JP5025661B2 - 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム - Google Patents

積層型圧電素子、これを備えた噴射装置及び燃料噴射システム Download PDF

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Description

本発明は、積層型圧電素子、噴射装置、及び燃料噴射システムに関する。
近年、積層型圧電素子は、小型化が進められるとともに、高電界かつ高圧力という過酷な条件下で長時間連続駆動させたときでも安定した変位特性が得られることが要求されている。積層型圧電素子は、陽極側と陰極側の内部電極が圧電体層を介して積層方向に対向する対向部と、この対向部以外の部位である非対向部とを備えている。このような積層型圧電素子では駆動時に対向部は変位するが非対向部は変位しないので、この非対向部に応力が集中しやすい。
このような応力を緩和するために、例えば、電極間の距離を変化させた積層型圧電素子(特許文献1)、圧電的に不活性な圧電体層の近傍における内部電極の重なり面積を、他の圧電的に活性な部分における内部電極の重なり面積よりも小さくした積層型圧電素子(特許文献2)、応力が集中しやすい部位にチタン酸鉛粉末を充填してなる応力緩和層が設けられた積層型圧電素子(特許文献3)などが提案されている。
特開昭60−86880号公報 特開平7−30165号公報 特開2001−267646号公報
上記のような従来の積層型圧電素子は非対向部における応力緩和効果を有している。しかしながら、過酷な条件下で長時間連続駆動させたときであってもより安定した変位特性が得られる積層型圧電素子が求められている。
本発明の積層型圧電素子は、複数の圧電体層と複数の内部電極が交互に積層された積層構造体を備えている。この積層構造体は、積層方向に隣り合う陽極側の内部電極と陰極側の内部電極とが積層方向に対向する対向部と、この対向部よりも積層方向の端部側に位置する端部側非対向部とを備えている。この端部側非対向部は、内部電極よりも空隙率の大きい多孔質部を備えている。
以下、本発明の一実施形態にかかる積層型圧電素子(以下、素子という)について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1に示すように、本実施形態にかかる素子1は、複数の圧電体層3と複数の内部電極5が交互に積層された積層構造体7を備えている。
内部電極5は陽極側の内部電極5aと陰極側の内部電極5bとからなる。これらの内部電極5a,5bは交互に配置されている。図2に示すように、内部電極5a,5bは、圧電体層3の主面全体には形成されていない。内部電極5a,5bは、積層構造体7の対向する側面に一層おきに露出するようにそれぞれ配置されている。
積層構造体7の対向する側面には陽極側の外部電極9aと陰極側の外部電極9bがそれぞれ設けられている。複数の陽極側の内部電極5aは陽極側外部電極9aに、複数の陰極側の内部電極5bは陰極側外部電極9bにそれぞれ電気的に接続されている。
積層構造体7は、積層方向に隣り合う陽極側内部電極5aと陰極側内部電極5bとが積層方向に対向する対向部(活性部)11と、この対向部11以外の部位であって対向部11よりも積層方向の端部側に位置する端部側非対向部(不活性部)15とを備えている。端部側非対向部15は異極の内部電極に挟まれていないので電圧を印加しても変位しない。
端部側非対向部15は、内部電極5よりも空隙率の大きい多孔質部(多孔質層)19を備えている。多孔質部19は、積層方向に隣り合う圧電体層4と圧電体層4の間に配置されている。多孔質部19に空隙が多く存在することで、多孔質部19の近傍の圧電体層3が変形しやすくなる。これにより、素子1の駆動時に変位しない端部側非対向部15に応力が集中しても、多孔質部19において応力が分散され緩和される。また、多孔質部19に多くの空隙が存在することで、多孔質部19は内部電極5および圧電体層3よりも剛性が低くなる。これにより、端部側非対向部15に応力がかかったときに、多孔質部19に亀裂を生じさせることによって、対向部11における圧電体層3および内部電極5に亀裂が生じるのを低減できる。また、後述する圧電性セラミックスはそれ自体が変形しやすい。したがって、端部側非対向部15を構成する材料が圧電性セラミックスであるときには、より高い応力緩和効果を得ることができる。
内部電極5が等間隔で配置されている場合には、圧電体層3の材料定数と内部電極間の距離との関係により決まる固有振動数に応じて、素子1を駆動させたときに共振現象が生じることがある。共振が生じるとうなり音が発生することがある。本実施形態のように多孔質部19が存在するときには、うなり音が発生するのを低減できる。すなわち、多孔質部19が存在することで音波の位相にずれが生じて共振現象が生じるのを低減できる。
