JP3909274B2 - 積層型圧電素子及び噴射装置 - Google Patents

積層型圧電素子及び噴射装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3909274B2
JP3909274B2 JP2002245838A JP2002245838A JP3909274B2 JP 3909274 B2 JP3909274 B2 JP 3909274B2 JP 2002245838 A JP2002245838 A JP 2002245838A JP 2002245838 A JP2002245838 A JP 2002245838A JP 3909274 B2 JP3909274 B2 JP 3909274B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
internal electrode
thickness
conductive
piezoelectric element
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002245838A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004087728A (ja
Inventor
成信 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2002245838A priority Critical patent/JP3909274B2/ja
Publication of JP2004087728A publication Critical patent/JP2004087728A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3909274B2 publication Critical patent/JP3909274B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型圧電素子及び噴射装置に関し、例えば、自動車用燃料噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動素子等に用いられる積層型圧電素子及び噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来より、積層型圧電素子としては、圧電体と内部電極を交互に積層した積層型圧電アクチュエータが知られている。積層型圧電アクチュエータには、同時焼成タイプと、圧電磁器と内部電極板を交互に積層したスタックタイプとの2種類に分類されており、低電圧化、製造コスト低減の面から考慮すると、同時焼成タイプの積層型圧電アクチュエータが薄層化に対して有利であるために、その優位性を示しつつある。
【0003】
図6は、従来の積層型圧電アクチュエータを示すもので、このアクチュエータでは、圧電体51と内部電極52が交互に積層されて柱状積層体53が形成され、その積層方向における両端面には不活性層55が積層されている。内部電極52は、その一方の端部が左右交互に絶縁体61で被覆され、その上から帯状外部電極70が内部電極52と左右各々一層おきに導通するように形成されている。帯状外部電極70上には、さらにリード線76が半田77により固定されている。
【0004】
ところで、近年においては、小型の圧電アクチュエータで大きな圧力下において大きな変位量を確保するため、より高い電界を印加し、長期間連続駆動させることが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した圧電アクチュエータでは、高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合、圧電体51間に形成された内部電極52と、正極、負極用の外部電極70との間で剥離が発生し、一部の圧電体51に電圧供給されなくなり、駆動中に変位特性が変化するという問題があった。
【0006】
また、特開平7−283451号公報や特開平8−51240号公報などには、一層おきの内部電極の端部にメッキにより導電性凸部を形成することが開示されているが、柱状積層体中央部における内部電極の厚みと、内部電極端部の厚みは同等の厚みであるため、柱状積層体内の内部電極端と導電性凸部との接合強度が弱く、駆動中に前記導電性凸部と内部電極端部が剥離し、圧電体の一部に電圧が供給されなくなり、変位特性が低下するといった問題があった。
【0007】
本発明は、高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合でも、外部電極と内部電極とが断線することがなく、耐久性に優れた積層型圧電素子及び噴射装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型圧電素子は、複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層してなる柱状積層体と、該柱状積層体の側面に設けられ、前記内部電極が一層おきに交互に接続された一対の外部電極とを具備してなる積層型圧電素子であって、前記柱状積層体の側面から突出し、根元部が前記内部電極の端部に接続され、先端が前記外部電極に接続された突起状導電性端子を備え、前記内部電極の厚みは、該内部電極の幅方向の中央部よりも前記突起状導電性端子に接続された前記端部の方が厚く、前記端部付近の厚みは、該端部に向かうにつれて積層方向両側に漸次増加していることを特徴とする。
【0009】
本発明の積層型圧電素子では、柱状積層体の側面から突出し、根元部が内部電極の端部に接続され、先端が外部電極に接続された突起状導電性端子を備えているので、積層型圧電素子が積層方向に駆動すると、突起状導電性端子が変形してアクチュエータの伸縮によって生じる応力を吸収できる。また、内部電極の厚みは、該内部電極の幅方向の中央部よりも突起状導電性端子に接続された端部の方が厚く、端部付近の厚みは、該端部に向かうにつれて積層方向両側に漸次増加しているので、内部電極端部と突起状導電性端子との接合部の面積を大きくすることができる。これにより、内部電極と突起状導電性端子の接続を強固にできるため、高電界、高圧力下で長期間連続運転させた場合でも、外部電極と内部電極との断線を抑制することができ、耐久性を大幅に向上できる。
【0010】
本発明では、ガラスを主成分とするガラス領域が、前記突起状導電性端子の根元部の側面及び該側面につづく前記柱状積層体の側面を覆っているときには、このガラス領域が突起状導電性端子5を保持することになるので、突起状導電性端子の強度を向上させることができる。
【0011】
本発明におけるガラス領域が、柱状積層体の側面に垂直な方向の厚みが突起状導電性端子から離隔するにつれて漸次減少しているときには、ガラス領域の表面がなだらかに傾斜面となるので、ガラス領域の一部に応力が集中するのを防止することができる。
【0012】
本発明では、外部電極が形成される柱状積層体の側面における突起状導電性端子間には、内部電極端が露出する凹溝が形成されており、凹溝における柱状積層体の積層方向の厚みが、柱状積層体の側面側よりも前記凹溝の底面側の方が厚いことが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の噴射装置は、噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内に収容された上記積層型圧電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備するものである。
【0014】
このような噴射装置では、上記したように、積層型圧電素子自体において外部電極と内部電極との断線を抑制でき、耐久性を大幅に向上できるため、噴射装置の耐久性をも向上できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の積層型圧電アクチュエータからなる積層型圧電素子の一形態を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A’線に沿った縦断面図、(c)は(a)の一部を拡大して示す斜視図、(d)は内部電極と外部電極の接合部近傍の拡大図である。
【0016】
積層型圧電アクチュエータは、図1に示すように、複数の圧電体1と複数の内部電極2とを交互に積層してなる四角柱状の柱状積層体1aの側面において、内部電極2の端部を一層おきに絶縁体3で被覆し、絶縁体3で被覆していない内部電極2の端部に、積層型圧電素子の伸縮方向に変形可能な突起状導電性端子5を設け、該突起状導電性端子5の先端部に板状導電部材4aからなる外部電極4を接合し、各外部電極4にリード線6を半田により接続固定して構成されている。リード線6は外部電極4を外部の電圧供給部に接続する作用をなす。
【0017】
圧電体1は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3(以下PZTと略す)、或いはチタン酸バリウムBaTiO3を主成分とする圧電セラミックス材料等で形成されている。この圧電セラミックスは、その圧電特性を示す圧電歪み定数d33が高いものが望ましい。
【0018】
また、圧電体1の厚み、つまり内部電極2間の距離は50〜250μmが望ましい。これは、積層型圧電アクチュエータは電圧を印加してより大きな変位量を得るために、積層数を増加させる方法がとられるが、積層数を増加させた場合に圧電体1の厚みが厚すぎるとアクチュエータの小型化、低背化ができなくなり、一方、圧電体1の厚みが薄すぎると絶縁破壊しやすいからである。
【0019】
圧電体1の間には内部電極2が配されているが、この内部電極2は銀−パラジウム等の金属材料で形成されており、各圧電体1に所定の電圧を印加し、圧電体1に逆圧電効果による変位を起こさせる作用をなす。
【0020】
また、突起状導電性端子5が形成された柱状積層体1aの側面には、内部電極2一層おきに凹溝11が形成されており、この凹溝11の底面には内部電極2端が露出している。凹溝11内にはガラス、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーンゴム等が充填されて絶縁体3が形成されている。この絶縁体3は、柱状積層体1aの変位に対して追従する弾性率が低い材料、具体的にはシリコーンゴム等からなることが好適である。
【0021】
突起状導電性端子5と凹溝11内の絶縁体3は、外部電極4が形成される柱状積層体1aの側面に露出した内部電極2の端部に交互に形成されている。
【0022】
即ち、凹溝11内に充填された絶縁体3により内部電極2の端部が互い違いに一層おきに絶縁され、内部電極2の絶縁されていない他方の端部は、突起状導電性端子5を介して板状導電部材4aからなる外部電極4と接合されている。
【0023】
柱状積層体1aの対向する側面にはそれぞれ板状導電部材4aからなる外部電極4が突起状導電性端子5を介して接続固定されており、各々の外部電極4には、積層されている内部電極2が一層おきに電気的に接続されている。この板状導電部材4aからなる外部電極4は、接続されている各内部電極2に圧電体1を逆圧電効果により変位させるに必要な電圧を共通に供給する作用をなす。
【0024】
このように板状導電部材4aからなる外部電極4が突起状導電性端子5を介して内部電極2端部と接続されているため、アクチュエータを高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合でも、突起状導電性端子5がアクチュエータの伸縮によって生じる応力を吸収し、該外部電極4と内部電極2の断線を抑制することができ、耐久性に優れたアクチュエータを提供することができる。
【0025】
突起状導電性端子5の積層方向と同一方向の厚みBは、図1(c)に示すように、外部電極4と内部電極2との接続部の抵抗を低くし、且つアクチュエータの駆動時に生じる応力を十分に吸収するという点から、1μm以上且つ圧電体1厚みの1/2以下であることが望ましい。特には、厚みBは5〜25μmが望ましい。
【0026】
また、突起状導電性端子5の突出高さhは、アクチュエータの伸縮によって生じる応力を十分に吸収するという点から、圧電体1厚みの1/20以上であることが望ましい。特には突出高さhは、15〜50μmが望ましい。
【0027】
さらに、板状導電部材4aの厚みtは、アクチュエータの伸縮に追従し、外部電極4と突起状導電性端子5の間、若しくは突起状導電性端子5と内部電極2の間で断線を生じないという点から、50μm以下であることが望ましい。
【0028】
また、突起状導電性端子5は、銀、ニッケル、銅、金、アルミニウム、等の導電性を備えた金属及びそれらの合金からなり、アクチュエータの伸縮によって生じる応力を十分に吸収するという点から、ヤング率の低い銀、若しくは銀が主成分の合金が望ましい。
【0029】
さらに、板状導電部材4aは、銀、ニッケル、銅、金、アルミニウム、等の導電性を備えた金属及びそれらの合金からなり、このうち、突起状導電性端子5との接合強度が強く、ヤング率が低いという点から、銀、若しくは銀が主成分の合金が望ましい。
【0030】
そして、本発明では、突起状導電性端子5と接続する内部電極2の端部2aの厚みは、柱状積層体1a中央部の内部電極2(内部電極2の中央部2b)の厚みよりも厚くされている。この突起状導電性端子5と接続する内部電極2の端部2aの厚みは、内部電極2と突起状導電性端子5の接続を有効的に強固にするという点から、内部電極2の中央部2bの厚みの1.3倍以上であることが望ましい。
【0031】
尚、凹溝11を形成しない場合であってもよいが、上記したように、突起状導電性端子5が形成された柱状積層体1aの側面において、突起状導電性端子5が形成されていない内部電極2の端部に凹溝11が形成されていることが望ましい。これは、突起状導電性端子5に接続する内部電極2の端部2aの厚みを有効的に厚くすることができるため、即ち、後述する突起状導電性端子5が形成される過程において、凹溝11部が変形し、凹溝11の外部電極4側の開口幅が積層方向に狭まることにより、突起状導電性端子5が接続される内部電極2の端部2aを厚くすることができるからである。
【0032】
また、凹溝11は、凹溝11間の凸状となった圧電体1及び内部電極2部の強度を損なうことなく、有効的に凹溝11が変形して、突起状導電性端子5に接続する内部電極2の端部2aの厚みを厚くすることができるという点から、深さを50〜500μm、積層方向の幅を圧電体1厚みの1/3〜2/3にすることが望ましい。
【0033】
本発明の積層型圧電素子の製法について説明する。まず、柱状積層体1aを作製する。複数の圧電体1と複数の内部電極2とを交互に積層して成る柱状積層体1aは、PZT等の圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系、ブチラール系等の有機高分子から成るバインダーと、DBP(フタル酸ジオチル)、DOP(フタル酸ジブチル)等の可塑剤とを混合してスラリーを作製し、該スラリーを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成型法により圧電体1となるセラミックグリーンシートを作製する。
【0034】
次に、銀−パラジウム粉末にバインダー、可塑剤等を添加混合して導電性ペーストを作製し、これを前記各グリーンシートの上面にスクリーン印刷等によって1〜40μmの厚みに印刷する。
【0035】
そして、上面に導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを積層し、この積層体について所定の温度で脱バインダーを行った後、900〜1200℃で焼成することによって作製される。
【0036】
その後、図2(a)に示すようにダイシング装置等により柱状積層体1aの側面に一層おきに凹溝11を形成する。
【0037】
次に、図2(b)に示すように、凹溝11間における柱状積層体1aの露出した内部電極2およびこの内部電極2の近傍の圧電体1表面に、粒径0.1〜10μmの銀粉末を50〜80体積%と、残部が粒径0.1〜10μmでケイ素を主成分とする軟化点が600〜950℃のガラス粉末20〜50体積%からなる混合物にバインダーを加えて作製した銀ガラス導電性ペースト21を塗布、乾燥する。
【0038】
さらに、図2(c)に示すように、塗布した銀ガラス導電性ペースト21に板状導電部材4aを押圧するように荷重を加えた状態で700〜950℃で熱処理することにより、銀ガラス導電性ペースト21中のガラスが溶融し、図2(d)に示すように、溶融したガラス中に存在する銀成分が内部電極2の端部に集合し、柱状積層体1aの側面から突出する突起状導電性端子5が形成されるとともに、該突起状導電性端子5の先端部を板状導電部材4aに接合することができる。このとき、銀ガラス導電性ペースト21中の銀成分が内部電極2の端部2aに拡散していき、内部電極2の端部2aの厚みが内部電極2の中央部2bの厚みよりも厚くなる。尚、銀ガラス導電性ペースト21中のガラス5aは、突起状導電性端子5の根元部に集合し、突起状導電性端子5を保持することになる。
【0039】
即ち、ペーストにガラス成分を分散させておくことにより、上述の熱処理時ににガラスが軟化し、この状態において圧電体1には拡散しにくい銀が内部電極2の端部に拡散して寄り集まるため、図2(d)に示すような突起状導電性端子5を形成できる。特に、本発明では、凹溝11を形成した後に、銀ガラス導電ペースト21を塗布、熱処理することにより、内部電極2の端部2aの厚みを柱状積層体1a中央部における内部電極2の厚みよりも厚くできる。このように、内部電極2の端部2aの厚みが大きくなるため、その先端に形成される突起状導電性端子5との接合強度が大きくなる。尚、銀ガラス導電性ペースト21の熱処理後に凹溝11を形成し、再度熱処理することによっても内部電極2の端部2aの厚みを柱状積層体1a中央部における内部電極2の厚みよりも厚くできる。
【0040】
内部電極2の端部2aと柱状積層体1a中央部における内部電極2の厚み比率は、熱処理温度、及び銀ガラス導電性ペースト21中の銀の含有量を変化させることにより制御することができる。
【0041】
この突起状導電性端子5は柱状積層体1aの側面の一部に形成されており、レール状に形成され、その長さは板状導電部材4aからなる外部電極4の幅とほぼ同一とされている。尚、突起状導電性端子5の長さは、外部電極4の幅よりも短くても良い。
【0042】
銀ガラス導電性ペースト21中の銀粉末を50〜80体積%、残部のガラス粉末を20〜50体積%としたのは、この範囲内とすることにより、突起状導電端子5を構成する銀成分が適量となり、形成される突起状導電性端子5の突出高さhを高くできるとともに、銀ガラス導電性ペースト21中の固形分残部であるガラス成分が適量となるため、該銀ガラス導電性ペースト21の焼き付け時に溶融するガラス成分も適量であり、銀成分が内部電極2端部に容易に集合し、突起状導電性端子5の突出高さhを高くできる。
【0043】
なお、上述の突起状導電性端子5の形成と、該突起状導電性端子5と板状導電部材4aの接合の熱処理時に加える荷重は圧力にして、2〜500kPaが望ましい。この範囲とすることにより、突起状導電性端子5と板状導電部材4aとの間で拡散接合を十分に行うことができ、接合部の強度を高くできるとともに、圧力が適度となるため、突起状導電性端子5の変形を防止できる。
【0044】
尚、予め、柱状積層体1aの凹溝11以外の柱状積層体1aに露出した内部電極2、およびこの内部電極2の近傍の圧電体1表面に対応する板状導電部材4aの部分、即ち凹溝11間の凸部に対応する板状導電部材4aの部分に、銀ガラス導電性ペースト21を塗布乾燥し、この板状導電部材4aを柱状積層体1aに押圧するように荷重を加えた状態で熱処理してもよい。
【0045】
また、板状導電部材4aの全面に銀ガラス導電性ペースト21を塗布乾燥し、この板状導電部材4aの導電性ペースト塗布面側を柱状積層体1aの内部電極2が露出した面に押圧し、熱処理することにより突起状導電性端子5を形成するとともに、その先端部を板状導電部材4aに接続することができる。この場合にはさらに工程を短縮することができる。
【0046】
その後、凹溝11内にシリコーンゴムからなる絶縁体3を充填し、リード線6を接続することにより本発明の積層型圧電素子が完成する。
【0047】
そして、リード線6を介して一対の外部電極4に0.1〜3kV/mmの直流電圧を印加し、柱状積層体1aを分極処理することによって、製品としての積層型圧電アクチュエータが完成し、リード線6を外部の電圧供給部に接続し、リード線6及び外部電極4を介して内部電極2に電圧を印加させれば、各圧電体1は逆圧電効果によって大きく変位し、これによって例えばエンジンに燃料を噴射供給する自動車用燃料噴射弁として機能する。
【0048】
以上のように構成された積層型圧電素子は、板状導電部材4aからなる外部電極4が突起状導電性端子5を介して内部電極2と接続されているため、アクチュエータを高電界下、連続で駆動させた場合でも、突起状導電性端子5が変形して突起状導電性端子5が駆動時に生じる応力を十分に吸収できるため、外部電極4と内部電極2との間でスパークが生じるといった問題を防ぐことができ、高信頼性のアクチュエータを提供することができる。
【0049】
さらに、本発明では、図3に示すように、板状導電部材4aからなる外部電極4の外側に導電性補助部材7を形成しても良い。この場合には、板状導電部材4aの外面に導電性補助部材7を設けることによりアクチュエータに大電流を投入し、高速で駆動させる場合においても、大電流を導電性補助部材7に流すことができ、外部電極4に流れる電流を低減できるという理由から、外部電極4が局所発熱を起こし断線することを防ぐことができ、耐久性を大幅に向上させることができる。
【0050】
なお、導電性補助部材7はアクチュエータの伸縮に追従し、駆動中に該導電性補助部材7の断線を防ぐ点から、フレキシブルな導電性接着剤7aによって形成されていることが好ましい。また、導電性接着剤7aにクラックが生じるのを防ぐという点から、金属等のメッシュ若しくはメッシュ状の金属板を該導電性接着剤7aに埋設しても良い。
【0051】
さらに、前記導電性接着剤7aは高温で駆動させる場合においても劣化しないという点から、高耐熱を有するポリイミド樹脂に導電剤を分散させたものが望ましい。
【0052】
また、本発明では、図4(a)、(b)、(c)に示すように、導電性コイル7b、若しくは導電性波板7c、若しくは導電性繊維集合体(ウール状)7dにより導電性補助部材7を形成しても良い。この場合には、導電性補助部材7がアクチュエータの伸縮に追従することができ、駆動中に該導電性補助部材7が断線したり、該導電性補助部材7と外部電極4との間に応力を生じ、該導電性補助部材7が剥離するといった問題を防ぐことができ、耐久性を大きく向上させることができる。なお、前記導電性補助部材7と外部電極4との接続は、ロウ材による接合や、導電性接着剤による接合が好ましい。
【0053】
導電性補助部材7としては、抵抗値及びヤング率が低く、伸縮性に富み、また、アクチュエータの断面積を小さくできるという点から、材質が銀の導電性波板7cが望ましい。
【0054】
尚、上記例では、柱状積層体1aの対向する側面に外部電極4を形成した例について説明したが、本発明では、例えば隣設する側面に一対の外部電極を形成してもよい。
【0055】
図5は、本発明の噴射装置を示すもので、図において符号31は収納容器を示している。この収納容器31の一端には噴射孔33が設けられ、また収納容器31内には、噴射孔33を開閉することができるニードルバルブ35が収容されている。
【0056】
噴射孔33には燃料通路37が連通可能に設けられ、この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が一定の高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるように形成されている。
【0057】
また、ニードルバルブ35の上端部は直径が大きくなっており、収納容器31に形成されたシリンダ39と摺動可能なピストン41となっている。そして、収納容器31内には、上記した圧電アクチュエータ43が収納されている。
【0058】
このような噴射装置では、圧電アクチュエータ43が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41が押圧され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると圧電アクチュエータ43が収縮し、皿バネ45がピストン41を押し返し、噴射孔33が燃料通路37と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
【0059】
【実施例】
まず、柱状積層体を作製した。圧電体は厚み150μmのPZTで形成し、内部電極は厚み3μmの銀−パラジウム合金によって形成し、圧電体及び内部電極の各々の積層数は300層とした。
【0060】
次に、外部電極形成面に露出した内部電極の端部近傍に、内部電極一層おきに深さ150μm、幅75μmの凹溝を形成した。その後、凹溝間における内部電極およびこの内部電極の近傍の圧電体表面に、平均粒径5μmの銀粉末を60体積%と、残部が平均粒径5μmでケイ素を主成分とする軟化点が750℃のガラス粉末40体積%からなる混合物にバインダーを加えて作製した銀ガラス導電性ペーストを塗布、乾燥した。
【0061】
さらに、この銀ガラス導電性ペーストに銀からなる厚み25μmの板状導電部材を30kPaで押圧した状態で900℃で2時間熱処理を行い、柱状積層体から突出する突起状導電性端子を形成するとともに、該突起状導電性端子の先端部を前記板状導電部材に連結した。
【0062】
その後、凹溝部に絶縁体としてシリコーンゴムを充填し、板状導電部材の外側には、ポリイミド樹脂に銀を分散させたフレキシブルな導電性接着剤にニッケルよりなるメッシュ状の板を埋設した導電性補助部材を形成した。さらに、前記導電性補助部材にリード線を接続し、正極及び負極の外部電極にリード線を介して3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行い、図3に示すような積層型圧電アクチュエータを作製した。
【0063】
なお、突起状導電性端子には、銀とパラジウムが分散していた。また、このときの、突起状導電性端子の高さは平均で20μmで、該突起状導電性端子に接続する部分の内部電極端部の厚みは5μm、柱状積層体中央部の内部電極厚みは2μmであった。内部電極端部の厚みに対する、柱状積層体中央部における内部電極の厚みの比率は2.5倍であった。
【0064】
得られた積層型圧電アクチュエータに150Vの直流電圧を印加した結果、積層方向に40μmの変位量が得られた。さらに、このアクチュエータに室温で0〜+150Vの交流電圧を120Hzの周波数にて印加し駆動試験を行った結果、1×109サイクルまで駆動したところ40μmの変位量が得られ、外部電極の異常は見られなかった。
【0065】
また、銀ガラス導電性ペーストの熱処理時間を1時間とする以外は、上記と同様にして積層型圧電アクチュエータを作製したところ、内部電極端部の厚みは2.6μm、柱状積層体中央部の内部電極厚みは2μmであり、内部電極端部の厚みに対する、柱状積層体中央部における内部電極の厚みの比率は1.3倍であった。
【0066】
このアクチュエータについても上記と同様にして駆動試験を行った結果、1×109サイクルまで駆動したところ40μmの変位量が得られ、外部電極の異常は見られなかった。
【0067】
一方、比較例として、内部電極の一方の端部を左右交互にガラスからなる絶縁体で被覆し、その上から上記した銀ガラス導電性ペーストを塗布して700℃で熱処理を行い、外部電極が内部電極と左右各々一層おきに導通した図6に示すアクチュエータを作製し、上記と同様の試験を行ったところ、駆動試験で1×105サイクルで外部電極にスパークが発生した。
【0068】
【発明の効果】
本発明の積層型圧電素子によれば、内部電極の端部が一層おきに柱状積層体の側面から突出し、各々が外部電極によって連結されている突起状導電性端子を設けるとともに、該突起状導電性端子に接続される内部電極端部の厚みを柱状積層体中央部における内部電極の厚みよりも厚くしたので、積層型圧電素子の伸縮によって生じる応力を十分に吸収することができ、外部電極と内部電極の間の接点不良や、外部電極が断線するといった問題を防ぐことができ、高信頼性を備えた積層型圧電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電素子を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A’線に沿った縦断面図、(c)は(a)の一部を拡大して示す斜視図、(d)は(b)の一部を拡大して示す断面図である。
【図2】本発明の積層型圧電素子の製法を説明するための工程図である。
【図3】導電性補助部材を形成した積層型圧電素子を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A’線断面図である。
【図4】(a)はコイル状の導電性補助部材、(b)は波板状の導電性補助部材、(c)はウール状の導電性補助部材を用いた場合の本発明の積層型圧電素子の縦断面図である。
【図5】本発明の噴射装置を示す説明図である。
【図6】従来の積層型圧電アクチュエータの縦断面図である。
【符号の説明】
1・・・圧電体
1a・・・柱状積層体
2・・・内部電極
2a・・・内部電極の端部
2b・・・内部電極の中央部
4・・・外部電極
4a・・・板状導電部材
5・・・突起状導電性端子
5a・・・ガラス
11・・・凹溝
31・・・収納容器
33・・・噴射孔
35・・・バルブ
43・・・圧電アクチュエータ

Claims (5)

  1. 複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層してなる柱状積層体と、該柱状積層体の側面に設けられ、前記内部電極が一層おきに交互に接続された一対の外部電極とを具備してなる積層型圧電素子であって、前記柱状積層体の側面から突出し、根元部が前記内部電極の端部に接続され、先端が前記外部電極に接続された突起状導電性端子を備え、前記内部電極の厚みは、該内部電極の幅方向の中央部よりも前記突起状導電性端子に接続された前記端部の方が厚く、前記端部付近の厚みは、該端部に向かうにつれて積層方向両側に漸次増加していることを特徴とする積層型圧電素子。
  2. ガラスを主成分とするガラス領域が、前記突起状導電性端子の根元部の側面及び該側面につづく前記柱状積層体の側面を覆っていることを特徴とする請求項1記載の積層型圧電素子。
  3. 前記ガラス領域は、前記柱状積層体の側面に垂直な方向の厚みが、前記突起状導電性端子から離隔するにつれて漸次減少していることを特徴とする請求項2記載の積層型圧電素子。
  4. 前記外部電極が形成される前記柱状積層体の側面における前記突起状導電性端子間には、内部電極端が露出する凹溝が形成されており、前記凹溝は、前記柱状積層体の積層方向の厚みが、前記柱状積層体の側面側よりも前記凹溝の底面側の方が厚いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層型圧電素子。
  5. 噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内に収容された請求項1乃至4のいずれかに記載の積層型圧電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする噴射装置。
JP2002245838A 2002-08-26 2002-08-26 積層型圧電素子及び噴射装置 Expired - Fee Related JP3909274B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002245838A JP3909274B2 (ja) 2002-08-26 2002-08-26 積層型圧電素子及び噴射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002245838A JP3909274B2 (ja) 2002-08-26 2002-08-26 積層型圧電素子及び噴射装置

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006086267A Division JP4498299B2 (ja) 2006-03-27 2006-03-27 積層型圧電素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004087728A JP2004087728A (ja) 2004-03-18
JP3909274B2 true JP3909274B2 (ja) 2007-04-25

Family

ID=32053912

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002245838A Expired - Fee Related JP3909274B2 (ja) 2002-08-26 2002-08-26 積層型圧電素子及び噴射装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3909274B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004087728A (ja) 2004-03-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7705525B2 (en) Multi-layer piezoelectric element and method for manufacturing the same
US6700306B2 (en) Laminated piezo-electric device
JP4808915B2 (ja) 積層型圧電素子及び噴射装置
JP2001210884A (ja) 積層型圧電アクチュエータ
JP3667289B2 (ja) 積層型圧電素子及びその製法並びに噴射装置
JP3730893B2 (ja) 積層型圧電素子及びその製法並びに噴射装置
JP3860746B2 (ja) 積層型圧電素子及び噴射装置
JP4290946B2 (ja) 積層型圧電素子及び噴射装置
JP4480371B2 (ja) 積層型圧電素子及び噴射装置
JP3598057B2 (ja) 積層型圧電素子および噴射装置
JP2001244514A (ja) 積層型圧電アクチュエータおよびこれを用いた噴射装置
JP4498300B2 (ja) 積層型圧電素子の製造方法及び積層型圧電素子
JP2001210886A (ja) 積層型圧電アクチュエータ
JP4737799B2 (ja) 積層型圧電アクチュエータおよび噴射装置
JP2002289932A (ja) 積層型圧電素子及びその製法並びに噴射装置
JP3909274B2 (ja) 積層型圧電素子及び噴射装置
JP3909275B2 (ja) 積層型圧電素子及び噴射装置
JP4841046B2 (ja) 積層型圧電素子及び噴射装置
JP3909276B2 (ja) 積層型圧電素子及び噴射装置
JP3872349B2 (ja) 積層型圧電素子の製法
JP4290947B2 (ja) 積層型圧電素子及び噴射装置
JP4498299B2 (ja) 積層型圧電素子の製造方法
JP3990613B2 (ja) 積層型圧電素子及び噴射装置
JP2002261340A (ja) 積層型圧電素子および噴射装置
JP2003282984A (ja) 積層型圧電素子とその製造方法およびそれを用いた噴射装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050104

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060327

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060912

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061109

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110126

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110126

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120126

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120126

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130126

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140126

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees