JP2002293625A - アクチュエータ用圧電磁器及び積層型圧電アクチュエータ並びに噴射装置 - Google Patents

アクチュエータ用圧電磁器及び積層型圧電アクチュエータ並びに噴射装置

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JP2002293625A
JP2002293625A JP2001097425A JP2001097425A JP2002293625A JP 2002293625 A JP2002293625 A JP 2002293625A JP 2001097425 A JP2001097425 A JP 2001097425A JP 2001097425 A JP2001097425 A JP 2001097425A JP 2002293625 A JP2002293625 A JP 2002293625A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】キュリー温度が高く、しかも実効圧電歪定数が
大きいアクチュエータ用圧電磁器及び積層型圧電アクチ
ュエータ並びに噴射装置を提供する。 【解決手段】Pb、Zr及びTiを主成分とするペロブ
スカイト型複合酸化物であって、該ペロブスカイト型複
合酸化物のAサイトをCa、Sr及びBaのうち少なく
とも1種で8.0モル%以下置換するとともに、Bサイ
トを、Wと、Y、Dy、Ho、Er、Tm、Lu及びY
bのうち少なくとも1種で合計1.5〜4.5モル%置
換し、さらにA/Bサイト比が0.955〜0.995
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクチュエータ用
圧電磁器及び積層型圧電アクチュエータ並びに噴射装置
に関するもので、例えば、インクジェット用プリンター
ヘッド、積層型圧電アクチュエータ等に好適に用いられ
るアクチュエータ用圧電磁器及び積層型圧電アクチュエ
ータ並びに噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来から、圧電磁器を利用した製品として
は、例えばセラミックフィルタ、超音波応用振動子、圧
電ブザー、圧電点火ユニット、超音波モータ、圧電ファ
ン、圧電アクチュエータ、及び加速度センサ、ノッキン
グセンサ、AEセンサ等の圧電センサがある。
【0003】ここで、圧電アクチュエータとは、圧電体
が有する逆圧電効果を利用ものであり、従来より、圧電
セラミックスと内部電極とを交互積層し圧電縦効果を応
用した積層型圧電アクチュエータがある。
【0004】この積層型圧電アクチュエータの圧電磁器
としては、比較的大きな圧電歪定数を有するジルコン酸
チタン酸鉛(PZT)に、第三成分としてPb(Ni、
Nb)O3やPb(Mg、Nb)O3等を固溶させた系の
モルフォトロピック相境界(M.P.B.)近傍の組成
物が利用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般に
圧電磁器では、圧電歪定数が大きくなるとキュリー温度
が低くなる傾向があるため、高温用途においては、積層
型圧電アクチュエータを構成する圧電セラミックスにキ
ュリー温度の高いものを用い、積層数を増加させること
によって必要変位量を確保してきた。
【0006】しかしながら、安易に積層数によって変位
量を大きくすることは、信頼性の低下、及び製品コスト
の増加につながるといった問題があった。
【0007】また、荷重を加えない状態でかつ低電界領
域で積層型圧電アクチュエータを変位させた場合、レー
ザ変位計などで測定される実際の変位量は、共振・反共
振法より測定された圧電歪定数を用いて算出した変位量
と比較的正確に一致するが、圧縮荷重下で高電界を印加
させて積層型圧電アクチュエータを変位させた場合に
は、圧電歪だけでなく自発分極の反転に起因すると考え
られる歪も加わるため、圧電歪定数を用いて算出した変
位量よりも実際の変位量の方が大きくなる。
【0008】その為、積層型圧電アクチュエータを車載
