JP2000169223A - 圧電磁器組成物及びその製造方法 - Google Patents

圧電磁器組成物及びその製造方法

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JP2000169223A
JP2000169223A JP10339307A JP33930798A JP2000169223A JP 2000169223 A JP2000169223 A JP 2000169223A JP 10339307 A JP10339307 A JP 10339307A JP 33930798 A JP33930798 A JP 33930798A JP 2000169223 A JP2000169223 A JP 2000169223A
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Keisuke Ito
恵介 伊藤
Kenji Murakami
健司 村上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた電気機械結合係数や比誘電率を大きく劣
化させることなく、低温での焼成が可能なPbZrO3
−PbTiO3 −Pb(Sn1/3 Sb2/3 )O3 を主
体とする圧電磁器組成物とその製造方法を提供する。 【解決手段】予め用意したPbZrO3 −PbTiO3
−Pb(Sn1/3 Sb2/3 )O3 を主体とする仮焼粉
に対し、Bi2 3 及びFe2 3 の粉体を添加する
か、あるいはBaCO3 、CuO及びWO3 の粉体を添
加したものを所定形状に成形し、これらの成形体を10
00〜1100℃の温度で焼成して、PbZrO3 −P
bTiO3 −Pb(Sn1/3 Sb2/3 )O3 を主体と
し、Bi及びFeの元素をBiFeO3 に換算して10
重量%未満の範囲で含有するか、あるいはBa、Cu及
びWの元素をBa(Cu1/2 1/2 )O3 に換算して
8重量%未満の範囲で含有してなる圧電磁器組成物を製
作する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電諸定数の中で
も取り分け優れた電気機械結合係数及び比誘電率を劣化
させることなく、低温焼成が可能なPbZrO3 −Pb
TiO3 −Pb(Sn1/3 Sb2/3 )O3 組成系の圧
電磁器組成物とその製造方法に関するものであり、例え
ば、圧電アクチュエ−タ、超音波応用振動子、超音波モ
ータ等を構成する素子として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、圧電効果によって発生する変位を
機械的駆動源として利用したものに、圧電アクチュエー
タ、超音波応用振動子、超音波モータ等があり、メカト
ロニクスの分野の進展とともに、注目されているものの
1つである。
【0003】例えば、圧電アクチュエータには、電極と
しての導体ペーストを印刷した圧電材料からなるグリー
ンシートを積み重ねた積層体を焼結一体化して構成した
積層型圧電アクチュエータと呼ばれるものがあり、磁性
体にコイルを巻いた従来の電磁式アクチュエータと比較
して、消費電力や発熱量が少なく、応答速度に優れると
ともに、変位量が大きく、寸法及び重量が小さい等の優
れた特徴を有し、近年注目されているインクジェットプ
リンタヘッド等に利用されている。そして、これら圧電
アクチュエータ等を構成する圧電材料としては、PbZ
rO3 −PbTiO3 組成系の圧電磁器組成物が用いら
れていた。
【0004】ところで、上述した圧電アクチュエータ等
の用途の拡大に伴い、大きな機械的変位が得られること
は勿論のこと、より消費電力や発熱量の少ないものが要
求されており、そのためには上記圧電磁器組成物の圧電
諸定数の中でも特に電気機械結合係数や比誘電率の大き
いものが望まれていた。
【0005】このような目的に合致する圧電磁器組成物
として、PbZrO3 −PbTiO3 組成系にPb(S
1/3 Sb2/3 )O3 を第3成分として固溶させたも
