JP5562382B2 - 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム - Google Patents

積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム Download PDF

Info

Publication number
JP5562382B2
JP5562382B2 JP2012154710A JP2012154710A JP5562382B2 JP 5562382 B2 JP5562382 B2 JP 5562382B2 JP 2012154710 A JP2012154710 A JP 2012154710A JP 2012154710 A JP2012154710 A JP 2012154710A JP 5562382 B2 JP5562382 B2 JP 5562382B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal layer
piezoelectric element
region
external electrode
multilayer piezoelectric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012154710A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012216869A (ja
Inventor
健 岡村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2012154710A priority Critical patent/JP5562382B2/ja
Publication of JP2012216869A publication Critical patent/JP2012216869A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5562382B2 publication Critical patent/JP5562382B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、積層型圧電素子、噴射装置、及び燃料噴射システムに関し、例えば、自動車エンジンの燃料噴射装置、インクジェット等の液体噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置、振動防止装置等に搭載される駆動素子(圧電アクチュエータ)、燃焼圧センサ、ノックセンサ、加速度センサ、荷重センサ、超音波センサ、感圧センサ、ヨーレートセンサ等に搭載されるセンサ素子、及び、圧電ジャイロ、圧電スイッチ、圧電トランス、圧電ブレーカー等に搭載される回路素子等に用いられる積層型圧電素子、これを備えた噴射装置並びに燃料噴射システムに関するものである。
図21(a)は従来の積層型圧電素子(以下、単に「素子」ということもある)101を示す斜視図であり、図21(b)は、図21(a)の積層体107の一部分を分解した斜視図である。この素子101は、積層体107と、側面に形成された一対の外部電極109とを備えている。積層体107は、複数の圧電体層103及び複数の内部電極105を有している。図21(b)に示すように、内部電極105は、一層おきに積層体107の異なる側面に交互に露出するように積層されている。これにより、複数の内部電極105は、一対の外部電極109に交互に電気的に接続されている。積層体107の積層方向の両端側には非駆動領域115がそれぞれ設けられている。
近年、積層型圧電素子は、小型化が進められると同時に、大きな圧力下において大きな変位量を確保するように要求されている。そのために、より高い電界が印加され、しかも長時間連続駆動させる過酷な条件下で使用できる積層型圧電素子が求められている。このような要求に対応して、積層型圧電素子にかかる応力を緩和させるために電極間の距離を変化させた積層型圧電素子、粉末が充填された応力緩和層を設けた積層型圧電素子などが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
特開昭60−86880号公報 特開2001−267646号公報
ところで、素子101に電圧が印加されると、異極の内部電極105が隣り合う駆動領域は伸縮駆動するが、素子101の積層方向の両端側に設けられた非駆動領域115は自らは伸縮しない。そのため、駆動時には非駆動領域115にひずみが生じることになる。非駆動領域115にひずみが生じると、この非駆動領域115と駆動領域との境界付近には応力がかかりやすい。したがって、より耐久性の高い素子が求められている。
そこで、本発明は、高電圧、高圧力で長時間連続駆動させる過酷な条件下であっても、優れた耐久性を発揮する積層型圧電素子、噴射装置、及び燃料噴射システムを提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために、本発明に係る第1の積層型圧電素子は、複数の圧電体層と複数の内部電極とを含みこれらが交互に積層された積層体であって、隣接する内部電極間に挟まれた駆動領域と、前記駆動領域の積層方向の端部に設けられ、少なくとも2つの
圧電体層と該圧電体層間に配置された金属層とを含んでなる非駆動領域とを有する積層体と、
前記積層体の側面に設けられ、前記内部電極が交互に接続された第1の外部電極および第2の外部電極とを、備え、
前記金属層は、前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極とは分離されて前記積層体の側面に設けられた他の外部電極に接続され、かつ前記駆動領域を前記金属層表面に積層方向に投影したときに、該投影が前記金属層表面の形成領域内にあることを特徴とする。
また、本発明に係る噴射装置は、本発明に係る第1の積層型圧電素子と噴出孔を有する容器とを備え、前記容器内に充填された液体が前記積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から吐出されるように構成されていることを特徴とする。
さらに、本発明に係る燃料噴射システムは、高圧燃料を蓄えるコモンレールと、このコモンレールに蓄えられた燃料を噴射する本発明に係る噴射装置と、前記コモンレールに高圧の燃料を供給する圧力ポンプと、前記噴射装置に駆動信号を与える噴射制御ユニットと、を備えたことを特徴とする。
以上のように構成された本発明に係る第1の積層型圧電素子は、前記金属層が前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極とは分離されて前記積層体の側面に設けられた他の外部電極に接続され、かつ前記駆動領域を前記金属層表面に積層方向に投影したときに該投影が前記金属層表面の形成領域内にあることから、他の外部電極は、積層体の側面に設けられており、駆動には関与していないので、このように駆動に関与しない他の外部電極に金属層を接続すると、非駆動領域で生じた電荷を除去でき、積層型圧電素子を安定に駆動することができる。また、積層型圧電素子を駆動させているときに、駆動電源にノイズが加わることで積層型圧電素子の駆動が不安定になり、非駆動領域に応力が加わって生じるひずみに起因した電荷が発生することがあっても、金属層を他の外部電極に接続しているときには、ノイズには関係なく外部電極から電荷を除去できる。また、非駆動領域に生じる格子欠陥に起因する電荷は、金属層が障壁となって駆動領域側に移動しにくくなる。これにより、格子欠陥に起因する電荷の経路は、駆動領域の近傍に形成されにくくなり、金属層のある非駆動領域に形成されやすくなるので、高電圧、高圧力で長期間使用した場合であっても、駆動領域の近傍にデラミネーションやクラックが生じるのを抑制することができる。
