JP2008112809A - 積層型圧電素子、これを備えた噴射装置、及びこれを備えた燃料噴射システム - Google Patents

積層型圧電素子、これを備えた噴射装置、及びこれを備えた燃料噴射システム Download PDF

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Abstract

【課題】高電界、高圧力下で長期間連続駆動させた場合でも、変位の低下がなく、耐久性に優れた積層型圧電素子及びその製法並びに噴射装置を提供する。
【解決手段】本発明の積層型圧電素子によれば、複数の金属層のうちの少なくとも1層は、積層体の積層方向に平行な平面で積層体を切ったときの金属層断面における端部領域が中心領域よりも空隙が多い不均一金属層であるので、端部領域の金属が変形しやすくなり、端部領域の金属が圧電体を拘束する拘束力を低減することができる。これにより、積層型圧電素子が伸縮しやすくなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、積層型圧電素子(以下、単に「素子」ということもある)、噴射装置、および燃料噴射システムに関し、例えば、自動車エンジンの燃料噴射装置、インクジェット等の液体噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置、振動防止装置等に搭載される駆動素子(圧電アクチュエータ)、燃焼圧センサ、ノックセンサ、加速度センサ、荷重センサ、超音波センサ、感圧センサ、ヨーレートセンサ等に搭載されるセンサ素子、並びに圧電ジャイロ、圧電スイッチ、圧電トランス、圧電ブレーカー等に搭載される回路素子等に用いられる積層型圧電素子、これを備えた噴射装置、及びこれを備えた燃料噴射システムに関するものである。
図9は従来の積層型圧電素子を示す斜視図であり、図10は図9の積層型圧電素子を積層方向に平行な平面で切ったときの断面図であり、図11は図9の積層型圧電素子を積層方向に垂直であり、かつ、金属層を含む平面で切ったときの断面図である。
近年、積層型圧電素子は、小型化が進められると同時に、大きな圧力下において大きな変位量を確保するように求められているため、より高い電界が印加され、しかも長時間連続駆動させる過酷な条件下で使用できることが要求されている。
そして、積層型圧電素子が駆動し、圧電体の寸法が連続的に変化した際に、電極が重なっていない部分(不活性部)や内部電極と外部電極とが接続している部分などでは、逆圧電効果(ピエゾ効果)による変形が小さい。このため、高い電圧を印加すると、変形の大きい部分と変形の小さい部分の境界で大きな応力の集中がおこり、素子に過度の負荷をかけることになる。
特許文献1、2に開示されているように、積層体の積層方向の両端面に形成された外層部にボイドや空孔を設けて、応力差を緩和させる方法が提案されている。
特開2000−114098号公報 特開2003−309039号公報
積層型圧電素子は、逆圧電効果により圧電体が変形するものである。しかし、内部電極(金属層)と圧電体とが密着しているため、この内部電極により圧電体の変位が拘束されている。この状態では、積層体である圧電素子は、積層方向に伸び、積層方向に対して垂直な方向に縮もうとしても、内部電極により圧電体の変位が拘束されているので、十分に変形できないという問題点が生じていた。
また、積層体の側面に外部電極が形成されている場合、積層体の外部電極と接続している部分は、外部電極により圧電体の変形が拘束されているため、十分に変形できないという問題があった。
また、圧電体を連続駆動した場合、圧電体は自己発熱をともなって、積層型圧電素子の中心部の温度が高くなる。一方、積層型圧電素子の表面の温度は放熱されているので温度は上がりにくい。このため、圧電体の温度特性より、中心部ではより伸びやすくなるが、表面は伸びにくくなっているため、内外の変位差が大きくなり、変位変化が大きく、安定しなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、大きな変位量を有しながら、高電界、高圧力下で安定した長時間連続駆動させることが可能な信頼性に優れた積層型圧電素子、これを用いた噴射装置、及びこれを用いた燃料噴射システムを提供することを目的とする。
本発明の積層型圧電素子は、複数の圧電体層と複数の金属層とを有し、前記圧電体層と前記金属層とが交互に積層された積層体を備え、前記複数の金属層のうちの少なくとも1層が、前記積層体の積層方向に平行な平面で前記積層体を切ったときの金属層断面における端部領域が中心領域よりも空隙が多い不均一金属層であることを特徴とする。
また、前記不均一金属層は、前記中心領域から前記端部領域に向かって空隙率が漸次増加していることが好ましい。また、前記積層体には、対向する側面に一対の外部電極が形成され、これらの外部電極に前記複数の金属層が交互に接続されており、前記不均一金属層は、前記外部電極に接続されていない側の前記端部領域が前記外部電極に接続されている側の前記端部領域よりも空隙率が高いことが好ましい。
また、前記不均一金属層は、前記積層体の積層方向に平行で、かつ、前記積層体の中心を含む平面で前記積層体を切ったときの金属層断面における端部領域が中心領域よりも空隙が多いことが好ましい。
本発明の他の積層圧電素子は、複数の圧電体層と複数の金属層とを有し、前記圧電体層と前記金属層とが交互に積層された積層体を備え、前記複数の金属層のうちの少なくとも1層は、前記積層体の積層方向に垂直な平面で、かつ、当該金属層を含む平面で前記積層体を切ったときの金属層断面における周縁領域が中央領域よりも空隙が多い不均一金属層であることを特徴とする。
また、前記不均一金属層は、前記中央領域から前記周縁領域に向かって空隙率が漸次増加していることが好ましい。
また、前記積層体には、対向する側面に一対の外部電極が形成され、これらの外部電極に前記複数の金属層が交互に接続されており、前記不均一金属層は、前記外部電極に接続されていない側の前記周縁領域が前記外部電極に接続されている側の前記周縁領域よりも空隙率が高いことが好ましい。
また、前記不均一金属層は、前記外部電極と離隔し、かつ、互いに離隔した状態にある複数の部分金属層を有していることが好ましい。
また、前記不均一金属層が複数存在し、これらが積層方向に規則的に配置されていることが好ましい。
本発明の噴射装置は、噴射孔を有する容器と、上記のいずれかに記載の積層型圧電素子とを備え、前記容器内に充填された液体が前記積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から吐出させるように構成されていることを特徴とする。
本発明の燃料噴射システムは、高圧燃料を蓄えるコモンレールと、このコモンレールに蓄えられた燃料を噴射する前記噴射装置と、前記コモンレールに高圧の燃料を供給する圧力ポンプと、前記噴射装置に駆動信号を与える噴射制御ユニットと、を備えていることを特徴とする。
本発明の積層型圧電素子によれば、複数の金属層のうちの少なくとも1層は、積層体の積層方向に平行な平面で積層体を切ったときの金属層断面における端部領域が中心領域よりも空隙が多い不均一金属層であるので、金属層の端部領域が変形しやすくなり、端部領域の金属が圧電体を拘束する拘束力を低減することができる。これにより、積層型圧電素子が伸縮しやすくなる。積層体の変形は、特に金属層(内部電極)の端部領域で最も大きくなるため、金属層断面の端部領域の空隙を中心領域よりも多くすると、空隙内の空気は応力によって変形する。その結果、端部領域の金属層と圧電体層の界面付近のヤング率を小さくし、柔軟性を向上させることができる。
不均一金属層が、中心領域から端部領域に向かって空隙率が漸次増加しているときには、中心領域から端部領域に向かって空隙が徐々に多くなり、ヤング率を徐々に小さくすることができる。すなわち、ヤング率の急激な変化がないため、応力の集中をより低減させることができる。これにより、素子の耐久性をより向上させることができるとともに、素子がより変位しやすくなる。
