JP4683689B2 - 積層型圧電素子及び圧電アクチュエータ並びに噴射装置 - Google Patents

積層型圧電素子及び圧電アクチュエータ並びに噴射装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばセラミックフィルタ、インクジェットプリンタヘッド、圧電トランス、圧電アクチュエータ等に用いられる積層型圧電素子、及び圧電アクチュエータ並びに噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、インクジェットプリンタヘッドや車載用の燃料噴射弁等の高速連続駆動が要求される用途に対して圧電アクチュエータの応用が広がりつつある。この圧電アクチュエータは、圧電体に電圧を印して圧電体が歪む逆圧電効果を利用するものであり、圧電歪定数の大きな圧電磁器が要求されている。
【0003】
圧電アクチュエータの静電容量はキュリー温度付近で爆発的に増大し、その結果、駆動時の応答速度が低下する。特に、燃料噴射弁に圧電アクチュエータを使用する場合、高い雰囲気温度に加えて、連続駆動による自己発熱が加わり、アクチュエータが200℃程度の高温に曝される危険性があり、キュリー温度付近の急激な静電容量の上昇を避ける為に、圧電磁器はこれまで以上に高いキュリー温度が求められている。
【0004】
さらに、圧電アクチュエータの小型化、低電圧駆動を可能ならしめるためには、薄層磁器と内部電極との同時焼成をすることが容易に考えられるが、焼成温度を1000℃以下に低下させることによって、鉛の飛散を抑え、特性の安定化を図ることができる。また、1000℃以下の焼成温度にすると鉛の大気中への飛散が大幅に削減でき、環境汚染の観点でも好ましい。しかし、1000℃以下で焼成すると、磁器の緻密化が十分進まず、圧電特性が低下するという問題があった。
【0005】
同時焼成型の積層圧電アクチュエータは、グリーンシートと内部電極を交互に積層し、一体焼成および電気的配線を行うことによって作製され、圧電現象を介して発生する変位量を利用するものである。内部電極には、金属成分としてAg、Pd、Ptなどが含まれるものが使用されており、金属成分の比率は、融点の低いAgにPdやPtなどの貴金属を導入し、一体焼成時に内部電極が溶融する温度を高温側にシフトさせ、溶融、凝縮による電極の形成不良を回避できるよう金属成分比が設定されている。
【0006】
通常、同時焼成型の積層圧電アクチュエータでは、圧電特性を考慮し、圧電磁器の焼結温度に合わせ、同時焼成の温度は1100℃以上となっている。そのため、内部電極としてAg/貴金属(PdもしくはPt)の比率は、電極の形成不良が発生しないよう、金属成分中のAg量は70重量%以下のものが使用されているが、コスト低減の観点から、Agの比率は大きい方が有利であることから、1000℃以下の低温で焼成が可能で、製造コストを低減できる圧電磁器材料が要望されていた。そこで、キュリー温度を高く維持するとともに、圧電歪定数を大きくするために、従来からPb(Zr,Ti)O3(PZT、ジルコン酸チタン酸鉛)にキュリー温度が140℃と比較的高い複合ペロブスカイト化合物Pb(Zn1/3Nb2/3)O3を固溶させることによって優れた圧電特性と高いキュリー温度とを有する圧電材料が開示されている。例えば、PbZrO3−PbTiO3(ジルコン酸チタン酸鉛)に複合ペロブスカイト化合物Pb(Zn1/3Nb2/3)を固溶させ、Pbサイトの一部をLa等の希土類元素やアルカリ土類元素で置換することによって200℃程度の比較的高いキュリー温度と大きな圧電歪定数を合わせ持つ組成物が開示されている(特開平6−24841号公報)。一方、焼結温度を低下させた材料として、Pb(Zr,Ti)O3−Pb(Mn1/3Sb2/3)O3−Pb(Zn1/3Nb2/3)O3系圧電磁器材料が、特開平9−194258号公報に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−24841号公報で開示されているPb(Zn1/3Nb2/3)O3を固溶させたジルコン酸チタン酸鉛では、大きな圧電歪定数を有しているがキュリー温度は、最大210℃と燃料噴射弁用の圧電アクチュエータとしては不十分あった。また、この公報に開示された圧電材料は焼成温度が1100〜1300℃程度であり、内部電極中のAgの比率が小さくなり、製造コストが高くなり、また逆に、このような焼成温度を有する圧電材料に対してAg比率を高くすると、先に述べたように、内部電極が焼成の昇温過程で溶融し、降温過程で凝縮することによって電極の形成不良が発生してしまうといった問題があった。
