JP4720403B2 - サージアブソーバ及びサージアブソーバの製造方法並びに電子部品及び電子部品の製造方法 - Google Patents
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このような電子部品において、ロウ付け時にロウ材を溶融すると、溶融したロウ材が接合部分以外である底体の半導体装置などを搭載する搭載予定部に流れ込むことによって、形状不良が発生して半導体装置などの搭載不良などが生じることがある。
また、上記従来の電子部品では、ロウ付け時に溶融したロウ材が流れ込まないように、ロウ材溜り部のように別途加工を施す必要があるという問題がある。
また、本発明のサージアブソーバの製造方法は、放電ギャップを介して導電性被膜が分割形成された絶縁性部材を、それぞれ前記導電性被膜に接触するように前記絶縁性部材を介して対向配置された一対の導電性を有すると共に酸化可能である主放電電極部材と、絶縁体である絶縁性管とによって封止ガスと共に封止する封止工程を備え、該封止工程が、前記主放電電極部材と前記絶縁性管との間に加熱接着する接着剤を介在させ、構成元素に酸素を含む気体を少なくとも1容積%以上含むガス雰囲気中で加熱処理して前記主放電電極部材と前記絶縁性管との接着を行うと共に、前記主放電電極のうち前記接着剤との非接触部分に膜厚0.01μm以上の酸化膜を形成することを特徴とする。
また、この酸化膜は、主放電面との付着力が優れているので、酸化膜の特性を十分に発揮することができる。そして、高温領域で化学的安定性に優れる高価な金属を主放電電極部材として使用する必要がないため、主放電電極部材に安価な金属材料を用いることができる。
また、本発明のサージアブソーバの製造方法は、前記接着剤が、銀あるいは銀及び銅を主成分とするロウ材であることが好ましい。
この発明によれば、主放電電極部材と絶縁性管との間にロウ材を介在させた状態で混合ガス雰囲気中において加熱処理することで、主放電電極部材のロウ材との非接触部分の表面が酸化され、ロウ材に対してぬれにくくなる。これにより、主放電電極部材の外表面にロウ材が流れ込むことを防止する。したがって、形状不良や寸法バラツキを抑制することができる。
この発明によれば、二酸化炭素を5容積%以上含有するガス雰囲気中で封止工程を行うことで、酸化可能な主放電電極部材の接着剤との非接触部分の表面に酸化膜を確実に形成することができる。また、二酸化炭素を70容積%以下とすることで、接着剤が酸化されることや接着部位が酸化されることによって接着剤自体の接着力や接着剤と接着部位との接着性が劣化することを防止し、接着剤による封止性を良好に維持することができる。
この発明によれば、気体に含まれる構成元素の酸素をすべて主放電電極部材の酸化に用いることで、放電開始電圧のバラツキを抑制することができる。すなわち、封止工程後の放電空間内に構成元素として酸素を有する気体を含有しないようにすることで、封止工程時の加熱温度などの加熱条件が一様とならない場合であっても、放電空間内のガス成分を一定にすることができる。したがって、放電開始電圧のバラツキが抑制される。
また、構成元素に酸素を含む気体が放電空間内に残存していないので、放電空間内が負圧になり、また放電開始電圧を低く設定することができる。
また、本発明の電子部品の製造方法は、構成元素に酸素を含む気体を少なくとも1容積%以上含むガス雰囲気中で加熱すると酸化する第1接合部材と第2接合部材との間に、銀あるいは銀及び銅を主成分とするロウ材を介在させ、構成元素に酸素を含む気体を少なくとも1容積%以上含むガス雰囲気中で加熱処理して前記第1接合部材と前記第2接合部材とを接着すると共に、前記第1接合部材のうち前記ロウ材との非接触部分に膜厚0.01μm以上の酸化膜を形成するロウ付け工程を備えることを特徴とする。