素子1が急激な温度変化に晒されるような環境に置かれた場合であっても、多孔質部19を備えているので、熱膨張差に起因する不具合が生じるのを低減できる。急激な温度変化に晒されると、素子1内に大きな温度勾配が発生する。この温度勾配により生じる熱膨張差に起因して素子1に亀裂が生じることがある。一方、圧電体層3と比較して熱が伝導しにくい多孔質部19が存在することにより、素子1の内部での熱の伝達速度が遅くなる。その結果、素子1の内部において大きな温度勾配が生じることが低減される。また、素子1は、駆動電源に何らかのノイズが入って瞬間的に素子に高電圧が加わった場合などにおいてもそれに起因する応力、熱などの衝撃を多孔質部19において吸収できる。
多孔質部19の空隙率とは、積層構造体7の断面において、多孔質部19の断面積に対して空隙17の面積が占める割合(%)を意味する。積層構造体7における積層方向に平行な断面(図1に示す断面)で評価する場合、多孔質部19の断面積とは、この多孔質部19の両側に隣接する圧電体層に挟まれた領域の面積のことをいう。内部電極5の空隙率についても多孔質部19の場合と同様である。なお、評価する断面は、積層構造体7における積層方向に垂直な断面でもよい。
空隙率を測定するには、例えば以下のようにして行えばよい。まず、積層構造体7の断面が露出するように、積層構造体7を公知の研磨手段を用いて研磨処理する。具体的には、例えば研磨装置としてケメット・ジャパン(株)社製卓上研磨機KEMET−V−300を用いてダイヤモンドペーストで研磨することができる。この研磨処理により露出した断面を、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)、光学顕微鏡、金属顕微鏡などにより観察することで断面画像を得る。この断面画像を画像処理することによって内部電極5及び多孔質部19の空隙率を測定することができる。
具体的には、光学顕微鏡にて撮影した内部電極5及び多孔質部19の画像に対して、空隙部分を黒色に塗りつぶし、空隙以外の部分を白色に塗りつぶす。そして、黒色部分の比率、即ち、(黒色部分の面積)/(黒色部分の面積+白色部分の面積)を求め、百分率で表すことにより空隙率を算出することができる。また、断面画像がカラーである場合は、グレースケールに変換して黒色部分と白色部分に分ければよい。このとき、黒色部分と白色部分に2階調化するための境界のしきい値を設定する必要がある場合には、画像処理ソフトウェアや目視により境界のしきい値を設定して2値化すればよい。
多孔質部19の空隙率は好ましくは10%〜95%、より好ましくは50%〜90%であるのがよい。10%以上であるときには、多孔質部19で生じたクラックの圧電体層3及び/又は内部電極5への進展を効果的に低減することができる。また、95%以下であるときには、素子1の外形の形状を安定して保持することができる。
図3に示すように、多孔質部19は、金属を主成分とする複数の金属部(部分金属層)20a及びセラミックスを主成分とする複数のセラミック部(部分セラミック層)20bの少なくとも一方が、隣り合う2つの圧電体層4の間に空隙を介して点在してなることが好ましい。多孔質部19がこのような形態であることにより、素子1に応力が加わった時の多孔質部19による応力緩和の効果がより大きくなる。
多孔質部19が上記のような形態である場合、個々の金属部20aおよび/またはセラミック部20bは変形の自由度が高くなるので、多孔質部19がより変形しやすくなる。これにより、非対向部15に応力が集中した場合でも、より効果的に応力を緩和することができる。また、一部の金属部20aおよび/またはセラミック部20bに応力が集中した場合であっても、その部位にある金属部20aおよび/またはセラミック部20bが圧電体層4から破断すること、または金属部20aおよび/またはセラミック部20bが破壊されることで応力を緩和することができる。
セラミック部20bは圧電性セラミックスにより形成されていることが好ましい。これにより、より高い応力緩和効果が得られる。セラミック部20bに応力が加わって変形すると、圧電体結晶内のイオンの配置が移動して、応力方向に応じて結晶構造が変形するからであると推測する。
複数の金属部20aは、互いに離隔して電気的に絶縁された状態で点在していることが好ましい。このように金属部20aが形成されている場合には、周囲の圧電体層3が変形して起電力が発生したとしても、多孔質部19が電荷の移動を低減ないし抑制するので、素子1内で電気的な短絡が生じるのを低減できる。圧電体層4の変形に起因する起電力が端部側非対向部15に生じて電荷が不均一に偏った場合であっても、その部位を対向部15から多孔質部19がある程度遮蔽することができる。これにより、酸素空孔等のイオンの移動を低減できるので、圧電体層3の特性が変化するのを低減できる。
多孔質部19は、特に、金属部20aおよび圧電性セラミックスからなるセラミック部20bを両方とも備え、これらが点在してなることが好ましい。多孔質部19がこのように形成されることで、素子1の耐久性がより向上する。金属部20aは、応力が加わったときに変形することで応力を緩和する効果が高い。圧電体からなるセラミック部20bは、応力が加わったときに圧電体の結晶内のイオンの配置が移動して結晶構造が変化することで応力を緩和する効果が高い。
多孔質部19において、複数の金属部20aおよび/または複数のセラミック部20bは、ほぼ均一に点在していることが好ましい。これにより、多孔質部19のほぼ全域にわたって応力緩和効果が得られる。