積層体には、対向する側面に一対の外部電極が形成され、これらの外部電極に複数の金属層が交互に接続されており、不均一金属層が、外部電極に接続されていない側の端部領域が外部電極に接続されている側の端部領域よりも空隙率が高いときには、不活性部における応力集中をより効果的に緩和することができる。すなわち、金属層が外部電極に接続
されている側の端部領域は、同極の内部電極間に挟まれた領域が大半を占める不活性部である。この不活性部にヤング率が低く柔軟性の高い領域を設けることで、不活性部において金属層が圧電体を拘束する拘束力を低減し、不活性部における応力集中を緩和させることができる。これにより、素子の変位が更に生じやすくなる。
また、本発明では、不均一金属層が、積層体の積層方向に平行で、かつ、積層体の中心を含む平面で積層体を切ったときの金属層断面において、端部領域が中心領域よりも空隙が多いことが好ましい。端部領域と中心領域との空隙量を比較するときには、積層体の積層方向に平行で、かつ、積層体の中心を含む平面で積層体を切ったときの金属層断面において評価することが好ましい。このような金属層断面で評価を行うことにより、端部領域と中心領域の空隙量の評価を、より精度良く行うことができる。
本発明の他の積層型圧電素子によれば、複数の金属層のうちの少なくとも1層は、積層体の積層方向に垂直な平面で、かつ、当該金属層を含む平面で積層体を切ったときの金属層断面における周縁領域が中央領域よりも空隙が多い不均一金属層であるので、周縁領域の金属が変形しやすくなり、周縁領域の金属が圧電体を拘束する拘束力を低減することができる。これにより、積層型圧電素子が伸縮しやすくなる。積層体の変形は、特に金属層(内部電極)の周縁領域で最も大きくなるため、金属層断面の周縁領域の空隙を中央領域よりも多くすると、空隙内の空気は応力によって自己変形をするため、周縁領域の金属層と圧電体層の界面付近のヤング率を小さくし、柔軟性を向上させることができる。
不均一金属層が、中央領域から周縁領域に向かって空隙率が漸次増加しているときには、中央領域から周縁領域に向かって空隙が徐々に多くなり、ヤング率を徐々に小さくすることができる。すなわち、ヤング率の急激な変化がないため、応力の集中をより低減させることができる。これにより、素子の耐久性をより向上させることができるとともに、素子がより変位しやすくなる。
積層体には、対向する側面に一対の外部電極が形成され、これらの外部電極に複数の金属層が交互に接続されており、不均一金属層が、外部電極に接続されていない側の周縁領域が外部電極に接続されている側の周縁領域よりも空隙率が高いときには、不活性部における応力集中をより効果的に緩和することができる。すなわち、金属層が外部電極に接続されている側の周縁領域は、同極の内部電極間に挟まれた領域が大半を占める不活性部である。この不活性部にヤング率が低く柔軟性の高い領域を設けることで、不活性部において金属層が圧電体を拘束する拘束力を低減し、不活性部における応力集中を緩和させることができる。これにより、素子の変位が更に生じやすくなる。
不均一金属層は、外部電極と離隔し、かつ、互いに離隔した状態にある複数の部分金属層を有しているときには、不均一金属層が連続した一体物の金属からなる場合と比較して、ヤング率がより低くなる。これにより、不均一金属層がより変形しやすくなり、圧電体層の拘束をより効果的に開放することができる。その結果、積層型圧電素子の初期駆動時と連続駆動後の変位量の差が小さくなるので、素子の変位を安定させることが可能となる。
不均一金属層が複数存在し、これらが積層方向に規則的に配置されているときには、応力緩和効果のある、ヤング率の小さい不均一金属層が、素子の積層方向により均等に配置されるので、素子変形に伴う応力が素子の一部分に集中せず、素子全体に分散させることができる。これにより、素子の耐久性がより向上するとともに、低温の長時間駆動の際に変位の変化率が小さく、長時間駆動の効率が良くなる。
本発明によれば、噴射孔を有する容器と、上記のいずれかに記載の積層型圧電素子とを備え、容器内に充填された液体が積層型圧電素子の駆動により噴射孔から吐出させるように構成されているときには、高電界、高圧力下で長時間連続駆動させた場合であっても耐久性に優れ、信頼性の高い噴射装置および燃料噴射システムを提供することができる。
以下、本発明の積層型圧電素子について、図面を用いて詳細に説明をする。
図1は、本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる一例を示す斜視図であり、図2は、本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる一例を示す展開斜視図である。また、図3は図1のA−A’断面図であり、図4は積層体19の不均一金属層5のボイド状態を示す図3の領域Eの拡大断面図である。また、図5は積層体19の不均一金属層5のボイド状態を示す図1のB−B’ 断面図である。
図3、4に示すように、本実施形態の積層型圧電素子57は、複数の圧電体層1と複数の金属層3とを有し、圧電体層1と金属層3とが交互に積層された積層体19を備えている。複数の金属層3のうちの少なくとも1層は、積層体19の積層方向に平行な平面で積層体19を切ったときの金属層断面における端部領域25が中心領域23よりも空隙が多い不均一金属層5である。
ここで、本実施形態において中心領域23とは、積層体19の積層方向に垂直な断面における金属層の積層方向に垂直な幅の、中心27から一方の端部までの距離の1/2の位置と、他方の端部までの距離の1/2の位置とで囲まれる領域をいい、端部領域25とは、金属層断面のうち中心領域23を除く領域であるものとする。
金属層3に所定の電圧を印加することにより、積層方向に隣り合う金属層3間に挟まれた圧電体層1が逆圧電効果によって変位する。各金属層3は、圧電体層1の主面全体には形成されておらず、いわゆる部分電極構造となっていることが好ましい。一層おきに積層体19の対向する側面にそれぞれ露出するように配置されている部分電極構造であることで、金属層3が、一層おきに一対の外部電極9に電気的に接続される。
本実施形態の積層型圧電素子57は、不均一金属層5を有しているので、端部領域25の金属が変形しやすくなり、端部領域25の金属が圧電体層1を拘束する拘束力を低減することができる。これにより、積層型圧電素子57が伸縮しやすくなる。
本実施形態の積層型圧電素子57は端部領域25の空隙率が中心領域23の空隙率よりも高い。空隙率とは、積層体19の断面(積層方向に垂直又は平行な断面)において、不均一金属層5全体の面積に対して空隙7の面積が占める割合(%)を意味する。
空隙率を測定するには、例えば以下のようにして行えばよい。まず、積層方向に平行な断面が露出するように、積層体19を公知の研磨手段を用いて研磨処理する。具体的には、例えば研磨装置としてケメット・ジャパン(株)社製卓上研磨機KEMET−V−300を用いてダイヤモンドペーストで研磨することができる。この研磨処理により露出した断面を、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)、光学顕微鏡、金属顕微鏡などにより観察して断面画像を得て、この断面画像を画像処理することによって不均一金属層5の空隙率を測定することができる。
具体例を挙げると、光学顕微鏡にて撮影した不均一金属層5の画像に対して、空隙7部分を黒色に塗りつぶし、空隙7以外の部分を白色に塗りつぶし、黒色部分の比率、即ち、(黒色部分の面積)/(黒色部分の面積+白色部分の面積)を求め、百分率で表すことにより空隙率を算出することができる。例えば、断面画像がカラーである場合は、グレースケールに変換して黒色部分と白色部分に分けるとよい。このとき、黒色部分と白色部分に2階調化するための境界のしきい値を設定する必要がある場合には、画像処理ソフトウェアや目視により境界のしきい値を設定して2値化すればよい。
