JP3872349B2 - 積層型圧電素子の製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型圧電素子の製法に関し、例えば、自動車用燃料噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動素子等に用いられる積層型圧電素子の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、積層型圧電素子として、圧電体と内部電極を交互に積層した積層型圧電アクチュエータが知られている。積層型圧電アクチュエータは、同時焼成タイプと、圧電磁器と内部電極板を交互に積層したスタックタイプとの2種類に分類されており、低電圧化、製造コスト低減の面から考慮すると、同時焼成タイプの積層型圧電アクチュエータが薄層化に対して有利であるために、その優位性を示しつつある。
【0003】
図7は、従来の積層型圧電アクチュエータを示すもので、このアクチュエータでは、圧電体51と内部電極52が交互に積層されて柱状積層体53が構成され、その積層方向における両端面には不活性体55が積層されている。内部電極52は、その一方の端部が左右交互に絶縁体61で被覆され、その上から帯状外部電極70が内部電極52と左右各々一層おきに導通するように形成されている。帯状外部電極70上には、さらにリード線76が半田77により固定されている。
【0004】
ところで、近年においては、小型の圧電アクチュエータで大きな圧力下において大きな変位量を確保するため、より高い電界を印加し、長期間連続駆動させることが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した圧電アクチュエータでは、高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合、圧電体51間に形成された内部電極52と、正極、負極用の帯状外部電極70との間で剥離が発生し、一部の圧電体51に電圧供給されなくなり、駆動中に変位特性が変化するという問題があった。
【0006】
例えば、特開平4−237172号公報には、柱状積層体の側面に露出した内部電極の端部が、一層おきにガラスからなる絶縁層で被覆されるとともに、内部電極とその上下の圧電体が強固に接合され、内部電極の端部を絶縁する絶縁層が外部電極の凹部内に収容されて、外部電極と内部電極との絶縁性が確保された積層型圧電アクチュエータが開示されているが、このような圧電アクチュエータでは、高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合、ガラスからなる絶縁層に割れが生じ、この割れを介して内部電極と外部電極との間でショートが発生し、一部の圧電体に電圧が供給されなくなり、駆動中に変位特性が変化するという問題があった。
【0007】
即ち、柱状積層体は、圧電体と内部電極の積層方向に伸縮するため、内部電極の端部およびその近傍の圧電体の側面に設けられた高ヤング率のガラスからなる絶縁層が、長期間連続駆動による伸縮動作に耐えきれずに破壊され、この破壊部分を介して内部電極と外部電極間でショートが発生し易いという問題があった。
【0008】
また、特開平7−283453号公報では、積層体の側面に露出する一層おきの内部電極の端部に導電性凸部を設け、該導電性凸部が形成された積層体の側面を絶縁膜で覆い、外部電極となる導電性を有する金属線からなるメッシュを前記絶縁膜の上面から積層体に向けて押圧することにより、前記メッシュの金属線が前記絶縁膜を突き破って前記各導電性凸部に接触し、一層おきの内部電極と電気的に接続された積層型圧電素子が開示されているが、このような積層型圧電素子では、外部電極であるメッシュを当接することにより内部電極の端部に設けた導電性凸部と電気的に接合しており、全導電性凸部に均一に外部電極となるメッシュを押し当てることが困難なため、高電界で連続駆動させた場合に、前記導電性凸部と外部電極の接点が接点不良を起こし、スパークするといった問題があった。
【0009】
さらに、本発明者は、先に、内部電極の端部に一層おきに前記柱状積層体の側面から突出する突起状導電性端子を設け、該突起状導電性端子と、板状導電部材からなる外部電極とを接合してなる積層型圧電素子を提案した(特願2001−052410号)。このような積層型圧電素子では、突起状導電性端子が柱状積層体の伸縮によって生じる応力を緩和することができるため、耐久性を大幅に向上させることができる。しかしながら、突起状導電性端子と内部電極若しくは板状導電部材からなる外部電極との接点に於いてスパークによる接点不良が生じる可能性があった。