用途の燃料噴射弁など、予め圧縮荷重を加えた状態で使
用する場合、共振・反共振法によって求められる圧電歪
定数では、圧電磁器の歪の指標として不充分であり、実
際の変位量から求められる実効的な圧電歪定数の大きさ
を歪の指標とする必要がある。
【0009】即ち、従来よりアクチュエータ材料として
用いられている前記のPZT系圧電磁器組成物では、共
振・反共振法から求めた圧電歪定数を共振圧電歪定数、
実際の変位量から計算される実効的な圧電歪定数を実効
圧電歪定数とした場合、圧電歪定数比(実効圧電歪定数
/共振圧電歪定数)は、1.5程度で通常の圧電材料が
有する一般的な圧電歪定数比と同程度であり、大きな実
効圧電歪定数を実現するために、材料のキュリー温度が
低くなるといった問題や、積層数が増加し製品コストが
高くなってしまったり、信頼性が低下するといった問題
があった。
【0010】それは、上述したように、一般に、圧電材
料のキュリー温度と圧電歪定数は負の相関関係があるた
め、圧電歪定数比が小さいと、キュリー温度が高い材料
では実効圧電歪定数も小さくなってしまうからである。
従って、高信頼性、低コスト及び高温での駆動が可能な
積層型圧電アクチュエータを実現するために、キュリー
温度が高く圧電歪定数比の大きな圧電磁器が切望されて
いた。
【0011】本発明は、キュリー温度が高く、しかも実
効圧電歪定数が大きいアクチュエータ用圧電磁器及び積
層型圧電アクチュエータ並びに噴射装置を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のアクチュエータ
用圧電磁器は、Pb、Zr及びTiを主成分とするペロ
ブスカイト型複合酸化物であって、該ペロブスカイト型
複合酸化物のAサイトをCa、Sr及びBaのうち少な
くとも1種で8.0モル%以下置換するとともに、Bサ
イトを、Wと、Y、Dy、Ho、Er、Tm、Lu及び
Ybのうち少なくとも1種で合計1.5〜4.5モル%
置換し、さらにA/Bサイト比が0.955〜0.99
5であることを特徴とする。
【0013】本発明のアクチュエータ用圧電磁器では、
キュリー温度を高くできるとともに、圧縮荷重下での実
効圧電歪定数を高くできる。
【0014】本発明では、一般式を、Pbx-aa(Yb
2/31/3y(Zr1-zTiz1-y 3と表したとき、前
記x、y、z、aが、0.955≦x≦0.995、
0.015≦y≦0.045、0.45≦z≦0.5
0、03≦a≦0.08、Mは、Ca、Sr及びBaの
うち少なくとも1種の関係を満足することが望ましい。
このような関係を満足することにより、本発明の圧電磁
器は特に優れたキュリー温度及び圧縮荷重下での実効圧
電歪定数を示すことができる。
【0015】また、本発明の積層型圧電アクチュエータ
は、圧電体と電極とを交互に積層してなるとともに、前
記圧電体が、上記アクチュエータ用圧電磁器からなるこ
とを特徴とする。このような積層型圧電アクチュエータ
では、キュリー温度が高く、実効圧電歪定数の大きな圧
電体により構成されているため、高温での使用が可能で
あり、圧電体の積層数を増加させることなく、大きな変
位量を得ることができる。
【0016】このような積層型圧電アクチュエータで
は、圧縮荷重下での実効圧電歪定数が、共振・反共振法
により求めた圧電歪定数の1.8倍以上であることが望
ましい。
【0017】本発明の噴射装置は、噴射孔を有する収納
容器と、該収納容器内に収容された上記積層型圧電アク
チュエータと、該積層型圧電アクチュエータの駆動によ
り前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備して
なるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明の積層型圧電アクチ
ュエータの縦断面図を示すもので、この積層型圧電アク
チュエータは、複数の圧電体1と複数の内部電極2とを
交互に積層してなる活性体3aと、この活性体3aの両
端面に形成された不活性体3bからなる柱状積層体3の
対向する側面において、内部電極2の端部に1層おきに
絶縁体4を形成し、絶縁体4を形成していない内部電極
2の端部を同一の外部電極5に接続して構成されてい
る。
【0019】活性体3aと不活性体3bは同時焼成され
て柱状積層体3が形成されており、活性体3aの圧電体
1と不活性体3bは、同一圧電セラミック材料から構成
されることが、焼成時における収縮差を小さくするとい
う点から望ましい。活性体3aは、変位を発生させる部
分であり、不活性体3bは、柱状積層体3を機械的に保
持し、発生する力を外部へ伝達する機能を有する。
【0020】内部電極2は、同時焼成時には柱状積層体
3の全ての側面に露出しているが、そのうち対向する側
面において、内部電極2端部を含む圧電体1の端部1層
おきに溝が形成され、該溝部にガラス、エポキシ樹脂、
ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーンゴ
ム等の絶縁体4が充填され、これにより、内部電極2の
一方の端部が絶縁されている。
【0021】なお、絶縁体4は低ヤング率の材質、例え
ばシリコーンゴム等が好ましい。このように、内部電極
2は互い違いに1層おきに絶縁され、絶縁されていない
内部電極2の他方の端面は、例えば、予め塗布しておい
た導電性耐熱接着剤5aに導電性部材5bを密着させた
状態で、導電性耐熱接着剤5aを加熱硬化させることに
より、外部電極5が形成されている。外部電極5の下側
端部にはリード線6が取り付けられている。
【0022】活性体3aの圧電体1の厚みは0.05〜
0.25mm、内部電極2の厚みは0.003〜0.0
1mm、不活性体3bの厚みは、それぞれ0.5〜3.
0mmとされ、圧電体1、内部電極2の積層数は、所望
の特性を得るためにそれぞれ100〜400層とされて
いる。
【0023】さらに、内部電極2間の沿面放電を防止
し、大きな電圧を印加するために、柱状積層体3の側面
がシリコーンゴムなどの伸縮性をもつ絶縁物からなる被
覆層(図示せず)で被覆されている。
【0024】内部電極2は、銀、または銀−パラジウム
あるいは、銀―白金を主成分として構成されている。
【0025】そして、本発明では、圧電体1が、Pb、
Zr及びTiを主成分とするペロブスカイト型複合酸化
物であって、該ペロブスカイト型複合酸化物のAサイト
をCa、Sr及びBaのうち少なくとも1種で8モル%
以下置換するとともに、Bサイトを、Wと、Y、Dy、
Ho、Er、Tm、Lu及びYbのうち少なくとも1種
で合計1.5〜4.5モル%置換し、さらにA/Bサイ
ト比が0.955〜0.995とされている。
【0026】即ち、本発明では、圧電体1が、一般式
を、 Pbx-aa(Yb2/31/3y(Zr1-zTiz1-y3 と表したとき、x、y、z、aが、0.955≦x≦
0.995、0.015≦y≦0.045、0.45≦
z≦0.50、0.03≦a≦0.08、Mは、Ca、
Sr及びBaのうち少なくとも1種の関係を満足するも
のである。
【0027】A/Bサイト比を示すxを0.955〜
0.995とした理由は、A/Bサイト比が0.955
未満のときは圧電歪定数が小さくなり、実効圧電歪定数
としても小さくなるからであり、また、A/Bサイト比
が0.995よりも大きくなると、実効圧電歪定数/共
振圧電歪定数比が小さくなるためである。A/Bサイト
比を示すxは、実効圧電歪定数を大きくし、実効圧電歪
定数/共振圧電歪定数比を大きくするという点から、
0.970〜0.990であることが望まししい。
【0028】ペロブスカイト型複合酸化物のAサイトの
Ca、Sr及びBaのうち少なくとも1種による置換量
を8モル%以下(a≦0.08)としたのは、Aサイト
のCa、Sr等による置換量が8モル%を越えると、キ
ュリー温度の低下が大きくなるからである。Aサイトの
Ca、Sr等による置換量は、高いキュリー温度を維持
するという点から、3〜8モル%が望ましく、特には、
4モル%が望ましい。
【0029】さらに、Bサイトの、Wと、Y、Dy、H
o、Er、Tm、Lu及びYbのうち少なくとも1種に
よる置換量は、1.5〜4.5モル%(0.015≦y
≦0.045)であることが必要である。置換量が1.
