JPWO2006001334A1 - 積層型電子部品及びこれを用いた噴射装置 - Google Patents

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Abstract

少なくとも1つの誘電体と第1及び第2の内部電極からなる複数の内部電極とが交互に積層されてなる有効層と該有効層の積層方向の両端に設けられた保護層とを含む積層体と、積層体の2つの側面にそれぞれ形成され、その一方が第1の内部電極に接続され、他方が第2の内部電極に接続されている外部電極とを有し、有効層は、隣接する第1の内部電極と第2の内部電極が互いに対向している活性部と、その活性部の外側に位置し、第1の内部電極同士もしくは第2の内部電極同士が対向している非活性部とからなる積層型電子部品であって、変位部、非変位部の境界が明瞭に把握できるように、前記活性部の色と前記非活性部の色を異ならせた。

Description

本発明は、積層型電子部品に関し、例えば、積層型セラミックコンデンサや積層型圧電素子に用いられる。特に、圧電トランスや、自動車用燃料噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動素子等に用いられる積層型圧電アクチュエータ等の積層型電子部品及びこれを用いた噴射装置に関するものである。
従来より、積層型電子部品としては、例えば、圧電体と内部電極を交互に積層した積層型圧電アクチュエータが知られている。この積層型圧電アクチュエータは、圧電体に電圧を印加して数μm〜数10μm伸長させ、アクチュエータの駆動力源とするものである。積層型圧電アクチュエータは、同時焼成タイプと、圧電磁器と内部電極板を交互に積層したスタックタイプとの2種類に分類されており、低電圧化、製造コスト低減の面を考慮すると、同時焼成タイプの積層型圧電アクチュエータが薄層化に対して有利であるために、その優位性を示しつつある。
図7は、従来の積層型圧電アクチュエータを示すものである。この積層型圧電アクチュエータでは、圧電体51と内部電極52が交互に積層された有効層と、その積層方向における両端面に保護層53を有する積層体60から構成されている。
正極及び負極となる内部電極52が交互に積層された変位部では正極及び負極の内部電極52が積層体53の側面に交互に露出している。これに対して、正極若しくは負極のどちらか一方のみが積層されている非変位部では、積層体60の側面に一方極の内部電極52のみが露出している。そして、一方極の内部電極52のみが露出した非変位部側面に外部電極70が形成されている。即ち、積層体60の対向する2側面に露出した非変位部に正極及び負極の外部電極70が形成され、変位部において交互に積層されている正極及び負極の内部電極が一層おきに外部電極70に接続されていることになる。
この積層型圧電アクチュエータのような積層型電子部品は、セラミックグリーンシートに内部電極ペーストを印刷し、この内部電極ペーストが塗布されたグリーンシートを複数層有する柱状積層体を作製していた(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、圧電体の原料を含むセラミックグリーンシートに内部電極ペーストを所定の電極構造となるパターンで印刷し、この内部電極ペーストが塗布されたグリーンシートを複数積層して得られた積層成形体を作製し、これを焼成することによって積層体を作製する。その後、積層体の一対の側面に外部電極を焼成によって形成して積層型圧電素子が得られる(例えば特許文献2参照)。
なお、内部電極52としては、銀とパラジウムの合金が用いられ、さらに、圧電体51と内部電極52を同時焼成するために、内部電極52の金属組成は、銀70重量%、パラジウム30重量%にして用いていた(例えば、特許文献3参照)。
このように、銀のみの金属組成からなる内部電極ではなく、パラジウムを含む銀−パラジウム合金含有の金属組成からなる内部電極52を用いるのは、一般的なPbZrO−PbTiOからなるペロブスカイト型酸化物を主成分とする圧電体の焼成温度が1200〜1300℃であり、銀の融点を超えてしまうためである。また、内部電極52中の銀が焼成時に圧電体51に拡散し、粒成長が促進されるため、圧電体のみを焼成する温度より100〜200℃低い温度でも、銀の拡散の効果により粒成長が促進され最適な結晶粒子を得ることができる。パラジウムを含まない銀のみの組成では、一対の対向する内部電極52間に電位差を与えた場合、その一対の内部電極52のうちの正極から負極へ電極中の銀が素子表面を伝わって移動するという、いわゆるシルバーマイグレーション現象が生じるからである。この現象は、高温、高湿の雰囲気中で、著しく発生していた。
従来の積層型圧電素子を圧電アクチュエータとして使用する場合には、外部電極70にさらにリード線が半田により固定され、外部電極70間に所定の電位がかけられて駆動させることができる。特に、近年においては、小型の積層型圧電素子は大きな圧力下において大きな変位量を確保する要求があるため、より高い電界を印加し、長時間連続駆動させることが行われている。
特開2001−181055号公報 特開昭61−133715号公報 特表平12−508835号公報
しかしながら、従来の積層型圧電アクチュエータでは、変位部と非変位部の境界が不明瞭であり、外部電極を非変位部のみに形成することが難しかった。即ち、外部電極を変位部まで形成すると、異なる極性を印加する内部電極同士を前記外部電極で導通させてしまうため、積層体の側面で絶縁不良が生じた。また、外部電極から変位部までの距離(非変位部の短手方向の距離)が短い場合においては、高電界で駆動中に積層体側面に露出した前記外部電極と他方極の内部電極の間で放電してショートする可能性があった。
また、非変位部の幅や外部電極と変位部の距離を検査測定する場合においても、高倍の光学装置で内部電極の端部位置を検査する必要があり、測定検査に時間を要した。
また、保護層の厚みを測定する場合においても、積層体の積層方向における最上層及び最下層にある内部電極の位置を高倍の光学装置で検査する必要があり、測定検査に時間を要した。
さらに、外部電極は有効層における非変位部に位置する同極の内部電極すべてに接続する必要があるが、外部電極を有効層における非変位部の積層方向のすべての領域に形成するのが難しかった。一方で、外部電極を保護層の全領域まで形成してしまうと、積層体の上下に形成される金属部材と絶縁不良を起こしてしまう可能性があった。即ち、外部電極は有効層における非変位部に位置する内部電極と導通し、且つ、保護層の上下端面に達しない領域で形成する必要があるが、前記領域内で外部電極を形成することが困難であった。
また、近年、積層型圧電アクチュエータは、高応答性、大変位量を達成するために、高電圧を高周波数で印加して駆動させることが要求されており、上記積層型圧電アクチュエータでは、異なる極性の電圧が印加される内部電極の端部間が短絡し、駆動を低下させる問題があった。
即ち、従来の積層型圧電アクチュエータは、原料粉末と有機高分子から成るバインダー等を混合してスラリーを作製し、該スラリーを周知のドクターブレード法、カレンダーロール法、スリップキャスティング法等のテープ成形法により、圧電体1となるセラミックグリーンシートを作製して、これに内部電極を印刷し、積層して柱状積層体を得ていた。この成形方法では異物の混入や、乾燥むらなどによりテープの厚みのばらつきが大きく、内部電極2間の距離が短くなることがあり、内部電極2間において電気が短絡しやすい状態になっていた。特に絶縁性を上げるためシート厚みを厚くするとばらつきが大きくなっていた。
このため、上記のような高応答性、大変位量を達成するために、高電圧を高周波数で印加して駆動すると内部電極間で短絡が発生してしまうという問題があった。
特に、高温、高湿度下で駆動させた場合、電極成分のマイグレーションにより異なる電圧が印加される内部電極間で短絡が発生し易いという問題があった。
そこで、本発明は、変位部、非変位部及び保護層のそれぞれの境界が明瞭に把握でき、外部電極と変位部間での絶縁不良が生じることなく、また、容易に非変位部の幅や外部電極と変位部間の距離や不活性部の厚みを検査測定できる積層型電子部品を提供することを第1の目的とする。
本発明は、高電圧、高温下、高湿度下で繰り返して作動する場合でも、内部電極間の短絡を抑制できる積層型電子部品を提供することを第2の目的とする。
本発明は、高電圧、高圧力下で圧電アクチュエータの変位量を大きくでき、かつ、長期間連続駆動させた場合でも変位量が変化することがなく、耐久性に優れた積層型圧電素子および噴射装置を提供することを第3の目的とする。
以上の目的を達成するために、本発明に係る第1の積層型電子部品は、少なくとも1つの誘電体と第1及び第2の内部電極からなる複数の内部電極とが交互に積層されてなる有効層と該有効層の積層方向の両端に設けられた保護層とを含む積層体と、前記積層体の2つの側面にそれぞれ形成され、その一方が前記前記第1の内部電極に接続され、他方が前記第2の内部電極に接続されている外部電極とを有する積層型電子部品であって、前記有効層は、隣接する前記第1の内部電極と前記第2の内部電極が互いに対向している活性部と、その活性部の外側に位置し、前記第1の内部電極同士もしくは前記第2の内部電極同士が対向している非活性部とからなり、前記活性部の色と前記非活性部の色が異なっていることを特徴とする。
また、この本発明に係る第1の積層型電子部品では、前記活性部と前記非活性部の間のL*a*b*表色系における色差ΔE*abが1.0以上であることが好ましい。
また、本発明に係る第2の積層型電子部品は、少なくとも1つの誘電体と第1及び第2の内部電極からなる複数の内部電極とが交互に積層されてなる有効層と該有効層の積層方向の両端に設けられた保護層とを含む積層体と、前記積層体の2つの側面にそれぞれ形成され、その一方が前記前記第1の内部電極に接続され、他方が前記第2の内部電極に接続されている外部電極とを有する積層型電子部品であって、前記有効層の色と前記保護層の色が異なっていることを特徴とする。
この本発明に係る第2の積層型電子部品では、前記有効層と前記保護層の間のL*a*b*表色系における色差ΔE*abが1.0以上であることが好ましい。
