JP2002289932A - 積層型圧電素子及びその製法並びに噴射装置 - Google Patents

積層型圧電素子及びその製法並びに噴射装置

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JP2002289932A
JP2002289932A JP2001083751A JP2001083751A JP2002289932A JP 2002289932 A JP2002289932 A JP 2002289932A JP 2001083751 A JP2001083751 A JP 2001083751A JP 2001083751 A JP2001083751 A JP 2001083751A JP 2002289932 A JP2002289932 A JP 2002289932A
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JP2001083751A
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Takeshi Setoguchi
剛 瀬戸口
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】不活性体と活性体の焼成時の収縮差によるクラ
ック発生を抑制できると共に、駆動時における不活性体
と活性体の界面近傍の応力破壊を防止することができる
積層型圧電素子及びその製法並びに噴射装置を提供す
る。 【解決手段】複数の圧電体1と複数の内部電極2とを交
互に積層してなる活性体3aと、該活性体3aの上下面
にそれぞれ設けられた不活性体3bとからなる柱状積層
体3の側面に、内部電極2が一層おきに交互に接続する
一対の外部電極5を設けてなるとともに、活性体3a及
び不活性体3bが同時焼成される積層型圧電素子であっ
て、内部電極2中に圧電体1を構成する圧電セラミック
粒子が存在するとともに、活性体3aの不活性体3b側
における内部電極2中の圧電セラミック粒子の存在量
が、活性体3aの中央部における内部電極2よりも多
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層型圧電素子及
びその製法並びに噴射装置に係わり、例えば、光学装置
等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動素子、自動車
用エンジンの燃料噴射用の駆動素子等に使用される積層
型圧電素子及びその製法並びに噴射装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来技術】従来、圧電体は、電圧を印加することによ
り伸縮する逆圧電効果を有している。しかしながら、圧
電体1枚1枚の伸縮量は微量であることから、圧電体を
複数枚積層して形成した積層型圧電素子を作製してい
た。この積層型圧電素子は、圧電体に電圧を印加して数
〜数十μm伸長させ、アクチュエータの駆動力源とする
ものである。
【0003】このような積層型圧電アクチュエータに
は、同時焼成タイプと、圧電板と電極薄板を交互に積層
したスタックタイプの2種類に分類されており、厚みの
薄い圧電板を多数枚積層することが比較的容易であるこ
とから、低電圧高変位化及び小型化が可能な同時焼成タ
イプの積層型圧電アクチュエータがその優位性を示しつ
つある。
【0004】このような同時焼成タイプの積層型圧電ア
クチュエータでは、活性体の積層方向の両端面に不活性
体を設けており、不活性体を介して活性体より発生した
変位を外部に伝達している。この不活性体には、従来か
ら活性体と同じ圧電材料が用いられている(実開昭61
−127657号公報)。
【0005】従来、同時焼成タイプの積層型圧電アクチ
ュエータは、複数の圧電体成形体と複数の内部電極パタ
ーンとを交互に積層してなる活性体成形体と、該活性体
成形体の上下面にそれぞれ設けられた不活性体成形体と
からなる柱状積層体成形体を焼成し、該柱状積層体の側
面に外部電極を設けて作製されていた。圧電体成形体を
形成する圧電材料としては、PZTを主成分とする圧電
セラミック粉末が用いられ、内部電極パターンとして
は、銀、または銀−Pdが用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の積層型圧電アクチュエータにおいて、内部電極パタ
ーンのない不活性体成形体と内部電極パターンを有する
活性体成形体とを同時焼成した場合、活性体における焼
成時の収縮率が、内部電極材料である銀の影響により不
活性体の収縮率より大きく、活性体と不活性体の界面で
クラックが生じるという問題があった。
【0007】また、クラックが生じない場合でも、不活
性体と活性体の焼成時の収縮差により、活性体の圧電磁
器や内部電極に反りが発生し、分極時や駆動時において
活性体が伸縮する際に内部応力が発生し、活性体と不活
性体の界面にて剥離するという問題があった。
【0008】このような問題を解決する手段として、特
開昭63−288074号公報には、不活性体を、活性
体と同じ圧電材料に銀を添加混合して構成した積層型圧
電アクチュエータが開示されている。このような積層型
圧電アクチュエータによると、不活性体の部材として、
活性体と同じ圧電材料に銀を含有して形成することによ
り、活性体と不活性体の焼成時の収縮差を抑制でき、焼
成時の収縮差による活性体と不活性体間のクラックを抑
制できる。
【0009】しかしながら、上記特開昭63−2880
74号に開示された積層型圧電アクチュエータでは、活
性体は圧電効果により積層方向に変位するが、不活性体
には圧電効果による変位が生じないため、積層型圧電ア
クチュエータの駆動時に、活性体と不活性体との界面近
傍に応力が集中し、破壊が生じ易いという問題があっ
た。
【0010】本発明は、上記問題点を解決するものであ
り、不活性体と活性体の焼成時の収縮差によるクラック
発生を抑制できると共に、駆動時における不活性体と活
性体の界面近傍の応力破壊を防止することができる積層
型圧電素子及びその製法並びに噴射装置を提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の積層型圧電素子
は、複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層して
なる活性体と、該活性体の上下面にそれぞれ設けられた
不活性体とからなる柱状積層体の側面に、前記内部電極
が一層おきに交互に接続する一対の外部電極を設けてな
るとともに、前記活性体及び前記不活性体が同時焼成さ
れる積層型圧電素子であって、前記内部電極中に前記圧
電体を構成する圧電セラミック粒子が存在するととも
に、前記活性体の不活性体側における内部電極中の圧電
セラミック粒子の存在量が、前記活性体の中央部におけ
る内部電極よりも多いことを特徴とする。
【0012】本発明の積層型圧電素子は、複数の圧電体
成形体と複数の内部電極パターンとを交互に積層してな
る活性体成形体と、該活性体成形体の上下面にそれぞれ
設けられた不活性体成形体とからなる柱状積層体成形体
を焼成し、柱状積層体を作製する工程と、該柱状積層体
の側面に外部電極を設ける工程とを具備する積層型圧電
素子の製法であって、前記柱状積層体成形体の内部電極
パターン中に前記圧電体成形体を構成する圧電セラミッ
ク粉末が存在するとともに、前記活性体成形体の不活性
体成形体側における内部電極パターン中の圧電セラミッ
ク粉末の存在量が、前記活性体成形体の中央部における
内部電極パターンよりも多くすることにより作製され
る。
【0013】このような製法によれば、活性体成形体の
不活性体成形体側における内部電極パターン中の圧電セ
ラミック粉末の存在量を、活性体成形体の中央部におけ
る内部電極パターンよりも多くすることにより、活性体
の端部において、圧電セラミック粉末が増加する一方、
内部電極を構成する電極材料が減少し、活性体の端部が
不活性体の材料組成に近似し、同時焼成時における収縮
差を抑制することができ、不活性体と活性体の界面近傍
における圧電体の反りを抑制でき、この部分におけるク
ラック発生を防止できる。
【0014】また、活性体の端部が不活性体の材料組成
に近似しているため、その界面の接合強度を向上できる
とともに、圧電体間の接合強度を向上することにより界
面近傍の強度をも向上でき、積層型圧電素子の駆動時に
おける不活性体と活性体間の界面およびその近傍の応力
破壊を防止することができる。
【0015】さらに、本発明では、活性体成形体の不活
性体成形体側における内部電極パターン中の圧電セラミ
ック粉末の存在量が30〜50体積%であることが望ま
しい。これにより、焼成時の不活性体と活性体の収縮差
による圧電体の反りをさらに防止するとともに、活性体
と不活性体界面及び界面近傍の接合強度をさらに向上で
きる。
【0016】また、本発明では、内部電極パターン中の
圧電セラミック粉末は、平均粒径が0.5〜5μmであ
ることが望ましい。これにより、活性体と不活性体の界
面近傍の接合強度をより向上できる。
【0017】本発明の噴射装置は、噴射孔を有する収納
容器と、該収納容器内に収容された上記積層型圧電素子
と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体
を噴出させるバルブとを具備してなるものである。
【0018】このような噴射装置では、積層型圧電素子
が、同時焼成時の収縮差による不活性体と活性体の界面
近傍のクラック発生を防止できるとともに、不活性体と
活性体の界面の接合強度を向上し、界面近傍の強度をも
向上でき、これにより駆動時における不活性体と活性体
間の界面およびその近傍の応力破壊を防止できるため、
耐久性に優れ、信頼性の高い噴射装置を提供できる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は本発明の積層型圧電アクチ
ュエータからなる積層型圧電素子の斜視図であり、本発
明の積層型圧電アクチュエータは、図1に示すように、
複数の圧電体1と複数の内部電極2とを交互に積層して
なる活性体3aと、この活性体3aの両端面に形成され
た不活性体3bからなる柱状積層体3の対向する側面に
おいて、内部電極2の端部に1層おきに絶縁体4を形成
し、絶縁体4を形成していない内部電極2の端部を同一
の外部電極5に接続して構成されている。
【0020】活性体3aと不活性体3bは同時焼成され
て柱状積層体3が形成されており、活性体3aの圧電体
1と不活性体3bは、同一圧電セラミック材料から構成
されることが、焼成時における収縮差を小さくするとい
う点から望ましい。活性体3aは、変位を発生させる部
分であり、不活性体3bは、柱状積層体3を機械的に保
持し、発生する力を外部へ伝達する機能を有する。
【0021】圧電体1は、例えば、チタン酸ジルコン酸
鉛Pb(Zr,Ti)O3(以下PZTと略す)或い
は、チタン酸バリウムBaTiO3を主成分とする圧電
セラミック材料などが使用されるが、これらに限定され
るものではなく、圧電性を有するセラミックスであれば
何れでも良い。なお、この圧電体材料としては、圧電歪
み定数d33が高いものが望ましい。また、圧電体1の厚
み、つまり内部電極2間の距離は、小型化及び高い電界
を印加するという点から0.05〜0.25mmである
ことが望ましい。
【0022】内部電極2は、銀、または銀−パラジウ
ム、もしくはこれにガラスを含有して構成されている。
【0023】内部電極2は、同時焼成時には柱状積層体
3の全ての側面に露出しているが、そのうち対向する側
面において、内部電極2端部を含む圧電体1の端部1層
おきに溝が形成され、該溝部にガラス、エポキシ樹脂、
ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーンゴ
ム等の絶縁体4が充填され、これにより、内部電極2の
一方の端部が絶縁されている。
【0024】なお、絶縁体4は低ヤング率の材質、例え
ばシリコーンゴム等が好ましい。このように、内部電極
2は互い違いに1層おきに絶縁され、絶縁されていない
内部電極2の他方の端面は、予め塗布しておいた導電性
耐熱接着剤5aに導電性部材5bを密着させた状態で、
導電性耐熱接着剤5aを加熱硬化させることにより、外
部電極5が形成されている。外部電極5の下側端部には
リード線6が取り付けられている。
【0025】活性体3aの圧電体1の厚みは、上記した
ように0.05〜0.25mm、内部電極2の厚みは
0.003〜0.01mm、不活性体3bの厚みは、そ
れぞれ0.5〜3.0mmであり、不活性体3bの厚み
は、活性体3aの圧電体1厚みの5〜30倍であること
が、活性体3aと不活性体3bの焼成時の収縮差におけ
る不活性体3bのクラック発生を抑制するという点から
望ましい。圧電体1、内部電極2の積層数は、所望の特
性を得るためにそれぞれ100〜400層とされてい
る。
【0026】そして、本発明の積層型圧電アクチュエー
タでは、内部電極2中には圧電体1を構成する圧電セラ
ミック粒子が存在しており、活性体3aの不活性体3b
側における内部電極2中の圧電セラミック粒子の存在量
が、活性体3aの中央部よりも多くなっている。内部電
極2中の圧電セラミック粒子の存在量が、活性体3aの
中央部よりも多い内部電極2は、両側の不活性体3bか
ら数えて5層目までとされている。
【0027】このような積層型圧電アクチュエータは、
まず、複数の圧電体成形体と複数の内部電極パターンと
を交互に積層してなる活性体成形体と、該活性体成形体
の上下面にそれぞれ設けられた不活性体成形体とからな
る柱状積層体成形体を作製する。
【0028】この際に、活性体成形体の不活性体成形体
側における内部電極パターン中の圧電セラミック粉末の
存在量が、活性体成形体の中央部における内部電極パタ
ーンよりも多くなるように、それぞれの内部電極パター
ン中に圧電体成形体を構成する圧電セラミック粉末を添
加することが重要である。
【0029】即ち、圧電セラミック粉末を多く添加した
導電性ペーストを用いて、例えば、活性体成形体の両端
から5層目までの内部電極パターンを形成し、圧電セラ
ミック粉末を少し添加した導電性ペーストを用いて、活
性体成形体の両端から5層目以外の活性体成形体中央部
の内部電極パターンを形成する。
【0030】活性体成形体の不活性体成形体側における
内部電極パターン中の圧電セラミック粉末の存在量は3
0〜50体積%であることが望ましい。これにより、焼
成時の不活性体と活性体の収縮差による圧電体の反りを
抑制できるとともに、活性体と不活性体界面の接合強度
を向上できる。活性体成形体の不活性体成形体側におけ
る内部電極パターン中の圧電セラミック粉末の存在量
は、内部電極の電気抵抗値を低く維持し、駆動時におけ
る局部的な発熱による破損を抑制するという点から30
〜35体積%が最も望ましい。活性体成形体の中央部に
おける内部電極パターン中の圧電セラミック粉末の存在
量は、圧電体間の接合強度を向上するという点から10
〜25体積%であることが望ましい。
【0031】また、本発明では、内部電極パターン中の
圧電セラミック粒子は、平均粒径が0.5〜5μmであ
ることが望ましい。これにより、活性体と不活性体界面
の接合強度をより向上できる。内部電極パターン中の圧
電セラミック粒子の平均粒径は、0.5〜1.5μmが
望ましい。
【0032】次に、上記した柱状積層体成形体を焼成
し、柱状積層体を作製し、この柱状積層体の側面に外部
電極を設けることにより、積層型圧電アクチュエータが
作製される。
【0033】積層型圧電アクチュエータの製法について
具体的に説明する。先ず、チタン酸ジルコン酸鉛Pb
(Zr,Ti)O3などの圧電体セラミックスの仮焼粉
末と、有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混
合したスラリーを作製し、スリップキャステイング法に
より、厚み50〜250μmのセラミックグリーンシー
トを作製する。
【0034】次に、活性体の両端部と活性体の中央部の
内部電極2を形成するため、2種類の第1、第2導電性
ペースト作製する。これらの第1、第2導電性ペースト
中には、圧電体1との接合強度を向上させるため、圧電
体1と同一の圧電体セラミック仮焼粉末が添加される
が、活性体の端部の内部電極2を形成する第1導電性ペ
ースト中には、中央部の内部電極を形成する第2導電性
ペーストよりも圧電体セラミック仮焼粉末が多く添加さ
れる。第1導電性ペースト中には、平均粒径0.5〜5
μmの圧電セラミック仮焼粉末が30〜50体積%添加
され、第2導電性ペーストには、平均粒径0.5〜5μ
mの圧電セラミック仮焼粉末が10〜25体積%添加さ
れる。尚、圧電体に用いられる圧電体セラミック仮焼粉
末の平均粒径も0.5〜5μmとされている。
【0035】内部電極を形成する導電性ペーストには、
圧電体を構成する圧電セラミック仮焼粉末が添加される
が、この圧電セラミック仮焼粉末は、圧電体成形体を構
成する圧電セラミック仮焼粉末と全く同一である必要は
なく、例えば、圧電体成形体がPZTを主成分とし、添
加物を添加した圧電材料を含有する場合には、導電性ペ
ースト中には、主成分であるPZTからなる圧電セラミ
ック仮焼粉末を添加しても良い。圧電体との焼成収縮挙
動を近づけるという点から、圧電体成形体と導電性ペー
スト中に添加される圧電セラミック仮焼粉末は全く同一
組成を有することが望ましい。
【0036】この後、第2導電性ペーストを、グリーン
シートの片面にスクリーン印刷法により1〜10μmの
厚みに印刷する。また、活性体の両端面から1〜5層用
の内部電極を形成するため、上記第1導電性ペースト
を、グリーンシートの片面にスクリーン印刷法により1
〜10μmの厚みに印刷する。
【0037】塗布された導電性ペーストを乾燥して内部
電極パターンを形成した後、先ず、第1導電性ペースト
が塗布されたグリーンシートを1〜5層積層し、次に第
2導電性ペーストが塗布されたグリーンシートを100
〜400層積層し、この後第1導電性ペーストが塗布さ
れたグリーンシートを1〜5層積層して、活性体成形体
を作製し、この活性体成形体の両端面に、導電性ペース
トが塗布されていない上記圧電体用と同一のグリーンシ
ートを5〜20層積層し、活性体成形体の両端面に不活
性体成形体を形成して柱状積層体成形体を作製する。
【0038】次に、この柱状積層体成形体を50〜20
0℃で加熱を行いながら加圧を行い、一体化する。一体
化された柱状積層体成形体は所定の大きさに切断された
後、400〜800℃で5〜40時間、脱バインダが行
われ、900〜1200℃で2〜5時間で本焼成が行わ
れ、柱状積層体を得る。この柱状積層体の側面には、内
部電極2の端部が露出している。
【0039】その後、柱状積層体3の対向する側面にお
いて、内部電極2端部を含む圧電体1の端部に互い違い
になるように、1層おきに深さ50〜500μm、積層
方向の幅50〜300μmの溝を形成し、該溝部にシリ
コーンゴム等の絶縁体4を充填する。以上のように、内
部電極2は互い違いに1層おきに絶縁され、交互に同一
の外部電極5に接続される。
【0040】この後、正極用および負極用の外部電極5
にリード線6を接続し、柱状積層体3の外周面にデイッ
ピング等の方法により、シリコーンゴムを被覆し、更に
その表面に低水蒸気透過率樹脂をデイッピングにより被
覆した後、0.1〜3kVの分極電圧を印加し、柱状積
層体3全体を分極処理することで、最終的な積層型圧電
アクチュエータを得る。
【0041】なお、本発明の積層型圧電アクチュエータ
は、四角柱、六角柱、円柱等、どのような柱体であって
も構わないが、切断の容易性から四角柱状が望ましい。
【0042】図2は、本発明の噴射装置を示すもので、
図において符号31は収納容器を示している。この収納
容器31の一端には噴射孔33が設けられ、また収納容
器31内には、噴射孔33を開閉することができるニー
ドルバルブ35が収容されている。
【0043】噴射孔33には燃料通路37が連通可能に
設けられ、この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結
され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給され
ている。従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開
放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が一定の
高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるよう
に形成されている。
【0044】また、ニードルバルブ35の上端部は直径
が大きくなっており、収納容器31に形成されたシリン
ダ39と摺動可能なピストン41となっている。そし
て、収納容器31内には、上記した圧電アクチュエータ
43が収納されている。
【0045】このような噴射装置では、圧電アクチュエ
ータ43が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41
が押圧され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞
し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止
されると圧電アクチュエータ43が収縮し、皿バネ45
がピストン41を押し返し、噴射孔33が燃料通路37
と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
【0046】
【実施例】チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O
3からなる平均粒径0.5〜5μmの圧電体セラミック
スの仮焼粉末と、有機高分子からなるバインダーと、可
塑剤とを混合したスラリーを作製し、スリップキャステ
イング法により、厚み150μmのセラミックグリーン
シートを作製した。
【0047】次に、活性体の端部と活性体の中央部の内
部電極を形成するため、2種類の銀−パラジウムを主成
分とする第1、第2導電性ペースト作製した。活性体の
端部の内部電極を形成する第1導電性ペースト中には、
平均粒径0.5〜5μmの圧電セラミック仮焼粉末を3
0〜50体積%添加し、活性体の中央部の内部電極を形
成する第2導電性ペーストには、平均粒径0.5〜5μ
mの圧電セラミック仮焼粉末を15体積%添加した。
【0048】この後、第2導電性ペーストを、グリーン
シートの片面にスクリーン印刷法により5μmの厚みに
印刷する。また、活性体の両端面から1〜5層用の内部
電極を形成するため、上記第1導電性ペーストを、グリ
ーンシートの片面にスクリーン印刷法により5μmの厚
みに印刷する。
【0049】塗布された導電性ペーストを乾燥して内部
電極パターンを形成した後、先ず、第1導電性ペースト
が塗布されたグリーンシートを5層積層し、次に第2導
電性ペーストが塗布されたグリーンシートを200層積
層し、この後第1導電性ペーストが塗布されたグリーン
シートを5層積層して、活性体成形体を作製し、この活
性体成形体の両端面に、導電性ペーストが塗布されてい
ない上記圧電体用と同一のグリーンシートを10層積層
し、活性体成形体の両端面に不活性体成形体を形成して
柱状積層体成形体を作製した。
【0050】次に、この柱状積層体成形体を100℃で
加熱を行いながら加圧を行い一体化し、10mm×10
mmの大きさに切断した後、800℃で10時間の脱バ
インダを行い、1130℃で2時間焼成を行ない柱状積
層体を得た。
【0051】その後、柱状積層体の対向する側面におい
て、内部電極端部を含む圧電体1の端部に該2側面にお
いて互い違いになるように、1層おきに深さ100μ
m、積層方向の幅50μmの溝を形成した。この後、絶
縁されていない内部電極の他方の端面は、予め塗布して
おいた導電性耐熱接着剤に厚み0.1mmの導電性部材
の銀箔を密着させた状態で200℃加熱し、加熱硬化さ
せることにより、外部電極を形成した。
【0052】比較例として、上記第2導電性ペーストを
グリーンシートに塗布し、これを200層積層して、活
性体成形体を形成する以外は、上記と同様にして積層型
圧電アクチュエータを作製した。
【0053】得られた2種類の積層型圧電アクチュエー
タの耐久性を比較するために、印加荷重50kgf下
で、0Vから+200Vの直流電界を50Hzの周波数
にて1×109回印加する耐久試験を行った。その結
果、本発明品は変位量30μmで1×109回でも問題
無く駆動するのを確認した。また、比較例の積層型圧電
アクチュエータも変位量は30μmであったが、1×1
7回にて駆動しなくなった。このアクチュエータの外
周面を観察した結果、不活性体と活性体の界面で剥がれ
が生じていた。
【0054】また、本発明者は、上記第1導電性ペース
ト中の圧電セラミック仮焼粉末を変化させ、活性体と不
活性体との接合強度、活性体端部の反り量、内部電極の
比抵抗求め、これらの結果を図3、図4、図5にそれぞ
れ記載した。尚、活性体と不活性体との接合強度は、積
層型圧電アクチュエータを横にして3点曲げ抗折試験に
て、活性体端部の反り量は、活性体の積層方向端面の中
央部と端の部分を顕微鏡にて観察し、端の部分の中央部
からの突出量を算出して求め、内部電極の比抵抗は抵抗
計を用いて求めた。
【0055】図3から、圧電セラミック仮焼粉末と接合
強度の関係において、接合強度は圧電セラミック仮焼粉
末の増加に伴い増加しており、50体積%より飽和して
いることが判る。また、図4から、圧電セラミック仮焼
粉末の添加量が30体積%以上で反り量が5μm以下と
なっており、図3の結果を踏まえると30〜50体積%
が望ましいことが判る。
【0056】また、図5から、圧電セラミック仮焼粉末
の添加量の増加に伴い、内部電極の抵抗が急速に増加し
ていることが判る。この結果から、抵抗値が高すぎると
駆動時に局部的な発熱により破損が加速されることか
ら、圧電セラミック仮焼粉末の添加量は30〜35体積
%が最も望ましいことが判る。
【0057】さらに、圧電セラミック仮焼粉末の平均粒
径と、活性体と不活性体との接合強度の関係を調査した
結果を図6に示す。この図6から、圧電セラミック仮焼
粉末の平均粒径0.5〜5μmにおいて接合強度がほぼ
圧電素子単体の抗折強度(95MPa)と同等となって
いることが判る。このことから、圧電セラミック仮焼粉
末の平均粒径は0.5〜5μmが望ましいことが判る。
【0058】
【発明の効果】本発明の積層型圧電素子では、活性体成
形体の不活性体成形体側における内部電極パターン中の
圧電セラミック粉末の存在量を、活性体成形体の中央部
よりも多くすることにより、活性体の端部において、圧
電セラミック粒子が増加する一方、内部電極を構成する
電極材料が減少し、活性体の端部が不活性体の材料組成
に近似し、同時焼成時における収縮差を抑制することが
でき、不活性体と活性体の界面近傍における圧電体の反
り抑制でき、この部分におけるクラック発生を防止でき
る。
【0059】また、活性体の端部が不活性体の材料組成
に近似しているため、その界面の接合強度を向上できる
とともに、界面近傍の強度をも向上でき、積層型圧電素
子の駆動時における不活性体と活性体間の界面およびそ
の近傍の応力破壊を防止することができる。従って、耐
久性に優れ、信頼性の高い積層型圧電素子を提供するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電アクチュエータを示す斜視
図である。
【図2】本発明の噴射装置を示す説明図である。
【図3】圧電セラミック仮焼粉末の添加量と接合強度の
関係を示す図である。
【図4】圧電セラミック仮焼粉末の添加量と活性体の反
り量の関係を示す図である。
【図5】圧電セラミック仮焼粉末の添加量と内部電極の
電気抵抗の関係を示す図である。
【図6】圧電セラミック仮焼粉末の平均粒径と接合強度
の関係を示す図である。
【符号の説明】
1・・・圧電体 2・・・内部電極 3・・・柱状積層体 3a・・・活性体 3b・・・不活性体 5・・・外部電極 31・・・収納容器 33・・・噴射孔 35・・・バルブ 43・・・圧電アクチュエータ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に
    積層してなる活性体と、該活性体の上下面にそれぞれ設
    けられた不活性体とからなる柱状積層体の側面に、前記
    内部電極が一層おきに交互に接続する一対の外部電極を
    設けてなるとともに、前記活性体及び前記不活性体が同
    時焼成される積層型圧電素子であって、前記内部電極中
    に前記圧電体を構成する圧電セラミック粒子が存在する
    とともに、前記活性体の不活性体側における内部電極中
    の圧電セラミック粒子の存在量が、前記活性体の中央部
    における内部電極よりも多いことを特徴とする積層型圧
    電素子。
  2. 【請求項2】複数の圧電体成形体と複数の内部電極パタ
    ーンとを交互に積層してなる活性体成形体と、該活性体
    成形体の上下面にそれぞれ設けられた不活性体成形体と
    からなる柱状積層体成形体を焼成し、柱状積層体を作製
    する工程と、該柱状積層体の側面に外部電極を設ける工
    程とを具備する積層型圧電素子の製法であって、前記柱
    状積層体成形体の内部電極パターン中に前記圧電体成形
    体を構成する圧電セラミック粉末が存在するとともに、
    前記活性体成形体の不活性体成形体側における内部電極
    パターン中の圧電セラミック粉末の存在量が、前記活性
    体成形体の中央部における内部電極パターンよりも多い
    ことを特徴とする積層型圧電素子の製法。
  3. 【請求項3】活性体成形体の不活性体成形体側における
    内部電極パターン中の圧電セラミック粉末の存在量が3
    0〜50体積%であることを特徴とする請求項2記載の
    積層型圧電素子の製法。
  4. 【請求項4】内部電極パターン中の圧電セラミック粉末
    は、平均粒径が0.5〜5μmであることを特徴とする
    請求項2または3記載の積層型圧電素子の製法。
  5. 【請求項5】噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内
    に収容された請求項1記載の積層型圧電素子と、該積層
    型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させ
    るバルブとを具備してなることを特徴とする噴射装置。
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