本実施形態においては、積層体19の積層方向に平行で、積層体19の中心を含む平面で積層体19を切ったときの金属層断面で中心領域23、端部領域25、の空隙率を評価することが好ましい。しかし、一対の外部電極9が積層型圧電素子57の中心軸に対して対称である場合には、各々の外部電極9の幅中心を含む断面で、一対の外部電極9が非対称である場合には、接続している方の外部電極9の幅中心と積層体19の中心を含む断面で、積層体19を切ったときの金属層断面で空隙率を評価しても良い。
本実施形態の積層型圧電素子57の端部領域25の空隙率は中心領域23の空隙率よりも高いが、端部領域25と中心領域23との空隙率の差は、1%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは25%以上であることがよい。上記の差があることで、十分な応力緩和を発現することができるようになる。
また、端部領域25と中心領域23との空隙率の差は、90%以下、好ましくは80%以下であることがよい。上記の差であることにより、十分な応力緩和の発現を維持しつつ、端部領域25と外部電極9との間の電気的接続を十分に保つことができる。さらに、不均一金属層5の抵抗が大きくなりすぎることがないので、不均一金属層5の断線を防止することができる。
不均一金属層5の空隙率について、中心領域23の空隙率は88%以下、好ましくは15%以下であることがよい。上記の値とすることで、不均一金属層5と圧電体層1との間の界面強度が大きく低下せず、クラック等が発生して、積層体19が破壊されることを効果的に防ぐことができる。中心領域23には空隙7がなくても変位に問題はない。
端部領域25の空隙率は1%以上、好ましくは20%以上であることがよい。空隙率を上記の値とすることで、中心領域23との応力緩和の効果が確実に得られる。また、端部領域25の空隙率は93%以下、好ましくは60%以下であることがよい。空隙率を上記の値とすることでより確実に外部電極9との接続を得ることが可能となる。そして、これにより導通不良が発生することなく、積層型圧電素子57の変位が不安定となることを防止できる。
また、不均一金属層5は、中心領域23から端部領域25に向かって空隙率が漸次増加していることが好ましい。本実施形態において、空隙率が漸次増加しているとは、以下に示す通りである。
まず、不均一金属層5の断面の中心領域23を、以下に示す第1の領域23aと第2の領域23bに分ける。第1の領域23aは、不均一金属層5の断面の幅の中心27から一方の端部までの距離の1/4の位置と他方の端部までの距離の1/4の位置とで囲まれる領域である。第2の領域23bは、中心領域23のうち第1の領域23aを除く領域である。
さらに、不均一金属層5の断面の端部領域25を、以下に示す第3の領域25aと第4の領域25bに分ける。第4の領域25bは、不均一金属層5の断面の幅の中心27から一方の端部までの距離の3/4の位置とこの一方の端部とで囲まれた領域と、他方の端部までの距離の3/4の位置と他方の端部と、でそれぞれ挟まれた領域である。第3の領域25aは、端部領域25のうち第4の領域25bを除く領域である。
そして、第2の領域23bの空隙率が第1の領域23aの空隙率より大きく、第3の領域25aの空隙率が第2の領域23bの空隙率より大きく、第4の領域25bの空隙率が第3の領域25aの空隙率より大きいとき、空隙率が中心領域23から端部領域25に向かって空隙率が漸次増加している、とする。
このように、第1の領域23aから第4の領域25bにかけて、不均一金属層5の空隙率が段階的に増加する、あるいは漸次増加することが好ましい。さらに、第1〜4の領域に関して、隣接する領域の間の空隙率の差が全て等しいことがより好ましい。隣接する領域の間の空隙率の差が全て等しいときには、隣接する領域の間の空隙率の差により生じる応力を効果的に緩和することができる。
不均一金属層5のうちの少なくとも1層は、外部電極9に接続されていない側の端部領域25の空隙率が外部電極9に接続された側の端部領域25よりも高いことが好ましい。
外部電極9に接続されていない側の端部領域25に空隙7を多く形成させることで、不活性部において不均一金属層5が圧電体層1を拘束する拘束力を低減し、不活性部における応力集中を緩和させることができる。これにより、素子の変位が更に生じやすくなる。
外部電極9に接続されていない側の端部領域25の空隙率と外部電極9に接続された側の端部領域25の空隙率の差は、1%以上であることが好ましい。応力緩和を発現させる点から1%以上とすることで、十分な応力緩和を発現することができるようになる。また、外部電極9に接続されていない側の端部領域25の空隙率と外部電極9に接続された側の端部領域25の空隙率の差は、90%以下であることが好ましい。90%以下とすることにより外部電極9に接続された側の端部領域25と外部電極9との間の電気的接続を十分に保つことができる。
図1、2、5に示すように、本発明の他の実施形態にかかる積層型圧電素子57は、複数の圧電体層1と複数の金属層3とを有し、圧電体層1と金属層3とが交互に積層された積層体19を備えている。複数の金属層3のうちの少なくとも1層は、積層体19の積層方向に垂直な平面で、かつ、当該金属層を含む平面で積層体19を切ったときの金属層3断面における周縁領域37の空隙率が中央領域35の空隙率よりも高い不均一金属層5である。
上記の不均一金属層5を有していることにより、周縁領域37の金属が変形しやすくなり、周縁領域37の金属が圧電体層1を拘束する拘束力を低減することができる。これにより、積層型圧電素子57の柔軟性を向上させ、十分に伸びやすくすることができる。
空隙率を測定するには、本発明の一実施形態に関する詳細な説明の中で示したように、公知の研磨装置を用いて積層体19の積層方向に研磨すればよい。
なお、不均一金属層5の断面を観察する際には、不均一金属層5の厚みの約1/2の位置まで研磨し、これにより露出した断面を観察するのが好ましい。
ただし、不均一金属層5の厚みが薄く、かつ、厚みのばらつきが比較的大きな場合には、研磨処理により不均一金属層5の断面全体を露出させることができないことがある。このような場合には、不均一金属層5の一部が露出するまで研磨処理した時点で、その露出部分を観察して断面画像を得た後、さらに研磨を進めて、既に観察した部分を除く他の部分を観察するという操作を複数回繰り返してもよい。このようにして複数回の操作で得た観察画像を足し合わせて不均一金属層5の断面全体が観察できればよい。
本実施形態の積層型圧電素子の周縁領域37の空隙率は中央領域35の空隙率よりも高いが、周縁領域37と中央領域35との空隙率の差は、1%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは25%以上であることがよい。上記の差があることで、十分な応力緩和を発現することができるようになる。
また、周縁領域37と中央領域35との空隙率の差は、90%以下、好ましくは80%以下であることがよい。上記の差であることで、十分な応力緩和の発現を維持しつつ、周縁領域37と外部電極9との間の電気的接続を十分に保つことができる。さらに、不均一金属層5の抵抗が大きくなりすぎることがないので、不均一金属層5の断線を防止することができる。
不均一金属層5の空隙率について、中央領域35の空隙率は88%以下、好ましくは15%以下であることがよい。上記の値とすることで、不均一金属層5と圧電体層1との間の界面強度が大きく低下することがなく、クラック等の発生による積層体19の破壊が生じることを効果的に防ぐことができる。中央領域35には空隙7がなくても変位に問題はない。
