、局部補強されている。
【0012】
これらコーン型フード構造は、従来汎用されているビーム型フード構造に比較し、捩り剛性に関し約2倍の剛性を有しており、剛性設計上優れていると言える。これは、コーン型フード構造の閉断面構造が捩り荷重に対し強度面で優れていることに起因しており、又曲げ剛性に関してもビーム型フード構造と同等の剛性を有している。しかしながら、張り剛性に関しては必ずしも十分でなく、更なる剛性アップが必要とされている。
【0013】
この結果、前記従来のコーン型インナーで、張り剛性を高めるためにはパネルを比較的大きな板厚としなければならず、軽量化を犠牲にしなければならないという問題があった。
【0014】
したがって、本発明の目的は、薄肉化による軽量化の利点を生かすために、捩り剛性が高いという、従来の閉断面構造の特性を前提としつつ、張り剛性などの高剛性化の要求に応えられる車体フード用パネル構造体を提供しようとするものである。
【0015】
(課題2 歩行者保護における頭部の衝撃耐性の向上)
頭部の衝撃耐性は、一般には下記のHIC値(頭部性能基準)により評価される(自動車技術ハンドブック第3分冊試験評価編1992年6月15日第2版自動車技術会編)。
【0016】
【数1】
Figure 0003674918
ただし、aは頭部重心における3軸合成加速度(単位はG)、t1、t2は0<t1<t2となる時刻でHIC値が最大となる時間で、作用時間(t2−t1)は15msec以下と決められている。
【0017】
EEVC Working Group 17 Reportにおいて、大人頭部と子供頭部の衝突耐性に関し、フードが具備すべき条件として、各々HIC値1000以下を条件としている。この中で、頭部衝突試験時の頭部衝突速度は40km/hrで、大人頭部(重量4.8kg、外径165mm、衝突角65度)と子供(重量2.5kg、外径130mm、衝突角50度)とが設定されている。
【0018】
頭部衝突時において、歩行者頭部は、はじめにアウターへ衝突し、次に変形が進みインナーを介してエンジンルーム内のエンジン等の剛体的な部品に反力が伝わり、頭部には過大な衝撃力が生じる。頭部には、主にアウターとの衝突により生じる加速度第1波(衝突開始からほぼ5msecまでの間に生じる)と、インナーが剛体物と衝突する際に生じる加速度第2波(衝突開始からほぼ5msec経過以後に生じる)が作用する。加速度第1波の大きさは主にアウターの弾性剛性で決まり、加速度第2波の大きさは主にインナーの弾塑性剛性で決まる。頭部の運動エネルギーはこれらのアウターとインナーの変形エネルギーにより吸収されるが、頭部の移動距離がアウターとエンジン等の剛体物とのクリアランスを超えると、頭部は剛体物からの反力を直接受けることになり、HIC値の制限値1000を大幅に越える過大な衝撃力を受け、致命的なダメージを受けることになる。
【0019】
(課題2−1頭部移動距離が小さくてもHIC値低減可能なこと)
まず,アウターとエンジン等の剛体物とのクリアランスは大きい程、頭部の移動距離を大きくでき、HIC値低減には有利であるが、フードの設計上おのずと限界があり、小さなクリアランスで、頭部移動距離が小さくてもHIC値低減可能なフード構造が求められている。
【0020】
特に、大人の頭部衝突では、子供の頭部衝突に比較し衝突条件が厳しく、アウターから剛体面へのクリアランスについて、設計上の許容範囲を超えた過大なクリアランスを設ける必要があり、問題となっている(EEVC Working Group 17 Reportに記載)。
【0021】
さらに、子供頭部と大人頭部のどちらも衝突する可能性がある、WAD1500(車体先端の地面からフード衝突位置までの輪郭線の距離が1500mmのライン)のライン上において、衝突特性の異なる子供と大人の両者についてHIC値1000を満足するのは、極めて困難であり、問題点としてあげられている。特に大型セダンのフードでは、WAD1500のラインが、アウターと剛体面とのクリアランスが小さくなるエンジン直上にあり、有効な対策が求められている(EEVC Working Group 17 Report)。
【0022】
(課題2−2衝突部位によらずHIC値が均一であること)
頭部衝突位置について、ビーム型フード構造の場合はフレーム直上の位置で、コーン型フード構造の場合はコーン頂点部の位置で、HIC値は大きくなる。これは、これらの部位では局部剛性が高く、剛体部と衝突しても変形が小さく、剛体物からの高い反力をうけるためである。安全性の観点から、衝突部位によらず概ね均質なHIC値がえられるフード構造が求められていた。
【0023】
(課題2−3アルミ材の適用可能性)
第3に解決すべき課題として、フードの材料として軽量化可能なアルミ材を適用しても頭部衝突耐性が優れていることがあげられる。フードの軽量化にはしばしばアルミ材が用いられるが、この場合鉄材を使用する場合に比較し、歩行者保護の観点では、一般的には不利と考えられる。それは、アルミ材の弾性率と比重が、双方とも鋼材の約3分の1で、頭部の運動エネルギーをフードで吸収するには、パネル構造体としてのアルミ製フードの膜剛性と重量が鋼製フードに比較し不足することに起因する。
【0024】
板材の曲げ剛性は、ET3(ヤング率E,板厚Tとする)に比例し、膜剛性はETに比例する。鉄材(ヤング率Es,板厚Ts,比重γs)をアルミ材(ヤング率Ea,板厚Ta,比重γa)に置き換える場合には、通常曲げ剛性が同一になるように板厚が決定され、この場合
EaTa3=EsTs3
Ea/Es=1/3
であり、
Ta/Ts=31/3=1.44
となる。アルミ製フードと鋼製フードの膜剛性比は
(EaTa)/EsTs =1.44/3=0.48
となり、同じく重量比は
(Taγa)/(Tsγs)=1.44/3=0.48
となり、アルミ製フードの膜剛性と重量は、鋼製フードの0.48倍しかない。この結果、頭部とフードとの衝突問題では、頭部移動距離が増加し、剛体物に衝突しやすくなるとともに、加速度第1波でのアウターによるエネルギー吸収が少なく、加速度第2波が増加するため、従来のフード構造ではHIC値が増加し、HIC値の制限値を満足させることが非常に難しくなる。
【0025】
勿論、TaをTsの3倍にすれば、膜剛性比、重量比とも鋼製フードと同等となるが、コストが上がりすぎ設計としては成立しない。 このように、フードにアルミ材を適用し、この条件で頭部衝突での制約条件を満足させるのは、かなり困難である。勿論、アルミ材でこの条件が満足されるフード構造がみつかれば、この構造を採用した鋼製フードではHIC値のさらなる低下が図られることになる。
【0026】
以上、本発明のもう一つの目的である歩行者保護の観点から、フード構造が解決すべき課題は、
・頭部移動距離が小さくてもHIC値低減可能なこと
・フードへの衝突部位によらずHIC値が概ね均一となること。
・アルミ製フードでも、十分HIC値を低減できること。
等である。
【0027】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明車体フード用パネル構造体の請求項1の要旨は、アウターパネルとインナーパネルとが空間を介した閉断面構造をとって結合されたパネル構造体であって、前記アウターパネルが 0.7 mm以下の鋼板または 2.1 mm以下のアルミニウム板で、かつ、前記インナーパネルが 1.2 mm以下のアルミニウム板であり、前記両アルミニウム板が 3000 系、 5000 系、 6000 系、 7000 系のいずれかであること。さらに、前記インナーパネルの周縁を除く全面に複数本の波型ビードが設けられ、かつ、前記波型ビードの直交断面波型形状、サイン曲線またはサインn乗曲線であり、前記nは1以上の整数でありること。そして、前記アウターパネルの裏面と前記インナーパネルの波型ビードの頂部とが接合部を介して接合され、前記インナーパネルの波形ビードの直交断面波型形状が、波型の波長をp、歩行者の頭部外径をdとした時、 0.7 <p/d< 1.7 を満足し、かつ、前記直交断面波型形状の波高をhとした時、 0.15 <h/d< 0.3 を満足するものであることを特徴とする。
【0028】
上記のような、断面が波型形状とされたインナー(以下、波型インナーと言う)とすることによって、波型インナーを用いた車体フード用パネル構造体(以下、波型フード構造と言う)の、アウターやインナーを薄肉化しても、フード構造の張り剛性を格段に高めることが可能である。また、曲げ剛性や捩じり剛性についても十分な剛性が得られ、この結果、外部荷重に対するフードの変形を抑制できる。
さらに、歩行者保護に関し、頭部とフードの衝突における衝撃耐性を高められ、安全性を向上でき、
・頭部移動距離が小さくてもHIC値低減可能なこと
・フードへの衝突部位によらずHIC値が概ね均一となること。
・アルミ製フードでも、十分HIC値を低減できること。
等を実現できる。
【0029】
しかも、本発明パネル構造体は、インナーを上記のような波型インナーとする簡単な構成であり、従来のように、インナーの板厚を増すことなく、張り剛性や曲げ剛性を高められ、軽量化が可能である。また、平板状パネルから上記波型パネルへのプレス成形は容易であり、インナー自体の製作が容易である。
【0030】
更に、本発明パネル構造体は、上記のごとく、パネル構造体としての剛性を高めることができるので、アウターやインナーの素材として、軽量なアルミニウム合金を用いることが可能となる。
【0031】
また、これらの効果を達成する上で、前記波型形状がサイン曲線またはサインn乗曲線を描くものであることが好ましい。サインn乗曲線とは、sinn(θ)を用いた曲線群で、θは位置を表すパラメータ、nは1以上の整数である。