さらに、本発明に係る第3の積層型電子部品は、複数の誘電体と複数の内部電極とを積層してなる積層体を含んでなり、前記誘電体の厚みが50μm以上であり、かつその厚みばらつきが10μm以下であること特徴とする。
さらに、本発明に係る第4の積層型電子部品は、少なくとも1つの圧電体と第1及び第2の内部電極からなる複数の内部電極とが交互に積層されてなる積層体と、前記積層体の2つの側面にそれぞれ形成され、その一方が前記前記第1の内部電極に接続され、他方が前記第2の内部電極に接続されている外部電極とを有する積層型電子部品であって、前記圧電体は、VIII族金属および/またはIb族金属を0.01〜1重量%含有していることを特徴とする。
本発明に係る噴射装置は、噴射孔を有する収納容器と、該収納容器に収納され、前記第1と前記第2の内部電極の間に印加える電圧に対応して積層方向に伸縮する前記第1〜第4のいずれかの積層型電子部品と、該積層型電子部品を駆動することにより前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする。
また、本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、誘電体を含むスラリーを用いてテープ成形により厚み50μm以上で厚みばらつきが10μm以下である誘電体のシートを作製し、そのシートに内部電極を印刷した後に積層して焼成することを特徴とする。
以上のように構成された本発明に係る第1の積層型電子部品は、前記活性部の色と前記非活性部の色が異なっているので、前記活性部と前記非活性部の境界が明瞭となり、前記外部電極の一部が前記活性部側面上に形成されたり、前記外部電極と前記活性部との距離が短くなったりすることがなく、前記外部電極と前記活性部側面の間での絶縁不良を防止することができる。また、その積層型電子部品において、を前記誘電体を圧電体として積層型圧電アクチュエータとした場合、高電界で駆動させても、外部電極と活性部(変位部)側面間でショートするといった問題の発生を防止できる。
また、本発明に係る第1の積層型電子部品において、前記活性部と前記非活性部の間のL*a*b*表色系における色差ΔE*abが1.0以上であると、前記活性部と前記非活性部との境界を容易に光学装置にて識別できるため、非活性部の幅や活性部と外部電極との距離を容易に測定することができる。さらに、前記外部電極の一部が前記活性部側の面上に形成されていたり、前記外部電極と前記活性部間の距離が短かったりした場合において、不具合を容易に検出が可能となる。
その結果、高度な検査工程を省くことができるため、高信頼性を有する積層型電子部品を安価に製造することができる。
また、本発明に係る第2の積層型電子部品は、前記有効層の色と前記保護層の色が異なっているので、有効層と保護層の境界が明瞭となり、該保護層の厚みが薄すぎて積層体の上下端面よりクラックが発生したりするといった問題が生じる可能性のある製品を、予め容易に判別することができる。また、外部電極が同極のすべての内部電極に接続されていない製品も容易に判別することができる。即ち、外部電極は有効層における非活性部に位置する同極の内部電極すべてに接続する必要があるが、有効層と保護層に色差を設けることにより、有効層と保護層の境界が明瞭なものとなり、外部電極が非活性部の積層方向のすべての領域に形成されて、且つ内部電極と接続しているかどうか容易に確認することができる。
本発明に係る第2の積層型電子部品において、前記有効層と前記保護層の間のL*a*b*表色系における色差ΔE*abが1.0以上であると、保護層と変位部及び保護層と非変位部の境界を容易に光学装置にて識別できるため、検査効率が大幅に向上し、安価な積層型電子部品を製造することができる。
さらに、本発明に係る第3の積層型電子部品は、前記誘電体の厚みが50μm以上であり、かつその厚みばらつきが10μm以下であるので、内部電極間での短絡が抑制され、高電圧、高温下、高湿度下においても高い耐久性能を有することができる。特に、高電圧が印加される積層型圧電アクチュエータにおいて、内部電極間での短絡を抑制できる。
またさらに、本発明に係る第4の積層型電子部品によれば、前記圧電体が、VIII族金属および/またはIb族金属を0.01〜1重量%含有しているので、高電圧、高圧力下で圧電アクチュエータの変位量を大きくでき、かつ、長期間連続駆動させた場合でも変位量の変化量を抑えることができ、耐久性に優れた積層型圧電素子を提供することができる。
本発明に係る噴射装置によれば、前記第1〜第4のいずれかの積層型電子部品を含むので、耐久性に優れた積層型圧電素子および噴射装置を提供することができる。
また、本発明に係る積層型電子部品の製造方法は、誘電体を含むスラリーを用いてテープ成形により厚み50μm以上で厚みばらつきが10μm以下である誘電体のシートを作製し、そのシートに内部電極を印刷した後に積層して焼成するようにしているので、内部電極間での短絡が防止でき、高電圧、高温下、高湿度下においても高い耐久性能を有する積層型電子部品を製造することができる。
本発明に係る実施の形態1の積層型電子部品の構成を示す斜視図である。 図1AのA−A'線についての断面図である。 図1Bの一部を拡大して示す部分拡大図である。 実施の形態1の積層型電子部品の内部電極パターンを示す展開斜視図である。 本発明に係る実施の形態2の積層型電子部品の構成を示す斜視図である。 本発明に係る実施の形態3の積層型電子部品の構成を示す斜視図である。 実施の形態3の積層型電子部品における内部電極パターンを示す展開斜視図である。 本発明に係る実施の形態4の噴射装置の構成を示す断面図である。 本発明に係る実施例3の積層型圧電体素子の圧電体中における金属成分の含有量の測定結果を示すグラフである。 従来の積層型圧電アクチュエータの斜視図である。
符号の説明
1・・・圧電体、
2・・・内部電極、
4・・・外部電極、
6・・・リード線、
10・・・有効層、
10a・・・活性部(変位部)、
10b・・・非活性部(非変位部)、
11・・・保護層、
31・・・収納容器、
33・・・噴射孔、
35・・・バルブ、
43・・・圧電アクチュエータ、
102,111,113・・・積層体。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施の形態の積層型電子部品について説明する。
実施の形態1.
図1A、図1B及び図1Cは、本発明に係る実施の形態1の積層型電子部品の一形態である積層型圧電アクチュエータの構成を示すもので、図1Aは斜視図、図1Bは図1AのA−A'線における断面図、図1Cは図1Bの一部を拡大して示す拡大図である。
本実施の形態1の積層型圧電アクチュエータは、図1Aに示すように、圧電体1と内部電極2とを交互に積層してなる有効層10と、有効層10の積層方向の両端部に設けた保護層11とからなる積層体111の側面に一対の外部電極4を備えている。また、図1B、図1Cに示すように有効層10は、一対の外部電極4のうちの一方の外部電極である正極と接続した第1内部電極2aと、他方の外部電極4である負極と接続した第2内部電極2bとによって圧電体1が挟まれた活性部10a(以下、変位部10aとする)と、第1内部電極2a同士もしくは第2内部電極2b同士で前記圧電体1が挟まれた非活性部10b(以下、非変位部10bとする)とから構成されている。即ち、外部電極4は非変位部10bの側面にそれぞれ形成され、第1内部電極2aもしくは第2内部電極2bのどちらか一方と接続するように設けられ、接続していない他方の内部電極2とは絶縁されている。尚、本実施の形態1では、他方の外部電極4を負極としているが、グランドとしてもよい。
内部電極2は銀−パラジウム等の金属材料で形成されており、この内部電極2を介して各圧電体1に所定の電圧を印加し、圧電体1に逆圧電効果による変位を起こさせる。
これに対して、保護層11は内部電極2が配されていない複数の圧電体1の層であるため、外部電極4を介して電圧を印加しても変位を起こさない。尚、保護層11は、上記したように、圧電体1と同じ材料で形成してもよいが、異なる材料で形成してもよい。
ここで、非変位部10bにおける内部電極2間の距離、即ち、第1内部電極2a同士もしくは第2内部電極2b同士の間の距離は、変位部10aにおける内部電極2間の距離の略2倍である。
また、積層体111の対向する側面には外部電極4が接合されており、この外部電極4には、積層されている内部電極2が一層おきに電気的に接続されているため、内部電極2に挟まれた圧電体1に対して逆圧電効果により変位させるのに必要な電圧を共通に供給することができる。
さらに、外部電極4にはリード線6が半田等により接続固定されていて、このリード線により外部電極4を外部の電圧供給部に接続することができる。
実施の形態1では、圧電体1は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O(以下PZTと略す)、或いはチタン酸バリウムBaTiOを主成分とする圧電セラミックス材料等で形成されている。この圧電セラミックスは、その圧電特性を示す圧電歪み定数d33が高いものが望ましい。
また、圧電体1の厚み、つまり、変位部10aにおける内部電極2間の距離は50〜250μmが望ましい。圧電体1の厚みをこの範囲に設定すると、より大きな変位量を得るために積層数を増加しても、積層型圧電アクチュエータの小型化、低背化が図れるとともに、圧電体1の絶縁破壊を防止できる。
一方で、有効層10における内部電極2(第1内部電極2a、第2内部電極
2b)は、一方端において同極の外部電極4に接続し、他方端において他極の外部電極4から絶縁するために、いずれか一方の側面側では、一部が部分的に欠如した形状になっている。例えば、図2に示すようなパターン形状で正極及び負極の内部電極2が交互に積層されている。尚、正極及び負極の内部電極2の形状は、一方端を外部電極4に接続し、他方端が他極の外部電極4に接続されない構造であれば、図2に示す構造に限られるものではなく、同一の形状であっても、異なった形状であっても構わない。
このようにして、有効層10は、正極及び負極の内部電極2が連続して積層されている変位部10aと、一方の極性の内部電極2のみが積層されている非変位部10bで形成されている。
