JP2003282984A - 積層型圧電素子とその製造方法およびそれを用いた噴射装置 - Google Patents

積層型圧電素子とその製造方法およびそれを用いた噴射装置

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JP2003282984A
JP2003282984A JP2002086760A JP2002086760A JP2003282984A JP 2003282984 A JP2003282984 A JP 2003282984A JP 2002086760 A JP2002086760 A JP 2002086760A JP 2002086760 A JP2002086760 A JP 2002086760A JP 2003282984 A JP2003282984 A JP 2003282984A
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piezoelectric
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Susumu Ono
進 小野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】内部電極界面からのデラミネーションやクラッ
クの発生を防止することができ、耐久性に優れ、信頼性
の高い積層型圧電体素子及び噴射装置を提供する。 【解決手段】圧電体1と複数の内部電極2とを交互に積
層してなる活性部8、及び該活性部8の積層方向の両端
部にそれぞれ設けられた不活性部9から成る柱状積層体
と、該柱状積層体の積層方向側の端面と略直角である該
柱状積層体の側面に設けられ、前記内部電極2が一層お
きに交互に接続される一対の外部電極4とを具備してな
る積層型圧電素子であって、該柱状積層体の積層方向側
の端面と該柱状積層体の内部電極2との平行度を100
μm以下とした

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用燃料噴射
弁、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動
素子等に用いられる積層型圧電素子及び噴射装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、電歪効果を利用して大きな変
位量を得るために、圧電体と内部電極を交互に積層した
積層型圧電素子が提案されている。積層型圧電素子に
は、同時焼成タイプと圧電磁器と内部電極板を交互に積
層したスタックタイプの2種類に分類されており、低電
圧化、製造コスト低減の面から考慮すると、同時焼成タ
イプの積層型圧電素子が薄層化に対して有利であるため
に、その優位性を示しつつある。
【0003】同時焼成タイプの積層型圧電素子は、従
来、先ず、圧電材料を含有するグリーンシートと内部電
極材料を含有する内部電極パターンが交互に積層された
活性部の上下面に、上記グリーンシートを複数積層して
形成された不活性部を積層する。これらを金型内で加熱
圧着を行い柱状積層体を作製し、脱脂、焼成することで
積層型圧電素子を作製していた(特開2001−168
405号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
積層型圧電素子においては、圧電材料のグリーンシート
に10μmより大きな厚みばらつきがあったため、20
〜400層積層した際に、積層体の上下面の平行度や、
内部電極と積層方向側の端面との平行度が200μm以
上も傾いていた。
【0005】これらの積層体を脱脂、焼成することで積
層型圧電素子を作製しても、内部電極の傾きや反り等に
より、積層型圧電素子を駆動させると、活性部内部で圧
電体の厚みばらつきがあるため、そこで発生する応力集
中により、デラミネーションやクラック等が発生すると
いう問題があった。また、内部電極の傾きにより積層型
圧電素子の変位方向が積層方向とずれるため、積層型圧
電素子の上下面で発生する偏荷重により、クラックが発
生するという問題があった。
【0006】本発明の積層型圧電素子は、上記問題点を
解決するものであり、デラミネーションやクラック等の
発生を防止することができ、耐久性に優れ、信頼性の高
い積層型圧電体素子及び噴射装置を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の積層型圧電素子
は、複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層して
なる活性部、及び該活性部の積層方向の両端部にそれぞ