周縁領域37の空隙率は1%以上、好ましくは20%以上であることがよい。空隙率を上記の値とすることで、中央領域35との応力緩和の効果が確実に得られる。また、周縁領域37の空隙率は93%以下、好ましくは60%以下であることがよい。空隙率を上記の値とすることでより確実に外部電極9との接続を得ることが可能となる。そして、これにより導通不良が発生することなく、積層型圧電素子57の変位が不安定となることを防止できる。
また、不均一金属層5は、中央領域35から周縁領域37に向かって空隙率が漸次増加していることが好ましい。本実施形態において、空隙率が漸次増加しているとは、以下に示す通りである。
まず、不均一金属層5の断面の中央領域35を、以下に示す1つ目の領域35aと2つ目の領域35bに分ける。1つ目の領域35aは、不均一金属層5を中心27に向かって1/4の寸法に縮小した相似形で示される領域である。第2の領域23bは、中央領域35のうち第1の領域23aを除く領域である。
さらに、不均一金属層5の断面の周縁領域37を、以下に示す3つ目の領域37aと4つ目の領域37bに分ける。3つ目の領域37aは、不均一金属層5をその中心に向かって3/4の寸法に縮小した相似形の領域から中央領域35を除いた領域である。4つ目の領域37bは、周縁領域37から3つ目の領域37aを除いた領域である。
そして2つ目の領域35bの空隙率が1つ目の領域35aより大きく、3つ目の領域37aの空隙率が2つ目の領域35bより大きく、4つ目の領域37bの空隙率が3つ目の領域37aより大きいとき、中央領域35から周縁領域37に向かって空隙率が漸次増加している、とする。
このように、第1の領域から第4の領域にかけて、不均一金属層5の空隙率が漸次増加、言い換えれば、段階的に増加することが好ましい。さらに、第1〜4の領域に関して、隣接する領域の間の空隙率の差が全て等しいことが好ましい。隣接する領域の間の空隙率の差が全て等しいときには、隣接する領域の間の空隙率の差により生じる応力を効果的に緩和することができる。
さらに、不均一金属層5のうちの少なくとも1層は、外部電極9に接続されていない側の領域の空隙率が外部電極9に接続された側の周縁領域37よりも高いことが好ましい。
ただし、外部電極9に近接している側の領域とは以下に示す通りである。
積層方向に平行な平面で、積層体19を切ったときには、外部電極9に近接している側の端部領域25を意味する。また、積層方向に垂直であり、かつ、当該金属層を含む平面で積層体19を切ったときには、周辺領域37を外部電極9に平行な直線で2等分し、外部電極9に近接している側の周辺領域37を意味する。
不均一金属層5の外部電極9に接続されていない側の領域に空隙7を多く形成させることにより、応力を緩和することができて、また、長時間駆動における拘束力を開放させることで、変位方向に対して変位低下率が小さくなり、変化量を安定させて効率を良くすることができる。
外部電極9に接続されていない側の領域の空隙率と外部電極9に接続された側の領域との空隙率の差は、1%以上であることが好ましい。空隙率の差を上記の値とすることで、十分な応力緩和を発現することができるようになる。
また、外部電極9に接続されていない側の領域の空隙率と外部電極9に接続された側の領域との空隙率の差は、90%以下であることが好ましい。空隙率の差を上記の値とすることで、外部電極9に接続された側の周縁領域37と外部電極9との間の電気的接続を十分に保つことができる。
金属層3及び不均一金属層5の材料としては、導電性を有するものであればどのようなものであってもよい。例えばCuやNiといった単体の金属、或いは銀−白金や銀−パラジウム合金であってもよいが、耐マイグレーション性や耐酸化性があり、ヤング率が低く、安価であるという点から銀−パラジウムを主成分とすることが好ましい。
また、図6に示すように、積層体19は、外部電極9と離隔し、かつ、互いに離隔した状態にある複数の部分金属層11を有する不均一金属層5を、少なくとも一層有していることが好ましい。不均一金属層5の金属部分が部分金属層11によって形成されていることにより、不均一金属層5は全面のヤング率が低い層として形成される。
部分金属層11は、不均一金属層5の全面にわたって点在していることがより好ましい。部分金属層11が不均一金属層5の全面にわたって点在していることにより、圧電体層1を拘束する領域が不均一金属層5の全面に分散するので、拘束力のばらつきが抑えられる。不均一金属層5は、このように、部分金属層11が不均一金属層5の全面に渡って点在していることにより、圧電体層1を挟む不均一金属層5と圧電体層1との間の拘束力を緩和する応力緩和層とすることが出来る。
金属が点在した状態では、素子としての抵抗は高く絶縁状態であり、外部電極9とは電気的に接続されない。これにより、外部電極9の接続による拘束を受けないので、より拘束力を緩和することが可能となる。
一般に積層型圧電素子57が使用される環境は、常温だけでなく、氷点下といった低温の環境が考えられる。この場合、圧電素子の変位は温度の影響を受けて伸びにくくなるので、一定の変位を維持するためには、より大きな拘束力を受けなければならない。しかし、上記のような全面にわたって部分金属層11が点在している不均一金属層5を用いることにより、変位効率が良くなるので、低温駆動の際にも変位が伸びやすく、常温での使用と比較して変位低下が小さくなる。
さらに、部分金属層11が不均一金属層5の全面にわたって点在している場合には、このような金属層のうちの少なくとも1層は、外部電極9に近接している側の領域の空隙率がそれ以外の領域よりも高いことが好ましい。
ここで、外部電極9に近接している側の領域とは、積層方向に平行な平面で積層体19を切ったときには、外部電極9に近接している側の端部領域25を意味する。また、積層方向に垂直であり、かつ、当該金属層を含む平面で積層体19を切ったときには、図6に示すように周辺領域37を外部電極9に平行な直線で2等分し、外部電極9に近接している側の周縁領域37を意味する。
このような部分金属層11を備えた不均一金属層5の外部電極9に近接している側の領域の空隙率に空隙7を多く形成させることにより、応力を緩和することができる。また、長時間駆動における拘束力を開放させることで、変位方向に対して変位低下率が小さくなり、変化量を安定させて効率を良くすることができる。
不均一金属層5における1層あたりの部分金属層(島状金属層)11の数は、4個以上であることが好ましい。1層あたりの部分金属層11の数を上記の値とすることで、圧電体層1を挟持する箇所を確実に確保し、圧電体層1との界面強度を高くすることができる。また、これにより、圧電体層1と不均一金属層5との間の剥離を確実に防止できる。
また、不均一金属層5における1層あたりの部分金属層(島状金属層)11の数は、10000個以下であることが好ましい。1層あたりの部分金属層11の数を上記の値とすることで、圧電体層1を挟持する面を十分に確保することができる。これにより、圧電体層1との界面のヤング率が低下しやすくなり、効果的に応力を緩和することができる。
各々の部分金属層11の大きさは、0.1μm以上であることが好ましい。各々の部分金属層11の大きさを上記の値とすることで、1つ1つの部分金属層11が圧電体の結晶サイズより大きくなり、圧電体の結晶粒子に狭持されにくく、脱粒しにくくなるので、圧電体層1との間の界面強度が向上する。
また、各々の部分金属層11の大きさは、1000μm(=1mm)以下であることが好ましい。各々の部分金属層11の大きさを上記の値とすることで、圧電体層1との界面強度が適度に抑制され、空隙7による、界面のヤング率の低下が生じやすくなるので、応力緩和の効果が発現されやすくなる。