そして、本実施の形態1の積層型圧電アクチュエータは、変位部10aと非変位部10bの色が異なるように形成する点に特徴がある。即ち、変位部10aと非変位部10bに色差を設けることにより、変位部10aと非変位部10bの間の境界が明瞭となり、外部電極4の一部が変位部10a側面上に形成されたり、外部電極4と変位部10aとの距離が短くなったりすることがなく、外部電極4と変位部10a側面に露出した他方極の内部電極2の間で絶縁不良が起きたり、高電界で駆動中に外部電極4と変位部10a側面に露出した他方極の内部電極2との間でショートするといった問題が生じるのを防ぐことができる。
ここで、変位部10aと非変位部10bで色差を設けるためには、例えば、圧電体1が持つ色と内部電極2が持つ色とを大きく異ならせたり、内部電極2間の距離の制御や積層数を制限することにより、上記した色差を設けることが可能である。色差を設ける方法の詳細については後述する。
さらには、変位部10aと非変位部10bのL*a*b*表色系における色差ΔE*abが1.0以上であることが好ましい。これは、前記色差ΔE*abが1.0未満であると変位部10aと非変位部10bの境界が不明瞭となり、外部電極4を積層体1a側面に形成する際において、外部電極4の一部が変位部10aの側面上に形成されて、該外部電極4と変位部10aの側面に露出した他方極の内部電強2との間で絶縁不良を起こす可能性が高い。また、外部電極4の一部が変位部10aの側面上にかからないまでも、外部電極4と変位部10aの距離が短い場合には、アクチュエータを高電界で駆動させた場合において、外部電極4と変位部10a側面に露出した他方極の内部電極2との間でショートする危険があった。
また、本実施の形態1の積層型圧電アクチュエータは、有効層10と保護層11の色が異なるように形成することが好ましい。即ち、有効層10と保護層11に色差を設けることにより、保護層11の厚みを容易に測定することができるため、所定の厚みで保護層11を形成できたか確認することができる。ここで、保護層11が薄すぎると、積層型圧電アクチュエータを高電界で連続駆動させると、保護層11の上下の端面からクラックが発生し、該クラックが内部電極2まで進展してショートする問題がある。一方で、保護層11が厚すぎると、近年の電子部品の極小化に伴う低背化に反するので好ましくない。これに対して、有効層10と保護層11の色を異ならせることにより、保護層11が薄くショートする危険がある製品を容易に判別することができる。さらには、積層体1aの積層方向における上下端面に位置するそれぞれの保護層11の厚みを同一になるように研磨することができるとともに、上記したショートが生じない程度の厚みで、且つ最小限の薄さに仕上げることが容易になる。
さらには、有効層10と保護層11のL*a*b*表色系における色差ΔE*abが1.0以上であることが好ましい。これは、色差ΔE*abが1.0未満であると、有効層10と保護層11の境界が不明瞭となり、結果、保護層11の厚みを測定することが困難となり、保護層11の厚みが薄い場合には、アクチュエータを高速、高発生力の条件下で駆動させた場合に保護層11の上下の端面からクラックが発生し、該クラックが内部電極2まで達し、ショートする問題が生じるおそれがある。
また、前記色差ΔE*abが1.0未満であると、有効層10と保護層11の境界が不明瞭となり、外部電極4が有効層10の積層方向の長さ領域すべてに渡って形成されているかが不明瞭となり、外部電極4が有効層10の積層方向長さ領域すべてに渡って形成されていないと、一部の内部電極2が外部電極4に接続されなくなり、結果、変位量が低下するといった問題が生じるおそれがある。
さらに、圧電体1と内部電極2のL*a*b*表色系における色差ΔE*abが1.5以上であることが好ましい。これは、圧電体1と内部電極2の色差ΔE*abが1.5未満であると、他方極の内部電極2に挟まれた圧電体1の領域である変位部10aと同極の内部電極2に挟まれた圧電体1の領域である非変位部10b、及び、内部電極2に挟まれていない圧電体の領域である保護層11の色差を後述する理由で有効的に変化させることができない。
尚、L*a*b*表色系における色差ΔE*abは、以下の式1〜式4により求めることができる。すなわち、分光測色計により測定した明度L*、色相と彩度を表す色度a*及びb*から、2つの測定物間の明度差ΔL*、色度差Δa*及びΔb*を求め、次式により色差ΔE*abを算出する。(なお(1)及び(2)は対象物1、2を示す添え字)
ΔL*=L*(1)−L*(2)・・・式1
Δa*=a*(1)−a*(2)・・・式2
Δb*=b*(1)−b*(2)・・・式3
ΔE*ab=〔(ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2・・・式4
次に、本実施の形態1の積層型圧電アクチュエータの製法を説明する。
本実施の形態1の積層型圧電アクチュエータの製法においては、先ず、PZT等の圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系、ブチラール系等の有機高分子から成るバインダーと、DBP(フタル酸ジオチル)、DOP(フタル酸ジブチル)等の可塑剤とを混合してスラリーを作製する。そして、該スラリーを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成形法により圧電体1となるセラミックグリーンシートを作製する。
次に、銀−パラジウム粉末にバインダー、可塑剤等、及び必要に応じて前記圧電セラミックスの仮焼粉末等を添加混合して、内部電極2をなす導電性ペーストを作製し、これを前記各グリーンシートの上面にスクリーン印刷等によって1〜40μmの厚みにパターン印刷する。このとき、非変位部10bとなる部分には、印刷を行わない。そして、正極及び負極の内部電極2となる導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを交互に複数枚積層して有効層10を形成し、さらに有効層10の積層方向の上下に導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートを複数層積層し保護層11を形成する。この積層体を所定の温度で脱バインダーを行った後、900〜1200℃で焼成することによって積層体111を作製する。
ここで、変位部10a、非変位部10b、さらに保護層11の色を効果的に異ならせるには、例えば、PbZrO−PbTiOを主成分とした場合、副成分にYb、W、Nb、Sb、Y、La、Ba、Sr、Caなどを0.5mol%以上添加することで、明度が高く、透光性のある圧電体1を形成することができる。特に、Yb、Ba、Srを合計で1.0mol%以上添加すると明度を表すL*値が著しく増大するため、より好ましい副成分となる。
一方で、副成分としてMn、Cr、Coなどを0.5mol%以上添加すると、明度が低く、透光性のない圧電体とすることができる。
ここでは、内部電極2を銀−パラジウムで構成すると、銀−パラジウムは比較的明度の低い材料組成であるため、上述したような副成分を加えて明度や透光性を向上させた圧電体1と内部電極2の色を大きく異ならせることができる。即ち、比較的明度の低い銀−パラジウムからなる内部電極2に挟まれた有効層10の明度は、内部電極2が配されていない圧電体1の層からなる保護層11に比べて著しく小さな値になる。
さらに、有効層10において、圧電体1が内部電極2に挟まれている場合でも、挟まれている内部電極2間の距離が小さくなるに従い、明度が小さな値となる。そのため、変位部10aに対して圧電体1の厚みの約2倍の距離で内部電極2が配されている非変位部10bの明度は、変位部10aの明度よりも大きな値となる。その結果、変位部10a、非変位部10b、及び保護層11の色がそれぞれ異なるため、容易に境界を識別することができる。
また、内部電極2中に含まれる銀成分が圧電体1内部へと拡散することによっても、圧電体1の明度が小さな値となる。即ち、圧電体1の明度の低下は、挟まれている内部電極2間の距離に依存し、圧電体1が挟まれている内部電極2間の距離が狭いほど、内部電極2中の銀の圧電体1への拡散量が多くなり、結果、明度が小さな値となる。即ち、変位部0a、非変位部10b、保護層の順に明度が大きくなる。
さらに、内部電極2中の銀を有効に圧電体1に拡散させるためには、内部電極2として用いる銀−パラジウムに含まれる銀の比率は多いほど良く、70%以上、望ましくは85%以上が良い。
尚、変位部10a、非変位部10b、及び保護層11に色差を設けるには、上述したような圧電体1と内部電極2の色を大きく異ならせる方法によるものではなく、圧電体1や内部電極2の厚みを制御することにより、変位部10aと非変位部10bの内部電極2の密集度合を変化させてもよい。即ち、圧電体1と内部電極2とが適度に色が異なっていなくても、圧電体1の厚みを小さくして内部電極2の厚みを大きくすれば、変位部10aと非変位部10bとの境界が明確になる。
また、内部電極を構成する銀−パラジウムは、銀とパラジウムの合金粉末を用いても、銀粉末とパラジウム粉末の混合物を用いても良い。なお、銀粉末とパラジウム粉末の混合物を用いた場合においても、焼成時に銀−パラジウムの合金が形成される。
尚、積層体111は、上記製法によって作製されるものに限定されるものではなく、複数の圧電体1と複数の内部電極2とを交互に積層してなる積層体111を作製できれば、どのような製法によって形成されても良い。
次に、銀とガラスからなる混合物にバインダーを添加して作製した銀ガラスペーストを、外部電極4を形成する非変位部10b側面に印刷し、500〜850℃の温度で焼き付けを行うことにより、外部電極4を形成する。
その後、シリコーンゴムを積層体111の側面にコーティング(不図示)して、硬化させた後、リード線6を外部電極4に半田等で接続することにより本発明の積層型圧電アクチュエータが完成する。
そして、リード線6を介して一対の外部電極4に0.1〜3kV/mmの直流電圧を印加し、積層体111を分極処理することによって、製品としての積層型圧電アクチュエータが完成する。積層型圧電アクチュエータのリード線6を外部の電圧供給部に接続し、リード線6及び外部電極4を介して内部電極2に電圧を印加させれば、各圧電体1は逆圧電効果によって大きく変位し、これによって例えばエンジンに燃料を噴射供給する自動車用燃料噴射弁として機能する。
実施の形態2.