したがって、本発明によれば、高電圧、高圧力で長時間連続駆動させる過酷な条件下であっても、優れた耐久性を有する積層型圧電素子、噴射装置及び燃料噴射システムを提供することができる。
(a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる参考例を示す斜視図であり、(b)は、図1(a)に示す積層型圧電素子の、圧電体層と内部電極と金属層との積層状態を示す分解斜視図である。 図1の素子を積層方向に平行な平面で切断した断面図である。 本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる参考例を示す断面図である。 (a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる参考例を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す積層型圧電素子の、圧電体層と内部電極と金属層との積層状態を示す分解斜視図である。 本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる参考例を示す断面図である。 本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる参考例を示す断面図である。 本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる参考例を示す断面図である。 本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる参考例を示す断面図である。 本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる参考例を示す断面図である。 (a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる一例を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す積層型圧電素子の、圧電体層と内部電極と金属層との積層状態を示す分解斜視図である。 (a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる一例を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す積層型圧電素子の、圧電体層と内部電極と金属層との積層状態を示す分解斜視図である。 (a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる一例を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す積層型圧電素子の、圧電体層と内部電極と金属層との積層状態を示す分解斜視図である。 (a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる一例を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す積層型圧電素子の、圧電体層と内部電極と金属層との積層状態を示す分解斜視図である。 (a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる一例を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す積層型圧電素子の、圧電体層と内部電極と金属層との積層状態を示す分解斜視図である。 本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる一例を示す断面図である。 本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる一例を示す断面図である。 本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる一例を示す断面図である。 本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる一例を示す断面図である。 本発明の一実施の形態にかかる噴射装置を示す断面図である。 本発明の一実施の形態にかかる燃料噴射システムを示す概略図である。 (a)は、従来の積層型圧電素子を示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す積層型圧電素子の、圧電体層と内部電極との積層状態を示す分解斜視図である。
以下、本発明の一実施の形態にかかる積層型圧電素子について、図面を参照して詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の参考例の積層型圧電素子を示す断面図であり、図1(b)は、圧電体層3、内部電極5及び金属層19の積層状態を説明するために図1(a)に示す積層型圧電素子の一部を分解した斜視図である。図2は、図1の素子を積層方向に平行な平面で切断した断面図である。
図1,2に示すように、本発明の参考例の積層型圧電素子1は、複数の圧電体層3が内部電極5を介して積層されてなり隣接する内部電極5間に挟まれた駆動領域16の圧電体層3に印加される電圧に対応して伸縮する活性領域17と、その活性領域17の両端に設けられた非駆動領域15からなる積層体7を有している。積層体7は、その対向する側面に一対の外部電極(陽極外部電極と陰極外部電極)9を備えている。内部電極5は、圧電体層3の主面全体には形成されておらず、いわゆる部分電極構造となっている。この部分電極構造によって、本実施の形態の積層型圧電素子では、活性領域17において内部電極間に挟まれた領域にある圧電体層に電圧が印加されて当該圧電体層が伸縮する。本明細書においては、内部電極間に挟まれて変位させる駆動源になる領域を駆動領域といい、図1,2においては符号16を付して示している。また、本明細書においては、積層体7のうち、駆動領域16を含み、かつ、非駆動領域15を含まない領域を活性領域といい、符号17を付して示している。また、複数の内部電極5は、一層おきに積層体7の対向する側面に露出するように配置され、一対の外部電極9に一層おきに電気的に接続されている。一対の外部電極9は、積層体の隣設する側面に設けられていてもよい。
この積層型圧電素子1を圧電アクチュエータとして使用する場合には、一対の外部電極9にリード線を半田によりそれぞれ接続固定し、リード線を外部電圧供給部に接続すればよい。この外部電圧供給部からリード線を通じて隣り合う内部電極5間に所定の電圧を印加することにより、駆動領域16の各圧電体層3が逆圧電効果によって変位する。
積層体7は、異極の内部電極5同士が積層方向に対向するように構成された活性領域17と、活性領域17の積層方向の端部に設けられた非駆動領域15とを備えている。非駆動領域15は、異なる極の2つの内部電極5で挟まれていないので、電圧を印加しても自らは変位しない。
非駆動領域15は、2つの圧電体層3a,3bと、これらの圧電体層3a,3b間に配置され、活性領域17における積層方向端部に位置する内部電極5aと同極の外部電極9に接続された金属層19とを備えている。この金属層19は、圧電体層3bと接する一方の主面を投影面として端部に位置する内部電極5aを積層方向に投影したときにこの投影が一方の主面である投影面の形成領域内にあるように形成されている。このように、積層方向にみたときに金属層19が直近の内部電極5aの投影を包含するように設けられているので、金属層19が、非駆動領域15で生じた格子欠陥に起因する電荷(正孔や電子)が駆動領域の内部電極へ移動するのを抑制する障壁となる。これによって、本実施の形態では、想定外の高電圧、高圧力がかかった場合や想定外の長期間の使用によるデラミネーションやクラックが生じにくくなる。ここでいう電荷とは、例えば欠陥に起因して形成されたマイナスの電荷を有する電子やプラスの電荷をもつ酸素空孔イオン(正孔)などのことをいう。
これらの電荷は、次のように生じる。非駆動性領域15にひずみが生じると、この非駆動性領域15を構成する結晶格子にひずみが生じる。このひずみにより非駆動領域15の温度が上昇しこれに起因して結晶格子の格子振動が大きくなる。このとき、結晶格子の中で結合力の弱いイオンが離脱して格子欠陥が生じる。特に、結晶構造がペロブスカイト構造の結晶を有する不活性領域15の場合、酸素が離脱し酸素空孔が形成される。酸素空孔は室温以上の温度によって励起され、プラスの電荷をもつ酸素空孔イオン(正孔)とマイナスの電荷をもつ電子となる。
このような電荷が内部電極5に移動すると、電荷が移動した内部電極5において、局部的に微量のリーク電流が流れたようになり、局所的に変位量が小さい箇所が生じて、積層型圧電素子1の変位量が小さくなることがある。
非駆動領域に電荷が移動できる経路(パス)ができると、ひずみに起因した格子欠陥から生じた電荷が同じ経路で流れこみやすくなる傾向にある。酸素空孔イオンは電子の移動速度に比べて移動速度が遅く、電子を媒体としてとなりの酸素分子と入れ替わるように移動する。このような電荷の移動経路ができると、経路となった部分は格子欠陥を作りやすくなる。このような局所的な格子欠陥が生じると、想定外の高電圧、高圧力がかかった場
合や想定外の長期間の使用によって、素子の一部にデラミネーションやクラックが生じることもあり得る。しかしながら、本実施の形態の素子では、積層方向にみたときに金属層19が駆動領域16を包含するように設けられているので、金属層19が障壁となることによって、非駆動領域15で生じた格子欠陥に起因する電荷(正孔や電子)が駆動領域の内部電極へ移動するのを抑制することができるので、このようなデラミネーションやクラックが生じにくくなる。
このように、金属層19を設ける目的は非駆動領域15で生じる電荷を捕獲して活性領域17に移動するのを抑制することであるので、金属層19は非駆動領域15の端部にあるよりも活性領域17の内部電極5に近い位置にある方が好ましい。
また、非駆動領域15に金属層19が設けられていると、活性領域17と非駆動領域15との間の焼成収縮挙動の差、熱膨張係数の差を低減することができるので、残留応力の少ない耐久性の高い積層型圧電素子とすることができる。また、非駆動領域15を構成する材料が活性領域17と主成分が同じ圧電体であるときには、活性領域17と非駆動領域15との間の焼成収縮挙動の差、熱膨張係数の差をより低減することができる。これにより、素子にクラック等が生じるのをさらに抑制できる。したがって、金属層19を構成する材料としては、内部電極5と主成分が同じ金属であるのが好ましい。
さらに、金属層19を備えていない場合には、積層型圧電素子を製造する過程で圧電体層と内部電極とを同時焼成するとき、活性領域17と非駆動領域15との間で焼成収縮挙動の差、熱膨張係数の差に起因して活性領域17と非駆動領域15との境界付近に応力が集中しやすくなることがある。しかしながら、金属層19を備えた実施の形態ではかかる不都合はなく、積層型圧電素子の製造歩留まりを高くできる。
またさらに、非駆動領域15に金属層19が設けられていることで、金属層19に接する圧電体層3a,3bが応力に対して変形しやすくなる。このように局所的な変形が生じやすくなるので、金属層19周辺での応力緩和効果が高まる。さらに、非駆動領域15に金属層19が設けられていることにより、万が一急激な温度変化に晒された場合であっても、金属層19が圧電体層3よりも熱伝導性に優れているので、非駆動領域15の温度変化が活性領域17の温度変化に追随しやすくなる。したがって、本実施の形態の積層型圧電素子1では、素子の内部において温度勾配が生じにくくなり、耐久性の高い積層型圧電素子を得ることができる。
このように、本実施の形態にかかる積層型圧電素子1は、金属層19を備えていることによって、例えば、冷却された環境で素子の駆動を開始しその後、駆動部分が急速に加熱し始めるような場合や、駆動電源に何らかのノイズが入って瞬間的に素子に高電圧が加わって温度上昇する場合や、高温、高湿、高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合などにおいても、高い信頼性を得ることができる。
金属層19は、内部電極5よりも空隙が多いことが好ましい。金属層19の空隙が多いことで、空隙の内面の表面積も含めた金属層19の総表面積が増加するので、より多くの電荷を金属層19内に捕獲し保持することができる。また、空隙内に素子に急激な応力が加わった際にも、応力緩和層として機能して、素子の耐久性を向上させることができる。
また、本実施の形態の積層型圧電素子では、金属層19を設けたことにより、劣化しにくい安定した変位が得られる。すなわち、非駆動領域15のひずみによって生じる格子欠陥に起因して生じるプラス又はマイナスの電荷が内部電極5に移動すると、あたかも内部電極に微量のリーク電流が流れたようになり、素子の変位量が小さくなることがあるが、本実施の形態の積層型圧電素子では、金属層19を設けたことにより、変移量の劣化が抑えられる。
以上の実施の形態では、本発明の好ましい例として、金属層19が、圧電体層3bと接する一方の主面を投影面として端部に位置する内部電極5aを積層方向に投影したときにこの投影が一方の主面である投影面に包含されるように形成されている例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、金属層19の一方の主面である投影面に、駆動領域16を積層方向に投影したときに該投影が金属層19の一方の主面に含まれるように金属層19を形成してもよい。非駆動領域15における金属層19の配置パターンとしては以下のような種々の形態が挙げられる。
まず、図1,2に示す参考例では、金属層19の一方の主面に、活性領域17における積層方向端部に位置する内部電極5を積層方向に投影したときに、その投影と金属層19の一方の主面とが重なり合うように、金属層19は形成される。すなわち、活性領域17の端部に位置する内部電極5と金属層19とは同一形状で圧電体層3bを挟んで重なり合っている。このように、金属層19を隣り合う内部電極5aと同じ形状にして重なり合うようにしたときには、素子を積層方向にみたときに、駆動領域の積層方向端部に位置する内部電極5aの全体が金属層19により覆われることになる。これにより、非駆動領域15で生じた電荷が内部電極5aに積層方向に最短距離で移動できないので、非駆動領域15で生じた電荷内部電極5aに到達しにくくなる。