【0008】
また、特開平9−194258号公報の圧電磁器材料は、1000℃以下での低温焼成を可能とした上で、キュリー温度も最大300℃程度と非常に高い値を有しているが、室温における誘電率が最大1700程度であるため、明確な記載はないが圧電歪定数が小さくなり、大きな歪が必要なアクチュエータ用材料には不向きであった。
【0009】
このように、圧電歪定数の大きな材料は、キュリー温度が大きく低下してしまう傾向があり、そのため使用雰囲気が高温となった場合、誘電率が激増し、応答性が極端に悪化して実用上問題となり、低温焼成の可能な組成で、かつ高い圧電歪み定数とキュリー温度を実現した圧電磁器を実現することは困難であった。
【0010】
本発明では、1000℃以下で低温焼成したとしても圧電特性が良好で、かつ安価に製造できる積層型圧電素子及び圧電アクチュエータ並びに噴射装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層型圧電素子は、圧電磁器と電極を交互に積層してなる積層型圧電素子であって、前記電極におけるAg量が金属成分中90重量%以上であるとともに、前記圧電磁器が、全体組成として、Pb a−x Ba (Yb 1/2 Nb 1/2 (Zn 1/3 Nb 2/3 (Co 1/3 Nb 2/3 Nb (Zr Ti 1−e 1−b−c−d−y で表わした時、前記a、b、c、d、e、xおよびyが、0.995≦a≦1.005、0.03≦b≦0.08、0.03≦c≦0.09、0.03≦d≦0.06、0.10≦b+c+d+y≦0.2、0.45≦e≦0.5、x≦0.08、y≦0.01を満足し、または、全体組成として、Pb a−x Ba (Yb 1/2 Nb 1/2 (Zn 1/3 Nb 2/3 (Co 1/3 Nb 2/3 (Fe 2/3 1/3 Nb (Zr Ti 1−f 1−b−c−d−e−y で表わした時、前記a、b、c、d、e、f、xおよびyが、0.995≦a≦1.005、0.04≦b≦0.06、0.03≦c≦0.10、0.03≦d≦0.06、0<e≦0.03、0.10≦b+c+d+e+y≦0.2、0.45≦f≦0.5、0≦x≦0.08、y≦0.01を満足し、前記積層型圧電素子は、1000℃以下の温度で焼成して成り、圧電歪定数d 33 が600pm/V以上、キュリー温度Tcが250℃以上であるものである。
【0018】
本発明の圧電アクチュエータは、上記した積層型圧電素子と、電極を交互に接続する一対の外部電極とを具備してなるものである。このような圧電アクチュエータでは、低温焼成できるため、Ag比率の高い電極を用いることができ、安価に製造できるとともに、圧電歪み定数やキュリー温度を高くでき、安定した高い特性を得ることができる。
【0019】
また、本発明の噴射装置は、噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内に収容された上記した圧電アクチュエータと、該圧電アクチュエータの駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の圧電アクチュエータは、図1に示すように、圧電磁器1と電極3a、3bを交互に積層して積層型圧電素子5が形成されており、この積層型圧電素子5の外面には、電極3a、3bを交互に接続する一対の外部電極7a、7bが形成されている。外部電極7a、7bと接続されない電極3b、3aの端部には凹溝が形成されており、この凹溝内に絶縁体8を充填することにより、外部電極7a、7bと電極3b、3aとが絶縁されている。外部電極7a、7bにはそれぞれリード端子9が接続されている。
【0021】
そして、本発明では、電極3a、3bの金属成分中、Agを90重量%以上含有するものであり、このようにAgを90重量%以上含有しているため、積層型圧電素子5自体は1000℃以下で焼成されている。また、圧電磁器1は、ペロブスカイト型酸化物を主成分とし、Aサイト構成元素としてPbを含有し、かつ、Bサイト構成元素として、Zr、Ti、Yb、Nb、Coと、Zn及び/又はSbを含有するものである。
【0022】
具体的には、圧電磁器1は、Pb(Zr,Ti)O からなる主成分に対して、副成分としてPb(Yb1/2Nb1/2)Oと、Pb(Co1/3Nb2/3)Oと、Pb(Zn1/3Nb2/3)O及び/又はPb(Zn1/3Sb2/3)Oとを固溶してなるものである。
【0023】
ペロブスカイト型酸化物で広く用いられているPb(Zr,Ti)O3(以下、PZTと記する場合もある)を主成分とし、副成分として、Pb(Yb1/2Nb1/2)O3およびPb(Co1/3Nb2/3)O3を固溶させることにより、圧電歪み定数d33を高めることができ、しかもキュリー温度を高く維持することができる。また、併せてPb(Zn1/3Nb2/3)O3、Pb(Zn1/3Sb2/3)O3の少なくとも1種を固溶させることにより、1000℃以下の温度で焼成が可能となる。副成分を個々に添加しても、キュリー温度、圧電歪み定数d33および焼成温度を十分に改善できないが、上記のように、Pb(Zr,Ti)O3に少なくとも特定の3種のペロブスカイト型酸化物を固溶させることにより、これらの特性を同時に改善することができる。なお、Pb(Zr,Ti)O3は、PbZrO3とPbTiO3との固溶体であり、Pb(Yb1/2Nb1/2)O3および(Co1/3Nb2/3)O3で置換するとともに、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3及び/又はPb(Zn1/3Sb2/3)O3で置換することで、高いキュリー温度で、大きな圧電歪定数を有し、低温焼成を実現できる。
【0024】
特に、上記副成分の含有量は全量中10〜20モル%であることが望ましい。これは、この範囲ならば、圧電歪定数d33を著しく向上できるとともに、キュリー温度を高く維持できるからである。逆に、副成分の含有量が全量中10モル%未満では、圧電歪定数d33向上の効果が顕著ではなく、20モル%より多いとPZTの割合が少なくなり、PZT自体の有する高いキュリー温度が低下してしまうおそれがあるからである。副成分の含有量は、高いキュリー温度と大きな圧電歪定数を同時に達成するという点から、全量中15〜20モル%であることが特に望ましい。
【0025】
圧電磁器1は、全量中、Pb(Yb1/2Nb1/2)O3を3〜8モル%、Pb(Co1/3Nb2/3)O3を3〜6モル%、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3及び/又はPb(Zn1/3Sb2/3)O3を3〜9モル%が含有することが好適である。
【0026】
さらに、本発明では、圧電磁器1を構成するペロブスカイト型酸化物のAサイト構成元素として、さらにアルカリ土類元素及び/又は希土類元素を含み、アルカリ土類元素及び/又は希土類元素をAサイト中8モル%以下で含有することが望ましい。
【0027】
アルカリ土類元素としてはCa、Sr、Ba等があり、希土類元素としては、Y、La、Ce、Nd、Sm、Er、Yb、Lu等があるが、このうちでも、AサイトのPbの一部を置換する元素としては、特にはBaが望ましい。
【0028】
また、アルカリ土類元素及び/又は希土類元素をAサイト中8モル%以下で含有することが望ましい。これは、圧電磁器の圧電歪定数を高めることができるからである。即ち、圧電歪抵抗d33は、電気機械結合係数K33と誘電率ε33およびコンプライアンスS33により、d33=K33(ε33・S331/2と表されるため、Aサイト中にアルカリ土類元素及び/又は希土類元素を含有させると、誘電率ε33を高める効果が大きいため、その結果圧電歪定数d33を大きくすることができるからである。一方で、Aサイト中にアルカリ土類元素及び/又は希土類元素量が、8モル%をえる割合で含有させるとキュリー温度の低下が大きくなり、望ましくない。
【0029】
圧電歪定数d33を向上し、キュリー温度の低下を防止するという点から、アルカリ土類元素及び/又は希土類元素は、Aサイト中4モル%以下で含有することが望ましい。
【0030】
さらにまた、PZTのBサイトの一部をNbで1モル%以下置換すると、電気機械結合係数K33を大きくし、その結果圧電歪定数d33を大きくすることができるため望ましい。しかし、Bサイト中のNb置換量が1モル%をえる割合で含有させるとその効果が低下し、電気機械結合係数K33が低下する傾向にある。
【0031】
副成分であるPb(Zn1/3Nb2/3)O3および/またはPb(Zn1/3Sb2/3)O3の少なくとも一部をPb(Zn1/21/2)O3や、Pb(Fe2/31/3)O3で置換すると、焼成温度を低下させる効果が著しくなるため望ましい。
【0032】
本発明では、特に、圧電磁器が、Pb(Zr,Ti)O3からなる主成分に対して、副成分としてPb(Yb1/2Nb1/2)O3と、Pb(Co1/3Nb2/3)O3と、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3と、Pb(Fe2/31/3)O3とを固溶してなるとともに、AサイトのPbの一部をアルカリ土類元素で8モル%以下置換し、かつ、Bサイトの一部をNbで1モル%以下置換することが望ましい。尚、副成分についてはPb(Yb1/2Nb1/2)O3、Pb(Co1/3Nb2/3)O3、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3、Pb(Zn1/3Sb2/3)O3、Pb(Fe1/31/2)O3以外のPb系ペロブスカイト型複合酸化物を固溶しても良いが、その量は6モル%以下であれば特に問題はない。
【0033】
特に、本発明の圧電磁器は以下のような組成の場合に、1000℃以下の低い焼成温度が可能となり、かつキュリー温度と圧電歪定数を顕著に高めることができる。
・全体組成として、Pba-xBax(Yb1/2Nb1/2b(Zn1/3Nb2/3c(Co1/3Nb2/3dNby(ZreTi1-e1-b-c-d-y3で表わした時、前記a、b、c、d、e、xおよびyが、0.995≦a≦1.005、0.03≦b≦0.08、0.03≦c≦0.09、0.03≦d≦0.06、0.10≦b+c+d+y≦0.2、0.45≦e≦0.5、x≦0.08、y≦0.01を満足する場合。
・全体組成として、Pba-xBax(Yb1/2Nb1/2b(Zn1/3Nb2/3c(Co1/3Nb2/3d(Fe2/31/3eNby(ZrfTi1-f1-b-c-d-e-y3で表わした時、前記a、b、c、d、e、f、xおよびyが、0.995≦a≦1.005、0.04≦b≦0.06、0.03≦c≦0.10、0.03≦d≦0.06、0<e≦0.03、0.10≦b+c+d+e+y≦0.2、0.45≦f≦0.5、0≦x≦0.08、y≦0.01を満足する場合。
【0034】
本発明の積層型圧電素子では、圧電磁器における径方向の電気機械結合係数Krも大きくすることができるため、フィルターや圧電ブザーなどにも使用することができる。なお、本発明における圧電組成物はABO3で表わされるペロブスカイト型結晶を主結晶相とするものであるが、粒界に他の結晶相としてパイロクロア相等が少々存在していてもよい。また、Al、S、Cl、Eu、Y、K、P、Cu、Mg、Si等が不可避不純物として混入する場合もあるが、特性上は何ら問題はない。
【0035】
図2は、本発明の噴射装置を示すもので、図において符号51は収納容器を示している。この収納容器51の一端には噴射孔53が設けられ、また収納容器51内には、噴射孔53を開閉することができるニードルバルブ55が収容されている。
【0036】
噴射孔53には燃料通路57が連通可能に設けられ、この燃料通路57は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路57に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ55が噴射孔53を開放すると、燃料通路57に供給されていた燃料が一定の高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるように形成されている。
【0037】
また、ニードルバルブ55の上端部は直径が大きくなっており、収納容器51に形成されたシリンダ59と摺動可能なピストン61となっている。そして、収納容器51内には、上記した圧電アクチュエータ63が収納されている。
【0038】
このような噴射装置では、圧電アクチュエータ63が電圧を印加されて伸長すると、ピストン61が押圧され、ニードルバルブ55が噴射孔53を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると圧電アクチュエータ63が収縮し、バネ65がピストン61を押し返し、噴射孔53が燃料通路57と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
【0039】
【実施例】
実施例1
原料粉末として高純度のPb34、ZrO2、TiO2、BaCO3、ZnO、Nb25、Yb23およびCo34の各原料粉末を、焼結体が、Pba-xBax(Yb1/2Nb1/2b(Zn1/3Nb2/3c(Co1/3Nb2/3dNby(ZreTi1-e1-b-c-d-y3で表わされる組成となるように(表1では、x、y、a、b、c、dおよびeは、上記組成式で与えられる原子比を百分率換算したものである)、所定量秤量し、ボールミル等で18時間湿式で混合し、次いで、この混合物を脱水、乾燥した後で、700〜900℃で2時間仮焼し、当該仮焼物を再びボールミル等で湿式粉砕する。
【0040】
その後、この粉砕物に有機バインダーと、可塑剤とを混合し、スラリーを作製し、スリップキャスティング法により、厚み150μmのグリーンシートを作製した。このグリーンシート上に、Agが90重量%、Pdが10重量%の比率からなる導電性ペーストを5μmの厚みにスクリーン印刷し、乾燥させた後、電極膜が形成されたグリーンシートを200枚積層し、この積層体の積層方向の両端部に、導電性ペーストが塗布されていないグリーンシートを10枚積層した。
【0041】
次に、この積層体を100℃で加熱を行いながら加圧を行い、積層体を一体化し、縦10mm×横10mmに切断した後、800℃で10時間の脱バインダを行い、表1に示す温度で焼成し、積層型圧電素子を作製した。その後、積層型圧電素子の2つの側面において、電極端部を含む圧電磁器の端部に該2側面において互い違いになるように、1層おきに深さ100μm、積層方向の幅50μmの溝を形成し、該溝部に絶縁体としてシリコーンゴムを充填した。
【0042】
この後、絶縁されていない電極の他方の端面に外部電極として熱硬化性導電体を帯状に形成し、200℃の熱処理を行った。この後、正極用外部電極、負極用外部電極にリード線を接続し、アクチュエータの外周面にデイッピングにより、シリコーンゴムを被覆した後、1kVの分極電圧を印加し、アクチュエータ全体を分極処理して、図1に示すような本発明の圧電アクチュエータを得た。
【0043】
得られた圧電アクチュエータについて、0〜200Vの電圧を印加した時の変位量を測定するとともに、圧電歪定数d33およびキュリー温度を測定した。変位量の測定は、上面にアルミニウム箔を張り付けた試料を防振台上に固定し、0〜200Vの電圧を試料に印加し、レーザー変位計により、素子の中心部及び周囲部3箇所で測定した値の平均値で評価した。圧電歪定数d33は、積層数n=200と、変位量ΔLおよび印加電圧V=200Vを用い、d33=ΔL/(n×V)の式にて求めた。キュリー温度(Tc)の算出は、静電容量の温度依存性をマルチメーターで測定し、最大値を示す温度をキュリー温度とした。また、密度については、アクチュエータの不活性部分を切り出してアルキメデス法により測定した。その結果を表1に記載した。
【0044】
【表1】
Figure 0004683689
【0045】
通常、純粋なPZTは、1000℃の焼成温度では、相対密度が75%程度となり、使用できるものは得られない。しかし、本発明の圧電アクチュエータは1000℃以下の焼成温度にもかかわらず、すべて98%以上の相対密度を有しており、緻密であった。また、本発明の試料No.1〜21、26および27は、いずれも焼成温度1000℃以下で緻密な焼結体が得られ、d33が600pm/V以上、Tcが250℃以上と大きな値が得られた。一方、(Yb1/2Nb1/2)が置換されていない試料No.22はd33が850pm/V程度と高いものの、Tcが200℃と低かった。また、(Co1/3Nb2/3)と(Zn1/3Nb2/3)で置換されていない試料No.23、(Co1/3Nb2/3)で置換されていない試料No.24、および(Zn1/3Nb2/3)で置換されていない試料No.25はいずれも、d33が600pm/V未満と小さく、変位量も小さかった。
【0046】
実施例2
圧電磁器が、Pba-xSrx(Yb1/2Nb1/2b(Zn1/3Sb2/3c(Co1/3Nb2/3dNby(ZreTi1-e1-b-c-d-y3で表わした組成式になるように、実施例1と同様に試料を作製した。ただし、BaCO3の代わりにSrCO3を用い、またSb23を新規に加えて原料を作製し、Pbの一部をSrで置換した試料を作製した。測定法も実施例1と同様に行った。これらの結果を表2に示した。なお、表2中のx,y,a,b,c,dおよびeは、Pba-xSrx(Yb1/2Nb1/2b(Zn1/3Nb2/3c(Co1/3Nb2/3dNby(ZreTi1-e1-b-c-d-y3で表わした組成式で与えられる原子比を百分率換算したものである。
【0047】
【表2】
Figure 0004683689
【0048】
SrをAサイトに置換した本発明の試料No.28〜33は、いずれもd33が640pm/V以上、Tcが250℃以上と大きく、変位量も26μm以上と大きかった。
【0049】
実施例3
圧電磁器が、Pba-xLax(Yb1/2Nb1/2b(Zn1/3Nb2/3c(Co1/3Nb2/3d(Fe2/31/3fNby(ZreTi1-e1-b-c-d-f-y3で表わした組成式になるように、実施例1と同様に試料を作製した。ただし、BaCO3の代わりにLa23を用い、新たにFe23とWO3を加えて試料を作製した。測定法も実施例1と同様に行った。これらの結果を表3に示した。