れ設けられた不活性部から成る柱状積層体と、該柱状積
層体の側面に設けられ、前記内部電極が一層おきに交互
に接続される一対の外部電極とを具備してなる積層型圧
電素子であって、前記柱状積層体の積層方向の端面と前
記内部電極との平行度を100μm以下としたことを特
徴とする。
【0008】このような積層型圧電素子では、柱状積層
体の積層方向側の端面と内部電極の傾きや反りが小さい
ため、内部電極に挟まれた圧電体の変位方向を積層方向
と同一方向とすることができ、圧電体に発生する応力集
中する部分を抑制でき、且つ、内部電極の積層方向外側
の端面との傾きが小さいため、変位方向を積層方向と同
一方向とすることができ、デラミネーションやクラック
の発生が防止されるので耐久性及び信頼性を向上させる
ことができる。
【0009】また、本発明では、前記活性部における各
圧電体の厚みばらつきが10μm以下とすることが望ま
しい。
【0010】また、本発明では、前記活性部の圧電体
が、厚みが平均値より厚い部分と、平均値より薄い部分
を交互に積層することが望ましい。また、同一の効果を
生じる積層方法として前記活性部の圧電体が、厚みが平
均値より厚い部分のブロックと、平均値より薄い部分の
ブロックを交互に積層するようにしても構わない。
【0011】また、本発明の他の積層型圧電素子では内
部電極の端部が一層おきに露出する凹溝を有することが
望ましい。このような積層型圧電素子では、駆動時に内
部電極端部で発生する応力を低減させることが可能とな
り内部電極端部からのデラミネーションやクラック等の
発生が防止できる。
【0012】即ち、例えば、前記柱状積層体の側面に内
部電極の端部が一層おきに露出するように凹溝を有する
積層型圧電素子は、柱状積層体の外部電極形成面の内部
電極をダイシング装置等により凹溝に形成されるが、内
部電極と該柱状積層体の積層方向側の端面との平行度が
100μm以下であるため、凹溝を形成する際に内部電
極が凹溝内に確実に加工されるため、絶縁不良を防止す
るとともに凹溝内における内部電極端部で発生する応力
を低減できるためデラミネーションやクラック等の発生
を防止できる。
【0013】また、本発明では、前記内部電極の端部に
一層おきに柱状積層体の側面から突出する突起状導電性
端子を設け、該突起状導電性端子と、板状導電部材から
なる外部電極とを接合することが望ましい。
【0014】このような構成にすることで、柱状積層体
の側面から突出する突起状導電性端子を介して内部電極
と板状導電部材を接続することにより、柱状積層体が積
層方向に伸縮しても、突起状導電性端子が変形して柱状
積層体の伸縮によって生じる応力を吸収するため、高電
界、高圧力下で長期間連続運転させた場合でも、外部電
極と内部電極との断線を抑制することができ、耐久性を
大幅に向上できる。
【0015】また、本発明の積層型圧電素子の製造方法
は、内部電極が形成された圧電材料のセラミックグリー
ンシートを複数積層してなる活性部の積層方向の両端部
に、不活性部となるセラミックグリーンシートを複数積
層した後、加圧焼成して柱状積層体を作製する工程と、
該柱状積層体の側面に、内部電極が一層おきに交互に電
気的に接続される一対の外部電極を形成する工程とを具
備してなるものである。
【0016】このような製法によれば、柱状積層体を加
圧焼成するため、焼成時に発生する内部電極と圧電体と
の収縮差による内部電極の反りを防止できるため、駆動
時に圧電体に発生する応力集中を抑制でき、デラミネー
ションやクラックの発生を防止できる。
【0017】また、内部電極が形成された圧電材料のセ
ラミックグリーンシートを複数積層してなる積層体を複
数作製し、該積層体の厚みばらつきを等間隔に5点以上
測定したのち、該厚みばらつきを小さくするように複数
の積層体を重ねて密着する製造方法としても構わない。
【0018】また、本発明の噴射装置は、噴射孔を有す
る収納容器と、該収納容器内に収容された上記積層型圧
電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔か
ら液体を噴出させるバルブとを具備してなるものであ
る。
【0019】本発明の噴射装置では、積層型圧電素子に
おいて駆動時のデラミネーションやクラック等を抑制で
きるため、噴射装置として、耐久性及び信頼性を向上で
きる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1(a)は本発明の積層型圧電
アクチュエータからなる積層型圧電素子の一実施形態を
示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A’に沿った
縦断面図である。