多孔質部19は、金属部20aと圧電体からなるセラミック部20bとが互いに接した部位を有していることが好ましい。このような多孔質部19が形成されているときには、応力緩和の効果がより大きくなる。既に示したように、金属部20aとセラミック部20bは応力緩和の作用効果にそれぞれ特徴がある。金属部20aとセラミック部20bとが互いに接しているときには、これらの特徴がより効果的に発揮される。これにより、応力に対する応答速度がより速く、かつ、応力緩和効果がより大きい多孔質部19を形成することができる。例えば、セラミック部20bが金属部20aを覆っていたり、金属部20aがセラミック部20bを覆っている場合、すなわち金属部20aとセラミック部20bとが一体化されている場合には応力緩和効果がさらに高まる。
多孔質部19の材料としては、例えば銅、ニッケルなどの単体の金属、銀−白金合金、銀−パラジウム合金等の材料が挙げられる。特に、耐マイグレーション性や耐酸化性があり、ヤング率が低く、安価であるという点から銀−パラジウムを主成分とすることが好ましい。銀が主成分である場合には、圧電体層3と同時焼成して素子1を形成することができる。また、熱伝導特性が高いので、応力集中により素子1が局部的に加熱されたとしても、熱を効率良く散逸させることができる。さらに、表面に酸化層の皮膜が形成されていない場合には、金属粒子が柔軟性に富んでいるので、応力緩和効果が高い。多孔質部19の材料としては、上記したように圧電性セラミックスを用いてもよい。具体的には、チタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)等のペロブスカイト型酸化物を用いることができる。
圧電体層3,4の材料としては、圧電性を有するセラミックスであれば特に限定されないが、好ましくは圧電歪み定数d33が高いセラミックスを用いることがよい。具体的には、チタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)等のペロブスカイト型酸化物を主成分とすることが好ましい。
内部電極5の材料としては、導電性を有するものであればよく特に限定されないが、例えば銅、ニッケルなどの金属または銀−白金合金、銀−パラジウム合金などの合金を用いることができる。特に、耐マイグレーション性や耐酸化性があり、ヤング率が低く、安価であるという点から銀−パラジウムを主成分とすることが好ましい。
外部電極9の材料としては、導電性の良いものであれば良い。例えば銅、ニッケルなどの金属やこれらの合金等を用いることができる。特に、電気抵抗が低く、取り扱いが容易であることから、銀または銀が主成分の合金を用いることが好ましい。
素子1の組成は、以下のようにして分析することができる。まず、多孔質部19などの測定部位が露出するように積層構造体7を切断するなどして、多孔質部19の一部を採取する。そして、ICP(誘導結合プラズマ)発光分析等の化学分析をすることで、多孔質部19の組成を測定できる。また、素子1の切断面を、EPMA(Electron Probe Micro Analysis)法等の分析方法を用いて分析してもよい。
次に、上記実施形態にかかる素子の製法について説明する。まず、PbZrO−PbTiO等からなるペロブスカイト型酸化物の圧電性セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系、ブチラール系等の有機高分子から成るバインダーと、DBP(フタル酸ジブチル)、DOP(フタル酸ジオクチル)等の可塑剤と、を混合してスラリーを作製する。ついで、このスラリーを周知のドクターブレード法、カレンダーロール法等のテープ成型法を用いることにより、複数のセラミックグリーンシートを作製する。
次に、銀−パラジウム等の内部電極5を構成する金属粉末にバインダー、可塑剤等を添加混合して内部電極用の導電性ペーストを作製する。作製した導電性ペーストを上記したグリーンシートの上面にスクリーン印刷等によって1〜40μm程度の厚みで印刷する。
多孔質部19となる部位は次のようにして作製される。まず、銀−パラジウム等の金属粉末にバインダー、可塑剤等を添加混合することにより導電性ペーストを作製する。この導電性ペーストを、セラミックグリーンシートの上面のうち多孔質部19を形成したい領域に1〜10μm程度の厚みで印刷する。ついで、この印刷面の上面に、金属チタン粉末を混合したアクリルビーズ等の樹脂ビーズ、バインダー、可塑剤等を添加混合したペースト、または金属チタン粉末を混合したカーボン粉末にバインダー、可塑剤等を添加混合したペーストを1〜10μm程度の厚みで印刷する。さらに、この印刷面の上面に、上記した導電性ペーストを1〜10μm程度の厚みで印刷する。