また、金属層19は、図3に示すように、非駆動領域15を構成する圧電体層3a,3b間の全域に形成されていてもよい。このように配置すると、非駆動領域15で生じた電荷が内部電極5aに至る経路をほぼ遮断できるので、電荷が内部電極5aに到達するのをより確実に抑制できる。
また、非駆動領域15における金属層19の配置パターンとして図4に示す参考例であってもよい。この実施の形態では、金属層19はこの金属層19を積層方向に貫通する複数の貫通孔19aを有している。この貫通孔19aの内部は空隙であってもよく、圧電体が充填されていてもよい。このように、金属層19の一部に上記のような貫通孔19aが設けられていることにより、貫通孔19aの周縁部のエッジ効果により貫通孔19a周辺の電位が金属層19の他の領域よりも上昇する。例えば、電荷が金属層19と逆の極性であるときには、選択的に貫通孔19aの周辺に引き寄せられる。同じ極性であるときには、電荷に対する金属層19からの反発力がより高まる。
非駆動領域15における金属層19の配置パターンとしては図5に示す参考例であってもよい。この実施の形態では、非駆動領域15は、金属層19を2層備えている。このように複数の金属層19を設けることは、積層型圧電素子の耐久性をさらに高める点で有効である。その理由は、非駆動領域15で生じた電荷の移動を妨げる効果が、1層の金属層の場合よりも高まるからである。このように電荷の移動を妨げる効果が高いことで、その間に反対の極性をもつ電荷が生成したときにこれらが結合して電荷が消滅する機会が高まる。なお、複数の金属層19を設ける場合、これらの金属層19は同じ外部電極に接続するなどして同電位にする。
非駆動領域15における金属層19の配置パターンとしては図6〜9に示す参考例であってもよい。この図6〜9に示す参考例は、いずれも積層体7の積層方向両端部の非駆動領域15に金属層19をそれぞれ備えている。これにより、両方の非駆動領域15において、非駆動領域15から活性領域17への電荷の移動を抑制することができる。
具体的には、図6に示す参考例では、金属層19が、非駆動領域15を構成する圧電体層3a,3b間の全域に形成されている。図6,7に示す参考例では、一方の非駆動領域15における金属層19と他方の非駆動領域15における金属層19とは、異なる極の外部電極に接続されている。このように異なる極性の外部電極に金属層19をそれぞれ接続することで、捕獲する電荷を素子の両端部で反対の極性にすることができる。これにより、積層型圧電素子の積層方向に静電電荷の極性をもたせることができる。これにより、複数の積層型圧電素子を連続的に接合する場合に、静電気によるクーロン力により容易に接合することができる。また、素子間の電荷の移動を利用して耐久性を高めることができる。
また、図8に示す参考例では、それぞれの非駆動領域15に複数の金属層19がそれぞれ設けられている。この形態も積層型圧電素子の耐久性を高めるためには有効である。これにより、前述した複数の金属層19を設ける効果を、両方の非駆動領域15において得ることができる。
また、図9に示すように、両端部の非駆動領域15に設ける金属層19を同じ極性にすることで、静電的に異方性の小さい積層型圧電素子とすることができる。この参考例の場合には、乾燥した帯電しやすい環境下であっても素子が帯電しにくいので、例えば複数の素子同士が接触したときであっても素子間で放電が生じるのを抑制できる。
なお、上記各形態において、金属層19が接地(アース)されているときには、金属層19で捕獲された電荷を効率的に外部に逃がすことができる。
また、本発明の実施形態の積層型圧電素子1は、複数の圧電体層3と複数の内部電極5とを含みこれらが交互に積層された積層体7であって、隣接する内部電極間に挟まれた駆動領域16と、該駆動領域16の積層方向の端部に設けられ、少なくとも2つの圧電体層3と該圧電体層間に配置された金属層19とを含んでなる非駆動領域15とを有する積層体7と、該積層体7の側面に設けられ、前記内部電極5が交互に接続された第1の外部電極および第2の外部電極とを、備え、前記金属層19は、前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極とは分離されて前記積層体の側面に設けられた他の外部電極10に接続され、かつ前記駆動領域16を前記金属層表面に積層方向に投影したときに、該投影が前記金属層表面の形成領域内にあることを特徴とする。図10〜14には、内部電極5が接続された外部電極9とは異なる他の外部電極10に金属層19を接続した例を示している。この外部電極10は、積層体7の側面に設けられており、駆動には関与していない。このように駆動に関与しない外部電極10に金属層19を接続すると、非駆動領域15で生じた電荷を除去できるので、積層型圧電素子を安定に駆動することができる。また、積層型圧電素子を駆動させているときに、駆動電源にノイズが加わることで積層型圧電素子の駆動が不安定になり、非駆動領域15に応力が加わって生じるひずみに起因した電荷が発生することがあっても、金属層19を他の外部電極10に接続しているときには、ノイズには関係なく外部電極10から電荷を除去できる。なお、図12,14に示す形態では、金属層19が接続された外部電極10を2つに分割している。
また、図10に示す形態では、活性領域の両端に設けられた非駆動領域15に形成した金属層19は、同一の外部電極10に接続したが、図12に示す形態では、活性領域の両端に設けられた非駆動領域15に形成した金属層19はそれぞれ、別々の外部電極10に接続されている。
図10に示す形態の場合、両端部の非駆動領域15に設けた二つの金属層19の電位を一致させることができるので、活性領域の両端における電荷移動の抑止効果を同一にすることができる。これにより、素子両端の電荷移動を偏りのない安定したものとすることができる。また、他の外部電極10を対向する素子側面にも配置して対称性を持たせることで、積層型圧電素子の補強とともに構造対称性による駆動軸の安定性も向上する。なお、図10に示す形態では、活性領域の両端に設けられた内部電極5の極性を一致させる必要がある。
一方、図12に示す形態の場合、活性領域の両端に設けられた内部電極5の極性を異なるものにすることができる。また、分離された他の外部電極10に印加する電圧を異なるものとすることができるので、積層型圧電素子を配置する周囲の状況に合わせて、一方だけを接地して、他方には電圧を印加したりすることができる。これにより、例えば、同一極でも印加電圧を変化させて、素子両端の電荷移動に偏りをもたせることも可能となる。また、素子を設置する周辺環境に局所的に静電容量の差があった場合には、上記偏りをもたせて素子駆動時に生じる静電気が発生するのを抑制できる。
また、図13及び図14では、対向領域において、金属層19の一方の主面である投影面に、駆動領域16を積層方向に投影したときに該投影が金属層19の一方の主面に含まれるように金属層19を形成している。また、内部電極が露出している素子の側面には、金属層19の端部は露出していない。
また、図15〜17に示す形態では、非駆動領域15が外部電極9とは接続されていない浮き金属層21をさらに備えている。この浮き金属層21は、非駆動領域15で生じた電荷が活性領域17に移動するのを遮断する役割を担うとともに、浮き電極21に到達する、異なる極性の電子やイオンを再結合させる場として機能する。これにより、非駆動領域15で生じた電荷が活性領域17に移動するのをより効果的に抑制することができる。
また、浮き金属層21を金属層19の近傍に設けることで、金属層19と反発した電荷を効果的に捕獲することができる。また、図15に示すように浮き金属層21が圧電体層間のほぼ全面に設けられているときには、電荷を捕獲する機能がより向上する。浮き金属層21自体は電位を持たないので格子欠陥で生成された電子やイオンの障壁として機能する。図16に示すように浮き金属層21を独立した複数の金属層により構成するときには、異なる極性の電子やイオンを再結合させる場として機能しやすい。
浮き電極21は、金属層19よりも素子の端部側に配置するのが好ましい。これにより、金属層19へ到達する、欠陥で生成された電子やイオンを減少させることができるので、金属層19が電子やイオンを減少させる機能をより効果的に発現させることができる。
圧電体層3の材料としては、圧電性を有するセラミックスであればよいが、好ましくは、圧電歪み定数d33が高いセラミックスを用いることが良い。具体的には、チタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)等のペロブスカイト型酸化物を主成分とすることが好ましい。例えば、圧電体層3がチタン酸バリウム(BaTiO)を代表とするペロブスカイト型圧電セラミックス材料等で形成されるときには、その圧電特性を示す圧電歪み定数d33が高いことから、変位量を大きくすることができる。さらに、ペロブスカイト型圧電セラミックス材料等で圧電体層3を形成する場合には、圧電体層3と内部電極5を同時に焼成することもできる。
また、ペロブスカイト型圧電セラミックス材料の場合、ひずみに起因する欠陥生成物は結合力の弱い酸素である。したがって、この酸素空孔に着目すると、積層型圧電素子の使用環境を大気中以上の酸素分圧に保つことで、欠陥に起因するイオンや電子の生成を抑制することができる。
金属層19の材料に関しては、例えばCuやNiといった単体の金属、或いは銀−白金や銀−パラジウム合金等が挙げられる。特に、耐マイグレーション性や耐酸化性があり、ヤング率が低く、安価であるという点から銀−パラジウムを主成分とすることが好ましい。
さらに、金属層19の主成分が銀であることが好ましい。銀が主成分である場合には、圧電体層3と同時焼成して素子1を形成することができる。また、熱伝導特性が優れているので、応力集中により素子1が局部的に加熱されたとしても、熱を効率良く散逸することができる。さらに、表面に酸化層の皮膜が形成されていない場合には、金属粒子が柔軟性に富んでいるので、応力を吸収させることができる。
金属層19の組成は、以下のようにして測定することができる。まず、金属層19が露出するように、積層体7を切断するなどして、金属層19の一部を採取する。そして、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析等の化学分析をすることで、金属層19の組成を測定できる。あるいは、積層型圧電素子1の切断面を、EPMA(Electron Probe Micro Analysis)法等の分析方法を用いて分析、測定してもよい。また、積層型圧電素子1の切断面において、多孔質層19をSEM(走査型電子顕微鏡)や金属顕微鏡で観察すると、金属成分だけでなく、ボイドや、セラミック成分等の金属以外の要素も含まれている場合がある。このような場合であっても、ボイド以外の領域をEPMA法等により分析することができる。
内部電極5の材料としては、導電性を有するものであればよい。例えばCuやNiといった単体の金属、或いは銀−白金や銀−パラジウム合金といった合金を用いることができる。特に、耐マイグレーション性や耐酸化性があり、ヤング率が低く、安価であるという点から銀−パラジウムを主成分とすることが好ましい。
さらに、内部電極5、金属層19中のパラジウムの含有量をM1(質量%)、銀の含有量をM2(質量%)としたとき、0<M1≦15、85≦M2<100、M1+M2=100を満足する金属組成物を主成分として内部電極5を形成することが好ましい。これは、パラジウムを15質量%以下にすることで、比抵抗値を抑えることができるためである。積層型圧電素子1が連続駆動することにより、内部電極5が発熱した場合であっても、比抵抗値が抑制されていることで、温度依存性を有する圧電体層3に作用して、圧電体層3の変位特性が大きく減少してしまうことを防止できる。その結果、積層型圧電素子1の変位量の低下を抑制することができる。
外部電極9及び内部電極5、金属層19のそれぞれの金属成分が相互拡散することで、
外部電極9を積層体7の側面に接合することができる。この接合時に、パラジウムの含有量を15質量%以下とすることで、外部電極9中に内部電極5の成分が拡散した箇所の硬度が高くなりすぎることがなく、適度に抑えることができる。内部電極5の成分が拡散して高度が高い領域が生じると、応力が集中し易くなる。それに対して、上記のように、パラジウムの含有量を調整することで、積層型圧電素子1の耐久性が低下することを抑えられる。
内部電極5中の銀成分の圧電体層3へのマイグレーションを抑制する観点からは、内部電極5中の銀の成分比率が85質量%以上99.999質量%以下とすることが好ましい。銀の比率を85質量%以上とすることで、内部電極5の比抵抗値が適度に抑えられ、積層型圧電素子1を連続駆動させた場合であっても、内部電極5の発熱を抑制することができる。
また、積層型圧電素子1の耐久性を向上させるという観点からは、銀の比率が90質量%以上99.9質量%以下であるのが好ましい。また、熱伝導に優れ、より高い耐久性を必要とする場合には、銀の比率が90.5質量%以上99.5質量%以下であることが好ましい。また、さらに高い耐久性を求める場合は92質量%以上98質量%以下であることがさらに好ましい。
内部電極5中のパラジウムや銀の金属成分の組成の測定には、金属層19と同様の測定方法を用いればよく、EPMA法等の分析方法で特定できる。
積層体7の対向する側面には、一対の外部電極9が形成されている。対となる外部電極9には、それぞれ一層おきに内部電極5が、交互に電気的に接続される。なお、一対の外部電極9は、内部電極5が一層おきに交互に電気的に接続されれば良いことから、隣接する側面に形成してもよい。
外部電極9の材質としては、導電性の良いものであれば良い。例えば、CuやNiといった金属やこれらの合金等を用いることができるが、電気抵抗が低く、取り扱いが容易であることから、銀、若しくは銀が主成分の合金を用いることが好ましい。
次に、本発明の積層型圧電素子の製法を説明する。まず、圧電体層3となるセラミックグリーンシートを作製する。PbZrO−PbTiO等からなるペロブスカイト型酸化物の圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系、ブチラール系等の有機高分子から成るバインダーと、DBP(フタル酸ジブチル)、DOP(フタル酸ジオクチル)等の可塑剤と、を混合してスラリーを作製する。ついで、このスラリーを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成型法を用いることにより、圧電体層3となるセラミックグリーンシートが作製される。
次に、銀−パラジウム等の内部電極5を構成する金属粉末にバインダー、可塑剤等を添加混合して導電性ペーストを作製する。作製した導電性ペーストを上記のグリーンシートの上面に、金属層19が形成される領域を除いて、スクリーン印刷等によって、例えば1〜40μmの厚みで印刷する。
また、金属層19となる導電性ペーストを作製する。金属層19となる導電性ペーストは、銀−パラジウム等の内部電極5を構成する金属粉末にバインダー、可塑剤等を添加混合することにより作製される。この導電性ペーストを、例えば1〜40μmの厚みで圧電体層3となる上記のセラミックグリーンシートに印刷する。