【0010】
本発明は、高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合でも、外部電極と内部電極とが断線することがなく、耐久性に優れた積層型圧電素子の製法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型圧電素子の製法は、複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層してなり、側面に2つの外部電極形成面を有する柱状積層体と、該柱状積層体の外部電極形成面にそれぞれ設けられ、前記内部電極が一層おきに交互に電気的に接続された外部電極とを具備してなる積層型圧電素子の製法であって、前記外部電極形成面全体のうねりが20μm以下である前記柱状積層体の前記外部電極形成面から突出する突起状導電性端子を前記内部電極の端部に設け、前記突起状導電性端子に板状導電部材を当接し、加熱して前記突起状導電性端子に前記板状導電部材を接続することを特徴とする。
また、本発明の積層型圧電素子の製法は、複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層してなり、側面に2つの外部電極形成面を有する柱状積層体と、該柱状積層体の外部電極形成面にそれぞれ設けられ、前記内部電極が一層おきに交互に電気的に接続された外部電極とを具備してなる積層型圧電素子の製法であって、前記外部電極形成面全体のうねりが20μm以下である前記柱状積層体の前記外部電極形成面とその外側に設けた板状導電部材との間に導電性ペーストを介在させた状態で加熱し、前記内部電極の端部に設けられた突起状導電性端子に前記板状導電部材を接続することを特徴とする。
【0012】
このような積層型圧電素子の製法では、柱状積層体の外部電極形成面のうねりが20μm以下であるため、例えば、突起状導電性端子を介して一層おきのすべての内部電極を均一に、かつ確実に板状導電部材に接合でき、接合不良による突起状導電性端子と内部電極若しくは板状導電部材間のスパークを防ぐことができる。
【0013】
即ち、例えば、内部電極の端部に柱状積層体の外部電極形成面から突出する突起状導電性端子を設け、該突起状導電性端子を板状導電部材に接続した積層型圧電素子は、柱状積層体の外部電極形成面に金属とガラスを含有するペーストを塗布し、この表面に板状導電部材を配置し、板状導電部材を柱状積層体側に押圧した状態で加熱して形成されるが、外部電極形成面のうねりが20μm以下と平坦面であるため、突起状導電性端子と内部電極端部、板状導電部材との接合を均一に、かつ確実に行うことができ、突起状導電性端子と内部電極端部、外部電極(板状導電部材)間のスパークを防止できる。
【0014】
ここで、外部電極形成面とは、外部電極が内部電極に接続される柱状積層体の側面であって、外部電極が柱状積層体に接合される幅に対応した柱状積層体の側面部分で、且つ、伸縮に寄与する活性部を指す。
【0015】
また、本発明では、柱状積層体の対向する側面に外部電極形成面が形成されており、該対向する外部電極形成面間の平行度が20μm以内であることが望ましい。これにより、対向する2つの外部電極形成面に於いても、すべての内部電極と外部電極の接合を均一にかつ確実にできるため、駆動中に突起状導電性端子が内部電極若しくは外部電極から剥離するといった問題が生じるのを防ぐことができ、耐久性に優れた積層型圧電素子を提供することができる。
【0016】
即ち、例えば、内部電極の端部に柱状積層体の外部電極形成面から突出する突起状導電性端子を設け、該突起状導電性端子を板状導電部材に接続した積層型圧電素子は、柱状積層体の外部電極形成面に金属とガラスを含有するペーストを塗布し、この表面に板状導電部材を配置し、板状導電部材を柱状積層体側に押圧した状態で加熱して形成されるが、対向する外部電極形成面間の平行度が20μm以内であるため、板状導電部材を介して柱状積層体に加えられる押圧力をほぼ一定とすることができ、突起状導電性端子と内部電極端部、板状導電部材との接合をさらに確実に行うことができ、耐久性を向上できる。
【0017】
さらに、本発明では、外部電極が板状導電部材を具備して構成されるとともに、内部電極の端部に柱状積層体の外部電極形成面から突出する突起状導電性端子を設け、該突起状導電性端子を前記板状導電部材に接続したため、即ち、柱状積層体の側面から突出する突起状導電性端子を介して内部電極と板状導電部材を接続することにより、柱状積層体が積層方向に伸縮しても、突起状導電性端子が変形して柱状積層体の伸縮によって生じる応力を吸収するため、高電界、高圧力下で長期間連続運転させた場合でも、外部電極と内部電極との断線を抑制することができ、耐久性を大幅に向上できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は積層型圧電アクチュエータからなる積層型圧電素子の一形態を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A’線に沿った縦断面図である。図2は図1(a)において板状導電部材4aからなる外部電極4とリード線6を省略したもので、外部電極形成面を説明するための斜視図である。
【0021】
積層型圧電アクチュエータは、図1に示すように、複数の圧電体1と複数の内部電極2とを交互に積層してなる四角柱状の柱状積層体1aの対向する側面、即ち図2で示す外部電極形成面1bに、板状導電部材4aからなる外部電極4が設けられている。柱状積層体1aの両端面には不活性体Fが設けられており、これらの不活性体Fにも外部電極4が延設され、接合されている。
【0022】
内部電極2の端部は一層おきに絶縁体3で被覆され、絶縁体3で被覆していない内部電極2の端部は、柱状積層体1aの伸縮方向に変形可能な突起状導電性端子5を介して、板状導電部材4aからなる外部電極4に接続され、各板状導電部材4aにはリード線6が接続されている。
【0023】
内部電極2端部の絶縁体3による絶縁は、外部電極形成面1bを有する柱状積層体1aの側面に一層おきに深さ50〜500μm、積層方向の幅30〜200μmの溝を形成し、この溝内にガラス、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーンゴム等を充填して行われている。溝は柱状積層体1aの外部電極形成面1bのみに形成しても良い。突起状導電性端子5と絶縁体3は、外部電極4が形成された柱状積層体1aの外部電極形成面1bに露出した内部電極2の端部に、交互に形成されている。
【0024】
即ち、溝内に充填された絶縁体3により内部電極2の端部が互い違いに一層おきに絶縁され、内部電極2の絶縁されていない他方の端部は、突起状導電性端子5を介して板状導電部材4aからなる外部電極4と接合されることになる。
【0025】
圧電体1は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3(以下PZTと略す)、或いはチタン酸バリウムBaTiO3を主成分とする圧電セラミックス材料等で形成されている。この圧電セラミックスは、その圧電特性を示す圧電歪み定数d33が高いものが望ましい。
【0026】
また、圧電体1の厚み、つまり内部電極2間の距離は50〜250μmが望ましい。これは、積層型圧電アクチュエータは電圧を印加してより大きな変位量を得るために、積層数を増加させる方法がとられるが、積層数を増加させた場合に圧電体1の厚みが厚すぎるとアクチュエータの小型化、低背化ができなくなり、一方、圧電体1の厚みが薄すぎると絶縁破壊しやすいからである。
【0027】
圧電体1の間には内部電極2が配されているが、この内部電極2は銀−パラジウム等の金属材料で形成されており、各圧電体1に所定の電圧を印加し、圧電体1に逆圧電効果による変位を起こさせる作用をなす。
【0028】
そして、本発明では、柱状積層体1aの外部電極形成面1bのうねりが20μm以下、即ち、柱状積層体1aの対向する各々の外部電極形成面1bの凹凸差が各々20μm以内の平坦面であることを特徴としている。外部電極形成面1bのうねりは、特には10μm以下であることが好ましい。製法上容易という点から、外部電極形成面を有する柱状積層体1aの側面全体についてうねりを20μm以下とすることが望ましい。
【0029】
ここで、外部電極形成面1bのうねりが20μm以下とは、図3に示すように、柱状積層体1aの外部電極形成面1bにおいて、該外部電極形成面1bに直角な平面で柱状積層体1aを積層方向(伸縮方向)に切断したとき、その切り口に現れる輪郭を外部電極形成面1bの断面曲線Xとした場合、該断面曲線Xまでの偏差の二乗和が最小となる直線を断面曲線Xの平均線Yとし、該平均線Yと平行な2直線で断面曲線Xを挟んだときのこの2直線間の距離Lが20μm以下であることを指す。
【0030】
即ち、外部電極形成面1bのうねりを20μm以下の平坦面としたのは、後述する本発明の積層型圧電素子の製法において、突起状導電性端子5と板状導電部材4aからなる外部電極4を接合する際に、すべての接合部に均一な荷重を加えることができ、突起状導電性端子5を介して一層おきのすべての内部電極2を均一にかつ確実に板状導電部材4aからなる外部電極4と接合できるため、接合不良による突起状導電性端子5と、内部電極2若しくは外部電極4間のスパークを防ぐことができるからである。尚、外部電極4は、不活性部Fまで形成することが望ましいが、外部電極4と突起状導電性端子5を接続する必要がないため、不活性体Fはうねりを20μm以下とする必要なない。
【0031】
また、本発明では、柱状積層体1aの対向する側面にある2つの外部電極形成面1b間の平行度が20μm以内、特には10μm以内であることが望ましい。ここで、2つの外部電極形成面1b間の平行度が20μm以内とは、各々の外部電極形成面1bの断面曲線X、X‘の平均線Y、Y‘同士を柱状積層体1aの同一側の端部が重なるように平行移動した場合の他方端間の距離が20μm以下であることを指す。
【0032】
これにより、対向する2つの外部電極形成面1bに於いても、突起状導電性端子5を、内部電極2と、板状導電部材4aからなる外部電極4にさらに確実に接続でき、均一かつ強固にできるため、駆動中に突起状導電性端子5が内部電極2若しくは外部電極4から剥離するといった問題が生じるのを防ぐことができ、耐久性に優れた積層型圧電アクチュエータを提供することができる。
【0033】
なお、板状導電部材4aの厚みtは、アクチュエータの伸縮に追従し、外部電極4と突起状導電性端子5の間、若しくは突起状導電性端子5と内部電極2の間で断線を生じないという点から、ある程度弾性を有する厚みである50μm以下であることが望ましい。
【0034】
さらに、突起状導電性端子5は、アクチュエータの伸縮によって生じる応力を十分に吸収するという点から、ヤング率の低い銀、若しくは銀が主成分の合金が望ましい。
【0035】
板状導電部材4aは、銀、ニッケル、銅、金、アルミニウム等の導電性を備えた金属及びそれらの合金からなり、このうち、銀、若しくは銀が主成分の合金からなる突起状導電性端子5との接合強度が強く、ヤング率が低いという点から、銀、若しくは銀が主成分の合金が望ましい。
【0036】
なお、絶縁体3は、柱状積層体1aとの接合を強固とするために、柱状積層体1aの変位に対して追従する弾性率が低い材料、具体的にはシリコーンゴム等からなることが好適である。
【0037】
柱状積層体1aの対向する2つの外部電極形成面1bには、それぞれ板状導電部材4aからなる外部電極4が突起状導電性端子5を介して接続固定されており、該外部電極4には、積層されている内部電極2が一層おきに電気的に接続されている。この板状導電部材4aからなる外部電極4は、接続されている各内部電極2に圧電体1を逆圧電効果により変位させるに必要な電圧を共通に供給する作用をなす。
【0038】
さらに、外部電極4にはリード線6が半田により接続固定されている。このリード線6は外部電極4を外部の電圧供給部に接続する作用をなす。また、柱状積層体1aの側面、板状導電部材4aの上面、板状導電部材4aと柱状積層体1aの側面との間には、図示しないが被覆樹脂が設けられる。
【0039】
以上のように構成された積層型圧電素子の製法について説明する。まず、柱状積層体1aを作製する。複数の圧電体1と複数の内部電極2とを交互に積層して成る柱状積層体1aは、PZT等の圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系、ブチラール系等の有機高分子から成るバインダーと、DBP(フタル酸ジオチル)、DOP(フタル酸ジブチル)等の可塑剤とを混合してスラリーを作製し、該スラリーを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成型法により圧電体1となるセラミックグリーンシートを作製する。
【0040】
次に、銀−パラジウム粉末にバインダー、可塑剤等を添加混合して導電性ペーストを作製し、これを前記各グリーンシートの上面にスクリーン印刷等によって1〜40μmの厚みに印刷する。
【0041】