また、本発明の電子部品及び電子部品の製造方法によれば、ロウ付けと同時に酸化可能な第1接合部材のロウ材と接触していない部分の表面に酸化膜が形成されてロウ材に対するぬれ性を低下させる。これにより、溶融したロウ材が第1接合部材の接合部分以外に流れ込むことを防止する。したがって、第1及び第2接合部材のロウ付けによる寸法誤差の発生を抑制する。
本実施形態によるサージアブソーバ1は、図1に示すように、いわゆるマイクロギャップを使用した放電型サージアブソーバであって、周面に中央の放電ギャップ2を介して導電性被膜3が分割形成された円柱状の円柱状セラミックス(絶縁性部材)4と、この円柱状セラミックス4の両端に対向配置され導電性被膜3に接触する一対の主放電電極部材5と、これら一対の主放電電極部材5を両端に配して、封止ガス6と共に封止する筒型セラミックス(絶縁性管)7とを備えている。
放電ギャップ2は、レーザカット、ダイシング、エッチングなどの加工によって0.01から1.5mmの幅で1から100本形成されるが、本実施形態では、150μmのものを1本形成している。
端子電極部材11は、Fe(鉄)、Ni(ニッケル)、及びCo(コバルト)の合金であるコバール(KOVAR:登録商標)で構成されており、酸化可能となっている。また、後述するロウ付け工程を行うことによって、一対の端子電極部材11の互いに対向する面を除く外表面に厚さ0.01μmの酸化膜11Aが形成されている。そして、一対の端子電極部材11の互いに対向する面には、ロウ材(接着剤)13が塗布されている。
なお、保持部16の高さhは、キャップ電極12の高さよりも低く形成されている。これにより、キャップ電極12の互いに対向する面が主放電面12Bとなる。
筒型セラミックス7は、例えばAl2O3(アルミナ)などの絶縁性セラミックス材料によって構成されており、断面長方形を有し、両端面外形が端子電極部材11の周縁部の外周寸法とほぼ一致している。
まず、一対の端子電極部材11及びキャップ電極12を所望の形状に加工し、キャップ電極12を円柱状セラミックス4の両端に係合させる。続いて、筒型セラミックス7の両端面に、ロウ材13とのぬれ性を向上させるために、例えば、モリブデン(Mo)−タングステン(W)層とNi層とを各1層ずつ備えるメタライズ層を形成する。
さらに、筒型セラミックス7の他方の端面にロウ材13が塗布されたもう一方の端子電極部材11を載置することで仮組みの状態とする。
このとき、溶融によりロウ材13の充填部15がキャップ電極12と端子電極部材11との間に存在する間隙14を埋める。また、ロウ材13の表面張力によって形成された保持部16が、キャップ電極12の両端部を埋め込むようにして保持する。さらに、端子電極部材11のロウ材13と接していない外表面と、キャップ電極12のロウ材13と接していない外表面とが、混合ガスのCO2によって酸化され、膜厚0.01μm以上の酸化膜11A、12Aが形成される。
その後、急速に冷却することで、サージアブソーバ1が製造される。
また、キャップ電極12に別途酸化処理を行う必要がなくなり、サージアブソーバ1の製造コストを削減できる。さらに、CO2の混合割合が混合ガスの60容積%であり、5容積%以上70容積%以下の範囲で混合することによって主放電面12Bにより確実に酸化膜12Aを形成することができる。さらに、高温領域で化学的安定性に優れる高価な金属をキャップ電極12として使用する必要がないため、キャップ電極12に安価な金属材料を用いることができる。また、ロウ材13が酸化されることや接着部位が酸化されることによってロウ材13自体の接着力やロウ材13と接着部位との接着性が劣化することを防止し、封止性を良好に維持することができる。
