JP5679677B2 - 積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システム - Google Patents

積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システム Download PDF

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Description

本発明は、例えば、圧電体を用いた駆動素子(圧電アクチュエータ),センサ素子または回路素子として用いられる積層型圧電素子、これを備えた自動車エンジンの燃料噴射装置等の噴射装置および自動車エンジン等の燃料噴射システムに関する。
従来の積層型圧電素子は、例えば、圧電体層および内部電極層を交互に積層した積層体と、この積層体の一対の側面のそれぞれに接合され、内部電極層に電気的に接続された一対の外部電極層と、積層体の側面を被覆する被覆層とを含む構成になっている(例えば、特許文献1を参照)。
具体的には、内部電極層が一層おきに積層体の対向する一対の側面に交互に露出するように積層され、一対の外部電極(正極の外部電極および負極の外部電極)に交互に接続されている。ここで、積層体の積層方向の両端には圧電体層が配置されていて、積層体は、内側の電圧印加によって伸縮駆動する活性部と、両端の伸縮駆動しない不活性部とに分けることができる。そして、被覆層は、積層体の側面に露出する内部電極層の端面と外部電極層の表面とを含み、活性部から不活性部にかけて均一の厚みに形成されている。
このような従来の積層型圧電素子は、まず、圧電体層の原料を含むセラミックグリーンシートに、内部電極層となる導電性ペーストを所定のパターンで印刷する。次に、導電性ペーストを印刷したセラミックグリーンシートを複数枚積層して積層成形体を作製し、これを焼成することによって積層体を得る。その後、積層体の対向する一対の側面に外部電極となる導電性ペーストを塗布し、焼成することによって、一対の外部電極を形成した後、電着塗装やディッピングにより被覆層を形成して得ることができる。(例えば、特許文献2を参照)。
特開2003−347621号公報 特開平7−7193号公報
ここで、積層型圧電素子は、コンデンサ等の電子部品と異なり、駆動時に活性部を構成する圧電体層が連続的に寸法変化を起こすために、自己発熱して高温になる。一方、不活性部を構成する圧電体層は寸法変化しないので、自己発熱がない。したがって、不活性部では活性部からの熱伝達による温度上昇があるものの、活性部と不活性部との間で温度差が生じ、これによる熱応力が発生する。積層体の側面に被覆層が形成されない場合は、積層体の側面から熱が放散されるため、活性部と不活性部との間の温度差によって生じる熱応力は小さいが、積層体の側面に均一厚みに被覆層が形成されていると、熱が十分に放散されず、活性部と不活性部との間の温度差によって生じる熱応力が大きくなる。そのため、積層体における不活性部と活性部との境界に、クラックが生じるおそれがあった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みて案出されたものであり、不活性部と活性部との境界の温度差による熱応力を小さく抑え、熱応力によるクラックが生じないようにした長期信頼性に優れた積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システムを提供することを目的とする。
本発明の積層型圧電素子は、圧電体層および内部電極層が交互に複数積層されてなる活性
部および該活性部の積層方向の両端に配置されたそれぞれ圧電体層が複数積層されてなる不活性部を有する柱状の積層体と、該積層体の一対の側面に積層方向にそれぞれ被着されて前記内部電極層が一層おきに交互に電気的に接続された一対の外部電極層と、前記積層体の側面を前記活性部から前記不活性部にかけて前記外部電極層とともに被覆する被覆層とを含む積層型圧電素子であって、前記被覆層は、前記不活性部の側面における厚みよりも前記活性部の側面における厚みが薄く、前記不活性部に位置する前記外部電極層上の前記被覆層の厚みよりも前記活性部に位置する前記外部電極層上の前記被覆層の厚みの方が薄いことを特徴とするものである。
また、本発明の積層型圧電素子は、上記構成において、前記被覆層が樹脂で形成されていることを特徴とするとするものである。
また、本発明の積層型圧電素子は、上記構成において、前記被覆層がすべての面において不活性部の厚みよりも前記活性部の厚みが薄いことを特徴とするものである。
本発明の噴射装置は、噴射孔を有する容器と、上記本発明の積層型圧電素子とを備え、前記容器内に蓄えられた流体が前記積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から吐出されることを特徴とするものである。
本発明の燃料噴射システムは、高圧燃料を蓄えるコモンレールと、該コモンレールに蓄えられた前記高圧燃料を噴射する上記本発明の噴射装置と、前記コモンレールに前記高圧燃料を供給する圧力ポンプと、前記噴射装置に駆動信号を与える噴射制御ユニットとを備えたことを特徴とするものである。
