JP2011176187A - 積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システム - Google Patents

積層型圧電素子およびこれを備えた噴射装置ならびに燃料噴射システム Download PDF

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Abstract

【課題】高電圧かつ高圧力の条件での長時間の駆動でも安定した変位量が得られる積層型圧電素子を提供する。
【解決手段】圧電体層3と内部電極層5とが交互に積層された積層体7の側面に、内部電極層5に電気的に接続された外部電極11を備えた積層型圧電体素子1であって、外部電極11に、圧電体層3および内部電極層5の積層方向に沿って延びる溝12が形成されている積層型圧電素子1である。外部電極11に溝12が形成されていることで、応力を緩和して外部電極11の剥がれや積層体7における亀裂の発生を抑えることができ、優れた耐久性を有する積層型圧電素子1とすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、圧電体を用いた駆動素子(圧電アクチュエータ),センサ素子または回路素子に用いられる積層型圧電素子に関するものである。駆動素子としては、例えば、自動車エンジンの燃料噴射装置,インクジェットプリンタの印字装置のような液体噴射装置,光学装置における位置決め装置のような精密位置決め装置および振動防止装置が挙げられる。センサ素子としては、例えば、燃焼圧センサ,ノックセンサ,加速度センサ,荷重センサ,超音波センサ,感圧センサおよびヨーレートセンサが挙げられる。また、回路素子としては、例えば、圧電ジャイロ,圧電スイッチ,圧電トランスおよび圧電ブレーカーが挙げられる。
従来から、積層型圧電素子は、小型化が進められると同時に、大きな圧力下において大きな変位量を確保できることが求められている。そのため、積層型圧電素子には、より大きな変位量に応じたより高い電圧が印加され、しかも長時間連続駆動させる過酷な条件下で使用できることが要求されている。
高電圧かつ高圧力の条件で長時間連続駆動させる場合には、積層型圧電素子の駆動に伴って、内部電極層および圧電体層で構成された積層体の側面に接合された外部電極に大きな応力がかかることとなり、そのため外部電極が積層体の側面から剥がれて破断してしまうことがある。そこで、積層型圧電素子の外部電極に破断が生じないように積層体による応力を緩和する目的で、例えば特許文献1に開示されているような、圧電体層にスリット状の応力緩和部を設けた構造や、特許文献2に開示されているような、あらかじめ圧電体層の内部に目標破断層として多孔質な層を設けた積層型圧電素子が提案されている。さらに、外部電極が応力で破断しても駆動できるように、例えば特許文献3に開示されているような、複数の電極を組み合わせた構造の外部電極も提案されている。
特開2005−223013号公報 特表2006−518934号公報 特開2006−128466号公報
しかしながら、外部電極の破断を防止するために積層型圧電素子の駆動時に圧電体層によって外部電極に加わる応力のみを緩和しようとすると、積層型圧電素子に外部から力が加わって圧電体層が応力で変形しようとしても外部電極に拘束された部分が変形できなくなり、外部電極の無い部分と外部電極のある部分との境において圧電体層に応力が集中して積層型圧電素子の積層体に亀裂が発生するという問題が生じるようになる。
さらに、積層型圧電素子の駆動速度や駆動領域の向上を目的に、あらかじめ積層型圧電素子に荷重を加えた状態で使用することが行われるため、積層型圧電素子には駆動開始前からすでに応力が加わった状態になり、外部電極の無い部分と外部電極のある部分との境においてより圧電体層に応力が集中して積層型圧電素子の積層体に亀裂が発生しやすくなるという問題がある。
また、積層型圧電素子の駆動中においては、駆動による自己発熱による積層体の熱膨張
に対して外部電極の熱膨張が異なることからも、外部電極の無い部分と外部電極のある部分との境に応力が集中することから、外部電極が積層体から剥がれたり、外部電極にクラックが発生して内部電極層に電圧が供給されずに駆動が低下したりするという問題もある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高電圧かつ高圧力の条件での長時間の駆動でも安定した変位量が得られる積層型圧電素子を提供することを目的とする。
本発明の積層型圧電素子は、圧電体層と内部電極層が交互に積層された積層体と、該積層体の側面に接合されて前記内部電極層に電気的に接続された外部電極とを含む積層型圧電体素子であって、前記外部電極には、前記圧電体層および前記内部電極層の積層方向に沿って延びる溝が形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の積層型圧電素子は、上記構成において、前記外部電極は、複数層が積層された積層構造を有しており、前記溝は、前記外部電極の最深層よりも上側の層に形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の積層型圧電素子は、上記各構成において、前記溝は、一端が前記外部電極の縁にあることを特徴とするものである。
また、本発明の積層型圧電素子は、前記溝は、前記外部電極の縁からこれに対向する縁にかけて形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の積層型圧電素子は、前記外部電極には、さらに積層方向に垂直な方向に沿って延びる第2の溝またはスリットが形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の積層型圧電素子は、上記各構成において、前記積層体は、駆動時に前記内部電極層よりも優先的に破断することによって応力を緩和する予定破断層を含んでおり、前記第2の溝または前記前記スリットが前記予定破断層に対応する部位に形成されていることを特徴とするものである。