【0021】本発明の積層型圧電アクチュエータは、図
1に示すように複数の圧電体1と複数の内部電極2とを
交互に積層してなる活性部8と、該活性部8の積層方向
両端に設けられた不活性部9とからなる四角柱状の柱状
積層体3を有している。
【0022】内部電極2は、その端部が柱状積層体3の
対向する側面(外部電極形成面)に一層おきに露出して
おり、この内部電極2の露出部分にそれぞれ突起状導電
性端子4aが形成され、これらの突起状導電性端子4a
に金属板4bが接合され、外部電極4が構成されてい
る。
【0023】これにより、それぞれの外部電極4に、内
部電極2が一層おきに電気的に接続されており、一方、
外部電極4と接続されていない内部電極2の端部には凹
溝10が形成され絶縁体10aで被覆されている。さら
に、外部電極4にはリード線16が半田等で接続固定さ
れている。
【0024】そして、本発明では、不活性部9の積層方
向側の端面17と内部電極2との平行度が100μm以
下であることを特徴としている。ここで、不活性部9の
積層方向側の端面17と内部電極2との平行度が100
μm以下とは、図1に示すように、ひとつの内部電極2
に対して端面17に平行で、かつ内部電極2を横切らな
い上下の接線18を引き、これらの接線18の間隔Lを
平行度とし、これが100μm以下であることを意味す
る。これにより、駆動時に圧電体1に発生する応力集中
を抑制でき、内部電極2端部からのデラミネーションや
クラックの発生を防止することが可能となり、高い信頼
性を得ることができる。前記平行度は、特に、内部応力
の低減の点からは50μm以下が望ましい。更には、耐
久性の向上の点から20μm以下が望ましい。
【0025】また、柱状積層体3の上下の端面17間の
平行度は100μm以下、さらには、30μm以下とす
ることが望ましい。
【0026】また、本発明では、活性部8における各圧
電体1の厚みばらつきが10μm以下であることが望ま
しい。このような構成にすることで、活性部における内
部電極2の平行度を向上することが可能となり、不活性
部9の積層方向側の端面17と内部電極2との平行度を
100μm以下とすることが容易となる。
【0027】また、活性部8の圧電体1は、厚みが平均
値より厚い部分と薄い部分が交互に積層されていること
が望ましい。ここで、圧電体1の厚みの平均値とは、活
性部8の各断面において、圧電体1の厚みを3点以上測
定し、その和を測定点数で除した値のことである。この
ような構成にすることで、ひとつの圧電体1に隣接する
上下の圧電体1との平行度を向上することが可能とな
り、ひいては、不活性部9の積層方向側の端面17と内
部電極2との平行度を100μm以下とすることが容易
となる。
【0028】また、同一の効果を生じる積層方法とし
て、前記圧電体1の厚みが平均値より厚い部分のブロッ
クと薄い部分のブロックを交互に積層するようにしても
構わない。
【0029】圧電体1は、例えば、チタン酸ジルコン酸
鉛Pb(Zr,Ti)O3(以下PZTと略す)或い
は、チタン酸バリウムBaTiO3を主成分とする圧電
セラミック材料などが使用されるが、これらに限定され
るものではなく、圧電性を有するセラミックスであれば
何れでも良い。なお、この圧電体材料としては、圧電歪
み定数d33が高いものが望ましい。
【0030】また、圧電体1の厚み、つまり内部電極2
間の距離は、小型化及び高い電界を印加するという点か
ら0.05〜0.25mmであることが望ましい。これ
は、積層型圧電素子は電圧を印加して、より大きな変位
量を得るために積層数を増加させる方法がとられるが、
積層数を増加させた場合に活性部8中の圧電体1の厚み
が厚すぎるとアクチュエータの小型化、低背化ができな
くなり、一方、活性部8中の圧電体1の厚みが薄すぎる
と絶縁破壊しやすいからである。
【0031】また、上述したように内部電極2の端部が
一層おきに露出せしめる凹溝10を有することが望まし
い。即ち、柱状積層体3における活性部8側面の外部電
極4形成面には、一層おきに深さ50〜500μm積層
方向の幅30〜200μmの凹溝10が形成されてお
り、この凹溝10内にガラス、エポキシ樹脂、ポリイミ
ド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーンゴム等の絶
縁体10aが充填されている。このように内部電極2の
端部は一層おきに互い違いに凹溝10内に充填された絶
縁体10aによって絶縁されており、内部電極2の絶縁
されていない他方の端部は、突起状導電性端子4aが形
成され、さらに金属板4bが接続されて外部電極を構成
している。
【0032】本発明では、内部電極2と柱状積層体3の