樹脂ビーズ等を混合した上記ペーストを印刷した部分は、焼成プロセスにおいて、アクリルビーズまたはカーボン粉末が焼失するとともに、周囲の金属粉末が焼結する。このとき、周囲の金属とアクリルビーズまたはカーボン粉末が焼失した空間との界面に、チタン金属、チタン酸化物等の金属チタン成分が存在し、焼失した空間を保持する。さらに、その後、上記金属チタン成分が金属中や圧電体層中に拡散することで、多孔質部19が形成される。チタン金属の代わりに酸化チタン、水素化チタン等のチタン化合物を用いても良い。焼成後に拡散して空隙と金属との界面にチタン化合物が残りにくくするという点で、チタン金属を用いるのがよい。
樹脂ビーズ等を混合した上記ペーストには、PbZrO−PbTiO等からなるペロブスカイト型酸化物の圧電セラミックスの仮焼粉末を加えてもよい。圧電セラミックスの仮焼粉末を加えることで、多孔質部19を金属部とセラミック部で構成することができる。また、チタン金属の代わりに、上記圧電セラミックスの仮焼粉末を加えた場合には、セラミック部を含む多孔質部19を形成することができる。
多孔質部19は以下のように形成されても良い。上記と同様にして作製した導電性ペーストを1〜10μm程度の厚みで前述のセラミックグリーンシート上に印刷する。ついで、その印刷面に、スパッタ等の薄膜作製手法にて0.1〜5μm程度の厚みのアルミナ膜、窒化ケイ素膜、シリカ膜などの薄膜を形成する。ついで、この薄膜形成面に上記導電性ペーストを1〜10μm程度の厚みに印刷する。
焼成プロセスにより、アルミナ膜、窒化ケイ素膜、シリカ膜などの薄膜を形成した部分は、0.1〜5μm程度の厚みのアルミナ層、窒化ケイ素層またはシリカ層となる。アルミナ層、窒化ケイ素層またはシリカ層が形成された部位は、後述する分極処理により、積層構造体7が伸縮して多孔質部19に応力がかかることで、アルミナ層、窒化ケイ素層、シリカ層と銀―パラジウム層との間に空隙が形成される。これにより、空隙を備えた多孔質部19が形成される。特に、分極処理の極性を反転させる反転処理を施すことで、積層構造体7の伸び縮みが激しくなり、短時間で空隙が効率よく形成される。
多孔質部19は以下のように形成されても良い。上記と同様にして作製した導電性ペーストを1〜10μm程度の厚みで前述のセラミックグリーンシート上に印刷する。さらに、その上に、0.1〜5μm程度の厚みのアルミナ箔、窒化ケイ素箔、シリカ箔を配置する。そして、再度、上記の多孔質部19となる導電性ペーストを1〜10μm程度の厚みに印刷する。
焼成プロセスにより、アルミナ箔、窒化ケイ素箔またはシリカ箔を配置した部分は、0.1〜5μm程度の厚みのアルミナ層、窒化ケイ素層またはシリカ層となる。これらの部位は、上記と同様に分極処理により空隙が形成される。
多孔質部19は以下のように形成されても良い。上記と同様にして作製した導電性ペーストを1〜10μm程度の厚みで前述のセラミックグリーンシート上に印刷する。ついで、この印刷面上に、BN粉末またはクオーツ相のSiO粉末にバインダー、可塑剤等を添加混合したペーストを1〜10μm程度の厚みで印刷する。ついで、上記導電性ペーストを1〜10μm程度の厚みで印刷する。
焼成プロセスにおいて、BN粉末またはSiO粉末を混合した上記ペーストを印刷した部分は、BN層またはクオーツ相のSiO層となる。これらの部位は、上記と同様にして分極処理することでBN層またはSiO層と銀―パラジウム層との間に空隙が形成される。
多孔質部19は以下のように形成されてもよい。銀−パラジウム等の金属粉末にバインダー、可塑剤等を添加混合して導電性ペーストを作製する。ついで、この導電性ペーストよりも銀濃度の高い金属粉末に、バインダー、可塑剤等を添加混合して多孔質部用の導電性ペーストを作製する。これらの導電性ペーストをグリーンシートの上面にスクリーン印刷等によって1〜40μm程度の厚みでそれぞれ印刷する。これらのグリーンシートは積層方向に隣接するように積層される。
焼成プロセスにおいて、多孔質部用導電性ペーストの銀が、このペーストよりも銀濃度の低い導電性ペースト側に拡散する。これにより、焼成後には、銀が拡散した部分に空隙が形成されて多孔質部となる。一方、多孔質用導電性ペーストに隣接する導電性ペーストには多孔質用導電性ペーストから銀が拡散してくるので、当該導電性ペーストは焼成後に高密度層となる。この方法は、端部側非対向部15に、多孔質部19と高密度層21を設ける場合に適している。
多孔質部用の導電性ペーストに、銀−パラジウム合金などの金属粉末とともに、圧電性セラミックスの仮焼粉末を添加しておくことで、焼成後には多孔質部19が金属部とセラミック部により構成される。銀−パラジウム粉末と圧電セラミックスの仮焼粉末の配合の比率を変えることで、多孔質部19の金属部とセラミック部の割合を変えることができる。
銀−パラジウム等の金属粉末は合金粉末を用いてもよいが、銀粉末とパラジウム粉末の混合粉末を用いて組成を調整してもよい。また、銀−パラジウムの合金粉末に銀粉末またはパラジウム粉末を加えることで組成を調整してもよい。
次に、内部電極用導電性ペースト、多孔質部用導電性ペーストなどが印刷されたグリーンシートを積層して積層成形体を得る。この積層成形体を所定の温度で脱バインダーを行った後、900〜1200℃で焼成することによって積層構造体7が得られる。