本発明の噴射装置は、噴射孔を有する容器と、上記いずれかの本発明の積層型圧電素子とを備え、前記容器内に蓄えられた流体が前記積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から吐出されることを特徴とするものである。
本発明の燃料噴射システムは、高圧燃料を蓄えるコモンレールと、該コモンレールに蓄えられた前記高圧燃料を噴射する上記本発明の噴射装置と、前記コモンレールに前記高圧燃料を供給する圧力ポンプと、前記噴射装置に駆動信号を与える噴射制御ユニットとを備えたことを特徴とするものである。
本発明の積層型圧電素子によれば、外部電極に圧電体層および内部電極層の積層方向に沿って延びる溝が形成されていることにより、積層体側面における外部電極の無い部分と外部電極のある部分との境に発生する応力を外部電極に形成された溝が吸収する。これにより、外部電極が積層体から剥離したり積層体に亀裂が発生したりするのを抑制することができる。特に、荷重をかけたまま、急激に積層体に応力が加わるような場合でも、溝を起点として外部電極内に亀裂を生じさせて応力を緩和し、積層体の亀裂の発生の抑止および積層体からの外部電極の剥がれの発生の抑止を行なうことができる。
さらに、外部電極に溝が形成されていることによって外部電極の表面積が増加するので、積層型圧電素子の駆動中に積層体において発生した自己発熱を積層体から外部電極を通して効果的に放散させることができる。この結果、高電圧かつ高圧力の条件での長時間の駆動でも、外部電極の剥離や積層体の亀裂の発生を抑制することができるので、変位量を安定させることができる。
また、本発明の噴射装置によれば、容器内に蓄えられた流体を噴射孔から吐出させる積層型圧電素子として本発明の積層型圧電素子を備えていることから、積層型圧電素子において外部電極が剥離したり積層体に亀裂が発生したりすることを防止でき、また、積層体の自己発熱による問題が生じるのを抑制することができるので、流体の噴射孔からの所望の吐出を長期にわたって安定して行なうことができる。
さらに、本発明の燃料噴射システムによれば、コモンレールに蓄えられた高圧燃料を噴射する装置として本発明の噴射装置を備えていることから、高圧燃料の所望の噴射を長期にわたって安定して行なうことができる。
本発明の積層型圧電素子の実施の形態の一例を示す斜視図である。 (a)は図1に示す本発明の積層型圧電素子の側面図であり、(b)は(a)に示すA−A線端面図である。 (a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態の他の例を示す側面図であり、(b)は(a)に示すB−B線端面図である。 (a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態のさらに他の例を示す側面図であり、(b)は(a)に示すC−C線端面図である。 (a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態のさらに他の例を示す側面図であり、(b)は(a)に示すD−D線端面図である。 (a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態のさらに他の例を示す側面図であり、(b)は(a)に示すE−E線端面図である。 (a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態のさらに他の例を示す側面図であり、(b)は(a)に示すF−F線端面図である。 (a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態のさらに他の例を示す側面図であり、(b)は(a)に示すG−G線端面図である。 (a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態のさらに他の例を示す側面図であり、(b)は(a)に示すH−H線端面図である。 (a)は本発明の積層型圧電素子の実施の形態のさらに他の例を示す側面図であり、(b)は(a)に示すI−I線端面図である。 本発明の噴射装置の実施の形態の一例を示す概略断面図である。 本発明の燃料噴射システムの実施の形態の一例を示す概略図である。
以下、本発明の積層型圧電素子の実施の形態の例について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の積層型圧電素子の実施の形態の一例を示す斜視図であり、図2(a)は図1に示す本発明の積層型圧電素子の側面図、図2(b)は図2(a)に示すA−A線端面図である。図1および図2に示すように、本例の積層型圧電素子1は、圧電体層3と内部電極層5とが交互に積層された積層体7と、積層体7の側面に接合されて内部電極層5に電気的に接続された外部電極11を備え、外部電極11には、圧電体層3および内部電極層5の積層方向に沿って延びる溝12が形成されている。
積層型圧電素子1を構成する積層体7は、圧電体層3と内部電極層5とが交互に積層され、内部電極層5は正極と負極とが1層おきに交互に形成されてなるものである。積層体7は、例えば縦4〜8mm、横4〜8mm、高さ20〜100mm程度の直方体状に形成され
ている。
積層体7を構成する複数の圧電体層3は圧電特性を有する圧電磁器(圧電セラミックス)からなり、圧電体層3を形成する圧電磁器は平均粒径が例えば1.6〜2.8μmに形成されたものである。圧電磁器としては、例えばPbZrO−PbTiO(PZT:チタン酸ジルコン酸鉛)等からなるペロブスカイト型酸化物、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)などを用いることができる。図1に示す積層体2は直方体状に形成されたものであるが、この形状に限定されず、例えば六角柱形状や八角柱形状などであってもよい。
