JP6322438B2 - 水晶デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、圧電振動素子及び圧電デバイスに関する。
圧電振動子又は圧電発振器に用いられる圧電振動素子(圧電振動片)は、圧電体(例えば水晶)と、圧電体の表面に少なくとも1対設けられた励振電極とを有している。
特許文献1では、圧電体の表面に重ねられた下地層としてのクロム(Cr)層と、クロム層に重ねられた銀(Ag)層とからなる励振電極を開示している。この構成は、一般的によく利用される構成である。銀は、導電性が高いことから利用されている。クロムは、銀と水晶との密着強度を向上させるために利用されている。なお、下地層には、クロムに代えてニッケル(Ni)又はニクロム(NiCr)等が用いられることもある。
特許文献2は、励振電極が上記のような2層構造であると、製造工程が煩雑化し、製造コストが増大することに鑑み、1層のみからなる励振電極を実現できるように、水晶に対する密着強度が高い電極材料を提案している。具体的には、特許文献2は、主成分としての銀にパラジウム(Pd)及び銅(Cu)を添加した合金、又は、主成分としての銀にパラジウム及びチタン(Ti)を添加した合金を提案している。また、特許文献2では、これらの合金は、従来の電極材料に比較して酸化されにくい効果、及び、高温に晒されても銀のように蒸発・飛散がなされず、ひいては、圧電振動素子の共振周波数の変化が抑制される効果が奏されることも開示されている。
特許文献3は、特許文献2と同様に、1層のみからなる励振電極を実現する、水晶への密着強度が高い電極材料を提案している。特許文献3は、特許文献2の技術ではパラジウムが高価であることを問題視し、電極材料として、主成分としての銀にモリブデン(Mo)を添加した合金を提案している。また、特許文献3では、この合金は、耐食性、耐酸素プラズマアッシング性、UV/O耐性、エッチング容易性、耐熱性においても有利であることを開示している。
特開平07−154188号公報 特開2001−44785号公報 特開2005−236360号公報
励振電極が製造工程及び/又は製造後に周囲の雰囲気に含まれる物質と反応すると、励振電極の質量が変化し、ひいては、周波数特性が変化する。上述した特許文献においては、銀の蒸発・飛散による質量変化について言及されており、また、耐食性についても言及されている。しかし、上述した特許文献では、化学反応による質量変化に特に着目して好適な電極材料を選択することは行われていない。また、上述した特許文献では、硫黄(S)と反応しやすいという銀特有の性質について配慮する記載もない。
以上のことから、励振電極の化学反応による質量変化が抑制される圧電振動素子及び圧電デバイスが提供されることが望まれる。
本発明の一態様に係る圧電発振器は、圧電体と、前記圧電体の表面に層状に形成された少なくとも1対の励振電極と、を有し、前記励振電極は、主成分としての銀にパラジウムのみを添加した銀パラジウム合金からなる銀パラジウム合金層を有する。
好適には、前記励振電極は、前記圧電体の表面に重ねられ、銀パラジウム合金よりも前記圧電体に対する密着強度が高い材料からなる下地層と、前記下地層に重ねられた前記銀パラジウム合金層と、からなる。
好適には、前記下地層は、クロムからなる。
好適には、前記圧電体は、水晶からなり、前記励振電極は、前記圧電体の表面に重ねられた前記銀パラジウム合金層からなる。
好適には、前記銀パラジウム合金層のパラジウム含有量は、重量比率で1.0%以上7.0%以下である。
本発明の一態様に係る圧電デバイスは、上記の圧電振動素子と、前記圧電振動素子が導電性のバンプを介して搭載された素子搭載部材と、を有する。
上記の構成によれば、励振電極の化学反応による質量変化が抑制される。
本発明の第1の実施形態に係る水晶振動子の概略構成を示す分解斜視図。 図2(a)は図1のIIa−IIa線における水晶振動子の断面図、図2(b)は図2(a)の領域IIbの拡大図。 図1の水晶振動子の製造方法の手順を示すフローチャート。 本発明の第2の実施形態に係る振動素子を説明する図2(b)に対応する断面図。
以下、本発明の実施形態に係る圧電振動子について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