端部側非対向部15を形成するグリーンシート中には、銀−パラジウム等の内部電極5を構成する金属粉末を添加することが好ましい。これは、端部側非対向部15とそれ以外の部分の圧電体層3の焼結時の収縮挙動を近づけることができるからである。同様の理由から、端部側非対向部15を形成するグリーンシートには、内部電極用の導電性ペーストと同様のものグリーンシート上に印刷して、対向部と非対向部の焼成時の収縮挙動を近づけるようにしてもよい。
なお、積層構造体7は、上記製法によって作製されるものに限定されるものではなく、複数の圧電体層3と複数の内部電極5とを交互に積層してなる積層構造体7を作製できれば、他の製法によって形成されても良い。
次に、公知の手段により積層構造体7に外部電極9を形成することにより素子1が得られる。最後に、外部電極9にリード線(不図示)を接続し、リード線を介して一対の外部電極9に0.1〜3kV/mmの直流電圧を印加して、積層構造体7を分極処理する。さらに、素子1の表面をシリコーン樹脂等の樹脂で被覆してもよい。この場合、素子1の側面に開口している多孔質部19の空隙に被覆樹脂を入り込ませることで、アンカー効果により被覆樹脂の密着強度が向上する。
<第2の実施形態>
図4に示すように、端部側非対向部15に複数の多孔質部19を形成してもよい。端部側非対向部15に多孔質部19を複数存在させることにより、素子1に加わった応力をより効果的に分散させることができる。また、積層方向に垂直な方向において不均一な駆動が生じたときに発生するうねりをより効果的に吸収することもできる。これによりうなり音の発生を低減する効果が高まる。また、高調波信号の発生が低減されるので、制御信号に対するノイズが生じるのを低減できる。他の構成については第1の実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する(第3の実施形態以降においても同じ符号を付して説明を省略する)。
<第3の実施形態>
図5、6に示すように、多孔質部19は、互いに離隔するように分割して配置された複数の分割多孔質部19aからなるものであってもよい。これらの分割多孔質部19aは、図6に示すように積層方向と垂直な同一面内に配列されている。このようにして分割多孔質部19aを同一面内に配置することで、この面方向で不均一な応力が生じたときであっても、それぞれの分割多孔質部19aにおいて応力を効果的に吸収することができる。また、各分割多孔質部19aはそれぞれ独立しているので、想定外の大きな応力が一部の分割多孔質部19aにかかり、その分割多孔質部19aが破損した場合であっても、その影響が他の分割多孔質部19aには伝わりにくい。したがって、他の分割多孔質部19aは破損せず形状を保持できる。これにより、応力緩和効果がより長期間にわたり発揮される。複数の分割多孔質部19aは、上記面方向において規則的に配置されることが好ましい。これにより、上記面内における応力緩和効果を面内により均一に分散させて発揮させることができる。
<第4の実施形態>
図7に示すように、端部側非対向部15は、多孔質部19を備えるとともに、内部電極5よりも空隙率の小さい高密度層21を備えているのが好ましい。圧電体層を介して多孔質部19と並設され、外部電極9に電気的に接続されていない高密度層21を備えていることで、素子1に応力が加わった際に圧電体層3および内部電極5に応力が集中するのを低減する効果がより高くなる。
図7に示すように、高密度層21が多孔質部19よりも積層構造体7の端部側の位置に配設されることで、端部側非対向部15において多孔質部19周辺の圧電体が変形することによって生じる起電力を偏らせることなく面内により均一に分散させることが出来る。これにより、圧電体中に空間電荷層が形成されるのを低減できるので、空間電荷層によって生じる酸素空孔イオンの形成を低減できる。その結果、酸素空孔イオンの移動による絶縁性の低下を低減できるので、素子の耐久性をさらに高めることができる。
高密度層21の材料としては、素子内の電荷の移動を速く伝播させるには、銀、銅、ニッケルなどの金属、または銀−白金合金や銀−パラジウム合金等の合金を主成分とするのがよい。特に、耐マイグレーション性や耐酸化性があり、ヤング率が低く、安価であるという点から銀−パラジウムを主成分とすることが好ましい。さらに、高密度層21の成分は、多孔質部19と同様の理由から銀であることが好ましい。また、応力を速く伝播させるという点でヤング率が高い材料が好ましく、窒化珪素、アルミナ、ジルコニア、チタニア、チタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)等のペロブスカイト型酸化物を主成分とするセラミック層、ダイヤモンド層などが挙げられる。
<第5の実施形態>
図8に示すように、多孔質部19が高密度層21よりも積層構造体7の端部側の位置に配設されていてもよい。端部に位置する内部電極5と端部側非対向部15との境界付近における圧電体の変形に起因して起電力が生じてもその電荷が高密度層21に取り込まれる。したがって、生じた起電力が素子1の端部に伝播するのを低減できる。また、上記電荷が高密度層21に取り込まれるので、電荷が内部電極5側に伝播するのを低減できる。その結果、圧電体中に空間電荷層が形成するのを低減できるので、空間電荷層によって生じる酸素空孔イオンの形成が低減できる。酸素空孔イオンの移動による絶縁性の低下を抑止できるので、素子の耐久性をさらに高めることができる。