部分金属層11が不均一金属層5の全面にわたって点在していることにより、不均一金属層5が形成されているときには、部分金属層11は、導電性を有する材料で形成されていることが好ましい。導電性を有する材料であれば何であってもよく、例えばCuやNi、Agといった単体の金属、或いは銀−白金や銀−パラジウム合金であってもよい。好ましくは、ヤング率が低く、安価であるという点からCuやNi、Agといった単体の金属やこれらの金属成分が多い合金とすることがよい。
さらに、不均一金属層5は、複数存在し、これらが積層方向に規則的に配置されていることが好ましい。規則的に配置することで積層体19全体の拘束力を分散でき、低温の長時間駆動の際に変位の変化率が小さく、長時間駆動の効率が良くなる。
具体的には、不均一金属層5は、5〜300層ごとに配設することが好ましい。5層以上毎に不均一金属層5を配設することにより、圧電体層1を拘束する力が向上し、圧電体層1との密着強度が良くなる。また300層以下毎に不均一金属層5を配設することにより、十分に圧電体層1を拘束する力を分散させることができる。
また、不均一金属層5は、積層体19の積層方向に一定の間隔で配設されていてもよいが、積層方向の中心から両端面に向かって徐々に間隔を空けるように配設されることが好ましい。不均一金属層5がこのように配設されることにより、応力の集中を防止して分散させることができるので、電圧印加時に生じる積層体19の歪みを抑えることができる。
圧電体層1としては、圧電性を有するセラミックスであればどのようなセラミックスを用いても良い。好ましくは、圧電歪み定数d33が高いセラミックスを用いることが良く、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3、或いはチタン酸バリウムBaTiO3を主成分とする圧電セラミック材料などを用いることができる。
また、圧電体層1の厚みは、0.05mm以上であることが好ましい。圧電体層1の厚みを0.05mm以上とすることで、積層型圧電素子57に高い電圧を印加しても、隣り合う金属層3間の電気的な絶縁性を保つことができる。これにより、より大きな変位量を有効に得ることができる。また、圧電体層1の厚みは、0.25mm以下であることが好ましい。圧電体層1の厚みを0.25mm以下とすることで、積層型圧電素子57の小型化を図ることができる。
積層体19の対向する側面には、一対の外部電極9が形成されている。対となる外部電極9には、それぞれ一層おきに内部電極である金属層3や不均一金属層5が、交互に電気的に接続される。なお、一対の外部電極9は、内部電極である金属層3や不均一金属層5が一層おきに交互に電気的に接続されれば良いことから、隣接する側面に形成してもよい。
外部電極9の材質としては、導電性の良いものであれば、どのようなものを用いても良い。例えば、CuやNiといった金属やこれらの合金等を用いることができるが、電気抵抗が低く、取り扱いが容易であることから、銀、若しくは銀が主成分の合金を用いることが好ましい。
また、積層体19の積層方向の両端面には、不活性層17が形成されていることが好ましい。不活性層17が形成されていることにより、電圧を印加した時に生じる積層体19の歪みを抑えることができる。不活性層17はチタン酸バリウムBaTiO3を主成分とする圧電セラミック材料などを用いることができる。
不活性層17は、圧電体層1と同一の材料を用いて、具体的には、圧電体層1を複数積層することにより、形成されることが好ましい。圧電体層1と同じ材料を用いることで積層体19と不活性層17との間の焼成時や電圧を印加した時に生じる歪みを抑え、より緻密な圧電素子を形成することができる。
さらに、不活性層17を形成する圧電体層1のグリーンシート中に、銀−パラジウム等の金属層3を構成する金属粉末を添加したり、不活性層17を形成する圧電体層1のグリーンシートを積層する際に、銀−パラジウム等の金属層3を構成する金属粉末および無機化合物とバインダーと可塑剤からなるスラリーをグリーンシート上に印刷することが好ましい。このようにして不活性層17を形成することで、不活性層17と積層体19の焼結時の収縮挙動ならびに収縮率を近づけることができるので、さらに、より緻密な圧電素子を形成することができる。
上記の圧電素子を積層型圧電素子57として使用する場合には、一対の外部電極9にリード線15を半田によりそれぞれ接続固定し、リード線15を外部電圧供給部(不図示)に接続すればよい。この外部電圧供給部からリード線15を通じて隣り合う金属層3間に所定の電圧を印加することで、各圧電体層1が逆圧電効果によって変位する。一方、不活性層17は一方の主面側に金属層3が配置されているのみであり、他方の主面側には金属層3が配置されていないので、電圧を印加しても変位が生じない。
次に、本実施形態の積層型圧電素子の製法を説明する。まず、PbZrO3−PbTiO3等からなるペロブスカイト型酸化物の圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系、ブチラール系等の有機高分子から成るバインダーと、DBP(フタル酸ジブチル)、DOP(フタル酸ジオチル)等の可塑剤とを混合してスラリーを作製し、該スラリーを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成型法により圧電体層1となるセラミックグリーンシートを作製する。
次に、金属層3及び不均一金属層5を形成するために、銀−パラジウム等の金属層3を構成する金属粉末にバインダー及び可塑剤等を添加混合して導電性ペーストを作製する。この導電性ペーストを全面域にスクリーン印刷法により形成することにより、金属層3を形成した。また、不均一金属層5を形成するためには、該導電性ペーストを中央領域35にスクリーン印刷法により形成した。空隙7を形成するために焼成や脱脂の工程で、バインダーや樹脂が飛散する成分であるアクリルビーズを多く含んだ導電性ペーストを、周縁領域37にスクリーン印刷法により形成した。
空隙7を形成する成分は、焼成や脱脂の工程で飛散する成分であれば、何でも良い。例えば、カーボン成分である、バインダーや樹脂等が用いられる。形状は、液体でもシート状の個体でもかまわない。
なお、空隙7を形成する方法は、上記の方法に限られない。空隙7が形成されればどのような方法を用いてもよく、例えば、スクリーンのメッシュの度数や、パターン形状を変更することにより空隙7を形成してもよい。
具体的には、スクリーンのメッシュサイズを15μm以下とすることで、インクペースト量の通過を不十分にさせて、いわゆる、かすれパターン形状の状態を作製することができる。また、スクリーンにインクペーストを通さないようにマスキングすることで、インクが通らない部分を空隙7とすることができる。空隙7のパターンとしては、マスキング形状によって、自由に制御できるが、不均一金属層5の周縁領域37を中央領域35よりマスキング面積を多くする事が好ましい。空隙7を形成するマスキングの形状は、どれでもよいが、楕円や円形といった略円形が応力を緩和する効果があるので好ましい。
さらに、バインダー及び可塑剤と金属粉末との比率、スクリーンのメッシュの度数、或いはスクリーンのパターンを形成するレジスト厚み、を変えることで、不均一金属層5の厚みおよび不均一金属層5の中の空隙7の形状や空隙率等を変化させることができる。そして、これを各グリーンシートの上面にスクリーン印刷等によって1〜40μmの厚みに印刷する。
そして、導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを複数積層し、200〜800℃で脱バインダーを行う。この時、不均一金属層5中の空隙7を有効に残存させるために、飛散する成分のTg温度より高い温度で脱脂することが200〜800℃が望ましい。