圧電振動子は、いずれの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、以下では、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともにz方向の正側を上方として、上面、下面などの用語を用いるものとする。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る水晶振動子1の概略構成を示す分解斜視図である。また、図2(a)は、図1のIIa−IIa線における水晶振動子1の断面図である。
水晶振動子1は、例えば、図1に示すように、概略して3つの部材からなる。すなわち、水晶振動子1は、凹部3aが形成された素子搭載部材3と、凹部3aに収容された振動素子5と、凹部3aを塞ぐ蓋部材7とを有している。
水晶振動子1は、例えば、蓋部材7により凹部3aが塞がれた状態で、概ね直方体状でり、その寸法は適宜に設定されてよい。例えば、比較的小さいものでは、x方向又はy方向においては1辺の長さが1〜2mmであり、z方向においては1辺の長さが0.2〜0.4mmである。凹部3aは蓋部材7により封止され、その内部は、例えば、真空とされ、又は、窒素が封入されている。
素子搭載部材3は、公知のものと同様でよい。素子搭載部材3は、例えば、素子搭載部材3の主体となる基体9と、振動素子5を実装するための素子搭載パッド11と、水晶振動子1を不図示の回路基板等に実装するための外部端子13とを有している。
基体9は、絶縁材料から構成されている。絶縁材料は、例えば、セラミック又は樹脂である。基体9は、複数部材から構成されてもよいし、全体が一体的に形成されていてもよい。基体9は、振動素子5を搭載且つ封止可能であれば、適宜な形状とされてよい。例えば、基体9は、上面側が開放された概ね直方体の箱形状に形成されており、上述の凹部3aを有している。
素子搭載パッド11は、例えば、凹部3aの底面に設けられている。より具体的には、例えば、凹部3aの底面の長手方向の一方側(x方向の正側)に、1対の素子搭載パッド11が設けられている。1対の素子搭載パッド11は、凹部3aの底面の短手方向(y方向)に並んでいる。素子搭載パッド11は、例えば、層状(板状含む。以下同じ。)に形成された導電性材料(例えば金属)からなる。その平面形状は適宜に設定されてよい。素子搭載パッド11は、2種以上の金属層が積層されて構成されていてもよい。
外部端子13は、例えば、素子搭載部材3の下面の4隅に設けられている。各外部端子13は、例えば、層状に形成された導電性材料(例えば金属)からなる。その平面形状は適宜に設定されてよい。外部端子13は、2種以上の金属層が積層されて構成されていてもよい。水晶振動子1は、例えば、外部端子13と不図示の回路基板のパッドとが半田等により接合されることにより回路基板に実装される。
一の外部端子13と一の素子搭載パッド11とは不図示の接続導体により接続され、他の一の外部端子13と他の一の素子搭載パッド11とは不図示の接続導体により接続されている。接続導体は、例えば、基体9の内部に設けられたビア導体や内層導体によって構成されている。
振動素子5は、例えば、水晶片15と、水晶片15に電圧を印加するための1対の励振電極17と、振動素子5を素子搭載パッド11に実装するための1対の引出電極19とを有している。
水晶片15は、例えば、概ね長方形の板状に形成されている。1対の励振電極17は、水晶片15の両主面の中央側に層状に設けられている。1対の引出電極19は、励振電極17から引き出されて水晶片15の長手方向(x方向)の一端側部分に設けられている。1対の励振電極17及び1対の引出電極19は、例えば、振動素子5の両主面のいずれを上面又は下面としてもよいように、水晶片15の、その長手方向(x方向)に延びる中心線に対して180°回転対称の形状に形成されている。
振動素子5は、主面を凹部3aの底面に対向させて凹部3aに収容される。引出電極19は、導電性のバンプ21(図2(a))により素子搭載パッド11に接合される。これにより、振動素子5は、素子搭載部材3に片持ち梁のように支持されるとともに、素子搭載パッド11と電気的に接続される。
バンプ21は、振動素子の実装に利用されている公知のもの又はその他電子素子の実装に利用されている公知のものとされてよい。例えば、バンプ21は、導電性接着剤(例えば樹脂に銀フィラーを混ぜたAgペースト)からなる。