そして、上面に導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを複数積層し、この積層体の上下面に、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートを複数積層し、これを所定の温度で脱バインダーを行った後、900〜1200℃で焼成することによって柱状積層体の上下面に不活性体が形成された焼成体が作製される。
【0042】
その後、前記焼成体を所定の寸法に平面研削後、ラップ加工等を行うことにより正負極用の各々の外部電極形成面1bのうねりを20μm以内の平坦面に、且つ2つの対向する外部電極形成面1b間の平行度を20μm以下に加工することができる。
【0043】
そして、銀粉末を50〜80体積%と残部がガラス粉末からなる混合物にバインダーを加えて作製した銀ガラスペーストを、柱状積層体1aの対向する外部電極形成面1bに塗布し、700〜940℃で焼き付けを行うことにより、銀ガラスペースト中の銀が内部電極2端部に集合し、土筆やきのこ状の突起状導電性端子5を形成することができる。
【0044】
その後、ダイシング装置等により突起状導電性端子5の形成された柱状積層体1aの外部電極形成面1bに一層おきに溝を形成する。
【0045】
そして、図4に示すように、突起状導電性端子5の上に板状導電部材4aを載置し、板状導電部材4aを柱状積層体1a側に向けて押圧し、銀からなる板状導電部材4aを突起状導電性端子5に圧接した状態で700〜950℃で熱処理することにより、主成分である銀が突起状導電性端子5と板状導電部材4a間を相互に拡散し、いわゆる銀の拡散接合によって突起状導電性端子5と板状導電部材4aの接合がなされる。
【0046】
その後、溝内に絶縁体3を充填し、リード線6を接続することにより本発明の積層型圧電素子が完成する。
【0047】
なお、柱状積層体1aの側面に一層おきに溝を形成した後に、溝を形成していない柱状積層体1aの外部電極形成面1bに銀ガラスペーストを塗布し、焼き付けを行い突起状導電性端子5を形成してもよい。
【0048】
次に、本発明の積層型圧電素子の他の製法について説明する。上述と同様に柱状積層体1aを形成した後、該柱状積層体1aの側面に一層おきに溝を形成する。
【0049】
その後、該柱状積層体1aの溝を形成しなかった外部電極形成面1bに、上述と同様の銀ガラスペーストを塗布し、このペースト上に板状導電部材4aを載置し、外部電極形成面1bと板状導電部材4aの間に銀ガラスペーストを介在させた状態で、板状導電部材4aを柱状積層体1a側に押圧し、板状導電部材4a、銀ガラスペースト及び柱状積層体1aを圧接した状態で700〜950℃で熱処理することにより、銀ガラスペースト中の銀成分が、内部電極2の端部に集合し、柱状積層体1aの外部電極形成面1bから突出する突起状導電性端子5が形成されるとともに、該突起状導電性端子5を板状導電部材4aに接続することができる。
【0050】
その後、溝部に絶縁体3を充填し、リード線6を接続することにより本発明の積層型圧電素子が完成する。
【0051】
そして、リード線6を介して一対の外部電極4に0.1〜3kV/mmの直流電圧を印加し、柱状積層体1aを分極処理することによって、製品としての積層型圧電アクチュエータが完成し、リード線6を外部の電圧供給部に接続し、リード線6及び外部電極4を介して内部電極2に電圧を印加させれば、各圧電体1は逆圧電効果によって大きく変位し、これによって例えばエンジンに燃料を噴射供給する自動車用燃料噴射弁として機能する。
【0052】
以上のように構成された積層型圧電素子は、柱状積層体1aの対向する側面にある2つの外部電極形成面1bのうねりが各々20μm以下の平面であり、また、2つの外部電極形成面1b間の平行度が20μm以内であるため、内部電極2と突起状導電性端子5、突起状導電性端子5と外部電極4を全層に渡って均一強固にかつ確実に接合することができ、また、板状導電部材4aからなる外部電極4が突起状導電性端子5を介して内部電極2と接続されているため、突起状導電性端子5がアクチュエータの伸縮によって生じる応力を吸収し、該外部電極4と内部電極2の断線を抑制することができ、アクチュエータを高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合でも、耐久性を向上できる。
【0053】