脱バインダーの温度を200℃以上とすることで、積層体19自体が過度に柔らかくなることが防止されるので、空隙が形成される不均一金属層5が変形しにくくなり、空隙7の面積や形状が制御されやすくなる。また、800℃以下とすることにより、バインダが飛散しやすくなり、カーボンが素子自体に残存しにくくなるので、圧電体層1の変位特性が安定する。
さらに、900〜1200℃で焼成することによって積層体19が作製される。焼成を行うときも、不均一金属層5中の空隙7を有効に残存させるために、飛散する成分のTg温度より高い温度で保持することが望ましい。
焼成温度が900℃以上であることにより、圧電体層1の焼結を十分にすることができ、変位特性への影響が抑制される。また、1200℃以下であることにより、不均一金属層5の融解や分解が抑制され、不均一金属層5を確実に保持することができ、空隙7の形成を確実に制御することができる。
なお、積層体19は、上記製法によって作製されるものに限定されることはなく、複数の圧電体層1と複数の金属層3とを交互に積層してなる積層体19を作製できれば、どのような製法によって形成されても良い。
その後、積層型圧電素子57の側面に端部が露出する金属層3と導通が得られるように外部電極9を形成する。この外部電極9は、ガラス粉末に、バインダーを加えて銀ガラス導電性ペーストを作製し、これを印刷し焼き付けることによって得ることができる。
焼き付ける温度は、ネック部を有効的に形成し、銀ガラス導電性ペースト中の銀と金属層3を拡散接合させ、また、外部電極9中の空隙7を有効に残存させるために500〜800℃が望ましい。
次に、シリコーンゴムからなる外装樹脂を含む樹脂溶液に、外部電極9を形成した積層体19を浸漬する。さらに、シリコーン樹脂溶液を真空脱気することにより、積層体19の側面外周表面の凹凸部にシリコーン樹脂を密着させ、その後シリコーン樹脂溶液から積層体19を引き上げる。これにより、積層体19の側面にシリコーン樹脂がコーティングされる。
そして、外部電極9にリード線15を接続し、リード線15を介して一対の外部電極9に0.1〜3kV/mmの直流電圧を印加し、積層体19を分極処理することによって、本実施形態の積層型圧電素子57が完成する。リード線15を外部の電圧供給部(不図示)に接続し、リード線15及び外部電極9を介して金属層3に電圧を印加させれば、各圧電体層1は逆圧電効果によって大きく変位する。これにより、例えばエンジンに燃料を噴射供給する自動車用燃料噴射弁として機能させることができる。
さらに、外部電極9の外面に、金属のメッシュ若しくはメッシュ状の金属板が埋設された導電性接着剤からなる導電性補助部材(不図示)を形成してもよい。外部電極9の外面に導電性補助部材を設けることにより、高速で駆動させる場合においても、導電性補助部材に大電流を流すことができるので、外部電極9に流れる電流を低減できる。これにより、外部電極9が局所発熱を起こし断線することを防ぐことができ、耐久性を大幅に向上させることができる。
また、導電性接着剤中に金属のメッシュ若しくはメッシュ状の金属板を埋設しているため、上記導電性接着剤に亀裂が生じるのを防ぐことができる。金属のメッシュとは金属線を編み込んだものであり、メッシュ状の金属板とは、金属板に孔を形成してメッシュ状にしたものをいう。
次に、本発明の一実施形態にかかる噴射装置について説明する。
図7は、本発明の一実施形態にかかる噴射装置65を示す概略断面図である。図7に示すように、本実施形態にかかる噴射装置65は、一端に噴射孔47を有する収納容器45の内部に上記実施形態に代表される積層型圧電素子57が収納されている。収納容器45内には、噴射孔47を開閉することができるニードルバルブ49が配設されている。噴射孔47には燃料通路51がニードルバルブ49の動きに応じて連通可能に配設されている。この燃料通路51は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路51に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ49が噴射孔47を開放すると、燃料通路51に供給されていた燃料が一定の高圧で図示しない内燃機関の燃料室内に噴出されるように構成されている。
また、ニードルバルブ49の上端部は内径が大きくなっており、収納容器45に形成されたシリンダ53と摺動可能なピストン55が配置されている。そして、収納容器45内には、上記した積層型圧電素子57が収納されている。
このような噴射装置65では、積層型圧電素子57が電圧を印加されて伸長すると、ピストン55が押圧され、ニードルバルブ49が噴射孔47を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると積層型圧電素子57が収縮し、皿バネ59がピストン55を押し返し、噴射孔47が燃料通路51と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
また、本実施形態の噴射装置65は、噴射孔47を有する容器と、積層型圧電素子57とを備え、容器内に充填された液体が積層型圧電素子57の駆動により噴射孔47から吐出させるように構成されていてもよい。すなわち、積層型圧電素子57が必ずしも容器の内部にある必要はなく、積層型圧電素子57の駆動によって容器の内部に圧力が加わるように構成されていればよい。なお、本実施形態において、液体とは、燃料、インクなどの他、導電性ペースト等の種々の液状流体が含まれる。
次に、本発明の一実施形態にかかる燃料噴射システムについて説明する。
図8は、本発明の一実施形態にかかる燃料噴射システム61を示す概略図である。図8に示すように、本実施形態にかかる燃料噴射システム61は、高圧燃料を蓄えるコモンレール63と、このコモンレール63に蓄えられた燃料を噴射する複数の上記噴射装置65と、コモンレール63に高圧の燃料を供給する圧力ポンプ67と、噴射装置65に駆動信号を与える噴射制御ユニット69と、を備えている。
噴射制御ユニット69は、エンジンの燃焼室内の状況をセンサ等で感知しながら燃料噴射の量やタイミングを制御するものである。圧力ポンプ67は、燃料タンク71から燃料を1000〜2000気圧程度、好ましくは1500〜1700気圧程度にしてコモンレール63に送り込む役割を果たす。コモンレール63では、圧力ポンプ67から送られてきた燃料を蓄え、適宜噴射装置65に送り込む。噴射装置65は、上述したように噴射孔47から少量の燃料を燃焼室内に霧状に噴射する。
なお、本発明は、積層型圧電素子、噴射装置、及び燃料噴射システムに関するものであるが、上記実施例に限定されるものではなく、例えば、自動車エンジンの燃料噴射装置、インクジェット等の液体噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止装置等に搭載される駆動素子、または、燃焼圧センサ、ノックセンサ、加速度センサ、荷重センサ、超音波センサ、感圧センサ、ヨーレートセンサ等に搭載されるセンサ素子、ならびに圧電ジャイロ、圧電スイッチ、圧電トランス、圧電ブレーカー等に搭載される回路素子以外であっても、圧電特性を用いた素子であれば、実施可能である。
また、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を行うことは何等差し支えない。
(実施例1)本発明の一実施形態である積層型圧電素子57を以下のようにして作製した。
まず、平均粒径が0.5μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO3−PbTiO3)を主成分とする圧電セラミックの仮焼粉末、バインダー、及び可塑剤を混合したスラリーを作製した。このスラリーを用いてドクターブレード法で厚み110μmの圧電体層1になるセラミックグリーンシートを作製した。