蓋部材7の構成は、公知のものと同様でよい。例えば、蓋部材7は、金属から構成されている。蓋部材7は、例えば、概ね矩形の平板状に形成されており、素子搭載部材3の枠部上面に重ねられる。蓋部材7と素子搭載部材3とは、例えば、両者に設けられた金属層同士が溶接されることにより互いに固定されている。
図2(b)は、図2(a)の領域IIbの拡大図である。
励振電極17は、水晶片15の表面に重ねられたクロム層23と、クロム層23に重ねられた銀パラジウム合金層25とからなる。なお、特に図示しないが、引出電極19も同様である。
クロム層23は、クロム(純金属)からなる。銀パラジウム合金層25は、主成分としての銀にパラジウムのみを添加した銀パラジウム合金(2元合金)からなる。銀パラジウム合金のパラジウム含有量は、後述する本実施形態の効果の少なくとも一つが奏される範囲で適宜に設定されてよい。例えば、パラジウム含有量は、重量比率で0.5%以上40%以下、好ましくは、1.0%以上7.0%以下である。
なお、純金属及び2元合金には、これら金属材料の製造(精錬等)及び成膜の過程において残留又は混入する微量の意図しない不純物が含まれていてもよい。例えば、重量比率で0.1%未満、より好ましくは0.05%未満の意図しない不純物が含まれていてもよい。参考までに記載すると、日本工業規格(JIS)では、銀地金について、銀地金1種を銀の含有率99.99%以上、銀地金2種を銀の含有率99.95%以上と定めている(JISH2141)。
銀パラジウム合金層25は、励振電極17を主に構成する層であり、クロム層23は、銀パラジウム合金層25の水晶片15に対する密着強度を向上させるための下地層である。従って、銀パラジウム合金層25の厚みは相対的に厚く、クロム層23の厚みは相対的に薄くされている。例えば、クロム層23の厚みは、100Å以上200Å以下であり、銀パラジウム合金層25の厚みは、2000Å以上3000Å以下である。
図3は、水晶振動子1の製造方法の手順を示すフローチャートである。
まず、水晶片15を洗浄する(ステップS1)。洗浄は公知の方法により行われてよい。例えば、水晶片15は、適宜な洗浄液を用いて洗浄がなされ、次に、純水により洗浄液が除去され、その後、乾燥される。
次に、励振電極17及び引出電極19を水晶片15に形成する(ステップS2)。具体的には、まず、クロム層23を形成し、次に、銀パラジウム合金層25を形成する。これら金属層の形成は、公知の方法によりなされてよい。例えば、フォトリソグラフィーによりレジストからなるマスクを水晶片15に形成し、当該マスクを介して蒸着により金属材料(クロム又は銀パラジウム合金)を成膜する。蒸着は、真空蒸着であってもよいし、スパッタリングであってもよい。
なお、銀パラジウム合金自体は公知であり、銀パラジウム合金の製造方法は公知のものとされてよい。例えば、銀パラジウム合金は、純銀及び純パラジウムを溶かして混ぜ合わせて製造されてもよいし、焼結法やめっき法により製造されてもよい。
次に、振動素子5を素子搭載部材3に搭載する(ステップS3)。搭載は、公知の方法により行われてよい。例えば、まず、スクリーン印刷法やディスペンサ法等によって素子搭載パッド11上に導電性接着剤からなるバンプ21を形成する。次に、引出電極19がバンプ21に当接するように振動素子5を素子搭載部材3の凹部3a内に配置する。その後、素子搭載部材3及び振動素子5を硬化炉(加熱炉)に搬送することなどにより、バンプ21を加熱して硬化させる。
その後、素子搭載部材3に蓋部材7が接合され、凹部3aは密閉される(ステップS5)。蓋部材7の素子搭載部材3への接合方法は公知の方法とされてよい。例えば、真空雰囲気下でシーム溶接が行われる。
以上のとおり、本実施形態では、振動素子5は、水晶片15と、この水晶片15の表面に層状に形成された1対の励振電極17とを有し、励振電極17は、主成分としての銀にパラジウムのみを添加した銀パラジウム合金からなる銀パラジウム合金層25を有している。
励振電極17を構成する銀にパラジウムが添加されていることによって、水晶振動子1の製造過程及び/又は製造後において、励振電極17を構成する銀がその周囲に存在する硫黄と反応することが抑制される。すなわち、硫化銀(AgS)の生成が抑制される。その結果、振動素子5の質量が変化することが抑制され、ひいては、振動素子5の周波数特性が安定する。また、耐食性が高い銀及びパラジウムのみからなることから、パラジウムに加えて銅等を銀に添加した場合に比較して、酸素と反応して質量が変化することも抑制されると期待される。