<第6の実施形態>
図9,10に示す形態では、高密度層21が、複数の分割多孔質部19aからなる多孔質部19よりも積層構造体7の端部により近い位置に形成されている。対向部11の駆動変形に伴って分割多孔質部19aを取り囲む圧電体が変形することによっても応力が緩和される。この圧電体の変形に起因して起電力が生じる。このとき生じる電荷は、独立して存在する分割多孔質部19aにそれぞれ分散するので、面内において電荷が偏ることなくより均一に分散しやすくなる。
<第7の実施形態>
図11に示す形態では、高密度層21が、複数の分割多孔質部19aからなる多孔質部19よりも内部電極5に近い位置に形成されている。素子1の駆動に伴って、内部電極5と高密度層21との間の圧電体が変形することで起電力が生じる。このとき生じる電荷が高密度層21に取り込まれるので、素子1の端部に伝播することを低減できる。また、分割多孔質部19aを取り囲む圧電体が変形することによって応力が緩和される。この時生じる電荷が高密度層21に取り込まれるので、電荷が内部電極5に伝播することも低減できる。
<第8の実施形態>
図12に示すように、端部側非対向部15のうち、積層構造体7の側面近傍の部位に多孔質部19を配設してもよい。このように多孔質部19を配設することによって、端部側非対向部15と側部側非対向部17との応力緩和効果を併せ持った効果を得ることができる。それに加え、多孔質部19が占める割合を少なくできるので、素子の強度低下を低減できる。このような構成は、素子1の積層方向の寸法が、積層方向に垂直な方向の寸法よりも小さい構造の場合に有効である。また、内部電極5の積層数が少ない場合にも上記の多孔質部19の構成は効果的である。具体的には、積層数が10層以下であるときに、上記のように多孔質部19を配設することが有効となる。
<第9の実施形態>
図13に示すように、端部側非対向部15に多孔質部19を設け、側部側非対向部17にも多孔質部19bを設けることが好ましい。このように多孔質部19,19bを設けることにより、それぞれに設けられた多孔質部が別々に応力緩和効果を発揮するのではなく、素子1における歪を互いに補い合うことができるからである。これにより、駆動時の素子1の軸がぶれにくくなり、安定した駆動を実現することができる。
<参考例1>
図14,15に示すように、素子101における積層構造体107は、積層方向に隣り合う異極の内部電極5同士が積層方向に対向する対向部11と、この対向部11以外の部位であって対向部11と積層構造体107の側面との間に設けられた側部側非対向部(不活性領域)17とを備えている。この素子101は、側部側非対向部17に、内部電極5よりも空隙率の大きい多孔質部19bを備えている。これにより、側部側非対向部17において応力を緩和することができる。
多孔質部19bは、陽極側内部電極5aの主面を含む平面と、この陽極側内部電極5aに積層方向に隣り合う陰極側内部電極5bの主面を含む平面との間に設けられていることが好ましい。多孔質部19bが内部電極5と同一平面上にある場合と比較して、内部電極5に亀裂が進展しにくいからである。また、駆動時、内部電極5間にかかる応力を多孔質部19bに集中させて応力を緩和することができる。
側部側非対向部17には、図14に示すように多孔質部19bが積層方向に複数形成されていることが好ましい。多孔質部19bが複数形成されていることにより、素子101にかかる応力を各々の多孔質部19bに分散させて緩和することができる。
<参考例2>
図16に示すように、多孔質部19bが素子101の側面全域に露出するように、圧電体層3の上面の周縁部に配置させた場合には、素子101の側面のいずれの方向から応力がかかったときでも、高い応力緩和効果が得られる。
<参考例3>
図17に示すように、多孔質部19bが素子101の側面に露出しないように多孔質部19bを圧電体層3に埋設した場合には、多孔質部19bにより応力が緩和される効果とともに、素子1の寸法が変化することを効果的に低減できる。これは、素子101の側面に多孔質部19bが露出する割合が減少するので、素子101の強度が向上するからである。
<参考例4>
図18に示すように、積層方向に隣り合う陽極側内部電極5aと陽極側内部電極5aの間、および積層方向に隣り合う陰極側内部電極5bと陰極側内部電極5bの間に、複数の多孔質部19b(図18の場合は2つの多孔質部19b)を配置してもよい。このように多孔質部19bを配置することにより、各々の多孔質部19bにかかる応力をより分散させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の素子は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、上記の実施形態では、多孔質部が合金からなる場合について説明したが、一部の多孔質部が合金からなり、残りの多孔質部が単一の金属からなる形態であってもよい。また、上記の実施形態では、多孔質部が同じ成分を含有している場合について説明したが、多孔質部が主成分の異なる少なくとも二種以上の層からなる形態であってもよい。
