JP4261903B2 - セラミック電子部品及び噴射装置 - Google Patents
セラミック電子部品及び噴射装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4261903B2 JP4261903B2 JP2002377490A JP2002377490A JP4261903B2 JP 4261903 B2 JP4261903 B2 JP 4261903B2 JP 2002377490 A JP2002377490 A JP 2002377490A JP 2002377490 A JP2002377490 A JP 2002377490A JP 4261903 B2 JP4261903 B2 JP 4261903B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- internal electrode
- electronic component
- conductor
- piezoelectric element
- ceramic electronic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Fuel-Injection Apparatus (AREA)
- Ceramic Capacitors (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック電子部品及び噴射装置に関するものであり、特に、自動車用燃料噴射弁、印刷装置のインク噴射装置やドットインパクト装置、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動素子等に用いられるセラミック電子部品及び噴射装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より、セラミック電子部品として、圧電・電歪効果を利用して大きな変位量を得るために、圧電体と内部電極を交互に積層した積層型圧電素子が提案されている。積層型圧電素子には、同時焼成タイプと圧電磁器と内部電極板を交互に積層したスタックタイプの2種類に分類されており、低電圧化、製造コスト低減の面から考慮すると、同時焼成タイプの積層型圧電素子が薄層化に対して有利であるために、その優位性を示しつつある。
【0003】
同時焼成タイプの積層型圧電素子は、積層型セラミックコンデンサと同様に、従来、圧電材料を含有するグリーンシートと内部電極材料を含有する内部電極パターンが交互に積層された活性部の上下面に、上記グリーンシートを複数積層して形成された不活性部を積層し、これを脱脂、焼成することで積層型圧電素子を作製していた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−68182号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の積層型圧電素子では、高電圧で長期間にわたり駆動させると、内部電極端近傍の圧電磁器に応力集中が発生し、駆動時にクラックやデラミネーションが発生し易く、スパークが発生し絶縁破壊し易いという問題があった。
【0006】
即ち、従来の積層型圧電素子においては、一般に積層型セラミックコンデンサと同様に、一部の内部電極端が活性部の側面に露出していない、いわゆる部分電極構造であるため、活性部内部に埋設されている内部電極端から活性部の側面にわたって、変位を発生しない不活性な部分が存在する。
【0007】
また、従来、内部電極は、PVD法や、グリーンシート上に電極ペーストを塗布して形成されるため、図10(a)に示すように、圧電体1間に埋設された内部電極2端の断面形状が矩形状となったり、または図10(b)に示すように鋭角となっており、このような積層型圧電素子では、外部電極を介して内部電極2に交流電圧を印加すると、内部電極2で挟持される圧電体1が伸縮して変位を発生させるが、圧電体1間に埋設された内部電極2端の角部2aに電荷が集中し、活性体の側面に露出しない内部電極端近傍Aの圧電磁器において局所的に電界が極めて高くなるという問題があった。
【0008】
これにより、積層型圧電素子を高電圧で長期間にわたり駆動させると、内部電極端近傍Aの圧電磁器に応力集中が発生し、クラックやデラミネーションが発生し易く、スパークが発生し絶縁破壊するという問題があった。
【0009】
本発明は、デラミネーション、クラック及び絶縁破壊等の発生を抑制でき、耐久性に優れ、信頼性の高いセラミック電子部品及び噴射装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミック電子部品は、複数の絶縁層が積層されるとともに、該絶縁層間における一部領域に導体が介在し、前記絶縁層及び前記導体が同時焼成された電子部品本体を具備するセラミック電子部品であって、前記絶縁層間に埋設された導体端部が、導体中央部よりも厚みが厚い厚肉部であり、該厚肉部端の断面形状が、前記導体が形成されていない側に向けて凸となる弧状であることを特徴とする。