積層方向側の端面17との平行度が100μm以下であ
るため、凹溝10を形成する際に内部電極2が凹溝10
内の中央近傍に確実に加工されるため、絶縁不良を防止
するとともに凹溝10内における内部電極2端部での応
力を低減できるためデラミネーションやクラックの発生
を防止することが可能となり、高い信頼性を得ることが
できる。
【0033】なお、突起状導電性端子4aは内部電極2
との拡散接合による接合のため銀、若しくは銀を主成分
とする合金と、圧電体1との拡散接合による接合のため
ガラス成分とを含有する必要がある。また、突起状導電
性端子4aは、外部電極4としての導電性を備えるた
め、銀、若しくは銀が主成分の合金が突起状導電性端子
4a全量中の40〜90体積%であることが望ましい。
【0034】なお、外部電極4を構成する金属板4bの
厚みtは、アクチュエータの伸縮に追従し、金属板4b
と突起状導電性端子4aの間、若しくは突起状導電性端
子4aと内部電極2の間で断線を生じないという点か
ら、50μm以下であることが望ましい。
【0035】また、金属板4bは、銀、ニッケル、銅、
金、アルミニウム等の導電性を備えた金属及びそれらの
合金からなり、このうち、突起状導電性端子4aとの接
合強度が強く、ヤング率が低いという点から、銀、若し
くは銀が主成分の合金が望ましい。
【0036】なお、絶縁体10aは、柱状積層体3との
接合を強固とするために、柱状積層体3の変位に対して
追従する弾性率が低い材料、具体的にはシリコーンゴム
等からなることが好適である。
【0037】以上のように構成された積層型圧電素子
は、以下のプロセスにより製造される。
【0038】先ず、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,
Ti)O3などの圧電体セラミックスの仮焼粉末と、有
機高分子からなるバインダと、可塑剤とを混合したスラ
リーを作製し、スリップキャステイング法により、厚み
50〜250μmのセラミックグリーンシートを作製す
る。
【0039】このグリーンシートの片面に内部電極2と
なる銀を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷
法により1〜10μmの厚みに印刷する。この導電性ペ
ーストを乾燥させた後、導電性ペーストが塗布された複
数のグリーンシートを所定の枚数だけ積層し、この積層
体の上下面に、導電性ペーストが印刷されていないグリ
ーンシートを複数積層する。
【0040】次に、この積層体を金型内に配置し50〜
200℃で加熱を行いながら加圧を行い、積層体を一体
化する。なお、内部電極2と積層体の積層方向側の端面
17との平行度を向上させるために、金型の上下からの
加圧や、いわゆる冷間静水圧加圧(CIP)等の等方加
圧による一体化をすることが望ましい。これにより、一
体化を行った時点での、内部電極2と積層体の上下面と
の平行度を100μm以下とすることが可能となる。
【0041】また、積層体を作製する際に、所定の枚数
を分割して積層することにより、複数の積層体を作製
し、これら複数の積層体の厚みを中心部及び、その周囲
の合計5点以上で測定し、その厚みバラツキが小さくな
るような層構成に複数の積層体を重ねて密着することで
一体化することが望ましい。このように分割して積層体
を作製することにより、各積層体の厚みバラツキを小さ
くすることが可能となる。また、厚みバラツキを小さく
なるように、各積層体を密着させることで、さらに厚み
バラツキを低減することが可能となる。
【0042】一体化された積層体は所定の大きさに切断
された後、300〜800℃で5〜40時間、脱バイン
ダが行われ、900〜1200℃で2〜5時間で1〜5
0kPaの圧力をかけながら本焼成が行われ、柱状積層
体3となる積層焼結体を得る。このように圧力をかけな
がら焼成を行うため、内部電極2と圧電体1との収縮差
による反りの発生を抑えることが可能となり、一体化を
行った時点での平行度を悪化させることなく、内部電極
2と不活性部の積層方向側の端面17との平行度を10
0μm以下とすることが可能となる。また、圧力が1〜
50kPaと低圧であるため、いわゆるホットプレス
(HP)や温間静水圧法(HIP)のように高コストを
かける必要がない。この柱状積層体3の側面には、内部
電極2の端部が露出している。
【0043】その後、柱状積層体3の外部電極4形成側
面に、ダイシング装置等により一層おきに凹溝10を形
成する。この凹溝10に絶縁体10aを充填し、反対側
の端部と金属板4bとの間に、銀粉末と、Pb−Si
系、若しくはB−Si系のガラス粉末からなる銀ガラス
ペーストを介在させ、金属板4bと柱状積層体3を2〜
80kPaの圧力で圧接した状態で500〜900℃で