5モル%よりも小さい場合には、最適焼成温度が115
0℃より高くなり、例えば同時焼成型のアクチュエータ
を作製した場合に内部電極のコスト代が大きくなってし
まう。また、4.5mol%より置換量が多いときには
キュリー温度が低下するからである。Bサイトの、W
と、Y等による置換量は、焼成温度を低下し、内部電極
材料を安価にするという点から、1.5〜2.5モル%
であることが望ましい。
【0030】BサイトのY、Dy、Ho、Er、Tm、
Lu及びYbのうち少なくとも1種による置換は、実効
圧電歪定数の向上という点から、Yb、Yが望ましく、
特には、Ybが望ましい。
【0031】本発明では、特に、一般式、Pbx-a
a(Yb2/31/3y(Zr1-zTiz1 -y3と表したと
きに、xが0.970〜0.990、yが0.015〜
0.025、zが0.47〜0.48、aが0.03〜
0.08であり、MとしてはSrとBaであることが望
ましい。
【0032】本発明のアクチュエータ用圧電磁器は、ペ
ロブスカイト型結晶を主結晶相とするもので、異相は殆
ど存在しないことが望ましい。また、Ag、Al、F
e、S、Cl、Eu、K、P、Cu、Mg、Si等が不
可避不純物として混入する場合もあるが、特性上問題な
い。
【0033】このような積層型圧電アクチュエータで
は、圧電体のキュリー温度を高くできるとともに、圧縮
荷重下での実効圧電歪定数を高くできる。従って、圧電
体1のキュリー温度が高いため、高温において積層型圧
電アクチュエータを用いる場合でも、圧電体の積層数を
増加させることなく、大きな変位量を得ることができる
とともに、圧電体の圧縮荷重下での実効圧電歪定数が高
いため、大きな変位量を得ることができる。
【0034】このような積層型圧電アクチュエータで
は、圧電体の圧縮荷重下での実効圧電歪定数を、共振・
反共振法により求めた圧電歪定数の1.8倍以上とする
ことができる。
【0035】図2は、本発明の噴射装置を示すもので、
図において符号31は収納容器を示している。この収納
容器31の一端には噴射孔33が設けられ、また収納容
器31内には、噴射孔33を開閉することができるニー
ドルバルブ35が収容されている。
【0036】噴射孔33には燃料通路37が連通可能に
設けられ、この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結
され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給され
ている。従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開
放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が一定の
高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるよう
に形成されている。
【0037】また、ニードルバルブ35の上端部は直径
が大きくなっており、収納容器31に形成されたシリン
ダ39と摺動可能なピストン41を有している。そし
て、収納容器31内には、上記した圧電アクチュエータ
43が収納されている。
【0038】このような噴射装置では、圧電アクチュエ
ータ43が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41
が押圧され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞
し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止
されると圧電アクチュエータ43が収縮し、皿バネ45
がピストン41を押し返し、噴射孔33が燃料通路37
と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
【0039】
【実施例】原料粉末として高純度のPbO、ZrO2
TiO2、BaCO3、SrCo3、CaCO3、WO3
Yb23、Y23、Dy23、Ho23、Er23、T
23の各原料粉末を所定量秤量し、ボールミルで20
時間湿式混合した。次いで、この混合物を脱水、乾燥し
た後、900℃で3時間仮焼し当該仮焼物を再びボール
ミルで湿式粉砕し脱水、乾燥し、原料粉末を作製した。
【0040】この原料粉末に有機バインダー(PVA)
を混合し、造粒した。得られた粉末を1.5t/cm2
の圧力でプレス成形し円柱形状の成形体を得た。更に、
これらの成形体をMgO等からなる容器内に密閉し、大
気中1150℃で2時間の条件で焼成した。得られた焼
結体は、直径3.5mm厚み7mmの円柱形状となるよ
う加工し、磁器密度を測定した。
【0041】また、この円柱の両主面にAgペーストを
焼付けることにより電極を形成し、80℃のシリコンオ
イル中で2kV/mmの直流電圧を30分間印加して分
極処理した後、共振・反共振法による圧電歪定数d33
び比誘電率の温度特性からキュリー温度を求めた。
【0042】次に、上記原料粉末と、有機高分子からな
るバインダーと、可塑剤とを混合したスラリーを作製
し、スリップキャステイング法により、厚み150μm
のセラミックグリーンシートを作製した。
【0043】このグリーンシートの片面に銀−パラジウ
ムを主成分とし、Ag/Pd比が70/30の導電性ペ
ーストをスクリーン印刷法により5μmの厚みに印刷
し、導電性ペーストを乾燥させた後、導電性ペーストが
塗布された複数のグリーンシートを200枚積層し、こ
の積層体の積層方向の両端部に、導電性ペーストが塗布
されていないグリーンシートを10枚積層した。
【0044】次に、この積層体を100℃で加熱を行い
ながら加圧を行い、積層体を一体化し、12mm×12
mmの大きさに切断した後、800℃で10時間の脱バ
インダを行い、1100℃で5時間の本焼成を行った。
【0045】その後、焼結体の対向する側面において、
内部電極端部を含む圧電磁器の端部に該2側面において
互い違いになるように、1層おきに深さ100μm、積
層方向の幅50μmの溝を形成し、該溝にシリコーンゴ
ムを充填した。この後、焼結体の対向する側面に外部電
極を形成し、絶縁されていない内部電極の端部を外部電
極に接続した。
【0046】この後、正極用外部電極、負極用外部電極
にリード線を接続し、アクチュエータの外周面にデイッ
ピングにより、シリコーンゴムを被覆した後、1kVの
分極電圧を印加し、アクチュエータ全体を分極処理して
積層型圧電アクチュエータを得た。
【0047】得られた積層型圧電アクチュエータについ
て、応力40MPaに相当する圧縮荷重を積層方向に印
加し、電圧を0〜150Vの範囲で変化させることによ
ってレーザー変位計で変位を測定し、変位量を積層数及
び印加電圧で割ることによって実効圧電歪定数を算出
し、その結果を表1〜4に記載した。
【0048】尚、表1では、組成式を、Pbx-0.07Ba
0.04Sr0.03Yb0.020.01(Zr 0.52Ti0.480.97
3と固定し、A/Bサイト比を示すxを変化させたと
きの磁器密度、キュリー温度、圧電歪定数、実効圧電歪
定数、圧電歪定数比を求め、記載した。
【0049】また、表2では、組成式を、Pb0.97-a
a(Yb0.020.01)(Zr1-zTi z0.973と固定
し、Mとして元素を変化させ、またAサイトのMによる
置換量aとTi比zを変化させたときの磁器密度、キュ
リー温度、圧電歪定数、実効圧電歪定数、圧電歪定数比
を求め、記載した。
【0050】さらに、表3では、組成式を、Pb0.90
0.04Sr0.030.020.01(Zr 0.52Ti0.480.97
3と固定し、希土類元素Rの元素を変化させたときの
磁器密度、キュリー温度、圧電歪定数、実効圧電歪定
数、圧電歪定数比を求め、記載した。
【0051】さらに、表4では、組成式を、Pb0.0 9
0.04Sr0.03(Yb2/31/3y(Zr0.52
0.481-y3と固定し、Bサイトの(Yb2/31/3
による置換量を変化させたときの磁器密度、キュリー温
度、圧電歪定数、実効圧電歪定数、圧電歪定数比を求
め、記載した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】表1から、A/Bサイト比が0.955〜
0.995の範囲内である本発明では、キュリー温度が
290℃以上、圧電歪定数が305pC/N以上、実効
圧電歪定数が550pm/V以上、圧電歪定数比が1.
8以上であった。これに対して、A/Bサイト比が範囲
外の場合には、圧電歪定数、実効圧電歪定数が低いこと
が判る。
【0057】また、表2から、AサイトのCa等による
置換では、キュリー温度、圧電歪定数、実効圧電歪定
数、圧電歪定数比を総合すると、BaとSrによる置換
の場合が最も良好であることが判る。さらに、置換量に
ついては、Aサイトを8モル%以下置換することにより
高いキュリー温度を維持できるが、10モル%となる
と、急激にキュリー温度が低下することが判る。
【0058】さらに、表3から、希土類元素としてYb
を用いた場合に、圧電歪定数、実効圧電歪定数、圧電歪
定数比が最も高くなることが判る。
【0059】また、表4から、BサイトのYbとWによ
る置換量が0、1モル%の場合には焼結不良となり、5
モル%の場合には、キュリー温度、圧電歪定数、実効圧
電歪定数が低下することが判る。
【0060】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、P
b、Zr及びTiを主成分とするペロブスカイト型複合
酸化物であって、該ペロブスカイト型複合酸化物のAサ
イトをCa、Sr及びBaのうち少なくとも1種で8.
0モル%以下置換するとともに、Bサイトを、Wと、
Y、Dy、Ho、Er、Tm、Lu及びYbのうち少な
くとも1種で合計1.5〜4.5モル%置換し、さらに
A/Bサイト比が0.955〜0.995であるため、
キュリー温度を高くできるとともに、圧縮荷重下での実
効圧電歪定数を高くでき、高温での駆動が可能であり、
かつ圧縮荷重下において大きな変位量を有する積層型圧
電アクチュエータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電アクチュエータを示す斜視
図である。
【図2】本発明の噴射装置の説明図である。
【符号の説明】
1・・・圧電体 2・・・内部電極 31・・・収納容器 33・・・噴射孔 35・・・バルブ 43・・・圧電アクチュエータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/18 101J

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Pb、Zr及びTiを主成分とするペロブ
    スカイト型複合酸化物であって、該ペロブスカイト型複
    合酸化物のAサイトをCa、Sr及びBaのうち少なく
    とも1種で8.0モル%以下置換するとともに、Bサイ
    トを、Wと、Y、Dy、Ho、Er、Tm、Lu及びY
    bのうち少なくとも1種で合計1.5〜4.5モル%置
    換し、さらにA/Bサイト比が0.955〜0.995
    であることを特徴とするアクチュエータ用圧電磁器。
  2. 【請求項2】一般式を、 Pbx-aa(Yb2/31/3y(Zr1-zTiz1-y3 と表したとき、前記x、y、z、aが、 0.955≦x≦0.995 0.015≦y≦0.045 0.45≦z≦0.50 03≦a≦0.08 Mは、Ca、Sr及びBaのうち少なくとも1種の関係
    を満足することを特徴とする請求項1記載のアクチュエ
    ータ用圧電磁器。
  3. 【請求項3】圧電体と電極とを交互に積層してなるとと
    もに、前記圧電体が、請求項1又は2記載のアクチュエ
    ータ用圧電磁器からなることを特徴とする積層型圧電ア
    クチュエータ。
  4. 【請求項4】圧縮荷重下での実効圧電歪定数が、共振・
    反共振法により求めた圧電歪定数の1.8倍以上である
    ことを特徴とする請求項3記載の積層型圧電アクチュエ
    ータ。
  5. 【請求項5】噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内
    に収容された請求項3又は4記載の積層型圧電アクチュ
    エータと、該積層型圧電アクチュエータの駆動により前
    記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなる
    ことを特徴とする噴射装置。
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