また、金属層19に、内部電極5よりも銀濃度の高い銀−パラジウム粉末とともに、P
bZrO−PbTiO等からなるペロブスカイト型酸化物の圧電セラミックスの仮焼粉末が加えられているときには、金属層19の接合強度を向上することができる。
このとき、銀−パラジウム等の金属粉末は合金粉末ではなく、銀粉末とパラジウム粉末の混合粉末を用いて組成を調整してもよい。また、銀パラジウムの合金に銀粉末またはパラジウム粉末を加えることで組成を調整してもよいが、合金粉末を用いることが好ましい。これは、導電性ペースト中の金属の分散が均一になり、内部電極5および金属層19の同一面内の組成分布が均一になるからである。組成分布が均一になることで、素子1の駆動時に応力が一定の場所に集中することを防止できる。
次に、上記の内部電極5若しくは金属層19となる導電性ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートを所望の配置で複数積層し、所定の温度で脱バインダーを行った後、900〜1200℃で焼成することによって積層体7が作製される。
非駆動領域15を形成するグリーンシート中には、銀−パラジウム等の内部電極5を構成する金属粉末を添加することが好ましい。これは、非駆動領域15とそれ以外の部分の圧電体層3の焼結時の収縮挙動ならびに収縮率を一致させることができるからである。これにより、緻密な積層体7を形成することができる。
また、非駆動領域15を形成するグリーンシートを積層する際に、銀−パラジウム等の内部電極5となる前述のスラリーをグリーンシート上に印刷することが好ましい。同様に、非駆動領域15とそれ以外の部分の圧電体層3の焼結時の収縮挙動ならびに収縮率を一致させることができるからである。これにより、緻密な積層体7を形成することができる。
なお、積層体7は、上記製法によって作製されるものに限定されるものではなく、複数の圧電体層3と複数の内部電極5とを交互に積層してなる積層体7を作製できれば、他の製法によって形成されても良い。
次に、ガラス粉末にバインダーを加えて銀ガラス導電性ペーストを作製する。作製した導電性ペーストを積層体7の外部電極9形成面に印刷する。印刷した後、ガラスの軟化点よりも高い温度、且つ銀の融点(965℃)以下の温度で焼き付けを行う。これにより、銀ガラス導電性ペーストを用いた外部電極9を形成することができる。このとき、外部電極9を構成するペーストを多層に積層してから焼付けを行っても、1層で焼付けを行っても良いが、多層に積層してから一度に焼付けを行うほうが量産性に優れている。
また、一層ごとにガラス成分を変える場合には、一層ごとにガラス成分の量を変えたものを用いればよい。圧電体層3に最も接した面にごく薄くガラスリッチな層を構成したい場合には、積層体7に、スクリーン印刷等の方法でガラスリッチなペーストを印刷した上で、多層のシートを積層する方法を用いることもできる。
最後に、外部電極9にリード線(不図示)を接続し、リード線を介して一対の外部電極9に0.1〜3kV/mmの直流電圧を印加して、積層体7を分極処理する。以上により、本実施の形態の積層型圧電素子1を利用した圧電アクチュエータが完成する。
さらに、積層型圧電素子をシリコーン樹脂等の樹脂で被覆した場合には、積層型圧電素子1の側面に空隙が開放されていたとしても、この開放された空隙内に樹脂が充填される。
リード線を外部の電圧供給部に接続し、リード線及び外部電極9を介して内部電極5に
電圧を印加させると、各圧電体層3は逆圧電効果によって大きく変位し、これによって例えばエンジンに燃料を噴射供給する自動車用燃料噴射弁として機能する。
さらに、外部電極9の外面に、金属のメッシュ若しくはくし状の配線を導電性接着剤で接合してもよい。この場合には、アクチュエータに大電流を投入し、高速で駆動させる場合においても、大電流をこれらの配線に流すことができ、外部電極9を流れる電流を低減できる。これにより、外部電極9が局所発熱を起こし断線することが防止され、積層型圧電素子1の耐久性を大幅に向上させることができる。
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明の積層型圧電素子は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、上記の実施の形態では、金属層19が合金からなる場合について説明したが、一部の金属層19が合金からなり、残りの金属層19が単一の金属からなる形態であってもよい。また、上記の実施の形態では、金属層19が同じ成分を含有している場合について説明したが、金属層19が主成分の異なる少なくとも二種以上の層からなる形態であってもよい。また、図18のような形態であってもよい。
図19は、本発明の一実施の形態にかかる噴射装置を示す概略断面図である。図19に示すように、本実施の形態にかかる噴射装置23は、一端に噴射孔25を有する収納容器27の内部に上記実施の形態に代表される本発明の積層型圧電素子が収納されている。収納容器27内には、噴射孔25を開閉することができるニードルバルブ29が配設されている。噴射孔25には燃料通路31がニードルバルブ29の動きに応じて連通可能に配設されている。この燃料通路31は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路31に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ29が噴射孔25を開放すると、燃料通路31に供給されていた燃料が一定の高圧で図示しない内燃機関の燃料室内に噴出されるように構成されている。
また、ニードルバルブ29の上端部は内径が大きくなっており、収納容器27に形成されたシリンダ33と摺動可能なピストン35が配置されている。そして、収納容器27内には、上記した積層型圧電素子1を備えた圧電アクチュエータが収納されている。
このような噴射装置では、圧電アクチュエータが電圧を印加されて伸長すると、ピストン35が押圧され、ニードルバルブ29が噴射孔25を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると圧電アクチュエータが収縮し、皿バネ37がピストン35を押し返し、噴射孔25が燃料通路31と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
また、本発明の噴射装置23は、噴射孔25を有する容器と、上記積層型圧電素子1とを備え、容器内に充填された液体が積層型圧電素子1の駆動により噴射孔25から吐出させるように構成されていてもよい。すなわち、素子1が必ずしも容器の内部にある必要はなく、積層型圧電素子の駆動によって容器の内部に圧力が加わるように構成されていればよい。なお、本発明において、液体とは、燃料、インクなどの他、種々の液状流体(導電性ペースト等)が含まれる。
図20は、本発明の一実施の形態にかかる燃料噴射システムを示す概略図である。図20に示すように、本実施の形態にかかる燃料噴射システム39は、高圧燃料を蓄えるコモンレール41と、このコモンレール41に蓄えられた燃料を噴射する複数の上記噴射装置39と、コモンレール41に高圧の燃料を供給する圧力ポンプ43と、噴射装置23に駆動信号を与える噴射制御ユニット45と、を備えている。
