JP4498300B2 - 積層型圧電素子の製造方法及び積層型圧電素子 - Google Patents

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本発明は、積層型圧電素子の製造方法及び積層型圧電素子に関し、例えば、自動車用燃料噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動素子等に用いられる積層型圧電素子の製造方法及び積層型圧電素子に関するものである。
来、積層型圧電素子としては、圧電体と内部電極を交互に積層した積層型圧電アクチュエータが知られている。
積層型圧電アクチュエータには、同時焼成タイプと、圧電磁器と内部電極板を交互に積層したスタックタイプとの2種類に分類されており、低電圧化、製造コスト低減の面から考慮すると、同時焼成タイプの積層型圧電アクチュエータが薄層化に対して有利であるために、その優位性を示しつつある。
図4は、従来の積層型圧電アクチュエータを示すもので、このアクチュエータでは、圧電体51と内部電極52が交互に積層されて柱状積層体53が形成され、その積層方向における両端面には不活性層55が積層されている。
内部電極52は、その一方の端部が左右交互に絶縁体61で被覆され、その上から帯状外部電極70が内部電極52と左右各々一層おきに導通するように形成されている。
帯状外部電極70上には、さらにリード線76が半田77により固定されている。
ところで、近年においては、小型の圧電アクチュエータで大きな圧力下において大きな変位量を確保するため、より高い電界を印加し、長期間連続駆動させることが行われている。
しかしながら、上記した圧電アクチュエータでは、高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合、圧電体51間に形成された内部電極52と、正極、負極用の外部電極70との間で剥離が発生し、一部の圧電体51に電圧供給されなくなり、駆動中に変位特性が変化するという問題があった。
本発明は、高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合でも、外部電極と内部電極とが断線することがなく、耐久性に優れた積層型圧電素子及び噴射装置を提供することを目的とする。
本発明の積層型圧電素子の製造方法は、複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層した柱状積層体を有し、該柱状積層体の2つの側面に一対の外部電極がそれぞれ形成された積層型圧電素子の製造方法であって、前記複数の内部電極の端部が前記2つの側面に交互に露出した柱状積層体を作製する工程と、前記柱状積層体の側面に露出した前記内部電極の端部間に凹溝を形成する工程と、前記柱状積層体の側面における少なくとも前記内部電極の端部が露出した部分に、導電性金属粉末50〜80体積%とガラス粉末20〜50体積%とを含む導電性ペーストを塗布する工程と、前記柱状積層体の側面に塗布された前記導電性ペーストを加熱し、前記内部電極の端部に前記柱状積層体の側面から突出する突起状導電性端子を形成する工程と、前記凹溝の開口部を遮蔽するための遮蔽物を配置する工程と、前記柱状積層体の前記2つの側面に導電性ペーストを塗布し、加熱して前記外部電極を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明の積層型圧電素子は、圧電体と内部電極とを交互に積層してなる柱状積層体と、該柱状積層体の側面に設けられ、前記内部電極が一層おきに交互に電気的に接続された一
対の、導電材とガラスとからなる導電性ペーストを焼き付けしてなる外部電極とを具備してなり、前記内部電極の端部に一層おきに前記柱状積層体の側面から突出する突起状導電性端子を設け、隣り合う突起状導電性端子間における前記柱状積層体の側面には、底面に前記内部電極端が露出し内部に樹脂製絶縁体が充填された凹溝形成した積層型圧電素子であって、前記突起状導電性端子を前記導電性ペースト中の成分を前記内部電極の端部に集合させて前記柱状積層体の側面から突出して形成するとともに前記凹溝を前記柱状積層体の側面側よりも前記凹溝の底面側の方が厚くなるように変形させ、前記内部電極の端部の厚みを該内部電極の端部に前記導電性ペースト中の成分を拡散させることによって前記内部電極の中央部よりも厚くし、前記ガラスを前記突起状導電性端子の根元部に集合させて、前記突起状導電性端子を保持させたことを特徴とする。
本発明の積層型圧電素子の製造方法によれば、柱状積層体の側面に露出した内部電極の端部間に凹溝を形成した後、上記のようにして突起状導電性端子を形成しているので、導電性ペースト中の成分(例えば銀)が内部電極の端部に拡散移動して突起状導電性端子が形成される際に、凹溝を変形させて、突起状導電性端子が接合している内部電極の端部の厚みを厚くすることができる。これにより、内部電極の端部と突起状導電性端子との接合強度を高めることができるので、高信頼性を備えた積層型圧電素子を提供することができる。
図1は本発明の積層型圧電素子の一形態を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A’線に沿った縦断面図、(c)は内部電極と外部電極の接合部近傍の拡大図である。
積層型圧電アクチュエータは、図1に示すように、圧電体1と内部電極2とを交互に複数積層してなる四角柱状の柱状積層体1aの側面において、内部電極2の端部を一層おきに樹脂製絶縁体3で被覆し、樹脂製絶縁体3で被覆していない内部電極2の端部に突起状導電性端子5を設け、該突起状導電性端子5を、柱状積層体1aの側面に導電性ペーストを塗布して形成してなる外部電極4中に埋設して接合し、各外部電極4にリード線6を接続固定して構成されている。
圧電体1は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O(以下PZTと略す)、或いはチタン酸バリウムBaTiOを主成分とする圧電セラミックス材料等で形成されている。この圧電セラミックスは、その圧電特性を示す圧電歪み定数d 33 が高いものが望ましい。
また、圧電体1の厚み、つまり内部電極2間の距離は50〜250μmが望ましい。
これは、積層型圧電アクチュエータは電圧を印加してより大きな変位量を得るために、積層数を増加させる方法がとられるが、上記のような圧電体1の厚みを採用することにより、アクチュエータの小型化、低背化を達成できるとともに、圧電体1の絶縁破壊を防止できるからである。
圧電体1の間には内部電極2が配されているが、この内部電極2は、例えば銀−パラジウム等の金属材料で形成されており、各圧電体1に所定の電圧を印加し、圧電体1に逆圧電効果による変位を起こさせる作用をなす。尚、内部電極2をCuで形成すると、電極材料費を低減できる。この場合には、圧電体1として、還元雰囲気で焼成しても圧電特性が低下しない耐還元性の圧電体1を用いる必要がある。
また、突起状導電性端子5が形成される柱状積層体1aの側面に内部電極2一層おきに深さ30〜500μm、積層方向の幅30〜200μmの凹溝11が形成されており、この凹溝11の底面には内部電極2端が露出している。凹溝11内にはエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーンゴム等が充填されて樹脂製絶縁体3が形成されている。凹溝11内の樹脂製絶縁体3はヤング率が小さいものが望ましく、特には、柱状積層体1aの変位に対して追従する弾性率が低いシリコーンゴムからなることが望ましい。
突起状導電性端子5と、凹溝11内の樹脂製絶縁体3とは、外部電極4が形成される柱状積層体1aの側面に露出した内部電極2の端部に交互に形成されている。即ち、凹溝11内に充填された樹脂製絶縁体3により内部電極2の端部が互い違いに一層おきに絶縁され、内部電極2の絶縁されていない他方の端部は、突起状導電性端子5を介して、導電性ペーストを塗布して形成された外部電極4と接合されている。
外部電極4は、導電とマトリックスからなり、マトリックスとしてはガラスまたは樹脂が用いられる。例えば銀を主成分とする導電材とガラスからなるものや、銀を主成分とする導電材とポリイミド樹脂からなるものが使用できる。
突起状導電性端子5は、内部電極2の端部に拡散接合している。即ち、内部電極2が銀を主成分とし、パラジウムを含有し、突起状導電性端子5が銀を主成分としている場合、
内部電極2と突起状導電性端子5の銀が相互に拡散するとともに、内部電極2のパラジウムが突起状導電性端子5に拡散し、これにより突起状導電性端子5が内部電極2の端部に拡散接合している。
柱状積層体1aの対向する側面には、導電性ペーストを塗布して形成され、銀を主成分とする導電材と、残部がマトリックスとしてガラスまたは樹脂からなる外部電極4が接合しており、この外部電極4中には、突起状導電性端子5が埋設され、これにより外部電極4に内部電極2が一層おきに電気的に接続されている。この銀を主成分とする導電材、残部がマトリックスとしてガラスまたは樹脂からなる外部電極4は、接続されている各内部電極2に圧電体1を逆圧電効果により変位させるに必要な電圧を共通に供給する作用をなす。
外部電極4、突起状導電性端子5の導電材は銀を主成分とするもので、これ以外に、ニッケル、銅、金、アルミニウム等の導電性を備えた金属及びそれらの合金から構成されていても良い。外部電極4の導電材、突起状導電性端子5は、耐酸化性を有し、ヤング率が低いという点から、銀、若しくは銀主成分の合金が望ましい。
柱状積層体1aの対向する側面にはそれぞれ外部電極4が突起状導電性端子5を埋設して形成されており、各々の外部電極4には、積層されている内部電極2が一層おきに電気的に接続されている。この外部電極4は、接続されている各内部電極2に圧電体1を逆圧電効果により変位させるに必要な電圧を共通に供給する作用をなす。
突起状導電性端子5の積層方向と同一方向の厚みBは、図1(c)に示すように、外部電極4と内部電極2との接続部の抵抗を低くし、且つアクチュエータの駆動時に生じる応力を十分に吸収するという点から、1μm以上且つ圧電体1厚みの1/2以下であることが望ましい。特には、厚みBは5〜25μmが望ましい。
本発明では、突起状導電性端子5と接続する内部電極2の端部2aの厚みは、内部電極2の中央部2bの厚みよりも厚くされている。この突起状導電性端子5と接続する内部電極2の端部2aの厚みは、内部電極2と突起状導電性端子5の接続を有効的に強固にするという点から、内部電極2の中央部2bの厚みの1.3倍以上であることが望ましい。内部電極2の端部2aとは、柱状積層体1a側面近傍の内部電極をいう。
突起状導電性端子5が形成された柱状積層体1aの側面において、突起状導電性端子5が形成されていない内部電極2の端部に凹溝11が形成されていることにより、突起状導電性端子5に接続する内部電極2の端部2aの厚みを有効的に厚くすることができるため、即ち、後述する突起状導電性端子5が形成される過程において、凹溝11部が変形し、凹溝11の外部電極4側の開口幅が積層方向に狭まることにより、突起状導電性端子5が接続される内部電極2の端部2aを厚くすることができる。
また、凹溝11は、凹溝11間の凸状となった圧電体1及び内部電極2の強度を損なうことなく、有効的に凹溝11が変形して、突起状導電性端子5に接続する内部電極2の端部2aの厚みを厚くすることができるという点から、深さを50〜500μm、積層方向の幅を圧電体1厚みの1/3〜2/3にすることが望ましい。
本発明の積層型圧電素子の製法について説明する。まず、柱状積層体1aを作製する。
複数の圧電体1と複数の内部電極2とを交互に積層して成る柱状積層体1aは、PZT等の圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系、ブチラール系等の有機高分子から成るバインダーと、DBP(フタル酸ジオチル)、DOP(フタル酸ジブチル)等の可塑剤とを混合してスラリーを作製し、該スラリーを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成型法により圧電体1となるセラミックグリーンシートを作製する。
次に、銀−パラジウム粉末にバインダー、可塑剤等を添加混合して導電性ペーストを作製し、これを前記各グリーンシートの上面にスクリーン印刷等によって1〜40μmの厚みに印刷する。
そして、上面に導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを積層し、この積層体について所定の温度で脱バインダーを行った後、900〜1200℃で焼成することによって柱状積層体1aが作製される。
その後、図2(a)に示すようにダイシング装置等により柱状積層体1aの側面に一層おきに凹溝11を形成する。
その後、凹溝11間における柱状積層体1a側面に露出した内部電極2およびこの内部電極2の近傍の圧電体1表面に、粒径0.1〜10μmの銀粉末を50〜80体積%と、残部が粒径0.1〜10μmでケイ素を主成分とする軟化点が600〜950℃のガラス粉末20〜50体積%からなる混合物にバインダーを加えて作製した銀ガラス導電性ペースト21を、図2(b)に示すように塗布、乾燥し、700〜950℃で熱処理することにより、銀ガラス導電性ペースト21中のガラスが溶融し、溶融したガラス中に存在する銀成分が内部電極2の端部に集合し、図2(c)に示すように、柱状積層体1aの側面から突出する突起状導電性端子5が形成されるとともに、銀ガラス導電ペースト中の銀成分が内部電極2の端部2aに拡散していき、内部電極2の端部2aの厚みが内部電極2の中央部2bの厚みよりも厚くなる。
尚、銀ガラス導電性ペースト21中のガラス5aは、突起状導電性端子5の根元部に集合し、突起状導電性端子5を保持することになる。
特に、本発明では、凹溝11を形成した後に、銀ガラス導電ペースト21を塗布、熱処理することにより、内部電極2の端部2aの厚みを内部電極2の中央部2bの厚みよりも厚くできる。
このように、内部電極2の端部2aの厚みが大きくなるため、その先端に形成される突起状導電性端子5との接合強度が大きくなる。
尚、銀ガラス導電性ペースト21の熱処理後に凹溝11を形成し、再度熱処理することによっても内部電極2の端部2aの厚みを内部電極2の中央部2bの厚みよりも厚くできる。
内部電極2の端部2aと内部電極2の中央部2bの厚み比率は、熱処理温度、及び銀ガラス導電性ペースト21中の銀の含有量を変化させることにより制御することができる。
この突起状導電性端子5は柱状積層体1aの側面の一部に形成されており、レール状に形成され、その長さは外部電極4の幅とほぼ同一とされている。
尚、突起状導電性端子5の長さは、外部電極4の幅よりも短くても良い。
銀ガラス導電性ペースト21中の銀粉末を50〜80体積%、残部のガラス粉末を20〜50体積%としたのは、この範囲内とすることにより、突起状導電端子5を構成する銀成分が適量となり、形成される突起状導電性端子5の突出高さhを高くできるとともに、銀ガラス導電性ペースト21中の固形分残部であるガラス成分が適量となるため、該銀ガラス導電性ペースト21の焼き付け時に溶融するガラス成分も適量であり、銀成分が内部電極2端部に容易に集合し、突起状導電性端子5の突出高さhを高くできる。
その後、突起状導電性端子5が形成された柱状積層体1a側面であって、突起状導電性端子5間に、凹溝11の開口部を遮蔽し、凹溝11内に後述する銀ガラス導電性ペースト4bの浸入を阻止する、例えば、紙等を配置する。
粒径0.1〜10μmの銀粉末60〜90体積%と残部が粒径0.1〜10μmで軟化点が800〜1000℃のガラス粉末10〜40体積%からなる混合物にバインダーを加えて作製した銀ガラス導電性ペースト4bを、図2(d)に示すように柱状積層体1aの側面に塗布、乾燥し、500〜700℃で焼き付けすることにより、銀とガラスが分散した導電性ペーストにて外部電極4が形成される。
尚、紙からなる遮蔽物は焼き付け時に消失する。
即ち、導電性ペースト4bの焼き付けは、突起状導電性端子5を形成した銀ガラス導電性ペースト21中のガラスは勿論、導電性ペースト4b中のガラス成分が軟化する温度以下で焼き付けを行うことにより、突起状導電性端子5を覆う導電性ペースト4bの膜が形成され、該導電性ペースト4bにより突起状導電性端子5同士が連結される。
その後、シリコーンゴム溶液に柱状積層体1aを浸漬し、真空引きすることにより凹溝11内にシリコーンゴムからなる樹脂製絶縁体3を充填し、外部電極4にリード線6を接続することにより本発明の積層型圧電素子が完成する。
そして、リード線6を介して一対の外部電極4に0.1〜3kV/mmの直流電圧を印加し、柱状積層体1aを分極処理することによって、製品としての積層型圧電アクチュエータが完成し、リード線6を外部の電圧供給部に接続し、リード線6及び外部電極4を介して内部電極2に電圧を印加させれば、各圧電体1は逆圧電効果によって大きく変位し、これによって例えばエンジンに燃料を噴射供給する自動車用燃料噴射弁として機能する。
また、本発明では、外部電極4に導電性補助部材を形成しても良い。外部電極4に導電性補助部材を設けることによりアクチュエータに大電流を投入し、高速で駆動させる場合においても、大電流を導電性補助部材に流すことができ、外部電極4に流れる電流を低減できることから、外部電極4が局所発熱を起こし断線することを防ぐことができ、耐久性を大幅に向上させることができる。
なお、導電性補助部材はアクチュエータの伸縮に追従し、駆動中に該導電性補助部材の断線を防ぐ点、および、外部電極4にクラックが生じるのを防ぐという点から、金属等のメッシュ若しくはメッシュ状の金属板が好ましく、前記導電性補助部材を外部電極4に埋設しても良い。
さらに、外部電極4は高温で駆動させる場合においても劣化しないという点から、高耐熱を有するポリイミド樹脂に導電を分散させたものを使用できる。
本発明の積層型圧電素子はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。
例えば、上記例では、柱状積層体1aの対向する側面に外部電極4を形成した例について説明したが、本発明では、例えば隣設する側面に外部電極を形成してもよい。
図3は、本発明の噴射装置を示すもので、図において符号31は収納容器を示している。
この収納容器31の一端には噴射孔33が設けられ、また収納容器31内には、噴射孔33を開閉することができるニードルバルブ35が収容されている。
噴射孔33には燃料通路37が連通可能に設けられ、この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給されている。
従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が一定の高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるように形成されている。
また、ニードルバルブ35の上端部は直径が大きくなっており、収納容器31に形成されたシリンダ39と摺動可能なピストン41となっている。
そして、収納容器31内には、上記した圧電アクチュエータ43が収納されている。
このような噴射装置では、圧電アクチュエータ43が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41が押圧され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると圧電アクチュエータ43が収縮し、皿バネ45がピストン41を押し返し、噴射孔33が燃料通路37と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
まず、柱状積層体を作製した。圧電体は厚み150μmのPZTで形成し、内部電極は厚み3μmの銀−パラジウム合金によって形成し、圧電体及び内部電極の各々の積層数は300層とした。
次に、外部電極形成面に露出した内部電極の端部近傍に、内部電極一層おきに深さ150μm、幅75μmの凹溝をダイシング装置により形成した。その後、凹溝間における内部電極およびこの内部電極の近傍の圧電体表面に、平均粒径5μmの銀粉末60体積%と、残部が平均粒径5μmでケイ素を主成分とする軟化点が750℃のガラス粉末40体積%からなる混合物にバインダーを加えて作製した銀ガラス導電性ペーストを塗布、乾燥した。その後、大気中900℃で熱処理することにより、柱状積層体の側面から突出する突起状導電性端子を形成した。
次に、凹溝の開口部に遮蔽物として紙を配置し、凹溝内に銀ガラス導電性ペーストが浸入しないようにした後、突起状導電性端子が形成された柱状積層体側面に平均粒径3μmの銀粉末85体積%と残部が粒径5μmで軟化点が850℃のガラス粉末15体積%からなる混合物にバインダーを加えて作製した銀ガラス導電性ペーストを塗布、乾燥し、6
50℃で焼き付けすることにより、銀とガラスが分散した導電性ペーストにて外部電極を形成した。
なお、突起状導電性端子には、銀とパラジウムが分散していた。また、このときの、突起状導電性端子の高さhは平均で20μmで、該突起状導電性端子に接続する部分の内部電極2の端部2aの厚みは5μm、柱状積層体中央部の内部電極2の厚みは2μmであった。
その後、凹溝に樹脂製絶縁体としてシリコーンゴムを真空引きすることにより充填した。
さらに、外部電極にリード線を接続し、正極及び負極の外部電極にリード線を介して3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行い、図1に示すような積層型圧電アクチュエータを作製した。
得られた積層型圧電アクチュエータに150Vの直流電圧を印加した結果、積層方向に40μmの変位量が得られた。さらに、このアクチュエータに室温で0〜+150Vの交流電圧を120Hzの周波数にて印加し駆動試験を行った結果、1×10 サイクルまで駆動したところ40μmの変位量が得られ、外部電極の異常は見られなかった。
一方、比較例として、内部電極の一方の端部を左右交互にガラスからなる絶縁体で被覆し、その上から上記した銀ガラス導電性ペーストを塗布して700℃で熱処理を行い、外部電極が内部電極と左右各々一層おきに導通した図4に示すアクチュエータを作製し、上記と同様の試験を行ったところ、駆動試験で1×10 サイクルで外部電極にスパークが発生した。
本発明の積層型圧電素子を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A’線に沿った縦断面図、(c)は(b)の一部を拡大して示す断面図である。 本発明の積層型圧電素子の製法を説明するための工程図である。 本発明の噴射装置を示す断面図である。 従来の積層型圧電アクチュエータの縦断面図である。
符号の説明
1・・・圧電体
1a・・・柱状積層体
2・・・内部電極
2a・・・内部電極の端部
2b・・・内部電極の中央部
3・・・樹脂製絶縁体
4・・・外部電極
5・・・突起状導電性端子
11・・・凹溝
31・・・収納容器
33・・・噴射孔
35・・・バルブ
43・・・圧電アクチュエータ

Claims (2)

  1. 複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層した柱状積層体を有し、該柱状積層体の2つの側面に一対の外部電極がそれぞれ形成された積層型圧電素子の製造方法であって、前記複数の内部電極の端部が前記2つの側面に交互に露出した柱状積層体を作製する工程と、
    前記柱状積層体の側面に露出した前記内部電極の端部間に凹溝を形成する工程と、
    前記柱状積層体の側面における少なくとも前記内部電極の端部が露出した部分に、導電性金属粉末50〜80体積%とガラス粉末20〜50体積%とを含む導電性ペーストを塗布する工程と、
    前記柱状積層体の側面に塗布された前記導電性ペーストを加熱し、前記内部電極の端部に前記柱状積層体の側面から突出する突起状導電性端子を形成する工程と、
    前記凹溝の開口部を遮蔽するための遮蔽物を配置する工程と、
    前記柱状積層体の前記2つの側面に導電性ペーストを塗布し、加熱して前記外部電極を形成する工程と、を備えたことを特徴とする積層型圧電素子の製造方法。
  2. 圧電体と内部電極とを交互に積層してなる柱状積層体と、該柱状積層体の側面に設けられ、前記内部電極が一層おきに交互に電気的に接続された一対の、導電材とガラスとからなる導電性ペーストを焼き付けしてなる外部電極とを具備してなり、前記内部電極の端部に一層おきに前記柱状積層体の側面から突出する突起状導電性端子を設け、隣り合う突起状導電性端子間における前記柱状積層体の側面には、底面に前記内部電極端が露出し内部に樹脂製絶縁体が充填された凹溝形成した積層型圧電素子であって、前記突起状導電性端子を前記導電性ペースト中の成分を前記内部電極の端部に集合させて前記柱状積層体の側面から突出して形成するとともに前記凹溝を前記柱状積層体の側面側よりも前記凹溝の底面側の方が厚くなるように変形させ、前記内部電極の端部の厚みを該内部電極の端部に前記導電性ペースト中の成分を拡散させることによって前記内部電極の中央部よりも厚くし、前記ガラスを前記突起状導電性端子の根元部に集合させて、前記突起状導電性端子を保持させたことを特徴とする積層型圧電素子。
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