本発明の製法に係る積層型圧電素子はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば、板状導電部材4aの外側に導電性補助部材を設けて外部電極4を形成しても良い。この場合には、板状導電部材4aの外面に導電性補助部材を設けることによりアクチュエータに大電流を投入し、高速で駆動させる場合においても、大電流を導電性補助部材に流すことができ、外部電極4に流れる電流を低減できるという理由から、外部電極4が局所発熱を起こし断線することを防ぐことができ、耐久性を大幅に向上させることができる。
【0054】
なお、導電性補助部材はアクチュエータの伸縮に追従し、駆動中に該導電性補助部材の断線を防ぐ点から、フレキシブルな導電性接着剤や導電性コイル、若しくは導電性波板、若しくは導電性繊維集合体(ウール状)からなる。特には、抵抗値及びヤング率が低く、伸縮性に富み、また、アクチュエータの断面積を小さくできるという点から、材質が銀の導電性波板が望ましい。
【0055】
図5は噴射装置を示すもので、図において符号31は収納容器を示している。この収納容器31の一端には噴射孔33が設けられ、また収納容器31内には、噴射孔33を開閉することができるニードルバルブ35が収容されている。
【0056】
噴射孔33には燃料通路37が連通可能に設けられ、この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が一定の高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるように形成されている。
【0057】
また、ニードルバルブ35の上端部は直径が大きくなっており、収納容器31に形成されたシリンダ39と摺動可能なピストン41となっている。そして、収納容器31内には、上記した圧電アクチュエータ43が収納されている。
【0058】
このような噴射装置では、圧電アクチュエータ43が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41が押圧され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると圧電アクチュエータ43が収縮し、皿バネ45がピストン41を押し返し、噴射孔33が燃料通路37と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
【0059】
【実施例】
実施例1
まず、柱状積層体の上下面に不活性体を有する素子本体を作製した。圧電体は厚み150μmのPZTで形成し、内部電極は厚み3μmの銀−パラジウム合金によって形成し、圧電体及び内部電極の各々の積層数は300層とした。このような素子本体を、PZTを含有するグリーンシート上に銀−パラジウム合金を含有する導電性ペーストを塗布し、これを複数層積層し、この積層体の上下面に、導電性ペーストを塗布していないグリーンシートを複数積層し、これを焼成することにより作製した。
【0060】
柱状積層体を有する素子本体の形状加工には、素子本体の側面全体について平面研削盤にて研削を行った後、外部電極形成面を有する素子本体の対向する2つの側面に対してラップ加工を行い、各々の外部電極形成面のうねりが5μmの平坦面に、また、対向する外部電極形成面間の平行度を5μmに仕上げた。
【0061】
次に、平均粒径5μmの銀粉末を60体積%と、残部が平均粒径5μmで軟化点が750℃のガラス粉末40体積%との混合物にバインダーを加えた銀ガラスペーストを作製し、前記素子本体の外部電極形成面に該銀ガラスペーストを塗布し、800℃で焼き付け、柱状積層体の側面に露出した内部電極の端部に突起状導電性端子を形成した。
【0062】
この後、突起状導電性端子を含む内部電極の端部一層おきに溝を形成した後、銀からなる厚み25μmの板状導電部材を突起状導電性端子上に載置し、30kPaで柱状積層体側に押圧し、900℃で接合した。
【0063】
その後、溝部に絶縁体としてシリコーンゴムを充填し、外部電極にリード線を接続した。
【0064】
その後、正極及び負極の外部電極にリード線を介して3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行い、図1に示すような積層型圧電アクチュエータを作製した。
【0065】
得られた積層型圧電アクチュエータに150Vの直流電圧を印加した結果、積層方向に40μmの変位量が得られた。さらに、このアクチュエータに室温で0〜+150Vの交流電圧を60Hzの周波数にて印加し駆動試験を行った結果、5×108サイクルまで駆動したところ40μmの変位量が得られ、外部電極の異常は見られなかった。
実施例2
次に、平面研削盤による研削及びラップ加工を制御し、各外部電極形成面のうねりの大きさを変化させて作製した以外は、実施例1と同様の積層型圧電アクチュエータを作製した。
【0066】
得られた積層型圧電アクチュエータ対して、外部電極と内部電極間の接点不良による不良率を作製後の初期と、0〜+150Vの交流電圧を60Hzの周波数にて印加し駆動試験を行い、5×108サイクルまで駆動したものについて、調べた。接点不良による不具合は、断面観察を行い、外部電極と内部電極との接続が一個所でも断線しているものを接合不良とした。
【0067】
得られた結果を図6に示す。図6より、駆動試験を行ったサンプルについて、外部電極形成面のうねりが20μmより大きい場合には、不良率が大きくなったのに対し、うねりが20μm以下の場合には、不良率が極めて小さく、10μm以下の場合には、外部電極と内部電極間の接点不良に起因する不良率は0であった。
【0068】
また、外部電極形成面のうねりが50μmより大きい場合には、初期における不良率も大きくなっていた。
【0069】
従って、外部電極形成面のうねりを本発明で規定するように20μm以下とすることにより、外部電極と内部電極の接合を均一かつ確実に行うことができ、外部電極と内部電極の接点不良を大幅に低減することができることが判る。
【0070】
【発明の効果】
本発明の積層型圧電素子の製法によれば、柱状積層体の外部電極形成面のうねりが20μm以下であるため、例えば、突起状導電性端子を介して一層おきのすべての内部電極を均一かつ確実に板状導電部材に接合でき、突起状導電性端子と内部電極若しくは外部電極(板状導電部材)間のスパークを防ぐことができ、接合不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層型圧電素子を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A’線に沿った縦断面図である。
【図2】外部電極形成面を説明するための斜視図である。
【図3】外部電極形成面のうねりを説明するための説明図である。
【図4】板状導電部材を突起状導電性端子先端に接合する状態を示す工程図である。
【図5】噴射装置を示す説明図である。
【図6】うねり量と不良率との関係を示すグラフである。
【図7】従来の積層型圧電アクチュエータを示す縦断面図である。
【符号の説明】
1・・・圧電体
1a・・・柱状積層体
1b・・・外部電極形成面
2・・・内部電極
4・・・外部電極
4a・・・板状導電部材
5・・・突起状導電性端子
31・・・収納容器
33・・・噴射孔
35・・・バルブ
43・・・圧電アクチュエータ
Claims (3)
- 複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層してなり、側面に2つの外部電極形成面を有する柱状積層体と、該柱状積層体の外部電極形成面にそれぞれ設けられ、前記内部電極が一層おきに交互に電気的に接続された外部電極とを具備してなる積層型圧電素子の製法であって、前記外部電極形成面全体のうねりが20μm以下である前記柱状積層体の前記外部電極形成面から突出する突起状導電性端子を前記内部電極の端部に設け、前記突起状導電性端子に板状導電部材を当接し、加熱して前記突起状導電性端子に前記板状導電部材を接続することを特徴とする積層型圧電素子の製法。
- 複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層してなり、側面に2つの外部電極形成面を有する柱状積層体と、該柱状積層体の外部電極形成面にそれぞれ設けられ、前記内部電極が一層おきに交互に電気的に接続された外部電極とを具備してなる積層型圧電素子の製法であって、前記外部電極形成面全体のうねりが20μm以下である前記柱状積層体の前記外部電極形成面とその外側に設けた板状導電部材との間に導電性ペーストを介在させた状態で加熱し、前記内部電極の端部に設けられた突起状導電性端子に前記板状導電部材を接続することを特徴とする積層型圧電素子の製法。
- 柱状積層体の対向する側面に外部電極形成面が形成されており、該対向する外部電極形成面の断面曲線の平均線同士を一方端が重なるように平行移動した場合の他方端間の距離が20μm以内であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層型圧電素子の製法。
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