内部電極層5は、例えば銀、銀−パラジウム合金、銀−白金、銅などからなるものであり、圧電体層3の層間に交互に形成され、積層順に交互に配置されることにより、それらの間に挟まれた圧電体層3に駆動電圧を印加するものである。具体的には、内部電極層5は一方が正極で他方が負極(もしくはグランド極)となっていて、それぞれ積層体7の対向する側面に互い違いに導出されてその端面の一部が露出している。なお、図1では、対向する1組の側面の一方に正極となる内部電極層5が露出し、他方に負極となる内部電極層5が露出している。さらに、対向する他の1組の側面に正極および負極の両極が露出している。
そして、内部電極層5に電気的に接続された外部電極11が、積層体7の側面に接合されている。外部電極11は、例えば銀とガラスからなる導電性ペーストを塗布して焼き付けて形成されたものである。それぞれの外部電極11(正極となる内部電極層5に電気的に接続された外部電極11、負極となる内部電極層5に電気的に接続された外部電極11)には、それぞれ導電部材(図示せず)が半田などによって取り付けられ、駆動電圧が印加されるようになっている。
外部電極11には、圧電体層3および内部電極層5の積層方向に沿って溝12が形成されている。積層体7の積層方向の伸縮によって、積層方向に垂直な方向にも伸縮(外周が伸縮)するが、このとき、外部電極11に積層方向に沿って溝12が形成されていることで、溝12の周辺の外部電極11内に局所的に変形する領域が形成され、積層体7の側面における外部電極11の無い部分と外部電極11のある部分との境に発生する応力を吸収する。特に、急激に積層体7に応力が加わるような場合、例えば積層型圧電素子1の駆動速度の向上や駆動領域向上を目的に、あらかじめ積層型圧電素子1に荷重を加えた状態で使用する場合でも、溝12を起点として外部電極11内に亀裂を生じさせて応力を緩和するため、積層体7における亀裂の発生の抑止および積層体7からの外部電極11の剥がれの発生の抑止を行なうこともできる。なお、溝12は、底が積層体7の側面にまで達していない(深さが外部電極11の厚みよりも浅い)ことを意味している。
さらに、外部電極11に溝12が形成されていることによって外部電極11の表面積が溝12を形成した分だけ増加するので、積層型圧電素子1の駆動中に積層体7において自己発熱によって発生した熱を積層体7から外部電極11を通して外部電極11の表面から効果的に放散させることができる。この結果、高電圧かつ高圧力の条件での長時間の駆動でも、外部電極11の剥離や積層体7の亀裂が発生することを抑制することができるので、変位量を安定させることができる。
ここで、図2(a)および図2(b)に示すように、外部電極11は、複数層が積層された積層構造を有しており、溝12が外部電極11の最深層よりも上側の層に形成されているこ
とが好ましい。この例では、積層体7側に位置する層(最深層)11Aおよび表面側に位置する層11Bが積層された外部電極11を示している。このように複数層が積層された積層構造を有する外部電極11を設けることで、特に、急激に積層体7に応力が加わるような場合でも、溝12を起点として外部電極11の層間に亀裂を生じさせて応力を緩和することができるので、積層体7からの外部電極11の剥がれの抑止と積層体7における亀裂の抑止とを両立できる。また、積層構造を有する外部電極11であると、溝12が形成されている層について種々の溝12のパターンを形成して積層することにより、溝12の形成が比較的容易に行なえるとともに、溝12の幅を途中で異ならせたりすることが比較的容易に行なえる点でも好ましい。
このとき、外部電極11の最も積層体7側に位置する最深層(この例では層11A)の成分が、外部電極11の他の層(この例では層11B)の成分よりも酸化ケイ素等のガラス成分を多く含有していることで、外部電極11(層11A)と積層体7との密着強度が高まるので、外部電極11が積層体7から剥がれ難くなってより好ましいものとなる。
また、最も積層体7側に位置する最深層11Aを、外部電極11と積層型圧電素子1との間の焼結反応で形成される反応層とし、溝12の底が最深層11Aの表面側に位置するように外部電極11(層11B)を形成した場合には、積層体7に特に急激な応力が加わるような場合でも、溝12を起点として外部電極11の層11A内にのみ亀裂を生じさせて応力を緩和することができるので、積層体7からの外部電極11Bの剥がれの抑止と積層体7における亀裂の抑止とを両立できやすいものとなる。
なお、図1および図2に示す例のように溝12を配置した場合には、外部電極11の層11BがいわゆるS字状の形態となり、あたかもバネのような動きで積層体7の伸び縮みに対して変形することが可能となるので、外部電極11内の応力が緩和できる。
図2では、外部電極11を2層構造としているが、3層以上の構造として、複数層で溝を形成したものであってもよい。このとき、溝12はそれぞれの層の幅を異ならせて開口部に向かってその幅が広くなるように形成してもよい。
また、図3(a)および図3(b)に示す例のように、積層型圧電素子1の駆動方向すなわち積層体7の伸び縮みの方向に対して左右対称の形状となるように溝12を配置した外部電極11である場合には、積層体7の伸び縮みに対して積層体7と外部電極11とが軸を揃えて変形することが可能となり、積層型圧電素子1の駆動軸がぶれることを抑制することができる。
そして、図3(a)および図3(b)に示す例のように、積層体7の対向する側面にそれぞれ異なる極性の外部電極11同士が対向して配置された場合には、それぞれの外部電極11に形成された溝12も対向していることが好ましい。応力緩和の箇所を積層体7に対して対称に配置することにより、積層体7に加わる応力を均等に分散することができ、また応力が一箇所に集中することを避けることができることによって、優れた応力緩和効果を得ることができる。
また、異なる極性の外部電極11同士が積層体7の対向する側面に対向して配置された場合には、溝12が積層体7の積層方向に延びる中心軸に対して回転対称の位置にそれぞれ形成されていることによって、積層型圧電素子1の駆動軸の中心が積層体7の中心軸と一致するので、駆動軸がぶれることがなく、耐久性の高い積層型圧電素子1とすることができる。
このように、溝12が積層体7を挟んで対向した位置に形成され、かつ積層体7の積層方
向に延びる中心軸に対して回転対称の位置に配置されることによって、積層体7に加わる応力を均等に分散することで応力を緩和できるだけでなく、駆動軸がぶれない利点も併せ持つこととなり、耐久性に優れた積層型圧電素子1を得ることができる。
また、図4(a)および図4(b)に示すように、溝12は端部の幅が狭く中央部の幅が広くなった形状であるのが好ましい。なお、図4(a)には、菱形状の例を表しているが、溝12の長さ方向両端部にはわずかに幅があるように形成されていてもよい。溝12の形状を端部の幅が狭く中央部の幅が広くなった形状とすることで、外部電極11と積層体7との接合界面に集中して生じた応力を、溝12の開口部の変形によって、さらに緩和させることができる。例えば、狭い部分の幅を例えば0.05〜0.5mmとし、それに対して中央部の広
くなった幅を2倍から3倍の0.1〜1.5mmに設定すればよい。
また、溝12の開口部の形状(正面から見た形状)を楕円のような角のない形状とすることで、いかなる方向からの応力も緩和できるので、より好ましい応力緩和効果を得ることができる。
さらに、図5(a)および図5(b)に示すように、溝12は一端が外部電極11の縁に達していることが好ましい。これは、積層型圧電素子1が駆動して積層体7が伸び縮みするときに、溝12が応力の集中しやすい外部電極11の縁においてより容易に変形することができ、外部電極11の応力を効果的に緩和することができるからである。また、駆動による自己発熱による積層体7の熱膨張に対して外部電極11の熱膨張が異なることに起因する応力についても、この応力は外部電極11の縁に集中する傾向があるので、外部電極11の縁の外周距離(外周に沿った長さ)が溝12により増加することによって、効果的に緩和することができる。
またさらに、図6(a)および図6(b)に示すように、溝12の幅は、外部電極11の縁側で大きくなっていることが好ましい。これによれば、外部電極11の縁に集中する応力を縁に向かって大きくなるような幅に形成された溝12によって効果的に緩和し、外部電極11の縁からの剥離や積層体7の亀裂の発生を効果的に抑止することができ、積層型圧電素子1の耐久性を高いものとすることができる。このとき、外部電極11の縁における溝12の幅は、溝12の積層方向の長さの100分の1〜10分の1程度であるのが好ましい。さらに好ま
しくは、図6(a)および図6(b)において、溝12を正面から見たときに外部電極11の縁側とは反対側に位置する縁の形状をC面あるいはR面のように面取りされた形状にすることで、この部分での応力集中を避けることができる。
一方、溝12は、複数形成されているとともに、隣接する溝12同士の間隔が積層体7の積層方向の端部側(上端部側および下端部側)に向けて大きくなっていてもよい。これは、積層型圧電素子1の駆動時の変形の形態が、積層体7の積層方向の端部側では積層方向に伸び縮みするのに対して積層体7の中央部では積層方向に直交する方向にも伸び縮みすることから、溝12を積層方向の中央部に多く配置することによって外部電極11の縁に集中した応力を緩和することができるので、積層体7の駆動による積層体7の変形を大きくするとともに、外部電極11が縁から剥がれることを防止することができ、積層型圧電素子1の耐久性を高めることができる。
このように溝12を複数形成して隣接する溝12同士の間隔を積層体7の積層方向の端部側に向けて大きくなっているものとする場合には、溝12同士の間隔を、例えば間隔の比率を1:2:4:8というような2のように、あるいは3のように指数関数的に大きくすることで、中央部の溝12を両端部に対して密に配置でき、応力を徐々に緩和することができる。
また、図7(a)に示すように、溝12は、外部電極11の一方の縁から対向する他方の縁にかけて形成されていることが好ましい。これによれば、積層型圧電素子1が伸び縮みするのに合わせて一方の縁から他方の縁にかけて形成されている溝12の幅が広がったり狭まったりすることで、外部電極11の縁に集中する応力を効果的に緩和することができるので、外部電極11の縁からの剥離や亀裂を防止することができ、積層型圧電素子1の耐久性を高いものとすることができる。また、最も応力の集中する積層体7の中央部に外部電極11の一方の縁から他方の縁にかけて形成された溝12を形成することで、外部電極11に極めて大きな応力がどの方向から加わった場合でも、溝12を起点として外部電極11内に亀裂を生じさせて応力を緩和することができる。
さらに、内部電極層5が外部電極11と通電し、かつ異なる極性の内部電極層5同士が短絡しないように、内部電極層5が圧電体層3の全面にわたって形成されるのではなく、異なる極性の外部電極11のうちの一方の外部電極11との絶縁を保つようにその外部電極11との間に絶縁領域を持たせたものとなっている部分電極構造の場合には、異なる極の内部電極層5に挟まれた活性領域と異なる極の内部電極層5に挟まれていない不活性領域とが一つの圧電体層3に形成されることとなる。ここで、不活性領域にかかる応力を緩和するために、図7(a)および図7(b)に示すように、積層体7には予定破断層(応力緩和層)13が数カ所に形成される場合があるが、外部電極11におけるこの予定破断層(応力緩和層)13に対応する位置に、積層方向に垂直な方向に沿って延びる第2の溝15が形成されていることで、さらに高い耐久性を持った外部電極11とすることができる。
さらに、図8(a)および図8(b)に示すように、積層方向に沿って延びる溝12と積層方向に垂直な方向に沿って延びる第2の溝15とを正面から見てクロス形状となるように形成することでより変形しやすくなり、溝12による応力緩和効果に加えて第2の溝15による応力緩和効果が加わり、どのような向きの応力に対しても緩和させる効果が高くなる。したがって、積層型圧電素子1を耐久性の高いものとすることができる。