次に、金属層3及び不均一金属層5となる導電性ペーストを作製した。銀−パラジウム合金(銀95質量%−パラジウム5重量%)に平均粒径0.5μmのアクリルビーズを銀−パラジウム合金100体積%に対して、それぞれ0体積%、20体積%となるように加えて、2種類の混合粉末を準備した。さらに、これらの2種類の混合粉末に対してそれぞれ100体積%のバインダーを加えることで、導電性ペーストを作製した。この導電性ペーストをスクリーン印刷法により、上記セラミックグリーンシートの片面に形成した。
金属層3を形成するために、アクリルビーズの含まれない導電性ペーストをセラミックグリーンシート上の全面域にスクリーン印刷法により形成した。また、不均一金属層5を形成するために、アクリルビーズの含まれない導電性ペーストを中心領域23に、アクリルビーズの成分が合金100体積%に対して20体積%加えられた導電性ペーストを端部領域25に、スクリーン印刷法により形成した。
また、空隙率が中心領域23から端部領域25に向かって漸次増加している不均一金属層5を形成するために、アクリルビーズの成分がない導電性ペーストを、マスキングがないスクリーンメッシュを用いて第1の領域23aに配設した。また、不均一金属層5が形成される領域の10%の面積に相当する領域に空隙7を点在させるようにマスキングしたスクリーンメッシュを使って第2の領域23bに配設した。さらに、アクリルビーズの成分が合金100体積%に対して20体積%の導電性ペーストをマスキングがないスクリーンメッシュを使って第3の領域25aに配設した。また、アクリルビーズの成分が合金100体積%に対して20体積%の導電性ペーストを用いて、10%の面積を点在させるようにマスキングしたスクリーンメッシュを使って第4の領域25bにスクリーン印刷法により配設した。
さらに、上記の導電性ペーストが印刷された、金属層3となるシートを350枚準備した。この中に中心領域23と端部領域25で空隙率の異なる不均一金属層5となるシートを表1に示す枚数をセラミックグリーンシートに挿入して積層した。この不均一金属層5が挿入されたセラミックグリーンシートを950〜1100℃で焼成して積層焼成体を作製し、得られた積層焼成体を平面研削盤にて研削することで、積層体19を得た。
次に、平均粒径2μmの銀粉末と残部が平均粒径2μmのケイ素を主成分とする軟化点が650℃のガラス粉末との混合物を作製し、この混合物にバインダーを添加して銀ガラス導電性ペーストを作製した。積層体19側面の外部電極9の形成面に上記銀ガラス導電性ペーストをスクリーン印刷によって30μmの厚みで形成し、700℃にて30分焼き付けを行うことにより、外部電極9を配設した。
このとき、アクリルビーズを添加した導電ペーストによって形成された不均一金属層5は、積層方向における周縁領域37の空隙率が平均20%、中央領域35が平均1%で周縁領域37の空隙率が大きかった。
その後、外部電極9にリード線15を接続し、正極及び負極の外部電極9にリード線15を介して2kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行い、図1に示すような積層型圧電素子57を作製した。
さらに、この積層型圧電素子57を常温で、周波数60Hzおよび0〜+200Vの直流電圧を印加した後の変位を測定した。また、立上り時間50μsec、保持時間1msecの矩形波で周波数60Hzおよび0〜+200Vの直流電圧を1時間連続駆動した後の変位量を測定し、変化率を求めた。さらに、1×10回まで連続駆動を行い、長時間運転した後の変位量を測定し、変化率を求めた。同様に、氷点下の温度下で上記と同様の試験を行った。得られた結果を表1に示す。
Figure 2008112809
この表1の結果から、比較例である試料No.8は、常温における変位量が53μm以下と小さく、氷点下の低温域の変位量も37μm以下と低いものであることが分かる。また、連続駆動後の変位変化率は、常温及び氷点下のいずれの温度域でも初期駆動時より40%以上低下していた。さらに、長時間駆動試験では、常温及び氷点下のいずれの温度域でも駆動中に積層型圧電素子が破壊された。この長時間駆動試験中において破壊されたサンプルを観察すると、金属層3の端部からクラックが発生して焼損していた。
これに対して、本発明の実施例である試料番号1〜7の常温駆動時の変位は65μm以上の変位量があり、氷点下の低温駆動時でも50μm以上の大きい変位を発現していた。また、長時間駆動後の変位変化率は、常温及び氷点下のいずれの温度域でも初期駆動時より10%以内の低下に抑えられた。長時間駆動運転では、1×10回連続駆動させた後も、積層型圧電素子57は破壊することなく、かつ変位変化率は10%以内の低下に抑えられ、優れた耐久性を有した積層型圧電素子57を作製できた。
特に試料No.4〜7は、1×10回連続駆動後も素子変位量が58μm以上と大きく、信頼性に優れた積層型圧電素子57とすることができた。
(実施例2)本発明の一実施形態である積層型圧電素子57を以下のようにして作製した。
まず、平均粒径が0.5μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO3−PbTiO3)を主成分とする圧電セラミックの仮焼粉末、バインダー、及び可塑剤を混合したスラリーを作製し、ドクターブレード法で厚み110μmの圧電体層1になるセラミックグリーンシートを作製した。
このセラミックグリーンシートの片面に、銀−パラジウム合金(銀95質量%−パラジウム5重量%)に平均粒径0.5μmのアクリルビーズを銀−パラジウム合金100体積%に対して0体積%、30体積%および80体積%となるように加えて、3種類の混合粉末を準備した。さらに準備した3種類の混合粉末に対して100体積%のバインダーを加えて導電性ペーストを作製した。
次に、内部に空隙7のない金属層3を形成するために、アクリルビーズの成分がない導電性ペーストをセラミックグリーンシート上の全面域にスクリーン印刷法により形成した。アクリルビーズの成分が合金100体積%に対して30体積%の導電性ペーストを中心領域23に、アクリルビーズの成分が合金100体積%に対して80体積%加えた導電性ペーストを端部領域25にスクリーン印刷法により形成した。
また、空隙率が周縁領域37と中央領域35へ傾斜している不均一金属層5を形成するために、アクリルビーズの成分が合金100体積%に対して80体積%の導電性ペーストを4つ目の領域37bに形成した。さらに、アクリルビーズの成分が合金100体積%に対して30体積%の導電性ペーストを3つ目の領域37aに形成し、中央領域35には、アクリルビーズの成分がない導電性ペーストをスクリーン印刷法により形成した。
さらに、該導電性ペーストが印刷された金属層3となるシートを350枚積層し、950〜1100℃で焼成して積層焼成体を得た。
さらに、950〜1100℃で焼成して積層焼成体を作製し、得られた積層焼成体を平面研削盤にて研削することで、積層体19を得た。
次に、平均粒径2μmの銀粉末と残部が平均粒径2μmのケイ素を主成分とする軟化点が650℃のガラス粉末との混合物にバインダーを添加して銀ガラス導電性ペーストを作製した。積層体19側面の外部電極9の形成面に上記銀ガラス導電性ペーストをスクリーン印刷によって30μmの厚みで形成した。さらに、この上記銀ガラス導電性ペーストが側面に形成された積層体19を、700℃にて30分焼き付けを行うことにより、外部電極9を形成した。このとき、アクリルビーズを添加した導電ペーストによって形成された不均一金属層5は、端部領域25の空隙率が平均40%、中心領域23が平均15%で、端部領域25の空隙率の方が中心領域23の空隙率より大きかった。
その後、外部電極9にリード線15を接続し、正極及び負極の外部電極9にリード線15を介して2kV/mmの直流電界を15分間印加して分極処理を行い、図1に示すような積層型圧電素子57を作製した。