熱処理することにより、銀ガラスペースト中のSiが活
性部8の圧電体1及び不活性部9へ拡散し、また、前記
銀ガラスペースト中の銀が内部電極2へ拡散し、柱状積
層体3の側面に突起状導電性端子4aが形成されるとと
もに、この突起状導電性端子4aに、板状導電部材から
なる金属板4bが接合される。
【0044】この後、外部電極4にリード線16を接続
し、素子の外周面に真空脱泡によるディッピング等の方
法により、外装樹脂を被覆した後、0.1〜3kVの分
極電圧を印加し、素子全体を分極処理することで、最終
的な積層型圧電素子を得る。
【0045】以上のように構成された積層型圧電素子
は、内部電極2と不活性部9の積層方向側の端面17と
の平行度が100μm以下であるため、これを用いたア
クチュエータを駆動させた場合においても、内部電極2
端部で発生する応力によるデラミネーションやクラック
の発生を防止することができ、高信頼性を備えたアクチ
ュエータを提供することができる。
【0046】なお、本発明の積層型圧電素子は、四角
柱、六角柱、円柱等、どのような柱体であっても構わな
いが、切断の容易性から四角柱状が望ましい。
【0047】また、外部電極4として金属板4bを用い
たが、ペーストによってのみ形成しても同様の効果を得
ることができる。
【0048】また、図2は本発明の積層型圧電素子5を
用いた噴射装置を示すもので、図において符号31は収
納容器を示している。この収納容器31の一端には噴射
孔33が設けられ、また収納容器31内には、噴射孔3
3を開閉することができるニードルバルブ35が収容さ
れている。
【0049】噴射孔33には燃料通路37が連通可能に
設けられ、この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結
され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給され
ている。従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開
放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が一定の
高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるよう
に形成されている。
【0050】また、ニードルバルブ35の上端部は直径
が大きくなっており、収納容器31に形成されたシリン
ダ39と摺動可能なピストン41となっている。そし
て、収納容器31内には、上記した積層型圧電素子5が
収納されている。
【0051】このような噴射装置では、積層型圧電素子
5が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41が押圧
され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞し、燃料
の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると
積層型圧電素子5が収縮し、皿バネ45がピストン41
を押し返し、噴射孔33が燃料通路37と連通して燃料
の噴射が行われるようになっている。
【0052】
【実施例】実施例1 チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3などの圧
電体セラミックスの仮焼粉末と、有機高分子からなるバ
インダと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、スリ
ップキャステイング法により、厚み150μm、且つ厚
みばらつき5μm以内のセラミックグリーンシートを作
製した。
【0053】このグリーンシートの片面に内部電極2と
なる銀−パラジウムを主成分とする導電性ペーストをス
クリーン印刷法により4μmの厚みに印刷し、導電性ペ
ーストを乾燥させた後、導電性ペーストが塗布された複
数のグリーンシートを300枚積層し、この積層体の上
下面に、導電性ペーストを塗布していないグリーンシー
トを20枚ずつ積層した。
【0054】次に、この柱状積層体3の成形体を金型内
に配置し100℃で加熱を行いながら金型の上下より加
圧を行い一体化し、10mm×10mmの大きさに切断
した後、800℃で10時間の脱バインダを行い、11
30℃で10kPaの加圧を行いながら2時間で本焼成
を行い、柱状積層体3となる積層焼結体を得た。
【0055】次に、この積層焼結体の上下面を平面研削
盤により平行度を10μmに加工を行った。
【0056】得られた積層焼結体の内部電極2と積層体