なお、励振電極17の周囲に存在する硫黄としては、例えば、大気中の二酸化硫黄(SO)又は硫化水素(HS)に含まれる硫黄や、励振電極17を形成するときのマスク(レジスト)に含まれる硫黄が挙げられる。
また、本実施形態では、励振電極17は、水晶片15の表面に重ねられ、銀パラジウム合金よりも圧電体(水晶)に対する密着強度が高い材料からなる下地層(クロム層23)と、このクロム層23に重ねられた銀パラジウム合金層25と、からなる。
従って、銀パラジウム合金層25と水晶片15との密着強度が向上する。上述のように、銀パラジウム合金層25では、硫化だけでなく、酸化も抑制するために、銀にパラジウムのみを添加しており、密着強度を高くするために銅等を添加することはなされていない。しかし、クロム層23によって密着強度を高くすることによって、励振電極17全体として、硫化及び酸化による質量変化が抑制され、且つ、水晶片15に対する密着強度が向上する。
さらに、本願発明者の本実施形態に係る試作品(パラジウム含有量1.0%)では、下地層としてのクロム層23の上に主たる層である銀層を重ねた従来技術に比較して、主たる層(本実施形態では銀パラジウム合金層25)が局部的にクロム層23から剥離して膨らむ現象が抑制されることが確認されている。従って、本実施形態では、銀に代えて銀パラジウム合金を用いることにより、硫黄との反応抑制によって主たる層の質量変化が抑制される効果だけでなく、主たる層の下地層からの局部的な剥離が抑制される効果も奏される。
主たる層の局部的な剥離が抑制されることによって、例えば、励振電極17によって水晶片15に電圧を印加するときの水晶片15表面の電荷の分布のばらつきが抑制され、ひいては、振動素子5の周波数特性のばらつきが抑制される。
なお、上記のような局部的な剥離は、ステップS4の硬化(加熱)後に生じており、また、その発生の有無には、硬化炉での酸素量や硬化後から封止するまでの滞留時間が影響している。銀にパラジウムが添加されることによって局部的な剥離が抑制される理由としては、例えば、純銀に比較して凝集が生じにくくなったこと、銀の硫化が抑制されたこと、及び/又は、密着強度が高くなったことが挙げられる。
従って、本願発明者が局部的な剥離の有無を確認したのは、クロム層23の上に主たる層としての銀層又は銀パラジウム合金層25を形成した場合であるが、下地層がクロム以外の材料からなる場合や、銀パラジウム合金層25を直接に水晶片15に重ねた場合(第2の実施形態)においても、主たる層の材料として銀に代えて銀パラジウム合金を用いることによる、主たる層の局部的な剥離の発生抑制の効果は奏されるものと考えられる。
また、本実施形態では、下地層は、クロムからなる。クロムは、表面に酸化物を形成してそれ以上の酸化の進行を抑制することから、ニッケルやニクロムに比較して耐食性に優れている。従って、下地層(クロム層23)が成膜されてから銀パラジウム合金層25が成膜されるまでの間に下地層の酸化が進行して励振電極17の質量が変化することが抑制され、振動素子5の周波数特性が安定する。別の観点では、周波数特性の安定化に関して、下地層が成膜されてから銀パラジウム合金層25が成膜されるまでの時間及び雰囲気の製造条件が緩和される。
また、本実施形態では、銀パラジウム合金層25のパラジウム含有量は、重量比率で1.0%以上7.0%以下である。
パラジウム含有量が上記の範囲内にあれば、振動素子5の周波数特性の安定化が好適になされる。具体的には、以下のとおりである。
上述のように、本願発明者の試作(実施例)では、パラジウム含有量が少なくとも1.0%あれば、励振電極17の局部的な剥離が十分に抑制されることが確認されている。従って、パラジウム含有量が少なくとも1.0%あれば、振動素子5の周波数特性は安定する。局部的な剥離には銀の硫化が影響していると考えられることから、別の観点では、パラジウム含有量が少なくとも1.0%あれば、硫化の抑制の効果が得られる。