さらに、この積層型圧電素子57を常温で、周波数60Hzおよび0〜+200Vの直流電圧を印加した後の変位を測定した。また、立上り時間50μsec、保持時間1msecの矩形波で周波数60Hzおよび0〜+200Vの直流電圧を1時間連続駆動した後の変位量を測定し、変化率を求めた。さらに、1×10回まで連続駆動を行い、長時間運転した後の変位量を測定し、変化率を求めた。同様に、氷点下の温度下で上記と同様の試験を行った。得られた結果を表2に示す。
Figure 2008112809
この表2の結果から、比較例である試料No.16は、常温における変位量が53μm以下と小さく、氷点下の低温域の変位量も37μm以下と低いものであることが分かる。また、連続駆動後の変位変化率は、常温及び氷点下のいずれの温度域でも初期駆動時より40%以上低下していた。さらに、長時間駆動試験では、常温及び氷点下のいずれの温度域でも駆動中に積層型圧電素子が破壊した。この長時間駆動試験中において破壊されたサンプルを観察すると、金属層3の端部からクラックが発生して焼損していた。
これに対して、本発明の実施例である試料番号9〜15の常温駆動時の変位は65μm以上の変位量があり、氷点下の低温駆動時でも50μm以上の大きい変位を発現していた。また、長時間駆動後の変位変化率は、常温及び氷点下のいずれの温度域でも初期駆動時より10%以内の低下に抑えられた。長時間駆動運転では、1×10回連続駆動させた後も、素子は破壊することなく、かつ変位変化率は10%以内の低下に抑えられ、優れた耐久性を有した積層型圧電素子57を作製できた。
特に試料No.12〜15は、1×10回連続駆動後も素子変位量が58μm以上と大きく、信頼性に優れた積層型圧電素子57とすることができた。
本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる一例を示す斜視図である。 本発明の積層型圧電素子の実施の形態にかかる一例を示す展開斜視図である。 図1に示す斜視図のA−A’断面図である。 積層体19の不均一金属層5のボイド7の状態を示す図3の領域Aの拡大断面図である。 積層体19の不均一金属層5のボイド7の状態を示す図1のB−B’ 断面図である。 本発明の積層型圧電素子の、複数の部分金属層を有している不均一金属層を示す断面図である。 本発明の噴射装置を示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる燃料噴射システムを示す概略図である。 従来の積層型圧電素子を示す斜視図である。 図9に示す従来の積層型圧電素子のC−C’断面図である。 図9に示す従来の積層型圧電素子のD−D’断面図である。
符号の説明
1、101・・・圧電体層
3、103・・・金属層
5・・・不均一金属層
7・・・空隙(ボイド)
9、109・・外部電極
11・・・部分金属層
15、115・・・リード線
17、117・・・不活性層
19、119・・・積層体
21・・・積層体の中心
23・・・素子を積層方向に平行な平面で切った時の断面における不均一金属層5の中心領域
23a・・・不均一金属層5の第1の領域
23b・・・不均一金属層5の第2の領域
25・・・素子を積層方向に平行な平面で切った時の断面における不均一金属層5の端部領域
25a・・・不均一金属層5の第3の領域
25b・・・不均一金属層5の第4の領域
27・・・素子を積層方向に平行な平面で切った時の断面における部分金属層の中心
33・・・素子を積層方向に垂直でかつ不均一金属層5を含む平面で切った時の断面における不均一金属層5の中心
35・・・素子を積層方向に垂直でかつ不均一金属層5を含む平面で切った時の断面における不均一金属層5の中央領域
35a・・・不均一金属層5の1つ目の領域
35b・・・不均一金属層5の2つ目の領域
37・・・素子を積層方向に垂直でかつ不均一金属層5を含む平面で切った時の断面における不均一金属層5の周縁領域
37a・・・不均一金属層5の3つ目の領域
37b・・・不均一金属層5の4つ目の領域
45・・・収納容器
47・・・噴射孔
49・・・ニードルバルブ
51・・・燃料通路
53・・・シリンダ
55・・・ピストン
57・・・積層型圧電素子
59・・・皿バネ
61・・・燃料噴射システム
63・・・コモンレール
65・・・噴射装置
67・・・圧力ポンプ
69・・・噴射制御ユニット
71・・・燃料タンク

Claims (11)

  1. 複数の圧電体層と複数の金属層とを有し、前記圧電体層と前記金属層とが交互に積層された積層体を備えた積層型圧電素子において、前記複数の金属層のうちの少なくとも1層は、前記積層体の積層方向に平行な平面で前記積層体を切ったときの金属層断面における端部領域が中心領域よりも空隙が多い不均一金属層であることを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 前記不均一金属層は、前記中心領域から前記端部領域に向かって空隙率が漸次増加していることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電素子。
  3. 前記積層体には、対向する側面に一対の外部電極が形成され、これらの外部電極に前記複数の金属層が交互に接続されており、前記不均一金属層は、前記外部電極に接続されていない側の前記端部領域が前記外部電極に接続されている側の前記端部領域よりも空隙率が高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層型圧電素子。
  4. 前記不均一金属層は、前記積層体の積層方向に平行であり、かつ、前記積層体の中心を含む平面で前記積層体を切ったときの金属層断面における端部領域が中心領域よりも空隙が多いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層型圧電素子。
  5. 複数の圧電体層と複数の金属層とを有し、前記圧電体層と前記金属層とが交互に積層された積層体を備えた積層型圧電素子において、前記複数の金属層のうちの少なくとも1層は、前記積層体の積層方向に垂直な平面で、かつ、当該金属層を含む平面で前記積層体を切ったときの金属層断面における周縁領域が中央領域よりも空隙が多い不均一金属層であることを特徴とする積層型圧電素子。
  6. 前記不均一金属層は、前記中央領域から前記周縁領域に向かって空隙率が漸次増加していることを特徴とする請求項5に記載の積層型圧電素子。
  7. 前記積層体には、対向する側面に一対の外部電極が形成され、これらの外部電極に前記複数の金属層が交互に接続されており、前記不均一金属層は、前記外部電極に接続されていない側の前記周縁領域が前記外部電極に接続されている側の前記周縁領域よりも空隙率が高いことを特徴とする請求項5又は6に記載の積層型圧電素子。
  8. 前記不均一金属層は、前記外部電極と離隔し、かつ、互いに離隔した状態にある複数の部分金属層を有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の積層型圧電素子。
  9. 前記不均一金属層が複数存在し、これらが積層方向に規則的に配置されている請求項1〜8に記載の積層型圧電素子。
  10. 噴射孔を有する容器と、請求項1〜9のいずれかに記載の積層型圧電素子とを備え、前記容器内に充填された液体が前記積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から吐出させるように構成されていることを特徴とする噴射装置。
  11. 高圧燃料を蓄えるコモンレールと、
    このコモンレールに蓄えられた燃料を噴射する請求項10に記載の噴射装置と、
    前記コモンレールに高圧の燃料を供給する圧力ポンプと、
    前記噴射装置に駆動信号を与える噴射制御ユニットと、
    を備えた燃料噴射システム。
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