端面17との平行度を測定したところ20μmであっ
た。
【0057】その後、活性部の外部電極形成側面に、ダ
イシング装置より一層おきに幅50μm深さ200μm
の凹溝10を形成した。そして、この凹溝10が形成さ
れた積層型圧電素子3の外部電極形成側面と、銀を主成
分とする金属板4bとの間に、銀粉末とB−Si系のガ
ラス粉末からなる導電性ペーストを介在させ、外部電極
を30kPaの圧力で圧接した状態で熱処理することに
より、積層型圧電素子3の側面に突起状導電性端子4a
を形成するとともに、該突起状導電性端子4aを金属板
4bに接合した。
【0058】その後、凹溝10に絶縁体10としてシリ
コーンゴムを充填し、外部電極にリード線を接続した。
【0059】その後、正極及び負極の外部電極4にリー
ド線16を介して3kV/mmの直流電界を15分間印
加して分極処理を行うことにより積層型圧電素子5を作
製した。
【0060】得られた積層型圧電素子5に150Vの直
流電圧を印加した結果、積層方向に40μmの変位量が
得られた。さらに、この積層型圧電素子に室温で0〜+
150Vの交流電圧を60Hzの周波数にて印加して駆
動試験を行った結果、5×108サイクルまで駆動した
ところ40μmの変位量が得られ、デラミネーションや
クラックは発生しなかった。
【0061】また、比較用に金型による一体化を金型の
上側からのみ加圧し、且つ、焼成時の加圧を行わなかっ
た以外は実施例1と同様に積層焼結体を作製したとこ
ろ、焼成時に一部のサンプルに内部電極2の界面にてデ
ラミネーションが発生し歩留まりが大きく低下した。デ
ラミネーションが発生しなかった積層焼成体について平
行度を測定したところ平行度は100μmより大きい値
であった。
【0062】このようにして得られた本発明及び比較例
の積層型圧電素子5を用いて、図2に示す噴射装置を作
製した。
【0063】得られた噴射装置の耐久性を比較するため
に、駆動中にデラミネーションやクラックによる不良率
を、室温で150Vの交流電界を5×108サイクルま
で駆動耐久試験を行い測定した。駆動試験は積層型圧電
素子5を駆動させ、変位を測定し、初期の変位からの変
動を調べた。尚、変位量の測定は、試料を防振台上に固
定し、試料上面にアルミニウム箔を張り付けて、レーザ
ー変位計により、素子の中心部及び周囲部の3箇所で測
定した値の平均値で評価した。変位が10%以上低下し
たものについて断面観察を行いデラミネーションやクラ
ックの発生を確認した。
【0064】得られた結果を図3に示す。この結果から
内部電極2と不活性部の積層端面17との平行度が10
0μmより大きいと不良率が大きくなったのに対し、平
行度が100μm以下では不良率が小さく、平行度が5
0μm以下では不良率が著しく低下しているのが判る。 実施例2 次に、セラミックグリーンシートの厚みバラツキが5μ
m以下であるものを用いて、厚みの厚い部分と薄い部分
を交互に積層した以外は実施例1と同様に積層型圧電素
子5を作製した。得られた積層焼結体の内部電極2と積
層体端面17との平行度を測定したところ15μmであ
った。
【0065】また、セラミックグリーンシートの厚みバ
ラツキが5μm以下であるものを用いて、厚みの厚い部
分と薄い部分を同一方向に20層積層したブロックを1
0個用意し、これらのブロックの厚い部分と薄い部分を
交互に積層するように積み重ねて加圧装置により密着し
て焼成し、実施例1と同様にして積層型圧電素子を作製
した。得られた積層型圧電素子5の内部電極2と積層体
端面17との平行度を測定したところ13μmであっ
た。
【0066】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の積層型圧電
素子では、複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積
層してなる活性部、及び該活性部の積層方向の両端部に
それぞれ設けられた不活性部から成る柱状積層体と、該
柱状積層体の側面に設けられ、前記内部電極が一層おき
に交互に接続される一対の外部電極とを具備してなる積
層型圧電素子であって、前記柱状積層体の積層方向の端
面と前記内部電極との平行度を100μm以下とするこ
とにより、積層型圧電素子を駆動させた場合において
も、積層型圧電素子内部で発生する応力を低減すること
が可能となり、デラミネーションやクラックの発生を防
止することができ、高信頼性を備えたアクチュエータを
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電素子を示すもので、(a)
は斜視図、(b)は(a)のA−A’線断面図である。
【図2】本発明の噴射装置を示す断面図である。