噴射制御ユニット45は、エンジンの燃焼室内の状況をセンサ等で感知しながら燃料噴射の量やタイミングを制御するものである。圧力ポンプ43は、燃料タンク47から燃料を1000〜2000気圧程度、好ましくは1500〜1700気圧程度にしてコモンレール52に送り込む役割を果たす。コモンレール41では、圧力ポンプ43から送られてきた燃料を蓄え、適宜噴射装置23に送り込む。噴射装置23は、上述したように噴射孔25から少量の燃料を燃焼室内に霧状に噴射する。
本発明の積層型圧電素子1を備えた圧電アクチュエータを以下のようにして作製した。まず、平均粒径が0.4μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)を主成分とする圧電セラミックスの仮焼粉末、バインダー、及び可塑剤を混合したスラリーを作製し、ドクターブレード法で厚み150μmの圧電体層3になるセラミックグリーンシートを作製した。
このセラミックグリーンシートの片面に、表1に示した金属粉末にバインダーを加えた導電性ペーストをスクリーン印刷法により形成したシートを、300枚積層した。表1に示す箇所に、金属層19を設けて焼成した。焼成は、800℃で保持した後に950℃で1時間加熱保持してから冷却した。
次に、平均粒径2μmのフレーク状の銀粉末と、残部が平均粒径2μmのケイ素を主成分とする軟化点が640℃の非晶質のガラス粉末との混合物に、バインダーを銀粉末とガラス粉末の合計質量100質量部に対して8質量部添加し、十分に混合して銀ガラス導電性ペーストを作製した。
そして、この銀ガラス導電性ペーストを積層体7の対向する側面に印刷して乾燥した後、700℃で30分焼き付けを行い、外部電極9を形成した。
その後、外部電極9にリード線を接続し、正極及び負極の外部電極9にリード線を介して3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行い、積層型圧電素子1を用いた圧電アクチュエータを作製した。
得られた積層型圧電素子1に170Vの直流電圧を印加したところ、すべての圧電アクチュエータにおいて、積層方向に変位量が得られた。
さらに、この圧電アクチュエータを室温で0〜+170Vの交流電圧を150Hzの周波数で印加して、1×10回まで連続駆動した試験を行った。
その結果を表1に示す。
Figure 0005562382
表1に示すように、不活性領域に金属層19を配置していない比較例である試料番号1
は、3×10サイクルにてデラミネーションが発生した。
これに対し、本発明の実施例である試料番号2〜12は、1×10サイクル後でも初期の変位量から極端に低下しておらず、積層型圧電素子として必要な変位量を維持していた。
中でも特に、金属層19が同一外部電極から複数接続した試料番号4、5、7、8は、変位量が初期から連続駆動後まで変化することがなく、極めて耐久性に優れている。
特に、銀−パラジウム電極の試料番号の5、8については、耐久評価後の積層型圧電素子を切断して、切断面をSEMを用いて観察したが、銀のマイグレーションや酸素空孔移動時に特徴的に現れる電極周辺の圧電体の黒色変化の形跡がほとんどなく、極めて耐久性の優れた積層型圧電素子であることがわかった。
1 積層型圧電素子
3 圧電体層
5 内部電極
7 積層体
9、10 外部電極
16 駆動領域
15 非駆動領域
19 金属層
21 浮き金属層
23 噴射装置
25 噴射孔
27 収納容器
29 ニードルバルブ
31 燃料通路
33 シリンダ
35 ピストン
37 皿バネ
39 燃料噴射システム
41 コモンレール
43 圧力ポンプ
45 噴射制御ユニット
47 燃料タンク






















Claims (10)

  1. 複数の圧電体層と複数の内部電極とを含みこれらが交互に積層された積層体であって、隣接する内部電極間に挟まれた駆動領域と、駆動領域の積層方向の端部に設けられ、少なくとも2つの圧電体層と該圧電体層間に配置された金属層とを含んでなる非駆動領域とを有する積層体と、
    該積層体の側面に設けられ、前記内部電極が交互に接続された第1の外部電極および第2の外部電極とを、備え、
    前記金属層は、前記第1の外部電極及び前記第2の外部電極とは分離されて前記積層体の側面に設けられた他の外部電極に接続され、かつ前記駆動領域を前記金属層表面に積層方向に投影したときに、該投影が前記金属層表面の形成領域内にあることを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 前記金属層の周縁を、隣接して対向する前記内部電極に積層方向に投影したときに、該投影が当該内部電極の周縁と一致することを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電素子。
  3. 前記金属層は、前記非駆動領域に含まれた前記2つの圧電体層間の全域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電素子。
  4. 前記金属層は、この金属層を積層方向に貫通する複数の貫通孔を有していることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の積層型圧電素子。
  5. 前記非駆動領域は、前記金属層を複数備えていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の積層型圧電素子。
  6. 前記積層体は積層方向の両端部に前記非駆動領域をそれぞれ備え、前記非駆動領域にそれぞれ前記金属層を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層型圧電素子。
  7. 前記非駆動領域は、前記第1の外部電極、前記第2の外部電極及び前記他の外部電極のいずれからも分離された浮き金属層をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の積層型圧電素子。
  8. 前記圧電体層は、ペロブスカイト型酸化物を主成分として含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層型圧電素子。
  9. 噴出孔を有する容器と、請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の積層型圧電素子と、を備え、前記容器内に充填された液体が前記積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から吐出されるように構成されていることを特徴とする噴射装置。
  10. 高圧燃料を蓄えるコモンレールと、このコモンレールに蓄えられた燃料を噴射する請求項9に記載の噴射装置と、前記コモンレールに高圧の燃料を供給する圧力ポンプと、前記噴射装置に駆動信号を与える噴射制御ユニットと、を備えたことを特徴とする燃料噴射システム。
JP2012154710A 2012-07-10 2012-07-10 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム Expired - Fee Related JP5562382B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012154710A JP5562382B2 (ja) 2012-07-10 2012-07-10 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012154710A JP5562382B2 (ja) 2012-07-10 2012-07-10 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007091802A Division JP5203621B2 (ja) 2007-03-30 2007-03-30 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012216869A JP2012216869A (ja) 2012-11-08
JP5562382B2 true JP5562382B2 (ja) 2014-07-30

Family

ID=47269277

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012154710A Expired - Fee Related JP5562382B2 (ja) 2012-07-10 2012-07-10 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5562382B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TW201442983A (zh) * 2013-01-29 2014-11-16 Canon Kk 壓電材料,壓電裝置,及電子儀器
WO2014119706A1 (en) * 2013-01-29 2014-08-07 Canon Kabushiki Kaisha Piezoelectric material, piezoelectric device, and electronic apparatus
JP6322438B2 (ja) * 2014-02-26 2018-05-09 京セラ株式会社 水晶デバイス

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0571438A (ja) * 1991-09-11 1993-03-23 Nippondenso Co Ltd 燃料噴射装置
JPH0730165A (ja) * 1993-07-12 1995-01-31 Murata Mfg Co Ltd 積層型圧電体素子
JP2000323833A (ja) * 1999-05-07 2000-11-24 Harness Syst Tech Res Ltd 実装基板の半田付けの検査方法および装置
JP2001082753A (ja) * 1999-09-08 2001-03-30 Sanden Corp 浴室空調装置
JP2001352110A (ja) * 2000-06-05 2001-12-21 Tokin Ceramics Corp 積層型圧電セラミックス
JP2006173208A (ja) * 2004-12-13 2006-06-29 Tdk Corp 積層型圧電素子及び圧電装置
WO2006073018A1 (ja) * 2005-01-06 2006-07-13 Murata Manufacturing Co., Ltd. 圧電アクチュエータの製造方法及び圧電アクチュエータ
JP2006245027A (ja) * 2005-02-28 2006-09-14 Tdk Corp 積層型圧電素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012216869A (ja) 2012-11-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4933554B2 (ja) 積層型圧電素子、これを用いた噴射装置及び燃料噴射システム、並びに積層型圧電素子の製造方法
JP5066098B2 (ja) 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム
JP5050164B2 (ja) 圧電アクチュエータユニット及びその製造方法
JP5084744B2 (ja) 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム
JP5050165B2 (ja) 積層型圧電素子およびこれを用いた噴射装置
JP5311733B2 (ja) 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置、及びこれを備えた燃料噴射システム
JP5025661B2 (ja) 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム
WO2012099233A1 (ja) 積層型圧電素子およびこれを備えた圧電アクチュエータ、噴射装置ならびに燃料噴射システム
JP5203621B2 (ja) 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム
JP5084745B2 (ja) 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム
JP5270578B2 (ja) 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム
JP5562382B2 (ja) 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム
JP4817610B2 (ja) 積層型圧電素子およびその製造方法ならびにこれを用いた噴射装置
JP4956054B2 (ja) 積層型圧電素子およびこれを用いた噴射装置
JP5154580B2 (ja) 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム
JP4593909B2 (ja) 積層型圧電素子および噴射装置
JP4868707B2 (ja) 積層型圧電素子および噴射装置
JP2005268393A (ja) 積層型圧電素子およびこれを用いた噴射装置
JP5133399B2 (ja) 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム
JP2006156690A (ja) 積層型圧電素子およびこれを用いた噴射装置
JP2005322691A (ja) 積層型圧電素子およびこれを用いた噴射装置
JP4873837B2 (ja) 積層型圧電素子および噴射装置
JP5449433B2 (ja) 積層型圧電素子およびこれを用いた噴射装置
JPWO2013146984A1 (ja) 積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システム
JP2005217180A (ja) 積層型圧電素子およびこれを用いた噴射装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120803

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140123

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140513

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140610

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5562382

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees