JP4925516B2 - 積層型圧電アクチュエータ及び噴射装置 - Google Patents

積層型圧電アクチュエータ及び噴射装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型圧電素子及び噴射装置に関し、特に、内部電極を有する同時焼成型の積層型圧電アクチュエータ、圧電トランス、インクジェト用プリンターヘッド等に適する積層型圧電素子及び噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来から、内部電極を有する同時焼成型の積層型圧電素子としては、積層型圧電アクチュエータ、圧電トランス、インクジェト用プリンターヘッド等が知られている。
【0003】
同時焼成型の積層型圧電アクチュエータは、セラミックグリーンシートと内部電極パターンを交互に積層し、同時焼成し、これに外部電極を形成することによって作製され、圧電体が有する逆圧電効果を利用するものである。
【0004】
内部電極の金属成分としては、Ag、Pd、Ptなどを含むものが使用されており、金属成分の比率は、融点の低いAgにPdやPtなどの貴金属を導入し、同時焼成時に内部電極が溶融する温度を高温側にシフトさせ、凝縮による電極の形成不良を回避できるよう設定されている。
【0005】
通常、同時焼成型の積層型圧電アクチュエータでは、圧電磁器の焼結温度に合わせ、同時焼成の温度は1100℃以上となっている。そのため、内部電極を構成する金属成分中のAg含有率は、電極の形成不良が発生しないよう70重量%以下のものが使用されている。コスト低減の観点から、Agの比率は大きい方が有利であることから、特開平11−217263号公報では、1000℃以下の低温で焼成可能で、製造コストを低減できる圧電磁器材料が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−217263号などに示される圧電材料では、変位の目安となる圧電歪定数d33として400pm/V未満の値が記載されており、共振・反共振法により求めた圧電歪定数d33が小さく、従って発生する変位量が小さいという問題があった。
【0007】
また、圧電磁器を積層した積層型圧電アクチュエータの変位量は、通常、圧電セラミック層の積層数と圧電歪定数d33および印加電圧の積で表されるが、圧電歪定数d33は、大きな電圧依存性を有するため、通常の共振法・反共振法より求めた圧電歪定数では、高い電圧を印加して変位させる積層型圧電アクチュエータの変位の指標として用いるには不十分であり、高電界を印加した圧電磁器の歪み量を印加電界で割ることにより求めた実効的な圧電歪定数を変位の指標として用いた方が現実的である。
【0008】
上記した特開平11−217263号などに示される低温で焼成可能な従来材料では実効的な圧電歪定数が小さく、大きな変位が必要とされる用途では、所望の変位を確保するために多くの積層数を必要とし、コスト的に不利であった。
【0009】
本発明は、低温で内部電極と圧電磁器を同時焼成して作製できるとともに、実効的な圧電歪定数が大きく変位特性に優れた積層型圧電素子及び噴射装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型圧電アクチュエータは、圧電体と内部電極とを交互に積層してなり、前記圧電体と前記内部電極とを同時焼成してなる積層型圧電アクチュエータにおいて、前記内部電極中の全金属に対するAg含有量が90重量%以上であるとともに、前記圧電体が、一般式を、Pb1−a(Yb2/31/3(Zn1/3Nb2/3(Zr1−zTi1−x−yと表したとき、前記x、y、z、aが、
0.01≦x≦0.045
0.04≦y≦0.10
0.48≦z≦0.53
0.03≦a≦0.08
Mは、Ca、Sr及びBaのうち少なくとも1種の関係を満足することを特徴とする。これにより、焼成温度を1000℃以下とすることができ、全金属に対するAg含有量が90重量%以上である内部電極と、圧電体を同時焼成することができるとともに、特に優
れた実効的な圧電歪定数を実現できる。
【0014】
これにより、例えば、1000℃以下で内部電極と圧電体を同時焼成することができ、内部電極中のAg含有量を大きくすることができ、高価なPtやPdの使用量を低減でき、製品コストを低減した積層型圧電素子を得ることができるとともに、積層型圧電素子を構成する圧電磁器の実効的な圧電歪定数が大きいことにより、安易に積層数を増加することなく、優れた変位特性を有する積層型圧電素子を得ることができる。
【0015】
本発明の噴射装置は、噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内に収容された上記積層型圧電素子と、該積層型圧電素子の駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなるものである。
【0016】
上記したように、積層型圧電素子を低温で同時焼成して作製できるため、内部電極中におけるAg含有量を低減してコストを削減でき、また、変位特性に優れているため、低コストで噴射特性の優れた噴射装置を提供できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の積層型圧電素子である積層型圧電アクチュエータの斜視図を示すもので、この積層型圧電アクチュエータは、複数の圧電体1と複数の内部電極2とを交互に積層してなる活性体3aと、この活性体3aの両端面に形成された不活性体3bからなる柱状積層体3の対向する側面において、内部電極2の端部に1層おきに絶縁体4を形成し、絶縁体4を形成していない内部電極2の端部を同一の外部電極5に接続して構成されている。
【0018】
活性体3aと不活性体3bは同時焼成されて柱状積層体3が形成されており、活性体3aの圧電体1と不活性体3bは、同一圧電セラミック材料から構成されることが、焼成時における収縮差を小さくするという点から望ましい。活性体3aは、変位を発生させる部分であり、不活性体3bは、柱状積層体3を機械的に保持し、発生する力を外部へ伝達する機能を有する。
【0019】
内部電極2は、同時焼成時には柱状積層体3の全ての側面に露出しているが、そのうち対向する側面において、内部電極2端部を含む圧電体1の端部1層おきに溝が形成され、該溝にガラス、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーンゴム等の絶縁体4が充填され、これにより、内部電極2の一方の端部が絶縁されている。
【0020】
なお、絶縁体4は低ヤング率の材質、例えばシリコーンゴム等が好ましい。このように、内部電極2は互い違いに1層おきに絶縁され、絶縁されていない内部電極2の他方の端面は、例えば、予め塗布しておいた導電性耐熱接着剤5aに導電性部材5bを密着させた状態で、導電性耐熱接着剤5aを加熱硬化させることにより外部電極5が形成されている。外部電極5の下側端部にはリード線6が取り付けられている。
【0021】
活性体3aの圧電体1の厚みは0.05〜0.25mm、内部電極2の厚みは0.003〜0.01mm、不活性体3bの厚みは、それぞれ0.5〜3.0mmとされ、圧電体1、内部電極2の積層数は、所望の特性を得るためにそれぞれ100〜400層とされている。
【0022】
さらに、内部電極2間の沿面放電を防止し、大きな電圧を印加するために、柱状積層体3の側面がシリコーンゴムなどの伸縮性をもつ絶縁物からなる被覆層(図示せず)で被覆されている。
【0023】
内部電極2は、全金属に対するAg含有量が90重量%以上とされている。内部電極2は、Agと貴金属(Pd、Ptなど)とからなり、これらの全金属中に対するAg量が90重量%以上、言い換えれば、Pd、Ptなど貴金属の含有量が10重量%以下とされている。このように貴金属量を低減できるため、低コスト化を図ることができる。低コスト化という点から、金属材料としてはAgのみからなることが望ましい。尚、内部電極2中には、ガラスを含有していても良い。
【0024】
また、圧電体1は、Pb、Zr及びTiを主成分とするペロブスカイト型複合酸化物であって、該ペロブスカイト型複合酸化物のBサイトが、Wと、Znと、Nbと、Y、Dy、Ho、Er、Tm、Lu及びYbのうち少なくとも1種とで置換されていることが重要である。
【0025】
即ち、圧電体を構成するペロブスカイト型複合酸化物のBサイトの一部をWと、Y、Dy、Ho、Er、Tm、Lu及びYbのうち少なくとも1種によって置換することにより、実効的な圧電歪定数を大きくでき、さらにZnと、Nbとで置換することにより、実効的な圧電歪定数を大きく低下させることなく圧電体の焼成温度を低下させることができる。これにより、大きな実効圧電歪定数を有する圧電磁器を1000℃以下の焼成温度で得ることができ、全金属に対するAg含有量が90重量%以上である内部電極と、圧電体を同時焼成することが可能となる。このとき、BサイトのZnとNbによる置換量の合計が4モル%よりも小さい場合には、最適焼成温度が高くなる傾向があり、10モル%よりも多い場合にはキュリー温度が大きく低下してしまう傾向があるため、BサイトのZnとNbによる置換量の合計は4モル%〜10モル%であることが望ましい。
【0026】
圧電体は、一般式を、Pb1-aa(Yb2/31/3x(Zn1/3Nb2/3y(Zr1-zTiz1-x-y3と表したとき、x、y、z、aが、0.01≦x≦0.045、0.04≦y≦0.10、0.48≦z≦0.53、0.03≦a≦0.08、Mは、Ca、Sr及びBaのうち少なくとも1種の関係を満足することが望ましい。
【0027】
一般式において、AサイトのCa、Sr及びBaのうち少なくとも1種による置換量を示すaを0.03〜0.08としたのは、この範囲ならば、キュリー温度を高く維持でき、しかも実効的な圧電歪定数を大きくすることができるからである。一方、aが0.03よりも小さい場合には、実効的な圧電歪定数の向上効果が小さくなる傾向があり、0.08よりも大きい場合にキュリー温度が低下する傾向がある。aは、高いキュリー温度を維持し、実効的な圧電歪定数を大きくするという点から0.04〜0.07であることが特に望ましい。
【0028】
また、Aサイトの置換は、Ca、Sr、Baのうち、SrとBaの組合せが望ましい。
【0029】
さらに、Bサイトの、Wと、Y、Dy、Ho、Er、Tm、Lu及びYbのうち少なくとも1種による置換量を示すxは、0.01〜0.045であることが望ましい。これにより、高いキュリー温度を維持しつつ実効的な圧電歪定数を大きくすることができる。置換量xが、0.01よりも小さい場合には焼成温度が高くなる傾向があり、また、0.0045より置換量が多くなるキュリー温度が低下する傾向がある。
【0030】
BサイトのY、Dy、Ho、Er、Tm、Lu及びYbのうち少なくとも1種による置換は、実効的な圧電歪定数の向上という点から、Yb、Yが望ましく、特には、Ybが望ましい。
【0031】
また、Bサイトの一部を(Zn1/3Nb2/3)によって置換することにより焼成温度の低下に寄与できるが、その置換量yが0.04よりも小さい場合には、低温焼成化の効果が小さく、一方、yが0.1よりも大きい場合には、キュリー温度の低下しやすくなるため、yは、高いキュリー温度を維持しつつ焼成温度を低下させるという理由から、0.04〜0.10であることが望ましい。
【0032】
本発明では、Bサイトの(Zn1/3Nb2/3)と(R2/31/3)による置換による相互作用により、焼成温度を大幅に低下させることができる。ここでRは希土類元素である。
【0033】
TiによるZrへの置換量を示すzは、0.48≦z≦0.53の範囲内に実効的な圧電歪定数が非常に大きくなる組成領域が存在する。zが0.48よりも小さい場合あるいは、0.53よりも大きい場合には、実効的な圧電歪定数が低下する傾向がある。
【0034】
以上のように構成された同時焼成型の積層型圧電アクチュエータは、以下のプロセスにより製造される。先ず、原料粉末として高純度のPbO、ZrO2、TiO2、ZnO、Nb25、WO3、BaCO3、SrCO3、CaCO3およびYb23などの各原料粉末を所定量秤量し、ボールミル等で10〜24時間湿式混合し、次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、800〜900℃で1〜3時間仮焼し、当該仮焼物を再びボールミル等で粒度分布がD50で0.5±0.2μm、D90で0.8μm未満となるように湿式粉砕する。
【0035】
得られた粉砕原料と有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、スリップキャステイング法によりセラミックグリーンシートを作製する。
【0036】
このグリーンシートの片面にAg/Ptの比率が所定比率である導電性ペーストをスクリーン印刷法により印刷する。この導電性ペーストを乾燥させた後、導電性ペーストが塗布された複数のグリーンシートを所定の枚数だけ積層し、この積層体の積層方向の両端部に、導電性ペーストが塗布されていないグリーンシートを積層する。
【0037】
次に、この積層体を50〜200℃で加熱を行いながら加圧を行い、積層体を一体化する。一体化された積層体は所定の大きさに切断された後、400〜800℃で5〜40時間、脱バインダが行われ、950〜1000℃で2〜5時間で本焼成が行われ、アクチュエータ本体となる積層焼結体を得る。このアクチュエータ本体の側面には、内部電極の端部が露出している。
【0038】
その後、該アクチュエータ本体の2つの側面において、内部電極端部を含む圧電磁器の端部に該2側面において互い違いになるように、1層おきに深さ50〜150μm、積層方向の幅50〜100μmの溝を形成し、該溝にシリコーンゴム等の絶縁体を充填する。以上のように、内部電極は互い違いに1層おきに絶縁され、交互に同一の外部電極に接続される。
【0039】
この後、正極用外部電極、負極用外部電極にリード線を接続し、アクチュエータの外周面にデイッピング等の方法により、シリコーンゴムを被覆した後、3kV/mmの分極電界を印加して分極処理することで、最終的な積層型圧電アクチュエータを得る。
【0040】
なお、本発明の積層型圧電アクチュエータは、四角柱、六角柱、円柱等、どのような柱体であっても構わないが、切断の容易性から四角柱状が望ましい。
【0041】
本発明の積層型圧電素子を構成する圧電磁器は、ペロブスカイト型結晶を主結晶相とするもので、異相は殆ど存在しないことが望ましい。また、Ag、Al、Fe、S、Cl、Eu、K、P、Cu、Mg、Si等が不可避不純物として混入する場合もあるが、特性上問題ない。
【0042】
また、本発明の積層型圧電素子を構成する圧電磁器におけるペロブスカイト型結晶相のAサイトとBサイトの原子数比(A/B比)は、1.0に限定されるものでなく、A/B比が0.98〜1.02の範囲であれば特性調整の為に微調しても問題ない。
【0043】
図2は、本発明の噴射装置を示すもので、図において符号31は収納容器を示している。この収納容器31の一端には噴射孔33が設けられ、また収納容器31内には、噴射孔33を開閉することができるニードルバルブ35が収容されている。
【0044】
噴射孔33には燃料通路37が連通可能に設けられ、この燃料通路37は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路37に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ35が噴射孔33を開放すると、燃料通路37に供給されていた燃料が一定の高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるように形成されている。
【0045】
また、ニードルバルブ35の上端部は直径が大きくなっており、収納容器31に形成されたシリンダ39と摺動可能なピストン41を有している。そして、収納容器31内には、上記した圧電アクチュエータ43が収納されている。
【0046】
このような噴射装置では、圧電アクチュエータ43が電圧を印加されて伸長すると、ピストン41が押圧され、ニードルバルブ35が噴射孔33を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると圧電アクチュエータ43が収縮し、皿バネ45がピストン41を押し返し、噴射孔33が燃料通路37と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
【0047】
【実施例】
原料粉末として高純度のPbO、ZrO2、TiO2、ZnO、Nb25、WO3、BaCO3、SrCO3、CaCO3およびYb23などの各原料粉末を、表1〜4に示す組成となるように秤量し、ボールミルで20時間湿式混合した。次いで、この混合物を脱水、乾燥した後、850℃で3時間仮焼し当該仮焼物を再びボールミルで湿式粉砕した。
【0048】
得られた粉砕原料と、有機高分子からなるバインダーと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、スリップキャステイング法により、厚み150μmのセラミックグリーンシートを作製した。
【0049】
このグリーンシートの片面にAg−Ptを主成分とし、Ag/Pt比が表1〜4に示す割合の導電性ペーストを、スクリーン印刷法により5μmの厚みに印刷し、導電性ペーストを乾燥させた後、導電性ペーストが塗布された複数のグリーンシートを200枚積層し、この積層体の積層方向の両端部に、導電性ペーストが塗布されていないグリーンシートを10枚積層した。
【0050】
次に、この積層体を100℃で加熱を行いながら加圧を行い、積層体を一体化し、12mm×12mmの大きさに切断した後、800℃で10時間の脱バインダを行い、970〜1000℃で2時間本焼成を行ないアクチュエータ本体となる積層焼結体を得た。
【0051】
その後、該アクチュエータ本体の2つの側面において、内部電極端部を含む圧電磁器の端部に該2側面において互い違いになるように、1層おきに深さ100μm、積層方向の幅50μmの溝を形成し、該溝に絶縁体としてシリコーンゴムを充填した。
【0052】
この後、絶縁されていない内部電極の他方の端面に外部電極として熱硬化性導電体を帯状に形成し200℃の熱処理を行った。この後、正極用外部電極、負極用外部電極にリード線を接続し、アクチュエータの外周面にデイッピングにより、シリコーンゴムを被覆した後、3kV/mmの分極電圧を印加し、アクチュエータ全体を分極処理して本発明の積層型圧電アクチュエータを得た。
【0053】
得られた積層型圧電アクチュエータについて、電極形成状態の確認と実効的な圧電歪定数および磁器密度について評価を行った。実効的な圧電歪定数の評価は、防振台上に固定した積層体試料に対し積層方向に150kgfの予荷重を油圧ポンプにて加えた状態で、0〜200Vの電圧を印加し、その時の積層体試料全長の変化量を積層数と印加電圧で割ることにより算出した。また、相対密度は95%以上を良好とし、○を記載した。これらの結果を表1〜4に記載した。
【0054】
尚、表1では、組成式を、Pb0.93Ba0.04Sr0.03(R2/31/30.02(Zn1/3Nb2/30.06(Zr0.52Ti0.480.923と固定し、希土類元素を変化させたときの相対密度、実効圧電歪定数を求め、記載した。
【0055】
また、表2では、組成式を、Pb0.96Ba0.04(Yb2/31/3x(Zn1/3Nb2/30.06(Zr0.51Ti0.490.94-x3と固定し、xを変化させたときの相対密度、実効圧電歪定数、キュリー温度を求め、記載した。
【0056】
さらに、表3では、組成式を、Pb0.93Ba0.04Sr0.03(Yb2/31/30.015(Zn1/3Nb2/3y(Zr0.52Ti0.480.985-y3と固定し、yの値を変化させたときの相対密度、実効圧電歪定数、キュリー温度を求め、記載した。
【0057】
さらに、表4では、組成式を、Pb1-e-f-gBaeSrfCag(Yb2/31/30.02(Zn1/3Nb2/30.04(Zr1-ZTiz0.943と固定し、e、f、g、zを変化させたときの相対密度、実効圧電歪定数、キュリー温度を求め、記載した。
【0058】
【表1】
Figure 0004925516
【0059】
【表2】
Figure 0004925516
【0060】
【表3】
Figure 0004925516
【0061】
【表4】
Figure 0004925516
【0062】
表1から、希土類元素としてYb、Yを用いた場合に、圧電歪定数が最も高くなることが判る。また、表2から、(Yb2/31/3)の置換量xが増加するにつれてキュリー温度が低下し、xが0のときには1000℃の焼成では相対密度が低く、焼結不良が発生することが判る。
【0063】
さらに、表3から、(Zn1/3Nb2/3)の置換量yが増加するにつれ、圧電歪定数は増加していくが、キュリー温度が低下することが判る。また、表4から、AサイトのBa、Sr、Caによる置換量が増加するにつれて、圧電歪定数は増加していくが、キュリー温度が低下することが判る。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、圧電体が、Pb、Zr及びTiを主成分とするペロブスカイト型複合酸化物であって、該ペロブスカイト型複合酸化物のBサイトが、Wと、Znと、Nbと、Y、Dy、Ho、Er、Tm、Lu及びYbのうち少なくとも1種とで置換されているため、低温焼成できるとともに、実効的な圧電歪定数を大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電アクチュエータを示す斜視図である。
【図2】本発明の噴射装置の説明図である。
【符号の説明】
1・・・圧電体
2・・・内部電極
31・・・収納容器
33・・・噴射孔
35・・・バルブ
43・・・圧電アクチュエータ

Claims (2)

  1. 圧電体と内部電極とを交互に積層してなり、前記圧電体と前記内部電極とを同時焼成してなる積層型圧電アクチュエータにおいて、前記内部電極中の全金属に対するAg含有量が90重量%以上であるとともに、前記圧電体が、一般式を、Pb1−a(Yb2/31/3(Zn1/3Nb2/3(Zr1−zTi1−x−yと表したとき、前記x、y、z、aが、
    0.01≦x≦0.045
    0.04≦y≦0.10
    0.48≦z≦0.53
    0.03≦a≦0.08
    Mは、Ca、Sr及びBaのうち少なくとも1種の関係を満足することを特徴とする積層型圧電アクチュエータ。
  2. 噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内に収容された請求項1に記載の積層型圧電アクチュエータと、該積層型圧電アクチュエータの駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする噴射装置。
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