【0050】
【表3】
Figure 0004683689
【0051】
本発明の試料No.34、35では、いずれもd33が780pm/V以上、Tcが250℃以上と大きく、変位量も31μm以上と大きかった。
【0052】
実施例4
圧電磁器が、Pba-xBax(Yb1/2Nb1/2b(Zn1/3Nb2/3c(Co1/3Nb2/3d(Fe2/31/3eNby(ZrfTi1-f1-b-c-d-e-y3で表わした組成式になるように、実施例1と同様に試料を作製した。測定法も実施例1と同様に行った。これらの結果を表4に示した。ここで、電極としては、焼成温度が950℃では金属成分としてAgのみを用い、975℃では金属成分中のAg含有量が97重量%のものも用い、1000℃では金属成分中のAg含有量が90重量%のものも用いた。
【0053】
【表4】
Figure 0004683689
【0054】
本発明の試料では、いずれもd33が700pm/V以上、Tcが295℃以上、変位量が28μm以上と大きな値が得られた。
【0055】
【発明の効果】
本発明の積層型圧電素子では、圧電磁器がペロブスカイト型酸化物を主成分とし、Aサイト構成元素としてPbを含有し、かつ、Bサイト構成元素として、Zr、Ti、Yb、Nb、Coと、Zn及び/又はSbを含有することにより、圧電磁器を低温で焼成できるとともに、低温で焼成したとしても、圧電歪み定数やキュリー温度等の特性を劣化させることがなく、しかも低温焼成できるため、電極としてAgを90重量%以上含有したものを使用することができ、安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型圧電素子を用いた圧電アクチュエータを示す断面図である。
【図2】本発明の噴射装置を示す概念図である。
【符号の説明】
1・・・圧電磁器
3a、3b・・・電極
5・・・積層型圧電素子
7a、7b・・・外部電極
51・・・収納容器
53・・・噴射孔
55・・・バルブ
63・・・圧電アクチュエータ

Claims (3)

  1. 圧電磁器と電極を交互に積層してなる積層型圧電素子であって、前記電極におけるAg量が金属成分中90重量%以上であるとともに、前記圧電磁器が
    全体組成として、Pb a−x Ba (Yb 1/2 Nb 1/2 (Zn 1/3 Nb 2/3 (Co 1/3 Nb 2/3 Nb (Zr Ti 1−e 1−b−c−d−y で表わした時、前記a、b、c、d、e、xおよびyが、
    0.995≦a≦1.005、
    0.03≦b≦0.08、
    0.03≦c≦0.09、
    0.03≦d≦0.06、
    0.10≦b+c+d+y≦0.2、
    0.45≦e≦0.5、
    x≦0.08、y≦0.01
    を満足し、または、
    全体組成として、Pb a−x Ba (Yb 1/2 Nb 1/2 (Zn 1/3 Nb 2/3 (Co 1/3 Nb 2/3 (Fe 2/3 1/3 Nb (Zr Ti 1−f 1−b−c−d−e−y で表わした時、前記a、b、c、d、e、f、xおよびyが、
    0.995≦a≦1.005、
    0.04≦b≦0.06、
    0.03≦c≦0.10、
    0.03≦d≦0.06、
    0<e≦0.03、
    0.10≦b+c+d+e+y≦0.2、
    0.45≦f≦0.5、
    0≦x≦0.08、y≦0.01
    を満足し、
    前記積層型圧電素子は、1000℃以下の温度で焼成して成り、圧電歪定数d 33 が600pm/V以上、キュリー温度Tcが250℃以上であることを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 請求項1に記載の積層型圧電素子と、電極を交互に接続する一対の外部電極とを具備してなることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  3. 噴射孔を有する収納容器と、該収納容器内に収容された請求項2に記載の圧電アクチュエータと、該圧電アクチュエータの駆動により前記噴射孔から液体を噴出させるバルブとを具備してなることを特徴とする噴射装置。
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