のが提案されている(特公昭54−36756号参
照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のよう
にPbZrO3 −PbTiO3 組成系にPb(Sn1/3
Sb2/3 )O3 を固溶させた圧電磁器組成物は、焼成温
度が1150〜1250℃と高温であるため、積層型圧
電アクチュエータのように圧電磁器組成物と電極とを共
に焼結させて一体化しようとすると、上記焼成温度範囲
で耐えうる電極材料が少なく、例えばPtやPdなど非
常に高価な金属を用いなければならないといった課題が
あった。
【0007】しかも、焼成温度が高いとそのために高額
な設備も必要となり、結果として安価な製品を提供する
ことができなかった。
【0008】
【発明の目的】本発明の目的は、高い電気機械結合係数
や比誘電率を有するPbZrO3 −PbTiO3 −Pb
(Sn1/3 Sb2/3 )O3 を主体とし、上記圧電諸定
数を大きく劣化させることなく低温での焼成が可能な圧
電磁器組成物とその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
PbZrO3 −PbTiO3 −Pb(Sn1/3 Sb
2/3 )O3 をベースとし、優れた電気機械結合係数や比
誘電率等の圧電諸定数を大きく劣化させることなく、低
温での焼成が可能な圧電磁器組成物について鋭意研究を
繰り返したところ、他の成分として、Bi及びFeの2
成分を含有させるか、あるいはBa、Cu及びWの3成
分を含有させることによって上記課題を一掃できること
を見出した。
【0010】即ち、請求項1に係る発明は、PbZrO
3 −PbTiO3 −Pb(Sn1/3Sb2/3 )O3 を主
体とし、Bi及びFeの元素をBiFeO3 に換算して
10重量%未満の範囲で含有して圧電磁器組成物を構成
したものである。
【0011】請求項2に係る発明は、請求項1に係る圧
電磁器組成物を製造するために、予めPbZrO3 −P
bTiO3 −Pb(Sn1/3 Sb2/3 )O3 を主体と
する仮焼粉を用意し、この仮焼粉に対してBi2 3
びFe2 3 の粉体を、焼成後のBiとFeの含有量が
BiFeO3 に換算して10重量%未満となるように添
加したものを所定形状に成形し、しかるのち、1000
〜1100℃の温度で焼成するようにしたものである。
【0012】請求項3に係る発明は、PbZrO3 −P
bTiO3 −Pb(Sn1/3 Sb2/3 )O3 を主体と
し、Ba、Cu及びWの元素をBa(Cu1/2
1/2 )O3 に換算して8重量%未満の範囲で含有して
圧電磁器組成物を構成したものである。
【0013】請求項4に係る発明は、請求項3に係る圧
電磁器組成物を製造するために、予めPbZrO3 −P
bTiO3 −Pb(Sn1/3 Sb2/3 )O3 を主体と
する仮焼粉を用意し、この仮焼粉に対してBaCO3
CuO及びWO3 の粉体を、焼成後のBa、Cu及びW
の含有量がBa(Cu1/2 1/2 )O3 に換算して8
重量%未満となるように添加したものを所定形状に成形
し、しかるのち、1000〜1100℃の温度で焼成す
るようにしたものである。
【0014】まず、本発明によれば、圧電磁器組成物の
主体がPbZrO3 −PbTiO3−Pb(Sn1/3
Sb2/3 )O3 からなることを特徴とする。このように
PbZrO3 −PbTiO3 (以下、PZTという。)
に、Pb(Sn1/3 Sb2/3 )O3 となる組成を第3
成分として固溶させることで、圧電諸定数の中でも消費
電力や発熱量を抑えるうえで重要な電気機械結合係数や
比誘電率を高めることができる。また、比誘電率を高め
るために、Pbの一部をBaで置換したり、キュリー温
度を高めるために、Sbの一部をNbで置換しても良
い。
【0015】具体的には、組成式を(Pb1-w
w v Zrx Tiy (Sn1/2 Sb1-q Nbq 2z/3
3 と表した時、x,y,z,q,v,wが x+y+
z=1、0.47≦x≦0.52、0.43≦y≦0.
