JP3894861B2 - 積層型圧電素子及び噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用燃料噴射弁、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動素子等に用いられる積層型圧電素子及び噴射装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より、電歪効果を利用して大きな変位量を得るために、圧電体と内部電極を交互に積層した積層型圧電素子が提案されている。積層型圧電素子には、同時焼成タイプと圧電磁器と内部電極板を交互に積層したスタックタイプの2種類に分類されており、低電圧化、製造コスト低減の面から考慮すると、同時焼成タイプの積層型圧電素子が薄層化に対して有利であるために、その優位性を示しつつある。
【0003】
同時焼成タイプの積層型圧電素子は、積層型セラミックコンデンサと同様に、圧電材料を含有するグリーンシートと内部電極材料を含有する内部電極パターンが交互に積層された活性部成形体の上下面に、上記グリーンシートを複数積層して形成された不活性部成形体を積層し、これを脱脂、焼成することで積層型圧電素子を作製していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の積層型圧電素子においては、一般に積層型セラミックコンデンサと同様に、一部の内部電極端が活性部側面に露出していない、いわゆる部分電極構造であるため、内部電極端から活性部側面にわたって、変位を発生しない不活性な部分が存在する。このため、積層型圧電素子を高電圧で長期間にわたり駆動させると、内部電極端部に応力集中が発生し、駆動時にクラックやデラミネーションが発生し易いという問題があった。
【0005】
本発明は、デラミネーションやクラック等の発生を抑制でき、耐久性に優れ、信頼性の高い積層型圧電体素子及び噴射装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型圧電素子は、複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層してなる活性部、及び該活性部の積層方向の両端部にそれぞれ設けられた不活性部から成る柱状積層体と、該柱状積層体の側面に設けられ、前記柱状積層体側面に露出した前記内部電極の一部の端部が一層おきに交互に接続される一対の外部電極とを具備してなる積層型圧電素子であって、前記柱状積層体内部に存在する前記内部電極端に沿って空隙が形成され、該空隙と前記柱状積層体側面との間に前記圧電体が形成されており、積層方向における前記空隙の高さが、前記内部電極の厚みの0.5〜2.5倍であるとともに、前記内部電極の平面方向における前記空隙の幅が、前記内部電極の厚みの0.5〜5倍であることを特徴とする。
【0007】
一般に部分電極を有する積層型圧電素子では、駆動させると内部電極が積層方向に重畳する部分で変位が発生し、重畳しない部分では変位が発生しないため、その境界部で応力集中が生じるが、本発明では、柱状積層体内部であって内部電極端に沿って空隙が形成されているため、変位が発生する部分と発生しない部分との境界部に空隙が存在することになり、発生する応力を空隙によって吸収することができ、積層型圧電素子を高電圧で長期間にわたり駆動させても、クラックやデラミネーションが発生することがなく、耐久性に優れ、信頼性の高い積層型圧電素子を提供することができる。
【0008】
また、本発明の積層型圧電素子は、積層方向における空隙の高さtが、内部電極の厚みの0.5〜2.5倍であることを特徴とする。このような積層型圧電素子では、発生する応力を空隙によって吸収することができるとともに、空隙と、極性が異なる隣設する内部電極との間の圧電体厚みを十分に確保でき、耐電圧を高く維持できる。
【0009】
さらに、本発明の積層型圧電素子は、内部電極の平面方向における空隙の幅Wが、前記内部電極の厚みの0.5〜5倍であることを特徴とする。このような積層型圧電素子では、発生する応力を空隙によって吸収することができるとともに、内部電極と外部電極との間の距離を確保できるため、耐電圧を十分に高く維持できる。
【0010】
本発明の噴射装置は、噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内に収容された上記積層型圧電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする。このような噴射装置では、積層型圧電素子において駆動時のデラミネーションやクラック等を抑制できるため、噴射装置として、耐久性及び信頼性を向上できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は積層型圧電アクチュエータからなる積層型圧電素子の一実施形態を示す縦断面図であり、図2は図1の一部を拡大して示す縦断面図、図3は図1の横断面図である。尚、図2、3ではいずれも外部電極の記載は省略した。
【0012】
本発明の積層型圧電アクチュエータは、図1に示すように複数の圧電体1と複数の内部電極2とを交互に積層してなる活性部8と、該活性部8の積層方向両端に設けられた不活性部9とからなる四角柱状の柱状積層体3を有している。
【0013】
圧電体1は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3(以下PZTと略す)或いは、チタン酸バリウムBaTiO3を主成分とする圧電セラミック材料などが使用されるが、これらに限定されるものではなく、圧電性を有するセラミックスであれば何れでも良い。なお、この圧電体材料としては、圧電歪み定数d33が高いものが望ましい。
【0014】
また、圧電体1の厚み、つまり内部電極2間の距離は、小型化及び高い電界を印加するという点から0.05〜0.25mmであることが望ましい。これは、積層型圧電素子は電圧を印加して、より大きな変位量を得るために積層数を増加させる方法がとられるが、積層数を増加させた場合に活性部8中の圧電体1の厚みが厚すぎるとアクチュエータの小型化、低背化ができなくなり、一方、活性部8中の圧電体1の厚みが薄すぎると絶縁破壊しやすいからである。
【0015】
内部電極2は、図3に示すように、矩形状をしており、図1に示したように、その一辺が柱状積層体3の対向する側面(外部電極形成面)に一層おきに露出しており、この内部電極2の一辺が露出する柱状積層体3の側面(対向する側面)にそれぞれ外部電極4が形成されている。これにより、それぞれの外部電極4に、内部電極2が一層おきに電気的に交互に接続されている。これらの外部電極4にはリード線16が半田17で接続固定されている。
【0016】
そして、本発明では、図2、図3に示すように、柱状積層体3の側面に露出している辺以外の辺(柱状積層体3内部に存在する内部電極2の3つの辺)に沿って連続する空隙20が形成されている。即ち、柱状積層体3内部に存在する内部電極2端に沿って空隙20が形成されている。この空隙20により駆動時に発生する内部応力を低減することが可能となり、内部電極2端部からのデラミネーションやクラックの発生を防止することが可能となり、高い信頼性を得ることができる。
【0017】
また、本発明では、積層方向における空隙20の高さtが内部電極2の厚みの0.5〜2.5倍であることが重要である。空隙20の高さtを、内部電極2の厚みの0.5倍以上とすることにより、空隙20による応力緩和の効果を十分に発揮でき、また、空隙20の高さtを、内部電極2の厚みの2.5倍以下とすることにより、上下の内部電極2と空隙20との間に占める圧電体1の厚みを十分に確保でき、絶縁距離が十分であるため耐電圧が大きく、高電界を印加した場合でもショートが発生することがない。特に耐電圧の向上の面から空隙20の高さtは内部電極2の厚みの2倍以下が望ましい。特に、空隙20の高さtは、内部電極2の厚みの1〜1.5倍であることが望ましい。
【0018】
また、本発明では、内部電極2の平面方向における空隙20の幅Wが内部電極2の厚みの0.5〜5倍であることが重要である。空隙20の幅Wを0.5倍以上とすることにより空隙20による応力緩和の効果が大きく、また、空隙20の幅Wを5倍以下とすることにより内部電極2端と柱状積層体3の外面に形成される外部電極4との絶縁距離を十分に確保でき、高電界が印加された場合でもショートが発生することがない。空隙20の幅Wは、特に、内部電極2端と柱状積層体3の外面にある外部電極4との絶縁距離を十分に確保するという点から、内部電極2の厚みの1.5〜2.5倍であることが望ましい。
【0019】
内部電極2端が柱状積層体3の外周面に近いほど、内部電極2端からデラミネーションやクラックが発生し易いため、空隙20による応力緩和が必要となる。即ち、柱状積層体3の外面と、内部電極2端との距離Lが0.5mm以下と小さい場合には本発明を有効に用いることができる。特には、0.3mm以下が効果的である。
【0020】
また、内部電極2端からのデラミネーションやクラックの発生は、圧電体1の厚みとの関係も大きく、近年においては大きな変位を得るべく、また、小型化という点から、圧電体1厚みは薄くなる傾向があり、薄くなる程、上記不具合が発止し易くなるため、本発明による応力緩和が必要となる。即ち、圧電体厚みが120μm以下と薄い場合、特に100μm以下と薄い場合に本発明を有効に用いることができる。
【0021】
尚、柱状積層体3内部に存在する内部電極2の3つの辺に、連続する空隙20を形成した例について説明したが、ほぼ連続した空隙20が形成されていれば良く、一部分で空隙20が形成されていない部分があっても良い。
【0022】
また、上記例では、柱状積層体3内部に内部電極2の3つの辺が存在する場合について説明したが、2辺が柱状積層体の外面に露出し、2辺が柱状積層体3内部に存在する場合でも、また、一辺が柱状積層体3内部に存在する場合でも本発明を適用できる。特には、3辺が柱状積層体内部に存在する場合が効果的である。さらに、内部電極2の形状は矩形状に限定されるものではなく、五角形でもよく、円形でも良い。
【0023】
また、柱状積層体3の内部電極2端が露出する側面には外部電極4がそれぞれ形成され、これにより、内部電極2は互い違いに1層おきに外部電極4にそれぞれ接続されている。柱状積層体3の外周面にはディッピング等の方法により、シリコーンゴムが被覆されている。
【0024】
以上のように構成された積層型圧電素子は、以下のプロセスにより製造される。先ず、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3などの圧電体セラミックスの仮焼粉末と、有機高分子からなるバインダと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、スリップキャステイング法により、厚み50〜250μmのセラミックグリーンシートを作製する。
【0025】
次に、図4(a)に示すように、グリーンシート51の上面に、内部電極2となる銀を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法により1〜10μmの厚みに印刷し、内部電極パターン52を形成する。
【0026】
次に内部電極パターン52の外周囲に、図4(b)に示すように、柱状積層体3の側面に露出する辺を除いて、再度スクリーン印刷法により導電性ペーストを印刷し、内部電極パターン52の外周部上に、幅100〜300μm、厚み4〜20μmの盛り上がり部55を形成する。これにより内部電極パターン52の中央部より、盛り上がり部55の高さが高くなる。
【0027】
この盛り上がり部55が形成された内部電極パターン52を乾燥させた後、この内部電極パターン52が形成された複数のグリーンシート51を所定の枚数だけ積層し、この積層体の上下面に、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートを複数積層し、積層成形体を作製する。尚、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートを複数積層し、次に内部電極パターン52が形成された複数のグリーンシート51を所定の枚数だけ積層し、この次に導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートを複数積層して、積層成形体を作製しても良い。
【0028】
次に、この積層成形体を金型内に配置し50〜200℃で加熱を行いながら加圧を行い、積層成形体を一体化する。この時、積層成形体内部の内部電極パターン端と内部電極パターンが形成されていない部分の厚み差から、積層時に空隙が形成されている。ここで、空隙の大きさは内部電極パターンに形成された盛り上がり部55の厚み、及び加圧時の圧力を変化させることで制御することができる。
【0029】
一体化された積層体は所定の大きさに切断された後、300〜800℃で5〜40時間、脱バインダが行われ、900〜1200℃で2〜5時間で本焼成が行われ、柱状積層体3を得る。この柱状積層体3は、図1に示すように、対向する側面に内部電極2の一辺が交互に露出している。また、柱状積層体3内部に存在する内部電極2端に沿って空隙20が形成されている。
【0030】
尚、盛り上がり部55を形成することなく、空隙20を形成する必要がある部分の内部電極パターン52の外周囲に、脱バイ時に飛散する有機物を主成分とするペーストをスクリーン印刷法等により印刷し、脱バイ時に有機物を飛散させ、空隙20を形成しても良い。
【0031】
また、柱状積層体3は、グリーンシート上に複数の内部電極パターンを形成し、これを複数積層し、対向する側面に内部電極パターンの一辺が交互に露出するように切断することにより形成しても良い。
【0032】
つぎに、柱状積層体3の内部電極2の端部が露出した側面に熱硬化性の導電性接着剤を塗布し、この導電性接着剤を熱硬化させることにより、外部電極4を形成する。これにより、内部電極2は互い違いに1層おきに外部電極4にそれぞれ接続される。
【0033】
また、外部電極4には、銀を主成分とする銀ガラスペーストを塗布し500〜900℃で熱処理することにより外部電極4を形成してもよい。
【0034】
この後、外部電極4にリード線16を接続し、柱状積層体3の外周面に真空脱泡によるディッピング等の方法により、外装樹脂を被覆した後、0.1〜3kV/mmの分極電圧を印加し、分極処理することで、最終的な積層型圧電素子を得る。
【0035】
以上のように構成された積層型圧電素子では、内部電極2端に空隙20が形成されているため、外部電極4に高電圧を印加し、駆動させた場合においても、内部電極2端部で発生する応力が空隙20で緩和されるため、内部電極2端から発生するデラミネーションやクラックの発生を抑制することができ、高信頼性を備えたアクチュエータを提供することができる。
【0036】
なお、本発明の積層型圧電素子は、四角柱、六角柱、円柱等、どのような柱体であっても構わないが、切断の容易性から四角柱状が望ましい。
【0037】
図5は本発明の積層型圧電素子5を用いた噴射装置を示すもので、図において符号31は収納容器を示している。この収納容器31の一端には噴射孔33が設けられ、また収納容器31内には、噴射孔33を開閉することができるニードルバルブ35が収容されている。
【0038】
噴射孔33には燃料通路37が連通可能に設けられ、この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が一定の高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるように形成されている。
【0039】
また、ニードルバルブ35の上端部は直径が大きくなっており、収納容器31に形成されたシリンダ39と摺動可能なピストン41となっている。そして、収納容器31内には、上記した積層型圧電素子43が収納されている。
【0040】
このような噴射装置では、積層型圧電素子43が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41が押圧され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると積層型圧電素子43が収縮し、皿バネ45がピストン41を押し返し、噴射孔33が燃料通路37と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
【0041】
【実施例】
実施例1
チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3の仮焼粉末と、有機高分子からなるバインダと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、スリップキャステイング法により、厚み130μmのセラミックグリーンシートを作製した。
【0042】
このグリーンシートの片面に、図4に示したように、内部電極2となる銀−パラジウムを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法により4μmの厚みに印刷し、内部電極パターン52を形成した。さらに、内部電極2端部となる部分には再度導電性ペーストを4μmの厚みで印刷し、盛り上がり部55を形成した。内部電極パターン52及び盛り上がり部55が形成された複数のグリーンシート51を300枚積層し、この積層体の上下面に、導電性ペーストを塗布していないグリーンシートを20枚ずつ積層した。
【0043】
次に、この積層成形体を金型内に配置し、100℃で加熱を行いながら金型の上下より加圧を行い一体化し、10mm×10mmの大きさに切断した後、800℃で10時間の脱バインダを行い、1130℃において2時間本焼成を行い、図1に示したような柱状積層体3を得た。
【0044】
その後、活性部8の外部電極4形成側面に、銀を主成分とする導電性樹脂を塗布し、250℃で1時間の熱処理をすることにより、柱状積層体3の側面に外部電極4を形成した。
【0045】
その後、外部電極4にリード線16を接続し、柱状積層体3の周囲にシリコーンゴムを塗布することで外装樹脂を被覆した。
【0046】
その後、正極及び負極の外部電極4にリード線16を介して3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行った。
【0047】
得られた積層型圧電素子に150Vの直流電圧を印加した結果、積層方向に40μmの変位量が得られた。さらに、この積層型圧電素子に室温で0〜+150Vの交流電圧を100Hzの周波数にて印加して駆動試験を行った結果、1×108サイクルまで駆動したところ40μmの変位量が得られ、デラミネーションやクラックは発生しなかった。
【0048】
この後、柱状積層体の横断面、縦断面を観察したところ、圧電体の厚みが0.1mm、内部電極の厚みが3μm、空隙が内部電極の周囲に連続して形成されており、空隙の大きさは、高さtが3μm、幅Wが4.5μm、柱状積層体の側面と内部電極端との間隔Lは0.5mmであった。なお、空隙の大きさは、積層方向に垂直な方向の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することで測定を行った。
【0049】
また、比較例として、内部電極パターンを、グリーンシートにメタルマスクを配置し、スプレーコートで塗布形成した以外は上記例と同様に柱状積層体を作製し、同様の駆動試験を行った結果、2×106サイクルにて内部電極端部からのクラックにより素子が破壊した。この後、柱状積層体を横断面、縦断面を観察したところ、圧電体の厚みが0.1mm、内部電極の厚みが3μm、内部電極の周囲には空隙は形成されていなかった。柱状積層体の側面と内部電極端との間隔Lは0.5mmであった。
実施例2
次に、内部電極端部への導電性ペーストの印刷回数を変え、盛り上がり部の厚みを変化させることにより、内部電極端部の空隙の大きさを表1に示すように変化させ、上記実施例と同様に駆動試験を行い、3×108サイクル後に断面観察を行った。その結果を表1に記載した。尚、内部電極の厚みはいずれも3μmであり、内部電極の周囲に空隙が形成されていた。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示すように、空隙の高さtが内部電極の厚みの2.5倍より大きい場合や、空隙の幅Wが内部電極の厚みの5倍よりも大きい場合には駆動試験中にショートが発生し、空隙の高さtが内部電極の厚みの0.5倍より小さい場合や、空隙の幅Wが内部電極の厚みの0.5倍よりも小さい場合には、駆動試験後の変位量の低下はなかったが、断面観察結果により一部に微小クラックの発生が確認された。一方、空隙の高さt、空隙の幅Wが本発明の範囲内の試料においては駆動試験後の変位量の低下もみられず、また、断面観察によっても異常は確認されなかった。
【0052】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の積層型圧電素子では、内部電極端に沿って空隙を形成することにより、駆動時に内部電極端部で発生する応力を低減することが可能となり、デラミネーションやクラックの発生を防止することができ、高信頼性を備えた積層型圧電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電素子を示す縦断面図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】図1の横断面図である。
【図4】本発明の積層型圧電素子の製法を説明するための説明図である。
【図5】本発明の噴射装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・圧電体
2・・・内部電極
3・・・柱状積層体
4・・・外部電極
8・・・活性部
9・・・不活性部
20・・・空隙
t・・・空隙の高さ
W・・・空隙の幅
Claims (2)
- 複数の圧電体と複数の内部電極とを交互に積層してなる活性部、及び該活性部の積層方向の両端部にそれぞれ設けられた不活性部から成る柱状積層体と、該柱状積層体の側面に設けられ、前記柱状積層体側面に露出した前記内部電極の一部の端部が一層おきに交互に接続される一対の外部電極とを具備してなる積層型圧電素子であって、前記柱状積層体内部に存在する前記内部電極端に沿って空隙が形成され、該空隙と前記柱状積層体側面との間に前記圧電体が形成されており、積層方向における前記空隙の高さtが、前記内部電極の厚みの0.5〜2.5倍であるとともに、前記内部電極の平面方向における前記空隙の幅Wが、前記内部電極の厚みの0.5〜5倍であることを特徴とする積層型圧電素子。
- 噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内に収容された請求項1記載の積層型圧電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする噴射装置。
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