【図3】不活性部の積層方向側の端面と内部電極との平
行度と不良率の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・圧電体 2・・・内部電極 3・・・柱状積層体 4・・・外部電極 5・・・積層型圧電素子 8・・・活性部 9・・・不活性部 10・・・凹溝 10a・・絶縁体 16・・・リード線 17・・・端面

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に
    積層してなる活性部、及び該活性部の積層方向の両端部
    にそれぞれ設けられた不活性部から成る柱状積層体と、
    該柱状積層体の側面に設けられ、前記内部電極が一層お
    きに交互に接続される一対の外部電極とを具備してなる
    積層型圧電素子であって、前記柱状積層体の積層方向の
    端面と前記内部電極との平行度を100μm以下とした
    ことを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 【請求項2】前記活性部における各圧電体の厚みばらつ
    きが10μm以下であることを特徴とする請求項1記載
    の積層型圧電素子。
  3. 【請求項3】前記活性部の圧電体は、厚みが平均値より
    厚い部分と、平均値より薄い部分が交互に積層されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の積層型圧電素子。
  4. 【請求項4】前記活性部の圧電体は、厚みが平均値より
    厚い部分のブロックと、平均値より薄い部分のブロック
    が交互に積層されていることを特徴とする請求項1記載
    の積層型圧電素子。
  5. 【請求項5】前記柱状積層体の側面に、内部電極の端部
    が一層おきに露出するように凹溝を有することを特徴と
    する請求項1記載の積層型圧電素子。
  6. 【請求項6】前記内部電極の端部に一層おきに柱状積層
    体の側面から突出する突起状導電性端子を設け、該突起
    状導電性端子と、板状導電部材からなる外部電極とを接
    合したことを特徴とする請求項1記載の積層型圧電素
    子。
  7. 【請求項7】内部電極が形成された圧電材料のセラミッ
    クグリーンシートを複数積層してなる活性部の積層方向
    の両端部に、不活性部となるセラミックグリーンシート
    を複数積層し加熱圧着した後、加圧焼成して柱状積層体
    を作製する工程と、該柱状積層体の側面に、内部電極が
    一層おきに交互に電気的に接続される一対の外部電極を
    形成する工程とを具備してなることを特徴とする積層型
    圧電素子の製造方法。
  8. 【請求項8】内部電極が形成された圧電材料のセラミッ
    クグリーンシートを複数積層してなる積層体を複数作製
    し、該積層体の厚みばらつきを等間隔に5点以上測定し
    たのち、該厚みばらつきを小さくするように複数の積層
    体を重ねて密着することを特徴とする請求項7記載の積
    層型圧電素子の製造方法。
  9. 【請求項9】噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内
    に収容された請求項1乃至7のいずれかに記載の積層型
    圧電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔
    から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特
    徴とする噴射装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005191050A (ja) * 2003-12-24 2005-07-14 Kyocera Corp 積層型圧電素子およびその製法、並びに噴射装置
JP2005243677A (ja) * 2004-02-24 2005-09-08 Kyocera Corp 積層型電子部品とその製造方法およびこれを用いた噴射装置
JP2012099827A (ja) * 2004-06-24 2012-05-24 Kyocera Corp 積層型電子部品及びこれを用いた噴射装置
JP2012174981A (ja) * 2011-02-23 2012-09-10 Kyocera Corp 積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システム

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