48、0.02≦z≦0.08、0≦q≦0.60、
0.98≦v≦1.00、0<w≦0.06を満足する
ものを用いることができる。
【0016】ここで、PZTを主成分とした圧電磁器組
成物は、PbZrO3 とPbTiO 3 の固溶比率を変化
させると、圧電歪定数の極大値を示すMPB(組成相境
界)が存在し、圧電アクチュエータ、超音波応用振動
子、超音波モータ等の素子としては、圧電歪み定数の極
大値を示すMPB及びその近傍の組成値を用いることが
良い。そして、このMPBはzの量により変化するた
め、x、yの値をzの組成範囲内でMPBを捉える組
成、即ち、0.47≦x≦0.52、0.43≦y≦
0.48とすることでMPBを捉えることができる。
【0017】また、Sn、Sb、Nbの合量を示すzを
多くすると、電気機械結合係数及び比誘電率を高くする
ことができるのであるが、zが0.02未満では、電気
機械結合係数及び比誘電率を高めることができず、zが
0.08を越えるとキュリー温度が低くなるために好ま
しくない。
【0018】Nb量を示すqを多くすると、キュリー温
度を高くすることができるのであるが、qが0.60を
超えると電気機械結合係数及び比誘電率が低下する。
【0019】PbとBaの合量を示すvについては、v
が0.98未満では電気機械結合係数が低くなり、vが
1.00を超えると比誘電率が低下する。 PbのBa
による置換量wを多くすると、比誘電率を高くすること
ができるがwが0.06を超えるとキュリー温度が低下
する。
【0020】さらに、本発明は、PbZrO3 −PbT
iO3 −Pb(Sn1/3 Sb2/3)O3 に対し、他の
成分として、Bi及びFeの2成分を含有するか、ある
いはBa、Cu及びWの3成分を含有することを特徴と
する。
【0021】即ち、他の成分としてBi及びFeの2成
分を含有させると、イオン半径に合わせて主体をなすP
ZT−Pb(Sn1/3 Sb2/3 )O3 の元素と置換を
起こし、ABO3 で表される結晶のAサイト(前記組成
式においてPb1-w Baw )にBiが、Bサイト(前記
組成式においてZrx Tiy (Sn1/2 Sb1-q Nb
q 2z/3)にFeが入ることになる。このとき、Aサイ
ト及びBサイトにあった元のイオンの価数と置換された
イオンの価数が異なると電気的バランスをとるために結
晶格子内に空孔が生じるのであるが、この空孔が多いほ
ど圧電磁器組成物の焼成時に物質の移動が起こり易くな
り、低温での焼結が進むことになる。
【0022】そして、BiはPb2+イオンよりも価数が
大きくドナーイオンとして働き、また、Pbと置換し易
いイオン半径を有するとともに、FeはZr4+、Ti4+
よりも価数が小さくアクセプターイオンとして働き、ま
た、Zr、Tiと置換し易いイオン半径を有する。その
為、ドナーイオンとして働くBiとアクセプターイオン
として働くFeの両者を共に含有させることで、圧電磁
器組成物の圧電諸定数を殆ど低下させることなく、焼成
温度を1100℃以下にまで下げることが可能となる。
その結果、圧電アクチュエータ等の製造において、Pt
やPdと比較して安価なAgを主体とする電極材料(A
gが50%以上)の使用が可能となる。ただし、Biと
Feの含有量がBiFeO3 換算で10重量%以上で
は、低温焼結の効果はあるものの、圧電磁器組成物の電
気機械結合係数が大きく低下する。
【0023】従って、他の成分としてBiとFeを用い
る時には、これらの含有量をBiFeO3 に換算して1
0重量%未満の範囲で含有することが重要であり、好ま
しくは1重量%以上、9重量%以下の範囲で含有するこ
とが良い。
【0024】一方、他の成分としてBa、Cu及びWの
3成分を含有させると、イオン半径に合わせて主体をな
すPZT−Pb(Sn1/3 Sb2/3 )O3 の元素と置
換を起こし、ABO3 で表される結晶のAサイト(前記
組成式においてPb1-w Baw )にBaが、Bサイト
(前記組成式においてZrx Tiy (Sn1/2 Sb
1-q Nbq 2z/3)にCuとWが入ることになる。この
とき、Aサイト及び/又はBサイトにあった元のイオン
の価数と置換されたイオンの価数が異なると電気的バラ
ンスをとるために結晶格子内に空孔が生じるのである
が、この空孔が多いほど圧電磁器組成物の焼成時に物質
の移動が起こり易くなり、低温での焼結が進むことにな
る。
【0025】そして、Bサイトの元素と置換されるCu
とWは、Cuが2価、Wが6価と、Zr4+、Ti4+より
も価数が大きいため、電気的バランスをとるために結晶
格子内に空孔が生じるとともに、焼結の初期にはCu成
分が液相として働くために、粒子の移動が容易となって
緻密化が進むため、低温での焼結が促進されることにな
る。
【0026】その為、圧電磁器組成物の圧電諸定数を殆
ど低下させることなく、焼成温度を1100℃以下にま
で下げることが可能となり、結果として、圧電アクチュ
エータ等の製造において、PtやPdと比較して安価な
Agを主体とする電極材料(Agが50%以上)の使用
が可能となる。
【0027】ただし、Ba、Cu及びWの含有量がBa
(Cu1/2 1/2 )O3 換算で8重量%以上では、圧
電磁器組成物の電気機械結合係数が大幅に低下する。
【0028】従って、他の成分としてBa、Cu及びW
を用いる時には、これらの含有量をBa(Cu1/2
1/2 )O3 に換算して8重量%未満とすることが重量で
あり、好ましくは、1重量%以上、7重量%以下の範囲