【0011】
セラミック電子部品の一種である積層型圧電素子で説明すると、一般に、部分電極構造の積層型圧電素子では、駆動させると内部電極(導体)が積層方向に重畳する部分で変位が発生し、重畳しない部分では変位が発生しないため、その境界部で応力集中が生じ、内部電極の積層型圧電素子(セラミック電子部品)内部に存在する端部を起点としてクラックが発生し、素子が破壊し易いことが知られている。
【0012】
この現象を有限要素法解析によって詳細に調査したところ、積層型圧電素子の内部に存在する内部電極端付近の応力集中は、該内部電極端付近における圧電体への局所的な電界の集中が主要な原因であることが明らかになった。そして、圧電体間に埋設された(積層型圧電素子内部の)内部電極端の断面形状が角張っていると、角の先端で電荷が集中し、該内部電極端近傍の圧電体における電界も局所的に集中する。
【0013】
従って、本発明のように、圧電体間に埋設された内部電極端の断面形状が、導体が形成されていない(積層型圧電素子の側面)側に凸となる弧状、即ち、積層型圧電素子の内部に存在する内部電極端の断面形状を角が無い滑らかな曲線形状にすることにより、内部電極端での電荷の集中度合いが低下し、これにより内部電極端付近の圧電体における電界が低下するので、該内部電極端付近の圧電体における応力集中を緩和できる。このように応力集中が緩和されるので、積層型圧電素子を高電圧で長期間にわたり駆動させても、クラックやデラミネーション、及び絶縁破壊が発生することがなく、耐久性に優れ、信頼性の高い積層型圧電素子を提供することができる。また、従来より高い電圧を印加出来るので、変位量を大きくすることが出来る。
【0014】
また、本発明のセラミック電子部品は、厚肉部の幅aが、導体中央部の厚みtの1〜100倍であることを特徴とする。さらに厚肉部の最大厚みbが、導体中央部の厚みtの1.2〜5倍であることを特徴とする。また、厚肉部端が、導体中央部の厚みtの1/2よりも大きい曲率半径を有することを特徴とする。
【0015】
このようなセラミック電子部品は、積層型圧電素子の内部に存在する内部電極端に発生する電荷の集中がさらに緩和され、該内部電極端付近の圧電体における電界の集中が緩和されるため、該内部電極端付近の圧電体に発生する応力集中が緩和でき、寿命が向上する。
【0016】
本発明の噴射装置は、上記セラミック電子部品が積層型圧電素子であり、該積層型圧電素子が収容され、噴射孔を有する収納容器と、前記積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする。このような噴射装置では、積層型圧電素子において駆動時の絶縁破壊やデラミネーションやクラック等を抑制できるため、噴射装置として、耐久性及び信頼性を向上できる。さらに積層型圧電素子の変位量が大きい為、また、従来のソレノイドを用いた噴射装置より発生力が高いため、従来より高性能な燃料噴射装置を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のセラミック電子部品である積層型圧電素子の一形態を示す縦断面図であり、図2は図1の一部を拡大して示す断面図である。また、図3は他の実施形態を示す断面図である。尚、図2、3ではいずれも外部電極の記載は省略した。また、図4は図1の横断面図である。
【0018】
本発明の積層型圧電素子は、図1に示すように複数の圧電体(絶縁体に相当する)1と複数の内部電極(導体に相当する)2とを交互に積層してなる活性部8と、該活性部8の積層方向両端に設けられた不活性部9とからなる四角柱状の柱状積層体(電子部品本体に相当する)3を有している。
【0019】
圧電体1は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3(以下PZTと略す)或いは、チタン酸バリウムBaTiO3を主成分とする圧電セラミック材料などが使用されるが、これらに限定されるものではなく、圧電性を有するセラミックスであれば何れでも良い。なお、この圧電体材料としては、圧電歪み定数d33が高いものが望ましい。
【0020】
また、圧電体1の厚み、つまり隣合う内部電極2間の距離は、小型化及び高い電界を印加して変位量を大きくするという点から0.03〜0.25mmであることが望ましい。これは、積層型圧電素子は電圧を印加して、より大きな変位量を得るために積層数を増加させる方法がとられるが、積層数を増加させた場合に活性部8中の圧電体1の厚みが厚すぎるとアクチュエータの小型化、低背化ができなくなり、一方、活性部8中の圧電体1の厚みが薄すぎると絶縁破壊しやすいからである。
【0021】
内部電極2は、図4に示すように、圧電体1より面積が小さい矩形状をしており、図1、4に示したように、その一辺が柱状積層体3の対向する側面(外部電極形成面)に一層おきに露出しており、この内部電極2の一辺が露出する柱状積層体3の側面(対向する側面)にそれぞれ外部電極4が形成されている。これにより、それぞれの外部電極4に、内部電極2が一層おきに電気的に交互に接続されている。これらの外部電極4にはリード線16が半田17で接続固定されている。
【0022】
ここで、内部電極2は矩形状に限らず、一部が柱状積層体3の側面に露出していれば良い。また、内部電極2が柱状積層体3の側面に露出する場所は、一層おきに異なる場所に露出すればよく、必ずしも内部電極2が露出する部分が対向する必要は無い。
【0023】
そして、本発明では、図2、図3、図4に示すように、柱状積層体3の側面に露出している辺以外の辺(柱状積層体3内部に存在する内部電極2の3つの辺、言い換えれば圧電体1間に埋設された内部電極2端)に沿って連続する厚肉部20が形成されている。厚肉部20の断面形状は楕円状であり、厚肉部20の端20aの断面形状は、対向する柱状積層体3の側面に向けて凸となる弧状とされている。
【0024】
言い換えれば、圧電体1間に埋設された内部電極2の端部が、内部電極2中央部よりも厚みが厚い厚肉部20とされており、この厚肉部20端の断面形状の外形が弧状とされている。この厚肉部20の端20aは、対向する柱状積層体3の側面側に向けて凸となる(突出する)弧状とされている。
【0025】
本発明では、柱状積層体3内部に存在する内部電極2の端部に沿って、断面形状が滑らかな曲線である厚肉部20が形成されており、この厚肉部20の柱状積層体3の側面側の形状が、柱状積層体3の側面側に向けて凸となる(突出する)弧状とされているため、駆動電圧印加時に内部電極2端部に発生する電荷の集中が抑制され、該内部電極2端付近の圧電体1に発生する、電界集中および応力集中を低減することが可能となり、内部電極2端部からのデラミネーション、クラックや絶縁破壊の発生を防止することが可能となり、高い信頼性を得ることができる。
【0026】
また、本発明では、図2に示すように、内部電極2の厚肉部20の幅a(内部電極2と同一平面方向の幅)が、内部電極2中央部の厚みtの1〜100倍であることが望ましい。これにより、厚肉部20の端20aの曲率半径を大きくでき、電荷の集中を抑制することができる。幅aは、内部電極2中央部の厚みtよりも大きいことが望ましく、さらには、2〜20倍であることが望ましい。
【0027】
また、図2に示すように、内部電極2の厚肉部20の最大厚みb(積層方向の厚み)が、内部電極2中央部の厚みtの1.2〜5倍であることが望ましい。これにより、厚肉部20の端20aの曲率半径を大きくできる。
【0028】
さらに、内部電極2の厚肉部20の端20aが、内部電極2中央部の厚みtの1/2よりも大きい曲率半径を有することが望ましい。これにより、電荷集中が抑制できる。特に曲率半径は内部電極2中央部の厚みt以上であることが望ましい。
【0029】
本発明者は、内部電極2の厚肉部20の幅a、最大厚みbと、電界集中との関係について、圧電性を考慮した有限要素法により解析した。解析は、内部電極端の断面形状が滑らかな曲線である部分(厚肉部)が、図5(a)に示すような半径Rの断面円形状であるとして、半径Rを変化させて有限要素法解析を行ない、圧電体に発生する電界と応力について求めた結果を図5(b)及び(c)に示す。
【0030】
有限要素法解析は、以下の条件で行なった。内部電極2は質量比7:3の銀パラジウムとし、厚さtが2μm、圧電体1はチタン酸ジルコン酸鉛とし厚さが80μmとした。活性部の圧電体は400層で、柱状積層体3の形状は5mm×5mm×40mmの柱状とした。図2の断面図における内部電極2端から柱状積層体3側面までの距離Lは200μmとした。また、分極電圧は200ボルトで駆動電圧は150ボルト、駆動周波数は100Hzとした。内部電極2の厚肉部20は、半径Rの断面円形とし、即ち、厚みb=2R、幅a=2Rとし、Rを1μm、3μm、5μmと変化させた。
【0031】
図5(b)は、厚肉部20の半径Rと、内部電極2端付近の圧電体1において発生する局所的に集中する電界の最大値との関係を示す図である。厚肉部20の半径Rを1μmから5μmとすることにより、即ち、内部電極2の厚肉部20の幅aと厚みbが内部電極2の中央部厚さtの1〜5倍の範囲にすることにより、内部電極が従来形状の場合より、局所的に集中する電界の大きさを緩和できることが判る。
【0032】
なお、圧電体1の内部電極2に挟まれた部分に発生する電界は、平均的には印加電圧を圧電体の厚さで割った値、本計算例の場合は、
150(V)÷80(μm)=1.875(kV/mm)
となり、厚肉部20の半径Rを大きくすればこの値に漸近していき、局所的な電界集中が緩和されるが、内部電極2は一般にパラジウムや金や白金など高価な貴金属を含有するため、出来るだけ使用量を少なくしたいという要望が強いため、厚肉部20の厚みbは内部電極2の中央部厚みtの5倍以下、該内部電極先端部(厚肉部20)の幅aは内部電極2の中央部厚みtの100倍以下であることが望ましい。
【0033】
また、図5(c)は、厚肉部20の半径Rと、該内部電極端付近の圧電体1において発生する、局所的に集中する最大主応力の最大値との関係である。内部電極2端のR(厚肉部20の半径R)を1μmから5μmとすることにより、即ち、厚肉部の幅aと厚みbが内部電極2の中央部厚みtの1〜5倍の範囲にすることにより、内部電極2が従来形状の場合より1/2以下と、局所的に集中する応力の大きさを大幅に緩和する事が出来る。従って、積層型圧電素子の寿命を飛躍的に向上することが出来る。
【0034】
尚、柱状積層体3内部に存在する内部電極2の3つの辺に沿って、連続する断面形状が滑らかな曲線形状である厚肉部20を形成した例について説明したが、一部分に厚肉部20が形成されていない部分があっても良い。
【0035】
また、上記例では、柱状積層体3内部に内部電極2の3つの辺が埋設されている場合について説明したが、2辺が柱状積層体3の外面に露出し、2辺が柱状積層体3内部に存在する場合でも、また、一辺が柱状積層体3内部に存在する場合でも本発明を適用できる。特には、3辺が柱状積層体3内部に存在する場合には効果的である。さらに、内部電極2の形状は矩形状に限定されるものではなく、多角形でもよく、円形でも良く、任意の形状で良い。
【0036】
また、柱状積層体3の内部電極2端が露出する側面には外部電極4がそれぞれ形成され、これにより、内部電極2は互い違いに1層おきに外部電極4にそれぞれ接続されている。柱状積層体3の外周面にはディッピング等の方法により、シリコーンゴムが被覆されている。
【0037】
以上のように構成された積層型圧電素子は、以下のプロセスにより製造される。先ず、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3などの圧電体セラミックスの仮焼粉末と、有機高分子からなるバインダと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、スリップキャステイング法により、図6(a)に示すように、厚み30〜250μmのセラミックグリーンシート29を作製する。
【0038】
次に、図7に示すような型31を用いてプレスして、図6(b)に示すように、グリーンシート29上であって、内部電極2先端部(厚肉部20)が位置する部分に凹部33を形成する。型31は、図7に示したように、グリーンシート29に凹部33を形成するように、凸部31aが形成されている。
【0039】
次に、図6(c)に示すように、グリーンシート29の上面に、内部電極2となる銀を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法により1〜10μmの厚みに印刷し、内部電極パターン35を形成する。尚、内部電極の主成分は、銀に限定されるものではなく、金、白金、パラジウム、銅、Niでも良い。
【0040】
次に内部電極パターン35の外周囲に、柱状積層体3の側面に露出する辺を除いて、再度スクリーン印刷法により導電性ペーストを印刷し、内部電極パターン35の外周囲に、幅が最初に印刷した内部電極パターン35の厚みの1〜100倍、厚みが最初に印刷した内部電極パターン35の厚みの1〜5倍の厚肉部パターン37を形成し、これにより、図8に示すような内部電極パターン35と厚肉部パターン37が形成され、内部電極パターン35の中央部の厚みより、厚肉部パターン37の導電性ペーストの厚みが高くなる。
【0041】
なお、上記例では内部電極パターン35の周辺部に厚肉部パターン37を作製するために、2回スクリーン印刷を行なう方法を用いたが、スクリーンのレジストの厚みを通常より厚くすることにより、1回の印刷で内部電極パターンと、その周辺部に厚肉部パターンを形成することもできる。
【0042】
次に、図7に示す型31を用いて、厚肉部パターンが位置する部分に凹部33が下面に形成されたグリーンシート29を、図6(c)で作製された、内部電極パターン35が印刷されたグリーンシート上に、図6(d)(e)に示すように、凹部33同士の位置が合致するように積層し、積層されたグリーンシート29の凹部33内に厚肉部パターン37の内部電極ペーストを充填するように加圧する。
【0043】
なお、この工程では、図6(c)で作製された、内部電極パターン35が印刷されたグリーンシート上に、凹部33が形成されていないグリーンシートを積層してもよく、そうすれば、凹部33同士の位置合わせが不要となり、製作が容易になる。この場合、最終的に作製される内部電極の厚肉部パターンの形状は、図3に示すようになる。
【0044】
この後、図6(b)〜(e)の工程を繰り返して、グリーンシート29と内部電極パターン35を所定の枚数だけ積層し、この積層体の上下面に、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシート29を複数積層し、積層成形体を作製する。尚、導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートを複数積層し、次に内部電極パターン35とグリーンシート29を所定の枚数だけ交互となるように、図6で示した製法で積層し、この次に導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートを複数積層して、積層成形体を作製しても良い。
【0045】
次に、この積層成形体を金型内に配置し50〜200℃で加熱を行いながら加圧を行い、積層成形体を一体化する。ここで、断面形状が曲線形状である内部電極2の厚肉部20の厚みbと幅aは、加圧時の圧力を変化させることで調節することができる。
【0046】
一体化された積層体は所定の大きさに切断された後、300〜800℃で5〜40時間、脱バインダが行われ、900〜1200℃で2〜5時間で本焼成が行われ、柱状積層体3を得る。この柱状積層体3は、図1に示すように、対向する側面に内部電極2の一辺が交互に露出している。また、柱状積層体3内部に存在する内部電極2の厚肉部20の断面形状は弧状となっている。
【0047】
つぎに、柱状積層体3の内部電極2の端部が露出した側面に熱硬化性の導電性接着剤を塗布し、この導電性接着剤を熱硬化させることにより、外部電極4を形成する。これにより、内部電極2は互い違いに1層おきに外部電極4にそれぞれ接続される。
【0048】
また、外部電極4には、銀を主成分とする銀ガラスペーストを塗布し500〜900℃で熱処理することにより外部電極4を形成してもよい。
【0049】
この後、外部電極4にリード線16を半田17で接続し、柱状積層体3の外周面に真空脱泡によるディッピング等の方法により、外装樹脂を被覆した後、圧電体の厚さ1mm当たり0.1〜5kVの分極電圧を印加し、分極処理することで、最終的な積層型圧電素子を得る。
【0050】
以上のように構成された積層型圧電素子では、断面形状が弧状である内部電極2の厚肉部20が形成されているため、外部電極4に数10〜数100ボルトの高電圧を印加し、駆動させた場合においても、内部電極2の厚肉部20に発生する電荷の集中が緩和され、該内部電極2端付近の圧電体1で発生する電界集中や応力集中が低減されるため、該内部電極2端付近を起点とする絶縁破壊やデラミネーションやクラックの発生を抑制することができ、高信頼性を備えたアクチュエータを提供することができる。
【0051】
なお、本発明の積層型圧電素子は、四角柱、六角柱、円柱等、どのような柱体であっても構わないが、切断の容易性から四角柱状が望ましい。
【0052】
また、図9は本発明の積層型圧電素子を用いた噴射装置を示すもので、図において符号51は収納容器を示している。この収納容器51の一端には噴射孔53が設けられ、また収納容器51内には、噴射孔53を開閉することができるニードルバルブ55が収容されている。
【0053】
噴射孔53には燃料通路57が連通可能に設けられ、この燃料通路57は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路57に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ55が噴射孔53を開放すると、燃料通路57に供給されていた燃料が一定の高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるように形成されている。
【0054】
また、ニードルバルブ55の上端部は直径が大きくなっており、収納容器51に形成されたシリンダ59と摺動可能なピストン61となっている。そして、収納容器51内には、上記した積層型圧電素子63が収納されている。
【0055】
このような噴射装置では、積層型圧電素子63が電圧を印加されて伸長すると、ピストン61が押圧され、ニードルバルブ55が噴射孔53を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると積層型圧電素子63が収縮し、皿バネ65がピストン61を押し返し、噴射孔53が燃料通路57と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明のセラミック電子部品では、積層型圧電素子の内部に存在する内部電極端の断面形状を弧状とすることにより、駆動時に内部電極端付近の圧電体で発生する、局所的な電界集中及び応力集中を低減することが可能となり、絶縁破壊やクラックやデラミネーションの発生を防止することができ、高信頼性を備えた積層型圧電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電素子を示す縦断面図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】内部電極端に、下側のみ突出する厚肉部が形成された柱状積層体の他の形態を示す縦断面図である。
【図4】図1の横断面図である。
【図5】(a)は有限要素法解析に用いた内部電極の厚肉部及びその近傍を示す断面図、(b)は、厚肉部(内部電極端)の半径Rと、該内部電極端付近の圧電体において発生する電界の最大値との関係を示すグラフ、(c)は、厚肉部(内部電極端)の半径Rと、該内部電極端付近の圧電体において発生する最大主応力との関係を示すグラフである。
【図6】積層型圧電素子の製造工程を示す工程図である。
【図7】内部電極の厚肉部を作製するための型を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図8】グリーンシート上に内部電極パターン及び厚肉部パターンを形成した状態を示す平面図である。