パラジウム含有量の増加により硫化抑制の効果が増大することは公知である。従って、硫化抑制の観点からすれば、パラジウム含有量を十分に大きくしてもよい。また、パラジウム含有量を十分に大きくしたときに電気的に特異な性質が現れることもないと考えられる。例えば、特開平7−233496号公報では、電気接点材料として、10%、30%、40%、60%のパラジウム含有量の銀パラジウム合金が用いられている実績があることを開示している。
しかし、パラジウム含有量を多くすると、銀パラジウム合金の体積抵抗率は高くなり、その結果、励振電極17は発熱しやすくなる。水晶片15が振動する周波数は、温度によって変化するから、励振電極17が発熱しやすくなると、水晶片15が振動する周波数は変化しやすくなる。従って、パラジウム含有量は、一定の値以下に抑えられることが好ましい。そして、パラジウム含有量が7.0%以下であれば、そのような発熱による周波数の不安定化は十分に抑制されると考えられる。
例えば、既に述べたように、下地層としては、クロム(室温での体積抵抗率:約13μΩcm)の他に、ニッケル(室温での体積抵抗率:約7μΩcm)、ニクロム(室温での体積抵抗率:約108μΩcm)が用いられる。経験的に、これら下地層の厚みが最大で主たる層である銀層(室温での体積抵抗率:約1.6μΩcm)の厚みの1/10程度であると考え、また、これらの層は1対の励振電極17の電圧印加方向に関して直列接続されていると考える。そうすると、いずれの材料を下地層にするかで、励振電極17の抵抗値は、銀層のみの場合の抵抗値の1.4倍〜7.8倍の範囲で変化することになる。従って、この程度の、励振電極17の抵抗値の変化は許容されるといえる。
一方、公知の文献を参照するとパラジウム含有量が7.0%以下であれば、銀パラジウム合金の体積抵抗率は、純銀の体積抵抗率の数倍以内に十分に収まると予想される。例えば特開2001−192752号公報では、パラジウム含有量が3%の銀パラジウム合金の室温での体積抵抗率として約3.0μΩcm(純銀の体積抵抗率の約2倍)を開示している。
以上のことから、パラジウム含有量は、好ましくは、1.0%以上7.0%以下、1.0%以上3.0%以下、又は、1.0%である。なお、これらの数値は、小数第1位を有効桁であるものとし、例えば、1.0%は、0.95%を含み、7.0%は7.04%を含むものとする。
以上の実施形態において、水晶振動子1は圧電デバイスの一例であり、振動素子5は圧電振動素子の一例であり、水晶片15は圧電体の一例であり、クロム層23は下地層の一例である。
<第2の実施形態>
図4は、第2の実施形態に係る振動素子205を説明する図2(b)に対応する断面図である。
振動素子205は、励振電極の材料のみが第1の実施形態の振動素子5と相違する。すなわち、第1の実施形態の励振電極17は、クロム層23と銀パラジウム合金層25とから構成されたのに対して、第2の実施形態の励振電極217は、銀パラジウム合金層25のみから構成されている。
第2の実施形態においても、振動素子205は、水晶片15と、この水晶片15の表面に層状に形成された1対の励振電極217とを有し、励振電極217は、主成分としての銀にパラジウムのみを添加した銀パラジウム合金からなる銀パラジウム合金層25を有していることから、第1の実施形態と同様の効果が奏される。例えば、励振電極217の硫化及び酸化が抑制され、ひいては、励振電極217の質量の変化が抑制され、振動素子205の周波数特性が安定する。
また、第2の実施形態では、銀パラジウム合金層25が直接に水晶片15の表面に重ねられている。従って、励振電極217の構成が簡素であり、製造工程の簡素化やコスト削減が図られる。なお、第1の実施形態に比較すると、銀パラジウム合金層25の水晶片15に対する密着強度は低下する。しかし、既に述べたように、硫化による剥離が抑制されることなどから、純銀からなる銀層を直接に水晶片15の表面に重ねる場合に比較して密着強度は高い。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
圧電デバイスは、水晶振動子等の圧電振動子に限定されず、例えば、発振回路を有する圧電発振器であってもよい。また、圧電振動子及び圧電発振器等の圧電デバイスは、IC(例えば発振回路を含んでいる)やサーミスタ等の、振動素子以外の電子素子を有していてもよい。
圧電デバイスのパッケージ(素子搭載部材や蓋体)を含めた全体の構造も適宜に変更可能である。例えば、単層基板に圧電振動素子を実装し、圧電振動素子に金属製のキャップを被せてもよい。素子搭載部材の上下両面に凹部を形成して、一方の凹部に振動素子を配置し、他方の凹部にサーミスタ又はICを配置してもよい。
振動素子は、板状のもの(ATカット型)に限定されず、例えば、音叉型であってもよい。なお、公知のように、音叉型の振動素子は、1対の腕を有するとともに各腕に2対の励振電極を有している。また、各腕において、電位の異なる励振電極は互いに直交するように腕の表面に設けられる。すなわち、励振電極は、振動素子において2対以上設けられてもよいし、1対の励振電極は板状の圧電体を挟んで対向している必要は無い。また、圧電体は、水晶からなるものに限定されず、例えば、セラミックからなるものであってもよい。
励振電極は、銀パラジウム合金層からなる1層構造、又は、下地層と銀パラジウム合金層とからなる2層構造に限定されない。例えば、銀パラジウム合金層の上に他の層が形成されてもよい。また、励振電極が2層以上で構成される場合において、励振電極の厚みに占める銀パラジウム合金層の厚みも適宜に設定されてよい。ただし、導電性を考慮すると、好ましくは、銀パラジウム合金層の厚みは、励振電極の厚みの半分以上、より好ましくは、9割以上である。
圧電体と銀パラジウム合金層との間に下地層が設けられる場合、下地層の材料はクロムに限定されず、銀パラジウム合金よりも圧電体との密着強度が高い金属材料から適宜に選択されてよい。例えば、下地層の材料は、ニッケル又はニクロムであってもよい。
1…水晶振動子(圧電デバイス)、5…振動素子(圧電振動素子)、15…水晶片(圧電体)、17…励振電極、25…銀パラジウム合金層。

Claims (5)

  1. 素子搭載部材と、
    前記素子搭載部材に接合されている加熱硬化型の導電性接着剤からなるバンプと
    前記バンプを介して長手方向の一端部のみが前記素子搭載部材に支持されている水晶振動素子と、
    を有しており、
    前記水晶振動素子は、
    ATカット型の水晶片と、
    前記水晶片の表面に層状に形成された少なくとも1対の励振電極と、を有し、
    前記励振電極は、
    主成分としての銀にパラジウムのみを添加した銀パラジウム合金からなる、2000Å以上3000Å以下の厚さの銀パラジウム合金層と、
    クロム、ニッケル又はニクロムからなり、前記水晶片と前記銀パラジウム合金層との間に介在する下地層と、のみからなる
    水晶デバイス
  2. 素子搭載部材と、
    前記素子搭載部材に接合されている加熱硬化型の導電性接着剤からなるバンプと
    前記バンプを介して長手方向の一端部のみが前記素子搭載部材に支持されている水晶振動素子と、
    を有しており、
    前記水晶振動素子は、
    ATカット型の水晶片と、
    前記水晶片の表面に層状に形成された少なくとも1対の励振電極と、を有し、
    前記励振電極は、
    主成分としての銀にパラジウムのみを添加した銀パラジウム合金からなる、2000Å以上3000Å以下の厚さの銀パラジウム合金層と、
    100Å以上200Å以下の厚さであり、前記水晶片と前記銀パラジウム合金層との間に介在する下地層と、のみからなる
    水晶デバイス
  3. 素子搭載部材と、
    前記素子搭載部材に接合されている加熱硬化型の導電性接着剤からなるバンプと
    前記バンプを介して長手方向の一端部のみが前記素子搭載部材に支持されている水晶振動素子と、
    を有しており、
    前記水晶振動素子は、
    ATカット型の水晶片と、
    前記水晶片の表面に層状に形成された少なくとも1対の励振電極と、を有し、
    前記励振電極は、主成分としての銀にパラジウムのみを添加した銀パラジウム合金からなる、2000Å以上3000Å以下の厚さの銀パラジウム合金層のみからなる
    水晶デバイス
  4. 前記銀パラジウム合金層のパラジウム含有量は、重量比率で1.0%以上7.0%以下である
    請求項1〜のいずれか1項に記載の水晶デバイス
  5. 前記銀パラジウム合金層のパラジウム含有量は、重量比率で1.0%以上3.0%以下である
    請求項4に記載の水晶デバイス。
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