で含有することが良い。
【0029】このような本発明の圧電磁器組成物を製造
する方法としては、出発原料としてPb3 4 、ZrO
2 、TiO2 、SnO2 、Sb2 3 の各粉末と、必要
に応じてNb2 5 とBaCO3 の粉末をそれぞれ秤量
混合し、次いでこの混合物を脱水、乾燥したあと、80
0〜1000℃で1〜3時間仮焼し、粉砕してPZT−
Pb(Sn1/3 Sb2/3 )O3 を主体とする仮焼粉を
製作する。そして、この仮焼粉に対して他の成分として
BiとFeの元素を含有させる場合には、上記仮焼粉に
Bi2 3 及びFe2 3 の粉末を所定量加えて混合
し、上記仮焼粉に対して他の成分としてBa、Cu及び
Wの元素を含有させる場合には、上記仮焼粉にBaCO
3 、CuO及びWO3 の粉末を所定量加えて混合する。
そして、これらの混合物から泥しょうを作製してテープ
成型法、押出成型法、鋳込成型法にて所定形状の成形体
を得るか、あるいは上記混合物を造粒乾燥して顆粒を製
作し、型内に充填して一軸加圧成型法や等加圧成型法に
て所定形状の成形体を形成する。しかるのち、得られた
成形体を各々大気雰囲気中や酸素雰囲気中にて1000
〜1100℃の温度範囲にて数時間程度焼成することに
よって得ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0031】(実施例1)原料粉末としてPb3 4
ZrO2 、TiO2 、SnO2 、Sb2 3 、Nb2
5 、BaCO3 の各粉末を、Pbが0.94モル、Zr
が0.485モル、Tiが0.455モル、Snが0.
02モル、Sbが0.016モル、Nbが0.024モ
ル、Baが0.06モルの比率になるよう秤量し、ボー
ルミルにて24時間湿式混合した。次いでこの混合物を
乾燥した後、900℃で3時間仮焼して仮焼粉を得た。
【0032】この仮焼粉をICP発光分光分析によって
組成分析を行ったところ、組成式が(Pb1-w
w v Zrx Tiy (Sn1/2 Sb1-q Nbq 2z/3
3 (x+y+z=1、x:0.485、y:0.45
5、z:0.06、q:0.6、v:1、w:0.0
6)で表されるものであった。
【0033】次に、この仮焼粉にBi2 3 及びFe2
3 の粉末を表1に示す割合で添加してボールミルで2
4時間湿式粉砕し、さらに有機バインダーを添加混練し
たあと乾燥、造粒して顆粒を得た。そして、得られた顆
粒を1.5t/cm2 の圧力で直径20mm、厚さ2m
mの寸法からなる円板状に一軸加圧成型したあと、各成
形体を大気雰囲気中にて焼結させることができる温度で
焼成した。
【0034】しかるのち、得られた圧電磁器組成物を厚
さ1mm、幅3mm、長さ12mmの短冊状に加工し、
両面に銀電極を焼き付け、80℃のシリコンオイル中で
3kV/mmの直流電圧を30分間印加して分極処理を
行い試料を得た。
【0035】そして、各試料について、ICP発光分光
分析によってBiとFeの含有量をBiFeO3 換算に
て測定するとともに、電子工業会規格EMASに基づき
圧電諸定数の電気機械結合係数Kpと比誘電率ε33 T
ε0 をそれぞれ測定した。
【0036】結果は表2に示す通りである。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】この結果、BiとFeを含有させることに
より、圧電磁器組成物の比誘電率を殆ど劣化させること
なく、焼成温度を下げられることが判る。ただし、Bi
とFeの含有が増えるにつれて電気機械結合係数が低下
し、BiとFeの含有量がBiFeO3 換算にて10重
量%以上では、電気機械結合係数が50%台にまで大き
く低下した。
【0040】従って、BiとFeを、BiFeO3 換算
にて10重量%未満の範囲で含有させることにより、電
気機械結合係数や比誘電率といった圧電諸定数を劣化さ
せることなく、1100℃以下の温度で焼結させること
ができることが判る。
【0041】そこで、表1,2において、基準試料とし
て用いた試料No.1の従来の圧電磁器組成物と、試料
No.3の本発明の圧電磁器組成物とで圧電アクチュエ
ータを製作した時のAg(50重量%以上)−Ptから
なる電極の密着具合について調べる実験を行った。
【0042】具体的には、試料No.1,3の組成を有
する原料を用意し、これらの原料に有機バインダーを添
加しドクターブレード法にてセラミックグリーンシート
を作製し、2cm×2cm×0.005cmのシートを
切り出し、電極材料としてAg(50重量%以上)−P
tのペーストを用いて、セラミックグリーンシートに印
刷後、複数枚を積層したものを表2で示す温度でそれぞ
れ焼成して圧電アクチュエータを製作した。
【0043】そして、得られた各圧電アクチュエータに
おける電極の接合の状態をSEMにて観察したところ、
試料No.1の従来の圧電磁器組成物を用いたものは、
焼成温度が1200℃以上と高温であるため、Agを主
体とする電極を用いると、蒸発や凝集による電極の分断
が観られた。
【0044】これに対し、試料No.3の本発明の圧電
磁器組成物を用いたものは、1100℃以下の温度で焼
成することができるため、Agを主体とする電極を用い
ても剥離や蒸発が見られず、接合が良好であった。
【0045】(実施例2)原料粉末としてPb3 4
ZrO2 、TiO2 、SnO2 、Sb2 3 、Nb2
5 、BaCO3 の各粉末を、Pbが0.94モル、Zr
が0.485モル、Tiが0.455モル、Snが0.
02モル、Sbが0.016モル、Nbが0.024モ
ル、Baが0.06モルの比率になるよう秤量し、ボー
ルミルにて24時間湿式混合した。次いでこの混合物を
乾燥した後、900℃で3時間仮焼して仮焼粉を得た。
【0046】この仮焼粉をICP発光分光分析によって
組成分析を行ったところ、組成式が(Pb1-w
w v Zrx Tiy (Sn1/2 Sb1-q Nbq 2z/3
3 (x+y+z=1、x:0.485、y:0.45
5、z:0.06、q:0.6、v:1、w:0.0
6)で表されるものであった。
【0047】次に、この仮焼粉にBaCO3 、CuO及
びWO3 の粉末を表3に示す割合で添加してボールミル
で24時間湿式粉砕し、さらに有機バインダーを添加混
練したあと乾燥、造粒して顆粒を得た。そして、得られ
た顆粒を1.5t/cm2 の圧力で直径20mm、厚さ
2mmの寸法からなる円板状に一軸加圧成型したあと、
各成形体を大気雰囲気中にて焼結させることができる温
度で焼成した。
【0048】しかるのち、得られた圧電磁器組成物を厚
さ1mm、幅3mm、長さ12mmの短冊状に加工し、
両面に銀電極を焼き付け、80℃のシリコンオイル中で
3kV/mmの直流電圧を30分間印加して分極処理を
行い試料を得た。
【0049】そして、各試料について、ICP発光分光
分析によってBa、Cu、Wの含有量をBa(Cu1/2
1/2 )O3 換算にて測定するとともに、電子工業会
規格EMASに基づき圧電諸定数の電気機械結合係数K
pと比誘電率ε33 T /ε0 を測定した。
【0050】それぞれの結果は表4に示す通りである。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】この結果、Ba、Cu、Wの3成分を含有
させることにより、圧電磁器組成物の比誘電率を殆ど劣
化させることなく、焼成温度を下げられることが判る。
ただし、Ba、Cu、Wの含有が増えるにつれて電気機
械結合係数が低下し、Ba、Cu、Wの含有量がBa
(Cu1/2 1/2 )O3 換算にて8重量%以上では、
電気機械結合係数が50%台にまで大きく低下した。
【0054】従って、Ba、Cu、Wの3成分を、Ba
(Cu1/2 1/2 )O3 換算にて8重量%未満の範囲
で含有させることにより、電気機械結合係数や比誘電率
といった圧電諸定数を劣化させることなく、焼成温度を
1100℃以下とできることが判る。
【0055】そこで、表3,4において、基準試料とし
て用いた試料No.11の従来の圧電磁器組成物と、試料
No.13の本発明の圧電磁器組成物とで圧電アクチュエ
ータを製作した時のAg(50重量%以上)−Ptから
なる電極の密着具合について調べる実験を行った。
【0056】具体的には、試料No.11,13の組成を有
する原料を用意し、これらの原料に有機バインダーを添
加しドクターブレード法にてセラミックグリーンシート
を作製し、2cm×2cm×0.005cmのシートを
切り出し、電極材料としてAg(50重量%以上)−P
tのペーストを用いて、セラミックグリーンシートに印
刷後、複数枚を積層したものを表4で示す温度でそれぞ
れ焼成して圧電アクチュエータを製作した。
【0057】そして、得られた各圧電アクチュエータに
おける電極の接合の状態をSEMにて観察したところ、
試料No.11の従来の圧電磁器組成物を用いたものは、
焼成温度が1200℃以上と高温であるため、Agを主
体とする電極を用いると、蒸発や凝集による電極の分断
が観られた。
【0058】これに対し、試料No.13の本発明の圧電
磁器組成物を用いたものは、1100℃以下の温度で焼
成することができるため、Agを主体とする電極を用い
ても剥離や蒸発が見られず、接合が良好であった。
【0059】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、予め用
意したPbZrO3 −PbTiO3 −Pb(Sn1/3
Sb2/3 )O3 を主体とする仮焼粉に対してBi2 3
及びFe2 3 の粉体を添加したものを所定形状に成形
し、しかるのち、その成形体を1000〜1100℃の
温度範囲で焼成して、PbZrO3 −PbTiO3 −P
b(Sn1/3 Sb2/3 )O3 を主体とし、Bi及びF
eの元素をBiFeO3に換算して10重量%未満の範
囲で含有して圧電磁器組成物を得たことから、PbZr
3 −PbTiO3 −Pb(Sn1/3 Sb2/3 )O3
の持つ優れた電気機械結合係数や比誘電率等の圧電諸定
数を維持したまま、1100℃以下の低温での焼結が可
能となる。その為、本発明の圧電磁器組成物を用いれ
ば、消費電力や発熱の少ない圧電アクチュエータ、超音
波応用振動子、超音波モータ等の製作が可能となり、さ
らに銀(Ag)等を主体とした低温で使用できる電極材
料を用いることができるため、安価に製作することが可
能となる。
【0060】また、本発明は、予め用意したPbZrO
3 −PbTiO3 −Pb(Sn1/3Sb2/3 )O3 を主
体とする仮焼粉に対してBaCO3 、CuO及びWO3
の粉体を添加したものを所定形状に成形し、しかるの
ち、その成形体を1000〜1100℃の温度範囲で焼
成して、PbZrO3 −PbTiO3 −Pb(Sn1/3
Sb2/3 )O3 を主体とし、Ba、Cu及びWの元素
をBa(Cu1/2 1/2 )O3 に換算して8重量%未
満の範囲で含有して圧電磁器組成物を構成したことか
ら、PbZrO3 −PbTiO3 −Pb(Sn1/3
2/3 )O3 の持つ優れた電気機械結合係数や比誘電率
等の圧電諸定数を維持したまま、1100℃以下の低温
での焼成が可能となる。その為、本発明の圧電磁器組成
物を用いれば、消費電力や発熱の少ない圧電アクチュエ
ータ、超音波応用振動子、超音波モータ等の製作が可能
となり、さらに銀(Ag)等を主体とした低温で使用で
きる電極材料を用いることができるため、安価に製作す
ることが可能となる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】PbZrO3 −PbTiO3 −Pb(Sn
    1/3 Sb2/3 )O3を主体とし、Bi及びFeの元素
    をBiFeO3 に換算して10重量%未満の範囲で含有
    してなる圧電磁器組成物。
  2. 【請求項2】予め用意したPbZrO3 −PbTiO3
    −Pb(Sn1/3 Sb2/3 )O3 を主体とする仮焼粉
    に対してBi2 3 及びFe2 3 の粉体を、焼成後の
    BiとFeがBiFeO3 に換算して10重量%未満と
    なるような量を添加したものを所定形状に成形し、しか
    るのち、1000〜1100℃の温度で焼成することを
    特徴とする圧電磁器組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】PbZrO3 −PbTiO3 −Pb(Sn
    1/3 Sb2/3 )O3を主体とし、Ba、Cu及びWの
    元素をBa(Cu1/2 1/2 )O3 に換算して8重量
    %未満の範囲で含有してなる圧電磁器組成物。
  4. 【請求項4】予め用意したPbZrO3 −PbTiO3
    −Pb(Sn1/3 Sb2/3 )O3 を主体とする仮焼粉
    に対してBaCO3 、CuO及びWO3 の粉体を、焼成
    後のBa、Cu及びWがBa(Cu1/2 1/2 )O3
    に換算して8重量%未満となるような量を添加したもの
    を所定形状に成形し、しかるのち、1000〜1100
    ℃の温度で焼成することを特徴とする圧電磁器組成物の
    製造方法。
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