また、図9(a)および図9(b)に示すように、外部電極11には、積層方向に垂直な方向に沿って延びるスリット14がさらに形成されていることが好ましい。図9に示す例では、外部電極11の中央に一方の縁から対向する他方の縁にかけて形成された溝12を形成し、さらに一端が外部電極11の縁に達しているスリット14を対向する縁の対応する位置にそれぞれ形成している。このようなスリット14を形成することによって、外部電極11の積層体7の表面に沿った長さ、すなわち外部電極11の外周に沿った距離(外周に沿った長さ)が増加することとなるので、外部電極11と圧電体層3との熱膨張差による応力を緩和することができる。
そして、外部電極11に積層方向に垂直な方向に沿って延びるスリット14をさらに形成する場合には、特に、図10(a)および(b)に示すように、スリット14を積層体7が含んでいる予定破断層13の近傍に形成されることで、スリット14の最も奥の部分(外部電極11内に位置しているスリット14の他端)に応力が集中することを利用して、外部電極11に加わった応力をこのスリット14を介して予定破断層13に伝えることができ、予定破断層13を破断させることによって積層体7における応力を緩和することができる。このことにより、積層型圧電素子1を長期間にわたって高い負荷の加わった環境で使用した場合においても、圧電体層3に応力および応力に起因した亀裂を発生させることなく、積層体7の予定破断層13だけに亀裂を効果的に発生させた応力緩和が可能となり、積層型圧電素子1を耐久性の高いものとすることができる。さらに、スリット14を設けた位置から予定破断層13に対して破断を開始させることができるので、積層体7に予定破断層13を設けた場合に、どの位置から破断を開始させるかを設定できるようになり、予定破断層13の配置設計を容易にすることができ、量産性に優れた積層型圧電素子1を得ることができる。特に、予定破断層13の部分に位置するようにスリット14を形成すると、予定破断層13に応力をより効
果的に集中できるので、より好ましいものとなる。
このようなスリット14は、積層型圧電素子1が駆動する際の積層体7の伸び縮みに応じて外部電極11が変形しやすいように設定すると、外部電極11の応力を効果的に緩和できるとともに、スリット14の最も奥の部分に応力を集中できるので、スリット14の近傍に予定破断層13を配置することによって予定破断層13を効果的に破断させることができる。なお、スリット14は、積層方向に垂直な方向(外部電極11の長手方向に対して直交する方向)、すなわち圧電体層3および内部電極層5に沿った方向に設けることが好ましい。特に、積層型圧電素子1の伸び縮み方向である積層体7の積層方向に対して垂直な方向に沿って、すなわち圧電体層3および内部電極層5と平行に形成されていることが好ましい。
このようなスリット14の幅は、そのスリット14の中に圧電体層3が10層以上あるように設定することで、応力緩和効果が高くなる。これは、スリット14に集中した応力をスリット14の中にある圧電体層3が圧力に応じて変形することにより応力を緩和することができるからである。特に、スリット14の中に圧電体層3が10層以上あることで、圧電体層3相互の応力を分散することができるため、圧電体層3の1層に応力が集中することを抑止でき、良好に応力を緩和することができるからである。スリット14の長さは、外部電極11の幅の半分以下にすることが、スリット14の端を起点とした外部電極11の破断を防止することができる点で好ましい。
次に、本発明の積層型圧電素子1の製造方法について説明する。
まず、圧電体層3となるセラミックグリーンシートを作製する。具体的には、圧電セラミックスの仮焼粉末と、アクリル系あるいはブチラール系等の有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混合してスラリーを作製する。そして、このスラリーにドクターブレード法やカレンダーロール法等のテープ成型法を用いることにより、セラミックグリーンシートを作製する。圧電セラミックスとしては圧電特性を有するものであればよく、例えば、PbZrO−PbTiO等からなるペロブスカイト型酸化物等を用いることができる。また、可塑剤としては、DBP(フタル酸ジブチル),DOP(フタル酸ジオクチル)等を用いることができる。
次に、内部電極層5となる導電性ペーストを作製する。例えば、銀−パラジウム等の金属粉末にバインダーおよび可塑剤等を添加混合することで、導電性ペーストを作製する。この導電性ペーストを上記のセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷法を用いて所定のパターンに印刷する。さらに、この導電性ペーストがスクリーン印刷されたセラミックグリーンシートを複数積層する。そして、後述するように焼成することで、交互に積層された圧電体層3および内部電極層5を備えた積層体7を形成することができる。
このとき、予定破断層13として、例えば、多数の独立した金属粒子を含む多孔質金属粒子層を形成する場合であれば、導電性ペースト中にカーボン粉末を含有させて、焼成中にそのカーボン粉末を消失させたり、導電性ペーストの印刷時にドットパターンとなるようにパターン印刷したり、導電性ペーストを印刷乾燥した後にドライアイスブラストを行なって印刷面を荒らしたりする方法がある。また、予定破断層13として、多数の独立した金属粒子を含む多孔質金属粒子層を量産して形成する場合であれば、予定破断層13となる多孔質金属粒子層の導電性ペーストとその他の内部電極層5の導電性ペーストとの金属成分比率を変えて、焼成中に濃度差を利用して、予定破断層13から、圧電体層3を介して隣接している内部電極層5へ金属を拡散させることによって多孔質とすることができる。この方法は、量産性に優れている点で好ましい。特に、主に銀−パラジウムからなる導電性ペーストを用いて、予定破断層13となる層の銀濃度をその他の内部電極層5の銀濃度よりも高くすると、焼成時に銀が液相を形成するとともに圧電体層3の圧電体粒子間を容易に移
動することができるので、極めて均一な多孔質金属粒子層からなる予定破断層13が形成できる。