本発明の積層型圧電素子によれば、被覆層は、不活性部の側面における厚みよりも活性部の側面における厚みが薄く、前記不活性部に位置する前記外部電極層上の前記被覆層の厚みよりも前記活性部に位置する前記外部電極層上の前記被覆層の厚みの方が薄いことから、活性部で自己発熱した熱が逃げやすくなり活性部の温度上昇を抑えることができる。また、不活性部の被覆層が厚いことから、活性部から不活性部に伝わった熱がこもって不活性部の温度が上昇しやすくなるので、活性部と不活性部との温度差が小さくなる。したがって、活性部と不活性部との境界の熱応力が小さくなり、クラックの発生を抑制することができる。
また、活性部における被覆層が薄いことで弾性率が低くなり、被覆層が伸びやすくなる。
さらに、被覆層が樹脂で形成されているときには、樹脂は伸びやすいから、発熱した活性部が伸びたときに樹脂が薄くなって、熱が効果的に放散され、活性部の温度上昇を抑えられる。一方、伸びない不活性部の被覆層は厚みを維持でき、さらに樹脂自体の熱伝導性が低いので、熱が放散されにくく、活性部と不活性部との温度差が小さくなり、活性部と不活性部との境界の熱応力がより小さくなる。
本発明の噴射装置は、噴射孔を有する容器と、上記本発明の積層型圧電素子とを備え、容器内に蓄えられた流体が積層型圧電素子の駆動により噴射孔から吐出されることから、信頼性および耐久性の高い積層型圧電素子を用いているために、信頼性および耐久性の高い噴射装置となる。
本発明の燃料噴射システムは、高圧燃料を蓄えるコモンレールと、コモンレールに蓄えられた高圧燃料を噴射する上記本発明の噴射装置と、コモンレールに高圧燃料を供給する圧力ポンプと、噴射装置に駆動信号を与える噴射制御ユニットとを備えたことから、信頼
性および耐久性の高い噴射装置を用いているために、信頼性および耐久性の高い燃料噴射システムとなる。
本発明の積層型圧電素子について実施の形態の一例を示す一部透視斜視図である。 図1に示す積層型圧電素子の外部電極層および被覆層が形成された部位の縦断面を拡大した要部拡大縦断面図である。 (a)〜(c)はそれぞれ本発明の積層型圧電素子における被覆層についての他の例を示す一部拡大縦断面図である。 本発明の噴射装置について実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明の燃料噴射システムについて実施の形態の一例を示すブロック図である。
以下、本発明の積層型圧電素子の実施の形態の例について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の積層型圧電素子における実施の形態の一例を示す一部透視斜視図であり、図2は、図1に示す積層型圧電素子の外部電極層および被覆層が形成された部位の縦断面を拡大した要部拡大縦断面図である。
図1および図2に示すように、本例の積層型圧電素子1は、圧電体層3および内部電極層2が交互に複数積層されてなる活性部6と該活性部の積層方向の両端に配置されたそれぞれ圧電体層が複数積層されてなる不活性部7を有する柱状の積層体8と、積層体8の一対の側面に積層方向にそれぞれ被着されて内部電極層2が一層おきに交互に電気的に接続された一対の外部電極層4と、積層体8の側面を活性部6から不活性部7にかけて外部電極層4とともに被覆する被覆層5とを含み、被覆層5は不活性部7の側面における厚みよりも活性部6の側面における厚みが薄いことを特徴とするものである。
積層型圧電素子1を構成する積層体8は、圧電体層3と内部電極層2とが交互に積層され、内部電極層2は正極と負極とが1層おきに交互に形成されてなるものである。積層体8は、例えば縦0.5〜10mm、横0.5〜10mm、高さ1〜100mm程度の直方体状に形成さ
れている。なお、図1に示す積層体8は四角柱状に形成されたものであるが、この形状に限定されず、例えば六角柱形状や八角柱形状などであってもよい。さらに、直径0.5〜10
mm高さ1〜100mm程度の円柱形状であってもよい。
積層体8を構成する圧電体層3は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)(以下、PZTともいう),チタン酸バリウム(BaTiO)等を主成分とする圧電性を有するセラミック材料で形成されている。圧電体層3としては、圧電性を有するセラミックスからなるものであればよく、小さな入力電圧によって積層体8を伸縮駆動させることができるように、圧電歪み定数d33が高いもの(200〜1000程度)がよい。また
、圧電体層3の厚み、すなわち内部電極層2間の間隔は、3μm〜0.25mm程度がよい。この範囲内とすることにより、積層体8の小型化が可能であり、また、高い電圧を印加することができ、積層体8においてより大きな変位量を得ることができる。
内部電極層2は、例えば、電気抵抗が小さく、取り扱いの容易な銀、あるいは銀−パラジウム合金,銀−白金合金,銀−金合金等の銀を主成分とする合金を含む金属、またはセラミックスのような無機材からなるもの(銀およびチタン酸バリウムの焼結体)で形成されている。なお、銀を主成分とするとは、銀の含有量が最大であることを意味する。この