本発明の積層型圧電素子は、例えば自動車エンジンの燃料噴射装置、インクジェット等の液体噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置、振動防止装置等に搭載される駆動素子(圧電アクチュエータ)、燃焼圧センサ、ノックセンサ、加速度センサ、荷重センサ、超音波センサ、感圧センサ、ヨーレートセンサ等に搭載されるセンサ素子、及び、圧電ジャイロ、圧電スイッチ、圧電トランス、圧電ブレーカー等に搭載される回路素子等に好適に用いることができる。
<噴射装置>
図19に示すように、本実施形態にかかる噴射装置23は、一端に噴射孔25を有する収納容器27の内部に上記実施形態に代表される本発明の素子が収納されている。収納容器27内には、噴射孔25を開閉することができるニードルバルブ29が配設されている。噴射孔25には燃料通路31がニードルバルブ29の動きに応じて連通可能に配設されている。この燃料通路31は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路31に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ29が噴射孔25を開放すると、燃料通路31に供給されていた燃料が一定の高圧で図示しない内燃機関の燃料室内に噴出されるように構成されている。
また、ニードルバルブ29の上端部は内径が大きくなっており、収納容器27に形成されたシリンダ33と摺動可能なピストン35が配置されている。そして、収納容器27内には、上記した素子1を備えた圧電アクチュエータが収納されている。
このような噴射装置では、圧電アクチュエータが電圧を印加されて伸長すると、ピストン35が押圧され、ニードルバルブ29が噴射孔25を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると圧電アクチュエータが収縮し、皿バネ37がピストン35を押し返し、噴射孔25が燃料通路31と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
また、本発明の噴射装置23は、噴射孔25を有し、液体を収容する容器と、上記素子1とを備え、容器内の液体が素子1の駆動により噴射孔25から吐出させるように構成されていてもよい。すなわち、素子1が必ずしも容器の内部にある必要はなく、素子の駆動によって容器の内部に圧力が加わるように構成されていればよい。なお、本発明において、液体とは、燃料、インクなどの他、種々の液状流体(導電性ペースト等)が含まれる。
<燃料噴射システム>
図20に示すように、本実施形態にかかる燃料噴射システム39は、高圧燃料を蓄えるコモンレール41と、このコモンレール41に蓄えられた燃料を噴射する複数の上記噴射装置39と、コモンレール41に高圧の燃料を供給する圧力ポンプ43と、噴射装置23に駆動信号を与える噴射制御ユニット45と、を備えている。
噴射制御ユニット45は、エンジンの燃焼室内の状況をセンサ等で感知しながら燃料噴射の量やタイミングを制御するものである。圧力ポンプ43は、燃料タンク47から燃料を1000〜2000気圧程度、好ましくは1500〜1700気圧程度にしてコモンレール52に送り込む役割を果たす。コモンレール41では、圧力ポンプ43から送られてきた燃料を蓄え、適宜噴射装置23に送り込む。噴射装置23は、上述したように噴射孔25から少量の燃料を燃焼室内に霧状に噴射する。
本実施形態にかかる素子を備えた圧電アクチュエータを以下のようにして作製した。まず、平均粒径が0.4μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)を主成分とする圧電セラミックスの仮焼粉末、バインダー、及び可塑剤を混合したスラリーを作製した。このスラリーを用いてドクターブレード法で厚み150μmの圧電体層3になる複数のセラミックグリーンシートを作製した。
得られたセラミックグリーンシートの片面に、銀−パラジウム合金(銀95質量%−パラジウム5重量%)にバインダーを加えた導電性ペーストをスクリーン印刷法により形成したシートを複数枚作製した。これらのシートを試料No.1〜11,13では300枚積層して積層成形体を得た。試料No12,14ではシートを10枚積層して積層成形体を得た。多孔質部19が形成される部分には、銀−パラジウム合金(銀99質量%−パラジウム1重量%)の導電性ペーストをスクリーン印刷のパターンを変更して印刷した。得られた積層成形体を800℃で保持した後に、1050℃で焼結させた後、さらに1000℃で1時間加熱保持してから冷却した。各試料では、多孔質部19を表1に示すように配置した。
次に、平均粒径2μmのフレーク状の銀粉末と、残部が平均粒径2μmのケイ素を主成分とする軟化点が640℃の非晶質のガラス粉末との混合物に、バインダーを銀粉末とガラス粉末の合計質量100質量部に対して8質量部添加し、十分に混合して銀ガラス導電性ペーストを作製した。そして、この銀ガラス導電性ペーストを積層構造体7の対向する側面に印刷して乾燥した後、700℃で30分焼き付けを行い、外部電極9を形成した。
その後、外部電極9にリード線を接続し、正極及び負極の外部電極9にリード線を介して3kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行い、図1に示すような形態の素子1を用いた圧電アクチュエータを作製した。
得られた素子1に170Vの直流電圧を印加したところ、すべての圧電アクチュエータにおいて、積層方向に変位量が得られた。
これらの圧電アクチュエータを室温で0〜+170Vの交流電圧を150Hzの周波数で印加して、1×10回まで連続駆動した試験を行った。結果は表1に示すとおりである。なお、表1中のアクチュエータの耐久特性の欄において、耐久性を「◎(優)」、「○(良)」、「×(不可)」でそれぞれ示した。
Figure 0005025661
表1から、非対向部に応力を緩和できる層を配置していない試料番号13、14は、所定の1×10サイクルの連続駆動試験を待たずに3×10サイクルにて性能が劣化した。これに対し、本発明の実施例である試料番号1〜12は、1×10サイクル後の耐久性能を満たしていた。また、これらの試料は初期の変位量からの低下量が小さかった。特に、試料番号6、7、12は、1×10サイクル後も素子性能がほとんど変化することなく、耐久性に優れていた。
本発明の第1の実施形態にかかる積層型圧電素子を示す断面図である。 第1の実施形態にかかる積層型圧電素子における多孔質部の近傍を示す分解立体図である。 図1に示す積層型圧電素子における多孔質部を示す拡大断面図である。 本発明の第2の実施形態にかかる積層型圧電素子を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態にかかる積層型圧電素子を示す断面図である。 第3の実施形態にかかる積層型圧電素子における多孔質部の近傍を示す分解立体図である。 本発明の第4の実施形態にかかる積層型圧電素子を示す断面図である。 本発明の第5の実施形態にかかる積層型圧電素子を示す断面図である。 本発明の第6の実施形態にかかる積層型圧電素子を示す断面図である。 第6の実施形態にかかる積層型圧電素子における多孔質部の近傍を示す分解立体図である。 本発明の第7の実施形態にかかる積層型圧電素子を示す断面図である。 本発明の第8の実施形態にかかる積層型圧電素子を示す断面図である。 本発明の第9の実施形態にかかる積層型圧電素子を示す断面図である。 積層型圧電素子の参考例1を示す断面図である。 参考例1における多孔質部の近傍を示す分解立体図である。 積層型圧電素子の参考例2における多孔質部の近傍を示す分解立体図である。 積層型圧電素子の参考例3を示す断面図である。 積層型圧電素子の参考例4を示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる噴射装置を示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる燃料噴射システムを示す概略図である。

Claims (7)

  1. 複数の圧電体層と複数の内部電極が交互に積層された積層構造体を備え、前記積層構造体は、積層方向に隣り合う陽極側の前記内部電極と陰極側の前記内部電極とが積層方向に対向する対向部と、前記対向部よりも積層方向の端部側に位置する端部側非対向部とを備え、
    前記端部側非対向部は、積層方向に隣り合う少なくとも2つの圧電体層と、これらの圧電体層間に設けられ、前記内部電極よりも空隙率の大きい多孔質部とを備えていることを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 前記端部側非対向部は、前記内部電極よりも空隙率の小さい高密度層を備えている請求項1に記載の積層型圧電素子。
  3. 前記多孔質部は、金属を主成分とする複数の金属部およびセラミックスを主成分とする複数のセラミック部の少なくとも一方が、積層方向に隣り合う2つの前記圧電体層の間に空隙を介して点在してなる請求項1に記載の積層型圧電素子。
  4. 前記多孔質部は、前記対向部と積層構造体の側面との間に位置する側部側非対向部に設けられている請求項1に記載の積層型圧電素子。
  5. 前記多孔質部は、前記陽極側の内部電極の主面を含む平面と、この陽極側の内部電極に積層方向に隣り合う前記陰極側の内部電極の主面を含む平面との間に位置している請求項4に記載の積層型圧電素子。
  6. 噴射孔を有し、液体を保持する容器と、請求項1に記載の積層型圧電素子とを備え、前記容器内の前記液体が前記積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から吐出されるように構成されていることを特徴とする噴射装置。
  7. 燃料を蓄えるコモンレールと、
    前記コモンレールに蓄えられた燃料を吐出する請求項6に記載の噴射装置と、
    前記コモンレールに高圧の燃料を供給する圧力ポンプと、
    前記噴射装置に駆動信号を与える噴射制御ユニットと、
    を備えた燃料噴射システム。
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