【図9】本発明の噴射装置を示す説明図である。
【図10】従来の積層型圧電素子の内部電極先端形状を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・圧電体(絶縁体)
2・・・内部電極(導体)
3・・・柱状積層体(電子部品本体)
20・・・厚肉部
a・・・厚肉部の幅
b・・・厚肉部の厚さ
Claims (6)
- 複数の絶縁層が積層されるとともに、該絶縁層間における一部領域に導体が介在し、前記絶縁層及び前記導体が同時焼成された電子部品本体を具備するセラミック電子部品であって、前記絶縁層間に埋設された導体端部が、導体中央部よりも厚みが厚い厚肉部であり、該厚肉部端の断面形状が、前記導体が形成されていない側に向けて凸となる弧状であることを特徴とするセラミック電子部品。
- 前記厚肉部の幅aが、前記導体中央部の厚みtの1〜100倍であることを特徴とする請求項1記載のセラミック電子部品。
- 前記厚肉部の最大厚みbが、前記導体中央部の厚みtの1.2〜5倍であることを特徴とする請求項1又は2記載のセラミック電子部品。
- 前記厚肉部端が、前記導体中央部の厚みtの1/2よりも大きい曲率半径を有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載のセラミック電子部品。
- 積層型圧電素子として機能することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載のセラミック電子部品。
- 請求項1乃至4のうちいずれかに記載のセラミック電子部品が積層型圧電素子であり、該積層型圧電素子が収容され、噴射孔を有する収納容器と、前記積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする噴射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002377490A JP4261903B2 (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | セラミック電子部品及び噴射装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002377490A JP4261903B2 (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | セラミック電子部品及び噴射装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004207633A JP2004207633A (ja) | 2004-07-22 |
JP4261903B2 true JP4261903B2 (ja) | 2009-05-13 |
Family
ID=32814654
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002377490A Expired - Fee Related JP4261903B2 (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | セラミック電子部品及び噴射装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4261903B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006196717A (ja) * | 2005-01-14 | 2006-07-27 | Nec Tokin Corp | 積層型圧電セラミックス素子およびその製造方法 |
WO2008146878A1 (ja) * | 2007-05-30 | 2008-12-04 | Kyocera Corporation | 積層型圧電素子、噴射装置、燃料噴射システム、及び積層型圧電素子の製造方法 |
JP5530172B2 (ja) * | 2009-12-25 | 2014-06-25 | 太平洋セメント株式会社 | 電子部品の内部電極の製造方法 |
JP5988366B2 (ja) * | 2012-09-28 | 2016-09-07 | 京セラ株式会社 | 積層型圧電素子 |
KR20160004655A (ko) * | 2014-07-03 | 2016-01-13 | 삼성전기주식회사 | 적층 세라믹 커패시터 및 적층 세라믹 커패시터의 실장 기판 |
JP2021044317A (ja) * | 2019-09-09 | 2021-03-18 | 株式会社村田製作所 | 積層セラミック電子部品 |