内部電極層2は、圧電体層3の主面の全体には形成されておらず、外部電極層4に接続された側と反対側に非形成部を有する、いわゆる部分電極構造となっている。部分電極構造の複数の内部電極層2は、一層おきに積層体8の対向する側面にそれぞれ露出するように配置され、一層おきに一対の外部電極層4に交互に電気的に接続されている。なお、図1では、対向する一対の側面の一方に正極となる内部電極層2が露出し、他方に負極となる内部電極層2が露出していて、対向する他の一対の側面に正極および負極の両極が露出している。
内部電極層2が一層おきに交互に電気的に接続された一対の外部電極層4は、積層体8の対向する一対の側面に積層方向にそれぞれ被着されている(図1および図2において、一方の外部電極層は不図示)。外部電極層4は、内部電極層2と同様に、銀、あるいは銀−パラジウム合金,銀−白金合金,銀−金合金等の銀を主成分とする合金を含む金属、または銀およびガラスからなるもの(銀およびガラスの焼結体)で形成されている。それぞれの外部電極層4(正極となる内部電極層2に電気的に接続された外部電極層4、負極となる内部電極層2に電気的に接続された外部電極層4)には、それぞれ外部リード部材(図示せず)が半田などによって取り付けられる。そして、一対の外部電極層4を通じて、上下に隣り合う内部電極層2間に所定の電圧を印加することにより、活性部6を構成する各圧電体層3が逆圧電効果によって変位するようになっている。なお、一対の外部電極層4は、対向する一対の側面に限らず、積層体8の隣接する2つの側面に形成されるようにしてもよく、この場合、外部電極層4が形成される側面に内部電極層2の正極および負極のうちの一方が露出するように内部電極層2を形成すればよい。
ここで、積層体8は、圧電体層3および内部電極層2が交互に複数積層されてなる伸縮駆動する活性部6と、活性部6の積層方向の両端に配置されたそれぞれ圧電体層3が複数積層されてなる伸縮駆動しない不活性部7とを有している。不活性部7には内部電極層2が配置されていないので、積層体8に電圧を印加しても不活性部7には変位(伸縮)が生じない。
積層体8の側面には、活性部6から不活性部7にかけて外部電極層4とともに被覆する被覆層5が形成されている。
具体的には、この被覆層5は、活性部6に形成されるとともに、活性部6と不活性部7との境界から不活性部7に入り込んだ領域まで形成されている。そして、この活性部6と不活性部7との境界から不活性部7に入り込んだ領域まで形成されているとは、少なくとも活性部6における圧電体層3の厚み(内部電極層2間の間隔)以上の距離まで形成されていればよく、必ずしも不活性部7の全域に形成されなくてもよいことを意味している。例えば、この距離は3μm以上あればよく、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上であり、この距離の領域まで形成されれば、活性部6と不活性部7との境界の熱応力を低減できる。
また、外部電極層4は活性部6から不活性部7にかけて形成されるため、被覆層5は外部電極層4の表面にも形成される。ここで、外部電極層4には後述するように外部リード部材(図示せず)が電気的に接続されることから、この外部リード部材(図示せず)を電気的に接続するための一部を残して、外部電極層4の表面に被覆層5が形成されることとなる。
そして、被覆層5は不活性部7の側面における厚みよりも活性部6の側面における厚みが薄いことが重要である。この構成により、自己発熱した熱が逃げやすくなり活性部6の温度上昇を抑えることができる。また、不活性部7の被覆層5が厚いことから、活性部6から不活性部7に伝わった熱がこもって不活性部7の温度が上昇しやすくなるので、活性
部6と不活性部7との温度差が小さくなる。したがって、活性部6と不活性部7との境界の熱応力が小さくなり、クラックを抑制することができる。
さらに、活性部6における被覆層5が薄いことで、弾性率が低く活性部の拘束が小さくなるので、伸びやすくなる。
被覆層5の形成については、スクリーン印刷法、ディッピング法、エアロゾルデポジション法、化学気相法、あるいは物理蒸着法(スパッタリング法)があげられる。
具体的には、不活性部7の側面における厚みを活性部6の側面よりも厚く形成するために、スクリーン印刷法やディッピング法の場合は、活性部6から不活性部7にかけて、一旦被覆層を形成した後に不活性部7だけを選択的に被覆層5の上からさらに被覆層5を形成する。また、この場合は、被覆層を構成する成分を溶剤等に薄めたペーストを用いるので、被覆層を構成する成分の含有率を多くしたペーストを、不活性部7に塗布することで、不活性部7における被覆層5の厚みを厚くすることもできる。
また、エアロゾルデポジション法、化学気相法または物理蒸着法(スパッタリング法)の場合は、不活性部7の被覆層5を2段階に形成する方法でもよく、不活性部7の被覆層5の形成時間を長くしてもよい。
ここで、活性部6の被覆厚みは、1μm〜1mmであるのが好ましい。厚みが1μmより小さいと、絶縁させる機能が低下する傾向があり、厚みが1mmを超えると活性部6の熱の放散が十分でなくなる傾向があり、活性部6の温度が高くなって不活性部7との温度差による熱応力が大きくなるおそれがあるからである。好ましくは、3μm〜0.5mm、
より好ましくは10μm〜0.1mmである。
一方、不活性部7の被覆厚みは、活性部6の被覆厚みよりも厚いことを前提として、3μm〜1.5mmであるのが好ましい。厚みが3μmより小さいと、不活性部7の熱が放散
されてしまい、不活性部7の温度上昇がともなわず、活性部6との温度差による熱応力が大きくなる傾向がある。厚みが1.5mmを超えると、熱が放散されにくいので熱応力に影
響はないが、その形成が難しくなる。好ましくは、5μm〜1.0mm、より好ましくは15
μm〜0.15mmである。
なお、被覆層5の被覆厚みは、製造時には積層体8の側面に直接または外部電極層4の表面上に被覆層5を形成した厚みから、この被覆層5を形成する前の厚みを差し引いて計測することができ、製造後の製品においては切断した断面を工具顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)で計測することができる。ここで、例えば被覆層5における積層体8の側面に直接形成した領域と外部電極層4の表面上の領域との被覆厚みが同じ場合は、外部電極層4の厚み分だけ段差ができることとなる。
ここで、被覆層5は、積層体8の側面のうちの少なくとも1面に形成されていれば、活性部6と不活性部7との境界の熱応力が小さくなり、クラックの発生を抑制するとの効果が得られるが、積層体8の側面のうちの全ての面において不活性部7における厚みよりも活性部6における厚みが薄いことが好ましく、これにより、積層体8の外周全体にわたって活性部と不活性部との温度差が小さくなることから、活性部と不活性部との境界の熱応力をより低減させることができる。
被覆層5の材質は、無機材(セラミックス、ガラス)や有機材(樹脂)等の絶縁物であることが好ましく、特に樹脂であることが好ましい。樹脂は伸縮し易いことから、被覆層5が樹脂で形成されていることで、発熱した活性部6が伸びた時に樹脂が薄くなって、熱
を効果的に散逸でき、活性部6の温度上昇を抑えられる。一方、伸びない不活性部7の被覆層5はその厚みを維持でき、さらに樹脂自体の熱伝導が低く、熱が散逸しにくいので、活性部6と不活性部7との温度差が小さくなり、活性部6と不活性部7との境界の熱応力が小さくなり、クラックが生じにくくなる。
なお、樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等のヤング率が低く、熱伝導性が低いものが挙げられる。
また、被覆層5の形状は、図2に示すような活性部6と不活性部7との境界付近で急激に厚みが変化する構成に限らず、図3(a)〜(c)に示すように種々の構成とすることができる。
図3(a)は、柱状の積層体8の積層方向において、活性部6から不活性部7にかけて被覆層5の厚みが徐々に厚くなる、換言すれば発熱の多い領域から発熱の無い領域にかけて傾斜があるものであり、この構成によれば、活性部6の中央に向かって徐々に熱の放散性をよくすることができ、活性部6と不活性部7との境界の熱応力を緩和することができる。
なお、図3(a)に示す被覆層5は、積層体8(活性部6)の中央を起点として徐々に厚みが厚くなるように形成されたものであるが、この起点は積層体8の中央に限定されず、例えば、活性部6の大部分が前述の厚み1μm〜1mmに形成され、活性部6と不活性部7との境界から圧電体層3の厚み(内部電極層2間の間隔)以上の距離の点、例えば活性部6の領域内に3μm〜1mm入り込んだ点を起点として、この点から徐々に厚みが厚くなるようにしてもよく、好ましくは0.01〜0.5mm、より好ましくは0.05〜0.2mmの点を起点としてもよい。
また、図3(b)は、積層体8の積層方向において、活性部6から不活性部7にかけて被覆層5の厚みが段階的に大きくなるものであり、この構成によれば、活性部6の中央に向かって段階的に熱の放散性をよくすることができ、活性部6と不活性部7との境界の熱応力を緩和することができる。
なお、図3(b)では、まず活性部6と不活性部7との境界で厚みの段差が形成され、さらに活性部6と不活性部7との境界から活性部6の領域内に入り込んだ点で段差が形成されているが、この活性部6と不活性部7との境界から活性部6の領域内に入り込んだ点は、活性部6と不活性部7との境界から圧電体層3の厚み(内部電極層2間の間隔)以上の距離の点、例えば3μm〜1mm入り込んだ点であればよく、好ましくは0.01〜0.5m
m、より好ましくは0.05〜0.2mmの点であればよい。このとき、段差とする厚み(段差
の高さ)は3μm以上あればよく、好ましくは0.01mm、より好ましくは0.05mm以上あればよい。また、段階数(段差の数)については、活性部6と不活性部7との境界における段差を含めて、2〜5段階程度がよい。
また、図3(c)は、被覆層5の厚みがばらついている場合において、活性部6に形成された被覆層5の厚みの平均値よりも不活性部7に形成された被覆層5の厚みの平均値のほうが大きいものである。ここで、不活性部7における被覆層5の厚みの平均値と活性部6における被覆層5の厚みの平均値との差が2μm以上、好ましくは5μm以上が有効である。
ここで、活性部6に形成された被覆層5の厚みの平均値は、活性部6と不活性部7との境界から1mmまでの領域について表面粗さ計を用いて0.1mm間隔で計測したものの平
均値であり、不活性部7に形成された被覆層5の厚みの平均値は、活性部6と不活性部7
との境界から1mmまでの領域(被覆層5が活性部6と不活性部7との境界から1mmまで形成されていない場合は、活性部6と不活性部7との境界から被覆している端部までの全ての領域)について表面粗さ計を用いて0.1mm間隔で計測したものの平均値である。
なお、測定する領域において、日本工業規格JIS B 0601にある十点平均粗さRzjis(旧規格ではRz)による基準長さ内で、山の高い値を5点選ぶとともに谷の低い値を5点選び、平均した値としたものでもよい。
次に、本実施の形態の積層型圧電素子1の製法を説明する。
まず、圧電体層3となるセラミックグリーンシートを作製する。具体的には、圧電性セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系あるいはブチラール系等の有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混合してセラミックスラリーを作製する。圧電性セラミックスとしては、圧電特性を有するものであればよく、例えば、PbZrO−PbTiO等からなるペロブスカイト型酸化物等を用いることができる。また、可塑剤としては、フタル酸ジブチル(DBP),フタル酸ジオクチル(DOP)等を用いることができる。
次に、このセラミックスラリーを用いて、ドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成型法によって、セラミックグリーンシートを作製する。
次に、内部電極層2となる導電性ペーストを作製する。例えば、銀−パラジウム合金等から成る金属粉末にバインダーおよび可塑剤等を添加混合することによって、導電性ペーストを作製する。この導電性ペーストを上記のセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷法によって所定のパターンに印刷する。さらに、この導電性ペーストがスクリーン印刷されたセラミックグリーンシートを複数積層し、積層成形体を作製する。そして、この積層成形体を焼成することによって、圧電体層3および内部電極層2が交互に積層された積層体8を作製する。
その後、積層型圧電素子1の積層体8の外表面に端部が露出している内部電極層2との電気的な導通が得られるように、外部電極層4を形成する。この外部電極層4は、銀粉末およびガラス粉末にバインダーを加えて銀ガラス含有導電性ペーストを作製し、これを積層体8の側面にスクリーン印刷法等によって印刷して、乾燥させて接着するかまたは焼き付けることによって、形成することができる。
次に、積層体8の側面に被覆層5を形成する。被覆層5は、柱状の積層体8の形状によって形成方法を変えてもよい。例えば、角柱形状では、積層体8の側面にスクリーン印刷法によって印刷して、乾燥させた後に接着するかまたは焼き付けることによって、形成することが容易である。円柱形状ではディッピングによる形成が容易である。
例えば、樹脂に有機溶剤を添加して粘度調整した被覆材でスクリーン印刷を行なう。特に、不活性部においては、スクリーン印刷を繰り返して、多層形成して厚みを活性部よりも厚く形成させる。形成方法はスクリーン印刷だけでなく、外部電極層4を形成した積層体8を被覆材に浸漬して形成してもよい。また、薄く形成する活性部をマスキングすることで、活性部の厚みより不活性部の厚みが厚い関係となる被覆層を形成することもできる。また、スパッタリング法、電着形成法、または化学的気相法や物理的気相法による膜形成でもよい。
具体的には、被覆材は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂に有機溶剤を添加して粘度調整したものである。例えば、ビスフェノールA型の成分が含有されているエポキシ樹脂に、有機溶剤を数%〜数十%程度の所定量を追加して均一に混合させ、粘度を調整して作成される。有機溶剤としては、アルコー
ル、ベンゼン、エーテル化合物、石油ナフサ等が挙げられる。なお、ガラス、セラミックス等の無機材のフィラー成分を混合してもよい。
なお、外部電極層4を外部の回路と電気的に接続するための外部リード部材(図示せず)を被覆層の形成後に外部電極層4に接合させる場合は、外部リード部材を取り付ける場所をマスキングして被覆層5を形成した後に、マスキングした場所に半田や溶接にて接合させる。この場合、被覆層5の形成は、スクリーン印刷法やディッピング法を用いるのが好ましい。また、外部リード部材を外部電極層4に接合させた後に被覆層5を形成する場合は、被覆層の形成は、ディッピング法、スパッタリング法、電着形成法、または化学的気相法や物理的気相法による膜形成が好ましい。
その後、外部電極層4に電気的に接続された外部リード部材を介して、一対の外部電極層4から内部電極層2間の圧電体層3に0.1〜3kV/mmの直流電界を印加し、積層体
8の圧電体層3を分極することによって、積層型圧電素子1が完成する。
そして、外部リード部材に外部の駆動電力を供給する電源を電気的に接続して、外部電極層4を介して内部電極層2間の圧電体層3に電圧を印加することにより、各圧電体層3を逆圧電効果によって大きく変位させることができる。これにより、例えばエンジンに燃料を噴射供給する自動車用燃料噴射弁として機能させることが可能となる。
次に、本発明の噴射装置としての流体の噴射装置の実施の形態の一例について説明する。図4は、本発明の噴射装置の実施の形態の一例を示す概略的な断面図である。