実施の形態2の積層型アクチュエータは、本発明に係る積層型電子部品の他の形態例である。
実施の形態2の積層型アクチュエータは、図3に示すように、複数の圧電体1と複数の内部電極2を交互に積層してなる四角柱の柱状積層体102の対向する2つの側面において、内部電極2の端部が互い違いで一層おきに絶縁体3で被覆され、絶縁体3で被覆されていない内部電極2の端部と外部電極4とを接続し、各外部電極4にリード線6を接続固定して構成されている。
内部電極2の間には圧電体1が配されており、内部電極2を介して各圧電体1に所定の電圧を印加し、圧電体1に逆圧電効果による変位を起こさせる。
そして、本実施の形態2の積層型圧電アクチュエータでは、この圧電体1の厚み、即ち内部電極2間の距離が50μm以上好ましくは70μmさらに好ましくは80μm以上で、かつそのばらつきが10μm以下好ましくは8μm以下、さらに好ましくは5μm以下であることを特徴としている。これは内部電極2間の距離が短いかもしくはそのばらつきが大きいと、内部電極2間での短絡が生じ、積層型圧電アクチュエータが破損しやすくなるからである。
ここで、内部電極2間の距離のばらつきである圧電体1の厚みは、複数箇所で測定したときの平均値であり、そのばらつきとは最大値と最小値との差のことである。
さらに、焼成後は柱状積層体102の4つの側面に内部電極2は露出しているが、実施の形態2では、少なくとも1つの側面において、内部電極2の端部を含む圧電体1の端面に一層おきに深さ50〜500μm、積層方向の幅30〜200μmの溝を形成し、該溝内にガラス、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーンゴム等を充填することによって絶縁体3が形成される。このようにすると、信頼性の面から好ましい。
この絶縁体3により、柱状積層体102の対向する2つの側面において、内部電極2の端部が互い違いで一層置きに絶縁され、内部電極2の絶縁されていない他方の端部は、外部電極4に接続されている。
なお、絶縁体3は、柱状積層体102との接合を強固とするために、柱状積層体102の変位に対して追従するような弾性率が低い材料、具体的にはシリコーンゴム等からなることが好適である。
また、内部電極2の露出した柱状積層体102の対向する2つの側面に、蒸着、スパッタリング、メッキ等で薄膜の低抵抗部を予め形成しておき、この低抵抗部上に外部電極4を接続しても良い。
さらに、外部電極4にはリード線6が半田等により接続固定されている。このリード線6は外部電極4を外部の電圧供給部に接続する作用を有する。
そして、リード線6を介して一対の外部電極4に0.1〜3kV/mmの直流電流を印加し、柱状積層体102を分極処理することによって、積層型圧電アクチュエータが完成する。該積層型圧電アクチュエータに対して、リード線6を外部の電圧供給部に接続し、外部電極4を介して内部電極2に電圧を印加させれば、各圧電体1は逆圧電効果によって大きく変位する。この機能は、例えば、エンジンに燃料を噴射供給する自動車用燃料噴射装置として利用できる。
即ち、噴射口を有する収納容器と、該収納容器に収納された本発明の積層型圧電アクチュエータと、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備して噴射装置を構成することができる。噴射装置では、上記したように、積層型圧電素子において、連続駆動させても、所望の変位量が実効的に変化しないために、装置が誤作動することなく、耐久性に優れた高信頼性の噴射装置を提供することができる。
次に、本実施の形態2の積層型圧電アクチュエータの製造方法を説明する。
本実施の形態2の積層型圧電アクチュエータの製造方法においては、先ず、PZT等の圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系、ブチラール系等の有機高分子から成るバインダーと、バインダーを溶解させるためのアルコールや、トルエンなどの有機溶剤、DBP(フタル酸ジオチル)、DOP(フタル酸ジブチル)等の可塑剤を混合してスラリーを作製し、該スラリーを周知のドクターブレード法、カレンダーロール法、スリップキャスティング法等のテープ成形法により、厚みが50μm以上、より好ましくは55μm以上で、厚みばらつきが10μm以下の圧電体1となるセラミックグリーンシートを作製する。
上記スラリーの粘度は15ポイズ以上、好ましくは20ポイズさらに好ましくは25ポイズ以上であることが好ましい。シート厚みを厚くすると厚みばらつきが大きくなるが、粘度を高くして成形することにより厚みの均一なテープが得られる。またこれらの粘度にスラリーをするにはアクリル系、ブチラール系等の有機高分子から成るバインダーと、バインダーを溶解させるためにアルコールや、トルエンなどを用いることが好ましい。
次に、銀‐パラジウム粉末に、バインダー、可塑剤、及び必要に応じて上記圧電セラミックス仮焼粉末等を添加混合して、内部電極2を成す導電性ペーストを作製し、該導電ペーストを上記各グリーンシートの上面にスクリーン印刷等によって1〜40μmの厚みに印刷する。
そして、上面に導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを積層し、任意の大きさに切断した後、所定の温度で脱バインダーを行い、900〜1000℃で焼成することによって、柱状積層体102を作製する。この際、焼成工程中に生じる変形、分解を抑制するために供材などを同時に焼成したり、密閉された焼成鉢で焼成したり、あるいは同一材料系の焼成鉢で焼成することが好ましい。
焼成後の柱状積層体102の形状を整えるために、平面研削盤等で研削する。さらに、これらの研削後もしくは単独でも、炭化珪素やアルミナの砥粒を用いたラップ研磨や、ポリッシングで加工することが好ましい。
上記のようにして、複数の圧電体1と複数の内部電極2を交互に積層して成る柱状積層体102が作製される。さらに、柱状積層体102の対向する2つの側面において、内部電極2の端部を互い違いで一層置きに絶縁体3により絶縁し、内部電極の絶縁されていない他方の端部には、外部電極4が接続し、該外部電極4にリード線6を接続することによって、本発明の積層型圧電アクチュエータが作製される。
以上の実施の形態2では、圧電体と内部電極を複数積層したアクチュエータについて説明したが、本発明の積層型電子部品は積層型圧電アクチュエータに限るものではない。例えば、圧電体の代わりに他の誘電体を用いることにより、コンデンサ等の積層型電子部品とすることもできる。
実施の形態3.