【0032】
また、歩行者保護における頭部衝突において、衝突耐性向上の観点から、サイン波を前提とした波型インナーの波長pの好適範囲は、頭部外径dを用いて 0.7 <p/d< 1.7 となり、この範囲であればHIC値低減に効果がある。
【0033】
同様に、歩行者保護における頭部衝突において、衝突耐性向上の観点から、サイン波を前提とした波型インナーの波高hの好適範囲は、頭部外径dを用いて 0.15 <h/d< 0.3 となり、この範囲であればHIC値低減に効果がある。
【0034】
また、請求項2または請求項3に記載のように、前記複数本の波型ビードが、パネル構造体の長手方向に対し平行方向または斜め方向、あるいは、前記平行方向に配列した前記波型ビードに交差する縦横の2重波型ビード、または、前記斜め方向に配列した前記波型ビードに交差する斜め2重波型ビード、あるいは、前記斜め方向に配列した前記波形ビードがV字状または逆V字状もしくはU字状とすること。あるいは、複数本の前記波型ビードが、前記パネル構造体の略中心に対して同心円状または楕円状の配列で設けられていることが好ましい。
【0035】
さらに、請求項4に記載のように、前記直交断面波型形状が剛体物と前記インナーパネルとのクリアランスに応じてスプライン関数で定義される構成した。また、請求項5に記載のように、前記インナーパネルが対面する剛体物との第1クリアランス位置の前記波型ビードの波長と、前記第1クリアランス位置に隣接する第2クリアランス位置の前記波型ビードの波長とでは、前記第2クリアランス位置の波長を前記第1クリアランス位置の波長より大きくした構成とした。このように構成することで、エンジンルーム内の複雑な剛体部品の配置を考慮した波型インナーの設計が可能となり、HIC値を低減できる。
【0036】
また、請求項に記載のように、前記アウターパネルの裏面と前記インナーパネルの波型ビードの頂部とを樹脂層を接着剤として、前記アウターパネルとインナーパネルががた振動を生じる状態の前記接合部とした構成とすることや、請求項に記載に記載のように前記接合部を千鳥状に、または分散させて設ける構成とした。このように構成されることにより、非常に柔らかな接合部を設けることにり、歩行者保護での頭部衝突にさいし、アウターとインナーのがた振動をそこなわず、この結果、頭部加速度波が撹乱され、HIC値を低下させることが可能となる。
【0037】
また、請求項8に記載のごとく、前記インナーパネルに、一部に補強板を設けることにより、この補強部位での頭部衝突耐性を高めることができる。
さらに、請求項9に記載のごとく、車体フード用パネル構造体は、アウターパネルとインナーパネルとが空間を介した閉断面構造をとって結合されたパネル構造体であって、前記アウターパネルが 0.7 mm以下の鋼板または 2.1 mm以下のアルミニウム板で、かつ、前記インナーパネルが 1.2 mm以下のアルミニウム板であり、前記両アルミニウム板が 3000 系、 5000 系、 6000 系、 7000 系のいずれかであり、前記インナーパネルの周縁を除く全面に複数本の波型ビードが設けられ、かつ、前記波型ビードの直交断面波型形状が、サイン曲線またはサインn乗曲線であり、前記nは1以上の整数であり、前記アウターパネルの裏面と前記インナーパネルの波型ビードの頂部とが接合部を介して接合され、前記インナーパネルが剛体物と対面する位置の波形ビードの直交断面波型形状が、波型の波長をp、歩行者の頭部外径をdとした時、 0.7 <p/d< 1.7 を満足し、かつ、前記直交断面波型形状の波高をhとした時、 0.15 <h/d< 0.3 を満足するものである構成とした。このように構成されることにより、高い頭部衝突耐性が要求される頭部衝突の場合にHIC値を低減できる。
【0038】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の車体フード用パネル構造体(波型フード構造の好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、波型フード構造は、アウターパネル 4 とインナーパネル 1 1a 1h )とによるパネル構造体 3a であり、樹脂層 7 を介して接合されている。
【0039】
まず、本発明に係る波型フード構造の一実施態様を示す。図1にインナーの斜視図、図2に図1のA-A線断面での断面形状を示す。なお、図1には、本発明の波型形状が分かりやすいようにメッシュを入れている。
【0040】
図1、2のインナー1aは、アルミニウム合金や高張力鋼板などの軽量で高張力な金属製であって、周縁部9a、9b(9a車体先端側、9b運転席側)および10a、10b(車幅側)を除くパネル全面に渡って、車体長さ方向に向かう複数本の波型ビード(凸条)2aが互いに略平行に設けられている。なお、この略平行とは、直線状の波型ビードの相互関係だけに限らず、後述する通り、同心円や楕円などの曲線状波型ビードの相互関係をも含めている。
【0041】
図2に断面を示す通り、波型ビード2aは、アウターの裏面側に向かって張り出した、断面がなだらかな円弧状乃至長手方向に畝状の凸条(ビード凸部)5であり、これとは反対側に窪んだ同じく断面がなだらかな円弧状乃至長手方向に畝状の凹条(ビード凹部)6とによって、車幅方向にサイン波状に連続する曲線からなる波型を構成している。そして、この図1,2では、直線状の波型ビード2aを7本略平行でかつ互いに独立させて(間隔をあけて)インナー1aの表面に設けている。
【0042】
図1、2に示す波型ビード2aは、凹条6も含めて、その長手方向に渡って概ね同じ幅を有している。ただ、波型ビード2aは、凹条6も含めて、必ずしも、その長手方向に渡って同じ幅を有する必要はない。例えば、平面的に見て、部分的に幅が狭くなるくびれや凹みを設けて、車体衝突の際に、インナーの全体変形の起点となって衝撃を吸収し乗員を保護する形状としても良く、あるいは、車体設計に応じて順次幅が狭くなる乃至拡がる形状としても良い。
【0043】
なお、これら波型ビード2aや凹条6の断面形状(幅、高さ、斜面の傾斜角度)や数(本数)、長さなどの条件は、この態様に限定されるものではない。但し、剛性の発揮と成形のしやすさを考慮すると、前記波の高さhは10〜60mm、前記波長pは90〜300mmの範囲から選択することが好ましい。
【0044】
例えば、凹条も含めて、これら波型ビード断面形状が大きく、また波型ビードの数が多いほど、またパネル全面に渡って設けられるほど、インナー乃至パネル構造体の剛性を高めることができる。
【0045】
したがって、これら波型ビード2aや凹条6の断面形状や条件は、剛性設計で要求される張り剛性、捩り剛性、及び曲げ剛性と、成形が可能乃至容易であること(成形性)との関係から適宜選択される。
【0046】
また、インナーの更なる軽量化のために、剛性や強度に影響のない範囲で、波型ビード2aや凹条6の部分に、部分的にパネルをトリミングした空間乃至切欠き部分(円、矩形など空間部分の形状は問わない)を設けても良い。
【0047】
更に、例えば、インナーをテーラーブランク化するなどして、インナーの外縁部(外周部)の板厚を中央部の板厚よりも厚くし、パネル乃至パネル構造体の先端部にかかる曲げ荷重に対しパネル乃至パネル構造体の曲げ剛性を向上させる等、別の剛性補強手段と適宜組み合わせても良い。
【0048】
(インナーの断面形状)
【0049】
発明に係るインナーの断面形状は、サイン曲線状の波型、またはサインn乗波によって規定されるものでよい。また、サイン曲線上に、又はサインn乗曲線上に、小さな凹凸を設けたり、小さな波を重ねたりして、局部剛性を調整してもよい。
【0050】
(インナーへの波型ビード配列)
次に、本発明に係る波型インナーの波型ビード配列の実施態様を、図4、5、6、7、8、9、10に各々斜視図で示す。なお、これらインナーとアウターとの一体化は、基本的に、前記図2で説明したパネル構造体と同様に乃至同じ要領で行う。また、図4〜10には図1と同様にメッシュを入れている。
【0051】
本発明に係る波型インナーを平面的に見た場合、波型ビードは、フード長手方向に対し平行または斜め、又は波型インナーの略中心に対し楕円状なども含む同心円状、そして 6 から図 10 に示すような配列の組み合わせである2重波状となるように、互いに平行あるいはV字状(U字状)に配列されることが好ましい。そして、これら配置された波型ビードが、パネル全面に渡って、インナーの断面形状を構成している。なお、これら各配列の具体的な規定は、厳密な意味での規定ではなく、剛性向上効果を損なわない範囲での多少のズレを許容する点で略(略平行、略同心円状)の意味を持つ。
【0052】
図4のインナー1bは、パネル全面に渡って、複数の波型ビード2bが互いに略平行に同心円状に設けられている。
【0053】
図5のインナー1cは、パネル全面に渡って、複数の波型ビード2c、2dが互いに略平行に楕円状に設けられている。
【0054】
図6のインナー1dは、パネル全面に渡って、複数の波型ビード2a、2e
が互いに縦横に直行する形で、アウターとインナーとの接着面積を増やしており、同様に、図7のインナー1eは、パネル全面に渡って、複数の波型ビード2a(縦ビード)、2e(横ビード)が互いに縦横に直行する形で、アウターとインナーとの接着面積を減らしている。
【0055】
図8、図9のインナー1f、1gは、波型ビード2f、2gがV字状(U字状でも可)に略平行に分布する態様を示している。
【0056】
図10のインナー1hは、前記図8、図9の斜めの波型ビード2fと2gを互いに交差させた態様を示している。
【0057】
(波型フード構 )
次に、このインナーとアウターとを一体化した波型フード構造について説明する。
【0058】
図2の波型フード構造は、インナー1aの波型ビード2aの頂部5aに樹脂層7を配置し、この樹脂層を接着剤として、波型ビード2aの頂5aと、緩やかな円弧状に成形されたアウター4 裏面4aとを互いに接合し、空間を介した閉断面構造をとって一体化した状態を示している。
【0059】
波型フード構造としての一体化は、前記接着剤とともに、インナー1aとアウター4との周縁部を、アウター4周縁部のヘム部4bをヘム(曲げ)加工することにより固着して行われている。
【0060】
なお、樹脂層7は、樹脂の特性や種類を選択することにより、制振や消音(遮音)、衝撃緩衝効果などを持たせることも可能である。そして、これらの効果を向上させるため、波型ビード2aの頂部5aのみではなく、樹脂層やクッション材などを凹条(ビード凹部) 6の上など、インナー1aとアウター4との間隙に充填するようにしても良い。
【0061】
次に、図2の波型フード構造の斜視図3では、インナー1aとアウター4とをヘム加工部 8 により一体化した波型フード構造は、前記従来のコーン型フード構造やビーム型フード構造と同様に、更に、ヒンジレインフォースメント21やラッチレインフォースメント22などの補強部材によって、局部補強されることを示している。
【0062】
(剛性向上の機構)
次に、この波型ビード(2a)の存在によって、また、インナーを波型とすることによって、パネルの局部的な曲げ剛性を高め、インナー乃至波型フード構造としての剛性を高める機構を以下に説明する。
【0063】
まず、張り剛性とは、アウター中央部での集中荷重に対する局部剛性であり、集中荷重は、アウターからインナーの方向で、アウター面に垂直に作用する荷重である。
【0064】
次に、曲げ剛性とは、図11(a)に示すフード構造体への曲げ荷重に対する剛性で、曲げ荷重は、主としてフード先端部に、垂直方向に作用する曲げ荷重Fbである。この曲げ荷重Fbは、フード1Aの運転席側端部A、B点と先端部の中央部C点の3点を支持点とし、先端部の両端部D、E点に作用する集中荷重で、曲げ剛性Kbは,この曲げ荷重Fbに対する荷重点(D、E点)での変位Ubとの比で定義される値(Kb=Fb/Ub)である。
【0065】
更に、捩り剛性とは、図11(b)に示すフード構造体への捩り荷重に対する剛性で、捩り荷重は、主としてフード先端部に、垂直方向に(下方から上方)に向けて作用する荷重Ftである。この捩り荷重Ftは、フード1Aの運転席側端部A、B点と先端部の両端部E点の3点を支持点とし、先端部の両端部D点に作用する集中荷重で、捩り剛性Ktとは,この捩り荷重Ftに対する荷重点(D点)での変位Utとの比で定義される値(Kt=Ft/Ut)である。
【0066】
これらの剛性に対し、先ず、張り剛性に関しては、波型インナーを組み込んだ本発明波型フード構造は、コーン型フード構造に比較して、波型インナー中央部の凹凸により局部曲げ剛性が増加するとともに、インナーとアウターとの接着部面積が増加し、アウターからインナーへの荷重伝達が広範囲に分散されるため、荷重点での変位が抑制され、この結果張り剛性が増加する。
【0067】
また、曲げ剛性に関しては、波型フード構造は、コーン型フード構造に比較し、波型形状により曲げ剛性向上に有効な断面部面積が増加し、この結果フードの曲げ剛性が向上する。
【0068】
更に、捩り剛性に関しては、コーン型フード構造および、波型フード構造で採用している閉断面構造が、捩り剛性アップにつながり、基本的には従来のビーム型フード構造に比較し約2倍の捩り剛性がある。ただし、波型インナー中央部の凹凸は、捩り剛性をやや低下させる方向に作用するため、波型フード構造の捩り剛性は、コーン型フード構造の捩り剛性に比較し同等、若しくはやや低めの値となる。しかしながら、閉断面構造の場合、もともと捩り剛性が高く、やや低下したとしても、設計条件を十分に満足できる。
【0069】
このように、本発明波型フード構造は、張り剛性と曲げ剛性に関しコーン型フード構造を上回るが、捩り剛性に関してはコーン型フード構造を若干下回るものの、設計条件は十分満足しているため、総合的に、フード設計要求に対し高い剛性を有する波型フード構造を提供できる。
【0070】
(歩行者保護における頭部衝突耐性向上のメカニズム)
一方、歩行者保護における頭部とフードとの衝突での課題解決について、波型インナーは頭部の運動エネルギーを極めて良好に吸収可能で、HIC値を大幅に下げることが可能である。これは、
・波型インナーの波長pを、概ね頭部外径を基準として、その前後の値とすることにより、頭部衝突時に、頭部を概ね1つの波でささえる構造となり、頭部を柔らかく受け止める変形を生じ、その結果HIC値低減が図られ、加速度第2波が減少し、HIC値が減少する。
・頭部衝突時に、アウターとインナーとががた振動を生じ、頭部加速度波形を撹乱させ、その結果加速度第2波を大幅に低減でき、HIC値が減少する
等の理由による。
【0071】
なお、エンジン直上部に頭部が衝突する場合などで、アウターと剛体面とのクリアランスが不足する場合が考えられるが、このような場合に、波型インナーの該当部に局部的に補強板を設け、局部剛性を高めることにより、衝突耐性が高まり、わずかな重量増加のみで、HIC値を低減できる。
【0072】
また、アウターとインナーとの柔な接合を適用し、波型インナーの山部に局部的な接着部をちどり状に、または分散させて設けることにより、歩行者保護での頭部衝突にさいし、アウターとインナーのがた振動をそこなわず、この結果、頭部加速度波が撹乱され、HIC値を低下させることが可能となる。
【0073】
また、スプライン型インナーを適用することにより、エンジンルーム内のエンジン、バッテリ、ラジエータ等の剛な部品の配置を考慮したより現実的な設計が可能となる。エンジンルーム内にはエンジン、バッテリ、ラジエータ等の堅い部品があり、波型インナーの設計ではこれらの部品の配置を考慮した設計が必要となる。これらの部品の配置は車により千差万別であり、波型インナーの断面形状は、単純で規則的な波型から、波長、波高、波形が不規則に変化する波型形状に修正する必要が生じる。このため、波型の断面形状は主としてスプライン関数のような任意の3次元形状を表せる形状関数で定義される図12のような形状でなければならない。ここではこのようなスプライン関数の波型形状を有するインナーをスプライン型インナーと定義し、波型インナーの形態とする。
【0074】
この図12は、フード長手方向のある断面での断面形状で、アウター、スプライン型インナー、エンジンルーム内の剛体面を現している。まず、スプライン型インナーと剛体面との位置関係は、頭部衝突時に波の谷部が剛体面で概ね均等に衝突し、剛体面からの反力が波型インナー全面に伝わるよう配慮する。このため、アウターと剛体面とのクリアランスが小さく頭部と剛体物との衝突が避けられない部位B1では、スプライン波の谷部D1、D2で均等に支持されるような断面形状としなければならない(B2、B3、B4も同様である)。また、クリアランスが十分あり剛体物との衝突が発生しない部位A1では、波長を大きくとり、波の谷部D2、D3で均等に支持されるような断面形状としなければならない。この部位で波長を短くし、波数を複数にすると、インナーの車幅方向の曲げ剛性が低下し、鉛直方向の変位が増加し、頭部衝突耐性が低下するため、D2からD3までを1つの波でつなげなければならない(A2も同様である)。ただし、HIC値が低く許容できる範囲での波を設けることは問題ない。なお、C1、C2、C3、C4、C5の波の谷部での頭部衝突では、はじめに荷重がインナーの山部に伝わり、その後インナーの谷部を介して剛体面に伝わるため、頭部衝突耐性は、山部に衝突したときと概ね同様となる。このように、スプライン型インナーでは、車ごとに異なるエンジンルーム内の剛体物の配置によらず、概ね一定の頭部衝突耐性を実現できる。
【0075】
なお、エンジンルーム内の剛体物の配置は非常に複雑であり、スプライン波の波高、波長は、車幅、また車長手方向に柔軟に変化させるため、スプライン型インナーの形状は複雑な曲面となる。
さらに、クリアランスが不足し、頭部衝突耐性が不足する部位については、インナーに補強板を張り付けたり、スプライン型インナーに、局部的に凹凸(いわゆるエンボス加工)をつけたり,または小さな波をフード長手方向に重ねることにより、インナーの局部剛性を増加でき、頭部衝突耐性が改善される。
【0076】
また、アウターが鋼製、インナーがアルミ合金である波型フード構造を適用することにより、軽量かつ頭部衝突耐性の高い波型フード構造を提供でき、特に高い頭部衝突耐性が要求される大人頭部衝突において効力を発揮する
【0077】
大型セダン等のフードでは、子供と大人の両方の頭部衝突を満足する必要があり、ここでは軽量かつ経済的なフードとしては、アウターが鋼製、インナーがアルミ合金製の波型フード構造が好適となることを明らかにする。Okamoto(Concept of hood design for possible reduction in head injury,14thESV conference,1994)によれば、理想的な頭部加速度波形として、加速度第1波が200G程度であれば、HIC値は1000程度になるという知見が得られている。解析を実施したところ、子供頭部衝突で板厚0.7mmの鋼製アウターに衝突した場合がおおむねこの場合に相当し、HIC値は1000となる。
【0078】
アウターに必要な機能は、加速度第1波をできるだけ上げ、アウターによる衝突エネルギーの吸収により、頭部の鉛直方向変位をできるだけ小さくし、インナーと剛体面との衝突による加速度第2波を小さく抑えることであると言える(ただし、板厚の上限値は鋼製の場合に約0.7mm程度となり、この板厚を超えると子供頭部衝突時の加速度第1波のみでHIC値は1000を超え不適当となる)。アウターによるエネルギー吸収を向上させるには、アウターの重量と膜剛性が必要となり、経済性を考えると材質は鋼が好適となる
【0079】
一方、インナーに必要な機能は、頭部とアウターとの衝突で消費された衝突エネルギーの残りの衝突エネルギーを吸収し、エンジン等の剛体面からの反力に起因する加速度第2波を小さくおさえることにある。波型フード構造を前提とすれば、頭部が剛体面と接するまで変形すれば、HIC値は1000を大きく超えるため、インナーに要求される機能は、インナーの曲げ変形により残りの衝突エネルギーを所定のクリアランス内で十分吸収することである。この場合、軽量で高い曲げ剛性が得られるアルミ合金が材料として好適となる。このような理由により、子供と大人の両方の頭部衝突を満足する必要がある大型セダン等のフードでは、アウターが鋼製、インナーがアルミ合金製の波型フード構造が、軽量かつ経済的なフードとなる。
【0080】
(適用金属)
次に、本発明でパネルに用いる金属は、通常汎用されるAl合金板や高張力鋼板などが適宜採用される。但し、樹脂については、材料強度などの特性からして、本発明で目的とする剛性を持たせるためには、厚みが極端に厚くなるため、非現実的であり本発明パネルには適用しない。
また、車体の更なる軽量化のためには、Al合金を適用することが好ましい。本発明波型フード構造であれば、高張力鋼板を使用せずとも、あるいは特別に高強度のAl合金を使用せずとも、十分高剛性化することができる。
この点、本発明の車体用インナー乃至アウターに用いるAl合金自体としては、通常、この種パネル用途に汎用される、AA乃至JIS規格による、3000系、5000系、6000系、7000系等の耐力の比較的高い汎用(規格)Al合金板から選択して用いることが好ましい。これらAl合金板は、圧延加工などの常法により製造され、適宜調質処理されて用いられる。
【0081】
(課題1の高剛性化の実施例)
次に、本発明パネル構造体のFEM解析を実施し、本発明波型フード構造の曲げ剛性、捩り剛性、張り剛性を、従来のコーン型フード構造と比較した。
【0082】
解析結果を表1に示す。発明例1から発明例8は、各々図1、図4〜図10の各実施態様に対応する。なお、表中の曲げ剛性比、捩り剛性比、張り剛性比の数値は、コーン型フード構造(比較例9)の各剛性を基準に、これらを1とした場合の比で示している。
【0083】
解析モデルは、通常のセダンのフードを想定し、Al合金製のアウターとインナーのみで構成され、フード長手方向曲率3100mm、幅方向曲率4300mmの2重曲率を有する2重板構造の簡易モデルとした。アウター板厚は1.0mm、インナー板厚は0.8mmとした。
【0084】
また、本発明波型インナーの断面形状はサイン形状とし、波長174mm、波高25mmとしており、コーン型インナーのコーン単体の断面形状は、下部外径140mmφ、上部外径20mmφとし、高さ25mmのコーンを、33個、170mm間隔で、図15の斜視図のように均等に配置した。
【0085】
発明例1(図1の縦型波型ビード)では、張り剛性が大幅に向上し、曲げ剛性も10%増加している。捩り剛性はコーン型インナーと同等であり、総合的に見て剛性が大幅に向上していることがわかる。
【0086】
発明例2(図4の同心円型波型ビード)では、発明例1と同様に、張り剛性と曲げ剛性が増加しているが、捩り剛性は5%低下している。ただ、既に述べた通り、コーン型フード構造の捩り剛性は、元々従来のビーム型フード構造の約2倍あるため、この発明例のねじり剛性は設計条件を十分満たし、この結果、総合的に見て剛性が大幅に向上していることがわかる。
【0087】
発明例3(図5の楕円型波型ビード)では、発明例2と概ね同様で、総合的に見て剛性が大幅に向上していることがわかる。
【0088】
発明例4(図6の縦横の2重波型ビード)ではアウターとインナーとの接着部面積を増加させている。このため、曲げ剛性と捩り剛性がやや低下するが、張り剛性が増加することがわかる。
【0089】
発明例5(図7の縦横の2重波型ビード)ではアウターとインナーとの接着部面積を減らしている。このため、曲げ剛性と張り剛性が増加することがわかる。
【0090】
発明例6(図8の逆V字型波型ビード)、および発明例7(図9のV字型波型ビード)では、曲げ剛性と張り剛性が20%増加し、総合的に見て剛性が大幅に向上していることがわかる。
【0091】
発明例8(図10の斜めの2重波型ビード)では、張り剛性が10%増加し、総合的に見て剛性が向上していることがわかる。
【0092】
これらの結果から、本発明波型フード構造の張り剛性と曲げ剛性は大幅に向上し、この結果、インナー、またはアウターの薄肉化が可能で、軽量化が図れることが分かる。
【0093】
【表1】
Figure 0003674918
これらの結果から、本発明の波型フード構造の張り剛性と曲げ剛性は大幅に向上し、この結果、本発明により、インナー、またはアウターの薄肉化が可能で、軽量化が図れることがわかる。
【0094】
(課題2の頭部衝突耐性向上の実施例)
歩行者保護における頭部衝突耐性向上について、簡易解析モデルを行い、波型フード構造の効果を調べた。波型断面は、サイン波形状とし、波の分布はフード長手方向に平行な場合について調べた。
【0095】
解析モデルは、下記のごとく設定した。本発明波型インナーの、歩行者頭部衝突モデルの概略の側面図を図16に、正面図を図17に各々示す。上記図16、図17の頭部衝突モデルの斜視図を図18に示す。
【0096】
上記図16、図17において1は波形インナー、4はアウター、23は歩行者の頭部、24は剛体面、30は樹脂等の接着剤である。また、各寸法類は、頭部外径d、衝突速度v、衝突角α、アウターと剛体面との衝突方向の間隔L、接着剤の厚さc、波型インナーの波高h、波型インナーの波長pを表わす。
【0097】
一方、比較例としてのビーム型インナーモデルを歩行者の頭部モデルとともに図19に示す。また、後述される、HIC値低減を狙って波型インナーへ局部的な補強板を設けたモデルを図20に、波型インナーへの接着部の配置例を図21に示す。
【0098】
また、上記図16、20、21における、歩行者の頭部モデルの解析条件を下記表2に示す。更に、同じく、解析モデル形状を下記表3に示す。
【0099】
【表2】
Figure 0003674918
【0100】
【表3】
Figure 0003674918
【0101】
解析モデルでは、以下の項目を考慮した。
・頭部衝突モデルは、実物を想定した詳細モデル化が困難なため、頭部を球状の頭部モデルとし、車体部を波型フード構造と、剛体面とから構成される簡易モデルとした。
・剛体面は、エンジンルーム内でモデル化が困難なエンジン等の剛体物を模擬しており、アウターに平行な曲面で衝突方向にクリアランスLを有している。フェンダー、ウィンドーシールド、サスペンション等の車体部はモデル化していない。
【0102】
・フードモデルは、通常のセダンでインナーは5000系アルミ材、アウターは6000系アルミ材で、フード長手方向曲率3100mm、幅方向曲率4300mmの2重曲率を有する2重板構造の簡易モデルで、弾塑性体としてモデル化した。
・アウターとインナーとの接着部はモデル化されておらず、接着部の厚さcは、隙間をゆるすモデル化となっている。図18、図19中の黒角の3点が支持部であり、その他の部位は拘束されておらず、頭部衝突時に波型フード構造は大きく変形し、衝突部が剛体面に衝突する。
【0103】
・頭部モデルは、EEVC/WG10に示された子供と大人の頭部モデルを適用し、頭部外周が均一厚さのスキンで覆われた剛な球体として簡易的にモデル化している。なお、スキンは弾性体とし、その弾性率はEEVC/WG10で要求される落下試験状態において、加速度応答が所定の範囲におさまるように決定した。物性値を表2に示す。
【0104】
・波型インナーの波高、波長、板厚等は、HIC値低減の観点より詳細検討し決定した。まず、波型フード構造の諸寸法は運動エネルギーが小さく、衝突条件が楽な子供頭部に着目し種々検討のすえ表中の値とした。
なお、衝突問題においてはつぎのような相似則が成立する。すなわち、相似形な2つの構造体の間には、両者の衝突速度が同一で、両者の構造体の弾性率、降伏応力、比重等の物性値が同一な場合には、それらの構造体の特定部位に生じる加速度応答はスケール比に逆比例し、大きいほうの構造体の加速度は小さくなるということである。
子供の解析モデルを大人の解析モデルに展開する際に、両者で衝突角が異なるものの、衝突速度は同一であり、この相似則を適用可能とすると、波型フード構造の形状寸法を頭部外径比倍(スケール比は1.27倍)し、大人頭部衝突モデルでの波型フード構造とすれば、頭部加速度は0.79倍に低下しHIC値は低下するはずである。しかしながら、クリアランスは両者間で一定であり、相似則がそのまま適用できず、逆にHIC値は増加する傾向を示す。このため、ここでは残りのパラメータにつき幾つかの数値解析を行い、大人頭部衝突での形状を設定した。
まず、波高はスケール比倍した。次に、波長、アウター板厚は子供頭部衝突での寸法をそのまま用い、インナー板厚はやや増加させた。表3に大人頭部衝突での寸法一覧を示す。波長を同一としたのは、フードを設計する場合、WAD1500より前方では子供頭部衝突が、それより後方では大人頭部衝突が問題となり、WAD1500の境界領域で一定の波長を設定できれば、形状的な不連を避けることができ、設計上都合が良いからである。
【0105】
・ビーム型フード構造は、波型フード構造をベースにインナー構造のみをビーム型としている。フレーム部の断面形状は既存の設計例を参考に概ね台形としている。
【0106】
実施例1 ビーム型フード構造と波型フード構造との比較
図22にビーム型フード構造での頭部衝突解析結果と、波型フード構造での頭部衝突解析結果を示す。頭部モデルは大人頭部で、アウターから剛体面までの衝突方向のクリアランスLは84mm、衝突位置は図18、図19にしめすフード中央とした。図22より、ビーム型フード構造の場合はHIC値が2059であったが、波型フード構造の場合には、加速度第2波が大幅に低下し、その結果HIC値が940に大幅低下していることがわかる。波型インナーのサイン形状は、頭部衝突時の衝撃吸収に適した形状であり、頭部衝突時のアウターとインナーとのがた振動により、頭部加速度波形が撹乱され、ピーク値が低下し,HIC値が大幅に低下している。
【0107】
実施例2 波型インナーとアウターとの接着方法
アウターとインナーは解析モデル上、接着部に4mmの隙間があいているモデルとなっているが、現実にはフードの適切な張り剛性をえるために、最小限の接着部が必要である。別途検討の結果、がた振動を阻害しないためには、接触断面形状が比較的局部的な面積で、極めて柔なスポンジ状の接着材を用いて、図21のごとく波型インナーの山部にちどり状に、または分散して配置されたような構造が好ましいことが確認された。接着部の断面積が増加し、または接着材の剛性が増加すると、アウターとインナーとは一体となって振動しやすくなり、がた振動がなくなり、その結果加速度第2波が増加し、HIC値は増加する傾向が確認された。
【0108】
実施例3
波長pと波高hの好適な範囲波型インナーの波長と波高がHIC値に及ぼす影響を調べた。アウター板厚は1mm、インナー板厚は0.8mmで、通常考えられる値を設定している。子供の頭部衝突での解析結果について、図23は、波長がHIC値に及ぼす影響を示し、図24は波高がHIC値に及ぼす影響を示す。図23より、HIC値低減に効果のある波長pの好適な範囲は、頭部外径dを用いて
0.7<p/d<1.7となり、
図24より波高hの好適な範囲は、同じく頭部外径dを用いて
0.15<h/d< . となる。
【0109】
まず、波長pがこの範囲より小さい場合には、波型インナーのフード長手方向の曲げ剛性が高くなるものの、フードの幅方向の曲げ剛性が低下し、頭部衝突時のインナーの剛性は低下し、HIC値は増加する。また、波長pがこの範囲より大きい場合には、フードの幅方向の曲げ剛性が高くなるものの、フード長手方向の曲げ剛性が低下し、頭部衝突時のインナーの剛性は低下し、HIC値は増加する。このように、波長pには好適範囲が存在し、その範囲は、概ね頭部外径を基準にその前後の値がこのましい。これは、頭部衝突時に、頭部を概ね1つの波でささえる構造が、頭部を柔らかく受け止める変形を生じ、その結果HIC値低減が図られるからである。
【0110】
次に、波高hに関しては、波高hがこの範囲より小さい場合には、波型インナーの局部曲げ剛性が不足し、頭部衝突エネルギーを吸収できず、頭部は剛体面に衝突しHIC値は増加する。波高hがこの範囲より大きい場合には、波型インナーの局部曲げ剛性が過大となり、フードの剛性が高すぎるためにHIC値は増加する。このように、波高hにも好適範囲が存在し、波型インナーの断面形状は上記の好適範囲で設計することが好ましい。
【0111】
なお、クリラランス一定の場合、大人頭部衝突でのHIC値は、子供頭部衝突でのHIC値に比較し増加するものの、この場合の波長、波高の好適範囲は、子供頭部衝突の場合とおおむね同様であると考えられる。
【0112】
実施例4 頭部衝突位置の影響
子供の頭部衝突の場合で、アウターと剛体面とのクリアランスLが75mmの場合について、頭部衝突位置を図25に、それらの衝突位置でのHIC値を表4に示す。この表より、頭部衝突位置が変わっても、HIC値が概ね一定であることがわかる。この衝突部位に関するHIC値の均一性は、波型フード構造が有している非常に有用な特徴である。
【0113】
【表4】
Figure 0003674918
【0114】
実施例 5HIC値とクリアランスLとの関係
HIC値とクリアランスLとの関係を、図26にしめす。検討対象はビーム型フード構造、波型フード構造、インナー中央部を板厚補強した波型フード構造の3種類であり、子供頭部衝突と大人頭部衝突の場合について示す。
【0115】
これらの解析結果より、
・波型フード構造は、ビーム型フード構造に比較しHIC値が大幅に低下している。
・インナー中央部を板厚補強することにより、波型フード構造のHIC値は若干低下し、クリアランスLを減らせられることがわかる。インナー重量の局部的な増加のみにより、クリアランスLを減らせることができるため、設計状極めて有用であることがわかる。
・大人の頭部衝突で、鋼製のビーム型フード構造での実験値の回帰式は、下記のごとくなる(松井、石川著、乗用者前面窓ガラスおよびその周辺部の衝撃特性と頭部障害値、自動車研究、2000年4月、第22巻第4号)。これを、図26に示す。
YHIC=5.4×106X-1.95
ただし YHIC:HIC値、X:頭部動的変形量(mm)
実験値の回帰式の場合は、アウターと剛体面とのクリアランスLが不明であり、頭部の衝突方向の動的変形量を引数としており、アウターと剛体面とのクリアランスLを横軸にとっている解析結果と直接比較できないが、両者の傾向は概ね一致している。また、実験結果から得られるHIC値1000を満足するための最小クリアランスは82.2mmであり、解析結果から得られる83mmとほとんど同じ値となっており、一見すると波型フード構造のメリットはないように見える。しかしながら、解析上、波型フード構造のHIC値低減効果はビーム型フード構造に比較し顕著であり、ここで得られている簡易モデルのHIC値は、簡易化のため過大に算出されており、波型フード構造のクリアランスLの最小値は実験値ではもっと小さくなると考えられる。ここでは、経済上の理由から波型インナー構造の実験を実施しておらず、この点については今後確認されると考える。
【0116】
実施例6 フード外周部でのHIC値低減
歩行者保護のおける頭部衝突耐性は、フードの外周部でフェンダー、ウインドフィールドフレーム下部等の剛性が高い部位の影響を受け、これらの部位に頭部が衝突した場合に、HIC値は高い値となることが知られている。従来の設計例では、フード外周部に設けるビードの断面形状は台形断面に近い場合がおおいが、この断面形状ではHIC値が高くなるため、このことへの対策として、サイン波、またはサイン波に近い断面形状の波型ビードをインナーの外周部に設けることが好ましい。これらのビードにより、これらの部位でのHIC値を下げることが可能となる。
図27に実施例を示す。これら外周部での波長、波高、断面形状はフードの曲げ剛性、捩り剛性等を考慮しつつ決められるが、波長と波高はフード全面で一律である必要はなく、フード各部での設計要件を考慮し、適宜最も好ましい波長と波高が決められるべきである。特に、フード外周部では、フェンダー、ウインドフィールドフレーム下部等の剛性高い部位の影響を受けるため、波長を半波長にする等により、アウターとインナーとのクリアランスが確保され、HIC値が低減される。
【0117】
実施例7
アウターが鋼製、インナーがアルミ合金製のスプライン型インナーである波型フード構造の場合に、スプライン型インナーを用い、アウターが鋼製、インナーがアルミ合金製の波型フード構造の実施例を示す。図28はインナー形状、図29はインナーと剛体面との位置関係、及び頭部衝突位置を示す。
【0118】
このモデルでは、エンジン、バッテリ等の剛体物の上面を、アウターに平行ないくつかの剛体面で簡易的にモデル化した。アウターから剛体面までの鉛直方向クリアランスは、簡便のため70mmの均一の値を設定した。アウターはSS330相当の鋼板(板厚0.7mm)、インナーはアルミ5000系合金(板厚1.2mm)とした。大人頭部の衝突位置は、WAD1500のライン上(衝突位置は1から4)で、子供頭部の衝突位置は、WAD1500のライン上(衝突位置は1から4)とWAD1100のライン上(衝突位置は5から8)とした。子供頭部衝突(衝突位置1)の頭部加速度波形を図30に、大人頭部衝突(衝突位置1)の頭部加速度波形を図31に、解析結果の一覧を 5に示す。
【0119】
これらの解析結果より、
・衝突位置4をのぞいて、HIC値1000の条件が、大人と子供の双方でほぼ満足されてり、良好な結果が得られた。
・子供の場合は、加速度第1波がほぼ200Gで、理想的な頭部加速度波形となっている。ほとんどの運動エネルギーがアウターで吸収されされており、加速度第2波はHIC値算出に影響していない。このことは、図30に示すHIC値算出のための時間範囲t1、t2が、加速度第1波のみを対象範囲としていることで確認される。
・大人の場合は、衝突位置4を除き概ねHIC値1000が満足されている。衝突位置1,2でHIC値1000を若干上回っているが、この程度であればインナー形状、板厚等の詳細検討で十分対応できる。
・フード各部でのHIC値が適正におさえられており、スプライン型インナーによるエンジンルーム内の複雑に配置された剛体物との衝突を考慮した設計の効果が確認された。
等がわかる。
【0120】
大人頭部の場合、頭部衝突エネルギーは子供頭部衝突の1.92倍で、前述の相似則を適用すると、加速度第1波が200Gとなる鋼製アウターの板厚は、0.7mmの1.27倍で0.9mmとなる。しかしながら、この板厚では子供の頭部衝突がHIC値1000をオーバーしてしまい不適となる。このため、鋼製アウターの板厚上限値は、大人と子供の双方を考慮すると0.7mmとなる。この場合、 5より、大人頭部の加速度第1波は120Gから150Gであり、アウターによる衝突エネルギー吸収は十分でなく、残りの運動エネルギーは加速度第2波で吸収する必要がある。事前の数値解析より、アルミ合金製インナーの必要板厚は1.2mmであり、上記解析モデルでは、この値が用いられている。
ここでの解析結果より、衝突位置4を除き概ねHIC値1000が満足されていることがわかる。
【0121】
なお、アウターをアルミ合金とする場合には、アウター質量を鋼板と同一とする必要があり、この場合アウター板厚は2.1mmとなるが、コストが高くアルミ化のメリットはないと言える。
また、インナーを鋼板にする場合の鋼板厚さは、アルミ合金の板厚1.2mmと同一の曲げ剛性を有することを条件に求められる。1.2mmを、前述の同一の曲げ剛性を前提としたアルミ合金と鋼板との板厚比1.44で割って、0.83mmが鋼板の板厚となる。この場合、鋼製インナーの重量はアルミ合金インナーの約2倍となり、軽量化の観点から問題であると言える。
【0122】
このように、子供と大人の両方の頭部衝突を満足する必要がある大型セダン等のフードでは、アウターが鋼製、インナーがアルミ合金製の波型フード構造が、軽量かつ経済的なフードとなりえることが示された。
【0123】
大型セダンと異なり、中型車、または小型車のフードで子供頭部衝突のみが問題となる場合で、アウターと剛体面とのクリアランスが十分大きく取れる場合はオールアルミの波型フード構造が適用できる。しかしながら、アウターと剛体面とのクリアランスが十分取れない場合は、上記のアウターが鋼製、インナーがアルミ合金製の波型フード構造の適用が効果的となる。
【0124】
【表5】
Figure 0003674918
【0125】
参考例
アウターが鋼製、インナーがアルミ合金製のコーン型インナーであるコーン型フード構造の場合に、アウターが鋼製、インナーがアルミ合金製のコーン型フード構造の参考例を示す。 コーン型インナーについて実施例7と同様の解析を実施した。 頭部衝突位置は、フード中央部でのコーン頂点部、及びコーン頂点の中間位置(コーン頂点間)の2ケースにつき検討した。子供頭部衝突での解析結果を図32に、大人頭部衝突での解析結果を図33に示す。これらの図より、コーン頂点間でのHIC値は、コーン頂点でのHIC値より大きな値となっていることがわかる。これは、コーン頂点間に頭部が衝突した場合には、コーンの変形による衝突エネルギーの吸収が大幅に減少し、頭部はアウターに衝突後そのまま剛体に衝突するからである。また大人頭部衝突でのHIC値は子供頭部衝突でのHIC値より大きな値となっていることがわかる。これは、波形フード構造と同様の傾向である。さらに、アウターをアルミ合金製から鋼製とすることにより、HIC値が大幅に低下することが確認される。この結果、コーン型フード構造の場合についても、波型フード構造の場合と同様に、アウターを鋼板とすることにより、HIC値低減に効果があることが確認された。
【0126】
【発明の効果】
請求項1から請求項9に記載の本発明の波型インナー及びこれを用いた波型フード構造により、フード軽量化の観点から、フードの張り剛性を格段に高めることができ、捩り剛性と曲げ剛性についても十分な剛性を有する波型フード構造を提供できる。また、歩行者保護の観点から、波高と波長が好適範囲に該当する波型インナーにより、HIC値が大幅に低下し、頭部衝突耐性にすぐれた波型フード構造を提供できる。そして、アウターと剛体物へのクリアランスが小さくてもHIC値低減可能で、フードへの衝突部位によらずHIC値が概ね均一で、さらにアルミ製フードでも十分HIC値を低減できる頭部衝突耐性に優れた波型フード構造を提供できる。また、アウターを鋼板としたコーン型フード構造により歩行者保護での頭部衝突耐性に優れた波型フード構造を提供できる。さらに、波型形状がサイン曲線またはサインn乗曲線の波型インナーにより、フードの静剛性を高めることができ、また歩行者保護に於ける頭部衝突での頭部加速度を低下できる。前記複数本の波型ビードが、パネル構造体の長手方向に対し平行方向または斜め方向、あるいはパネル構造体の略中心に対し同心円状等の波型インナーにより、フードの静剛性を高めることができ、また歩行者保護に於ける頭部衝突での頭部加速度を低下できる。また、インナーパネルの一部に設けられた補強板により、アウターと剛体面のクリアランスが小さい部位の頭部衝突耐性を局部的に向上できる波型フード構造を提供できる。さらに、アウターとインナーとの柔な接合部により、頭部衝突時にアウターとインナーががた振動を生じ、この結果、頭部加速度波が乱され、HIC値が低減される。また、スプライン型インナーを適用することにより、エンジンルーム内の複雑な剛体部品の配置を考慮しつつ、頭部衝突耐性の向上をはかれる。そして、頭部衝突エネルギーを膜剛性と重量の大きい鋼製アウターにより効率よく吸収し、頭部加速度第1波を適正な大きさにコントロールし、残りの衝突エネルギーを曲げ剛性に優れたアルミ合金製の波型インナーにより効率よく吸収でき、この結果、頭部衝突耐性に優れ、軽量かつ経済的な波型フード構造を提供できる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインナーの一実施態様を示す斜視図である。
【図2】図1のインナーを用いた波型フード構造のA-A線断面図である。
【図3】図2の波型フード構造の斜視図である。
【図4】本発明に係る波型インナーの別の実施態様を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る波型インナーの別の実施態様を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る波型インナーの別の実施態様を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る波型インナーの別の実施態様を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る波型インナーの別の実施態様を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る波型インナーの別の実施態様を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る波型インナーの別の実施態様を示す斜視図である。
【図11】フード構造体への荷重条件を示し、図11(a)は曲げ荷重、図11(b)は捩じり荷重を各々示す斜視図である。
【図12】スプライン型インナーを適用した波型フード構造の概略の断面図を示す。フード中央部で車幅方向の切断面で表示している。
【図13】従来のコーン型フード構造を示し、図13(a)はコーン型フード構造の縦断面図、図13(b)はコーン型インナーの平面図である。
【図14】従来のビーム型フード構造を示す斜視図である。
【図15】図13(b)のコーン型インナーの解析モデル図である。
【図16】本発明に係る波型インナーの頭部衝突モデルの概略図(側面図)である。
【図17】本発明に係る波型インナーの頭部衝突モデルの概略図(正面図)である。
【図18】本発明に係る波型インナーと頭部モデルのモデル図(斜視図)である。
【図19】従来のビーム型インナーと頭部モデルのモデル図(斜視図)である。
【図20】本発明に係る波型インナーの補強部の実施態様を示す斜視図である。
【図21】本発明に係る波型インナーのアウターとの接着部位の実施態様を示す斜視図である。
【図22】ビーム型フード構造と波型フード構造での頭部加速度波形を示す説明図である。
【図23】本発明波型フード構造での波長がHIC値に及ぼす影響を示す説明図である。
【図24】本発明波型フード構造での波高がHIC値に及ぼす影響を示す説明図である。
【図25】図25における頭部衝突位置を示す波型フード構造の斜視図である。
【図26】アウターと剛体面とのクリアランスLがHIC値に及ぼす影響を示す説明図である。大人頭部衝突、子供頭部衝突、波型フード構造、ビーム型フード構造の組み合わせでの影響を示す。
【図27】フード外周部にも波型ビードを設けた波型インナーの実施例を示す説明図である。
【図28】エンジンルーム内の剛体物の配置を考慮した場合のスプライン型インナーの斜視図である。
【図29】スプライン型インナーの説明図で、エンジンルーム内の剛体面位置、WAD1500での衝突位置(1から4),及びWAD1100での衝突位置(5から8)を示す。剛体物対面位置はアウターから鉛直方向に70mm下方に設けている。
【図30】子供頭部衝突の衝突位置1での頭部加速度波形を示す。
【図31】大人頭部衝突の衝突位置1での頭部加速度波形を示す。
【図32】アウターが鋼板、インナーがアルミ合金製のコーン型フード構造につき、子供頭部衝突についての解析結果を示す。
【図33】アウターが鋼板、インナーがアルミ合金製のコーン型フード構造につき、大人頭部衝突についての解析結果を示す。
【符号の説明】
1 1a ,1 b 1c 1d 1e 1f 1g 1h :インナー
1A :フード
2 2a 2b 2c 2d 2e 2f 2g :波型ビード
3a:パネル構造体
4:アウター
4b :ヘム部
5:ビード凸部
6:ビード凹部
7:樹脂層
8:ヘム加工部
9a 9b 10a 10b:インナー周縁部
23:歩行者の頭部
24:剛体面
25:樹脂等の接着剤
26:波型インナー
27:ビーム型インナー
28:頭部モデル
29:補強部
30:接着部
31:スプライン型インナー
32:衝突位置

Claims (9)

  1. アウターパネルとインナーパネルとが空間を介した閉断面構造をとって結合されたパネル構造体であって、
    前記アウターパネルが 0.7 mm以下の鋼板または 2.1 mm以下のアルミニウム板で、かつ、前記インナーパネルが 1.2 mm以下のアルミニウム板であり、
    前記両アルミニウム板が 3000 系、 5000 系、 6000 系、 7000 系のいずれかであり、
    前記インナーパネルの周縁を除く全面に複数本の波型ビードが設けられ、かつ、前記波型ビードの直交断面波型形状、サイン曲線またはサインn乗曲線であり、前記nは1以上の整数であり、
    前記アウターパネルの裏面と前記インナーパネルの波型ビードの頂部とが接合部を介して接合され、
    前記インナーパネルの波形ビードの直交断面波型形状が、波型の波長をp、歩行者の頭部外径をdとした時、 0.7 <p/d< 1.7 を満足し、かつ、前記直交断面波型形状の波高をhとした時、 0.15 <h/d< 0.3 を満足するものであることを特徴とする車体フード用パネル構造体。
  2. 複数本の記波型ビードが、パネル構造体の長手方向に対し平行方向または斜め方、あるいは、前記平行方向に配列した前記波型ビードに交差する縦横の2重波型ビード、または、前記斜め方向に配列した前記波型ビードに交差する斜め2重波型ビード、あるいは、前記斜め方向に配列した前記波形ビードがV字状または逆V字状もしくはU字状としたことを特徴とする請求項1に記載の車体フード用パネル構造体。
  3. 複数本の記波型ビードが、前記パネル構造体の略中心に対して同心円状または楕円状の配列で設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車体フード用パネル構造体。
  4. 前記直交断面波型形状が剛体物と前記インナーパネルとのクリアランスに応じてスプライン関数で定義されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車体フード用パネル構造体。
  5. 前記インナーパネルが対面する剛体物との第1クリアランス位置の前記波型ビードの波長と、前記第1クリアランス位置に隣接する第2クリアランス位置の前記波型ビードの波長とでは、前記第2クリアランス位置の波長を前記第1クリアランス位置の波長より大きくしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車体フード用パネル構造体。
  6. 前記アウターパネルの裏面と前記インナーパネルの波型ビードの頂部とを樹脂層を接着剤として、前記アウターパネルとインナーパネルががた振動を生じる状態の前記接合部としたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車体フード用パネル構造体。
  7. 記接合部が、千鳥状または分散させて配列することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車体フード用パネル構造体。
  8. 前記インナーパネルの一部に補強板を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の車体フード用パネル構造体。
  9. アウターパネルとインナーパネルとが空間を介した閉断面構造をとって結合されたパネル構造体であって、
    前記アウターパネルが 0.7 mm以下の鋼板または 2.1 mm以下のアルミニウム板で、かつ 、前記インナーパネルが 1.2 mm以下のアルミニウム板であり、
    前記両アルミニウム板が 3000 系、 5000 系、 6000 系、 7000 系のいずれかであり、
    前記インナーパネルの周縁を除く全面に複数本の波型ビードが設けられ、かつ、前記波型ビードの直交断面波型形状が、サイン曲線またはサインn乗曲線であり、前記nは1以上の整数であり、
    前記アウターパネルの裏面と前記インナーパネルの波型ビードの頂部とが接合部を介して接合され、
    前記インナーパネルが剛体物と対面する位置の波形ビードの直交断面波型形状が、波型の波長をp、歩行者の頭部外径をdとした時、 0.7 <p/d< 1.7 を満足し、かつ、前記直交断面波型形状の波高をhとした時、 0.15 <h/d< 0.3 を満足するものであることを特徴とする車体フード用パネル構造体。
JP2001378764A 2000-12-13 2001-12-12 車体フード用パネル構造体 Expired - Lifetime JP3674918B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001378764A JP3674918B2 (ja) 2000-12-13 2001-12-12 車体フード用パネル構造体

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000378841 2000-12-13
JP2000-378841 2000-12-13
JP2001085143 2001-03-23
JP2001-85143 2001-03-23
JP2001-342131 2001-11-07
JP2001342131 2001-11-07
JP2001378764A JP3674918B2 (ja) 2000-12-13 2001-12-12 車体フード用パネル構造体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003205866A JP2003205866A (ja) 2003-07-22
JP3674918B2 true JP3674918B2 (ja) 2005-07-27

Family

ID=27670877

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001378764A Expired - Lifetime JP3674918B2 (ja) 2000-12-13 2001-12-12 車体フード用パネル構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3674918B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7488031B2 (en) 2006-07-07 2009-02-10 Kobe Steel, Ltd. Automotive engine hood
US9555837B2 (en) 2015-03-27 2017-01-31 Kobe Steel, Ltd. Vehicle hood structure

Families Citing this family (30)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4422454B2 (ja) * 2003-09-22 2010-02-24 トヨタ自動車株式会社 車両用フード構造
JP4076487B2 (ja) 2003-09-25 2008-04-16 トヨタ自動車株式会社 車両用フード構造
JP4543715B2 (ja) 2004-03-23 2010-09-15 日産自動車株式会社 エンジンフード構造体
JP2006044543A (ja) * 2004-08-06 2006-02-16 Kanto Auto Works Ltd 自動車のフード構造
WO2006059724A1 (ja) * 2004-12-02 2006-06-08 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho 車体パネル構造体
JP4492431B2 (ja) * 2005-05-13 2010-06-30 三菱自動車工業株式会社 フードパネル
JP4744997B2 (ja) * 2005-09-13 2011-08-10 株式会社イノアックコーポレーション エネルギー吸収部材の配置構造
JP5046656B2 (ja) * 2006-06-26 2012-10-10 新日本製鐵株式会社 歩行者保護性に優れた自動車用フードパネル
JP2008168844A (ja) * 2007-01-15 2008-07-24 Nippon Steel Corp 歩行者保護性に優れた自動車用フードパネル
JP4905898B2 (ja) * 2007-10-11 2012-03-28 株式会社神戸製鋼所 車輌用インナパネル
JP5207228B2 (ja) * 2007-10-11 2013-06-12 株式会社神戸製鋼所 車両用インナパネル
JP5004783B2 (ja) * 2007-12-25 2012-08-22 新日本製鐵株式会社 歩行者保護性に優れた自動車用フードパネル
JP5014109B2 (ja) * 2007-12-25 2012-08-29 新日本製鐵株式会社 歩行者保護性に優れた自動車用フードパネル
JP4760865B2 (ja) * 2008-06-25 2011-08-31 トヨタ自動車株式会社 車両用フード構造
JP5083904B2 (ja) * 2008-08-13 2012-11-28 キャタピラー エス エー アール エル ドア装置
JP5083903B2 (ja) * 2008-08-13 2012-11-28 キャタピラー エス エー アール エル ドアパネル
JP5317861B2 (ja) * 2009-07-02 2013-10-16 古河スカイ株式会社 歩行者保護性に優れたフードパネル及び車両フロント部構造
AU2009357432B2 (en) 2009-12-28 2013-10-31 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Hood structure of vehicle
JP2011148419A (ja) * 2010-01-22 2011-08-04 Honda Motor Co Ltd ボンネットフード構造体
JP5408336B2 (ja) * 2010-03-26 2014-02-05 トヨタ自動車株式会社 車両用フード構造
WO2012004881A1 (ja) 2010-07-08 2012-01-12 トヨタ自動車株式会社 車両用フード構造
WO2012073870A1 (ja) 2010-12-03 2012-06-07 日産自動車株式会社 フードインナパネル
JP5709610B2 (ja) 2011-03-31 2015-04-30 株式会社神戸製鋼所 車輌用フードパネル
CN106043455B (zh) 2012-10-01 2018-09-11 株式会社神户制钢所 车辆用发动机罩板
JP6258108B2 (ja) 2014-04-09 2018-01-10 株式会社神戸製鋼所 車輌用フード
JP6225858B2 (ja) * 2014-09-19 2017-11-08 マツダ株式会社 自動車のボンネット構造
US9868472B2 (en) 2014-09-19 2018-01-16 Mazda Motor Corporation Bonnet structure of automotive vehicle
JP6488186B2 (ja) * 2015-05-15 2019-03-20 ダイキョーニシカワ株式会社 車両用バックドア
KR101714203B1 (ko) * 2015-09-02 2017-03-09 현대자동차주식회사 강도 보강용 금속 판재
EP4296145A4 (en) * 2021-06-04 2024-07-17 Nippon Steel Corp AUTOMOTIVE EXTERIOR COMPONENT

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7488031B2 (en) 2006-07-07 2009-02-10 Kobe Steel, Ltd. Automotive engine hood
US9555837B2 (en) 2015-03-27 2017-01-31 Kobe Steel, Ltd. Vehicle hood structure

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003205866A (ja) 2003-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3674918B2 (ja) 車体フード用パネル構造体
KR100955550B1 (ko) 차체 후드용 패널 구조체
KR100919348B1 (ko) 차체 패널 구조체
JP4014144B2 (ja) 車体フード用パネル構造体
JP4664874B2 (ja) 自動車用フード
KR100925091B1 (ko) 자동차용 후드
US8991902B2 (en) Vehicle hood assembly
US7377580B1 (en) Multi-tier structure for car body hood
JP4801524B2 (ja) 自動車用フード
JP4282377B2 (ja) 車体パネル構造体
WO2019146789A1 (ja) 衝撃吸収部材
JPWO2018021421A1 (ja) 自動車の外装パネル
JPWO2018021422A1 (ja) 衝撃吸収部材
JP4733581B2 (ja) 自動車用フード
JP4728899B2 (ja) 自動車用フード
JP3723289B2 (ja) 自動車用ドアのガードビーム
JP4493945B2 (ja) 車両の衝撃吸収構造体及びその製造方法
KR100621903B1 (ko) 차량의 후드패널

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041102

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20041119

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20041119

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041228

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050119

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050420

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050422

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3674918

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080513

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090513

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100513

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100513

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110513

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110513

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120513

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120513

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130513

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140513

Year of fee payment: 9

EXPY Cancellation because of completion of term