その後、積層型圧電素子1の積層体7の外表面に、端部が露出している内部電極層5との導通が得られるように外部電極11を形成する。この外部電極11は、銀粉末およびガラス粉末にバインダーを加えて銀ガラス導電性ペーストを作製し、これを積層体7の側面に印刷して、乾燥接着する、あるいは焼き付けることによって得ることができる。
外部電極11に溝12を設けるには、銀ガラス導電性ペーストを印刷する際に複数層パターン印刷して形成する方法が最も適している。まず、外部電極11として最深層11Aをパターン印刷して乾燥した後に、外部電極11のパターン自体に溝12の形状も加えたパターンを用いて、スクリーン印刷によって最深層11A上に、溝12の形状にパターンをくりぬいた層11Bを印刷して積層する。このとき、層11Bの他に、さらに溝12を形成した層を印刷して積層してもよく、このとき表面側の層の溝12幅を大きくして印刷することで、溝12の底面の幅よりも開口の幅の方を大きくすることができる。
なお、このように外部電極11を積層構造の順に印刷し積層して形成する方法の他には、印刷法や蒸着法等によって外部電極11を形成した後に溝12のパターンにエッチングする方法、同様に外部電極11を形成した後に溝12の形状のパターンを設けたメタルマスクを載せて、サンドブラストやドライアイスブラストを行なう方法、あるいは、同様に外部電極11を形成した後にダイヤモンドディスク等の切削手段を用いて溝12のパターンに切削加工する方法等がある。
また、スリット15についても同様の方法でおこなう。溝12と異なる点は、複数層パターンだけでなく、単層パターンも容易に形成できる点である。
次に、金属の線材からなるリード線や、金属メッシュあるいはメッシュ状の金属板等からなる導電部材を、外部電極11の表面に半田や導電性接着剤等の結合材を用いて接合し接続固定する。ここで、導電部材の材質は、銀,ニッケル,銅,リン青銅,鉄,ステンレス等の金属や合金が好ましい。また、導電部材の表面には、銀やニッケル等のメッキが施されていてもよい。
なお、導電部材は、外部電極11の積層方向の全てにわたって接合されていてもよいし、外部電極11の一部分に接合されていても構わない。
次に、シリコーンゴムからなる外装樹脂を含む樹脂溶液に、外部電極11を形成した積層体7を浸漬する。そして、シリコーン樹脂溶液を真空脱気することにより、積層体7の外周側面の凹凸部にシリコーン樹脂を密着させ、その後、シリコーン樹脂溶液から積層体7を引き上げる。これにより、溝12を有する外部電極11を形成した積層体7の側面にシリコーン樹脂がコーティングされる。
その後、外部電極11に接続した導電部材を介して一対の外部電極11から内部電極層5によって圧電体層3に0.1〜3kV/mmの直流電圧を印加し、積層体7の圧電体層3を分
極することによって、本例の積層型圧電素子1が完成する。そして、導電部材を外部の電圧供給部に接続し、導電部材および外部電極11を介して内部電極層5によって圧電体層3に電圧を印加することにより、各圧電体層3を逆圧電効果によって大きく変位させることができる。これにより、例えばエンジンに燃料を噴射供給する自動車用燃料噴射弁機構として機能させることが可能となる。
次に、本発明の噴射装置としての流体の噴射装置の実施の形態の一例について説明する
。図11は、本発明の噴射装置の実施の形態の一例を示す概略断面図である。
図11に示すように、本例の噴射装置21は、一端に噴射孔23を有する容器25の内部に上記の実施の形態の例に代表される本発明の積層型圧電素子1が収納されている。
容器25内には、噴射孔23を開閉することができるニードルバルブ27が配設されている。噴射孔23には流体通路29がニードルバルブ27の動きに応じて連通可能になるように配設されている。この流体通路29は、外部の流体供給源に連結され、常時高圧で流体である例えば液体が供給されている。従って、積層型圧電素子1の駆動によってニードルバルブ27が噴射孔23を開放すると、流体通路29に供給されていた流体が、噴射孔23の外部または噴射孔23に隣接する容器、例えば内燃機関の燃料室(不図示)に、噴射孔23から吐出され噴射されるように構成されている。
また、ニードルバルブ27の上端部は内径が大きくなっており、その部分に容器25に形成されたシリンダ31と摺動可能なピストン33が配置されている。そして、容器25内には、本発明の積層型圧電素子1が収納されている。
このような噴射装置21では、圧電アクチュエータとして機能する積層型圧電素子1が電圧を印加されて伸長すると、ピストン33が押圧され、ニードルバルブ27が噴射孔23を閉塞し、流体の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると積層型圧電素子1が収縮し、皿バネ35がピストン33を押し返すことによって流体通路29が開放され、噴射孔23が流体通路29と連通して、噴射孔23から流体の噴射が行なわれるようになっている。
なお、流体噴射の動作としては、積層型圧電素子1に電圧を印加することによって流体通路29を開放して噴射孔23から流体を吐出し、電圧の印加を停止することによって流体通路29を閉鎖して流体の吐出を停止するように構成してもよい。
また、本発明の噴射装置21は、噴射孔23を有する容器25と、本発明の積層型圧電素子1とを備え、容器25内に充填された流体を積層型圧電素子1の駆動により噴射孔23から吐出させるように構成されていてもよい。すなわち、積層型圧電素子1は必ずしも容器25の内部にある必要はなく、積層型圧電素子1の駆動によって容器25の内部に噴射孔23への流体の供給および停止を行なうための圧力が加わるように構成されていればよい。また、液体を始めとする流体は、流体通路29を通して噴射孔23に供給されるだけでなく、容器25内の適当な箇所に流体を一時的に溜めておく部分を設けて、容器25内に充填された流体を噴射孔23から吐出させてもよい。
なお、本発明において、流体とは、燃料あるいはインク等の液体の他、種々の液状体(導電性ペースト等)および気体が含まれる。これら流体に対して本発明の噴射装置21を用いることによって、流体の流量および噴射タイミングを長期にわたって安定して制御することができる。
本発明の積層型圧電素子1を採用した本発明の噴射装置21を内燃機関に用いれば、従来の噴射装置に比べて、エンジン等の内燃機関の燃焼室に燃料をより長期間にわたって精度よく噴射させることができる。
次に、本発明の燃料噴射システムの実施の形態の例について説明する。図12は、本発明の燃料噴射システムの実施の形態の一例を示す概略図である。
図12に示すように、本例の燃料噴射システム41は、高圧燃料を蓄えるコモンレール43と、このコモンレール43に蓄えられた高圧燃料を噴射する複数の本発明の噴射装置21と、コ
モンレール43に高圧燃料を供給する圧力ポンプ45と、噴射装置21に駆動信号を与える噴射制御ユニット47とを備えている。
噴射制御ユニット47は、外部情報または外部からの信号に基づいて高圧燃料の噴射の量やタイミングを制御する。例えば、エンジンの燃料噴射に用いる噴射制御ユニット47の場合には、エンジンの燃焼室内の状況をセンサ等で感知しながら燃料噴射の量やタイミングを制御することができる。
圧力ポンプ45は、流体タンク49から流体燃料を高圧でコモンレール43に供給する役割を果たす。例えばエンジンの燃料噴射システム41の場合には、1000〜2000気圧程度、好ましくは1500〜1700気圧程度の高圧にしてコモンレール43に流体燃料を送り込む。
コモンレール43では、圧力ポンプ45から送られてきた高圧燃料を蓄え、積層型圧電素子1の駆動に応じて噴射装置21に適宜送り込む。噴射装置21は、前述したように噴射孔23から所定量の流体である高圧燃料を噴射孔23の外部または噴射孔23に隣接する容器に高圧で吐出(噴射)する。例えば、燃料を噴射供給する対象がエンジンの場合には、流体である高圧燃料を噴射孔23からエンジンの燃焼室内に霧状に噴射する。
なお、本発明は、上記の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を行なうことは何ら差し支えない。また、本発明は、積層型圧電素子および噴射装置ならびに燃料噴射システムに関するものであるが、上記の実施の形態の例に限定されるものでなく、例えば、インクジェットプリンタの印字装置、あるいは圧力センサ等に用いるものであっても、圧電特性を利用した積層型の圧電素子であれば、同様の構成で実施可能である。
本発明の積層型圧電素子の例を以下のようにして作製した。
まず、平均粒径が0.4μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)粉末を主成分とする原料
粉末にバインダーおよび可塑剤を混合したスラリーを作製し、ドクターブレード法で厚みが150μmのセラミックグリーンシートを作製した。
次に、Ag95質量%−Pd5質量%の金属組成である銀−パラジウム合金粉末を含有する原料粉末にバインダーを加えた導電性ペーストAと、Ag100質量%の金属組成である
銀粉末を含有する原料粉末にバインダーを加えた導電性ペーストBとを作製した。
そして、セラミックグリーンシートの片面に、導電性ペーストAをスクリーン印刷法により30μmの厚みになるように内部電極層5のパターンで印刷した。そして、導電性ペーストAが印刷された各セラミックグリーンシートを積層して生積層体を作製した。なお、積層数としては、内部電極層5の数が300となるように積層し、生積層体の積層方向の両
端部には、導電性ペーストが印刷されていないセラミックグリーンシートのみをそれぞれ20枚積層し、試料番号1〜3とした。
次に、予定破断層13として、孤立した金属粒子からなる低剛性金属層を設けるために、試料番号4においては、積層方向の50番目および250番目に位置する内部電極層5を導電
性ペーストBを用いて印刷した。
次に、それぞれの試料番号の生積層体に所定の温度で脱バインダー処理を施した後、800〜1000℃で焼成して、積層体7を得た。ここで、試料番号4では、導電性ペーストBを
用いた層の電極成分の銀が焼成中に隣接する銀濃度の低い金属層に拡散するために、導電
性ペーストBを用いた層に、孤立した金属粒子からなる低剛性金属層である予定破断層13が形成された。
そして、各々の試料番号の積層体7に、所望の寸法(縦5mm、横5mm、高さ25mm)に加工した上で、表1に示すように図3,図8および図10に示す例のように溝12が形成できるように、外部電極11をそれぞれ形成した。ここで、まず銀を主成分とする金属粉末にバインダー,可塑剤,ガラス粉末等を添加混合して、導電性ペーストCを作製した。次に、銀を主成分とする金属粉末にバインダー,可塑剤を添加混合して、導電性ペーストDを作製した。さらに、孤立した金属粒子からなる低剛性金属層の予定破断層13となる外部電極11を形成する目的で、銀を主成分とする金属粉末にバインダー,可塑剤とともに銀と同じ重量となるアクリルビーズを添加混合して、導電性ペーストEを作製した。
次に、導電性ペーストCを、積層体7の側面の外部電極11を形成する箇所にスクリーン印刷等によってパターン印刷した。乾燥後、試料番号1は、導電性ペーストCを印刷した時と同じ印刷パターンを用い、試料番号2、3は、底が積層体7に達していない溝12の形状を加えた印刷パターンを用いて、導電性ペーストDを印刷した。試料番号4は、底部が積層体7に達していない溝12の形状を加えた印刷パターンを用いて、導電性ペーストEを印刷乾燥した後、底が積層体7に達していない溝12の形状を加えた印刷パターンを用いて、導電性ペーストDを印刷した。そして、いずれも乾燥した後、600〜800℃で焼成して、幅3mm、厚み30μmの外部電極11を形成した。
得られた各試料の外部電極11において、溝12の形状は底面の幅より開口の幅が約10%大きくなっているものであったが、これは、印刷直後の導電性ペーストのパターンエッジ部が表面張力で丸みを帯びた形状になるため、開口の縁部が面取りされたためである。なお、溝12の底面の形状は長方形状、クロス形状としたので、溝12の寸法として、底面の短辺および長辺の長さをそれぞれ表1の寸法の欄に短辺×長辺として示した。
なお、試料番号4については、溝12をスリット14と交差するように、予定破断層13の位置に設けた。これについては、表1の本数の欄に「予定破断層」と示している。
このようにして作製した各試料を用いて駆動評価を行なった。駆動評価としては、高速応答性評価と耐久性評価とを行なった。まず、外部電極11にリード線を接続し、正極および負極の外部電極11からリード線を介して圧電体層3に3kV/mmの直流電圧を15分間印加して分極処理を行ない、積層型圧電素子1を用いた圧電アクチュエータを作製した。得られた圧電アクチュエータに170Vの直流電圧を印加して、初期状態の変位量を測定し
た。
高速応答性評価としては、各々の圧電アクチュエータに室温で0〜+170Vの電圧の交
流電圧を150Hzから徐々に周波数を増加させて印加した。耐久性評価としては、各々の
圧電アクチュエータに室温で0〜+170Vの電圧の交流電圧を150Hzの周波数で印加して、1×10回まで連続駆動した試験を行なった。これらの各試料の作製条件を表1に、また試験の結果を表2に示す。
Figure 2011176187
Figure 2011176187
表1および表2に示すように、外部電極11に溝12を形成しなかった比較例の試料番号1についてのみ、圧電アクチュエータでは、周波数が1kHzを超えた時にうなり音の発生が認められた。これは、試料番号1の積層型圧電素子では、積層体7が外部電極11に拘束されているために、駆動に伴って内部電極層5間に局部発熱が生じた際に、圧電体層3毎の変位速度に乱れが生じ、印加した交流電圧の周波数に変位が追従できなかったためにうなり音が発生したものと考えられる。
なお、駆動周波数を確認するために、横河電機製オシロスコープDL1640Lを用いて試料番号1の駆動信号のパルス波形を確認したところ、駆動周波数の整数倍の周波数に相当する箇所に高調波ノイズが確認された。これについて、表1では高調波成分のノイズ発生の欄に「あり」で示した。
また、耐久性評価の結果としては、試料番号1では、耐久性評価試験後の変位量(1×10回後の変位量)は5μmとなり、耐久性評価試験前と比較して90%近く({(45−5)/45}×100=88.9(%))低下していた。また、試料番号1の圧電アクチュエータで
は、連続駆動後(1×10回)に、外部電極11に剥がれが見られ、また積層体7において積層部分の一部に剥がれが見られた。
一方、本発明の実施例である試料番号2〜4の圧電アクチュエータでは、いずれも連続駆動後(1×10回)に、外部電極11の剥がれおよび積層体7における積層部分の剥がれ
は見られなかった。また、耐久性評価試験後の変位量の低下がいずれも3μm以下であり、耐久性評価試験前と比較して変位量の低下は7%以下({(48−45)/48}×100=6.25(%))に抑えられていた。また、本発明の実施例である試料番号3,4の圧電アクチ
ュエータでは、1×10回の連続駆動後も変位量の低下が確認されず、非常に高い耐久性を有していることが分かった。
なお、耐久性評価試験後に、試料番号4の積層型圧電素子では、予定破断層13に亀裂が生じていた。亀裂の位置は底が積層体7に達しているスリット14と溝12が交差した部分であることが確認できたので、予定破断層13がスリット14と溝12を用いることによって優先的に破断し、積層体7における応力を緩和したことを確認できた。
1・・・積層型圧電素子
3・・・圧電体層
5・・・内部電極層
7・・・積層体
11・・・外部電極
11A・・・最深層(積層体側に位置する層)
11B・・・表面側に位置する層
12・・・溝
13・・・予定破断層
14・・・スリット
15・・・溝
21・・・噴射装置
23・・・噴射孔
25・・・容器
27・・・ニードルバルブ
29・・・流体通路
31・・・シリンダ
33・・・ピストン
35・・・皿バネ
41・・・燃料噴射システム
43・・・コモンレール
45・・・圧力ポンプ
47・・・噴射制御ユニット
49・・・燃料タンク

Claims (8)

  1. 圧電体層と内部電極層が交互に積層された積層体と、該積層体の側面に接合されて前記内部電極層に電気的に接続された外部電極とを含む積層型圧電体素子であって、前記外部電極には、前記圧電体層および前記内部電極層の積層方向に沿って延びる溝が形成されている積層型圧電体素子。
  2. 前記外部電極は、複数層が積層された積層構造を有しており、前記溝は、前記外部電極の最深層よりも上側の層に形成されている請求項1に記載の積層型圧電素子。
  3. 前記溝は、一端が前記外部電極の縁にある請求項1に記載の積層型圧電素子。
  4. 前記溝は、前記外部電極の縁からそれに対向する縁にかけて形成されている請求項1に記載の積層型圧電素子。
  5. 前記外部電極には、さらに積層方向に垂直な方向に沿って延びる第2の溝またはスリットが形成されている請求項1に記載の積層型圧電素子。
  6. 前記積層体は、駆動時に前記内部電極層よりも優先的に破断することによって応力を緩和する予定破断層を含んでおり、前記第2の溝または前記前記スリットが前記予定破断層に対応する部位に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電素子。
  7. 噴出孔を有する容器と、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の積層型圧電素子とを備え、前記容器内に充填された液体が前記積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から吐出される噴射装置。
  8. 高圧燃料を蓄えるコモンレールと、このコモンレールに蓄えられた前記高圧燃料を噴射する請求項7に記載の噴射装置と、前記コモンレールに前記高圧燃料を供給する圧力ポンプと、前記噴射装置に駆動信号を与える噴射制御ユニットとを備えた燃料噴射システム。
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