図4に示すように、本実施の形態の噴射装置19は、噴射孔21を有する容器23と、上記本実施の形態の積層型圧電素子1とを備え、容器23内に蓄えられた流体が積層型圧電素子1の駆動により噴射孔21から吐出される構成である。
この構成により、信頼性および耐久性の高い積層型圧電素子1を用いているために、信頼性および耐久性の高い噴射装置19となる。
本実施の形態の噴射装置19において、一端に噴射孔21を有する容器23の内部に上記実施の形態の例に代表される本発明の積層型圧電素子1が収納されている。容器23内には、噴射孔21を開閉することができるニードルバルブ25が配設されている。噴射孔21には流体通路27がニードルバルブ25の動きに応じて連通可能になるように配設されている。この流体通路27は、外部の流体供給源に連結され、流体通路27に常時高圧で流体である例えば液体が供給されている。従って、積層型圧電素子1の駆動によってニードルバルブ25が噴射孔21を開放すると、流体通路27に供給されていた流体が、噴射孔21の外部または噴射孔21に隣接する容器、例えば内燃機関の燃料室(図示せず)に、噴射孔21から吐出され噴射される。
また、ニードルバルブ25の上端部は内径が大きくなっており、容器23に形成されたシリンダ29と摺動可能なピストン31が配置されている。そして、容器23内には、上記の本実施の形態の積層型圧電素子1が収納されている。
このような噴射装置19においては、圧電アクチュエータとして機能する積層型圧電素子1が電圧を印加されて伸長すると、ピストン31が押圧され、ニードルバルブ25が噴射孔21を閉塞し、流体の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると積層型圧電素子1が収縮し、皿バネ33がピストン31を押し返すことによって流体通路27が開放され、噴射孔21が流体通路27と連通して、噴射孔21から流体の噴射が行なわれる。
なお、流体噴射の動作としては、積層型圧電素子1に電圧を印加することによって流体流路27を開放して噴射孔21から流体を吐出し、電圧の印加を停止することによって流体流路27を閉鎖して流体の吐出を停止するように構成してもよい。
また、本実施の形態の噴射装置19は、噴射孔21を有する容器23と、本実施の形態の積層型圧電素子1とを備え、容器23内に充填された流体を積層型圧電素子1の駆動により噴射孔21から吐出させるように構成されていてもよい。すなわち、積層型圧電素子1は必ずしも容器23の内部にある必要はなく、積層型圧電素子1の駆動によって容器23の内部に噴射孔21への流体の供給および停止を行なうための圧力が加わるように構成されていればよい。また、液体を始めとする流体は、流体通路27を通して噴射孔21に供給されるだけでなく、容器23内の適当な箇所に流体を一時的に溜めておく部分を設けて、容器23内に充填された流体を噴射孔21から吐出させてもよい。
なお、本実施の形態の噴射装置19において、流体とは、燃料あるいはインク等の液体の他、種々の液状体(導電性ペースト等)および気体が含まれる。これら流体に対して本実施の形態の噴射装置19を用いることによって、流体の流量および噴射のタイミングを長期にわたって安定して制御することができる。
本実施の形態の積層型圧電素子1を採用した本実施の形態の噴射装置19を内燃機関に用いれば、従来の噴射装置に比べて、エンジン等の内燃機関の燃料室に燃料をより長い期間にわたって精度よく噴射させることができる。
次に、本発明の燃料噴射システムの実施の形態の例について説明する。図5は、本発明の燃料噴射システムの実施の形態の一例を示す概略的なブロック図である。
図5に示すように、本実施の形態の燃料噴射システム35は、高圧燃料を蓄えるコモンレール37と、このコモンレール37に蓄えられた高圧燃料を噴射する複数の本実施の形態の噴射装置19と、コモンレール37に高圧燃料を供給する圧力ポンプ39と、噴射装置19に駆動信号を与える噴射制御ユニット41とを備えている。
噴射制御ユニット41は、外部情報または外部からの信号に基づいて高圧燃料の噴射の量やタイミングを制御する。例えば、エンジンの燃料噴射に用いる噴射制御ユニット41の場合には、エンジンの燃焼室内の状況をセンサ等で感知しながら燃料噴射の量やタイミングを制御することができる。
圧力ポンプ39は、燃料タンク43から流体燃料を高圧でコモンレール37に供給する役割を果たす。例えば、エンジンの燃料噴射システム35の場合には、1000〜2000気圧(約101M
Pa〜約203MPa)程度、好ましくは、1500〜1700気圧(約152MPa〜約172MPa)
程度の高圧にしてコモンレール37に流体燃料を送り込む。
コモンレール37は、圧力ポンプ39から送られてきた高圧燃料を蓄え、積層型圧電素子1の駆動に応じて噴射装置19に適宜送り込む。噴射装置19は、前述したように噴射孔21から所定量の流体である高圧燃料を噴射装置19の噴射孔21から外部または噴射孔21に隣接する容器に高圧で吐出し噴射する。例えば、高圧燃料を噴射供給する対象がエンジンの場合には、流体である高圧燃料を噴射孔21からエンジンの燃焼室内に霧状に噴射する。
なお、本発明は、上記の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を行なうことは何ら差し支えない。例えば、本発明は、積層型圧電素子および噴射装置ならびに燃料噴射システムに関するものであるが、上記の実施の形態の例に限定されるものでなく、例えば、本発明の積層型圧電素子を用いた、インク
ジェットプリンタの印字装置、圧力センサ等であってもよく、圧電特性を利用した積層型圧電素子を用いたものであれば、同様の構成で種々の製品に実施可能である。
また、本発明の積層型圧電素子は、自動車エンジンの燃料噴射装置、インクジェット等の液体噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置、振動防止装置等に搭載される駆動素子(圧電アクチュエータ)、燃焼圧センサ、ノックセンサ、加速度センサ、荷重センサ、超音波センサ、感圧センサ、ヨーレートセンサ等に搭載されるセンサ素子、ならびに圧電ジャイロ、圧電スイッチ、圧電トランス、圧電ブレーカー等に搭載される回路素子等に用いることができる。
本発明の積層型圧電素子の実施例について以下に説明する。
本発明の積層型圧電素子からなる圧電アクチュエータを以下のようにして作製した。まず、平均粒径が0.4μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)を主成
分とする圧電性セラミックの仮焼粉末、バインダー、および可塑剤を混合したセラミックスラリーを作製し、ドクターブレード法によって厚み140μmの圧電体層とるセラミック
グリーンシートを作製した。
次に、このセラミックグリーンシートの片面に、銀−パラジウム合金(銀70質量%−パラジウム30重量%)にバインダーを加えた導電性ペーストを、スクリーン印刷法により形成したセラミックグリーンシートを300枚積層し、焼成した。焼成は、焼成炉内で温度を800℃に一旦保持した後に、1000℃に昇温して焼成した。そして、平面視形状が8mm×8mmの正方形で、長さが100mmの直方体状に研磨した。
次に、平均粒径2μmのフレーク状の銀粉末80質量%と、残部が平均粒径2μmのケイ素を主成分とする軟化点が640℃の非晶質のガラス粉末との混合物に、バインダーを混合
した銀ガラス含有導電性ペーストを作製した。この銀ガラス含有導電性ペーストを積層体の一対の側面にスクリーン印刷した後、焼き付けて幅2mm、厚み30μmの外部電極層を形成した。なお、後に外部電極層の一端側に外部リード部材を接合させるが、この一端側は他端側に比べて不活性部における長さを3mm長く形成した。
次に、被覆層を形成した。
試料番号1は、被覆層の被覆厚みを不活性部より活性部の方が厚い被覆厚みとした。具体的には、エポキシ樹脂を含有させた被覆材を作製して、活性部から不活性部にかけてスクリーン印刷を行ない、乾燥硬化して0.1mmの厚みの被覆層を形成した。
なお、被覆材は、チタニアを含む無機酸化物10質量%およびビスフェノールA型エポキシ樹脂90質量%(合計100質量部)に対して、アルコール25質量%、ベンゼン3質量%、
エーテル化合物25質量%、残部が石油ナフサからなる有機溶剤を外添で5質量部%添加して均一に混合させ、粘度を20Pa・sに調整したものである。
ここで、不活性部は6mmの長さであり、被覆層の不活性部における形成領域は、活性部と不活性部との境界から2mmまでの領域とした。このとき、外部電極層の外部リード部材との接続端側は3mm露出させて被覆層を形成した。
さらに、上記ペーストを活性部だけに再びスクリーン印刷した後、乾燥硬化して、活性部の被覆層の厚みを0.2mmとした。この被覆層の厚みは、積層体の側面形成時および外
部電極層形成時の厚みを表面粗さ計で予め計測しておき、被覆層を形成した後の厚みから
予め計測しておいた厚みを差し引いたものである。
また、試料番号2は、被覆層の被覆厚みを活性部と不活性部とで一致させた。具体的には、試料番号1と同じエポキシ樹脂を含有させた被覆材を作製して、活性部から不活性部にかけてスクリーン印刷を行ない、乾燥硬化して0.1mmの厚みの被覆層を形成した。
なお、試料番号1と同様に、被覆層の不活性部における形成領域は、活性部と不活性部との境界から2mmまでの領域とし、外部電極層の外部リード部材との接続端側は3mm露出させて被覆層を形成した。
また、試料番号3〜5の被覆厚みは、不活性部の方が活性部よりも厚いものとした。
試料番号3は、試料番号1と同じエポキシ樹脂を含有させた被覆材を作製して、活性部から不活性部にかけてスクリーン印刷を行ない、乾燥硬化して0.1mmの厚みの被覆層を
形成した。さらに、上記ペーストを不活性部だけに再びスクリーン印刷した後、乾燥硬化して、不活性部の被覆層の厚みを0.2mmとした。
なお、試料番号1と同様に、被覆層の不活性部における形成領域は、活性部と不活性部との境界から2mmまでの領域とし、外部電極層の外部リード部材との接続端側は3mm露出させて被覆層を形成した。
試料番号4は、試料番号1と同じエポキシ樹脂を含有させた被覆材を作製して、活性部から不活性部にかけてスクリーン印刷を行ない、乾燥硬化して0.05mmの厚みの被覆層を形成した。さらに、上記ペーストを不活性部だけに再びスクリーン印刷した後、乾燥硬化して、不活性部の被覆層の厚みを0.1mmとした。
なお、試料番号1と同様に、被覆層の不活性部における形成領域は、活性部と不活性部との境界から2mmまでの領域とし、外部電極層の外部リード部材との接続端側は3mm露出させて被覆層を形成した。
試料番号5は、チタニアを含む無機酸化物10質量%およびビスフェノールA型エポキシ樹脂90質量%(合計100質量部)に対して、アルコール25質量%、ベンゼン3質量%、エ
ーテル化合物25質量%、残部が石油ナフサからなる有機溶剤を外添で1質量部%添加して均一に混合させ、粘度を100Pa・sに調整した被覆材を作製して、積層体の端部および
外部電極層の外部リード部材との接続端側3mmを露出させるためのマスキングを行ない、積層体全体を含浸させてディッピングした後、乾燥硬化して0.5mmの厚みの被覆層を
形成した。さらに、活性部および外部電極層の外部リード部材との接続端側3mmを露出させるためのマスキングを行ない、積層体全体を含浸させてディッピングした後、乾燥硬化して不活性部の被覆層を1mmの厚みとした。
その後、正極および負極の外部電極層の露出した端部に外部リード部材を半田溶接し、この外部リード部材を介して3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行ない、図1に示すような構成の積層型圧電素子を用いた圧電アクチュエータを作製した。
得られた積層型圧電素子に170Vの直流電圧を印加したところ、すべての圧電アクチュ
エータにおいて、積層方向に変位量が得られた。
さらに、この圧電アクチュエータを室温で0V〜+200Vの交流電圧を60Hzの周波数
で印加して、1×10回連続駆動した後の変位量の変化率(低下率)、1×10回連続駆動した後の積層型圧電素子100個について積層型圧電素子の破壊数および発生したクラッ
ク数を測定した。また、その結果を表1に示す。
なお、積層型圧電素子の変位量の変化率は、レーザ変位装置(小野測器社製、製品名「レーザードップラー振動計 LV−1710」)によって測定した。また、積層型圧電素子の側面をポリッシングして、不活性部と活性部との境界にクラックがないかどうか走査型電子顕微鏡(SEM)によりクラック数を観察した。
Figure 0005679677
表1より、活性部の方が不活性部より厚い被覆層の形成された試料番号1(比較例)の積層型圧電素子は、1×10回連続駆動後の変位の変化率が35%と大きく、100個の積層
型圧電素子に発生したクラックの数は90本で、積層型圧電素子1個あたり平均0.9本とク
ラックの発生頻度が非常に高かった。
また、活性部と不活性部の厚みが同じ被覆層の形成された試料番号2(比較例)の積層型圧電素子は、1×10回連続駆動後の変位の変化率が20%と大きく、100個の積層型圧
電素子に発生したクラックの数は50本で、積層型圧電素子1個あたり平均0.5本とクラッ
クの発生頻度が高かった。
これらに対して、本発明の実施例である試料番号3〜5は、1×10回連続駆動させた後にも、変位量の変化が8%以下と小さく、100個の積層型圧電素子においてクラックは
発生しなかった。
1:積層型圧電素子
2:内部電極層
3:圧電体層
4:外部電極層
5:被覆層
6:活性部
7:不活性部
8:積層体
19:噴射装置
21:噴射孔
23:容器
25:ニードルバルブ
27:流体通路
29:シリンダ
31:ピストン
33:皿バネ
35:燃料噴射システム
37:コモンレール
39:圧力ポンプ
41:噴射制御ユニット
43:燃料タンク

Claims (5)

  1. 圧電体層および内部電極層が交互に複数積層されてなる活性部および該活性部の積層方向の両端に配置されたそれぞれ圧電体層が複数積層されてなる不活性部を有する柱状の積層体と、該積層体の一対の側面に積層方向にそれぞれ被着されて前記内部電極層が一層おきに交互に電気的に接続された一対の外部電極層と、前記積層体の側面を前記活性部から前記不活性部にかけて前記外部電極層とともに被覆する被覆層とを含む積層型圧電素子であって、
    前記被覆層は、前記不活性部の側面における厚みよりも前記活性部の側面における厚みが薄く、
    記不活性部に位置する前記外部電極層上の前記被覆層の厚みよりも前記活性部に位置する前記外部電極層上の前記被覆層の厚みの方が薄いことを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 前記被覆層は、樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電素子。
  3. 前記被覆層は、すべての面において不活性部の厚みよりも前記活性部の厚みが薄いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層型圧電素子。
  4. 噴射孔を有する容器と、請求項1に記載の積層型圧電素子とを備え、前記容器内に蓄えられた流体が前記積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から吐出されることを特徴とする噴射装置。
  5. 高圧燃料を蓄えるコモンレールと、該コモンレールに蓄えられた前記高圧燃料を噴射する請求項4に記載の噴射装置と、前記コモンレールに前記高圧燃料を供給する圧力ポンプと、前記噴射装置に駆動信号を与える噴射制御ユニットとを備えたことを特徴とする燃料噴射システム。
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