本発明に係る実施の形態3の積層型電子部品も、積層型圧電素子(積層型圧電アクチュエーター)であり、以下のように構成されている。
ここで、図4Aは斜視図であり、図4Bは圧電体層と内部電極層との積層状態を示す斜視展開図である。
本実施の形態3の積層型圧電素子では、図4A及び図4Bに示すように、圧電体1と内部電極2とを交互に積層してなる積層体113の一対の対向する側面に外部電極4が形成されており、その側面に一層おきに露出した内部電極2の端部と外部電極4とが電気的に導通するように接合されている。また、積層体113の積層方向の両端の層には圧電体1で形成された保護層11を積層している。この実施の形態3の積層型圧電素子を積層型圧電アクチュエータとして使用する場合には、外部電極4にリード線を半田により接続固定し、前記リード線を外部電圧供給部に接続すればよい。
圧電体1間には内部電極2が配されているが、この内部電極2は、例えば、銀−パラジウム等の金属材料で形成されており、この内部電極2を通じて各圧電体1に所定の電圧を印加することにより、圧電体1に逆圧電効果による変位を起こさせることができる。
これに対して、保護層11は内部電極2が配されていない複数の圧電体1の層であるため、電圧を印加しても変位を生じない。
そして、本実施の形態3に係る発明は、圧電体1中にVIII族金属および/またはIb族金属が0.01〜1重量%含有していることを特徴としている。
ここで、圧電体1中にVIII族金属および/またはIb族金属を0.01〜1重量%含有する理由は、その範囲内にあるとき、体積固有抵抗が大きくなることと、金属成分のマイグレーションを抑制できることにより体積固有抵抗の劣化(経時変化)を抑制できるためである。また、圧電体1中への金属成分の拡散により1000℃程度の低温焼成時においても磁器粒径が最適な大きさまで粒成長し、磁器が充分に焼結するという利点もある。0.01重量%より小さいと圧電体1への金属成分の拡散量が少なすぎるため、粒成長を促進する効果が充分に得られず、焼結不良となる。一方、1重量%より大きいと、粒成長を促進する効果はあるものの、圧電体1中の金属成分の含有量が多すぎるため、初期の体積固有抵抗値が小さくなることと、金属成分のマイグレーションにより、駆動後に短時間でショートしてしまうおそれがある。
積層型圧電素子の耐電圧、耐久性を向上させるには、0.01〜0.7重量%が好ましい。積層型圧電体素子の圧電特性を向上させ、変位量を大きくかつ耐久性を向上させるためには、0.05〜0.5重量%がより好ましい。さらに耐久性を向上させるには、0.05〜0.25重量%がさらに好ましい。
また、積層形圧電素子の圧電特性を向上させ、耐久性を向上させるために内部電極の金属主成分は、Cu、Ag、Ni、Pt、Pdのうち少なくとも1種以上から構成されることが好ましい。さらに積層型圧電素子の圧電特性と耐久性を向上させるためにはAgを含むことがさらに好ましい。
さらに本発明では、圧電体1中のVIII族金属および/またはIb族金属含有量が、圧電体全体に渡り実質的に均一であることが好ましい。圧電体1中のVIII族金属および/またはIb族金属含有量が、圧電体全体に渡り実質的に均一であると、圧電体1の粒径が均一となる。そのため、磁器密度が均一になり、耐久性、圧電特性が向上する。また、圧電特性のばらつきも小さくすることができる。一方、含有量が不均一だと、分極時もしくは駆動時に密度の低いところでクラックが生じてしまうことがある。
そのため、積層型圧電体素子の変位量を大きく、かつ耐久性を向上させるには、圧電体1中の金属成分の含有量を均一にすることが好ましいが、より好ましくは金属成分の含有量が圧電体1中で標準偏差σ=0.5以下とすることで、圧電体1中の粒径を均一にでき、積層型圧電素子の駆動時における耐久性を向上させることができる。さらに好ましくは、標準偏差σ=0.3以下することで、耐電圧の向上、駆動時における耐久性をさらに向上させることができる。また、圧電特性のばらつきも小さくなるため製品として所望の圧電特性が得られやすい。
前記圧電体1中の金属成分の重量%で示すVIII族金属、Ib族金属は、EPMA(Electron Probe Micro Analysis)法等の分析方法で特定できる。また、ここでは積層型圧電素子を鏡面研磨しEPMA定量分析を圧電体1中の任意の場所について5点測定した。これより、強度(カウント値)と含有量の検量線を作成した。次に、積層型圧電素子の厚さ方向に対してEPMA線分析を行い、2つの内部電極2に挟まれた圧電体1中の金属成分含有量の分布を測定した。EPMA線分析ではカウント値しか得られないため、検量線から圧電体1中の金属成分の含有量を算出した。この値を圧電体1中の金属成分の含有量とばらつきとした。
次に、本実施の形態3の積層型圧電素子の製法を説明する。
本発明の積層型圧電素子の製造方法では、まず、PbZrO−PbTiO等からなるペロブスカイト型酸化物の圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系、ブチラール系等の有機高分子から成るバインダーと、DBP(フタル酸ジブチル)、DOP(フタル酸ジオチル)等の可塑剤とを混合してスラリーを作製し、該スラリーを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成型法により圧電体1となるセラミックグリーンシートを作製する。
次に、銀−パラジウム等の内部電極2を構成する金属粉末に、酸化銀等の金属酸化物、バインダー及び可塑剤等を添加混合して導電性ペーストを作製し、これを前記各グリーンシートの上面にスクリーン印刷等によって1〜40μmの厚みに印刷する。
そして、上面に導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを複数積層し、この積層体について所定の温度で脱バインダーを行った後、900〜1200℃で焼成することによって積層体113が作製される。
ここで、実施の形態3では、以下のような製造方法を用いることにより、圧電体1中にVIII族金属および/またはIb族金属を0.01〜1重量%含有させ、かつ含有量が圧電体1中に渡って実質的に均一となるようにできる。
第1に、焼成時の最高温度を1000℃以下にすることにより、圧電体1中に十分金属成分を拡散させる方法がある。
また、焼成工程において最高温度より200〜300℃程度低い、磁器の焼結が充分起こらず、金属成分が拡散するのに充分な温度領域(700〜800℃)において、1〜2時間の保持時間を設けるという方法がある。
さらに、圧電体1中を構成する原料中にSiを圧電特性に悪影響を与えない100ppm程度添加して金属成分を拡散しやすくする方法もある。
以上のような方法により、圧電体1中にVIII族金属および/またはIb族金属を0.01〜1重量%含有させ、かつ含有量が圧電体1中に渡って実質的に均一となるようにできる。
このとき、保護層11の部分のグリーンシート中に、銀−パラジウム等の内部電極2を構成する金属粉末を添加したり、保護層11の部分のグリーンシートを積層する際に、銀−パラジウム等の内部電極を構成する金属粉末および無機化合物とバインダーと可塑剤からなるスラリーをグリーンシート上に印刷することで、保護層11とその他の部分の焼結時の収縮挙動ならびに収縮率を一致させることができるので、緻密な積層体を形成することができる。
なお、積層体113は、上記製法によって作製されるものに限定されるものではなく、複数の圧電体1と複数の内部電極2とを交互に積層してなる積層体113を作製できれば、どのような製法によって形成されても良い。
次に、銀とガラスからなる混合物にバインダーを添加して作製した銀ガラスペーストを、外部電極4を形成する側面に印刷し、例えば、500〜850℃の温度で焼き付けを行うことにより、外部電極4を形成する。
次に、外部電極4を形成した積層体113をシリコーンゴム溶液に浸漬するとともに、シリコーンゴム溶液を真空脱気することにより、積層体113の溝内部にシリコーンゴムを充填し、その後シリコーンゴム溶液から積層体113を引き上げ、積層体113の側面にシリコーンゴムをコーティングする。その後、溝内部に充填、及び柱状積層体113の側面にコーティングした前記シリコーンゴムを硬化させることにより、本発明の積層型圧電素子が完成する。
そして、外部電極4にリード線を接続し、該リード線を介して一対の外部電極4に0.1〜3kV/mmの直流電圧を印加し、積層体113を分極処理することによって、本発明の積層型圧電素子を利用した積層型圧電アクチュエータが完成し、リード線を外部の電圧供給部に接続し、リード線及び外部電極4を介して内部電極2に電圧を印加させれば、各圧電体1は逆圧電効果によって大きく変位し、これによって例えばエンジンに燃料を噴射供給する自動車用燃料噴射弁として機能する。
以下、実施の形態1〜3において、上述した以外の要素に関するより好ましい形態及び具体例について説明する。
さらに、内部電極2中の金属組成物がVIII族金属および/またはIb族金属を主成分とすることにより、内部電極2を高い耐熱性を有する金属組成で形成できるため、焼成温度の高い圧電体1との同時焼成が可能になる。
さらに、内部電極2中の金属組成物がVIII族金属の含有量をM1重量%、Ib族金属の含有量をM2重量%としたとき、0<M1≦15、85≦M2<100、M1+M2=100を満足する金属組成物を主成分とすることが好ましい。
これにより、内部電極2の比抵抗を小さくできるため、積層型圧電素子を長時間連続駆動させても、内部電極2の発熱を抑制することができる。併せて、積層型圧電素子の温度上昇を抑制できるため、素子変位量を安定化することができる。
これに対して、VIII族金属が15重量%を超えると、内部電極2の比抵抗が大きくなり、積層型圧電素子を連続駆動させた場合、内部電極2が発熱する場合がある。また、内部電極2中のIb族金属の圧電体1へのマイグレーションを抑制するために、VIII族金属が0.001重量%以上15重量%以下とすることが好ましい。また、積層型圧電素子の耐久性を向上させるという点では、0.1重量%以上10重量%以下が好ましい。また、熱伝導に優れ、より高い耐久性を必要とする場合は0.5重量%以上9.5重量%以下がより好ましい。また、さらに高い耐久性を求める場合は2重量%以上8重量%以下がさらに好ましい。
ここで、Ib族金属が85重量%未満になると、内部電極2の比抵抗が大きくなり、積層型圧電素子を連続駆動させた場合、内部電極2が発熱する場合があるからである。また、内部金属12中のIb族金属の圧電体1へのマイグレーションを抑制するために、Ib族金属が85重量%以上99.999重量%以下とすることが好ましい。また、積層型圧電素子の耐久性を向上させるという点では、90重量%以上99.9重量%以下が好ましい。また、より高い耐久性を必要とする場合は90.5重量%以上99.5重量%以下がより好ましい。また、さらに高い耐久性を求める場合は92重量%以上98重量%以下がさらに好ましい。
上記の内部電極2中の金属成分の重量%を示すVIII族金属、Ib族金属はEPMA(Electron Probe Micro Analysis)法等の分析方法で特定できる。
さらに、前記VIII族金属がNi、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Osのうち少なくとも1種以上であり、Ib族金属がCu,Ag、Auのうち少なくとも1種以上であることにより、前記内部電極2の原料として、合金原料および混合粉原料のいずれでも使用することができる。これらの原料は、近年における合金粉末合成技術において量産性に優れた金属組成であるからである。
さらに、内部電極2中の金属成分は、VIII族金属がPt、Pdのうち少なくとも1種以上であり、Ib族金属がAg、Auのうち少なくとも1種以上であることが好ましい。これにより、耐熱性および耐酸化性に優れ、比抵抗の小さな内部電極2を形成できる可能性がある。
さらに、前記VIII族金属がNiであることが好ましく、駆動時の変位によって生じる応力を緩和することができるとともに、耐熱性に優れた内部電極2を形成できる。
さらに、前記Ib族金属がCuであることにより、駆動時の変位によって生じる応力を緩和することができるとともに、硬度の低い熱伝導性に優れた内部電極2を形成できる。
さらに、内部電極2中に金属組成物とともに無機組成物を添加することにより、内部電極2と圧電体1の界面の密着強度が増大するため、内部電極2と圧電体1の界面における剥離を抑制することができる。
また、内部電極は、その厚み方向に貫通するボイドを有することが好ましい。このように内部電極を貫通するボイドが存在することで、圧電体が電界によって変形する際に内部電極により拘束される力が弱まり、変位しやすくなるので、変位量をさらに向上させることができる。また、内部電極内に生じる応力も低減されるので、耐久性を向上させることができる。
圧電体1は、その圧電特性を示す圧電歪み定数d33が高いものが望ましく、例えば、上述したチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O:以下PZTと略す)、或いはチタン酸バリウム(BaTiO)などのペロブスカイト型酸化物を主成分とする圧電セラミック材料等で形成される。
このように、チタン酸バリウム(BaTiO)を代表とするペロブスカイト型圧電セラミックス材料等で圧電体1が形成されると、その圧電特性を示す圧電歪み定数d33が高いことから、変位量を大きくすることができ、さらに、圧電体1と内部電極2を同時に焼成することもできる。特に、圧電体1としては、圧電歪み定数d33が比較的高いPbZrO−PbTiOからなるペロブスカイト型酸化物を主成分とすることが好ましい。
さらに、圧電体1がPbZrO−PbTiOからなるペロブスカイト型酸化物を主成分としたことにより、圧電体1と内部電極2を同時焼成することができるため、焼成工程を短縮でき、併せて内部電極2の比抵抗を小さくできる。
さらに、積層体の焼成温度は900℃以上1000℃以下であることが好ましい。これは、焼成温度が900℃以下では、焼成温度が低いため焼成が不充分となり、緻密な圧電体1を作製することが困難になる。一方、1000℃より高い温度であると、圧電体1中への金属成分の拡散量が多くなり、分極時や駆動時にショートしやすくなるなど耐久性が低下してしまう。
また、本発明の積層型圧電素子では、実施の形態2で示したように、側面に端部が露出する内部電極2と端部が露出しない内部電極2とが交互に構成されており、前記端部が露出していない内部電極2と外部電極4間の圧電体部分に溝が形成されており、この溝内に、圧電体12よりもヤング率の低い絶縁体が形成されていることが好ましい。これにより、このような積層型圧電素子では、駆動中の変位によって生じる応力を緩和することができることから、連続駆動させても、内部電極2の発熱を抑制することができる。
このような構造にするためには、例えば、積層体の側面に端部が露出する内部電極2と端部が露出しない内部電極2とを交互に形成して、端部が露出していない内部電極2と外部電極4間の圧電体部分に溝を形成して、この溝内に、圧電体1よりもヤング率の低い、樹脂またはゴム等の絶縁体を形成する。ここで、前記溝はダイシング装置等で積層体113の側面に形成される。
外部電極4は構成する導電材はアクチュエータの伸縮によって生じる応力を充分に吸収するという点から、Ag、Ni、Cu、Al、W、Mo、ステンレス、Fe−Ni−Co合金等の良好な導電性を有し、かつヤング率の低い金属又は合金が望ましい。外部電極4はこれらの金属の中でも、耐酸化性が良好で、導電性が良いという点から、ヤング率の低いAg、若しくはAgが主成分の合金、Ni、ステンレスが望ましい。また、外部電極4を低抵抗とし、さらに、柱状積層体102の変位に対して追従するような伸縮性に富むようにするため、内部電極2と接続する部分にメッシュ部材を具備させ、かつ外部電極4の厚みを50〜500μm程度としてもよい。
また、外部電極4は、外部からの挟持力により柱状積層体102の対向する2つの側面に押し当てられた状態で内部電極2と接続しても良い。また、半田等によって内部電極2と接続固定しても良い。
また、以下のようにして、弾力性に富む3次元網目構造をなす多孔質導電体からなる外部電極を形成するようにしてもよい。
すなわち、ガラス粉末に、バインダーを加えて銀ガラス導電性ペーストを作製し、これをシート状に成形し、乾燥した(溶媒を飛散させた)シートの生密度を6〜9g/cmに制御し、このシートを、柱状積層体113の外部電極形成面に転写し、ガラスの軟化点よりも高い温度、且つ銀の融点(965℃)以下の温度で、且つ焼成温度(℃)の4/5以下の温度で焼き付けを行う。このようにすると、銀ガラス導電性ペーストを用いて作製したシート中のバインダー成分が飛散消失し、3次元網目構造をなす多孔質導電体からなる外部電極を形成することができる。
なお、前記銀ガラス導電性ペーストの焼き付け温度は、ネック部を有効的に形成し、銀ガラス導電性ペースト中の銀と内部電極2を拡散接合させ、また、外部電極中の空隙を有効に残存させ、さらには、外部電極と柱状積層体113側面とを部分的に接合させるという点から、550〜700℃が望ましい。また、銀ガラス導電性ペースト中のガラス成分の軟化点は、500〜700℃が望ましい。
焼き付け温度が700℃より高い場合には、銀ガラス導電性ペーストの銀粉末の焼結が進みすぎ、有効的な3次元網目構造をなす多孔質導電体を形成することができず、外部電極4が緻密になりすぎてしまい、結果として外部電極4のヤング率が高くなりすぎ駆動時の応力を充分に吸収することができずに外部電極4が断線してしまう可能性がある。好ましくは、ガラスの軟化点の1.2倍以内の温度で焼き付けを行った方がよい。
一方、焼き付け温度が550℃よりも低い場合には、内部電極2端部と外部電極4の間で充分に拡散接合がなされないために、ネック部が形成されず、駆動時に内部電極2と外部電極4の間でスパークを起こしてしまう可能性がある。
なお、銀ガラス導電性ペーストのシートの厚みは、圧電体1の厚みよりも薄いことが望ましい。さらに好ましくは、アクチュエータの伸縮に追従するという点から、50μm以下がよい。
さらに、外部電極の外面に、金属のメッシュ若しくはメッシュ状の金属板が埋設された導電性接着剤からなる導電性補助部材を形成してもよい。この場合には、外部電極の外面に導電性補助部材を設けることによりアクチュエータに大電流を投入し、高速で駆動させる場合においても、大電流を導電性補助部材に流すことができ、外部電極に流れる電流を低減できる。これにより、外部電極が局所発熱を起こし断線することを防ぐことができ、耐久性を大幅に向上させることができる。さらには、導電性接着剤中に金属のメッシュ若しくはメッシュ状の金属板を埋設しているため、前記導電性接着剤にクラックが生じるのを防ぐことができる。
金属のメッシュとは金属線を編み込んだものであり、メッシュ状の金属板とは、金属板に孔を形成してメッシュ状にしたものをいう。
さらに、前記導電性補助部材を構成する導電性接着剤は銀粉末を分散させたポリイミド樹脂からなることが望ましい。即ち、比抵抗の低い銀粉末を、耐熱性の高いポリイミド樹脂に分散させることにより、高温での使用に際しても、抵抗値が低く且つ高い接着強度を維持した導電性補助部材を形成することができる。さらに望ましくは、前記導電性粒子はフレーク状や針状などの非球形の粒子であることが望ましい。これは、導電性粒子の形状をフレーク状や針状などの非球形の粒子とすることにより、該導電性粒子間の絡み合いを強固にすることができ、該導電性接着剤のせん断強度をより高めることができるためである。
本発明の積層型圧電素子はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
また、上記では、積層体113の対向する側面に外部電極4を形成した例について説明したが、本発明では、例えば隣設する側面に一対の外部電極を形成してもよい。
実施の形態4.
図5は、本発明に係る実施の形態4の噴射装置を示すものであり、収納容器31の一端には噴射孔33が設けられ、また収納容器31内には、噴射孔33を開閉することができるニードルバルブ35が収容されている。
噴射孔33には燃料通路37が連通可能に設けられ、この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が一定の高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるように形成されている。
また、ニードルバルブ35の上端部は直径が大きくなっており、収納容器31に形成されたシリンダ39と摺動可能なピストン41となっている。そして、収納容器31内には、本発明に係る圧電アクチュエータ43が収納されている。
このような噴射装置では、圧電アクチュエータ43が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41が押圧され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると圧電アクチュエータ43が収縮し、皿バネ45がピストン41を押し返し、噴射孔33が燃料通路37と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
また、本発明は、積層型圧電素子および噴射装置に関するものであるが、上記実施例に限定されるものではなく、例えば、自動車エンジンの燃料噴射装置、インクジェット等の液体噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止装置等に搭載される駆動素子、または、燃焼圧センサ、ノックセンサ、加速度センサ、荷重センサ、超音波センサ、感圧センサ、ヨーレートセンサ等に搭載されるセンサ素子、ならびに圧電ジャイロ、圧電スイッチ、圧電トランス、圧電ブレーカー等に搭載される回路素子以外であっても、圧電特性を用いた素子であれば、実施可能であることは言うまでもない。
実施例1.
実施例1として、本発明に係る実施の形態1に関係した積層型圧電アクチュエータを以下のようにして作製した。
まず、PbZrO−PbTiOを主成分とし、副成分にYb及びBaを3〜10mol%含有させた圧電セラミックスの仮焼粉末、バインダー、及び可塑剤を混合したスラリーを作製し、ドクターブレード法で厚み100μmの圧電体1になるセラミックグリーンシートを作製した。
このグリーンシートの片面に、銀−パラジウム合金粉末にバインダーを加えた導電性ペーストをスクリーン印刷法により図2に示す印刷パターンで、3μmの厚みで印刷を行った。なお、正極及び負極の内部電極となる導電性ペーストの印刷パターンは、正極及び負極間で対称な形とした。
その後、正極及び負極の内部電極パターンを印刷したグリーンシートを各々150枚交互に300枚積層し、その積層方向の上下に不活性部となる導電性ペーストを印刷していないグリーンシートを各30枚積層した。この積層体を所定の温度で脱脂した後、980〜1100℃で焼成して焼成体を得た。この焼成体の側面及び保護層の上下面を形状加工して得られた積層体111を試料番号1とした。
上記で得られた各積層体111に対して、変位部10a、非変位部10b及び保護層11のそれぞれの部分について、ミノルタ製分光測色計(モデルCM−3700d)にて、L*a*b*表色系におけるL*、a*、及びb*を測定し、得られた値から色差ΔE*abを算出した。なお、測定領域は、3mm×5mmとした。
次に、銀粉末とガラス粉末及びバインダーを混合した銀ガラスペーストを、前記積層体111の非変位部10b側面に5〜40μmの厚みで印刷を行い、乾燥後、800℃で15分焼き付けを行い、外部電極4を形成した。
その後、外部電極にリード線を接続し、正極及び負極の外部電極にリード線を介して3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行い、図1Aに示すような積層型圧電アクチュエータを作製し、試料番号1とした。
また、比較例として、PbZrO−PbTiOを主成分とし、副成分にMn及びCoを3〜10mol%含有させた圧電セラミックスの仮焼粉末を用いて、上述した製法により得られた積層型圧電アクチュエータを試料番号2とした。
そして、上記製法で作製した試料番号1及び2の積層型圧電アクチュエータに室温で0〜+185Vの交流電界を150Hzの周波数で印加して1×10サイクルまで駆動試験を行った。尚、試料番号2の積層型圧電アクチュエータは、初期状態で内部電極2間に絶縁不良がないものを用いた。結果は表1に示すとおりである。
(表1−1)
Figure 2006001334
(表1−2)
Figure 2006001334
表1に示すように、比較例である試料番号2の積層型圧電アクチュエータでは、変位部−非変位部間、変位部−保護層間、非変位部−保護層間のいずれにおいても色差ΔE*abが1.0以下であったため、各々の境界が不明瞭であった。このため、外部電極4の形成において、外部電極4と変位部10a側面上に露出した他方極の内部電極2との絶縁距離を充分に確保できなかったため、駆動中に前記外部電極4と変位部10a側面上に露出した他方極の内部電極2との間でショートが発生して破損した。
一方で、変位部−保護層間と非変位部−保護層間の境界が不明瞭、即ち、有効層10と保護層11の境界が不明瞭であったため、保護層11の寸法精度を向上するために施す研磨加工が困難になって保護層11の厚みにバラツキが生じ、保護層11の薄い部分にクラックが発生していた。
これに対して、本発明の実施例である試料番号1の積層型圧電アクチュエータでは、変位部−非変位部間、有効層10と保護層11のいずれにおいても色差ΔE*abが1.0以上であるため、各々の境界が明瞭であり、外部電極4は非変位部10b側面上に形成され、外部電極4と変位部10a側面上に露出した他方極の内部電極2とは0.5mm以上の絶縁距離を確保しており、外部電極4と変位部10a側面上に露出した他方極の内部電極2との間でショートは生じなかった。さらに、上下各々の保護層11の厚みは1mm以上であったため、連続駆動後でもクラックは発生しなかった。
実施例2.
先ず、PZTを主成分とする圧電セラミックスの仮焼粉末、ブチラールからなるバインダー、IPA−トルエンからなる溶剤及び可塑剤を混合した表に示すスラリーを作製し、粘度を測定後スリップキャスティング法で厚み100μmのセラミックグリーンシートを作製した。
このグリーンシートの片面に、表記の成分の導電性ペーストをスクリーン印刷法により5μmの厚みに印刷し、導電性ペーストを乾燥させた後、該導電性ペーストが塗布された複数のグリーンシートを100枚積層し、さらに、この積層体の積層方向の両端部に、導電性ペーストが塗布されていないグリーンシートを上側10枚、下側20枚積層した。
次に、この積層体を100℃で加熱を行いながら加圧することにより一体化し、8mm×8mmの大きさの四角柱状に切断した後、800℃で10時間の脱バインダーを行い、1000℃で2時間、圧電体1と内部電極2を同時焼成して、図1に示す柱状積層体102を得た。焼成の際、焼成鉢は密閉されたMgOの鉢を用いて、積層体とともに同一組成の粉末を入れて焼成した。
得られた柱状積層体102の4つの側面を研削した。
その後、柱状積層体102の対向する2つの側面において、内部電極2端部を含む圧電体1の端面で互い違いになるよう、一層おきに深さ200μm、積層方向の幅75μmの溝を形成し、これらの溝にシリコーンゴムを充填して絶縁体3を形成し、内部電極2の端部を一層おきに柱状積層体102の対向する2つの側面に露出させた。
この後、柱状積層体102の対向する2つの側面に、銀とポリイミド樹脂から成る導電性接着剤を塗布し、該導電性接着剤中にメッシュ部材を埋め込み、この状態で200℃に加熱し、硬化することにより、外部電極4を形成した。
この後、両方の外部電極4にリード線6を半田で接続し、アクチュエータの外周面をアルコール等で洗浄した後、プライマー等で表面処理することによって樹脂の密着性を向上させ、ディッピング等の方法でシリコーンゴムを被覆した後に、1kVの分極電圧を印加してアクチュエータ全体を分極処理し、図1に示す本発明の積層型圧電アクチュエータを得た。
得られた積層型圧電アクチュエータに200Vの直流電圧を印加した結果、各アクチュエータは10μmの変位を得た。
さらに、これら積層型アクチュエータに0〜+200Vの交流電界を200Hzの周波数にて印加し、150℃で駆動試験を行った。駆動試験は、1×10サイクルまで積層型圧電アクチュエータを駆動させた後、改めて変位を測定し、初期の変位からの変動を調べた。この際、変動量の絶対値が0.5μm以下の時に異常なしとした。また、変位量の測定は、試料を防振台上に固定し、試料上面にアルミニウム箔を張り付けて、レーザー変位計により積層型アクチュエータの中心部、及び周囲部の3箇所で測定した値の平均値で評価した。
なお、駆動試験後の試料の断面で圧電体1の厚みを測定した。測定は、断面のSEM写真を用い、任意の5層の圧電体について、各1層ごとに任意の10箇所の厚みを測定し、最大値と最小値の差をばらつきとした。結果は表2に示す通りである。
(表2)
Figure 2006001334
*印を付した試料番号は本発明の範囲外のものである。
また、変位量の変化は、初期変位量に対する、1×10サイクル駆動させた後の変位量の変化で表している。
この表2から、比較例である試料番号1では、厚みばらつきが10μmを超えていたために、1×10サイクルで内部電極2間の短絡が発生した。また、試料番号9では、圧電体1の厚みが薄く、内部電極間の厚みが薄すぎたために、分極中に破損した。
これらに対して、圧電体1の厚みが50μm以上であり、かつ、そのばらつきが10μm以下である本発明の実施例2(試料番号2,3,4,5,6,7,8)では、内部電極2の端部間における短絡を抑制することができた。
特に、厚みが60μm以上、ばらつきが7μm以下の本発明に係る実施例2の試料(試料番号3,4,5,7,8)では、最も優れた結果を示した。
実施例3.
実施例3では、本発明の実施の形態3に係る積層型圧電アクチュエータを以下のようにして作製して評価した。
まず、平均粒径が0.4μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)を主成分とする圧電セラミックの仮焼粉末、バインダー、及び可塑剤を混合したスラリーを作製し、ドクターブレード法で厚み150μmの圧電体1になるセラミックグリーンシートを作製した。
このセラミックグリーンシートの片面に、任意の組成比で形成された銀−パラジウム合金に酸化銀とバインダーを加えた導電性ペーストが、スクリーン印刷法により3μmの厚みに形成されたシートを300枚積層し、焼成した。焼成は、800℃で保持した後に、1000℃で焼成した。
その後、ダイシング装置により積層体の側面の内部電極の端部に一層おきに深さ50μm、幅50μmの溝を形成した。
次に、平均粒径2μmのフレーク状の銀粉末を90体積%と、残部が平均粒径2μmのケイ素を主成分とする軟化点が640℃の非晶質のガラス粉末10体積%との混合物に、バインダーを銀粉末とガラス粉末の合計重量100質量部に対して8質量部添加し、充分に混合して銀ガラス導電性ペーストを作製した。このようにして作製した銀ガラス導電性ペーストを離型フィルム上にスクリーン印刷によって形成し、乾燥後、離型フィルムより剥がして、銀ガラス導電性ペーストのシートを得た。このシートの生密度をアルキメデス法にて測定したところ、6.5g/cmであった。
そして、前記銀ガラスペーストのシートを積層体113の外部電極4面に転写し、650℃で30分焼き付けを行い、3次元網目構造をなす多孔質導電体からなる外部電極4を形成した。なお、この時の外部電極4の空隙率は、外部電極4の断面写真の画像解析装置を用いて測定したところ40%であった。
その後、外部電極4にリード線を接続し、正極及び負極の外部電極4にリード線を介して3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行い、図4に示すような積層型圧電素子を用いた積層型圧電アクチュエータを作製した。
得られた積層型圧電素子に直流電圧を印加し、破壊に至る電界を調査した結果を、表3に示す。150Vの矩形波を入力し、破壊に至るサイクル数を表3に示す。
次に、積層型圧電素子を鏡面研磨しEPMA定量分析を内部電極に挟まれた圧電体1中の任意の場所について5点測定した。これより、強度(カウント値)と含有量の検量線を作成した。次に、積層型圧電素子の厚さ方向に対してEPMA線分析を行い、2つの内部電極2に挟まれた圧電体1中の金属成分含有量の分布を測定した。EPMA線分析ではカウント値しか得られないため、検量線から圧電体1中の金属成分の含有量を算出した。この結果を図6に示す。40点程度のデータから、圧電体1中の金属成分の含有量の平均値と標準偏差を求めた。
(表3)
Figure 2006001334
表3より、圧電体中への銀の拡散量が0.01重量%より少ないと(試料No.1)、圧電体が充分に焼結せず、分極時に破壊してしまう。圧電体中への銀の拡散量が0.01〜1重量%であると、(試料No.2〜10)、拡散量のばらつきも小さく、絶縁破壊電界、破壊サイクル数ともに大きくなり、耐久性が向上することが確認できる。また、試料No.11、12は、焼成温度が高く、銀の拡散量が多くなったことでマイグレーションが起こりやすくなり、絶縁破壊電界、破壊サイクル数ともに低下することがわかる。
なお、本発明は、上記実施例3に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を行うことは何等差し支えない。
本発明の積層型電子部品は、積層型セラミックコンデンサや圧電トランスに利用できる。また、本発明の積層型電子部品は、自動車用燃料噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動素子等に用いられる積層型圧電アクチュエータに利用できる。さらに、本発明の積層型電子部品を用いることにより、自動車用燃料やインクジェットプリンタのインク等の噴射装置に利用できる。

Claims (27)

  1. 少なくとも1つの誘電体と第1及び第2の内部電極からなる複数の内部電極とが交互に積層されてなる有効層と該有効層の積層方向の両端に設けられた保護層とを含む積層体と、
    前記積層体の2つの側面にそれぞれ形成され、その一方が前記第1の内部電極に接続され、他方が前記第2の内部電極に接続されている外部電極とを有する積層型電子部品であって、
    前記有効層は、隣接する前記第1の内部電極と前記第2の内部電極が互いに対向している活性部と、その活性部の外側に位置し、前記第1の内部電極同士もしくは前記第2の内部電極同士が対向している非活性部とからなり、前記活性部の色と前記非活性部の色が異なっていることを特徴とする積層型電子部品。
  2. 前記活性部と前記非活性部の間のL*a*b*表色系における色差ΔE*abが1.0以上である請求項1に記載の積層型電子部品。
  3. 少なくとも1つの誘電体と第1及び第2の内部電極からなる複数の内部電極とが交互に積層されてなる有効層と該有効層の積層方向の両端に設けられた保護層とを含む積層体と、
    前記積層体の2つの側面にそれぞれ形成され、その一方が前記前記第1の内部電極に接続され、他方が前記第2の内部電極に接続されている外部電極とを有する積層型電子部品であって、
    前記有効層の色と前記保護層の色が異なっていることを特徴とする積層型電子部品。
  4. 前記有効層と前記保護層の間のL*a*b*表色系における色差ΔE*abが1.0以上である請求項3に記載の積層型電子部品。
  5. 前記誘電体の色と前記内部電極の色は異なっており、前記誘電体と前記内部電極の間のL*a*b*表色系における色差ΔE*abが1.5以上である請求項2または4に記載の積層型電子部品。
  6. 前記誘電体が圧電体であり、前記活性部を変位部とし、前記非活性部を非変位部とした請求項1乃至5のいずれかに記載の積層型電子部品。
  7. 複数の誘電体と複数の内部電極とを積層してなる積層体を含んでなり、前記誘電体の厚みが50μm以上であり、かつその厚みばらつきが10μm以下であること特徴とする積層型電子部品。
  8. 前記誘電体がペロブスカイト型酸化物を主成分とすることを特徴とする請求項7に記載の積層型電子部品。
  9. 少なくとも1つの圧電体と第1及び第2の内部電極からなる複数の内部電極とが交互に積層されてなる積層体と、前記積層体の2つの側面にそれぞれ形成され、その一方が前記第1の内部電極に接続され、他方が前記第2の内部電極に接続されている外部電極とを有する積層型電子部品であって、
    前記圧電体は、VIII族金属および/またはIb族金属を0.01〜1重量%含有していることを特徴とする積層型電子部品。
  10. 前記圧電体中のVIII族金属および/またはIb族金属含有量が、圧電体全体に渡り実質的に均一である請求項9に記載の積層型電子部品。
  11. 前記圧電体がペロブスカイト型酸化物を主成分とすることを特徴とする請求項6、9及び10のうちのいずれか1つに記載の積層型電子部品。
  12. 前記ペロブスカイト型酸化物がPbZrO−PbTiOからなる請求項8、又は11に記載の積層型電子部品。
  13. 前記積層体は、前記2つの側面の一方の側面において、前記第2の内部電極と前記外部電極の間に溝が形成され、他方の側面において、前記第1の内部電極と前記外部電極の間に溝が形成されてなり、
    前記溝にそれぞれ前記圧電体よりもヤング率の低い絶縁体が充填されている請求項6,9,10,11及び12のうちのいずれか1つに記載の積層型電子部品。
  14. 前記内部電極中の金属組成物がVIII族金属および/またはIb族金属を主成分とすることを特徴とする請求項1〜13のうちのいずれか1つに記載の積層型電子部品。
  15. 前記内部電極中のVIII族金属の含有量をM1重量%、Ib族金属の含有量をM2重量%としたとき、0<M1≦15、85≦M2<100、M1+M2=100を満足することを特徴とする請求項14に記載の積層型電子部品。
  16. 前記VIII族金属がNi、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Osのうち少なくとも1種以上であり、Ib族金属がCu、Ag、Auのうち少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項9〜11,14及び15のうちのいずれか1つに記載の積層型電子部品。
  17. 前記VIII族金属がPt、Pdのうち少なくとも1種以上であり、Ib族金属がAg、Auのうち少なくとも1種以上である9〜11,14及び15のうちのいずれか1つに記載の積層型電子部品。
  18. 前記VIII族金属がNiである9〜11,14及び15のうちのいずれか1つに記載の積層型電子部品。
  19. 前記Ib族金属がCuである9〜11,14及び15のうちのいずれか1つに記載の積層型電子部品。
  20. 前記内部電極中に金属組成物とともに無機組成物を添加したことを特徴とする請求項1〜19のうちのいずれかの一つに記載の積層型電子部品。
  21. 前記無機組成物がPbZrO−PbTiOからなるペロブスカイト型酸化物を主成分とすることを特徴とする請求項20記載の積層型電子部品。
  22. 前記積層体の焼成温度が900℃以上1000℃以下であることを特徴とする請求項9〜21のうちのいずれか1つに記載の積層型電子部品。
  23. 前記内部電極は、該内部電極の厚み方向に貫通するボイドを有している請求項1
    〜22に記載の積層型電子部品。
  24. 噴射孔を有する収納容器と、該収納容器に収納され、前記第1と前記第2の内部電極の間に印加される電圧に対応して積層方向に伸縮する請求項1乃至23のいずれかに記載の積層型電子部品と、該積層型電子部品を駆動することにより前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする噴射装置。
  25. 誘電体を含むスラリーを用いてテープ成形により厚み50μm以上で厚みばらつきが10μm以下である誘電体のシートを作製し、そのシートに内部電極を印刷した後に積層して焼成することを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
  26. 前記シートを作製する前に、前記スラリーの粘度を15ポイズ以上に調整する工程を含む請求項25記載の積層型電子部品の製造方法。
  27. 前記シートは、バインダーとしてアクリル、ブチラールの少なくとも一種類を含み、溶媒としてアルコール、トルエンの少なくとも一種類を含むことを特徴とする請求項25または26記載の積層型電子部品の製造方法。
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