そして、別途ロウ材の流れ込みを防止するための加工を施すことなく、端子電極部材11の外表面に溶融したロウ材が流れ込むことを防止する。したがって、サージアブソーバ1の形状不良や寸法バラツキを抑制することができる。
第2の実施形態と第1の実施形態との異なる点は、第2の実施形態における電子部品20は、例えば半導体装置21をパッケージ22に収容した構成となっている。
底体26は、熱伝導性に優れた酸化可能な銅−タングステンからなる金属板によって構成されており、平面視矩形状を有している。そして、半導体装置21からの発熱を良好に拡散するように構成されている。また、底体26のロウ材27との非接触部分の表面には、酸化膜が形成されている。
枠体28は、アルミナなどの絶縁性セラミックス材料によって構成されており、底体26の周縁部上にロウ材27を介して配置されている。なお、枠体28の底体26と対向する下面には、ロウ材27とのぬれ性を向上させるために、例えば、モリブデン(Mo)−タングステン(W)層とNi層とを各1層ずつ備えるメタライズ層が形成されている。
蓋体29は、枠体28と同様に、アルミナなどの絶縁性セラミックス材料によって構成されており、枠体28の上面を覆うように接合されている。また、蓋体29の上面には、リードフレーム31が設けられている。このリードフレーム31は、パッケージ22に形成された図示しない溝に充填された導電性物質やパッケージ22の表面に形成された導電パターン、ボンディングワイヤなどによって半導体装置21の電極部と接続されている。
まず、底体26の上部にロウ材27を介して枠体28を載置する。そして、第1の実施形態と同様に、混合ガス雰囲気中で加熱処理するロウ付け工程を行う。これにより、底体26のロウ材27との非接触部分の表面に酸化膜が形成される。これにより、底体26がロウ材27に対してぬれにくくなり、底体26に設けられた半導体装置21の搭載予定部にロウ材27が流れ込むことを防止する。
その後、底体26の搭載予定部に半導体装置21を搭載し、リードフレーム31が設けられた蓋体29を枠体28の上面に配置することでパッケージ22内に半導体装置21を気密に封止する。以上のようにして、電子部品20が製造される。
まず、ArとCO2との混合割合を95容量%:5容量%、40容量%:60容量%、30容量%:70容量%とした混合ガス雰囲気中において加熱温度を780℃とし、ロウ材による封止が行われた後の加熱時間を0分、1分、5分、10分としたサージアブソーバをそれぞれ30個ずつ製造した。そして、これらの放電開始電圧の平均値及び放電開始電圧のバラツキを測定した結果を、表1に示す。
図4より、構成元素に酸素を含有するCO2を混合した混合ガス雰囲気中でロウ付けすることで、主放電面に酸化膜が形成され、サージアブソーバの長寿命化が図れることを確認した。
例えば、放電電極に用いる導電性物質は、Ag、Ag/Pd合金、SnO2、Al、Ni、Cu、Ti、TiN、TiC、Ta、W、SiC、BaAl、Nb、Si、C、Ag/Pt合金、ITO、Ruなどの導電性物質、もしくはこれらの混合物によって構成されてもよい。
また、端子電極部材は、Ag、Pt、Au、Pd、Sn、Niなどの導電性金属、もしくはこれらの混合物にガラス材料や樹脂材料などを加えたものによって構成されてもよい。
また、構成元素に酸素を含む気体は、二酸化炭素に限らず、酸素など構成元素に酸素を含むものであればよい。そして、上記実施形態では、二酸化炭素の含有割合を60容積%としているが、1容積%以上であればよく、5容積%以上70容積%以下であることが好ましい。
また、ロウ付け工程において構成元素に酸素を含む気体と混合される気体は、放電特性に応じて決定され、例えば、N2、Ne、He、Xe、Kr、H2、SF6、CF4、C2F6、C3F8及びこれらの混合ガスでもよい。
また、上記第1の実施形態では、ロウ材を用いて端子電極部材と筒型セラミックスとを接着しているが、ガラス材料を用いて接着してもよい。このようにしても上述と同様に、サージアブソーバの長寿命化が図れる。
そして、ロウ材は、銀及び銅を主成分とするものを用いたが、銀のみを主成分とするものを用いてもよく、銀、銅及びインジウムによって構成されたロウ材を用いてもよい。
2 放電ギャップ
3 導電性被膜
4 円柱状セラミックス(絶縁性部材)
5 主放電電極部材
6 封止ガス
7 筒型セラミックス(絶縁性管)
11A、12A 酸化膜
13、27 ロウ材(接着剤)
20 電子部品
26 底体(第1接合部材)
28 枠体(第2接合部材)
Claims (8)
- 放電ギャップを介して導電性被膜が分割形成された絶縁性部材と、該絶縁性部材を介して対向配置されて前記導電性被膜に接触し、構成元素に酸素を含む気体を少なくとも1容積%以上含むガス雰囲気中で加熱処理すると酸化する一対の主放電電極部材と、内部に前記絶縁性部材を封止ガスと共に封入する絶縁性管とを備えるサージアブソーバであって、
前記主放電電極部材と前記絶縁性管との間に前記ガス雰囲気中で加熱処理することで前記主放電電極部材と前記絶縁性管とを加熱接着する接着剤が介在し、前記主放電電極部材の前記接着剤との非接触部分に膜厚0.01μm以上の酸化膜が形成されていることを特徴とするサージアブソーバ。 - 前記接着剤が、銀あるいは銀及び銅を主成分とするロウ材であることを特徴とする請求項1に記載のサージアブソーバ。
- 放電ギャップを介して導電性被膜が分割形成された絶縁性部材を、それぞれ前記導電性被膜に接触するように前記絶縁性部材を介して対向配置された一対の導電性を有すると共に酸化可能である主放電電極部材と、絶縁体である絶縁性管とによって封止ガスと共に封止する封止工程を備え、
該封止工程が、前記主放電電極部材と前記絶縁性管との間に加熱接着する接着剤を介在させ、構成元素に酸素を含む気体を少なくとも1容積%以上含むガス雰囲気中で加熱処理して前記主放電電極部材と前記絶縁性管との接着を行うと共に、前記主放電電極のうち前記接着剤との非接触部分に膜厚0.01μm以上の酸化膜を形成することを特徴とするサージアブソーバの製造方法。 - 前記接着剤が、銀あるいは銀及び銅を主成分とするロウ材であることを特徴とする請求項3に記載のサージアブソーバの製造方法。
- 前記気体が、二酸化炭素であり、
前記ガス雰囲気中に5容積%以上70容積%以下の割合で混合されていることを特徴とする請求項3または4に記載のサージアブソーバの製造方法。 - 前記封止工程が、前記主放電電極部材と前記絶縁性管とで封止された前記気体の構成元素である酸素を、すべて前記主放電電極部材と反応させることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載のサージアブソーバの製造方法。
- 構成元素に酸素を含む気体を少なくとも1容積%以上含むガス雰囲気中で加熱すると酸化する第1接合部材と第2接合部材との間を銀あるいは銀及び銅を主成分とするロウ材で前記ガス雰囲気中で加熱処理することでロウ付けした電子部品であって、
前記第1接合部材の前記ロウ材との非接触部分に膜厚0.01μm以上の酸化膜が形成されていることを特徴とする電子部品。 - 構成元素に酸素を含む気体を少なくとも1容積%以上含むガス雰囲気中で加熱すると酸化する第1接合部材と第2接合部材との間に、銀あるいは銀及び銅を主成分とするロウ材を介在させ、構成元素に酸素を含む気体を少なくとも1容積%以上含むガス雰囲気中で加熱処理して前記第1接合部材と前記第2接合部材とを接着すると共に、前記第1接合部材のうち前記ロウ材との非接触部分に膜厚0.01μm以上の酸化膜を形成するロウ付け工程を備えることを特徴とする電子部品の製造方法。
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