JP2021125583A (ja) * | 2020-02-06 | 2021-08-30 | Tdk株式会社 | 積層チップ部品の製造方法 |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002377490A patent/JP4261903B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004207633A (ja) | 2004-07-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4933554B2 (ja) | 積層型圧電素子、これを用いた噴射装置及び燃料噴射システム、並びに積層型圧電素子の製造方法 | |
WO2011013689A1 (ja) | 積層型圧電素子およびこれを用いた噴射装置ならびに燃料噴射システム | |
JP5084744B2 (ja) | 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム | |
JP5586777B2 (ja) | 積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システム | |
JP2007157849A (ja) | 積層型圧電素子の製造方法 | |
JPWO2010110291A1 (ja) | 積層型圧電素子およびそれを用いた噴射装置ならびに燃料噴射システム | |
JP5342919B2 (ja) | 積層型圧電素子、これを用いた噴射装置および燃料噴射システム | |
JP5270578B2 (ja) | 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム | |
JP4261903B2 (ja) | セラミック電子部品及び噴射装置 | |
JP3730893B2 (ja) | 積層型圧電素子及びその製法並びに噴射装置 | |
JP2003197991A (ja) | 積層型圧電素子及び噴射装置 | |
JP5154580B2 (ja) | 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム | |
JP3598057B2 (ja) | 積層型圧電素子および噴射装置 | |
JP3894861B2 (ja) | 積層型圧電素子及び噴射装置 | |
JP4299807B2 (ja) | 積層型圧電素子及び噴射装置 | |
JP2006245594A (ja) | 積層型圧電素子の製造方法及び積層型圧電素子 | |
JP4942461B2 (ja) | セラミック電子部品及び噴射装置 | |
JP5319196B2 (ja) | 積層型圧電素子、これを用いた噴射装置及び燃料噴射システム | |
JP3921171B2 (ja) | セラミック電子部品及びその製法並びに噴射装置 | |
JP5701397B2 (ja) | 積層型圧電素子およびこれを備えた圧電アクチュエータ、噴射装置、燃料噴射システム | |
JP5133399B2 (ja) | 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム | |
JP3872349B2 (ja) | 積層型圧電素子の製法 | |
JP4290947B2 (ja) | 積層型圧電素子及び噴射装置 | |
JP3909276B2 (ja) | 積層型圧電素子及び噴射装置 | |
EP2882003B1 (en) | Laminated piezoelectric element and fuel injection device equipped with same, and fuel injection system |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050516 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20081023 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081027 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081212 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090113 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090206 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4261903 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120220 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130220 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140220 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |